カテゴリ:極北( 11 )

BRUTAL TRUTH [Evolution Through Revolution]


グラインドコアの神、再び降臨。

f0045842_021434.jpg2006年に再集結を果たし、翌2007年には「Extreme The Dojo Vol.17」で来日し壮絶なパフォーマンスでグラインドコア・ファンを捻じ伏せてくれたBrutal Truth。長く待たれていた新作が遂に登場です。

1997年の「Sounds Of The Animal Kingdom」以来、12年振りとなるこの新作。正直聴く前はこの12年ものブランクを克服出来るのか心配していましたが、こちらの心配など一撃で粉砕してしまう凄まじい出来です。完全に甘く見ていました・・・。
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タイトルは「Evolution Through Revolution」―「変革の後の進化」。これは紆余曲折を経てBrutal Truthが辿り着いた新たなる到達点。恐ろしいまでのパワーと、恐ろしいまでの怒りや憎悪のエネルギー、そしてちょっとだけのユーモアを凝縮したこのサウンドはヘヴィさを標榜する凡百のバンドを軽く蹴散らしてくれるでしょう。とにかく究極に壮絶な作品です。
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今回の新作は、グラインドコアの金字塔とも言える「Sounds Of The Animal Kingdom」(そういえば2004年に芥川賞を受賞したモブノリオ「介護入門」の中に、大音量で”Brutal Truth”の”Sounds of the Animal Kigdom”を22曲目まで聴かせてやろうという一節が出てきますね。ちなみに24曲目の方がヤバイです!!)のRAWで荒々しいパワーと、コリン・リチャードソンのプロデュースした「Need To Control」でのキレのあるメタルの整合感の両方を融合させたような新たなる次元に突入しています。

1曲目Sugar Daddyから、もう即死。アドレナリンが出まくって、全身の血が沸騰する程ヤバイ事になっています。

何よりも凄いのはリッチ・ホークのドラム!
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前回紹介したAgoraphobic Nosebleedは「人間の限界を超えた速さのドラム」を表現するためにドラムマシンを導入していますが、はっきり言ってAgoraphobic Nosebleedのドラムより速いです!Agoraphobic Nosebleedは一聴すると機械とは思えないドラムに驚愕しますが、それとは逆にこのリッチ・ホークのドラムは一聴すると人間技なんて全く信じられないです。速すぎます。どうやったらあんな細い体からこんな人間技を超えたドラムが叩けるんでしょうか?リッチ・ホークBrutal Truth以外にやっているTotal Fucking Destructionでもそれはそれは凄絶極まりないドラミングが聴けますが、やはり本業Brutal Truthでは気合いの入り方が違います。そして、やはりBrutal Truthにはこの男のドラムしかありませんね。ちなみに今作のマスタリングを担当しているのが、前述のAgoraphobic Nosebleedの頭脳スコット・ハル。彼はリッチ・ホークのこのドラムを聴いてさぞ悔しかったに違いない。

ヴォーカルのケヴィン・シャープ(下写真)は以前よりも低い声になっていますが、咆哮のキレ具合は相変わらず尋常ではないです。
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全20曲。ほとんどの曲が1~2分の超濃縮型激烈グラインドコアの嵐(ただその中には、わずか5秒で終了するGet A Therapist…Sare The WorldというNapalm Deathへのオマージュみたいな曲があったり、Melvinsのようなミドル・テンポのスラッジのような曲があったりもしますが)。全て聴き終える頃にはグッタリです。
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これはまさしく「グラインドコアの神による、グラインドコア・ファンの為の、グレイト過ぎるグラインドコア・アルバム」です。一家に一枚のマスト盤。

ちなみにファン以外は絶対に手を出さない方が良いでしょう。
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by Blacksmoker | 2009-07-13 00:07 | 極北

AGORAPHOBIC NOSEBLEED [Agorapocalypse]


スコット・ハルという男をご存知だろうか?

Anal Cuntのギタリストであり、現Pig Destroyerの中心人物である奇才ギタリストだ。ちなみに自身のソロ・アルバムでは、それらの常軌を逸した音楽とは全く違うアンビエントなラウンジ・ミュージックを見せるグラインド・コア界の鬼才とも言える。

f0045842_045928.jpgそんなスコット・ハルのバンドの一つでもあるこのAgoraphobic Nosebleed。その新作「Agorapocalypse」がマジで凄い(いや、毎回凄いんですが、今回は特に凄い!)

