カテゴリ:2014年総括( 2 )

2014年の10曲。

振り返ってみるとシングル単位で聴くことが激減したような2014年。なぜかというとアナログ盤で聴くことが多くなったからですね。ですので選んだ10曲はCDかmp3で聴いていたものが中心になりました。それでは2014年のベストソング10曲です。


<2014年の10曲>

■第1位
Oscar Isaac & Marcus Mumford [Fare Thee Well (Dink's Song)]
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今年最も聴いた曲はコレです。コーエン兄弟の映画「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」の曲。映画も素晴らしかったですが、T-ボーン・バーネット監修のサントラも最高でした。この曲は1909年にテキサスの堤防でディンクという黒人女性が歌っているのをアラン・ロマックスが録音したのが初めとされ、その後ピート・シーガーやフレッド・ニールやデイヴ・ヴァン・ロンク、そしてボブ・ディランらフォークシンガーが歌い継いできた曲です。その曲がこうやって今の時代に新しい歌い手によって伝わってきたというドラマに感慨深くなります。
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T-ボーン・バーネットも舌を巻いたという主演俳優オスカー・アイザックの歌が俳優の域を超えてほんとに感動的。


■第2位
Mike Auldridge, Jerry Douglas, Rob Ickes [The Three Bells]
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前立腺癌で2012年12月29日に74歳で亡くなったドブロ奏者マイク・オールドリッジ(上写真)が、自分の死の直前にジェリー・ダグラス(下写真)とロブ・アイクスという2人のドブロ奏者と作り上げたアルバムからのタイトル曲[The Three Bells (谷間に3つの鐘が鳴る)]。
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元々はエディット・ピアフが1945年に歌い、ザ・ブラウンズが1959年に大ヒットさせた曲で、3つの鐘が鳴る時というのは「誕生」と「結婚」と「死」の時のこと。自分の死期を悟ったマイク・オールドリッジが最期に自分の人生を振り返るように演奏するドブロの音色に涙なしでは聴けません。


■第3位
Ghostface Killah feat. Kandace Springs [Love Don't Live Here No More]
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Wu-Tang Clanの復活も話題でしたが、メンバーの中で実は一番安定した人気とセールスを誇るのがこのソウル男Ghostface Killah。この曲もヴィンテージ感たっぷりの鬼ソウル度。Ghostfaceの燻し銀なラップももはや貫禄の特濃ソウル度。降参です。


■第4位
Stefano Bollani [Easy Healing]
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イタリアのミラノ出身のジャズ・ピアニストのステファーノ・ボラーニをリーダーとするピアノトリオにビル・フリゼール(g)とマーク・ターナー(ts)というアメリカ人を加えた編成で録音したECM作品。録音当日に初めてビル・フリゼールと顔合わせしたという逸話も凄いですが、逆にそれが良い方向に作用していて何ともECMらしくない明るいカリブ海周辺のリズムのような軽快な曲になっています。マーク・ターナーの優しいテナーサックスとビル・フリゼールの浮遊するギターの合間をすり抜けるように出てくる瞬間のピアノが絶品。



■第5位
中山うり [石神井川であいましょう]
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アルバム「鰻」の最後の曲。うりさんが1人でギターとアコーディオンを演奏しています。短く簡潔なメロディで繰り返される日常風景の経過描写が素敵すぎて涙出そうになります。昔からある童謡のような佇まいを持った名曲。


■第6位
stillichimiya [土偶サンバ]
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新作「死んだらどうなる?」からの先行PV"ズンドコ節"を観た時は「コレは今年のNo.1だ!」と思いましたが、アルバム聴いたらこの曲が隠れた名曲でこっちの方が好きになりました。アルバム全体もイイ感じにお遊び感/おふざけ感出しまくってて、この曲も最初はアホっぽいんですが、その中に実はグッとくる田我流のパンチラインが出てきて泣きます。


