MARISA MONTE [Infinito Particular]

6年振りのアルバムを2枚リリースしたブラジル音楽界の女王マリーザ・モンチ。そういやワールドカップのブラジル代表のロナウドもマリーザの大ファンだそうでよくコンサートに現れるそうですね。

f0045842_113785.jpg前回はサンバに焦点を当てたアルバム「Universo Ao Meu Redor」(邦題:私のまわりの宇宙)をご紹介しましたが、今回はもう1枚のアルバム「Infinito Particular」(邦題:私の中の無限)を紹介します。このアルバムはポップ編と呼べる作品になりました。マリーザはこの2作品については「まるで双子のようなもの」と言っています。

ただマリーザが単なる普通のポップ・アルバムを作るわけが無く、とてつもなく凄い作品が出来上がってしまいました。「私のまわりの宇宙」はプロデューサーにマリオ・カルダートJr.を迎えたことにより、雑多な音が絶妙なバランスでミックスされとても楽しいサウンドになっていて、ストリート感覚がよく出ているアルバムですが、今回の「私の中の無限」は長い時間をかけて精密に作り込まれた重厚なサウンドで室内音楽を聴いているような感覚になります。例えるならXTCとかピーター・ゲイブリエルのような緻密でハイブリッドな音造りです。今回は聴きながら踊ったりするより、ゆったりと聴き入るアルバムですね。

f0045842_1351152.jpg今回のアルバムのプロデューサーはマリオ・カルダートJr.ではなくアレー・シケイラとマリーザ本人。共同プロデュースという形になっている。今回抜擢されたアレー・シケイラはクラシックなども専門とする現在32歳の新鋭プロデューサー。こういう若い才能をいち早く見抜いて起用するのもマリーザの得意とするものですね。クラブで最先端な音楽を、その音楽が下火になってきた頃に世間に提示してみせるマドンナとは格が違います(個人的にマドンナは結構好きなんですけどね・・・)。

しかしプロデューサーが変わるとここまで質感が変わるのか!と驚きです。もちろんマリーザの声はとても優雅でスケールの大きい素晴らしいものだが、バックの音に緊張感が漲っている。一音一音の響きがとても大事にされている。長い時間を掛けて作り込まれたのが分かります。高級なサウンド・システムで聴けば物凄い効果があると思いますね。

今回の作品は今までにマリーザが長年書き溜めてきた曲や未発表だった曲を新たなミュージシャン達と作り上げたもので、「私のまわりの宇宙」の時と同様にカルリーニョス・ブラウンアルナンド・アントゥネスの参加はもちろんですが、今回は何とセウ・ジョルジ(下写真)が2曲に作曲で参加しています。ブラジル音楽界の新たなスターとなったセウ・ジョルジ。ミュージシャンのみならず映画俳優f0045842_119070.jpgとしても有名なこの男(「シティ・オブ・ゴッド」のマネ役というと分かる人もいるでしょう)、昨年出たアルバムも好評で来日公演も大盛況でしたね。セウ・ジョルジの参加した曲「Levante」はトランペットの音色がマリーザの音楽に新しい風を送り込んでいる。もう1曲「O rio」は静かなバラードでした。これはあまりセウ・ジョルジの色は無かったです。

もう1人女性シンガー、アドリアーナ・カルカニョット(下写真)もf0045842_1283127.jpg登場(「私のまわりの宇宙」にも1曲参加している)。彼女はブラジル音楽界においてはマリーザのライバルと目される存在ですが意外な共作で最終曲に曲作りで参加しています。こういう所もマリーザのスケールのデカさが分かりますね。2人の作る美しい切ない叙情的バラードにうっとりです。凄いコラボレーションです。


そんな感じで2枚のアルバムとも傑作に仕上がっていますが、どっちが好きかと言われたら個人的にはサンバ編「私のまわりの宇宙」かもしれません。結構明るい雰囲気が良く出てるアルバムですからね。でもマリーザ曰く「このアルバムは双子のようなもの」と発言してるわけなのでファンとしては両方ともチェックしないといけませんね。
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この2つのサイドがマリーザを表していると言うことならマリーザは1つの範疇に収まりきれない存在になっているという事なのです。是非とも2枚ともゲットして手元に置いておく事をオススメします。
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by Blacksmoker | 2006-06-29 08:00 | ブラジル
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