カテゴリ:レゲエ馬鹿道場(VERSION)( 8 )

レゲエ馬鹿道場(VERSION) 第八回。


早くも夏が終わりましたね。今年の夏はクラブに行くのも、DJするのもダンスホール・レゲエが中心で、ルーツ・レゲエの方をすっかりお座なりにしておりました・・・。

しかしルーツ・レゲエを忘れてはいけません!ダンスホール・レゲエもルーツ・レゲエなくしては存在しないのです。

という訳で今年の夏の贖罪の意味を込めまして「レゲエ馬鹿道場」前回から1年半ぶりの再開です。

ではいってみましょう!久々のレゲエ馬鹿道場。第八回はこの人の登場。ちなみに今日は9月11日、いわゆる「911」。レゲエ界にとって「911」はこの人の命日でもあります。

PETER TOSH Equal Rights
 ピーター・トッシュイコール・ライツ

今回登場するのは大物ピーター・トッシュ。Blacksmokerの最もリスペクトするレジェンドを紹介しましょう。

f0045842_2243411.jpgボブ・マーリィの兄貴分にして、レゲエ界で最もパンク気質を体現する「歩くカミソリ」ピーター・トッシュ。1944年ジャマイカのキングストンにある貧困街トレンチタウンに生まれたピーター・トッシュは1962年に同じトレンチタウン出身のボブ・マーリィとバニー・ウェイラーらと共にコーラス・グループ「The Wailing Wailers」を結成。その後The Wailersに名前を変え、1970年にベースとドラムにカールトンアシュトンバレット兄弟らを迎えたバンドとなった彼らは1973年にアイランドからメジャー・デビュー盤「Catch A Fire」をリリース(下写真左がトッシュ)。
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ボブ・マーリィのカリスマ性で一躍人気を博しますが、2nd「Burnin’」リリース後の1974年にThe Wailersを脱退(同じくバニー・ウェイラーも脱退)。

脱退の原因はツアーに疲れ果てたという事だが、本当の理由はボブ・マーリィをメインにして「Bob Marley & The Wailers」として売り出したいアイランド・レコードとの確執が原因だと言われています。
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確かに1st「Catch A Fire」の中の400 YearsStop The Trainなどピーター・トッシュがリード・ボーカルを取る曲も収録されているくらいなので、この扱いには耐え難いものがあったのでしょう。

その後ソロになった彼は1976年に1stアルバム「Legalize It」をリリース。
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トッシュがマリファナ畑の真ん中で一服しているジャケットのインパクトが強烈ですが、サウンドの方もボブ・マーリィを除いたThe Wailersアイ・スリーズのコーラス隊までも参加)全員が参加していながらも、ボブ・マーリィのサウンドとは全く違うずっしりとヘヴィなレゲエでこれまた強烈なインパクトを与えました。
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そしてその翌年の1977年にリリースされた2ndアルバムが、この「Equal Rights」。このアルバムの特徴はズバリ、全曲捨て曲なし。こんな素晴らしい曲が詰まったアルバムはそうはない。トッシュの物悲しいメロディ・センスが爆発している素晴らしい曲ばかりだ。

そしてもう一つの特徴はあまりにもストレートに真理を突くそのf0045842_238481.jpg歌詞。前作「Legalize It」にあったWhy Must I CryKetchy ShubyTill Your Well Runs DryBrand New Second handといったラブ・ソングは一切なし。切なく哀愁のあるメロディに乗って歌われるのは、抑圧された者の怒り、自分を誇示するアイデンティティー・ソング、そしてJah賛歌のみ。かなりハードコア度の高い過激な歌詞になっている。「Legalize It」で新たな一歩を踏み出したピーター・トッシュが更に孤高の道を進み始めたと言ってもいいでしょう。

サウンドの方も、前作に参加していたThe Wailersの面々を一新し「Word Sound & Power」という名の自身のバンドを結成。ドラムとベースにはSly & Robbieを迎え、前作でのずっしりとヘヴィな土着的なサウンドよりもさらにドラムの音を強調し、さらにキーボードを全面に出す事でより曲に幅を持たせているのが特徴だ。コマーシャルになったという意味ではないがより聴き易くなっています。
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このアルバムの中で最も印象的なのがEqual Rights

誰もが平和を望むが 正義を望むものは誰もいない
誰もが天国に行きたがるが 死を望む者は誰もいない
俺には平和など必要ない
俺が欲しいのは平等の権利、そして正義だけだ
平和などいらない
平等と正義さえあれば犯罪もなくなる


