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AC/DC @ 京セラドーム大阪 3/16(火) 2010


世の中には2タイプの人間が存在する。

AC/DCを観た人」と「AC/DCを観てない人」だ。
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前日に観たボブ・ディランもそうでしたが、それ以上にこのAC/DCほどライヴを観た人とそうでない人との違いがハッキリするバンドはいない。

僕自身それを初めて体感したのは今から9年前の2001年の大阪城ホール。その時はアルバム「Stiff Upper Lip」リリース後のワールドツアーでの来日で、AC/DCが日本でライヴをやるのは何と1982年以来の18年振り。一種異様な盛り上がりを見せる中、初めて観たAC/DC(しかも前から7列目という目の前の席でした)は今までのライヴ人生の中で確実にハイライトとなる衝撃的な体験でしたね。
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欧米においてAC/DCがなぜここまで絶大的な人気を誇る存在であり続けるのか?その答えは「ライヴ」なのです。あんな強力で、破壊力のあり、なおかつエンターテインメントの極みのようなとんでもないライヴを見せつけられたら、もうどんな人でも降伏するしかありません。簡単に言ってしまえば、ライヴを観れば誰だって確実にAC/DCのファンになるのです。つまり、「AC/DCを好きな父親がライヴに子供を連れてくる→ 子供も好きになる→ さらにファンが増える」という図式が成り立っていくわけです。AC/DCのライヴの客層が老若男女さまざまなのはそういう事なのです。
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しかし、対する日本の状況は大きく違ってくる。ツアーをすればするほどどんどんファンが増える欧米とは違い、実はまだAC/DCは1975年のデビューから35年間で、たった3回しか来日していないのです(1981年と1982年、そして前回の2001年)。そんな状況の日本ではやはりAC/DCの凄さが分かっている人の数が根本から違うわけですね。

そしてそのAC/DCのライヴの凄さはもう筆舌に尽くしがたいほど圧倒的
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もう批判を恐れずに言ってしまいますが、”ロックが好き”と言っていきながらAC/DCを観ていないヤツなんてまったくもってフェイクなんです。AC/DCを観てないでロックを語るヤツの話なんて信用に値しないのです。
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そんなわけで「つべこべ言わず観ろ!」という事をこの9年の間、いろんな人に言ってきたんですが、啓蒙活動不足のせいか僕の周りで今回の来日公演に行ったヤツはほとんど皆無。結局僕と一緒に行ったヤツは9年前にも一緒に行ったヤツだったという何とも寂しい状況でした。やっぱり行ったヤツにしかこの凄さは理解してもらえないのか…。僕の周りの人間で今回行かなかったヤツは大いに反省するように!!

さて、そんな私の周りの状況とは一転して京セラドームは西日本のハードコアなAC/DCファンが集結して大盛況で、始まる前から会場周辺はお祭り状態。周りを見渡せばアンガス・ヤングのスクールボーイの格好をしてるヤツばっかだし、至る所でファン同士のエアギター大会が行われ、外国人はすれ違う人みんなに「AC/DC!」と挨拶のように声を掛けていたりと、みんな一様にテンション高いです。グッズ売り場なんて余裕で200人くらいは並んでます。Tシャツとかタオルとかちょっと欲しかったですが、こんな状況では買えません(ちなみに9年前の来日公演の時にも、ライヴ終了後テンション上がって「Stiff Upper Lip」柄のTシャツを買ってしまいましたが、見事に1回も着てないです…)。

しかし今回のグッズの中で一番のヒットは、やはり「アンガスの赤く光る角」でしょう!頭に装着し電池式で赤い角が点滅するものなんですが、客の装着率が異常に高い。一体この日だけでどれだけ売れたんでしょうか?10人に1人くらいの割合で付けていたんじゃないでしょうか。そしてそれが会場内で点滅するもんだから、アリーナからスタンドまで赤い光の海
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その光景は圧巻でした。

