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MARISA MONTE @ 渋谷オーチャードホール 5/30(水) 2007


行ってまいりました(涙)!

実に15年振りとなる現代のブラジル音楽界の女王マリーザ・モンチの来日公演。15年ともなると初めて観る人がほとんどでしょう。もちろん私も生で観るのは初めてです。(初日の名古屋公演では客のほとんどがブラジル人だったという凄い情報を聞いていたので、正直かなりワクワクしてたんですが、東京公演はおとなしい日本人が大半でした。)
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ステージ上には3段になった雛壇のような今までに見た事ない形のセットが組まれています。今回のツアーでは、演出は前回のツアーのように照明にこだわりまくった演出ではなく、黒い布をバックに、シンプルな照明で演奏面にスポットを当てさせる演出。これが非常に格調高く、優雅な雰囲気を醸し出しており、新作の楽曲に見事にマッチしていましたね。

さて定時を少し過ぎた頃、会場の照明が落とされる。一切照明もなく真っ暗な中でゆっくりと始まりました。オープニングは新作「私の中の無限」の1曲目Infinito Particular。でも、どこに誰がいるのかまったく分かりません。その暗闇の中でマリーザのおそろしいくらい美しい声が聞こえてきます。その声はレコードと全く同じで安定感抜群。微塵のブレもありません。正直、最初はCDを流してるんじゃないかとマジで思ったくらいです。完璧。曲の終盤でようやくステージの最上段でヴィオラォンを弾く麗しいマリーザにスポットライトがあたり会場から大喝采が起こります。生で観るマリーザはとにかく美人でした。
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続いては、もう1枚の新作「私のまわり宇宙」の1曲目を飾るUniverso ao Meu Redor。ここでやっとステージ全体が明るくなります。総勢10人の編成。最前列に管楽器類を演奏する4人、中段にパーカッションとキーボードの2人、最上段にはマリーザを含む4人という並び。最上段にはベースのダヂ、そしてギターのペドロ・ベイビー、そしてカヴァキーニョ担当のマウロ・ヂニスという重要メンバーが並んでいます。

MARISA MONTE @ 渋谷オーチャードホール 5/30(水) 2007 _f0045842_20193498.jpg今回の会場オーチャードホールは天井が20メートルもあるオペラなどで使われる会場(大阪でいうと中央公会堂のような雰囲気)で様々な音響効果が施されていると聞いていましたが、噂通りの素晴らしい音響!10人ものミュージシャンが繰り出す様々な音がクリアに分離してしっかり聴き取れるし、会場後方から全ての音が一つになって聴こえてくるのには本当に驚きです。マリーザの素晴らしい声も見事に会場中に響き渡る素晴らしい音響効果でしたね。

3曲目にはトリバリスタスのアルバムからCarnavália。パーカッシヴなアレンジではなく弦楽器を中心にしたアレンジ。こんな曲をやられたらもうむちゃくちゃ盛り上がりそうなもんですが、会場の客は意外にも非常に静か・・・。なんだ東京の客は?マリーザのライヴで座ってじっと観てるなんて笑止ですよ。この後は、そして懐かしのアルバム「マイス」から名曲Eu Não Sou Da Sua Rua、そしてトリバリスタスのアルバムからのPasse em Casa(ちょっとテンポ早め)などもう素敵過ぎる選曲です。
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マリーザ以外のメンバーは一人で何回も楽器を持ち替えて様々な楽器を演奏していましたが、特に目立ったのはペドロ・ベイビーのギター。彼のガット・ギターが随所で素晴らしい音色を聴かせてくれました。そしてパーカッションのマルセロ・コスタ。ラテン的なリズムの要となるドラムやパーカッションでガッチリと弦楽器中心のバンドのボトムを支えていました。そして寡黙なライオン、ダヂマリーザの横で寡黙に演奏するこのダヂの柔らかなベースもこのバンドには必要不可欠な要素ですね。時にはコーラスも担当し、その素晴らしい男前ぶりにヤラれます。渋すぎましたね。

そして遂に、最上段で座って歌っていたマリーザが上着を脱いで黒のドレスでステージ前方に出て来ました。
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曲はアルバム「ローズ&チャコール」から感動的なMaria De Verdade。身長も高く、手足も非常に細くて長く、モデル並みのスタイルのマリーザ。私がマリーザの音楽に出会って10年くらい経ちましたが、こんな目の前5メートルくらいの所で歌っているとは、まるで夢を見てるようです。しかも大好きなMaria De Verdadeが聴けるなんて感動です。