こんなハングリーで真理を突いた歌詞はこれ以前にも以降にもお目に掛かった事がない。彼の視点でしか絶対に歌えf0045842_2494418.jpgない曲。世界的に名声を得てしまったボブ・マーリィには絶対歌えない歌でしょう。30年以上経った今でもこのメッセージの鋭さは全く衰えてないのが凄いです。レゲエ界屈指の名曲。そういえばAnthony B(右写真)が2001年にリリースしたアルバム「That’s Life」の中で、このEqual Rightsをカヴァーしていましたが、過激なラスタファリアンで有名なAnthony Bがこれを取り上げたのは至極納得が出来ますね。これも名カヴァーなので必聴です。

そしてオープニングを飾るGet Up, Stand Up。これはBob Marley & The Wailersの曲としてアルバム「Burnin’」のオープニングをボブ・マーリィのボーカルで飾っていましたが、ピーター・トッシュ版では「この曲を作ったのは俺だ!」という明確な意思表示をヒシヒシと感じます。「一体誰がボブ・マーリィにギターを教えたと思ってやがる!」という怒りが聴こえてきそうです。途中の歌詞が変えてあるのもトッシュの自己主張の表れでしょう。ちなみに同年1977年にリリースされたバニー・ウェイラー(下写真左)の2ndアルバム「Protest」にもこのGet Up, Stand Upが収録されています。
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We Want Truth!」という掛け声と、ホーンを加えてよりファンキーさを増したこのバニー・ウェイラー版も最高にカッコイイ(トッシュも参加)ので是非この3つを聴き比べてみるのも面白いでしょう。

そして映画「Rockers」のサントラに収録されていたStepping Razor。「俺は歩くカミソリ 俺は危険な男だ」と、まるでギャングスタ・ラップのように自分を誇示するトッシュのテーマ・ソングと言っても過言ではない曲だ。今では完全にトッシュの曲として認知されているが、この曲は実は若き日のThe Wailing Wailersに歌を教えた師匠ジョー・ヒッグス(左写真)の曲。今年になってジョー・ヒッグスf0045842_2543339.jpg名盤「Life Of Contradiction」が遂にCD化されましたが、私もこのアルバムを初めて聴いて分かったんですが、この曲というのはかなりジョー・ヒッグス特有のメロディを持った曲なんだという事が分かりましたね。自分を誇示する内容でありながらも「俺を正当に扱ってくれ」という歌詞が哀愁を感じますね。他にも「俺は俺以外の何者でもない」と歌うI Am That I Amでも「俺の能力を過小評価しないでくれ」という歌詞がとても切ない。

その他にも1977年の時点で人種差別政策を糾弾したApartheid、弾圧者に警告するDownpressor Manなどシリアスな内容の歌詞が、トッシュの低く伸びる声で歌われます。
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レゲエ界屈指の名曲ばかりが揃った超名盤。ルーツ・レゲエを聴くものなら避けては通れないアルバムです。ちなみにこのアルバムは日本盤として発売されているらしいのですが、レコード屋で売っているのは見たことがありません。もし廃盤になっているのなら、いち早く再発化されるべき作品ですよ。

この後トッシュローリング・ストーンズに認められ、彼らの主宰するレーベル「Rolling Stones Records」と契約し3枚目となる「Bush Doctor」をリリース、ボブ・マーリィと違った方向で世界的な人気を博していくわけですが、1987年9月11日の夜、自宅で何者かに射殺される。享年43歳。
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警察発表では「強盗」ということになっているが、ジャマイカではあまりにも過激な存在であるトッシュを警察が「暗殺」したという説が今でも有力だそうだ。1stアルバムに収録されているLegalize Itの中で「ラスタファリアンが神の贈り物として崇拝するマリファナを解禁せよ」という過激なメッセージを歌ったトッシュが過激なラスタの先導者として警察から敵視されていたのは容易に想像出来る。真相はどうにせよ、あまりにも惜しい死。もし彼が生きていたなら、今どんなレゲエを聴かせてくれていただろう。
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最後に一言。

数年前に日本で「タミフル」というインフルエンザに効く薬を飲んだ子供達が、言動がおかしくなってベランダから転落したりして死亡する事故が相次ぎましたが、この一連の事故を知った時に、Legalize Itの中でトッシュが「なぜインフルエンザにも効くのにマリファナを規制するんだ」と歌っていたのを思い出しました。症状からみても「タミフル」にマリファナの成分「THC」が入っていた事は間違いないんじゃないでしょうか?あまり言うと私も消されてしまいますのでこの辺で・・・。
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JAH RASTAFARI!!!

