「BRIAN ENO アンビエント・シリーズ」 Vol.2 

さて前作「Ambient 1: Music or Airports」でアンビエント・ミュージックを確立したブライアン・イーノ。その前作から僅か1年でリリースされたアンビエント・シリーズの第2弾を紹介します。

HAROLD BUDD/ BRIAN ENO [Ambient 2: The Plateaux Of Mirror](1980)

f0045842_23313783.jpg今回のアンビエント・シリーズですがイーノの単独名義ではなく、あるアーティストとのコラボレート作品になっています。

そのアーティストとはハロルド・バッド

1975年から1978年の3年間にブライアン・イーノは自身の設立した「オブスキュア・レーベル」から現代音楽家の作品を10枚リリースしている。その10枚の最終作品となる「The Pavilion Of Dreams」をリリースしたのがハロルド・バッドなのです。彼は1936年生まれのアメリカ人の実験音楽家であり、ピアニスト。彼とイーノがコラボレートしたこのアンビエント作品のタイトルは「ザ・プラトー・オブ・ミラー」。日本語に直すと「鏡の丘」。ちなみに日本盤発売当時このアルバムには「鏡面界」というなかなか良いセンスのタイトルが付けられていました。

さてこの「Ambient 2: The Plateaux Of Mirror」はハロルド・バッド(下写真)のピアノとイーノのシンセサイザーによって構成されている。「Ambient 1: Music For Airports」では長尺の曲が4曲並んでf0045842_23355619.jpgいたのに対し、今回は比較的短い曲が8曲並んでいる。しかしアンビエントだけあって曲の長さ・短さは全く気にはならないし、そこまで前作との相違点もないですが、個人的にはアジア的な幽玄さが感じられる気がします。タイトル曲「The Plateaux Of Mirror」から次の「Above Chiangmai」に掛けての流れは、中国の山奥の森の朝をイメージしてしまいました。タイトルから言うとチェンマイなのでタイか・・・。しかし、この作品も時間の概念を忘れさせてくれる美しくも儚いレコードです。

ちなみにこのレコードがリリースされた同年に、フランスの哲学者ジル・ドゥルーズと精神科医フェリックス・ガタリが「千のプラトー」(原題:Mille Plateaux)という哲学書を出版しています。当時はこの「ザ・プラトー・オブ・ミラー」と「千のプラトー」の類似点がいろいろ指摘されたそうですが、個人的には多分全然関係ないように思います(別に読んだわけじゃないけど)。「環境において無視もできる音楽」であるアンビエントとこのプラトー論ってのは正反対なベクトルを向いてると思うんですけどね・・・。「資本主義と分裂症」ってのはまんざら間違ってない気もするけど。どうなんでしょ?ちなみにドイツのエレクトロニクス専門レーベル「ミル・プラトー」もここから名前取ってたんですね。

さて、この後ハロルド・バッドは様々なアーティストとのコラボレーション作品をリリースしていき現在も現役で活動していますが、一時はロック的なアプローチも見せていました。中でも有名なのは、アンビエントとロックを融合したあのアーティストとの作品です。そうです、アンビエント・ロックといえばこの人たちしかいません。
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               コクトー・ツインズです。

最近ではマッシヴ・アタックの作品で有名なエリザベス・フレイザー(「Tear Drops」を歌っているのf0045842_23451870.jpgはこの人です)の人間離れした天使のような歌声を擁する音楽史上孤高の存在コクトー・ツインズ。彼らが1986年にリリースした「Victorialand」と同年にハロルド・バッドと共作で「The Moon And The Melodies」(右写真)をリリースしています。この作品はコクトー・ツインズの孤高の音響世界にハロルド・バッドのアンビエント感が更に加味された名作なので、未聴の人はこちらもチェックして下さい。
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by Blacksmoker | 2006-07-01 00:02 | BRIAN ENO
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