カテゴリ:「THE BLUES」 DVDシリーズ( 4 )

「The Blues」DVDシリーズ 第3回。

「Red, White & Blues」(監督:マイク・フィギス) 

f0045842_23122915.jpgリービング・ラスベガス」の監督マイク・フィギスが手掛けたこの作品。60年代以前に白人が認めようとしなかった黒人のブルースを、いち早く認めたイギリスが舞台になります。そして、この海を渡ってきた新しい音楽を熱狂的に受け入れたイギリスの若者達が主人公です。彼らは「ブルース・ロック」という独自の英国製ブルースを生み出し、それはアメリカに逆輸入され白人のブルースが黒人に受け入れられるという現象を生み出します。アメリカでブルースが再評価されるキッカケになるのです。

さて、前述の主人公となるイギリスの若者ですが、これが超豪華。ピーター・グリーンヴァン・モリソンスティーヴ・ウィンウッドミック・フリートウッドエリック・クラプトンジョン・メイオールジェフ・ベックトム・ジョーンズエリック・バードンなどなど。彼らは当時皆10代そこそこでブルースの洗礼を受けるわけです。そして彼らがブルースとの出会いやその魅力について喋る喋る。とにかくこれでもかというくらい固有名詞が出て来ます。もちろんビートルズ、ストーンズも出てくるし、クリームも出て来ます。中でも一番熱く語っているのがエリック・クラプトン。目を輝かせながら喋りまくってます(下写真はCREAMで、真ん中がクラプトン)。個人的な事を言わせてもらうと、クラプトンは歌を歌うより黙ってギターを弾いているのが一番カッコイイと思います。
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劇中様々なミュージシャンが「ジョン・メイオールがブルース・ロックの創始者だ。」と言っているのが印象的でした。しかしこの映画、映画というよりもテレビのドキュメンタリーといった感じで、どうも盛り上がりに欠ける出来でした・・・。


f0045842_23244026.jpgただ貴重な映像もあり、特に英国にツアーで来たアメリカ南部出身の、シスター・ロゼッタ・サープ(右写真)という女性ブルースマンの映像は凄かった。ゴスペル・コーラス隊をバックにフェンダーのギターでR&Bをブチかます映像はマジぶっとびます。教会音楽なのにドラムも入ってます。この映像だけでも観る価値はアリ。


[評価] ★★★★★ ☆☆☆☆☆
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by Blacksmoker | 2006-05-30 23:43 | 「THE BLUES」 DVDシリーズ

「The Blues」DVDシリーズ 第2回。

「Feel Like Going Home」(監督:マーティン・スコセッシ)

f0045842_1142597.jpgこのプロジェクトの製作総指揮者マーティン・スコセッシ本人の監督作品が登場。1969年生まれの若手黒人ブルースマン、コーリー・ハリスがミシシッピの最深部のデルタにやって来てタジ・マハールやケブ・モらセッションをし、そして伝説のファイフ(笛)奏者オサー・ターナー(下写真)に出会うことで彼らのルーツである西アフリカのマリに行き、アフリカのドラム音楽とブルースの深い関わりを探求するドキュメンタリー。途中に登場するサン・ハウスの独特の奏法の演奏シーンが出てきますが打楽器のようにギターを弾く姿に衝撃を受けます。なるほど、アニー・ディフランコのルーツはこれか!
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この映画の中では、ブルースの起源を辿っていくのだが、タジ・マハールの言う「奴隷時代の過酷な綿花畑の労働がブルースという強烈な音楽を生み出した」という評が興味深い。ゴスペルもそうだが、黒人にとって音楽は過酷な状況を乗り越える為の方法なのだ。サリフ・ケイタも「俺は人生の苦痛を歌ってきた」と言っているし、アリ・ファルカ・トゥーレにおいては「車や酒の為に歌うジョン・リー・フッカーが最初は理解できなかった」とも発言している。まあ全てが全てそうではないとは思うが、ブルースは悲しい歌なのだ。だからブルースを聴く時は歌詞を理解しなければならない。だからこの日本語字幕付というのはありがたい。さて、映画の出来ですが、テーマは良いのだが短い時間に壮大すぎりテーマを詰め込みすぎた為か少々焦点が定まっていないカンジがしたのが残念。もう少し掘り下げてみて欲しかった(そうすると5時間くらいになりそうだが…)。

