カテゴリ:サウンドトラック( 6 )

サウンドトラック [Into The Wild]


今、個人的に最も観てみたい映画「Into The Wild」
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これは実話に基づいた映画。

1992年ある一人の青年がヒッチハイクでアラスカまでやってきて、単身マッキンレー山麓の荒野に徒歩で分け入っていった。それから4ヵ月後、彼の腐乱死体がハンターの一団によって発見される。

その青年の名はクリストファー・マッカンドレス。24歳。ワシントンDC郊外の高級住宅街の裕福な家庭に育った彼は学業もスポーツも優秀だったが、1990年に大学を卒業後、突然姿を消し、その後預金の2万4000ドルを全額慈善団体に寄付し、自分の車も捨てて、このアラスカの荒野にやってくる。途中、財布の中の紙幣も全て焼き捨て、およそ今までの文明生活を捨て、全く新しい人生をスタートさせる目的でこの荒野に入ったとされる。そして彼はこの荒野で乗り捨てられた1台のバスの中で生活を始め、ここで命を落とす事になる。死因は餓死とされる。

f0045842_212594.jpgその後ジョン・クラカワーという新聞記者が、クリストファー・マッカンドレスの記事を「アウトサイド」誌に掲載。その記事がアメリカで大きな話題を呼ぶ事になる。そしてその後、ジョン・クラカワーマッカンドレスの軌跡を追い、彼の生き方とは何だったのかを投げかけたノンフィクション「Into The Wild」(日本語訳は「荒野へ」)はアメリカで大ベストセラーとなりましたが、その「Into The Wild」を何とあのショーン・ペンが映画化。しかもそのショーン・ペン自身が監督え務めいよいよ全米公開されます(日本公開は未定ですね…)。

実はこの原作「Into The Wild」は私も以前に読んでいてマッカンドレスの生き方について非常に考えさせられたが(ただのバカかと思ってましたが、これがまあ自分と共通する所が多いんです)、それが映画化され、しかもショーン・ペンが監督と聞いて非常に驚きましたね。果たしてどんな映画になるのかとても楽しみです。

f0045842_2172689.jpgさて前置きが長くなりましたが今回紹介したいのは、この映画「Into The Wild」のサウンドトラック盤です。そしてこの映画の音楽を手掛けたのが、あのエディ・ヴェダーなのです。そうです、Pearl Jamのフロントマンであるエディ・ヴェダーが、この映画の音楽を担当しているのです。そしてこのアルバムは映画のサウンドトラックではありますが、エディ・ヴェダー初のソロ・アルバムという形式でのリリースなのです。

実はBlacksmokerは(知ってる人も多いと思いますが)、熱烈なPearl Jamフリークでした。
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もちろん初来日公演は全国追っかけしましたし、小出しにされる7インチ・シングルやアナログ盤、そして各メンバーの膨大なソロ活動なども全てチェックしていました。ちなみに3rdアルバム「Vitalogy」発売当時、大阪の某FM局主催の「Pearl Jamカルト・クイズ大会」で優勝した事もあります。いわゆるPearl Jam原理主義のような人間でしたので、彼らの1991年のデビュー・アルバム「Ten」から16年。このエディ・ヴェダーの初ソロ・アルバムには感慨深いものがありますね。

さて自らもサーファーで自然を愛するこのエディ・ヴェダー(オーストラリアでサーフィン中に沖に流されライフガードに助けられた事もありました…)なので、この「Into The Wild」のサウンドトラックを手掛けるのはなかなかハマっています。
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実はエディ・ヴェダーはソロ名義で今までにも、映画Dead Man WalkingLong Roadヌスラット・ファテ・アリ・ハーンとの共演)を提供したり、映画「I Am Sam」にYou Got To Hide Your Love Awayビートルズのカヴァー)を提供したりと映画との繋がりは多い(上記の2作品はいずれもショーン・ペン絡み。ショーン・ペンエディは友人でもあるそうです)。Pearl Jamとしてもティム・バートン監督の映画「Big Fish」に提供したMan Of The Hourも非常に印象的でした。