 
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by Blacksmoker | 2008-09-11 01:39 | レゲエ馬鹿道場(VERSION)

レゲエ馬鹿道場(VERSION) 第七回。

お待たせしました!レゲエ馬鹿道場前回より約7ヶ月ぶりの登場です!

そろそろ暖かくなって来ましたので、いよいよレゲエが盛り上がってくる時期ですね。冬の終焉と共にレゲエ馬鹿道場再開です。2007年もルーツ・レゲエを盛り上げて行きたいと思います。

さて今回紹介するのもグレイトなルーツ・レゲエの名盤です。レゲエ・ムーヴィーのクラシック「ROCKERS」の中でも使用されていましたね。

JUNIOR MURVIN Police & Thieves」(1977)
ジュニア・マーヴィン ポリス&シーヴズ

f0045842_2126893.jpgまず何と言ってもPolice & Thieves!この曲を抜きに語れません。それほどのレゲエを代表する1曲です。まずはAmazonででも視聴して頂きたいのですが、この曲を歌っている美しいファルセットの歌い手ジュニア・マーヴィンがどんな人か想像してみて欲しい。私が最初想像していたのはジャマイカ人の巨体女性ソウル・シンガー。まあ少なからず聴いた人は私と同じイメージを抱くはずです。

しかしこの歌い手は思いっきりこんな人でした。
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もう驚愕ですよ!おもいっきりでした。

これは初めて知った当時は相当衝撃でしたね。他にもジュニア・マーヴィンを女性だと思っていた人はかなり多いと思います。この曲を100人に聴かすと100人ともこの歌い手が女性だと信じて疑わないでしょう。それほどまでに驚愕のファルセットを聴かせてくれるのです。まさしくジャマイカ最高峰のシンガーでしょう。そしてこの曲だけでなく、アルバム全編に渡ってジュニア・マーヴィンのファルセットが堪能出来ます。ちなみに、このPolice & Thievesはリリースされた同年にTHE CLASHがデビュー・アルバムでカヴァーしています。パンクス・ファンにもお馴染みの1曲ですね。

そしてもう1つの注目がこのレコードのプロダクション。プロデュースにはリー・ペリー(右写真)。しかも当時リー・ペリーが所有していた伝説のスタジオ「Black Ark」での録音です。ちなみにこの時期(76年~77年)にリー・ペリーが「Black Ark」で録音したレコードはMAX ROMEOWar Inna Babylon」、THE HEPTONESParty Time」、JAH LIONColombia Colly」、THE f0045842_21405442.jpgCONGOSHeart Of The Congos」など名盤ばかりです。そして「Black Ark」専属のバンドアップセッターズによるタイトな演奏もさることながら、特徴はやはりこの時代のリー・ペリーの代名詞ともいうべきディレイを目一杯利かせたヴォーカル・トラックでしょう。一部じゃなくて終始ディレイ掛けっぱなし。なので非常にユラユラした独特な浮遊感のある音なのです。この時代のジャマイカのストリートの熱気や猥雑さといった空気感を凝縮したサウンドはこの「Black Ark」でしか出せないサウンドでしょう。加えて(よく聴くと分かるんですが)薄っすらと入っているリー・ペリー自身の声によるコーラスのユルさ加減も面白いですよ。

このアルバム「Police & Thieves」カーティス・メイフィールドらのソウル・シンガーに憧れていたジュニア・マーヴィンの若さ漲るヴォーカルと、技術的にも精神的にもレコーディングの粋を極めていたリー・ペリーの奇跡の融合が生み出した名盤です。
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ちなみにこのアルバムは1993年のCD再発化にあたり5曲のボーナストラックを収録。前述のPolice & Thievesのダブ仕様Bad Weed(Discomix)や、オリジナル盤に収録されているRoots Trainディリンジャーの「Smokin’ Ganja~」といった渋いトースティングが入ったextended mix、そして憧れのカーティス・メイフィールド&ジ・インプレッションズの「People Get Ready」の替え歌Rasta Get Readyも収録(個人的にはロッド・スチュワートのカヴァー・ヴァージョンが原体験ですが・・・)。その他にもオリジナル12インチのみに収録のナンバーが入っているので、チェックするなら絶対再発盤がオススメですよ!