スコット・ハルの数あるプロジェクトの中で、このバンドの特徴はその「速さ」だ。このバンドの目指すのは「限界を超えた速さのグラインド・コア」。その速さはもう人間の力では実現出来るものではない為(噂ではBPMは1,000以上あるとか!)、マシンドラムを使用しており、ドラマーはいないのです。そしてその速すぎて判別出来ないくらいの超高速ブラストビートに合わせて渾然一体となって襲い掛かる叫びっぱなしのヴォーカル。そして速すぎる展開を見せる殺傷力抜群のギターとベース。もう聴くだけで相当の体力を要します。
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そんなAgoraphobic Nosebleedの7年振りとなる新作。7年振りと言ってもEPやらスプリット盤やらを多発しているので、全く不在感はないですね。そういや2005年にリリースされたシングルや未発表曲を集めたEP「Bestrial Machinery」は2枚組で136曲収録という凄いインパクトでした。(あと、スコット・ハルが編集した反ファシストの為のグラインド・コアのコンピレーション「This Comp Kills Fascists」も壮絶で必聴!)

さて今回このAgoraphobic Nosebleedは、バンド編成、そしてサウンドともに多少の変化があります。まずは新メンバーに女性ヴォーカルが加入した事!何とツイン・ヴォーカル体制になったのです。Salomeというバンドで活動するKatherine Katという女性なんですが、写真で見たらたまげました。
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ブロンド・ヘアーのあどけなさが残る少女じゃないですか!!見様によっては未成年じゃないかと思えるほどです。こんな女性がAgoraphobic Nosebleedみたいなバンドに入っても大丈夫なのかと思いましたが、一聴して納得。杞憂でした。もう1人のヴォーカルを喰うくらいの怖ろしいスクリーム&グロウルにケツを蹴り上げられますよ。他のヴォーカルとどう違うのかと聞かれても、全く同じ系統なんでそんなものは良く分かりませんが、この代わる代わるに吼えまくられる様はもう拷問のようです。
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さらに今回はサウンド面でも変化があります。BPMを限界まで速める事を命題にしていたこのバンド。今回はBPM1500くらいまで行くんじゃないかと想像していましたが、予想に反して今回はBPMを落としてきました(それでも一般のグラインド・コアと比べても十分に速いんですが・・・)。今までは正直言うと、BPMを上げ過ぎることによって少し単調感が出ていたことは否めなかったので、この部分を改善して楽曲としての完成度を高める方向にシフトしたのかも知れません。今まで1曲20秒くらいの曲ばかりだった彼らが今作では2~3分の曲が中心になっています。曲数も13曲という最も少ない曲数です。

しかし、この変化が大正解

まず1曲の中で展開を持たせることで単調感を払拭し、さらに鬼のように鋭く殺傷力のあるギターリフの多様さが今までで最も光ります。アルバムとして最後までしっかりと飽きずに聴ける点に於いて、更に楽曲のカッコ良さという点に於いても、今作はAgoraphobic Nosebleedのアルバム中で最も素晴らしい出来でしょう。
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そして毎回驚くのですが、このマシンドラム。プログラミングに相当な時間を掛けているのが、聴いていてよく分かる程、技の多いドラミング。バスドラが速いだけでなく、シンバルやハイハットのヒット音、さらにはタム回しやら技があまりにも巧妙すぎて人間が叩いているとしか思えません!曲の途中でドラム・ソロが登場する曲があったりもして、全く機械だとは考えられません・・・。凄いです。

もうこうなるとPig Destroyerとのサウンドの違いが分からなくなってきそうですが、まあそんな事はどうでも良いくらいのブチ切れまくったサウンドです。素直に楽しんで、この激烈なサウンドに圧殺されるのみでしょう。
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by Blacksmoker | 2009-07-09 00:38 | 極北

2日目終了!


ライトは青。1日目よりも格段上の地獄度。

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あまりの音圧で後方のスポットライト照明が割れました。


レポートは後日!