そして、その後はステージ後方に月が映し出される幻想的な演出のAlta Noiteなど、もう大合唱系の名曲オンパレード。
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Dança Da SolidãoSegue O Secoなど「ローズ&チャコール」のアルバムから実に4曲も披露してくれてそれだけでも感動です。特にSegue O Seco!弦楽器中心のアレンジでしたが、シャーマニックな祈りを捧げるマリーザの姿は神々しさすら感じましたね。そして何と初期のBeija Euまでも披露。もうヒット曲満載の素晴らしいセットです。
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最初はもう「なんなんだこの客は!」と思うくらい静かだった客もMeu Canarioでのコール&レスポンスあたりから徐々に温まってきて、終盤でようやくオールスタンディング状態に。続くトリバリスタスVelha Infanciaでも合唱が起こりようやく盛り上がりました。これにはマリーザもご満悦な模様。そして、この後からどんどん客がステージ前になだれ込んで来て、最前列付近はライブハウス状態。当然私も一番前。マリーザ目の前1メートルのところで歌っているとは、何て贅沢なんでしょう!ブラジル人も含めて周りは大合唱状態でした。観客も大爆発した所で、本編が終了。
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このあとアンコールではロックなナンバーNao Va EmboraJa Sei Namorar。これも私も周りは大合唱。やはりマリーザのライブはこうでないと!最後は大喝采に包まれながらメンバーとお辞儀をして満面の笑顔で去っていきました。

前日ではここで終了だったそうですが、今回は何と最後にマリーザが一人でステージに現れマイク一本でアカペラを披露。曲はBem Que Se Quis!涙モノですよ。1988年のデビュー・アルバム「Marisa Monte」に収録された彼女の初のヒット曲(イタリアのシンガー、ピノ・ダニエレの曲のポルトガル語のカヴァー)です。ブラジルでは今でもこの曲が流れると客席で大合唱が起こるこの曲。ライブDVD「Memórias, Crônicas & Declarações De Amor」でも一番最後に観客が大合唱してる姿が収められています。その名MARISA MONTE @ 渋谷オーチャードホール 5/30(水) 2007 _f0045842_20362757.jpg曲をマリーザがアカペラで歌い、観客もポルトガル語で大合唱。何でも前日の公演はスタッフが「東京はブラジル人が少ないからポルトガル語が分からないだろう」と急遽取り止めたらしいですが、今回は見事に大合唱が起こってました。私もポルトガル語で大合唱でした。そして1コーラスが終わったところで、観客の合唱をバックにマリーザが暗闇の中へ消えていき、客がフルコーラスを歌いきったところで客電が点いてコンサートは終了。素晴らしい演出でしたね。

今回マリーザのライブを初めて観て感じたことは楽曲の1つ1つの素晴らしさでした。新作からの曲はとにかくライブで映えます。しっかりとして親しみやすいメロディ・ラインがレコードで聴く以上に素晴らしかったです。それともう一つはステージの完璧さ。各メンバーのソロとか即興的なパートも一切なし。旧作からの曲はアレンジを変えていましたが、新作からの曲はまるでCDを聴いているような完璧過ぎる再現力。脱帽でした。その昔アート・リンゼイマリーザの事を「地球上で最も完璧主義な人間」と称したのも納得です。
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そしてホントに美しかったマリーザ。まさしく天賦の才。地上に降り立った女神とも言うべきその麗しい姿にはもう平伏すしかありません。でも笑うと非常にチャーミングで人情味豊かなのも印象的でしたね。客席から花束を貰ってとても嬉しそうだった表情が忘れられません。私もただのミーハーと化し握手してもらいました(感激)。

もはやマリーザはブラジル音楽界だけでなく世界に誇る素晴らしいアーティストです。その彼女の魅力を十二分に堪能出来た、ただただ素晴らしいライブだったと思います。終演後、感動的な余韻に浸りながら雨の東京を歩く私の頭の中にはジョアン・ジルベルトが流れていました。

さあ7月にはアドリアーナ・カルカニョットも初来日を果たすし、当分ブラジル音楽熱は冷めそうにありません!

 
by Blacksmoker | 2007-06-02 00:13 | ライブレポート
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