JAH RASTAFARI!!!
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by Blacksmoker | 2007-04-05 00:14 | レゲエ馬鹿道場(VERSION)

レゲエ馬鹿道場(VERSION) 第六回。

さてダンスホール・レゲエも良いですが、ルーツ・レゲエも忘れちゃいけない。そんなわけでレゲエ馬鹿道場再開です。今回はジャマイカを離れてイギリスのルーツ・レゲエを紹介しましょう。今回は2枚紹介します。

ASWADNew Chapter」(1981)
  アスワドニュー・チャプター

まず始めに言っておくと90年代以降f0045842_16564246.jpgアスワドは聴かなくても良いです。最近のザ・ウェイリング・ソウルズインナー・サークルと同様、音楽性はポップス並みの軽薄さなのでスルー可です。いやむしろ無視して下さい。だがこのアスワドは初期の頃は素晴らしいルーツ・レゲエをやっているのでレゲエ・ファンとしてはスルー厳禁です。そしてこの「New Chapter」はその初期のアスワドの代表作にして名盤です。

1975年にロンドンのノッティング・ヒルにて結成された4人組のアスワドスティール・パルスマトゥンビなどと共にイギリスを代表するレゲエ・バンドだ(ちなみにあのサイケデリック・ロックバンドHAWKWINDもノッティングヒル出身ですね)。彼らは第二次世界大戦にイギリスに渡ってきたアフリカ系カリブ移民の2世で、英国政府から劣悪な労働環境、人種差別など不当な扱いを受けた彼らが、怒りや悲しみを表現する為にジャマイカのレゲエに傾倒したと言われる。1958年のノッティングヒル暴動(イギリスの白人がカリブ系移民移住区であるノッティングヒルを襲撃した事件。この後もこの地区では度々暴動が起きており1976年の暴動を題材にしたのがTHE CLASHの「White Riot」です)も彼らには大きな影響を与えている。
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彼らを発見して大きなブレイクに導いたのがかのボブ・マーリィ。ジャマイカの政治闘争に巻き込まれ銃撃を受けたボブ・マーリィが一時ジャマイカを離れイギリスで隠遁生活を送っていた時にアスワドに出会って衝撃を受けたそうだ。彼らは1976年の1st「Aswad」、1979年の2nd「Hulet」でジャズやフージョンの香りのするレゲエを披露し高評価を得て揺るぎない地位を確立していく。そして彼らがレーベルを移籍して心機一転、飛躍的に成長したハードなルーツ・レゲエを提示したのがこの名盤「New Chapter」なのです。

アスワドのレゲエはジャマイカン・レゲエの乾いたドラムのあの蒸し暑い空気感や陽気なメロディーと違って、英国の空気感を閉じ込めたように非常にウェットで、憂いのあるメロディーを持ったレゲエを聴かせてくれる。
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まず1曲目の、英国人でもある自分達の本当のルーツを高らかに宣言する「African Children」からかなり熱いです。2曲目の「Natural Progression」などもつんのめるドラムのミリタント・ビートに効果的なサックス隊が印象的でこれも後世に残る名曲だ。歌詞が全編に渡ってとてつもなくシリアスで、彼らがかなりの抑圧された環境にいるのが分かります。ヴォーカルのブリンズレイ・フォードの歌声がボブ・マーリィにかなり似ています。

イギリス特有のトビ系の効果音に、ダブ加工されたギター、ハード&タフな歌、安定したコーラスなどf0045842_17204590.jpg演奏も完璧だ(ベースはかなり控えめ)。彼らのこの先鋭的サウンドが後世のイギリスのミュージシャンに与えた影響は相当なものだと思う。今のイギリスのロック、ダブ、ドラムン・ベースなどのダンス・ミュージックの源流には必ずアスワドが位置していると言っても過言ではない。今聴いても十分に斬新なサウンドですね。ブリティッシュ・レゲエを超えてイギリス音楽界の歴史的傑作「New Chapter」を是非聴いて下さい!数年前にリリースされた再発盤には「New Chapter」に先駆けて発売された12inch盤の音源が4曲収録されていてお得です。バビロンを容赦なく攻撃する「Finger Gun Style(Extended Version)」はパンクにも通じるストロングなレゲエで必聴。その他にも「Ways Of The Lord(Extended Version) 」とその2曲のダブ・ヴァージョンが収録されているのでこの再発盤をゲットして下さい。

そしてもう1枚紹介したいのがこれ。

ASWADA New Chapter Of Dub」(1982)
アスワドア・ニュー・チャプター・オブ・ダブ

New Chapter」の翌年にリリースされたこの「New Chapter」のダブ盤です。ハイレ・サラシエ皇帝が4匹のライオンをf0045842_17583992.jpg率いて天から降りてきている宗教画のような荘厳さを持ったジャケットも凄いが、内容も凄い。のちに天才エンジニアとして名を馳せることになる若きマイケル・キャンベルが手掛けた強力なダブ・アルバムです。マッシヴ・アタックの「No Protection」なんかより数倍強力で深遠なダブ・サウンドで容赦なく異次元にトバされます。これが本物のダブです。「New Chapter」にヤラれたらこちらもチェックです。