今回のこのソロ「Into The Wild」ですが、ほぼエディ1人による録音。ギターはもちろんのこと、バンジョーの演奏、そしてドラムも自身で担当しています。そういえばキャメロン・クロウ監督の映画「Singles」でもエディがドラムを叩くシーンがありました。あとエディが奥さんと一緒にやっていたユニット、Hovercraftでもドラムを担当していましたね。懐かしい…。
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全11曲。音楽的にはアコースティックな楽曲が多く、メジャー・コードを使った大らかで明るい楽曲が並びます。サウンドトラックという事もあり、比較的短い曲(1番で終わりみたいな曲)が多いです。

さて注目なのは2曲のカヴァー。

1つ目は1stシングルとなるHard Sun。これはカナダのINDIO(シンガーソングライター、ゴードン・ピーターソン[左写真]のソロ・ユニット)が1989年に発表したアルバム「Big Harvest」の中に収録されています。力強い大陸的なサウンf0045842_341671.jpgドで太陽の脅威を歌うこの曲、かなり原曲に近い出来になっています(ほぼ完コピに近いです)。原曲では非常にキャッチーで印象的なコーラスが続きますが、エディ・ヴェダー版では、そのコーラスを担当するのが元スリーター・キニーコリン・タッカーです(スリーター・キニーは惜しくも昨年解散してしまいましたが…)。この曲で個人的に面白かったのは、この曲の中に出てくる歌詞で「I am the betterman」という言葉があるんですが、実はエディは1995年のPaerl Jamの3rdアルバム「Vitalogy」に収録されているBetterman(ライヴでも御馴染みです)という曲の中では「Can’t find the betterman」って歌っています。あれから10年以上も経ち、彼らもいろいろ変化したのでしょうね。

そしてもう1曲のカヴァーがSociety。この曲はサンフランシスコのシンガーソングライター、ジェリー・ハナンの曲。この弾き語りにはジェリー・ハナン本人もバッキング・ヴォーカルとギターで参加しています。
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そしてラストのGuaranteedのバンジョーを使ったアコースティックでシンプルな弾き語りは心に染み入ります。合計30分という短い時間ですが、繰り返し繰り返し聴いてしまいます。エディ・ヴェダーという人物がアメリカの偉大なヴォーカリストでありソングライターである事を証明するアルバムです。是非チェックしてみて欲しいです。アルバムの中にはアラスカの広大な自然風景の写真がブックレットになっており、そこに歌詞が印刷されたパッケージも凄くイイですね。

映画の方はまだ日本公開が決定してないようですが、いち早く公開して欲しいものです。ちなみに映画にはウィリアム・ハートも出演しているそうで、それも楽しみの一つです。

最後に原作「荒野へ」も非常に面白いので是非読んでみる事をオススメします。
 
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by Blacksmoker | 2007-10-22 01:29 | サウンドトラック

サウンドトラック[The Hottest State]


俳優イーサン・ホークによる小説「The Hottest Statf0045842_9563332.jpge」が、イーサン・ホーク自身の監督によって映画化されました。この小説はイーサン・ホークの自伝的物語だそうで、駆け出しの俳優と一人のシンガーソングライターの女性の恋愛を描いたものらしいです。この「The Hottest State」ですがアメリカでは既に7月から公開になっていて、日本公開はもう少し先になりそうですが、今回紹介したいのはこの映画のサウンドトラック盤です。

この映画音楽を手掛けたのがジェシー・ハリス。そうです、またもやこの男です!
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6月に自身の新作「Feel」、そして畠山美由紀とのコラボレーション・アルバム「Summer Clouds, Summer Rain」をリリースしたばかりだというのに、間髪入れずにまたもや新音源が登場です。

アルバムの中にあるイーサン・ホーク自身の解説によると、ジェシー・ハリスイーサン・ホークは長年の友人だそうで、この小説「The Hottest State」の原稿を読んでもらいジェシーにその中のシーンに合う曲を書いてもらったそうだ(何でもジェシーは50曲くらいもくれたそうです)。そしてその中から曲を選び、その曲をいろんなヴォーカリストに歌ってもらった曲を集めたというのがこのアルバムです。
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しかし今回のこのアルバムはちょっと凄い事になっています!なんたってそのヴォーカリストの人選が堪りません。ノラ・ジョーンズウィリー・ネルソンファイストブライト・アイズエミルー・ハリスキャット・パワーM・ウォードザ・ブラック・キーズなどなどインディ・ロック勢からカントリー界の大御所まで網羅し、さらにはブラッド・メルドーによるピアノ・ソロや、ジェシー自身が歌う未発表曲などもあり凄い豪華な内容になってます。もはやジェシー・ハリスの独壇場と言ってもいいですね。

