行ってまいりました(涙)! 実に15年振りとなる現代のブラジル音楽界の女王マリーザ・モンチの来日公演。15年ともなると初めて観る人がほとんどでしょう。もちろん私も生で観るのは初めてです。(初日の名古屋公演では客のほとんどがブラジル人だったという凄い情報を聞いていたので、正直かなりワクワクしてたんですが、東京公演はおとなしい日本人が大半でした。) さて定時を少し過ぎた頃、会場の照明が落とされる。一切照明もなく真っ暗な中でゆっくりと始まりました。オープニングは新作「私の中の無限」の1曲目「Infinito Particular」。でも、どこに誰がいるのかまったく分かりません。その暗闇の中でマリーザのおそろしいくらい美しい声が聞こえてきます。その声はレコードと全く同じで安定感抜群。微塵のブレもありません。正直、最初はCDを流してるんじゃないかとマジで思ったくらいです。完璧。曲の終盤でようやくステージの最上段でヴィオラォンを弾く麗しいマリーザにスポットライトがあたり会場から大喝采が起こります。生で観るマリーザはとにかく美人でした。 今回の会場オーチャードホールは天井が20メートルもあるオペラなどで使われる会場(大阪でいうと中央公会堂のような雰囲気)で様々な音響効果が施されていると聞いていましたが、噂通りの素晴らしい音響!10人ものミュージシャンが繰り出す様々な音がクリアに分離してしっかり聴き取れるし、会場後方から全ての音が一つになって聴こえてくるのには本当に驚きです。マリーザの素晴らしい声も見事に会場中に響き渡る素晴らしい音響効果でしたね。 3曲目にはトリバリスタスのアルバムから「Carnavália」。パーカッシヴなアレンジではなく弦楽器を中心にしたアレンジ。こんな曲をやられたらもうむちゃくちゃ盛り上がりそうなもんですが、会場の客は意外にも非常に静か・・・。なんだ東京の客は?マリーザのライヴで座ってじっと観てるなんて笑止ですよ。この後は、そして懐かしのアルバム「マイス」から名曲「Eu Não Sou Da Sua Rua」、そしてトリバリスタスのアルバムからの「Passe em Casa」(ちょっとテンポ早め)などもう素敵過ぎる選曲です。 そして遂に、最上段で座って歌っていたマリーザが上着を脱いで黒のドレスでステージ前方に出て来ました。 そして、その後はステージ後方に月が映し出される幻想的な演出の「Alta Noite」など、もう大合唱系の名曲オンパレード。 前日ではここで終了だったそうですが、今回は何と最後にマリーザが一人でステージに現れマイク一本でアカペラを披露。曲は「Bem Que Se Quis」!涙モノですよ。1988年のデビュー・アルバム「Marisa Monte」に収録された彼女の初のヒット曲(イタリアのシンガー、ピノ・ダニエレの曲のポルトガル語のカヴァー)です。ブラジルでは今でもこの曲が流れると客席で大合唱が起こるこの曲。ライブDVD「Memórias, Crônicas & Declarações De Amor」でも一番最後に観客が大合唱してる姿が収められています。その名曲をマリーザがアカペラで歌い、観客もポルトガル語で大合唱。何でも前日の公演はスタッフが「東京はブラジル人が少ないからポルトガル語が分からないだろう」と急遽取り止めたらしいですが、今回は見事に大合唱が起こってました。私もポルトガル語で大合唱でした。そして1コーラスが終わったところで、観客の合唱をバックにマリーザが暗闇の中へ消えていき、客がフルコーラスを歌いきったところで客電が点いてコンサートは終了。素晴らしい演出でしたね。 今回マリーザのライブを初めて観て感じたことは楽曲の1つ1つの素晴らしさでした。新作からの曲はとにかくライブで映えます。しっかりとして親しみやすいメロディ・ラインがレコードで聴く以上に素晴らしかったです。それともう一つはステージの完璧さ。各メンバーのソロとか即興的なパートも一切なし。旧作からの曲はアレンジを変えていましたが、新作からの曲はまるでCDを聴いているような完璧過ぎる再現力。脱帽でした。その昔アート・リンゼイがマリーザの事を「地球上で最も完璧主義な人間」と称したのも納得です。 もはやマリーザはブラジル音楽界だけでなく世界に誇る素晴らしいアーティストです。その彼女の魅力を十二分に堪能出来た、ただただ素晴らしいライブだったと思います。終演後、感動的な余韻に浸りながら雨の東京を歩く私の頭の中にはジョアン・ジルベルトが流れていました。 さあ7月にはアドリアーナ・カルカニョットも初来日を果たすし、当分ブラジル音楽熱は冷めそうにありません!
by Blacksmoker
| 2007-06-02 00:13
| ライブレポート
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