ANTHONY HAMILTON @Billboard Live Osaka 7/27(月) 2009


2003年のデビュー・アルバムで唯一無二のソウルフルな歌声に衝撃を受けてから実に6年。私にとってまさに念願の、そして待望のアンソニー・ハミルトンの初来日公演。ここまで観る前から楽しみだったライヴも、久しぶりかもしれません。
f0045842_2291436.jpg
さて、ここ最近のR&B界ではマックスウェルの8年振りの新作が話題で、もちろん内容も超素晴らしいんですが、同じソウルマンでもアンソニーの方にはマックスウェルのような過度のセクシーさ(エロさ)は少ない。その代わりにアンソニーの声にはゴスペルに培われた老若男女にも受け入れられる親しみやすさが備わっている。同じソウルマンでもマックスウェルディアンジェロのようなソウルシンガーとの違いがハッキリしていると思っていたのですが、今回のライヴを観てアンソニーの声にも充分にセクシーさ(でもエロさとはちょっと違う)が備わっている事が感じられましたね。
f0045842_2295486.jpg
メンバー全員が黒で身を固めたバック・バンドを従え、黒のスーツや黒の帽子、そしてステッキを持って登場したアンソニー。見た目ほど歳は取ってない人ですが(まだ38歳!)、こんなステッキが似合うシンガーはアンソニー以外には、ロン・アイズレーソロモン・バークくらいのものでしょう。ただ彼らみたいに動かない(動けない)わけではなく、アンソニーの場合は見せ掛けだけのスティック。そんなものはオープニングと同時にとっとと捨て去り動きまくり!正直言って、ここまで動きまくる姿を想像していなかったので驚かされましたね。「こんな激しく動くの!?」ってくらいアクティヴなステージングに1曲目のCornbread,Fish & Collard Greenからすでに観客もスタンディング・モード。コーラスの男性シンガー(ミュージック・ソウルチャイルドを3倍くらい横に広げたくらいのカンジです)がとても良い味を出していて、観客を盛り上げるのに一役買っていましたね。
f0045842_231689.jpg
1曲目に続いてアップテンポなファンキー・ナンバーFalling In Love。バック・バンドの骨太な演奏がライヴならではの高揚感を演出しています。とにかくドラムもベースも音がデカい。アンソニーの声を遮ってしまうほど強力だ。さらに続くのは、またもや1stから渋いComin’ From Where I’m From。重厚なゴスペル・コーラスがヘヴィなナンバーで、それをバックに歌う中低音のアンソニーの声も同じくヘヴィ。この辺のレンジの広さはさすがだ。

そして本日の1発目の鳥肌。新作よりThe Point Of It All。今までアンソニーの声を遮りがちだったバックの演奏がスローで隙間が出来た分、アンソニーの声の独壇場!いやぁ~感動的です。ただ上手いだけでなく、この声には深みがある。太くて伸びやかで、それでいて充分にセクシーさを兼ね備えています。
f0045842_2322073.jpg
さらには超名曲Can’t Let Go。あの静かなイントロを聴くだけで鳥肌立ちましたよ(本日2発目)。この曲はブルージーで、ゴスペルで、さらには南部色満載という、僕の好きなところが全部入っている希有の名曲ですよ。アンソニーの声も特に際立ちます。やはりアンソニーはサザン・フレイヴァーの曲が非常に良く似合います。

最近のアンソニーはどんどんDown Southしてきて、R&Bの枠に囚われずにカントリーやブルーズのアーティストとの共演も多くなってきている(Josh TurnerJohn Rich、さらにはBuddy Guyまでも)。そしてそのアンソニーの声はカントリーやブルーズにとてもマッチする。もちろんこれらの音楽のルーツがアメリカ南部の黒人音楽にある事に起因しているのでしょう。おそらくそれは突き詰めると「アフリカ」へ辿り着くのだと思います。アンソニーの声には、ジャンルを超越した土着的で力強い深みが備わっている。個人的にはアンソニーのこういった曲をもっともっと聴いてみたいですね。
f0045842_2422233.jpg
そしてアーバン・ゴスペルともいうべきファンキーなSista Big Bones。曲調に合わせてアンソニーもダンスしまくり!ドラムの音が異常にファンキー(このドラマーはジャネット・ジャクソンのツアーでも叩いていた有名な人みたいです)。せっかく黒スーツでキメまくっていたアンソニーもヒートアップして、スーツを脱ぎ、ネクタイを外し、中に着ているシャツの腕をまくり上げ、最終的にはFarmerみたいになっていたのが笑えましたね。そういう姿もまた似合ってしまうのがアンソニーです。