JAH RASTAFARI!!!
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by Blacksmoker | 2006-09-08 00:49 | レゲエ馬鹿道場(VERSION)

レゲエ馬鹿道場(VERSION) 第五回。

さて2ヶ月ぶりのレゲエ馬鹿道場です!第5回目を迎えました。

さて、本日紹介するのはレゲエ界の大物シンガーの1人。今でも現役で活動する大スターで今年も来日したばかり。行ってみようか、レゲエ馬鹿道場第5回目はコイツだ!!

GREGORY ISAACSNight Nurse」(1982)
グレゴリー・アイザックスナイト・ナース

別名「COOL RULER」。1f0045842_2323419.jpg951年キングストン生まれ。17歳の時コーラス・トリオとして初レコーディング。20歳過ぎからソロに転向し70年~80年代には大スターの地位を築く。プロデュース業やレーベル経営までも行う才人だ。ちなみにここまで有名なのに「スタジオ・ワン」録音を経験してないアーティストはグレゴリーくらいじゃないだろうか。そしてファッション・センスも一流でファッション・リーダーとしても多くのファンを生んだ。特に女性に大人気でモテまくりだったそうだ。たしかに今でもその佇まいは十分にカッコイイですね。


これまでに彼の出した作品は名盤と呼ばれるものばかりで、どれを選ぶかかなり迷いましたが、この82年の「Night Nurse」を選びました。ジf0045842_2329967.jpgャケは数ある彼の作品の中で一番ダサい気がしますが、中身は極上です。「COOL RULER」の異名を取るだけあって、彼の声には人々の心を落ち着かせる作用がある。暴動寸前のパンクスにグレゴリーの歌を聴かせると、一気に平常心を取り戻し、彼の声の虜になってしまうでしょう。このアルバムにも収録されているヒット曲「Cool Down The Pace」なんて、彼の声で「ペースをおとせよ」なんて言われたら何にもやる気なくなるでしょフツー(ちなみに彼の全盛期の姿は映画「ROCKERS」で観れます。しかも貴重な演奏シーン!カッコよすぎるぜ!)。

さて、その「COOL RULER」のバックを固めるのはTHE ROOTS RADICS。当時のジャマイカが誇る鉄壁の演奏を聴かせるレゲエ・バンドだ。ただこのアルバムでは(おそらく製作上、意図的にだろうが)グレゴリーのバックに徹し切っているカンジ。あくまで主役はグレゴリーの歌声。是非この歌声を堪能してみてくれ。
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白い帽子を被ったグレゴリーが「ホラ、聴けよ」と挑発しているかのような視線を投げかけるジャケが目印。その挑発に乗るともう「COOL RULER」の虜ですよ。

JAH RASTAFARI!!!
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by Blacksmoker | 2006-07-14 00:02 | レゲエ馬鹿道場(VERSION)

レゲエ馬鹿道場(VERSION) 第四回。

暑いです!夏がやってきたようです。そうです、レゲエの季節がやってきました!今年の「横浜レゲエ祭」は八景島から横浜スタジアムに場所を移し3万人動員させるようです。こちらも負けてられないので「レゲエ馬鹿道場」盛り上げていきます。

さて、今回は趣向を変えまして「あんな人もレゲエなのか?」 特集です。

f0045842_10384323.jpgまず一人目はポール・サイモン。そうです、サイモン&ガーファンクルのあの人です。もうすぐ新譜もリリース間近(プロデュースはブライアン・イーノ!)のポール・サイモンですが、この人がレゲエなんて意外と思うでしょうが、この人は1972年にジャマイカへ行って録音を敢行しています。70年代というとジャマイカのレゲエがアメリカやイギリスで新しい音楽の潮流を生み出し、「パンクvsレゲエ」共闘時代が到来しました。ジョン・レノンもこの頃「70年代はレゲエの時代になるだろう」 と発言している。ただボブ・マーリィ&ザ・ウェイラーズの1st「Catch A Fire」が1973年リリースだからボブ・マーリィ以前のレゲエ界のスターといえばジミー・クリフです。

