ARNALDO ANTUNES [Qualquer]

素晴らしすぎる傑作。ブラジルには素晴らしい天才がまだまだいます。

f0045842_029775.jpgブラジル音楽界の奇才アルナルド・アントゥネスの2年振りの新作「クアルケール」。以前は変態度バリバリのアヴァンギャルドな人でしたが、最近はアーティスティックで崇高な方向性に磨きを掛けています。そして、この新作「クアルケール」の素晴らしさは筆舌に尽くしがたい傑作です。このアルバムの美しさの前には全てが無力です。

1982年にサンパウロで結成されたブラジリアン・ロックの人気バンド「チタンス」を率いるカリスマとして絶大なる影響を誇ったアルナルド・アントゥネス
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1991年にソロに専念するためチタンスを離脱し、以降はよりアーティスティックな音楽性を追求する天才ですが、彼が更に注目されるようになるのは、やはりこのバンドであろう。

トリバリスタス

2003年に結成された夢の競演といっても差し支えないこのトリバリスタス。そのメンバーはブラジル音楽界の女王マリーザ・モンチ、そして野生の異端児カルリーニョス・ブラウン、そしてアルナルド・アントゥネスの3人。まさしくスーパー・グループと言っても過言ではない(下写真)。
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この3人が僅か15日間でレコーディングしたデビュー・アルバムはブラジルのみならず世界でも大ヒットを記録します。日本でもアルナルド・アントゥネスと聞けばトリバリスタスの一員として記憶されている場合がほとんどであろう。以前は変態度全開のアヴァンギャルドな音楽性でしたが、トリバリスタスでは才気溢れる女王マリーザと、制御不能なバイーアの野生児カルリーニョスという凄い2人をしっかり纏め上げる職人肌のミュージシャンとしての役割を果たしている。

最近のソロ作でも、徐々に研ぎf0045842_12174.jpg澄まされた音響アコースティック・サウンドを追求していますが、この新作「クアルケール」はまさにその最新型。ギターの弦の一音一音の響きにまでこだわった驚愕の音響にウットリします。この緻密な音像はマリーザ・モンチの昨年出た2枚同時発売のアルバムの1枚「私の中の無限」に近いものがありますね。プロデュースをしているのは、そのマリーザのアルバムも手掛けたアレー・シケイラ。納得です。


さて、内容ですがこれが全曲ホントにポップであり、かつ実験的であり、素晴らしい仕上がりになってます。まず目を引くのはそのゲストの豪華さ。共作者として参加しているのは、前述のマリーザカルリーニョストリバリスタスの2人の参加は勿論として、マリーザに匹敵する才人アドリアーナ・カルカニョット(この人天才です。なぜ日本盤が全部廃盤なんだ!)、そしてジルベルト・ジル、そして伝説のバンド、ノーヴォス・バイアーノスの元メンバーのダヂなど超豪華。
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レコーディングには前述のダヂや、アントニオ・カルロス・ジョビンの孫でもあるピアニスト、ダニエル・ジョビントリバリスタスにも参加していたセザール・メンデスなど鋭い感性のミュージシャンが参加しています。

そして全編渡って深く響くアルナルドの歌声がホントに素晴らしいのです。抑揚を抑えたこのモノクロームな歌声は実に感動的。写真からは想像できない深い味わいのある声に酔いしれますね。ドラムのない基本的にはアコースティックな緻密なサウンドの後ろの方で控えめにエレクトリックなギターやピアノ、その他様々な楽器の音が挿入された独自のサウンド。「完成度の高い」という言葉はまさしくこういうサウンドを指すのです。
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全編が聴き所満載なアルバムですが、メロディの素晴らしさも強調しておきたい。全ての曲に必ず心に引っ掛かるメロディが散りばめられているのが凄いです。楽器の奏でる印象的なフレーズも実に余韻が残ります。とにかく非の打ち所がないアルバムですね。

ブラジル音楽好きは絶対マストだが、音響ロックとか好きな人にも十分にアピールする魅力を持った傑作。是非耳を傾けて欲しい音です。
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by Blacksmoker | 2007-03-03 01:15 | ブラジル
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