   
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by Blacksmoker | 2009-04-25 22:00 | 極北

1日目終了


              脳内融解。

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朝になってもまだ耳鳴りが止みません・・・。

今日は本当に死んでしまうかもしれません。
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by Blacksmoker | 2009-04-24 09:04 | 極北

ZACH HILL [Astrological Straits]


これはかなりの怪盤

f0045842_1485179.jpg狂ったギターと高速変拍子ドラムが炸裂する超絶デュオHella(現在は5人体制になってますが)。そのHellaのドラマー、ザック・ヒルのソロ・アルバム「Astrological Straits」が大変素晴らしくぶっ壊れています

ぶっ壊れている」というのは破綻しているというわけではなく、あまりにもやってることが超絶過ぎて何が何だかやってることがすぐには理解出来ないという意味。

そもそもロックの歴史においてドラマーのソロ・アルバムというのは、自身のバンドで抑圧されている欲求から解放される為、そのバンドの音とは少し距離を置いたものが多く、さらに歌まで歌っていたりする場合も結構多い。要は「俺はドラム以外の事もバッチリ出来るんだぜ!」的な別の側面を主張する意思が盛り込まれているのだが、このザック・ヒルのソロ・アルバムは、(そういうところももちろんあるだろうが、それ以上に)恐ろしいまでにドラマーであることにこだわり続けドラム道を貫いた作品であり、ドラマーとしての限界に挑戦したもの凄い作品だ。「俺はもっと叩けるんだぜ!」的な意思が伝わってきます。
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音楽性に関しては最近の5人体制となったHellaの音楽性をより進化させたものになっていて、ザック自身によるエフェクターで歪められた奇妙な声のヴォーカルをほぼ全面にフィーチャーし、さらにはキーボードやプログラミングまでも担当しているという奇才ぶり。この歪んだヴォーカルが妙なポップ感も出しており、さらにキーボードのスペーシーなサウンドやノイズがブレンドされ、もう誰も到達の出来ない唯一無二の壮絶な音世界が展開されていて、ザック・ヒルの複雑でぶっ飛んだ脳内宇宙の風景を見せ付けられます。2枚組というヴォリュームもハンパじゃないです。
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とにかくもうドラミングがあまりにも凄すぎる!狂ってるかのようで実は正確無比の高速変拍子ドラミングの嵐。いや嵐というよりも暴風雨。「8時間連続でドラムを叩き続けた事がある」と言われるこの男ですが、こんな事があり得るのか?と思うほど壮絶過ぎるドラミングに開いた口が塞がりません。昔Squarepusherの1stアルバムが「頭の中で蝿を100匹飼っているみたいだ」と評された事がありますが、今回のこのアルバムは「500匹くらい飼ってる」と言っても過言ではありません。試しに9分近くあるUhuruを聴いてみて下さい。もう即死しますよ。
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さらにこの変態的作品には、各方面から変態さん達がゲストとして続々と参加しています。その筆頭格がPrimusレス・クレイプール(下写真左)。あまりにもピッタリすぎるこの人選に思わず笑みがこぼれますが、レスがベースでf0045842_1415171.jpg参加した9分近いAstrological Straitsは3本のギターが暴れまくるのであまりレスのベースの音が目立っていなくて残念なんですが、逆にUmmerという曲がめちゃくちゃPrimusっぽくて面白いです。そして現在のHellaのメンバーや、AdvantageHellaのギタリストのスペンサー・セイムが結成したファミコンの音をカヴァーする奇天烈ユニット)のメンバーも参加。その他にもDeftonesのヴォーカリストのチノ・モレノ(ザックとはTeam Sleepを組んでいます)、そして!!!タイラー・ポープ、そしてSub Popを代表するバンドへとなった素晴らしきデュオNo Age、さらにはこちらも変態的な女性タッピング・ギタリストのマニー・スターンなど錚々たる変態たちがこの作品に華を添えています。
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そして最も凄いのが2枚組の2枚目のNecromancerマニー・スターンの不気味なナレーションで始まる1曲32分58秒の想像を絶するこの曲。フリージャズのような分裂症気味のピアノと、ザックの狂ったような超絶な高速ドラミングだけの悪夢のような素晴らしい32分。この曲、最初から最後まで高速ドラム休みなしで叩きっぱなし!もう頭が壊れそうです。
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もう聴いていると何が何だか分からなくなってきそうです。リリースがマイク・パットン将軍のレーベルIpecacというのも納得です。普通の人にはあまりオススメ出来ませんが、変態的な音が好きなは絶対マストの怪盤。是非聴いてみて下さい。

  
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by Blacksmoker | 2008-11-13 13:50 | 極北

XASTHUR [Defective Epitaph]