そのジミー・クリフ(下写真)のプロテスト・ソング「Vietnam」 (この曲はボブ・ディランが史上最高のプロテスト・ソングと称したほど)に感化されたポール・サイモンが、この曲をレコーディングf0045842_1051109.jpgしたのと全く同じミュージシャン、そして同一スタジオで制作された曲が、1972年にリリースされた彼の1stソロ・アルバム「ポール・サイモン」(上写真)のオープニングを飾る「Mother And Child Reunion」 (日本語タイトル:母と子の絆)という曲です。この曲はジミー・クリフの「The Harder They Come」「You Can Get It If You Really Want」 といった代表曲と同じルーディな空気感を詰め込んだ名曲でアメリカでも大ヒット。スタジオ・ワンのコクソン・ドッドがこの曲をホレス・アンディに歌わせたレコードが本国ジャマイカでも大ヒットし、白人がジャマイカ録音したレコードとしては初めてのヒット曲となったそうです。なかなかメッセージがあって良い曲ですよ。女性コーラスやオルガンの音がまんまジミー・クリフですけど。

さて長くなりましたが、二人目(二組目)はレッド・ツェッペリン!この人達も実はレゲエをやっております。それは1973年リリース「Houses Of The Holy」に収録されf0045842_1045549.jpgている「D'Yer Mak'er」 です。これもレゲエですよね!しかもツェッペリン流解釈のぎこちないレゲエ。基本的にロバート・プラントは頭悪いので歌詞の内容はただの失恋ソングですが、なかなか乾いたレゲエの空気感を出しています(相変わらずジョン・ボーナムのドラムはパワフル過ぎて違和感ありますが…)。「Ⅳ」 で大ヒットかました後の試行錯誤の時代だったツェッペリンなので新しい音楽としてレゲエは彼らにとって新鮮だったろう。彼らが喜んで取り入れたのは容易に想像出来ますね。彼らにとってはとても珍しい曲です。ちなみに「D'Yer Mak'er」 って言葉は、 「ジャマイカ」と読みますので。未聴の人は是非チェックして下さい。

この後、ストーンズ「Goats Head Soup」 (山羊頭のスープ)を録音しにジャマイカに渡り、クラプトン「I Shot The Sheriff」 をカヴァーし大ヒットさせる。そしてボブ・マーリィの世界的ブレイク。レゲエが形骸化したロックを侵食していくわけです。

こういう方向からレゲエに入っていくのも面白いですね。

Jah Rastafari !!!
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by Blacksmoker | 2006-05-10 11:14 | レゲエ馬鹿道場(VERSION)

レゲエ馬鹿道場(VERSION) 第三回。

ご無沙汰してます!レゲエ馬鹿道場第三回目です。

さて今回はレゲエ界のミステリーを紹介しましょう。さあいってみよう第3回目はコイツだ!

HUGH MUNDELL「Africa Must Be Free by 1983」(1978)
ヒュー・マンデルアフリカ・マスト・ビー・フリー・バイ・1983


「アフリカは1983年に解放されるだろう」というf0045842_23225245.jpgこの予言めいたタイトルのアルバムで1978年に衝撃的なデビューを飾ったヒュー・マンデルという男。男というか少年なんです。なにせこの時わずか16歳!!! そしてこのまだ声変わりもしていない少年がラスタの主張を全面的に押し出したアルバムは、ルーツ・レゲエのハードコア・サイドを表した傑作となりました。


このアルバムをプロデュースしたのは、リー・ペリーと並ぶDUBのパイオニア、オーガスタス・パブロ(下写真)。彼の全面バックアップにより彼の才能は開花したといって良いだろう。例えるならドクター・ドレをバックにデビューしてきたエミネムみたいなもんです。ヒュー・マンデルを演奏面で支えるのはそのオーガスタス・パブロ率いるバンド「ROCKERS ALL STARS」。その構成員はロビー・シェイクスピアリロイ・ホースマウス・ウォレスジェイコブ・ミラーアール・スミス、そしてオーガスタス・パブロ。名盤f0045842_23375711.jpgと呼ばれるレゲエのアルバムのクレジットには、必ずこの中の誰かの名前が入っていると言っても過言ではない。このROCKERS ALL STARSによる尖鋭的な演奏にヒュー・マンデルの若い声で歌われるマイナー調の哀しげなメロディーが頭から離れません。ここにはレゲエのハッピーで陽気なメロディーは存在しません。(まあオーガスタス・パブロのプロデュースしたアルバムはほとんどこんな感じですけど。)