そして今回最もアンソニーの歌が堪能出来るナンバーHer Heartの登場。本日の鳥肌3発目。ちょっとAOR的な曲調の曲ですが、この曲のアンソニーの歌声は凄い。ストゥールに座ってじっくり歌うその声は、ホント身震いがするほど美しいです。ピアノをバックにした演奏もアンソニーの声を引き立てまくり。ほんと聴き入ってしまいましたね。
f0045842_2341769.jpg
さらにこの曲の途中に、ステージ脇に人影が。よくよく見ると黒いエナメル系のドレスを着た女性が!「出た!ターシャ・マクミリアン・ハミルトン!」と心の中で絶叫しましたよ。鳥肌4発目!バッキング・ヴォーカルとして来日公演メンバーとして発表されていながら、直前に名前が消えたりしたりして、「結局どうなのよ?」と思っていたんですが、どうやらゲスト・シンガー扱いになったようですね。ステージ脇で座りながら旦那の歌うのを見守る姿に既に風格が漂っていたのは気のせいか・・・。

そしてHer Heartが終わると、アンソニー自身の紹介でターシャ登場。セクシーなドレスに身を包み、髪の毛を赤く染めた姿は異様にf0045842_2352010.jpg風格が出ていますね。愛想はあまりよくないっぽいです。そして2人で披露したのはもちろんターシャのソロ・アルバム「The McMillian Story」(右写真)に入っていた共演曲Silence Kills。出だしを歌うターシャですが、これがハンパなく上手い!アンソニーとはまた違う情念系の圧倒的ヴォーカル。これは凄いです。途中からアンソニーも参加して歌いますが全く負けてません。最後のシャウトの迫力はとんでもない威力でしたよ。もう終盤は鳥肌立ちっぱなしでした(本日5発目!)。ターシャは今回のライヴで日本のファンに強烈な印象を残したんじゃないでしょうか。そのターシャは1曲終わるとそそくさと退場。帰り際にアンソニーにお尻をタッチされて笑いを取られてましたね。

続いてのPrayin’ For Youでは、アンソニーが客席に降りて来て会場中を一周する盛り上がり。客席にいるアンソニーにしっかりボディガードが付いているのはさすが「セレブリティ」の証ですね。これがスピーチなら確実に1人でしょう。それにしてもよく動きますね、この人は。ステージ上にはターシャも登場しタンバリンを叩いて盛り上げていましたね。見た目はコワイんですが、どうやら意外と楽しい人みたいです。
f0045842_2383824.jpg
1stアルバムからのヒット曲Charleneもじっくりと披露され、最後は新作からのCoolで大団円。バンドの演奏をバックに満面の笑みでステージを去って行きました。毎回ビルボードでのライヴは短くてゲンナリなんですが、今回ほどもっと観せてくれと思ったライヴもなかったですね。やっぱビルボードは「アーティストと距離が近い」という点以外はあまりメリットの無いですよ。

しかしアンソニーのあのソウルフルな歌声が充分に堪能出来て、さらにはターシャの歌声まで堪能出来たという点に於いては最高のショーだったと思います。そのキャラクターからは、おおらかな人間性も感じ取れました。まあ要するに気さくで楽しいオッチャン!このキャラクターもアンソニーが皆から愛される要因でしょう。次回のアルバム・リリースでも絶対来日して欲しいですね。

そして今度は是非ターシャとのダブルヘッドライナー・ショーでお願いします。
[PR]
by Blacksmoker | 2009-08-11 02:17 | ライブレポート
<< DON CORLEON REC... CHURCH OF MISER... >>