聴いていると死んでしまいたくなるような音楽だ。この音楽には何の希望も未来もない。

f0045842_23385591.jpgブラック・メタルの世界において、最近特に注目を集めているのがアメリカ。ブラック・メタルと言えばノルウェーを発祥とするものだが、ここ最近は「ブラック・メタルの第三国」であるアメリカから強力なバンドが多く登場しています。そのアメリカのブラック・メタル・シーンの中で最高峰とも言えるのがこのXASTHURザスター)です。そのXASTHURの6枚目となる最新作「Defective Epitaph」が奇跡的に日本盤発売ということで、是非ともこの恐ろしいアルバムを紹介しましょう。

MAYHEMBURZUMの精神を受け継ぐ現在最も過激で、最も鬱なこのXASTHUR。実はバンドではなくカリフォルニア出身のMaleficマレフィック)という男による一人ブラック・メタル・プロジェクトなのです。
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カリフォルニアという圧倒的に開放的な環境にありながら、人との関わりをほとんど拒絶し、自宅にてもくもくと陰鬱なブラック・メタルを作り続けるこのMalefic。一人ブラック・メタルなのでもちろんライヴ活動もしたことがありません。「人々の絶望・憎しみ・怒りといった全てのネガティヴな感情を引き出すためにXASTHURをやっている」と平然と言ってのけるMaleficよる、あまりにも救いようの無い絶望感に包まれたこの音楽は、全世界の自殺志願者達の気分をさらにドン底まで突き落としてくれるに違いない。

このXASTHURの名をブラック・メタル界以外の外界へ知らしめたのは、やf0045842_0123661.jpgはりSUNN O)))の現在のところ最新作であり最高傑作でもあるアルバム「Black One」(左写真)への参加でしょう。ブラック・メタルへのオマージュでもあるこの作品でMaleficはヴォーカリストとして参加。その絶望的な断末魔であのアルバムを更に恐ろしい作品にする事に手を貸している。ちなみにSUNN O)))のライヴ・ツアーにも参加していました(その時の強烈な映像はコチラです)。

このXASTHURしかり、XASTHURと並びアメリカのプリミティヴ系ブラック・メタルの2大巨頭とも言われるLEVIATHANしかり、北欧のブラック・メタル勢とこのアメリカ産ブラック・メタルの決定的な違いは威圧的でデカダンスな宗教色があまり濃くない事。まあ、最近は北欧のブラック・メタル・バンド達も、あくまでキリスト教的範疇の中にあるサタニズム主義を捨て、キリスト教以前の北欧神話の世界を崇拝するようになっていますが…。XASTHURの表現するのは退廃・荒涼・殺伐的な精神的に絶望的な世界。その点において、その世界観はKHANATE(昨年解散してしましましたが…)に近い。
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前作と今作とリリース元がISISアーロン・ターナーが主宰するレーベル「HYDRA HEAD」(ハイドラ・ヘッド)というのもなかなか興味深い。HYDRA HEADのアーティスト達(PELICANや、ISIS)の表現する世界と、このXASTHURが表現する世界には共通点を見い出せます。

しかしHYDRA HEADからのリリースではありますが、音楽性に関しては正真正銘の純度120%混じりっ気なしの真正ブラック・メタル。先程「宗教色が濃くない」と言いましたが、アルバム後半はそれを嘲笑うかのように荘厳なキーボードをフィーチャーした禍々しいスロー・テンポなナンバーの応酬。今回のアルバムは今までより一層この荘厳なキーボードが使われていますね。残響音まみれのギター・リフのカオス・ノイズと相まって、アンビエント感すら漂わせています。今回のレコーディングにはチェロなども使われているようですがハッキリ言ってどこで使われているのか分かりません…。
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そしてブラック・メタルの最大の特徴と言ってもいい「くぐもったサウンド」はここでも健在。禍々しさを表現するためにあえて質の低い録音機材を使って生々しさを出すバンドが多いブラック・メタル界(最近は4トラックでレコーディングした生々しいRAWなサウンドを創るブラック・メタル・バンドまで出てきている始末ですが・・・)。このXASTHURも8トラックによる録音だそうで、その独特なモコモコした生々しすぎるカオスなサウンドが強烈です。ドラムの音なんてモノラル音源かと思うくらいのリアルな音です。シンバルの音がヤバいです。個人的にはコリン・リチャードソンにプロデュースさせれば整合感のある最高にカッコ良いサウンドになると思うんですが、まあそんな事は誰も望んでいないでしょうね…。

Maleficによる断末魔のような呻き声によるヴォーカルも絶望感たっぷり。聴いてると段々鬱になってきます。最終曲まで聴き終える頃には冥府の扉が開いて引き込まれそうになりますね。まさに病的な世界です。
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自殺志願者は間違いなく聴かないほうが良い危険極まりないサウンドです。これこそが本物のエクストリーム・ミュージック

是非とも絶望の淵を経験して欲しい。
 
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by Blacksmoker | 2007-10-06 00:18 | 極北

SUNN O)))、旧作の日本盤Expanded Edition発売決定!!