さてこのアルバムがなぜミステリーなのかという話が残っています。

1978年にヒュー・マンデルは冒頭の「アフリカは1983年に解放されるだろう」という予言した後、数枚アルバムを発表します。そして予言の1983年。彼は何者かによってf0045842_23562931.jpg暗殺されてしまうのです。原因・理由などは一切不明。未だにその真相は闇の中となっています。享年21歳の若すぎる死でした。「1983年に解放される」とはどういう事だったのだろうか?彼のこの言葉は何を意味していたのだろうか?その真意は今も謎のままです…。しかし、この「Africa Must Be Free by 1983」は彼の短かった人生の最高傑作であり、同時にレゲエ界屈指の名盤の1つでもあります。このアルバムを聴いて彼の才能を偲びましょう。でも夜に1人で聴くと、とても悲しくなりますのでご注意を。

ルーツレゲエの良質レーベルRasから発売されているCDには収録曲全曲のダブが付いた豪華盤ですので、こちらをチェックしてみて下さい。

JAH RASTAFARI!!!
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by Blacksmoker | 2006-04-18 00:09 | レゲエ馬鹿道場(VERSION)

レゲエ馬鹿道場(VERSION) 第二回。

さてさて第二回目です。

THE WAILING SOULS「The Wailing Souls」 (1976)
 ザ・ウェイリング・ソウルズ/ザ・ウェイリング・ソウルズ

f0045842_23391417.jpgさてこのザ・ウェイリング・ソウルズは今も現役で活動するコーラスグループだが、最近の彼らはINNER CIRCLEASWAD同様「おわっている」ので無視してくれて構わない。しかし1970年代後半~80年前半の彼らは素晴らしい作品をいくつも残している。その中でもお薦めしたいのがこの1976年の彼らの1stアルバムです。


録音はジャマイカのあの伝説の「STUDIO ONE」。もちろん製作は「STUDIO ONE」の創設者であり「レゲエの父」コクソン・ドッド(↓写真)。 2005年5月にレゲエ界のみならず全世界に衝撃を与えたコクソン・ドッド死去のニュースは記憶に新しいところ(日本でも新聞に載ってたくらい)。まあこんな事を言うと怒られるかもしれないが、この「STUDIO ONE」から出てる作品ってのは全部素晴らしいのです!例えばレゲエのレコードを手に取ってみて、そこに「STUDIO ONE」と記載されていればそのレコードのほとんどがマチガイナイということです。そのくらいコクソン・ドッドと「STUDIO ONE」はレゲエ馬鹿にとっては偉大なのです。
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そこから出ているこのTHE WAILING SOULSの1stも、もちろん素晴らしい出来で、若々しいコーラスグループとしての魅力が詰まっています。演奏も(クレジットが全くないので詳しくは分からないが)「STUDIO ONE」専属のミュージシャンによるしっかり安定した演奏だ(おそらくTHE SKATALITESでしょう)。

ここで注目したいのは1曲目「Back Out With It」 なのだが、よ~く聴くとなんと1人コーラスを間違えているヤツがいる!! 普通は録り直すモンだが、そのまま収録されちゃってるんですよ。おそらく1stアルバムということで、まだ無名に等しいTHE WAILING SOULSなんかの為に録り直す時間なんて無かったんでしょう。そういやジミー・クリフが主演した映画「The Harder They Come」 の中でもまだ無名のジミー・クリフがスタジオ・レコーディングするシーンがあったが、そんなカンジだったな。まあそれはご愛嬌として、このアルバムはコーラスグループのカッコ良いトコが凝縮されているので是非聴いてみて欲しい。

でもこの盤はなかなか手に入りにくいかもしれないので、1979年のアルバム「Wild Suspense」も良いのでお薦めしておきます。間違っても2005年に出たNEWアルバム(しかもCCCD仕様)は買わないように!

さて最近ビール「ドラフト・ワン」のCMを見たことありませんか?「I'm Gonna Be Your Number One~♪」 ってバックで流れてるやつです。多分聴いた事はあるはず(最近ではビギンのVo.と木梨憲武が出てるヤツ)。そのCMの曲ですがタイトルは「The Tide Is High」 といって、レゲエ界ではこれまでにいろんな人々に死ぬほどカヴァーされ続けている大名曲。ブロンディもカヴァーしてました。そのCM用に曲を歌ってたのが今のTHE WAILING SOULSでした。

f0045842_23462614.jpgただこの曲もTHE WAILING SOULSのオリジナルではなくカヴァーで、原曲はTHE PARAGONSというジャマイカのコーラスグループの曲です。オリジナルは「On THe Beach」 (写真)に収録。今回のCMの曲は「ドラフト・ワン」を強調するため、原曲の歌詞を変えてまで「ワン」を連呼するというお粗末なモノですのでしっかりオリジナル盤を押さえてください。

JAH RASTAFARI !!!
 
