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THE MARS VOLTA @ Zepp Osaka 11/19(日) 2006 

正直言うとAt The Drive-Inにはそこまで入れ込めませんでした。彼らが登場した時、凄い話題になっていたがあんまりピンとは来ませんでした。一回ライブは観たことがあってライブ・パフォーマンスはカッコ良かったのは覚えてるくらい・・・。

だからAt The Drive-Inが人気絶頂の時に早々と解散し、ギタリストだったオマー・ロドリゲス・ロペスとヴォーカルのセドリック・ビクスラーという主要メンバーがTHE MARS VOLTA @ Zepp Osaka 11/19(日) 2006 _f0045842_1372882.jpg新たに結成したマーズ・ヴォルタにもあまり興味がなかったのが実情です。ただ昔TVで初期のマーズ・ヴォルタ(女性ベーシストがいた時)のライブ映像を観た時は「こいつら凄いなぁ」と思ったことはあります。ただ1stアルバムが出たときも出てるのは知っていたがスルーしてました・・・。


そんな私がマーズ・ヴォルタに衝撃を受けたのは2005年のフジロック。初めて生で彼らのライブを体験したんですが、これはほんとに衝撃的な出来事でした。あの場にいた人なら分かってもらえると思うが、パーカッションやサックス奏者など総勢8人編成でもはや思考能力を停止させてしまうほどの理解不能な圧倒的なカオス。プログレなのかロックなのかジャズなのか、そして即興なのかちゃんとした曲なのかもまったく判別が付かないくらいノンストップな壮絶な演奏。全てが衝撃的過ぎました

その後アルバムを入手して聴いてみましたが、これがまた凄い。2ndアルバム「Francis The Mute」は5曲で76分以上あってTHE MARS VOLTA @ Zepp Osaka 11/19(日) 2006 _f0045842_23195068.jpg最後の曲などは30分を越えるカオスでプログレなロック。しかもこんな難解なアルバムがビルボードチャートで初登場4位を記録するという商業的成功まで収めてしまったのです。全くもってです。そんな彼らのフジロック以来の単独公演。先日リリースされた3rdアルバム「Amputecture」(右写真)を引っさげての来日です。8人編成という布陣は変わっていませんでしたが、ドラマーが交代していた模様。

しかし今回も凄いことになってましたね!
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高速なサルサのリズム、ギターの片時も同じフレーズを弾かない変則的すぎる演奏、パーカッションのさまざまな効果音、そしてもう口を開けて呆然とするしかないドラマーのリズムを無視した尋常ならざるプレイ、そして人間離れした鳥みたいな高音を出すスペイン語の巻き舌ヴォーカル。ジョン・コルトレーンばりに即興で吹きまくるサックスもフリージャズみたいだ。どの曲が何の曲なのか、新曲なのか昔の曲なのか、どこが曲の切れ目なのか全く判別出来ません。曲の途中で「あ~これは確か2ndの1曲目のパートだなぁ」とか、かろうじて判別出来るくらいです。たしか1時間くらいで1回しか演奏が止まってなかったです。

THE MARS VOLTA @ Zepp Osaka 11/19(日) 2006 _f0045842_23241787.jpgギターのオマー(左写真)がドラマーに向かって演奏中にビシビシ指示を出していたのでおそらく即興演奏だと思われる。リズムも一定のリズムを刻まないので客もノるにノれない。唖然と立ち尽くすフロア。一種異様な光景が展開さていましたね。プログレッシヴという言うより「プログレッシヴしすぎちゃってるロック」と言った方が正しいかも知れない。

まったくもってドラムが圧倒的すぎる演奏なのですが、前回観た時にドラムを叩いていたジョン・セオドアと比べるとどうしても少し見劣りしてしまうが、それでも十分過ぎる程の迫力でした。ヴォーカルのセドリックがいきなりステージからフロアに下りてきて会場中を走り回ったり(いきなり目の前にいてビックリした)と、何かと得体の知れないデカいエネルギーが爆発してるようなテンションでしたね。
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そしてこのバンドの頭脳であるギタリストのオマー。アフロを短くして細めのスーツでビシっとキメた姿はルパン3世のようでしたが、この男の頭の中は一体どうなっているんでしょうね?既存のギター・プレイにははまらない圧倒的なオリジナルなスタイル。フランク・ザッパジョン・マクラフリンジミ・ヘンドリックスら異端と言われるギタリスト達の系譜に位置するギタリスト。もはや常人には理解出来ない領域。

THE MARS VOLTA @ Zepp Osaka 11/19(日) 2006 _f0045842_23374680.jpg最後になってやっと聴いた事のある曲が登場。アルバム「Amputecture」から「Viscera Eyes」。マーズ・ヴォルタには珍しくギターリフで引っ張る曲で、比較的分かりやすい曲。ここで曲もようやく盛り上がり、続く「Days Of The Baphomets」では途中の3台のパーカッション乱れ打ちのトライバルなリズム・パートも挟んで最大の盛り上がりを見せたと思ったら、あっさりステージを後にして終了。すぐに客電も点いてアンコールもなしであっけなく終わってしまいました・・・。

まあライブも一つのテーマを持ったコンセプトとしてやってそうなマーズ・ヴォルタにアンコールは似合わないでしょう。この有無を言わせないほど圧倒的にオリジナルなアート感を全開にした音楽性と商業性を両立させてしまっている所が彼らの凄いところです。TOOLとかもそういうバンドの一つだが、他にはなかなかいるもんじゃないですね。
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常に進化していってるバンドなので、また次回観る時にはまったく違った変化を遂げていると思いますが、2006年現在のマーズ・ヴォルタはロック界の中で最も前衛的な集団であることに間違いはないでしょう。強烈なライブでした。このカオスを一度は体験して欲しいです。
by Blacksmoker | 2006-11-25 00:03 | ライブレポート
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