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DAVID BYRNE & BRIAN ENO [Everything That Happens Will Happen Today]


これは、ここ何年間の「」への探求を続けるデイヴィッド・バーンの活動の中でも集大成ともいえる作品だ。

しかも今回バーンのパートナーとなるのは、あのブライアン・イーノ

この2人といえばトーキング・ヘッズ時代のプロデューサーという関係以外にもかなり密接で、1981年に2人の共同名義で「My Life In The Bush Of Ghosts」というアルバムをリリースしています。(↓若かりし頃の2人)
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このアルバムは1981年という、サンプラーが登場する以前の時代にテープ・コラージュを使ってサンプリング的にアフロ音楽や中近東音楽など世界中の音楽をカットアップして作り上げたインストゥルメンタル作品で、その斬新さは音楽史に多大なる影響力を与えたと言っても過言ではないくらいのエポック・メイキングな作品でした(2006年にはNonesuchからリマスターされ未発表音源を追加して再発されて話題になっていましたね)。

f0045842_153158.jpgそんな2人が実に27年振りの時を経て邂逅した本作「Everything That Happens Will Happen Today」。ただ、これは驚く事に「My Life In The Bush Of Ghosts」の音楽性とは180度違うベクトルを向いた作品に仕上がりました。

そもそものきっかけは2006年の「My Life In The Bush Of Ghosts」の再発を機に2人が顔を合わせた事。ブライアン・イーノがストックしていたインストゥルメンタル曲(イーノは歌詞を書くのが嫌いみたいです)を聴いたデイヴィッド・バーンが、その上に歌詞をのせることでこの作品は作られ始めたそうです。要するにイーノが音、そしてバーンが歌と、完全分業制で作られたのが本作だ。そしてこの方法を取ることで、この作品は1981年の「My Life In The Bush Of Ghosts」とはまた別の意味で素晴らしい作品となりました。
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今回のこの作品は、イーノの得意とする抽象的なアンビエントなサウンドとは全く逆の、牧歌的なフォーク/ゴスペルを主体としたサウンドで、その上にバーンの歌心全開のボーカルが被さるという作品になっている。ここ最近のデイヴィッド・バーンの作品の中で最もメロディに優れた極上のボーカル作品になっています。バーンの声に抗する事の出来ない程の魅力を感じている人間にとってはもはや「これを待っていた」的な傑作でしょう。

おそらくバーンにとっても、自分の書く曲では考えられないコード進行をする曲の上に歌を乗せるという事で、今までにないほど新鮮なメロディが生まれたのでしょう。トーキング・ヘッズ時代やソロになってからの作品で聴ける以上の瑞々しいメロディがホントに新鮮です。こんな清々しいメロディを持った作品は、今までのどこか屈折したメロディを持ったバーンのどの作品でもお目に掛かった事はないですね。
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個人的にバーンの声が好きという事もありますが、それを抜きにしてもこんな凄い作品が出来上がるのかと感嘆せずにはいられません。1曲目のHomeから、続くMy Big Nurseの高揚感は堪りませんね。他にもLife Is Longや、The Riverの高揚感のあるメロディが素晴らしすぎます

バーンが全編でボーカルをとっているので、もはやバーンの新譜と言っても差し支えない程ですが、一方のブライアン・イーノの存在抜きに語れないのも本作の魅力である。
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シンプルなフォーク的サウンドかというと全くそんな事はなく、イーノ特有の幾重にも重ねられた幽玄なサウンド・テクスチャーがこれまた凄い。一見シンプルなサウンドに見えてもまったくそんな事はなく、1曲目のフォーク的なHomeからして、その驚異的な残響音処理や浮遊感のある効果音に驚かされます。イーノ・サウンドの特徴とも言える、低音の響きにこだわったサウンドはここでも威力を発揮しています。是非しかるべき音響設備で聴いてみてその凄みを体感して欲しいですね。

ちなみにイーノは、ほとんどの曲でバッキング・ボーカルも担当。その意外に太い声を披露してくれています。イーノf0045842_282195.jpg歌を披露するのは、2005年の「Another Day On Earth」以来じゃないでしょうか?あのアルバムも28年振りのボーカル・アルバムとして話題になりましたね。イーノの声って重厚な声で個人的には結構好きなんですけどね。

