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SPARKLEHORSE [Dreamt For Light Years In The Belly Of A Mountain]

家には買ったのにまだ聴いていないレコードがいっぱいあるんですが、このレコードもその一枚でしたが、こんな素敵なレコードをまだ聴いていなかったとは反省です・・・。

SPARKLEHORSE [Dreamt For Light Years In The Belly Of A Mountain]_f0045842_038650.jpgスパークルホースの5年振りの新作「Dreamt For Light Years In The Belly Of A Mountain」。これはまたもや素晴らしいアルバムですね。スパークルホースのアルバムにハズレはありません

スパークルホースとはヴァージニア州リッチモンド出身のマーク・リンカスのソロ・ユニット。今までに3枚のアルバムをリリースしている。その幽玄で繊細で穏やかなドリーミィな音楽は世界中のインディロック・ファンの耳を虜にしてきた。「アメリカの裏音楽史」なるものがあったならマーク・リンカスは必ずやその名を刻むことになるだろう。

前作「It’s A Wonderful Life」(2001年)は、アメリカン・ゴシックともいえる霞のかかったような神秘的なサウンドで多くの音楽通の「心の名盤」になった傑作でした。まるでグリム童話のごとき美しくもどこか畏怖を感じるような雰囲気に包まれたアルバムで、彼の音に魅入られたトム・ウェイツPJハーヴェイ、そしてカーディガンズニーナなどをゲスト・ヴォーカルに迎えた豪華なアルバムでした。そしてこのアルバムにおいてマーク・リンカスの名は一流のサウンド・クリエーターとしても認められる事になるのです。
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その後ダニエル・ジョンストンのアルバム「Fear Yourself」のプロデュースも手掛けたりと奇才ぶりを発揮(もちろんダニエル・ジョンストンのカヴァー・アルバム「Discovered Covered:The Late Great Daniel Johnston」にも参加。フレーミング・リップスとの共演でGoをカヴァー)していましたが、ようやくスパークルホースで帰ってきました。実に5年振りとなるこの新作「Dreamt For Light Years In The Belly Of A Mountain」。「山の中腹で何光年も夢を見ていた」というタイトルも童話的で美しいですが、アルバムはそのタイトルに相応しい内容となっています。前作のアメリカン・ゴシック風の幽玄なサウンドをより深遠にしたようなアルバムです。

何と言っても注目は、デンジャーマウスとのコラボレート!デーモン・アルバーンとのゴリラズや、Cee-Loとのナールズ・バークレー、そしてMF Doomとのデンジャードゥームなどのプロジェクトで一躍時代の寵児になった感のあるデンジャーマウス(下写真)ですが、まさか彼がマーク・リンカスとコラボレートするとは予想もしませんでした。
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このアルバムでは3曲をコラボレートしています。エレクトロニカなブレイクビーツを使ったコーラジュ・ノイズから始まるDon’t Take My Sunshine Awayではドラム・ビートがほぼ生音のサンプリングという不思議な曲。ギターの控えめなアルペジオと呟くように歌うマーク・リンカス、そしてうっすらと被る女性コーラス、優しいヴァイオリンの音色などが絡み合って浮遊感のあるドリーミィなサウンドを聴かせてくれます。まさしくデンジャーマウスの新境地。次のGetting It Wrongなどもデンジャーマウスが作ったと言われても全く分からないシンプルなエレクトロニカなトラック。Mountainsも完全な8ビート・ドラムのロック・トラック。ほんと意表を突かれますね。途中に入ってくるエレクトロニックなサンプリング音が可愛らしいです。

そしてもう1人。このアルバムには重要な人物が参加しています。

デイブ・フリッドマンです。

マーキュリー・レヴのメンバーで、もはや説明不要の音の魔術師。彼の手に掛かると魔法がかかったような素晴らしいサウンドが創られますが、このアルバムでは4曲で参加して活躍しています。ピアノやメロトロンやヴィブラフォンなども使用した深い森の中にいるようなマジカルでドリーミィなオークストラルなサウンドは圧巻です。マーキュリー・レヴを彷彿させるような箇所が随所にありますね。そしてフレーミング・リップスマイ・モーニング・ジャケットから連なるあのバシャン、バシャン鳴るサイケなドラムのシンバル音もバッチリ聴けます。当のフレーミング・リップスからはギターのスティーヴン・ドローズが参加。あと何気にトム・ウェイツも前作に続き参加しています。
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だが、やはり全体を支配しているのはマーク・リンカスの幽玄なサウンド。彼は最小限の音数で最上のメロディを奏でる音楽家だ。素朴でありながら実に暖かみのある美しいメロディが素晴らしいです。スパークルホースの「小宇宙」的なマジカルなサウンドはイールズEの創り出すサウンドにも通じるところがありますね。

またもや素晴らしい傑作を作り上げたスパークルホースですが、残念ながらこのアルバムは日本盤発売はありません。GOMEZとかもそうだが、こんな素晴らしいバンド達が聴かれないのはまったくもったいない話である。
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マーキュリー・レヴ」や「フレーミング・リップス」、そして「デイヴ・フリッドマン」や「イールズ」と言ったタームに即効で反応した人は間違いなく気に入るはずなのですぐにチェックしてみてください。
by Blacksmoker | 2007-01-09 00:48 | ROCK
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