[評価]
★★★★★ ★☆☆☆☆

追記:
去る2006年3月8日に前述のアリ・ファルカ・トゥーレ(下写真)が亡くなりました。マリの伝統音楽のルーツがアメリカのブルースと源流を同じにしているという事を教えてくれたミュージシャン。年齢不詳の為、推定年齢は65歳と言われている。R.I.P.
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by Blacksmoker | 2006-03-24 01:26 | 「THE BLUES」 DVDシリーズ

「The Blues」DVDシリーズ 第1回。

「Soul Of A Man」(監督:ヴィム・ヴェンダース)

最初に登場するのは「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」 のドイツ人監督ヴィム・ヴェンダース
f0045842_11403063.jpgBlind Willie JohnsonSkip James、そしてJ.B.Lenoir(J.B.ルノアー)という3人の偉大なブルースマンの生涯を辿りながら、彼らが後の音楽に与えた影響を伝える。そして彼らの曲を、現役のミュージシャンが演奏しているライブ映像を随所に挿入しながら、3人のブルースマンの血が確実に現代に受け継がれていることを伝える構成だ。映画というよりはTVドキュメンタリーのようなタッチ。曲の歌詞が常に出てくるので非常に内容が分かりやすい。「ブルースは歌詞が命だ」というのが私の持論ですので、じっくり浸れます。3人とも素晴らしいブルースマンだが、特にSkip James(写真下)の存在感は圧倒的。1900年に一度彼は行方不明になり、その後30年間彼の姿は完全に消えてしまいます。しかし30年後、彼は発見されまさしく30年振りに人前で演奏をするのだが、その時の映像が鳥肌モノです。
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前述した彼らの曲を演奏する現役のミュージシャンも非常に豪華。BECKジョンスペボニー・レイットロス・ロボスニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズカサンドラ・ウィルソンルー・リードマーク・リボーなどなど。特にニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズがブッチギリのかっこ良さです。20年代に使われた手回しカメラを使用したモノクロームな映像も雰囲気が出ていてGood。ヴェンダースのこだわりを感じました。J.B.ルノアーのかなり貴重な映像などもポイント高し。

[評価] ★★★★★ ★★★☆☆

  
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by Blacksmoker | 2006-02-15 11:51 | 「THE BLUES」 DVDシリーズ

The Blues

マーティン・スコセッシ 監修の「ブルース・ムーヴィー・プロジェクト」

f0045842_1312452.jpg2005年にその日本語版DVDの8枚組BOXセットが発売されました。ブルース生誕100周年と制定された2003年に公開され話題となったあのプロジェクトが日本語字幕付きで登場です。長い間待たされましたが、7本の映画のDVD+もう1枚、映画の中で使用された各ミュージシャンの演奏シーンを収録したDVDを合わせた8枚組の豪華なこのBOXは待たされた甲斐はあるボリュームです。27,000円は少し高いですが・・・。

「ブルースとは何なのか?」「ブルースの魅力とは?」 というテーマを、ブルースに魅入られた7人の監督がそれぞれの視点で撮った音楽探求の映画です。

ちなみにブルース生誕100年って、何を基準に100年なのかというと、マーティン・スコセッシ監督によれば、「ブルースの父」と呼ばれ、あらゆる黒人音楽を譜面・楽譜にして後世に残したWilliam Christopher Handy(ウイリアム・クリストファー・ハンディ) が田舎の駅でボトルネックの不思議な音に出くわしたと記録されたのが「1903年」、という事らしいです。まあ白人の考えた都合のいい「ブルース発見の年」なんで、その存在意義自体よく分かりませんが、ブルース初心者の私にはブルースを理解するには格好のガイドラインにもなるので非常にありがたい。全部観れば少しでも理解が深まるだろうか?

次回より「ブルース・ムーヴィー・プロジェクト」全作品レヴュー!連載形式でお送りします。
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by Blacksmoker | 2006-02-14 13:18 | 「THE BLUES」 DVDシリーズ