その中でも、やはり注目は何と言ってもノラ・ジョーンズの歌うWorld Of Troubleでしょう。
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ノラ&ジェシーのゴールデン・コンビに心躍らすファンの期待に120%応える名曲の誕生です。ノラ・ジョーンズはピアノも弾いており、隙間を活かしまくったジャジーな演奏はまるで彼女の新曲と言っても差し支えありません。このアルバムの中でもYou,The Queenという曲でヴォーカルを担当しているTony Scherrがギターとバッキング・ヴォーカルも担当しておりコーラスもさりげなく素敵です。アップライト・ベースを弾いているのが何とグレッグ・コーエンでした(あまりベースの目立つ曲ではないですが・・・)!グレッグ・コーエンはこの他にも数曲にベーシストとして参加しています。

個人的にオススメしたいのが、M・ウォード(左写真)によるCrooked Lines。新世代アメリカーナ・シンガーソングライターの中で最も気になるこの男。昨年出たアルバム「Post-War」がトンでもなく素晴らしかったM・ウォードの歌f0045842_1054797.jpgうこの曲Crooked Linesジェシーの以前のアルバムに収録されていた曲だが、その曲をM・ウォードがアコースティック・ギターで静かに静かに弾き語るロマンティック極まりない美しい曲。M・ウォードの声もウェットで繊細な深い声でホントにうっとりします。バックで印象的なピアノとコーラスを担当するのはノラ・ジョーンズです。ベースにはノラのアルバムではお馴染みのリー・アレキサンダーが弦の僅かな揺れまで聴こえる繊細な音を聴かせてくれます。M・ウォードノラ・ジョーンズの3rdアルバム「Not Too Late」にも参加して歌声を披露しているので是非チェックして欲しいです。

そしてもう1曲。新世代アメリカーナを代表するバンド、ブライト・アイズによるBig Old House。今年は新作「Cassadaga」も発表しビルボード・チャート初f0045842_1071022.jpg登場4位を記録、その後はサマーソニックにも総勢10人組の「ブライト・アイズ・オーケストラ」として登場したコナー・オバースト(右写真)のソロ・プロジェクト、ブライト・アイズですが、この曲Big Old Houseも完全にブライト・アイズ流に料理された曲に。リヴァーヴの利いたラウドなドラムと、キーボードによる印象的なイントロのフレーズ、そしてバックでさりげになるサイケデリックなエレクトリック・ギターの残響音など、どれを取ってもまさにブライト・アイズ色が出まくった曲です。後半のカオスっぽいところはまるでWilcoのようなカンジです。この曲も凄い良いです。

まあ、その他にも60年代の女性フォークシンガーのようなカナダ出身のシンガーソングライター、ファイスト(左写真)によるSomewhere Down The Road(原曲はジェシーのアルバム「Mineral」に収録)や、まf0045842_1023120.jpgるでカントリーのクラシックを歌うようなウィリー・ネルソンによるAlways Seem To Get Things Wrong(原曲はジェシーのアルバム「While The Music Lasts」に収録)、完全に轟音ブルーズ・ロックに解体したザ・ブラック・キーズによるIf You Ever Slip、そしてこれも素敵なピアノ・ソロ曲として生まれ変わったブラッド・メルドーによるロマンティックなNever See You、そして若きジョニ・ミッチェルのような女性シンガーソングライター、Rochaが歌う3曲の穏やかなフォーク・ソングも素敵です。他にもエミルー・ハリスキャット・パワーによる曲などもあって聴き所満載です。

しかしやはりこのアルバムを聴き終えて最終的に思うのはジェシー・ハリスのソング・ライティングの素晴らしさです。
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繊細だがメロディの際立つジャジーなフォーク・サウンドは、特に女性が歌うと凄く栄える曲が多いように思いますね(以前紹介した畠山美由紀しかりです)。そしてジェシー自身のヴォーカリストとしての素晴らしさも強調しておきたい。この個性的なシンガー達の中でもジェシーの声は全く埋もれることなく、むしろ際立つ繊細な声は本当に素晴らしいですよ。まさしく21世紀を代表する天才シンガーソングライターです。アルバム全体的の流れも素晴らしく、アルバム1枚を通して聴いてしまいたくなる構成になっています。終盤に配置された2曲のインストゥルメンタル曲の美しいさは特筆もの。ちなみにジェシー本人もこの映画に出演しているそうです。
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とりあえず2007年後半は怒涛のジェシー・ハリスのリリース・ラッシュですが、どれを取っても全くハズレなしのクオリティ。10年後に20枚くらいアルバム出てて、どれから聴いて良いか分からなくなる前に、今のうちにジェシー・ハリスの作品はチェックしてみて下さいよ!
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by Blacksmoker | 2007-09-20 00:13 | サウンドトラック