今月号の「Euro-Rock Press」は凄いです!
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ドローン・ミュージック特集です!もちろん表紙は5月に奇跡の来日が実現し日本中を震撼させたSUNN O))) & Boris!(ライヴというより臨死体験と呼ぶ方が相応しい壮絶な来日公演のレポートはコチラで。)
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そして10月にはそのSUNN O)))の旧作が日本盤エクスパンデッド・エディションとして再発されます。来日前にも第一弾として「White 1」('03)、「White 2」(’04)、「Black One」(’05)の3枚が日本盤エクスパンデッド・エディションとして再発されましたが、今回はその第二弾です。しかしこの日本盤エクスパンデッド・エディション、はっきり言ってとんでもないシロモノなんです。

このSUNN O)))というユニットは、今までに正規盤以外にライヴ会場などで販売されるライヴ盤が多数リリースしています。ただでさえ世界中に狂ったマニアが多数存在するこのSUNN O)))。しかも限定500枚とか僅かな数しか存在しないこともあり、このライヴ盤や正規盤のヴァイナルなどは世界中のマニアの間でトンでもない高値で売買されています。
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そんな幻ともいえる貴重なライヴ音源をボーナス・ディスクとしてパッケージングしたのがこの日本盤エクスパンデッド・エディションなのです!世界中のマニアがこれほど日本人を羨ましく思ったことはないでしょう。特に前回再発された「White 2」などは、世界中のマニアの間で激しい争奪戦が繰り広げられた幻の2枚組ライヴ盤「Live White」がボーナス・ディスクとしてついた3枚組としてリリースされるという快挙とも暴挙とも言える再発でした。
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もちろん私もSUNN O)))のアルバムは全て持っていましたが、この素晴らしい日本盤エクスパンデッド・エディションの為、もう一度買い直してしまいました。そして今回10月31日に再発されるこの日本盤エクスパンデッド・エディションの第二弾。今回再発されるのは「The Grimmrobe Demos」('00)、「OO Void」('00)、「Flight Of The Behemoth」('02)の3枚。詳細を見ましたが、今回も凄すぎます!(以下、アルバム解説より)

「The Grimmrobe Demos」f0045842_21133050.jpg
SUNN O)))がその姿を地上に現した、記念すべき第1弾作品 (オリジナル発売:00年)

ボーナス・ディスク:Live at Gabah / Anti Club '99




2000年にHydra Headのサブレーベル、2xHNIの第1弾として限定500枚+α/特殊パッケージでリリースされた作品。SUNN O)))と言われてイメージする暗黒ドローンのエッセンスのみをただひたすら抽出したサウンドは、SUNN O)))史上最もプリミティヴなものであり、全ての原点ともいうべき高純度音。ボーナス音源として収録されるのは、音源発表は勿論、まだローブ/僧衣を纏う前のSUNN O)))最初期のパフォーマンスを収録したライヴ盤。これまでメンバーに近しい友人のみに極少数だけ配布されていたとされる音源であり、一般発売は一切無かったもの。音源以上に生々しいライヴであり、資料的価値という以上のインパクトを持っている。

■「OO Void」f0045842_21273382.jpg
SUNN O)))初期サウンドのアイデアを完璧にまとめ上げたスタジオ作(オリジナル発売:00年)

ボーナス・ディスク:OO Void Remix by NURSE WITH WOUND




2000年のリリース当時はいわゆる正式な1stスタジオ・アルバムという位置付けだったが、現在は '2枚目の作品' とされるアルバム。『THE GRIMMROBE DEMOS』で提示されたドラム/リズム無しの徹底した暗黒ドローン・サウンドが、独特の美意識をもって執拗に蹂躙される様は圧巻。メンバーのGreg Andersonいわく「もっとも気に入っている作品のひとつ」とのことであるが、現在全世界的に廃盤になっており、今回の日本盤特別仕様での発売は非常に意義が高い。ボーナス音源として、インダストリアル界の生ける伝説NURSE WITH WOUNDがアルバムを丸ごとミックスし直した超絶音源を収録。メンバーが今回のプロジェクトにあたり熱望した人選であり、完璧な再構築振りながら今後も日本盤以外に別売りされることは一切無いという貴重な作品である。

