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IDA @ 京都UrBANGUILD 9/30(火) 2008


結成16年目にして初の来日。

結成したばかりの若いバンドが容易に来日を果たせるこの時代に、16年間日本盤もリリースされているバンドがまだ日本の地を踏んでいないなんて逆に驚きます。

その長い時間にアイダはじっくりと熟成され、まるでワインのような芳醇なサウンドになりようやく日本のファンに味わってもらえる機会が来たわけです。とっても良い話じゃないですか。
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でもアイダというバンドはメンバーの出入りなどあれ、そのサウンドの根幹は16年前から何も変わっていない。彼らの初期のアルバムを聴きくらべると、よりその変わらなさが実感出来るはず。「若さ」や「瑞々しさ」はそりゃ16年前と比べれば後退しているかもしれないが、アイダの標榜する「誰でも共感できる良い音楽」はまったくもって不変です。
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今回の初来日公演はダニエル・リトルトンエリザベス・ミッチェルの夫婦を中心として、ベースにカーラ・シックルトン、ヴァイオリンにジーン・クック、ドラムにはルース・キーティングという主要メンバーが勢揃い。ヴォーカル/ギターのダニエル・リトルトンを除いて4人全員が女性。そしてこの5人が揃ったアイダが日本で観れる機会なんてそう滅多にあるもんじゃない。
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さて、アイダというバンドはメンバーがそれぞれ楽器を持ち替えて演奏したり、ヴォーカルも全員がとったりするバンドだ。だから今回のライブでの一番の収穫は「この曲はこういう演奏だったのか」とか「この曲はこの人が歌ってたんだ」という発見があったこと。アイダというバンドは一発で盛り上がれるような派手な曲のないバンド(でも何年経っても色褪せない素晴らしい曲が多いバンド)なので、ついつい演奏面に関してはスッーと聴いてしまうことが多い。しかし、こんなにもせわしなく楽器を持ち替えて演奏するシーンを目の当たりにすると、次にアイダのアルバムを聴くときにはそういう背景を想像することが出来るので、なかなか面白く聴くことが出来るでしょう。

そして長年バンドをやってきているだけあって、その演奏力やパフォーマンスも実力に裏打ちされた見事なモノ。表面的ではなく、その奥に深い源流が見える演奏の素晴らしさにも感服しましたね。(以前にアイダプリンスのアルバム「Dirty Mind」の全曲カヴァー・ライブも敢行した事のあるほど。その他にもおびただしい程のカヴァー曲のレパートリーの多さがアイダというバンドのポテンシャルを物語っていますね。)
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しかも凄いのがほぼ全員がコーラスをとるのですが、これがホント絶品の美しさ。これはなかなか鍛錬しないと出来ない技です。ほとんどの曲で2人~4人のコーラスが入るというこだわりもアイダの特徴だ。懐かしの1stアルバムからのNick Drakeでの5人全員の息の合ったぴったりのハーモニーの感動的な美しさは個人的にこの日のハイライトでしたね。
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ヴォーカルは主にダニエル・リトルトンエリザベス・ミッチェルの2人がメインですが、ベースのカーラの存在もかなり大きい。ベースだけでなく、ピアノやギターなど楽器を持ち替え、ダニエルエリザベスの2人を後ろからしっかりとサポートする姿がとても印象的。そのカーラがリード・ヴォーカルをとるMan In Mindや3rdアルバムからの名曲Poor Dumb Birdが、ライブでは良いアクセントとなり、より彼女の存在感の大きさを浮き彫りにしていたと言ってよいでしょう。

個人的にアイダのアルバムでは一番好きな2000年の「Will You FindIDA @ 京都UrBANGUILD 9/30(火) 2008 _f0045842_1464813.jpg Me」(右写真)から、Down On Your BackMan In Mind、そして名曲Shotgunなど盛り沢山で披露してくれたのが嬉しい。特にShotgunは、日本語でジーンが「何かリクエストありますか?」と言ったので、私が「Shotgun!」とリクエストしたら、「演奏忘れてしまったけど、なんとかやってみます」と言ってやってくれたのが最高の思い出ですね(2回目のリクエストではThank Youをリクエストしましたが、あいにく応えてもらえずでしたが・・・)。
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昨年の最新のアルバム「Lovers Prayers」から初期のアルバムに渡って、アイダの16年という長い歴史を辿る2時間10分にも及ぶライブ。インディー・ロックからフォーク、そしてカントリーにまで至るアイダの音楽の幅の広さがじっくりと堪能できましたね。しかし2時間を超えるライブと言っても熱演というよりは、静かに深い、じんわりと感動的なライブでしたね。音楽が徐々に体に染み込んでくる感じが堪らないです。
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アイダというバンドは決して表舞台に立って活躍するバンドではない。そういった地点とは全くの正反対の位置にいると言って良いだろう。しかし彼らは音楽を心から愛する、実に素朴だが芯の熱いミュージシャン。そんな飾らないアイダの音楽が心から大好きだ。
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そして私は何年経ってもアイダの音楽を忘れた頃に思い出したように取り出して聴き続けるに違いない。


最後にですが、会場で販売されていたアイダの本「勇猛果敢なアイダのものがたり」(下写真)を購入したのですが、これがホントに素晴らしい出来栄えでした。アイダの歴史や、ディスコグラフィ、メンバーや関わった人々へのインタビュー、そして様々な角度からアイダというバンドを考察したコラムなど、アイダへの深い愛情がヒシヒシと感じられる140ページにも及ぶ丸々一冊アイダの本。
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しかもCD付きで新録のカヴァーや未発表曲が全11曲収録されている豪華な内容。「Jackass」のテーマ曲として有名になったMinutemenCoronaや、ハンク・ウィリアムスI’m So Lonesomeのカヴァー、そして日本の童謡、その他にも韓国の童謡なども収録されています。表紙も可愛くて素敵すぎです。是非アイダに興味が出た人はオリジナル・アルバムと共に買ってみて下さい。
by Blacksmoker | 2008-10-09 00:49 | ライブレポート
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