サウンドトラック「DEAD MAN WALKING」(Legacy Edition)

1996年に公開されたティム・ロビンス監督の「デッドマン・ウォーキング」

実在するカトリックの女性修道士ヘレン・プリジーンが引き受けたルイジアナ州アンゴラ刑務所において死刑を宣告された囚人の精神的アドヴァイザーの仕事を通して、死刑制度というものに改めて疑問を投げかけた作品で、死刑囚の視点だけではなく、被害者の遺族の視点も同時に描いており、「死刑制度とは一体何なんだ? 」と考えさせられる作品です。この作品でスーザン・サランドンがアカデミー主演女優賞を受賞し、死刑囚役を演じたショーン・ペンの迫真の演技も話題になりました。
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そしてこの映画のサウンドトラック盤も非常に素晴らしかった。

これは監督のティム・ロビンスがこのテーマに相応しいと思うアーティストにこの映画を観てもらい、そのミュージシャン達がこの映画に触発されて作った新曲を集めたアルバムなのです。ブルース・スプリングスティーンによる主題歌を始めとして、ジョニー・キャッシュライ・クーダーによる暗黒のカントリー・ブルース、パキスタンの宗教音楽の偉人ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンとパール・ジャムのエディ・ヴェダーの共演曲など素晴らしい曲ばかり。その他にはトム・ウェイツパティ・スミスメアリー・チェイピン・カーペンターライル・ラヴェットも参加しています。エディ・ヴェダーの参加した曲の素晴らしさは言うまでもないが、この他には死刑執行人の視点から描かれたスティーヴ・アールの曲と、インダストリアルなメタル・パーカッションをバックにクールに歌うスザンヌ・ヴェガの曲が良かったですね。

さて今回なぜこのサウンドトラック盤なのかと言うと、実は先頃このアルバムのレガシー・エディション盤がリリースされたのです。

f0045842_20395612.jpgこのレガシー・エディション盤というのは昔の名盤にデジタル・リマスタリングを施し、更に当時の貴重な未発表曲やライブ音源などを加えて再発するもので、最近でもサンタナオールマン・ブラザーズ・バンドのアルバムがレガシー・エディション盤で再発されたし、Matthew SweetGirlfriend」やSebadoh」などマニアが涙しそうなものもありましたね。ただ今回の「デッドマン・ウォーキング」のレガシー・エディション盤はエディ・ヴェダーによる未発表曲が1曲入ってるだけだ。しかも未発表曲というふれ込みだが、実はこの曲はパール・ジャムが「No Code」をリリースした時にアナログの7インチ盤で切られた「Off He Goes」のB面に入っていた曲なんで、パール・ジャム・フリークの私としては既にこの7インチは持っているので別に珍しくない。

では今回レガシー・エディション盤の目玉は何かというとDVDの映像です!この映画が公開された2年後の1998年に「”Not In Our Name”- Dead Man Walking -The Concert」という死刑制度に反対したアコースティック・コンサートがLAのシュライン・オーディトリアムで行われたんですが、その模様が初めてDVDとして映像化されたのです。

f0045842_20493241.jpgこれは凄い貴重な映像ですよ。このアルバムにも参加している永遠のパンク・スピリット、スティーヴ・アールによるアコースティック・パフォーマンスには胸を打たれるし、チェロを従えたライル・ラヴェットによるパフォーマンスもとても素晴らしい。まだまだ若いアニー・ディフランコ(左写真)のアコースティック・ギターを叩くように弾くパフォーマンスもかなり熱い。アニーのあの独特の奏法は絶対あのシカゴのブルースマン、サンハウスがルーツですよ。それと、アニーの履いている厚底ブーツが時代を感じさせます・・・。

そしてハイライトはエディ・ヴェダー!この頃のエディ・ヴェダーのオーラは尋常じゃないくらい凄いです。もう最初の一声の響きから一気に持っていかれます。絨毯の上に座ってリラックスして演奏する姿でさえも神々しさを感じます。
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パール・ジャムからジェフ・アメンを迎えての「Dead Man」を演奏する前にこんな面白いエピソードを話してくれています。