■「Flight Of The Behemoth」
f0045842_21315851.jpgヘヴィ・ドローンをベースに様々な要素を取り入れ音の幅を拡張した作品(オリジナル発売:02年)

ボーナス・ディスク:SUNN O))) with MERZBOW at Earthdom, Tokyo 2007



2002年リリース、ヘヴィ・ドローンを基調にしながらもシンセやパーカッションを導入するなど実験性も芽生え、確実に世界観を広げた作品で、後の布石ともなるターニング・ポイント的1枚。2曲でMERZBOW(秋田昌美)がミックスを担当しており、話題を呼んだ。原曲を完全解体したMETALLICAのカヴァーを含む。ボーナス音源として今年5月の来日時の東京Earthdomで収録したライヴ音源を収録。24chマルチトラックでレコーディングされた素材をMERZBOW(秋田昌美)がミックス。今回の来日時で最も小さい会場ながらアンプ10台など全ての機材を持ち込み、密閉空間での余りの音圧に聴く者が死すら意識した音が生々しく蘇る。今回のexpanded 2CD editionシリーズの目玉ともいえる。

ヤバイ!SUNN O))) with MERZBOWのライヴ音源とか、Nurse With Woundのリミックス音源とか、もう悶絶死確実!
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全作品マストです!暗黒ドローンの波の中に精神を委ねてみてください。
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by Blacksmoker | 2007-09-11 00:04 | 極北

SUNN O))) & Boris [Altar]


                   まさしく悪夢の共演
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ドラムレスで歪みきったヘヴィなギターの「ズズ~ン」といった残響ディストーション・ノイズ音を垂れ流し続けるドローンと言われる禁断の音楽の第一人者スティーヴン・オマリーグレッグ・アンダーソンのユニットであるSUNN O)))(←サンと読みます)。KHANATE(残念ながら06年に解散してしまいましたが・・・)でも活動するスティーヴン・オマリーは、孤独、怒り、悲しみ、絶望と言った一切の「負」の感情を表現する常人には理解不能なまさしく極北の表現者。
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ライブも壮絶だそうで、スモークが充満するステージ上に黒装束を被った2人が逆光のライティングの中でひたすらノイズを撒き散らすというライブで、もはや宗教儀式のような様相を呈しているらしい。

対するBorisも東京から世界に誇るヘヴィ・ロックバンド。その世界観はまさしく唯一無二。ロック・バンドとして活動する時の名義「BORIS」(大文字)と、異ジャンルのアーティストらとのコラボレートする時の実験的ユニットである名義「boris」(小文字)などを使い分けて活動する世界のヘヴィ・ミュージックの中でも最も革新的なバンドと言っていい。
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f0045842_135585.jpgこの2者が遂にアルバム「Altar」(右写真)で邂逅を果たしました。これは一般人にとっては悪夢以外の何ものでもないが、この手の音楽好きにとってはまさしく夢の共演です。

さてこの共演で想像できる音楽といえば、とことん陰鬱で光の当たらない暗闇の中で怒りの充満したヘヴィなドローンを想像してしまいますが、3割が正解だが7割は間違っている。この2者が合体することで、新たに方向性を発見したようなサウンドを提示してきました。

3割正解というのはやはりそのヘヴィ度。SUNN O)))の持つ圧倒的音圧で迫るドローンなノイズを継承しつつ、そこにBorisのヘヴィさも加わった重量級ノイズはやはり素晴らしい。

7割間違いというのはその楽曲の幅です。SUNN O)))の前作「Black One」ではメリハリの利いた(もちろんSUNN O)))の歴史の中でという意味ですが・・・)曲が並んでいましたが、今回は更にドラムやギターの音を加えてバラエティに富んだ楽曲が並ぶ。それ以外にもチャイニーズ・シンバル(ゴング)やムーグ、トロンボーン、ピアノなど多彩な楽器が使用されている。そこへゲスト・ヴォーカルも加え悪夢の桃源郷ともいえる素晴らしきディストピアを現出させている。
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ピアノの荘厳な響きの中、エリザベス・フレイザーマリアンヌ・フェイスフルの中間を行くような老成した魅惑の声を聴かせるジェシー・サイクスという女性ヴォーカルを迎えた「The Sinking Belle(Blue Sheep)」は、まるでシガー・ロスのように幽玄ですね。ジョー・プレストン(メルヴィンズHIGH ON FIREでも活躍するベーシスト)がヴォコーダーで参加した曲があったり、元サウンドガーデンキム・セイルがギターで参加していたりとゲスト陣もなかなか豪華(もちろん「この世界では」です)。

