初めて彼女の声を聴いたのは2005年のグラミー賞授賞式。丸刈りになったド迫力のメリッサ・エスリッジと共にステージに立ったのがこのジョス・ストーンだった。
その後、彼女の2003年のデビュー・アルバム「Soul Sessions」を聴いたわけですが、これが70年代ソウルのカヴァー集で当時16歳という若さながらその完成された圧倒的なヴォーカルに一気にヤラれてしましました。 その後2004年に2ndアルバム「Mind, Body & Soul」をリリース。この2枚のアルバムだけで全世界で750万枚というトンでもないセールスを記録するわけですが、今回紹介するのは彼女の最新作にして3枚目のアルバム「Introducing Joss Stone」。3枚目にして「Introducing・・・」というタイトルも凄いですが、内容もこれまた濃ゆいソウル・アルバムになっています。しかし、まだ19歳ですか・・・怖ろしいです。 今回ジョス・ストーンがプロデューサーに迎えたのがラファエル・サディーク。元トニー・トニー・トニーのメンバーであり、今や伝説的ユニットとなったLucy Pearlのメンバー。ディアンジェロやアンジー・ストーン、エリカ・バドゥも手掛けるネオ・ソウルの鬼才。個人的にラファエル・サディークという人は、ちょうどDJ SpinnaやJay-Deeらのあのストイックなビートにハマっていた時にラファエルのソロ・アルバム「Instant Vintage」(右写真)に出会いその素晴らしい出来に感動した事があるので、彼の起用にはかなりの期待をしていましたが、想像以上に相性の良さを発揮しています。 ラファエルがプロデュースしたという事で打ち込みを主体にしながらも、生楽器の演奏を随所に散りばめた演奏のキャッチーさが非常に歌を際立たせています。この辺の音作りは彼の実に得意とするところですね。70年代ソウルの臭いを残しながらも現代的なサウンドに味付けしたまさしくフューチャー・ソウル。 そしてもうハンパないジョス・ストーンの声。これがまだ19歳の声だとは・・・。普通に聴かされたら絶対分かりませんね。しかもイギリス人だし。それも白人。このギャップが凄いです。普通に聴いたら黒人の女性ソウル・シンガーと思うでしょう。しかしどっからこんな声出てるんでしょうかね? 歌詞の方は、ほとんどが恋愛モノ。ただやはりまだ10代の女性を感じさるところもありますね。「私に触れてみて ベイビー」とか、「あなたに溺れているのよ」とか、「あなたの愛なしでは生きられないの」とか、大半がそんな歌詞です(まあソウルのレコードなんて9割がそうですが)。オープニングの「Girl They Won’t Believe It」だけは、世の中の女性に自由を謳歌しようと呼びかけるTLC的なナンバーですね。 そしてこのアルバムを彩るゲスト・ミュージシャンが2人。まずは「Tell Me What We’re Gonna Do Now」に参加しているのがコモン(左写真)。哀愁を帯びたメロウなトラックに、声を少し低めにしたジョスのヴォーカルとコモンの穏やかなラップが絡む良曲。 コモンのリリックも愛に溢れてますね。「愛とは失われてもまた見つかるもの スティーヴィーの言う通りだ」なんてカッコよすぎるリリックですね~。後半になって段々熱を帯びてきて盛り上がってくるジョスの声の高まりも素晴らしいです。ゴスペル調のコーラスもいい具合に華を添えています。 そしてもう1曲「Music」にゲスト参加しているのは、先日の来日公演でもお騒がせだったローリン・ヒル(右写真)。しかしローリンが他人の作品に参加するなんて初めてなんじゃないでしょうかね?なんでもジョスは、ローリンの母親の連絡先を手に入れ毎日のように電話をかけまくってお願いして奇跡的に実現したそうです。シリアス系なミディアム・トラックに最近のローリンの低い声のソリッドなラップが切り込むナンバーで、映像を喚起させるような表現のリリックがかなりスピリチュアルです。丁寧にもTHE FUGEESの「The Mask」をサンプリングしています。地味ながらも必聴です。 実はコモンとローリンの参加した2曲をジョスと作曲したのがノヴェルという人物。この人はあの今は亡きヒップホップ・レーベル「Rawkus」にいた人ですね。タリブ・クウェリのアルバム「Quarity」の中の曲「Stand To The Side」にも参加して良い仕事をしています(この時は美声も披露してます)。実はこのノヴェルという人は、ソロモン・バークの孫だそうですね。ヒップホップ・ヘッズはこの2曲だけでもチェックする価値ありです。 そして何と今年はフジ・ロック・フェスティヴァルに出演決定です!!
by Blacksmoker
| 2007-04-07 00:13
| R&B / SOUL
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