ティム・ロビンスに映画を見せて貰ってその場で”Dead Man”という曲を書いた。ティムに電話して”Dead Man”という曲が出来たと言ったら、ティムにこう言われたんだ。「ブルース・スプリングスティーンからも同じタイトルの曲が送られてきたんだ。エディ分かってくれ。あっちの方が先輩だから…」ってね。だからB面に入れたんだ

…かなり笑えます。

そしてアルバムにも収録されているヌスラット・ファテ・アリ・ハーンとスピリチュアルな「The Long Road」の演奏では、ヌスラットが他界してしまっているため彼の甥のラ-ハット・ヌスラット・アリ・ハーンが共演しているがこの人の声も凄い。カッワーリの変幻自在な声がとにかく圧倒的。思わず魅入ってしまします。ヌスラットのスケールの大きさにはまだ到達は出来ていないが、ラーハットも凄い才能だと思います。イスラム教の音楽との見事な邂逅です。タブラ奏者も素晴らしい演奏です。パーカッションにドアーズジョン・デンズモアも参加している豪華さで、このパフォーマンスだけでも必見です。
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さてこのコンサートの映像以外に必見なのはこのコンサートの前に行われた記者会見の模様。原作でもある本物のヘレン・プリジーンが語る死刑制度についての話はかなり考えさせられます。日本でも最近は凶悪犯罪の犠牲者の遺族が「あいつは死刑にしてくれ!」と言っている映像を良く目にします。でも世界的に見ると死刑制度は廃止の方向に向かっているのが現状だ。遺族の気持ちを考えると「なぜ?」ですが、それが現状です。死刑制度を推進している国というのは実は中国パキスタンアメリカ日本くらいだそうです(その当時は)。国家が率先して殺人を行うことがあってはならない。それがヘレン・プリジーンの活動の根源にあるもので、しかも驚くべきは彼女を支える団体というのがMVFRという殺人被害者の遺族団体という事。彼らのインタビューもありますが、最初は怒りに打ち震えていたという彼らが最終的に出した結論は「我々に必要なのは復讐ではなく回復」という事。これを毅然と言ってのける姿には尊敬の念を抱かずにはいられません。

あと死刑制度にかかるコストというのが凄い。終身刑の囚人1人を40年間収監するのに60万ドルの費用が掛かるそうだ。対して死刑の場合1人の死刑に対して事件の調査費や人件費、それにかかる時間、そして裁判や陪審員にかかる費用など合わせて平均600万ドルが掛かるそうだ。ニューヨークならそれが2000万ドル!凄いことですね。

凶悪犯を釈放しろと言っているわけではなく、どんな人間でも更生するチャンスが与えられるべきではないのか?という事なのです。更生する人もいるのに、死刑以外の制度はないのでしょうか?
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回復」それがこの活動の主旨であり、決して揺るぐことのない信念です。会見の中でアニー・ディフランコは「私も以前は死刑制度に対して考えなんて持ってなかったわ。でも一度考えてみて欲しい。」と言っていました。私もこの問題には意見など持ってませんでしたが一度死刑制度について考えてみようと思う。
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by Blacksmoker | 2006-10-30 00:13 | サウンドトラック

サウンドトラック「BROKEBACK MOUNTAIN」

昨年度ゴールデングローヴ賞やアカデミー賞の主要部門を総なめにしたアン・リー監督の「ブロークバック・マウンテン」。やっと観ることが出来ました。
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ストーリー自体に大きな起伏があるわけでもなく、派手なアクションもなく、淡々と物語は進む。そこにアメリカ中西部ワイオミング州のブロークバック山脈の大自然の荘厳な風景が重なって行く。2人のカウボーイの愛が静かに深く描かれていたのが印象的で、最後のシーンの「Jack, I swear…」という言葉には不変な愛が絶妙に表現されていて、いろいろ考えさせられるものがありました。ゲイをテーマにしたという事でそのセックス・シーンが話題になっていたが、HBOのドラマ「Six Feet Under」を毎週観ている為か、全然過激でも何でもなかったです。

f0045842_2119152.jpgさて今回紹介したいのはそのサウンドトラック盤です。これが非常に素晴らしいので是非聴いてみて欲しい。「21グラム」や「モーターサイクル・ダイアリーズ」などのスコアを作曲したグスタヴォ・サンタオライヤによるうっとりするほど美しく幻想的なスコアを中心に、カントリー系のアーティストの素晴らしい楽曲を収録したアルバムになっています。