さて定刻が過ぎステージ後方のスクリーンにアニメーションが流れ出す。爆走する機関車にAC/DCのメンバーが乗っており、先頭車両には悪魔の格好をしたアンガス!ここでもう観客から地鳴りのような大歓声が響きます。そしてアニメーションの中の機関車がステージに突っ込んだ所で、会場にも巨大な機関車が現れメンバー登場。曲は新作「Black Ice」からRock’N Roll Train
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ステージにはブライアン・ジョンソンアンガス・ヤングマルコム・ヤングクリフ・ウィリアムズフィル・ラッドの不動の5人。最年長のブライアン・ジョンソンは御大62歳。そんな高齢でありながら9年前と何ら変わらぬ超パワフルな歌声です。
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そして永遠のギター少年アンガス・ヤング54歳)!少し髪が薄くなった気もするが、それ以外はこちらも全くもって変わらないキレのあるステージ・アクション。ダックウォークも軽快にキメまくり。衰えなんて微塵も感じられません。完全にキャラクタライズされたムダのないパフォーマンスにもう大歓声です。
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その後はもう名曲のオンパレード。「この人達はどんだけ名曲があるんだ」ってくらい必殺曲ばかり。あらためてとんでもないバンドなんだと実感します(マイケル・ジャクソン「Thriller」に次いで全世界で最も売れたアルバム第2位がAC/DC「Back In Black」ですからね。そう考えると凄いですね)。
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そしてそんな名曲の中に挟まれても何ら変わらぬ輝きを放つ「Black Ice」からの曲群(Rock'N Roll Trainを始めとして、Big JackBlack IceWar Machine)にも脱帽。ライヴになると一段と殺傷力を増します。

ブライアン・ジョンソンの声はもうダミ声の域をさらに超越したひき潰されたような声にも関わらず、めちゃくちゃライヴ映えするから凄いです。
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高校生の頃初めてこの声を聴いた時は「なんだこの変な声は!?」と思いましたが、今となってはもうブライアンの声以外ではAC/DCは考えられなしですね(ボン・スコットの声でさえ違和感を感じるくらい)。前日に観たボブ・ディランと年齢的にもあまり変わらないのに、こちらは超パワフルHells Bellsの時に、ステージ上からどデカい鐘が下りてきて、その鐘からロープが垂れ下がっているんですが、そこへ全力疾走でそのロープにジャンプしてしがみついて鐘をゴーンとならすというパフォーマンスなんて、観ているこっちがヒヤヒヤするほどのハイパーぶりです。

そしてそのブライアン・ジョンソンを上回るド派手な動きをみせるアンガス・ヤング。こちらもギターを弾くという事以外にも見せ場たっぷりで、The Jack(渋い!)の時なんて一枚一枚服を脱いでいくストリップ・パフォーマンス(最後はズボンを脱いだらAC/DCのロゴの入ったパンツが登場!)。
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本編最後のLet There Be Rockではアリーナの中に設置された円形ステージに移動。
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そして、そのステージが上空に上がり、大量の紙吹雪の中でギター・ソロを弾きまくる。もう最高という言葉以外出てこないです。
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そしてその派手なフロントマン2人を支えるリズム隊の3人のあまりにもタイトな演奏は観た人なら感動するほどの鉄壁さ。コーラスの時だけスーッと前に出てきてコーラスを取るマルコム・ヤングクリフ・ウィリアムズのサイドマンぶり(アンガスが大暴れしているバックではこの2人ガッチリとリズムをキープしているのです!)と、くわえタバコでクールにドラムを叩くフィル・ラッド(ライヴでタバコくわえながらドラム叩いている人など初めて観たぞ!)のジャスト・ヒットなドラミングはAC/DCというバンドの根幹を成している超重要なファクターですね。
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さらにこのAC/DCの最高のパフォーマンスに応える観客もまた最高だ。もうほぼ全編において大合唱。Whole Lotta Rosieでのアンガス・コール、そしてT.N.T.での掛け声、さらにはThunderstruckのサンダー・コールなど完璧です。日本のAC/DCファンだって海外のファンに負けないくらいアツイんです。

アンコールはHighway To Hell。そして最後はFor Those About To Rock (We Salute You)。ここでは最後とばかりにステージ後方から巨大な大砲が登場。その大砲が曲に合わせてドカンドカンと次々に発射しまくり、もう会場全体のボルテージもMAXに。
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そして2時間にも及ぶ圧巻のステージは終了しました。もう声も枯れるくらい叫び倒したのでグッタリです。観てるコッチも体力をかなり消耗します。AC/DCのライヴは観客参加型のスポーツみたいなもんですね。

いやぁ~あらためて考えても、ホントとてつもないバンドです。60歳にもなるオッサン達がこんな凄いライヴを見せるんですから、若者はたまったもんじゃないですね。「解散」とか「これで最後の来日」とかいろいろ噂では言われてたりしますが、ハッキリ言ってそんなネガティヴな言葉とは一切無縁でしたね。あんなライヴを観ると、まだまだ彼らはやってくれるのはまちがいないでしょう。次回は何年先になるか分かりませんが、次回も必ず参戦します(次回は息子も連れて行きます!)

とにかく今回あれだけ言ったにも関わらず来なかった人は、大いに心から反省して次回こそはつべこべ言わずに参戦するように!それまではAC/DCのライヴDVDを観てしっかり勉強しておけ!


     
by Blacksmoker | 2010-05-10 00:30 | ライブレポート
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