■第7位
Oki Dub Ainu Band [Suma Mukar]
アイヌ民族の末裔のトンコリ奏者OKI率いるアイヌ・ルーツバンドの7inchでリリースされた新曲。
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もはや世界基準のヘヴィでダヴィな強力過ぎる怒りの鉄杭のようなルーツ・レゲエ。全編アイヌ語で歌われる歌詞はBob Marley "Small Axe"にも似た横暴な権力に立ち向かうハードコア・チューン。
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トンコリの哀しい音色が逆境にも倒れない強い斧のように響く。


■第8位
Jenny Scheinman [Sacrifice]
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ビル・フリゼールとの数々の共演でお馴染の女性ヴァイオリニストの8枚目のソロ作。今までの7作はヴァイオリン奏者としての作品でしたが、なんと今作から全編素晴らしいヴォーカルも披露してシンガーソングライターとして比類無き才能を見せつけてくれました。デビューの頃のルシンダ・ウィリアムズのような声ですね。バックにはビル・フリーゼル(g)とブライアン・ブレイド(dr)を従えてどっしりとしたアメリカン・ルーツミュージックを聴かせてくれます。


■第9位
WARAJI [キリナイッショ]
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「新しいオールドスクール」を標榜する大阪のヒップホップクルーの2作目から。アルバムはバラエティに富んだ内容でしたが、この曲はシリアスなテーマで3人のMCが人生観をラップしていく。ブギ丸のラップはもうどこにもいない完全なオリジナルな地点に到達している。


■第10位
Flying Lotus feat. Kendrick Lamar [Never Catch Me]
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スピリチュアル・ジャズに接近した新作から。アルバムは出さないでも客演でどんどんハイスコアを叩き出していく天才ケンドリック・ラマー(下写真)を迎えた必殺曲。リリックがまた哲学的で多角的に解析出来る内容で圧巻。
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昨年のPusha-Tとの[Nosetalgia]を軽く超えるクラシック誕生。


■番外編
Molly Drake [Never Pine For The Old Love]
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60年近い年月を経て現代に登場した新人と言っても良いでしょう。ニック・ドレイクの母親モリー・ドレイクの1950年代の幻の自宅でのピアノの弾き語り録音集が奇跡のリリース。アナログ盤でもプレスされました。2007年に「Family Tree」というニック・ドレイクのデモ音源集の中にこの母親モリーの曲が2曲収録されていて話題になりましたが、今回は全19曲。全て自作曲でリビングでピアノを弾いているものを録音しただけの音源で、曲が終わったあとに家族の声とかが入ってたりもするようなホームデモテープみたいなものですが、これが驚くほど素晴らしいのです。ニック・ドレイクの才能はこの母親譲りだったのかと感心してしまいます。
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by Blacksmoker | 2015-01-01 22:31 | 2014年総括

2014年の12枚。

ラジオDJを始めて1年半が経ちました。来年はもっと喋りに磨きをかけて進化していきたいですね。イベントは今年は全くやらなかったですが、来年はやります。昨年からアナログ盤で聴く機会が増えましたが、今年はCDを買う数よりアナログ盤を買う方が多くなりました。それにあわせて、新しい音楽よりも自分のまだ聴いていない古い音楽を聴くことの方が圧倒的に多くなりましたね。昔はあれだけ嫌がってたはずの50年代のジャズシンガーものに、これほどまでにハマってしまうとは思いませんでした。さらにはアナログのオリジナル盤やモノラル盤を揃え出してからは深い沼に入り込んでしまった気がします。恐ろしい世界!さて来年はどうなってるんでしょうか?

