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CARLINHOS BROWN [A Gente Ainda Não Sonhou]


CARLINHOS BROWN [A Gente Ainda Não Sonhou]_f0045842_22552292.jpgマリーザ・モンチの来日、そしてアドリアーナ・カルカニョットの来日など、日本のブラジル音楽ファンにとって、ブラジル・フィーヴァーが続いてます。そしてその熱の冷めやらぬうちにこの男の新作も登場!今回紹介するのは「バイーアの風雲児」カルリーニョス・ブラウン。彼の2年振りの新作「A Gente Ainda Não Sonhou」です。これが素晴らしい傑作に仕上がっているので紹介しましょう!

以前マリーザ・モンチの記事でも紹介したこのカルリーニョス・ブラウン。「パーカッション集団チンバラータの総帥」とか、超ド派手な外見とかもあいまって、一般的なカルリーニョス・ブラウンのイメージというと、ブラジリアン・パーカッションが乱れ飛び、カルリーニョスが吼えまるトライバルで血沸き肉踊るサウンドという感じでしょうか。
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もちろんそれはカルリーニョスの魅力の一部ではありますが、このカルリーニョスは非常に繊細でポップな音楽を作るシンガー・ソングライターという一面も持っている。そのカルリーニョスのポップ・マエストロとしての功績は自身のソロ・アルバムや、マリーザ・モンチアルナルド・アントゥニスとの運命共同体トリバリスタスでの活動でも実際に聴く事が出来るので確認して頂きたいのだが、とてもやさしいタッチの曲が多い。しかも今にも壊れそうなくらいの繊細な作風がとても心地よく、ホントにあの風貌からは想像しがたく、そのギャップが面白い。
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最近は異ジャンルとのコラボレーションなどの活動が活発で「バイーアの風雲児」としての異名通り、暴れまくっているイメージがありましたが、今回のアルバム「A Gente Ainda Não Sonhou」は久しぶりにカルリーニョスのシンガーソングライター的なポップさ全開の曲が詰まったアルバムだ。

しかし「シンガー・ソングライター的」といっても、そこはやはりカルリーニョスのアルバムなので、そのリズムはおそろしく多彩だ。エレクトロニックなサウンドから、オーケストラを導入したもの、コンガ、ボンゴ、パンデイロ、タブラなど膨大な数のパーカッションが鳴りまくっています。
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しかし、面白いのはこの怖ろしいほど緻密に構成されたパーカッションによるリズムが、全く主張することなく、カルリーニョスの歌声の後ろにまわっている事。あくまで主役は「」という姿勢が貫かれています。カルリーニョスの歌声も曲調と同じようにやさしく繊細です。

さてやはりアルバムの中で注目なのは、マリーザ・モンチアルナルド・アントュニスカルニーニョス・ブラウンによるトリバリスタス(下写真)の3人によって共作された3曲。
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Mande Um Email Pra Mimでは時計の針のチクタク音をリズムに、優しげなヴィオラォンの音色やトライアングルの残響音、水の音などが重なるまるで子守唄のように穏やかな曲。カルリーニョスの歌声がアルナルド・アントュニスの声にそっくりでびっくりします。そしてもう1曲のEverybody Gente。これはトリバリスタスの3人にセウ・ジョルジまでもが共作者として名を連ねた超ポップでドリーミーな素晴らしい1曲。まさしくトリバリスタスの真骨頂ともいうべき3者(いや4者か)のそれぞれの個性が見事に融合した名曲です。後半の女性コーラスなんて、「もしマリーザが歌っていたら?」なんて考えるだけで身震いがしますね。残りの1曲Página Futuroは、一聴すると全然そんな風には聴こえないんですが、実はエレクトロニックで複雑なリズム構成になっている、とてもストレンジなポップ・ソングです。
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このトリバリスタスの3曲以外もほんとにポップな曲揃い。キャッチーな女性コーラスが特徴的なGuaraná Caféも、アコースティックな弦楽器をフィーチャーしたかなり面白いエレクトロニック・ビートな曲だし、ロマンチックな弾き語りのタイトル曲A Gente Ainda Não Sonhouも、結局はピアノ、アコーディオン、サンプリング音など様々な効果音を入れて、一筋縄ではいかない曲になっていますやはり根っからの天才肌のアーティストですね。
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ジャケットの写真に引くことなかれ。2007年のブラジル音楽界において軽く名盤に認定されるであろうアルバムです!
by Blacksmoker | 2007-08-06 00:35 | ブラジル
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