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JESSE HARRIS [Mineral]

世間はどうやらジェシー・ハリスを誤解しているようだ。

ノラ・ジョーンズのDon’t Know Whyの作曲者』というのは彼の一部分に過ぎない。確かに知名度が上がり、おかげでメジャー・レーベルから作品をリリース出来るようになったが、これは諸刃の剣だった。おそらくレーベルからは「ノラ・ジョーンズをもう一度参加させてヒットを狙え」的な事を言われていたのは容易に想像できる。ノラ・ジョーンズにJESSE HARRIS [Mineral]_f0045842_095915.jpg悪気はないが、これが彼のイメージを決定してしまい逆に新しいファン層を開拓出来ない状況になっている。それが如実に現れたのが昨年のブルーノートでの来日公演。ここまで客の入っていないブルーノートは初めてだった。「クアトロだったら良かったのに…」 と思いながら観た彼の来日公演はしかし、スイート極まりない声で歌われる歌と隙間を存分に活かしたジャズやラテンのエッセンスを盛り込んだ演奏がとても素晴らしいものでした。世間は彼を誤解している。ジェシー・ハリスは稀代のシンガー・ソングライターとして後世に語り継がれる存在だ。

JESSE HARRIS [Mineral]_f0045842_0105788.jpg彼の事を理解してないメジャーとはおさらばしたのか、今回の4枚目の新作「ミネラル」は彼が新たに設立したレーベルよりのリリース。要するにインディペンデントに戻ったわけです。インディペンデントに戻ったからといって、音楽性が変わるわけでもなく、逆に以前に増して研ぎ澄まされたソングライティング・センスが光る名作になりました。もちろんノラ・ジョーンズは参加していません。

アルバム・タイトルの「ミネラル」 という言葉と同様に、みずみずしい音が非常に綺麗で北欧的な透明感も兼ね備えている。全編に渡るスローで柔らかな楽曲は、ボサノヴァに通じる時間の流れがある。オルガン奏者ラリー・ゴールディングスのハモンド・オルガンのヴィンテージな音がとても効果的だ。どこかジェイムス・テイラーを思わせる所もありますね。

しかしボブ・ディランもカヴァーした「Corinna Corinna」 をはじめ、ホントに良い曲ばっかりです。涙が出そうなくらい美しく綺麗です。もしもこのアルバムがあまり聴かれることなく世間に忘れられたとしても、このアルバムを聴いた人には確実に年月を経ても聴き続けられる名盤となるでしょう。

実は今月、再来日公演が控えています。しかもクアトロで!
by Blacksmoker | 2006-04-07 00:25 | FOLK
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