さらにはウィットに富んだバーンの歌詞も知的で面白く、小説の一部を切り取ったようなWanted For Life、愛という言葉を音楽に例えて置き換えたStrange Overtones、聖書のように示唆的なThe Lighthouseなど一見の価値あり。こういう文学的で抽象的な歌詞はバーンの昔から得意とするところ。素敵です。

牧歌的な曲が多数を占めますが、それ以外にも「2008年版トーキング・ヘッズ」とも言えるストレンジなマシーン・ファンクPoor Boyや、不気味なピアノの旋律が怪しく光るインダストリアル的なI Feel My Stuff、そしてXTCっぽいWanted For Lifeなどいろんな曲調の曲が入っているのが面白いです。このプロジェクトの制作過程において様々な形態の音楽が生まれたのが分かります。未発表テイクとか結構ありそうですね。いつか発表してもらいたいものです。
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そしてこのアルバムのアートワークからジャケットの中のイラストまでを手掛けたのは、2003年にRhinoから出たトーキング・ヘッズのボックス・セット「Once In A Lifetime」(下写真)のあの印象的な細長い箱のデザインを手掛けたNYのデザイン・チーム「Sagmeister Inc.」。中ジャケには、アルバム・ジャケットに出てくる家の内部のイラストが描かれていますが、これがどこかデイヴィッド・リンチ的な、変な雰囲気を醸し出していて興味深いです。
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デイヴィッド・バーンの歌心を全開に引き出し、ブライアン・イーノという音職人が丁寧に作り上げた極上の作品。ロック界でも屈指の2人のクセモノが、お互いの力を存分に引き出し完成させた素晴らしいアルバムだ。常に同じ事をするのが嫌な2人なので、将来的にもう一度この2人が集まってもこんなアルバムを作ることはないだろう。そういう意味でも奇跡的な作品とも言える。
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個人的にBlacksmoker2008年のベスト・アルバムに決定です!

  
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by Blacksmoker | 2008-12-31 01:33 | BRIAN ENO

「BRIAN ENO アンビエント・シリーズ」 Vol.3 

1970年代後半にブライアン・イーノが、日常の中に溶け込む静かな音楽という概念で提唱した環境音楽「アンビエント」。
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そして1978年から1982年の間にそのアンビエントを表現する4枚の「Ambient」と名付けられたレコードがリリースされました。以前(1年程前ですが・・・)に、この「Ambient」シリーズの「1」「2」を紹介させてもらいましたが、今回は「3」を紹介しましょう。

Laraaji [Ambient 3: Day of Radiance](1980)

f0045842_12504256.jpg実はこの「Ambient 3」ですが、少し今までの前2作品とは違います。実は、この作品だけはブライアン・イーノという名義が入っていないのです。「1」、「2」、そして「4」はブライアン・イーノ名義(「2」ハロルド・バッドとの共同名義)ですが、この「Ambient 3」だけはある人物の単独名義になっています。

その人の名はLaraajiララージ)。

1943年生まれのアメリカ人。チター奏者でありハンマー・ダルシマーも演奏するこのララージ。正直あまり有名ではない人だと思います。本名エドワード・ラリー・ゴードン。フィラデルフィアで生まれ、幼少よりニュー・ジャージーでピアノやヴァイオリン、トロンボーンなどさまざまな音楽を学んだ人だそうで、ニューヨークの大学ではピアノの作曲も学んでいます。俳優としても活動していた時期もあったそうでなかなかユニークな経歴を持っています。そのララージが1978年にニューヨークでチターを演奏しているところをブライアン・イーノがたまたま通りかかったというのがこの2人の邂逅らしいですね。
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そもそもチターという楽器自体馴染みが薄い楽器ですが、板状のボディに弦が平行に張られただけの単純な楽器。今から500年以上も前の1500年代にイタリアやスペインなどを通ってドイツやオーストリアに持ち込まれたものだそうです。ハープのようにとても美しい音を出す楽器です。

さて、そのララージの単独名義となったこの「Ambient 3」ですが、ブライアン・イーノはプロデュースを担当。ララージの演奏するエレクトリック・チターやハンマー・ダルシマーの音にイーノがうっすらと電子処理を施しています。サブ・タイトルに記された「Day Of Radiance」。「輝く日」とでも訳せばいいのだろうが(当時の日本盤のタイトルは「発光」)、非常に明確な2部構成になっています。

