ANTHONY B [Higher Meditation]

話題作が目白押しの今年のレゲエ界ですが、この男の新作が出るとなるとやはり注目せざるを得ません。

アンソニー・Bの2年振りの新作「Higher Meditation」。やはりマチガイナイ出来です。

f0045842_23351435.jpg1976年生まれの現在31歳。1996年にアルバム「Real Revolutionary」で衝撃的なデビューを果たしたボボ・アシャンティのDJも、もはや堂々たるベテランの域に達してきましたね。当時、ラスタへ転向したブジュ・バントンの名盤「’Til Shiloh」の大ヒットを受けてスター・トレイル・レーベルリチャード・ベルが、そのブジュ・バントンの対抗馬として送り出したのがこのアンソニー・Bでした。

衝撃的なデビュー」と前述しましたが、アンソニー・Bの登場は文字通りの衝撃をジャマイカ中に与えました。何と言ってもその理由はFire Pon Romeという曲。何とまだ20歳のDJがローマ法王を名指しでディスしまくったのです。この曲はジャマイカではすぐさま放送禁止になるなどセンセーショナルな話題となり大ヒット。その後も政治家や企業など実名でコキ下ろす過激なラスタDJとして大ヒットを飛ばし、名実ともにカリスマDJとなりました。(Burn Down KFCとかありましたね。)
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その過激さゆえアンソニー・Bは「現代のピーター・トッシュ」と例えられる事が多い。ジャマイカ人にとってピーター・トッシュ(左写真)という存在はやはり戦闘的なカリスマというイメージが強いのだろう。ただ個人的に思うことだが、ピーター・トッシュはその歌詞に思慮深いメッセージと皮肉の込められた巧f0045842_23393725.jpg妙な言い回しという2面性を兼ね備えているのに対し、アンソニー・Bはもっと直球。トッシュ先生の「○○だから、△△なんだ」という論理的なメッセージではなく、もっとストレートなメッセージなのが大きな違いだ。過激という文字だけでこの2人を並列さすのは少々乱暴な気もするが、実は最近アンソニー・B本人が1番ピーター・トッシュを意識しているんじゃないかと思わせる曲も増えてきています。ちなみに2001年にリリースした名盤「That’s Life」ではそのトッシュのEqual Rightsをカヴァーしています。ただ個人的にはアンソニー・Bは、ブジュ・バントンというよりはシズラと比較されうるべき存在だと思いますね。

さてさて、この新作「Higher Meditation」ですが、ここ最近の作品をリリースしている名門Greensleevesレーベルからのリリース。制作にはマキシマム・サウンドからFrenchieがあたり、トロイ・スタンレーボビー“Digital”ディクソンといったツワモノがガッチリとサポートしています。
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正直このアルバム、一聴した時は地味な印象を受けたんですが、2回目・3回目と聴く毎にどんどんハマっていきます。ハードなダンスホール・ナンバーからルーツ・コンシャス系、そしてアコースティック・ナンバーもバランス良く網羅したアルバム構成もイイですね。そしてアンソニーの歌声も今までのシングジェイ・スタイルを更に深化させた堂々たる喉を披露しています。わざと音程を外したアウト・オブ・キーアンソニー独特のヴォーカルも非常に味があります。

f0045842_23421341.jpgオープニングのHigher Meditationからラスタファリズム全開。熱いです。そしてナッティ・キングを迎えた軽やかなメロディアスなミドル・チューンHonour To Marcus、相変わらずの過激さを見せ付けるEase Offボブ・マーリィー大先生の「Waiting In Vain」を下敷きにしてアンソニーの再解釈を加えたルーツ・チューンTired Of Waiting In Vain、アコースティックなナイヤビンギYour Time Has Comeタービュレンスが吼えまくる熱すぎるハードコア・チューンReal Worriorsなど傑曲揃い。

曲単位ではなく、アルバム全体で楽しめる仕上がり。ジャケもなかなかイカしてます。オススメの1枚です。
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by Blacksmoker | 2007-03-05 00:49 | REGGAE
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