それでは今年のベストアルバム。新譜に絞って12枚選びました。ほとんどアナログ盤の評価です。


<2014年の12枚>


■第1位
Φ [Konstellaatio]

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フィンランドの電子音楽ユニットPan Sonicの片割れMika Vainioのソロ名義「Φ」(ファイと読みます)の新作は、星座をモチーフにしてテクノにもノイズにもどれにも属さない奇妙な立ち位置からの強烈なインパクト。
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アナログ盤はRashad Beckerによるマスタリングでさらに重低音を効かせて空間が揺れます。




■第2位
Nostalgia 77 [A Journey Too Far]
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Benedic Lamdinのジャズ・ユニットの5作目。
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ドイツ人女性シンガーJosa Peitのボーカルを全編に使って、ホーン隊の入った牧歌的なニューオーリンズ・ジャズからアコースティックなソウル・ジャズまで多彩。カントリー/フォークシンガーJeb Loy Nicholsの歌う2曲が絶品。
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■第3位
Cut Hands [Festival Of The Dead]
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80年代のエレクトロ・ノイズの伝説WhitehouseのWilliam Bennettのソロユニットの新作。トライバルなリズムとインダストリアルの合体したサウンド。
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再評価される日本の盆踊りのリズムに共振するかのような土着的ビートが強烈。



■第4位
Thou [Heathen]
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ルイジアナの神出鬼没の怪物スラッジ・バンドの新作。EPやThe BodyとのスプリットEPも含めて今年だけで3作もリリース。アナログ盤は即完売という規格外ぶり。もはや王者の風格すら漂う貫禄の激重さです。



■第5位
Meshell Ndegeocello [Comet, Come To Me]
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一時期のアーティスティックに振り切った方向から弱冠ポップな方向へ戻ってきた新作。流麗なR&Bからレゲエもやってますが、内面から滲み出る実験的精神が良いバランスで両立している傑作。



■第6位
NehruvianDOOM [NehruvianDOOM]
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NY出身の新鋭ラッパーBishop Nehru(18歳)と、難解なリリックと老獪なフローで煙に巻く鉄仮面を被ったベテラン・ラッパーMF Doom(43歳)によるタッグ。90'sフレイヴァー全開のオールドスクール・ヒップホップ。



■第7位
S. Carey [Range Of Light]
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マルチ・インストゥルメンタリストのソロ2作目。歌からパーカッションからオーケストラ・アレンジまで手掛け、Bon Iverのバンドメンバーとしても活躍している天才。クラシックからの影響を受けたスピリチュアルで優しい室内楽。



■第8位
Quantic [Magnetica]
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5年間南米コロンビアに移住した成果の結実。1曲ごとにゲストを迎えてコロンビアからポルトガルからエチオピアからジャマイカまで多岐に渡る圧巻の多国籍大衆音楽絵巻。



■第9位
NORIKIYO [雲と泥と手]
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前作も素晴らしかったですが、今年はさらにフルアルバム2作もリリース。ハスリング・ラップだけでなく政治や環境、人生にまで言及したリリック内容が良い。今のヒップホップの中ではズバ抜けたリリシスト。バカさ4割と真面目さ6割。6割の真面目なトコロに惹かれます。



■第10位
Tamikrest [Chatma]
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西アフリカの砂漠のブルーズの第2世代。成熟したTinariwenも良いですが、Tamikrestの躍動感の方が上回る。



■第11位
J Mascis [Tied To A Star]
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聴いた回数はコレが一番。ますます哀愁を帯びた枯れたヴォーカルに泣きのギター。やってることは変わりないが今回は曲の良さが際立ってます。


■第12位
Common [Nobody's Smiling]
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2005年の「Be」を絶賛してた連中は今どこにいった?コレこそがCommonのリリシストとしての真骨頂。しかもシカゴ・ヒップホップのゴッドファーザーNo I.D.との再タッグで、全米犯罪率1位の都市に凋落したシカゴの現状を鋭く描写するシリアスな作品。Kanye Westと共にシカゴの若者を支援する団体を設立し資金収集のためのAAHH! Fesなど一連のムーヴメントまでリスペクト。
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by Blacksmoker | 2014-12-30 11:30 | 2014年総括