最終曲の15分近くにも及ぶ「Blood Swamp」の期待通りの残響音まみれの禁断のドローンには恍惚の表情を浮かべてしまうくらい素晴らしいです。
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そして更に目玉なのは日本盤のみに付いているボーナス・ディスク!「Her Lips Were Wet With Venom」というタイトルのこの曲ですが、何とドローン・ミュージックのもう一つのパイオニアであるEARTHディラン・カールソンが参加しています。EARTH+SUNN O)))+Borisというファンにはもう悶絶必至の28分14秒!地獄度全開のヘヴィ・ドローンに脳の髄まで溶かされて下さい。中盤のブルース・フィーリングなギターが別世界に連れて行ってくれるでしょう。

このアルバムの予想以上に素晴らしい出来に驚きと嬉しさを隠せません。1+1が3にも4にもなる事を証明したようなコラボレーション・アルバムです。決してオススメは出来ませんがお勧めです!
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そしてそのSUNN O)))ですが5月に遂に初来日を果たします。もちろん共演にはBoris!この奇跡のジョイント・ライブは絶対に見逃せません。
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by Blacksmoker | 2007-01-31 01:46 | 極北

CONVERGE [No Heroes]

英雄などいない
-これは落ちぶれた世の中への芸術的アンチテーゼ。
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俺の世界には何もない。絶望なまでの空虚感。そして怒り。コンヴァージの描く世界はモノクロームで内面的で怒りに満ち溢れた世界だ。

コンヴァージがボストンで結成されたのが1990年。以来彼らは世界中の怒りや悲しみをその過激なまでのハードコアな音楽性で提示してきた。そして現在彼らの表現方法はもはや最高到達点に達しつつある。
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一貫した反体制アティチュードや、暴力的なまでのノイズ、そして「死」を連想させる一連のアートワーク(Vo.のジェイコブ・バノンが全て手掛けている)などその高い芸術性も孤高の領域だ。

f0045842_013636.jpg彼らの6作目となるこの新作「No Heroes」は、極北に辿り着いた表現者が更なる進化を遂げたアルバムです。エクストリーム・ミュージックの歴史に残る傑作4thアルバム「Jane Doe」(2001年)、そして5thアルバム「You Fail Me」(2004年)の2枚で一気にアンダーグラウンドのカリスマ的存在となったコンヴァージですが、まだまだその飽くなき進化は続きます。

前作では多少メタリックで整合感のあるサウンドで頂f0045842_0105395.jpg点を極めましたが、今回のアルバムはもっとRawな感触。猥雑で粗暴なパンクなフィーリングが充満しています。このアルバムのほとんどの曲が1テイクか2テイクで録られたものだと言う。偶発的なハウリング・ノイズなどはおそらくそのまま収録されているのだろう。シンプルさがかえってその暴力的なサウンドの本質を浮き彫りにしています。80年代初期のハードコア・バンド(Bad BrainsBlack Flagなど)を彷彿させるところもあります。あの純粋に原始的なエネルギーの爆発は何十年経とうが今の昔も表現形態としては色褪せる事無く素晴らしいものですね。

そしてジェイコブの手掛けるアートワークも毎回ながら素晴らしい。醜悪の中から美しさが拡散されていくような感覚は昔から一貫しているが、今回は「Jane Doe」のジャケットで描かれているアートワークと対を成すように微妙にリンクしています。ゾっとするほど美しいアートワークが秀逸です(ちなみに彼の歌詞には良く「彼女」という言葉が出てきますが、このアートワークの女性の事だろうか)。
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そして来年早々コンヴァージは日本にやってきます。過去2回彼らの壮絶なライヴを体験しましたが、もはやライブ・パフォーマンスも芸術の域に達しつつあります。やり場の無いエネルギーが爆発する瞬間を感じられるその怖ろしいまでのライブは必見。

