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THE STREETS [A Grand Don’t Come For Free]

THE STREETS [A Grand Don’t Come For Free]_f0045842_0204828.jpg新作「The Hardest Way To Make An Easy Living」(3rd)もとても面白くて良いアルバムだったザ・ストリーツ。その新作もかなり気に入ってて紹介したいのですが、その前にやはり前作「ア・グランド・ドント・カム・フォー・フリー」(2nd)を紹介したい。個人的にこのアルバムは2004年に一番多く聴いたアルバムであり、2004年のダントツのベスト・アルバムでしたからね。

きっかけはラジオからこのアルバムの曲「Could Well Be In」をたまたま耳にしたが最初。シンプルなピアノ音のループをバックに女性の声で「So I reakon I could well be in~♪」と歌われる美しい曲に一発でヤラれたわけですが、当時名前は知っていたが聴いたことのなかったザ・ストリーツ(「UKのエミネム」とか言われてたので逆に聴く気がしなかったのが正直なところ…)がこんな良い曲あるんだと驚いてアルバムをゲットしたわけです。そしてアルバム聴いてみたら想像以上のアルバムの完成度と素晴らしい楽曲に一発でハマってしまいました。

THE STREETS [A Grand Don’t Come For Free]_f0045842_0264315.jpg簡単に説明すると、ザ・ストリーツはイギリスのバーミンガム出身のMCマイク・スキナー(左写真)のソロ・ユニット。超早口でスキルフルに繰り出される彼のラップは確かにエミネムと比較される要素はありますが、トラックはイギリス出身らしくUKガラージやグライムのリズム・トラックが中心です。グライムのMCとしてそのスキルは非常に評価されています。

さてこの「ア・グランド・ドント・カム・フォー・フリー」ですが、このアルバム自体が1曲目から最後まで一つの大きなストーリーになっているのです。内容ですが、イギリスのある1人の若者が経験する出会い・別れ・挫折・裏切りなどを描いたもので、そのストーリーからはTHE WHOのアルバム「四重人格」 と比較されたりもしていましたね。私もはっきり言ってこのアルバムのマイク・スキナーのリリックにやられたわけですが、これが僕らの世代なら思わず共感してしまう内容なのです。

銀行のATMで前に並んでいる婆さんに超イライラしたり、女の子とのデートで緊張しまくったり、クラブで待ち合わせてた友達ブッチされてキレてたり、後ろ姿が超カワイイと思った女の子の顔見たら最悪だったり、友達に裏切られたり、彼女にフラれたり、また新しく始まる一日を一生懸命生きようと思ったりと、若い時に誰もが経験する事が実に等身大のリリックで表現されていて共感しまくりです。「なんだこいつ、俺と一緒じゃん!」って思うわけです。あまりにもシンクロしていて思わず感情移入しすぎてしまう事も何度もありましたよ。イギリスの若者達が新しい等身大のヒーローとして絶賛した理由も実に良く分かります。メランコリックなリリックには呼応してトラックも最高にメランコリックで泣けますね。(こちらでこのアルバムに収録されている名曲「Dry Your Eyes」のライブ映像が観れます。)
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1stと違ってダンス・トラックはあまりないのだが、マイク・スキナーの最高のリリックに最高のトラックが組み合わされたかなり完成度の高いアルバムでこれは何年先でも十分に鑑賞に値する名盤です。ザ・ストリーツは特に歌詞が重要なので、日本盤を買って対訳をチェックして下さいませ。
by Blacksmoker | 2006-05-20 00:37 | UK GARAGE / GRIME
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