[ULTIMATE MC BATTLE -Grand Champion Ship Tour Guide 2005-]

日本のフリースタイル・ラップバトルは2002年に2人のラッパーによって劇的な転換を迎える。

f0045842_2133655.jpgその2人とは般若(右写真)と。東京を拠点に活動する妄走族(三軒茶屋)とMSC(西新宿)のそれぞれに所属するラッパーだ。彼らがB-BOY PARKのMCバトルの風向きを変えてしまった。 

今までのMCバトルというのは即興は即興だが、韻を踏むことに重点を置き過ぎていた為どうも文体があまり意味を成さない事が多かった。しかも今と比べるとスピード感もなくてバトルとしても緊迫感が弱かった(当時はあれでも凄く思えたが…)。


ちなみにこの頃のMCバトルのキングはこの人、
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                  KREVAでした。

しかもKREVA3年連続B-BOY PARKのMCバトル優勝というもの凄い記録を持っている。そのKREVAが「3回も優勝しちゃったから、もう出ない」と言ってMCバトルから卒業した後、般若が韻を踏む事にこだわるよりもメッセージを重要視したフリースタイルで新しい潮流を起こす。しかも前年のMCバトルには出ていたが当時まだまだ無名だったMSCという異形の怪物の登場で一気にレベルが上がったのです。ここで2002年のMCバトルの決勝「般若vs 」の映像が観れますので、こっちで観れる2001年のMCバトル決勝「KREVA vs キンダシャーロック」とのレベルの違いを比べてみて下さい。全然違いますよ。

そして2002年にB-BOY PARKを制覇したMSC(下写真)が2005年に立ち上げた「名声、職業、年齢、性別などに関係なく純粋に己のマイク1本でf0045842_238069.jpg勝負出来るMCバトル大会」が「ULTIMATE MC BATTLE」なのです。全国各地で様々なバトルが行われているが、この「ULTIMATE MC BATTLE」が現在最もB-BOYからリスペクトを受ける大会となっている(ちなみにB-BOY PARKのMCバトルは判定の不公平さなどからプロップスを失っている)。

f0045842_2292151.jpg今回紹介するこのDVD「ULTIMATE MC BATTLE -Ground Champion Ship Tour Guide 2005-」 は総勢500名が参加した全国予選を勝ち抜いた16名の猛者による2005年8月13日に新宿ロフトで行われたMCバトル決勝トーナメントの模様を収録したドキュメンタリー。主催者であるのインタヴューや、全国各地の予選の模様も収録された3時間近くある超濃密な内容です。

ちなみにこのMCバトルのルールは以下の通り。

1・観客の歓声による判定(1ポイント)
2・回戦毎に無作為にオーディエンスから選ばれる数名の陪審員の判定(1ポイント)

以上の2つの判定で2ポイント(観客と陪審員)取得により勝利となる。
判定が割れた場合は何回でも延長戦を行うものとする。


これだけのシンプルなルール。頼るは己のマイク1本。

予選大会からもかなりの白熱したバトルが繰り広げられています。O2 vs ガスケンの乱闘スレスレの緊迫したバトルがヤバいです。ダ・メ・レコーズからの女性MCのコマチのバトルも観れます。しかし、ここ数年ダ・メ・レコーズ勢の躍進は目を見張るものがありますね。「アルバム1枚1000円」というストリートな姿勢もいまだに貫いていてリスペクト。

さて、予選大会を勝ち抜いた本選参加メンバーが錚々たるメンツだ。ダ・メ・レコーズから総帥ダースレイダーKEN THE 390カルデラビスタ、大阪からは韻踏合組合HIDAERONE、同じく大阪のシーラカンスから吉田のブービー、Shing02のレーベルからの刺客CANDLE、そしてMSCからメシアTHEフライなどハイレベルなフリースタイラーが次々に出てきます。予選では8小節の2ラウンドだったが、決勝大会では12小節の2ラウンド対戦。
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シャープかつスマートで怖ろしいほどのスキルの高さを見せるKEN THE 390、ラガでサグなラップで勝ち残るギネス、超高速なラップを繰り出し強力なリターンを返す吉田のブービー、もはや帝王とも言うべきの圧倒的存在感など見所満載。司会の太華が観客に「みんなに責任負わせるからな」というほどの緊迫感。画面からも緊迫感がヒシヒシと感じられるが十分なエンターテインメント性も備えていてメチャクチャ楽しめる。
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そして最後の決勝戦、「 vs カルデラビスタ」の対戦はフリースタイル・バトルは後世に語り継がれるであろう名バトル。1回戦から徐々にレベルが上がってきて覚醒しているのが手に取るように分かるカルデラビスタが、王者、に立ち向かっていく姿はロールプレイング・ゲームで最後のボスと対峙する主人公のようです。の容赦ないディスに「でも無くはない感謝」と切り返すところはホントに鳥肌が立ちます。カルデラビスタのフリースタイルにはディス以外のメッセージが含まれているのが他のラッパーと一味違うところ。ストーリー性もある。2年前に京都でライブ観たときは全く存在感がなくってほとんど覚えてないんですが、凄いラッパーになったもんだ。さすがのも「オマエやるじゃねえか やっぱこれが決勝だぜ!」と今までにない迫力で切り返す。もう瞬きすら出来ない緊迫したバトルは必見です。日本のフリースタイル・バトルのスキルの高さと面白さをしかと見届けろ!

最後に、この「ULTIMATE MC BATTLE」の初代王者カルデラビスタの言葉で締めましょう。

『日本語ラッパーとして生きてきた。

このフィルムの中には俺の人生において分岐点となる瞬間が収められている。
これは強さ、熱さ、面白さを兼ね備えた一つの闘い方だ。
悩み多き現代、「平和」という言葉だけでは成り立たない人間がいる以上、MCバトルは意味をもち続けるだろう。』

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by Blacksmoker | 2006-08-15 02:57 | HIP HOP
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