IsisMastodonSunn 0)))などと共に現代のアンダーグラウンド・シーンで先鋭性と芸術性の両方を兼ね備えた彼らは一見の価値ありです。
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by Blacksmoker | 2006-12-23 00:26 | 極北

STRUGGLE FOR PRIDE [You Bark We Bite]

f0045842_1151038.jpg公式な音源はほとんど存在しないにもかかわらず、そのライブ・パフォーマンスの壮絶さが既に伝説となっている日本が誇るノイズコア・バンド、ストラグル・フォー・プライドが遂に初の1stアルバム「You Bark We Bite」をリリースしました。

今までこのバンドはハードコア・バンドでありながらHIP HOPのイベントに名を連ねていたりと様々なジャンルのイベントなどに参加し(ECDとも交流あり)、そこで神がかった凄まじいライブを行い、どんなジャンルのイベントでも必ずモッシュ・ピットを生み出してきました。ライブハウスよりもクラブでライブする事も多く、日本の多様化するアンダーグラウンド・シーンの中心を担う存在になってきたわけです。
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私も過去2回ストラグル・フォー・プライドのライブを体験しましたが、それはもう凄すぎて凄すぎて言葉にならないほど強烈でした。しかもいつもたった15分くらいで終わるのです!

10年以上も前の話ですが、BIOHAZARDのライブに行った時、「お前らステージに上がって来い!」というメンバーの檄に応えて50人以上のモッシャー達がステージへ大挙押し寄せ、それを阻止する為にステージに送りこまれたセキュリティ(パンクラスのレスラーでした)との肉弾戦になり、俺もステージの上からそのレスラーに持ち上げられフロアに投げ飛ばされたり、フロアはフロアでもう頭より足の数の方が多いというような壮絶なライブを経験したことがあるのですが、このストラグル・フォー・プライドのライブは当時私が経験したあの感覚を呼び起こしてくれましたね。

ハーシュ・ノイズとブラスト・ビートの海の中をボーカルの今里が拳を突き上げ絶叫する(ちなみに他のメンバーは名前すら公表されていない)。そこには理性なんてものは存在しないくらいのブチきれっぷり。しかもこの人、マイクを持っていてもほとんどマイクを使わずに天に向かって絶叫していて手が付けられないのです。ステージからフロアに降りていって客と一緒に叫び倒す血管切れそうなくらいの凄まじいライブは人生で一回は体験してみても損はない。確実に人生観が変わります
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さてこの待望の1stアルバムですが何だか良く分からないゲスト陣に驚きます。まずオープニングから何とカヒミ・カリィの手紙の朗読から始まるという不気味さ!そしてその朗読が終わりノイズまみれになったところに新宿拡声器集団MSC麻暴の凶暴なラップが乗ってくる。支離滅裂のようだが、この意外ともいえる人選にも全く違和感なく調和しているのが凄い。彼らが多様化された日本のアンダーグラウンド・シーンのど真ん中で活動してきた証だ。そのあとは物凄いノイズ地獄でボーカルの今里の絶叫も全く何を言ってるのか分かりません。そしてストラグル・フォー・プライドと並ぶ日本のアンダーグラウンド・シーンのもう一つの雄アブラハム・クロスをfeat.した曲もあり、とにかく凄まじい (ミックスはこれまたアンダーグラウンドの奇才イリシット・ツボイ氏が担当) !!決して万人にはオススメしませんが、ハードコアの極北といっていいこのサウンドは一度(一瞬でも)耳にして欲しいです。
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それともうひとつ。このアルバムと同時に彼らの映像作品「Struggle For VHS」(下写真)もリリースされています。やはりライブの壮絶さを確認するには映像を観てもらうのが一番早い。これは宇川直宏とのコラボレーション作品でVHSのみでリリースされていた2004年のライブ映像をDVD化したものです。それにともなって2005年千葉県君津市の廃墟ビルで行われたイベント「Raw Life」で、今やもう伝説と化しているストラグルのライブを捉えた映像も収録されています。音も映像も荒れまくった酷いモンなんですが、もうとんでもない凄さです。伝説といわれたあのステージでどんなことが起こっていたかを確かめてください。昔リリースされたCONVERGEのDVDでもそのライブの壮絶さに唖然としましたが、それを凌ぐ壮絶さ。
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実は音源よりもこの映像の方がオススメ。理屈抜きでヤバいです。このヤバさを体感して欲しい!
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by Blacksmoker | 2006-06-03 01:45 | 極北