映画を観た人ならエンドロールで流れる「He Was A Friend Of Mine」が印象に残っているでしf0045842_21292918.jpgょう。「彼は俺の友人だった 彼は路上で死んだんだ」と歌われるこの悲しい歌は映画を観た全ての人に胸に刻まれる名曲になったに違いない。この曲を歌うのが今年で御歳73歳になるカントリー界の長老ウィリー・ネルソン(右写真)。今でも現役で活動する生きる伝説。最近もマリファナ所持で逮捕されたりと相変わらずのアウトローぶりに頭が下がります。この曲のクレジットはボブ・ディランが作曲となっているが、実はディラン自体もこの曲はブラインド・アーヴェイ・グレイというミュージシャンから教わったと発言している(ディランの「The Bootleg SeriesVol.1~Vol.3」に収録されてます)。実はボブ・ディラン(左写真)は1stアルバム用にf0045842_21332085.jpgこの曲をレコーディングしていたようだが収録を見合わせたと言われている。あの伝説のブルースマン、レッドベリーも1935年にこの曲を歌っていたという記録も残されている。アメリカ南部の黒人刑務所で歌われていた囚人による「Shorty George」という歌で、貧しさの為に野垂れ死にしたジョージという男を歌ったものだという。この曲の歌詞はそのままに時を越えてウィリー・ネルソンによって歌われる曲がこの「ブロークバック・マウンテン」の内容そのままで、非常に感慨深い曲ですね。

エミルー・ハリスによる「A Love That Will Never Glow Old」もヴァイオリンとストリングスの絡みが本当に美しい名曲です。

そしてこの映画のテーマに最も相応しいミュージシャン、ルーファス・ウェインライト(右写真)も2曲提供しています。1曲はテディ・トンプソンとのデュエットでロジャー・ミラーの名曲「King Of The Road」をf0045842_21404439.jpgカヴァーしています(そういやこの曲(オリジナルの方)は先日のフィオナ・アップルの公演でも流れていました)。もう1曲はピアノによる弾き語り「The Rain Maker」。この曲はエンド・ロールで「He Was A Friend Of Mine」の後に流れる曲で、ルーファス・ウェインライトがいかに素晴らしいヴォーカリストであり、天才アーティストであるかが分かります。彼は「I Am Sam」のサントラのビートルズのカヴァー「Across The Universe」でも名演でしたね。

この他にもメアリー・マクブライドジャッキー・グリーンといったルーツ系シンガー・ソングライターの曲から、生き方そのものがパンクなスティーヴ・アールの代表曲「The Devil’s Right Hand」やリンダ・ロンシュタットのヒット曲「It’s So Easy」など軽快なナンバーも収録されています。これらの曲がグスタヴォ・サンタオラヤの美しいスコアに挟まれて非常に良い流れを作っています。
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このサウンドトラックは映画だけでなくこの時代の音楽を疑似体験できる良いアルバムですので是非とも聴いてみて欲しいです。長い間聴き続けるアルバムになる事は間違いないでしょう。
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by Blacksmoker | 2006-10-24 00:13 | サウンドトラック

KAADA [Music For Moviebikers]

この男が再びやってくれました。

f0045842_2121585.jpgカーダの新作「Music For Moviebikers」は夢のように美しく、その精巧に創り上げられた虚構の世界の中に迷い込んでしまうと抜け出すことが出来ません。

カーダはノルウェー出身のジョン・エリック・カーダという男のソロ・プロジェクト。1975年生まれなので50 Centやベッカムや米倉涼子と同じくまたもや私と同じ歳です。ノルヴァンゲルという港町に生まれたこのカーダは映画音楽家としても有名で、2002年にはノルウェーの映画祭の音楽部門では最も栄誉ある賞を最年少で受賞している若き天才です。

2003年に出た1stアルバム「Thank You For Giving Me Your Valuable Time」では50年代の古き良きアメリカ音楽(ビッグバンド・ジャズやイージー・リスニング)へのオマージュともいうべき妖しくもノスタルジックな世界観を創り上げていましたが、今回の新作ではチェロやヴァイオリン、ビオラ、マンドリン、カリンバなど弦楽器を中心としたオーケストラによる緻密な室内音楽をやっています。ミュージカル・ソウやダルシマーの奇妙な音も面白い。

