とうとう3人組になっちゃいましたね~。
オハイオ州クリーヴランド出身の孤高のラップ・グループ、ボーン・サグスン・ハーモニー。兄弟や従兄弟を中心に結成された5人組だった彼らですが、1994年の1stアルバムのリリースと同時にメンバーのフレッシュン・ボーンが脱退。そしてもう一人のメンバーである問題児ビジー・ボーンも離脱→復帰→逃亡→ソロ活動→服役などを繰り返した末、遂に正式に離脱(クビ?)し、遂に3人組となってしまいました。しかし、この新作「Strength & Royalty」の出来はボーン・サグスン・ハーモニー史上最高の1枚と言ってよいだろう。個人的に大好きな1997年の2枚組の大作「The Art Of War」と並ぶ傑作です。 本国アメリカでは絶大な人気を誇り超ビッグな存在であるボーン・サグスン・ハーモニーですが(この新作もビルボード・チャート初登場2位を記録!)、いまいち日本ではその知名度は低い。いや低いというレベルではなく全くの無名だ。彼らの事を好きになってもう10年以上が経つが、この間私の周りで彼らの事を好きな人になんてお目に掛かった事がない。 そんな超ビッグ・ネームでありながら日本では無視され続ける彼らが、日本で認知度を上げる最後のチャンスとなるであろうアルバムがこの新作「Strength & Royalty」だ。とにかく素晴らしい力作。これがスルーされるなら、もうボーン・サグスン・ハーモニーが日本で認められるようになる事は永遠にないでしょう。 しかし今回のアルバムの特徴は非常に外向きだ。今まで彼らの音はDJ U-NEEKという人物がほとんどを手掛けていた(この男は、いまだに顔も詳しい経歴も全く謎)。そのDJ U-NEEKが一切参加していない。変わりに迎えられたプロダクション陣が超豪華!Swizz Beatz、Akon、Jermaine Dupri、Will.I.Am、Toomp、Neo Da Matrixなど尋常じゃない顔ブレ。そしてゲストにはマライア・キャリー、Akon、トゥイスタ、ザ・ゲーム、バウ・ワウ、そしてゴスペル界からヨランダ・アダムスとこれまた凄い顔ブレです。 1曲目「Flowmotion」からジグソーの超有名ネタ、ミル・マスカラスの入場テーマとしても有名な曲「Sky High」の上で超早口な変態的フローを展開するボーン・サグスに驚きます。クレイジー・ボーン(左写真)もかなり頑張っていますね。その後も今までになく派手なトラックを乗りこなす姿に新鮮味を感じます。ただやはりボーン・サグスの真骨頂は「The Crossroads」や「If I Could Teach The World」などのメロウ・バラードです。彼らはやはり美しいスロウなトラックが素晴らしい。そんな意味ではファースト・シングルになったAkonがフックを歌うメロウで美しい「I Tried」が抜きん出て素晴らしい!その他にもメロウでキャッチーなトラックに女性コーラスが耳を引くポップな「So Good So Right」などもヒット・ポテンシャルは非常に高いでしょう。 マライア・キャリーにフックを歌わせた豪華な「Lil Love」、ザ・ゲームとWill I.Am.が参加したストリートなハードな上がりな「Streets」、早口ラップ対決のようなトゥイスタを迎えたミッド・ウェスト賛歌「C-Town」、そしてゴスペル界から何とヨランダ・アダムスが登場した異色の「Order My Steps」など話題満載の曲ばかりです! 高音で変態的に早いラップを披露するビジー・ボーンが不在なのは残念だが、その分他のメンバーの頑張りが非常に目立っています。特にビジーがいなくなった為に一番高音を担当する事になったレイジー・ボーン(右写真)が良い働きをしています。低音域のウィッシュ・ボーンとクレイジー・ボーンの2人との対比がはっきりしたように思えます。3人になったことで一人一人にスポットが当たるようになったので、今まで誰が誰やら分からなかった人でも今回のアルバムでやっとメンバーの声と名前が一致するんじゃないでしょうかね。 ボーン・サグス史上最もコマーシャルな傑作アルバム。是非、なんとか、どうにか、聴いてみて欲しいです! そして「So Good, So Right」の中のリリックでレイジー・ボーンが「俺たちはビジーがいたからこそなんだ オレは叫んでる ビジーどこへいっちまったんだ ムショのフレッシュン・ボーンにも愛を捧げるぜ」と言っているように、いつの日か5人のメンバーが再集結してくれる事を願いますよ。
by Blacksmoker
| 2007-06-05 00:25
| HIP HOP
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