前半はThe Danceと名付けられた曲が「#1」「#2」「#3」と続きます。こf0045842_12525531.jpgThe Danceはチターとハンマー・ダルシマーの煌びやかな音が延々と重ねられた曲で、結構アンビエントのわりには肉体的であり、躍動感があります。要するに「結構うるさい」んですね(笑)。環境音楽というよりは、チターやハンマー・ダルシマーのあの独特な音が延々と無限のループを繰り返すある種のサイケデリック感覚を誘発する音楽ですね。ヨーロッパ発祥の楽器でありながら、どこかアジア圏の音楽のような響きがあるのがとても興味深いです。

そして後半はMeditationというタイトルが付けられた曲が「#1」「#2」と並びます。このMeditationではチターの音はかなり抑制され、イーノのアンビエントな電子音を中心にして、そこにララージのチターが静かに絡まっていく非常に浮遊感のある音になっている。今までの前2作のアンビエントな音に最も近いと言えるでしょう。特にMeditation #1は18分にも及ぶ霧の中で彷徨っているような感覚に陥るアンビエントです。弱冠やかましめの前半(アナログではA面)と、浮遊感のあるアンビエントな後半(アナログB面)の対比も明確でアルバムを通してコンセプチュアルな構成がされているように思えます。
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さて、この「Ambient 3:Day Of Radiance」ですが、ララージの単独名義という事もあってか、過去ブライアン・イーノの作品が幾度もリマスターで再発されているにも関わらず、この「Ambient 3」だけが再発を見送られスルーされるという憂き目に遭っています。是非ともこの作品もイーノの一つの作品としてもしっかりと評価してもらいたいものです。音は今までのアンビエント・シリーズに比べると少し輪郭のハッキリした作品ですが、後半のアンビエントな展開は今までの2作品に比べても何の遜色もない素晴らしい音ですからね。

4作品の中で3作目にこの作品を持ってくるイーノもなかなかニクいです。他の作品と聴き比べてみるのも面白いでしょう。

そしてこの2年後、「Ambient」4部作の最終作として登場するのが「Ambient 4: On Land」。この盤の紹介はまたいずれ。
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by Blacksmoker | 2007-06-29 00:13 | BRIAN ENO

「BRIAN ENO アンビエント・シリーズ」 Vol.2 

さて前作「Ambient 1: Music or Airports」でアンビエント・ミュージックを確立したブライアン・イーノ。その前作から僅か1年でリリースされたアンビエント・シリーズの第2弾を紹介します。

HAROLD BUDD/ BRIAN ENO [Ambient 2: The Plateaux Of Mirror](1980)

f0045842_23313783.jpg今回のアンビエント・シリーズですがイーノの単独名義ではなく、あるアーティストとのコラボレート作品になっています。

そのアーティストとはハロルド・バッド

1975年から1978年の3年間にブライアン・イーノは自身の設立した「オブスキュア・レーベル」から現代音楽家の作品を10枚リリースしている。その10枚の最終作品となる「The Pavilion Of Dreams」をリリースしたのがハロルド・バッドなのです。彼は1936年生まれのアメリカ人の実験音楽家であり、ピアニスト。彼とイーノがコラボレートしたこのアンビエント作品のタイトルは「ザ・プラトー・オブ・ミラー」。日本語に直すと「鏡の丘」。ちなみに日本盤発売当時このアルバムには「鏡面界」というなかなか良いセンスのタイトルが付けられていました。

さてこの「Ambient 2: The Plateaux Of Mirror」はハロルド・バッド(下写真)のピアノとイーノのシンセサイザーによって構成されている。「Ambient 1: Music For Airports」では長尺の曲が4曲並んでf0045842_23355619.jpgいたのに対し、今回は比較的短い曲が8曲並んでいる。しかしアンビエントだけあって曲の長さ・短さは全く気にはならないし、そこまで前作との相違点もないですが、個人的にはアジア的な幽玄さが感じられる気がします。タイトル曲「The Plateaux Of Mirror」から次の「Above Chiangmai」に掛けての流れは、中国の山奥の森の朝をイメージしてしまいました。タイトルから言うとチェンマイなのでタイか・・・。しかし、この作品も時間の概念を忘れさせてくれる美しくも儚いレコードです。

