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CALM [Blue Planet]


バレアリック」という言葉は今でも使い慣れませんが、CALMの音楽を言い表わす言葉としては非常に使いやすい。
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テクノほどハードではないし、ハウスよりもテンポは遅いし、アンビエントよりはビートは強い。そして何よりも美しい。そんなCALMのサウンドには「バレアリック」という言葉がしっくりくる。

CALM [Blue Planet]_f0045842_2239816.jpg前作より4年振りとなるCALMの新作「Blue Planet」。2003年の前作「Ancient Future」では「深夜」をイメージさせ、そしてTHA BLUE HERBイル・ボスティーノとのユニット、JAPANESE SYNCHRO SYSTEMでは「夜明け前」をイメージさせていましたが(2003年にはK.F.名義でのハウスのアルバムもありました)、今回のアルバムは「朝」というイメージが非常にピッタリだ。「朝」と言っても夜の明けたばかりの明け方ではなく、陽が昇った朝。このアルバムには明るい、前向きなポジティヴさが感じられるチルアウトなサウンドが詰まっています。個人的にはCALMのベスト・ワークともいえるJAZZANOVAInstropection(Calm’s Outrospect Remix)の雰囲気にとても近い。
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今まで以上に歌心が全面に出た作りで、とても美しく穏やかなメロディが心に響きます(全11曲中5曲がボーカル入りというのもCALM史上最多)。CALMFarr a.k.a.深川清隆という音楽家が、今までにORGAN LANGUAGEJAPANESE SYNCRHO SYSTEM、そしてMOONAGE ELECTRIC ENSEMBLEK.F.、そしてCALMという様々な名義で奏でてきたサウンドの集大成といえる出来映えです。

その中でも特筆すべきはEGO-WRAPPIN’中納良恵(左写真)がCALM [Blue Planet]_f0045842_22421569.jpgボーカルを取るSunday SunFarrによるポジティヴな歌詞に、中納良恵の母性的な歌声が、輝く朝日のように穏やかで美しいトラックによる名曲です。「出会った全ての人にありがとうと言えますか?」という歌詞が良いですね。クラブで朝にこの曲がかかったら涙が出そうです。

その他にもUmi-Uta(Sea Song)や、ヴァイオリンの響きが美しいLove Is…などボーカルが入った曲が特に良い。そしてインスト・ナンバーもよりメロディアスに。CHARI CHARIのようなポリリズミックなリズムが心地良いBeautiful One、1stを彷彿させるアフリカ的なAfrican Textiles、浮遊感のあるシンセのリズムに雨の音が挿入されるBefore The Rainから連なる、弦楽器の音とフィールド・レコーディングによる虫の声が印象的な田園Country田園(Denen Is Eden)など名曲揃い。

今まで人の手の届かない天上界で美しい音楽を奏でていたCALMですが、今回のアルバムでは地上に降りてきて人々と同じ目線でとことんポジティヴで、輝くようなメロディを奏でています。
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こういうCALMは非常に新鮮だ。嫌な事など忘れさせてくれるほど前向きなサウンドは社会の喧騒に揉まれる全ての人のサウンドトラック。オススメです。

実はこの「Blue Planet」と対を成すアルバム「Silver Moon」も2月にスタンバイ中だそうです。こちらも楽しみ。
 
by Blacksmoker | 2008-01-21 00:33 | ELECTRONICA
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