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EELS [End Times]


EELS [End Times]_f0045842_1493159.jpg2009年6月にリリースされたアルバム「Hombre Lobo」から数ヶ月後、Eelsのホームページに「End Times Are Coming」という謎の言葉と共に数字のカウントダウンが始まったので、「End Times」って何だ?解散でもするのか?なんて思っていたら、何と新作「End Times」のリリース日のカウントダウンでした!

前作から僅か半年しか経っていない中での新作リリースとはいやはや恐れ入ります。リリース日の発表のタイミングから考えて、前作と同時期には録音されていたのでしょう。
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アルバム・ジャケットには寂しげなホームレスの老人が夜に外を歩いている絵が描かれているのですが、今回の新作「End Times」のアルバム・ジャケットの絵を描いているのは、Eelsの作品ではお馴染みのエイドリアン・トミーネ。シングル盤「Cancer For The Cure」のジャケットや、3rdアルバム「Daisies Of The Galaxy」の中ジャケのギターを弾くEのイラストなどを手掛けているアメリカ人コミック作家。

余談ですが、僕はこのエイドリアン・トミーネの絵が大好きで、彼のポスターや本などたくさん持っています。家に飾ってあるポスターもエイドリアンのものばかりで、7~8年くらい前にエイドリアンの個展に行って本人に似顔絵を描いてもらったことがあるんです。

エイドリアンの描く絵は、カラフルだが寂しさが漂う人物が多く(エイドリアン本人が日系の血が入っているので登場人物も日系っぽい顔の人が多い)、「孤独感」があり、そこが僕がエイドリアンの絵を好きな理由でもあります。
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彼の短編集「Optic Nerve」をまとめた「Sleepwalker」という本が、日本語版も出ているのでチェックして欲しいですね(ちなみにEelsのアルバムには、こういったオルタナティヴ・コミック作家の絵が良く使われていて、これも僕が好きなSethというアーティストの絵も良く使われています)。

そのエイドリアン・トミーネの孤独感漂うジャケットの「End Times」ですが、アルバムの内容も内省的でメランコリックで孤独感や喪失感が溢れています。前作「Hombre Lobo」とはまさしく正反対な出来といえます。
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アルバム全編に渡って歌われるのは、一人の女性との「別れ」。最初から最後までこの女性との思い出や後悔が延々と続くのです。噂ではこのアルバムはEの離婚をテーマにしていると言われるのですが、それにしても全編このトーンで占められているのは凄いです。

1曲目The Beginningからして、「最初は全てが美しく自由だった・・・」と思い出に耽りまくっています。その後もGone ManIn My Younger DaysEnd TimesI Need A MotherOn My Feetなど徹底して別れからくる孤独感の歌ばかりです。
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Eelsというと「」という影が常に付きまとうバンドとして有名だ。Eは姉や母親を相次いで亡くし(ツアー・マネージャーの突然の死で初来日が中止になったこともありました)、その喪失感を歌にしたのが初期の作品であり、さらにはそこから立ち直ってロックなアルバムをリリースしてきたわけですが、今回は離婚という「喪失」をしてしまったわけですから、つくづくEという男は孤独な人なんだなぁと思います。
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しかし皮肉な事にEが孤独感を感じれば感じるほど、メランコリックで素晴らしい音楽を生み出してくれることを我々は知っている。この「End Times」も例に漏れず、とても美しくて優しくて、そして哀しい素敵な曲が満載だ。まさしく全世界の孤独な人の為のベッドルーム・ミュージック。あのトム・ウェイツEelsの音楽にゾッコンなのも理解出来ますね(もちろん僕の人生にもEelsの音楽は不可欠です)。
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今まで以上にシンプルなサウンドながら(ほとんどが4トラック・レコーダーで録音されているようです)、今まで以上に心に沁みる素朴だが美しいメロディを持った作品です。前作では名前の消えていたドラマーのButchの名前が復活しているのも嬉しいですね。

ちなみに日本盤にはないのですが、輸入盤には4曲入りのCDが入った2枚組仕様があります。これも素敵な曲が入っていますので、買おうと思っている人は是非こちらをオススメします。
by Blacksmoker | 2010-02-09 01:13 | ROCK
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