ちなみにこのレコードがリリースされた同年に、フランスの哲学者ジル・ドゥルーズと精神科医フェリックス・ガタリが「千のプラトー」(原題:Mille Plateaux)という哲学書を出版しています。当時はこの「ザ・プラトー・オブ・ミラー」と「千のプラトー」の類似点がいろいろ指摘されたそうですが、個人的には多分全然関係ないように思います(別に読んだわけじゃないけど)。「環境において無視もできる音楽」であるアンビエントとこのプラトー論ってのは正反対なベクトルを向いてると思うんですけどね・・・。「資本主義と分裂症」ってのはまんざら間違ってない気もするけど。どうなんでしょ?ちなみにドイツのエレクトロニクス専門レーベル「ミル・プラトー」もここから名前取ってたんですね。

さて、この後ハロルド・バッドは様々なアーティストとのコラボレーション作品をリリースしていき現在も現役で活動していますが、一時はロック的なアプローチも見せていました。中でも有名なのは、アンビエントとロックを融合したあのアーティストとの作品です。そうです、アンビエント・ロックといえばこの人たちしかいません。
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               コクトー・ツインズです。

最近ではマッシヴ・アタックの作品で有名なエリザベス・フレイザー(「Tear Drops」を歌っているのf0045842_23451870.jpgはこの人です)の人間離れした天使のような歌声を擁する音楽史上孤高の存在コクトー・ツインズ。彼らが1986年にリリースした「Victorialand」と同年にハロルド・バッドと共作で「The Moon And The Melodies」(右写真)をリリースしています。この作品はコクトー・ツインズの孤高の音響世界にハロルド・バッドのアンビエント感が更に加味された名作なので、未聴の人はこちらもチェックして下さい。
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by Blacksmoker | 2006-07-01 00:02 | BRIAN ENO

「BRIAN ENO アンビエント・シリーズ」 Vol.1 

ブライアン・イーノという人が現代の音楽に与えた影響は計り知れない。その影響力は健在で、今でもいろんな場所でイーノの名前を目にします。ソロ作品だけではなく、プロデュース作品やコラボレート作品など関わった作品は数知れずあり、現代音楽からクラシック音楽やロックなどその活動は多岐に渡る。(下写真は1977年当時のイーノ氏。)
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彼の作品というは主に2つに分けられる。
ロック/ポップなレコードとアンビエントなレコードです。

さてアンビエントとは一体何なんだ?と思われる人もいるでしょう。「じっくり聴き込むことも出来るが、環境の中で無視の出来る音楽」。これがブライアン・イーノが提唱したアンビエント・ミュージックの定義だ。環境音楽という言い方も出来る。特定のジャンルにとらわれるのを嫌うのは全てのアーティストに共通することだが、何とイーノは自らの手で新しいジャンルを命名し作ってしまったわけです。今では「チルアウト」や「ヒーリング」など様々な言葉があるが、その源流は全てアンビエントです。そして彼は「オブスキュア」というレーベルも設立し、そこから様々なアンビエント・ミュージックおよびそのミュージシャンのレコードをリリースしていくのです。

一時在籍したロキシー・ミュージックから受け継いでいるポップな一面も魅力で数々の名作もリリースしていますが、今回よりイーノの本業ともいえる「アンビエント」なサイドを連載形式で紹介します。実はこのブログを始めてから、ずっとやりたいと思っていた企画です。

さて今回紹介するのは・・・

BRIAN ENO [Ambient 1: Music or Airports](1979)

f0045842_0313733.jpg数あるイーノの作品の中でも「アンビント・シリーズ」と呼ばれる作品達で、イーノ自ら「Ambient」という言葉をタイトルに付けたアルバムです。このシリーズは全4作品存在し、それぞれにコンセプトがあり、それぞれ現代音楽家を迎えて作られました。第一弾は1979年にリリースされた「アンビエント1:ミュージック・フォー・エアポーツ」。これはイーノのアンビエント作品の中でも人気の高い作品の一つです。

タイトルの通り、空港のための音楽。「空港の空気を浄化するために音楽を流してはどうか」というユニークな発想を元に作られたこのレコード。イーノはそれ以前にも環境音楽作品「ディスクリート・ミュージック」などリリースしているが、実質的にこの「アンビエント1:ミュージック・フォー・エアポーツ」をアンビエント音楽の始まりだという人も多い。確かに空港にはこのような環境音楽がピッタリだと思う。急いでいる人もいれば、暇を持て余している人など様々な職種・人種のいる空港ではこの音楽は有効かもしれない。