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by Blacksmoker | 2006-02-22 00:18 | レゲエ馬鹿道場(VERSION)

レゲエ馬鹿道場(VERSION) 第一回。

<以前Music BBSで不定期連載していた「レゲエ馬鹿道場」。レゲエの火を消してはいけませんので、ここにUPしておきます。>

紆余曲折しながら第九回までやってきた「レゲエ馬鹿道場」ですが、どうやらもう1人の兄弟がいっこうに更新しなくなってしまいました。本人曰く「モチベーションが上がらない」そうです。なんともPSS出身者らしいトホホな理由ではあります。ただ俺としてはこのままレゲエの炎を消すわけにはいきませんので、兄弟が復帰する日までは「レゲエ馬鹿道場」の看板は下ろさず「レゲエ馬鹿道場VERSION」 として続けていきます。


さて最近になって、やたらとアイランド・レーベルの70年代ルーツレゲエのヤバい名盤が日本盤で再発されているんですよ。 BURNING SPEAR「Dry & Heavy」 ('76)やDILLINGER「CB 2000」 ('76)や、RICO「Man From Wareika」 ('76)、IJAHMAN「Are We A Warrior」 ('78)などなど思わず輸入盤持ってるのに歌詞が付いてる日本盤を買い直したくらいです。その中でも一際輝きを放つ歴史的名盤を紹介しましょう!行ってみよう「レゲエ馬鹿道場VERSION」第一回目はコレだ!

JUSTINE HINES & THE DOMINOES「Jezebel」 (1976)
ジャスティン・ハインズ&ザ・ドミノズ/ジェザベル

f0045842_11541018.jpg2004年にはJAMAICA ALL STARSの一員としてフジロックにも出演したジャスティン・ハインズ が1976年にジャック・ルビー製作の元、アイランド・レーベルに残した名盤。

このアルバムはボーカル・演奏・コーラスどれを取っても完璧。さらに黒人女性の絵が描かれたジャケットも秀逸な出来映えなのでアナログ盤でも是非押さえておきたい一枚だ。特筆すべきは演奏面。当時「黒い使徒集団」 と呼ばれたミュージシャンがバックを支えている。そのメンバーとは、映画「ROCKERS」で主人公を演じたリロイ・ホースマウス(写真左) 。 彼が全編でドラムを叩いている。さらにベースにはSLY & ROBBIEの名セッションマン、ロビー・シェイクスピア 。非常に小気味の良いリズムを刻みながらも随所に細かい技をみせるホースマウスf0045842_12552439.jpgのドラムがこのアルバムの要だと言っていいだろう。ロビーのベースも軽快でメロディアス。さらにホーンセクションがとても非常に効果的なフレーズを鳴らす。そのホーンセクションに名前を連ねるのはダーティハリー(写真右) や ボビー・エリスなどの凄腕たち。そのほとんどがBUNNY WAILER「Blackheart Man」 に参加しているメンバーと言えばその凄さが分かるかな?まあなるべくしてなった名盤ってヤツですね。HIP HOP界でいうところのNASの「Illmatic」 のような完璧さです。ジャスティン・ハインズの声もレゲエシンガー特有の濃いものではなく、妙にすっきりしていて聴きやすいのもポイント。そしてコーラスグループTHE DOMINOES も出しゃばり過ぎず、下がり過ぎずの素晴らしいハーモニーを聴かせてくれる。(ちなみにエリック・クラプトンが在籍したのは「DEREK & THE DOMINOS」で、THE DOMINOESとは関係ナイです。)

1曲目の「Natty Take Over」 は映画「ROCKERS」 のサントラの最後にも収録されている超有名曲だ。2曲目「Dip And Fall Back」 なんてイントロ聴くたびに鳥肌が立つカッコよさ。全曲ラスタなメッセージ満載です。 「Precious Morning」 という曲の中で「お前には肉体があるが 俺にはSOULがある お前には金やダイヤがあるが 俺には導いてくれるWISDOMがある」 というラインには涙ナシには聴けません。今回の再発盤は「Jezebel」 の翌年1977年に出た「Just In Time」 も丸々一枚カップリングされているので日本盤の方をお薦めします。とりあえず聴いてみなけりゃ始まらんよ。そんなわけで必ずチェックしてくれ!

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そして全然知らなかったんですが、ジャスティン・ハインズは昨年2005年3月17日に癌の為亡くなっていたようです。享年63歳。若すぎです。まだまだ活動して欲しかった…。レゲエの偉大なる功績者に対してリスペクト。そして合掌です。

JAH RASTAFARI!!!
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by Blacksmoker | 2006-02-08 13:03 | レゲエ馬鹿道場(VERSION)