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VLADIMIR SHAFRANOV TRIO & KIYOSHI KITAGAWA TRIO @ すみだトリフォニーホール 12/8(土) 2007


澤野工房が贈る冬の恒例ジャズ・コンサート「アトリエ澤野コンサート」。澤野社長がレコードではまだその素晴らしさが伝え切れていないと思っているアーティストを是非とも生で観てもらおうという為のこのコンサート。東京まで観に行ってきました。

今回の「アトリエ澤野コンサート」はNY在住のベーシスト、北川潔(右写真)を中心とするトリオと、澤野工房の顔ともいえるロシア人ピアニスト、ウラジミール・シャフラノフのトリオが登場です。今年の5月に澤野社長と直接話をした時に「今度出る北川潔のレコードは凄い事になるよ」と興奮しながら語ってましたが、先日リリースされたその新作「I’m Still Here」は、ドラムにブライアン・ブレイドを迎えた超強力トリオ(あとはピアニスト)での録音で文字通りハードでタフな演奏を聴かせてくれましたが、そのレコードと同じトリオでの来日。
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北川潔のストイックなウッドベースも見物ですが、やはり話題はブライアン・ブレイドのドラムでしょう!昨年はビル・フリーゼルの来日公演にも帯同し素晴らしいプレイを見せてくれたブライアン・ブレイドを迎えた強力布陣。かなり期待していましたが、ここで大トラブル発生!
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ステージ左前に座っていたのですが、スピーカーの接触不良で「ザ・・ザザ・・ザ・・ザ・・・」というノイズが発生してしまってました。2曲目が始まったトコで廊下へ出て係員に「スピーカー壊れてますよ」って言ったら、3曲目以降はベースとドラムの音がスピーカーから消えてしまいました。ピアノの音はちゃんと聴こえましたが、ベースとドラムは全て生音しか聴こえない状況・・・。私は3列目だったので生音で聴けただけマシだったかもしれませんが、後ろの人は多分ピアノの音しか聴こえないという悲惨な状況だったと思います・・・。
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まあそんな悪状況下でしか判断出来ませんが、北川潔のストイックなベースを主体にし、添えるように静かなピアノ、そして強弱のコントラストをはっきり出した独特のドラムが華やかではないが静かに燃える炎を心に持ったハードボイルドなジャズ・サウンドを聴かせてくれてました。まさしく「漢(おとこ)のジャズ」という言葉がピッタリでしたね。最後のブライアン・ブレイドのドラム・ソロも凄かったですが、その分スピーカーから音が全く聴こえないという状況は残念でなりませんでした・・・。

さて続くは、ウラジミール・シャフラノフ・トリオの登場。

ウラジミール・シャフラノフはロシア人ピアニスト。澤野工房から「White Nights」(右写真)などをはじめ数々の名盤をリリースしている、もはや澤野工房の顔とも言VLADIMIR SHAFRANOV TRIO & KIYOSHI KITAGAWA TRIO @ すみだトリフォニーホール 12/8(土) 2007_f0045842_18575639.jpgえるピアニストです(始まる前に澤野社長がステージに登場し、このシャフラノフがいなければ澤野工房は存在していなかったという事を熱く語っていました)。澤野社長が力説していましたが、シャフラノフのピアノは「弾くというより、飼い慣らしている」。確かにその表現がピタリで、実際もの凄い速い動きなのですが、その速さを全く感じさせないくらい静かで滑らか。鍵盤の左から右まで全ての音域を使い表現力豊かなタッチで滑らかに演奏されるそのピアノはもう極上の一言。あのデカい体からここまで美しい音が出せるなんて驚きです。勢いに任せるようにドっと弾いたかと思うと、ふと演奏を止め、他のメンバーの演奏を見て、また一気にピアノを弾きにかかる姿はなかなか独特。シャフラノフのピアノはかなりクラシックの影響が強いですね。
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他のメンバーはフィンランド人のベーシスト、ペッカ・サルマントとスウェーデン人のベント・スターク。2人ともシャフラノフのピアノを最大限に活かした抑えたプレーでバックを静かに務めます。190cmを超える巨漢ドラマーのベント・スタークは今回初めてライブに参加したとの事だが、その巨体からは想像も出来ないくらい繊細なドラムが冴えていましたね。シャフラノフのピアノのピッチが上がっていくのに合わせて、ドラムのピッチも上げていくシーンなどは息もピッタリ。ドカドカ叩くパートもありかなりたくさんの見せ場を作っていました。

1曲1曲が終わるたびに、シャフラノフ自身がマイクで曲を紹介していくのも非常に分かりやすかったですね。「次の曲は○○○です。楽しんでください」という感じで非常に紳士的。ピアノを弾いている姿もまた非常に紳士的でした(キース・ジャレットみたいにノってくると奇声を発するような事もないし)。

演奏された曲もガーシュインLove Walked InジョビンEste seu olhar、そしてMy Romanceなどとても耳馴染みのあるスタンダーVLADIMIR SHAFRANOV TRIO & KIYOSHI KITAGAWA TRIO @ すみだトリフォニーホール 12/8(土) 2007_f0045842_19101849.jpgド・ナンバーを中心にしていて誰でも楽しめる内容。最後の一音まで気持ちの行き届いた繊細でロマンティックなピアノが素晴らしかったです。アンコールはシャフラノフ1人で登場し、この時期にピッタリのAve Mariaのソロ演奏。贅沢な演奏です。そして最後はモリコーネのCinema Paradiso。会場を優しい空気に包み込むシャフラノフのピアノは心にジ~ンと響きました。

やはりレコードも素晴らしいが、こういう素敵な場所で生で観るとまた全然印象が違ってみえますね。シャフラノフの息遣いまで感じれるような素敵な時間。贅沢な一時を過せました。
by Blacksmoker | 2007-12-14 00:26 | ライブレポート
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