Music For Moviebikers」というタイトルから、てっきり猥雑なf0045842_21261358.jpg70年代ロックのような音を想像したのですが全く違いましたね。美しくも儚い幻想的な音が全編を支配していて夢見心地にさせてくれます。何曲かは女性コーラスが入った曲もありますが、必要最低限に抑えられ効果音的な扱いです。あくまで主役はオーケストラによるスケールの大きなサウンド。Mercury Revの「All Is Dream」のような世界観ですね。箱庭宇宙とも呼べそうなサウンドです。アメリカン・ゴシックな世界観も感じますね。

もちろん映画音楽という事を意識していると思われるが、「起→承→転→結」のあるような楽曲ではなく、ある場面場面の音を表している為か「起→承」までしかないような曲もあるし「」で終わる曲もある。アルバム全体で1曲を構成しているといった方が良いですね。「Thank You For Giving Me Your Valuable Time」もそうであったようについつい何度も何度も繰り返し聴いてしまうアルバムです。しかも何度聴いても全然飽きの来ない構成が見事です。

今までのカーダには、MR.BUNGLEの「California」のように変態がマジメのふりして音楽やってるようなどこか怪しくコワれた臭いがかなり感じられましたが、何か今回のアルバムにはあまりそんなコワれたところは感じられず本物の映画音楽家の作品のような佇まいです。ジャケットの白鳥非常に怪しいですけど…。

ちなみに今作も前作に続いてマイク・パットンの「Ipecac Recordings」からのリリーf0045842_21344419.jpgス。カーダにはパットンの狂気と同種のものを感じられるので、まだまだ私は騙されているだけかもしれませんね。マイク・パットンカーダが共同で創り上げたアルバム「Romances」(「KAADA/PATTON」名義でリリース)は、この「Music For Moviebikers」と同じ世界観でありながらもかなり狂気が滲み出てきている作品で、これもかなりハマります。ここで全曲視聴可能ですのでこちらも併せてチェックして下さい。
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by Blacksmoker | 2006-09-01 00:01 | サウンドトラック

サウンドトラック [Elizabethtown]

オーランド・ブルーム初のコスプレものではない主演映画 (とか言うとファンに殺されるかもしれないが)「エリザベスタウン」。監督は「シングルス」 「あの頃ペニー・レインと」 「バニラ・スカイ」 などのキャメロン・クロウ。この人自身が雑誌「ローリング・ストーン」の元編集者だし、奥さんはHEARTのナンシー・ウィルソン(細い方)なのでサントラはいつもこだわったものになっています。

f0045842_143049.jpgストーリーは心に傷を負った1人の若者が米南部の町で体験する出来事を描いた感動作らしいのですが(まだ観てないんです)、それに合わせてかカントリー色のある古き良きアメリカの音楽を継承するアーティストが集められています。



今年アメリカ最大のフェスティヴァル「Bonnaroo 2006」 で堂々のトリを飾るトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズを筆頭に、この映画の為に3曲も書き下ろした問題児ライアン・アダムス(ただし今作収録は既発曲)、THE FLAMING LIPSの種子を受け継ぎ昨年素晴らしい新作を発表したマイ・モーニング・ジャケットなどから、新人I-NINE(今年のBonnarooに参加)、いつものようにポップなウィートザ・ホリーズによるジュディ・シルのカヴァー、そして御大エルトン・ジョン、もちろん監督の奥方ナンシー・ウィルソンも参加と素晴らしい面子が揃ってます。 新作が楽しみなトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズはアパラチア山脈を越えてきたようなカントリー・ソング(新曲かと思いきや1987年の曲でした)、マイ・モーニング・ジャケットも最新作同様アメリカーナなカンジで良い。アルバム全編に渡ってレイドバックした空気が流れていてBGMとしても最適です。良い曲のたくさん入ったサントラの名盤として記憶されるアルバムですね。なんとこのサントラは第2弾も発売されるそうでそこにはライアン・アダムスの前述の書き下ろし曲や、パティ・グリフィンレイチェル・ヤマガタなどの曲が収録されるようです。こちらも楽しみです。
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by Blacksmoker | 2006-02-07 01:56 | サウンドトラック