WILCO @Big Cat 4/22(月) 2010


日本に来るのは7年振りだけど、ここにいる人で7年前にも観てくれた人はいる?
このステージ上からジェフ・トゥイーディが言った一言に対して、ほとんど誰も手を上げてませんでしたが、俺は行ってたぜ!

実に7年振り。前回は2003年に開催された「Magic Rock Out」というオールナイトのフェスでの来日で、Foo Fighters「One By One」をリリース直後でした)や、Death In Vegasらと共に神戸ワールド記念ホールでライヴを見せてくれましたが、それ以来の来日公演です。
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当時は、紆余曲折の末に生まれた傑作「Yankee Hotel Foxtrot」をリリース後のツアーで、Wilcoにとってもターニング・ポイントとなる時期でした(ほんと、この時期はWilco周辺は盛り上がっており、来日直前にドキュメンタリー映画「Wilco Film:I Am Trying To Break Your Heart」もDVDで日本発売されましたし、その他にもジェフ・トゥイーディとドラマーのグレン・コッツェ、そしてジム・オルークによるユニットLoose Furのアルバムも日本発売されましたし、グレン・コッツェのソロ・アルバム「Mobile」もリリースされてました)。そして個人的にもモノ凄い期待感を持って観たWilcoのライヴは予想以上に凄かったのを覚えています。

「Yankee Hotel Foxtrot」からの曲を中心に披露されてましたが、驚いたのは全ての曲の終わりが轟音/ノイズまみれになってに終わるんです。これはかなり衝撃的でした。ただ当時はFoo Fightersがヘッドライナーのフェスだったので、Wilcoの時間は1時間くらいしかなかったのでやはり単独公演でじっくり観たいと思いましたね。そんな轟音大好きWilcoが7年というインターバルで遂に単独公演を実現させてくれました。

この7年という歳月でWilcoというバンドは、一介のインディーズ・バンドからアメリカを代表するロック・バンドに変貌しました。毎回3時間を越えるライヴを披露するというライヴ・バンドとして絶対的評価も得ているし、さらにはセールス的にも好調だし、Wilcoは今最も勢いのあるバンドと言っても良いでしょう。この7年でこれほどの変貌振りには驚くべきものがありますね。しかもアメリカ本国と日本での人気の差から、Wilcoがこんなライヴハウスで観れるなんて凄いことですよ。以前にModest MouseMy Morning Jacketも本国との人気の差でクアトロなんて小さいハコで観れたりしましたが、今回のWilcoもしかりで日本ではこういう奇跡的な事がたまに起こってくれるのがありがたい。
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しかし、今回のBig Catの公演は僕が思った以上に満員!入口でスタッフが話しているのが聞こえたんですが、当日券もあと10枚くらいしか残ってなかったそうですね。やはり日本でも人気が出てきたんですね、嬉しいかぎりです。

さて轟音大好きWilco。5人編成だった7年前と違い、今は6人編成。大きな違いはやはりネルス・クライン(下写真)の加入でしょう。

f0045842_14454161.jpgそもそもネルス・クラインという人はアヴァンギャルド/フリー・インプロヴィゼーション系のジャズ・ギタリストとして地下世界では有名で、この人がWilcoに正式加入した事はかなりの驚きでした。ただでさえドラマーのグレン・コッツェというクセモノがいるのに、更にこんな凄いヤツまで加入させてどうするんだと。ただ正直言うと、クセモノ揃いではあるがアルバムではその変人達の本領が音に表れておらず、そこが謎だったんですが、ライヴを観たらその謎が容易に解けましたね。トンでもない暴れっぷりなんです!

特にネルス・クラインは最初っから最後まで異物感たっぷりのギターを弾きまくり。轟音やフィードバック・ノイズをガンガンにぶち込んでくるし、そうかと思えばアコースティック・ギターやラップ・スティールまでも操るし、そのネルス・クラインから繰り出される様々な音がWilcoというバンドのサウンドに奥行きを与えているのは間違いない。さすがはマーク・リーボウジム・オルークと並ぶアヴァンギャルド畑の主要人物。しかも、ほぼ1曲おきにギターを変えるという徹底ぶり。
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さらにグレン・コッツェの叩くとんでもなくラウドなドラミングも強烈だ。アルバムの音とは別物と言って良いでしょう。Nonesuchから出ているこの人のソロ・アルバム「Mobile」もかなり実験的で油断出来ないくらい凄いアルバムでしたが、こういうアカデミックでエクスペリメンタルな音を出す人がロック・バンドのドラマーとして座っているのです。ネルス・クラインもそうですがロック畑出身じゃない人間が純然たるロック・バンドのメンバーであるというWilcoのねじれぶりは面白すぎます。

そもそもWilcoというバンドのサウンドの特徴の最もたるものは、ジェフ・トゥイーディの優しいメロディ・センスに他ならないが、レコードでは顕著なそういう部分を完全に埋れさすような容赦ない轟音っぷり。
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しかもジェフ・トゥイーディも含めてWilcoには3人のギタリストがいるので、その3者による音が凄まじいです(ちなみにジェフもほとんど1曲ごとにギターをチェンジしていましたね。ステージ脇に並べられた30本以上はありそうなギターが壮観でした!)。そこにキーボードとオルガンの2人まで加わってくるんだからそのカオスぶりは途轍もない。7年前に観た時以上にカオスな音をしてましたね。ジェフの歌う優しいメロディと相反する轟音のミスマッチがこのバンドをただならぬ存在にしている。強烈なライヴ・アクトですよ、このバンドは。アルバムではモロにNeu!的なサウンドをみせるSpiders(Kidsmoke)だって、ライヴでは全く違うロック・サウンドになってますからね。

会場は満員だけあって凄い熱気で、一曲一曲終わるごとに大歓声が巻き起こる。新しい曲から古い曲までみんなちゃんと反応しているので、会場中にとても良い空気が充満している。それが最も顕著な形で現れたのが終盤で登場したJesus,etc。本国では全部の歌詞を観客が大合唱することで有名な曲ですが、日本でも合唱が巻き起こっていたのはちょっと感動しましたね。日本のファンだって海外のファンに負けてなかったですね。

アンコールを含めて2時間を越える濃密なライヴ。ラストはI Am Wheelで、曲の最後にはメタル・バンドみたいにグレン・コッツェがドラム・セットに立ち上がり、他のメンバー達もギターやベースを空高く突き上げてポージングする姿に大喝采が起きてました。
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本国では途中にアコースティック・セットやカヴァー曲も挟み3時間のライヴをやるので、今回の2時間強というのは、彼らにしては短かったのかもしれませんが、それでも十分に素晴らしいライヴでした。しかしこんな濃いライヴを3時間もやるなんて、恐ろしいポテンシャル!最強です。

今回のライヴでWilcoも日本で人気があるんだと認識したはずなので、次こそは時間を空けずに来日してもらいたいですね。

  
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by Blacksmoker | 2010-06-16 14:22 | ライブレポート
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