4つの長尺の曲からなるこのレコードですが、全てのタイトルに番号が振られているだけ。「1/1」、「2/1」、「1/2」、「2/2」となっている。まず1曲目がピアノとシンセサイザーだけのとても美しい曲。この印象的なピアノのフレーズを弾くのは何とロバート・ワイアット(下写真)。彼のピアノとイーノ特有のサウンドスケープのみですが、この曲だけを延々とループし続けてもf0045842_0453229.gif全く飽きが来ない曲です。2曲目は3人の女性の声だけで構成された曲で、重厚なコーラスが荘厳な雰囲気を醸し出している。3曲目は女性コーラスとピアノのみ。4曲目はシンセサイザーのみ、というほんとにシンプルな構成ですが、何年経っても全く色褪せていないのが凄い。確かに刺激的な音は一切排除されている。おそらくそれが何回も繰り返し聴いても飽きない理由だろう。

実際に1980年にはニューヨークのラガーディア空港(下写真は1981年当時)でBGMとして使用されたというから驚きです。個人的には、昨年海外へ行った時このアルバムを空港でずっと聴いていたらほんとにその空港の雰囲気にハマってて感動的でした。空港だけでなく飛行機の中や滞在中もずっとこのアルバムを聴いていたくらいですからね。
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こんな美しいレコードは是非とも世界中の空港で使われて欲しいです。
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by Blacksmoker | 2006-06-11 01:11 | BRIAN ENO

BRIAN ENO 「77 Million Paintings」

最近ひそかに話題の多いブライアン・イーノ氏。
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昨年は久々となるアルバム「Another Day On Earth」 (ボーカル・アルバムとしては実に28年振り!)をリリース。今年になってからも80年代の映像作品をDVD化した「14 Video Paintings」 もリリースされたし、Nonesuchからはデイヴィッド・バーンとイーノが1981年にリリースした名作「My Life In The Bush Of Ghosts」 がリマスター盤として再発。そして4月には何とラフォーレミュージアム原宿において音楽映像インスタレーション展が開催されていた。個人的には、昨年末オーストラリアに行った時に「Ambient 1: Music For Airports」 (1979)をずっと聴いていたという事もあって、昨年から何かしらイーノ氏の名前を絶えず聞いていましたね。

f0045842_2131942.jpgさて、今回紹介するのはイーノ氏初のPCアプリケーション映像作品「77ミリオン・ペインティングス」。これは前述の音楽映像インスタレーション展において会場で使用されていた作品でもあります。これがなかなか面白い作品なのです。

この作品についてイーノ氏は「一種のヴィジュアル・ミュージックである」とコメントしている。PCの画面上にイーノ氏が長年かけて描いた絵画や写真、複数の作品をランダムに映し出し、ゆっくりと融合させ変化させていく。この複合絵画のコンビネーションはタイトルの「77 Million」の通り、まさに77,000,000通りの絵を生み出します。BGMとして流れるアンビエント・サウンドも幾つかの音のレイヤーを生成的に配合し、365日・24時間同じ音楽が流れることがないという作品です。

イーノ氏が手掛けてきた数々のインスタレーションがPCの画面上で自動的に生成されていくわけですが、いろんな抽象的な画像がゆっくりゆっくり変わっていく映像は究極の催眠効果を誘発します。しかも抑揚のないビートレスなアンビエントな音楽がBGMですからその催眠効果はさらなるf0045842_2181326.jpg相乗効果を生み出すので、まだまともに長時間は観れてないです…。これはデカいTV画面に接続して観る(というよりタレ流す)のがベストですね。「無視も出来るし、しっかりも聴ける音楽」 というコンセプトを元に30年以上前にイーノ氏によって提唱されたアンビエント音楽。この作品はイーノ氏のアンビエントの究極形とも言える作品だ。

ただ1つ気になることがあります。非常に綺麗な造形の抽象画が絶え間なく出てくる中にたま~に日本の女子高生の絵が出てくるのだ!これもイーノ氏の趣味なんだろうか?これだけは勘弁して欲しい…。
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by Blacksmoker | 2006-05-08 02:38 | BRIAN ENO