カテゴリ:HIP HOP( 26 )

チプルソ -傷だらけのB-BOY- 「綴り」公開

2012年7月にワンマンライヴを主催させてもらったチプルソ -傷だらけのB-BOY-

彼の新曲「綴り」のPV制作を手伝わせて頂きました。

監督はマイメンRyu Kodamaくん、そして歌詞を全て切絵で作ってくれた古城里紗さん、そして寒い中撮影に協力してくれた仲間達に感謝です!

是非ご覧下さい。



 
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by blacksmoker | 2013-02-20 00:59 | HIP HOP

JIM JONES [Pray Ⅳ Reign]


Balling~!!!

f0045842_8411215.jpgサウス勢が席巻するヒップホップ・シーンに対して、現在のNYのボスからの回答がこのアルバムだ。

ディップセットディプロマッツ)のリーダー、ジム・ジョーンズがメジャー・レーベルに移籍して放つ新作「Pray Ⅳ Reign」はNY復権を唱える入魂のアルバムだ。これを聴けば今NYを統治(Reign)しているのが誰かハッキリするだろう。

そもそも私がこの男を好きな理由はその「ハスリング」ぶり。
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プエルトリカンだけあって血の気も多く、とにかく貪欲。もともとはディップセットの中でも裏方の仕事をやりたかったそうだが、表舞台に出てきた理由というのが「自分の思うスピードで金を稼ぐにはアーティストが一番早い」からだそうだ。恐ろしいまでの正直さが潔くてイイ。ただその貪欲さが災いしてか同じディップセットの盟友キャムロンと対立し、今やディップセットは完全に休止状態(ヘル・レルも昨年離脱)。そして自身が率いるクルー、バードギャングからもマックス・Bピート・ロックのアルバム「NY Finest」にもジム・ジョーンズと共に参加していたのに・・・)が喧嘩別れで離脱と非常に大変な人みたいですね。
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クラブとかでは絶対に遭いたくないジム・ジョーンズですが(ディップセットの連中全員そうですが・・・)、曲は別の話。この男のラップは無骨で味がある。もろにビギー譲りなフローもイイが、その声から感じられるブルージーさがカッコイイ。しかも何か余裕を残してるカンジがまた最高。特に2006年の特大ヒットWe Fly High以降は一段とその余裕ぶりに貫禄が出てきてます。Ballin~!
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そんなNYのボスの新作。コロンビア・レコードの重役に就任したリック・ルービンが億単位のディールで獲得したと言われるだけあって、リル・ウェインT-Painカニエ・ウェストNe-YoAkonが参加した豪華な作り(aka 予定調和な作り)になるかと思いきや、そこはいつものジム・ジョーンズ。ゲスト陣は、ディップセットの盟友ジュエルズ・サンタナを筆頭に自身のバードギャングからNOEメル・マトリックス、そしてシンガーのOshyなど、ほとんど身内で固めています。最近の大物ラッパーのアルバムの中では非常に異質なアルバムです。

ただラッパーとして以上にトレンドセッターとしての役割も彼は忘れてはいません。中でも注目なのは現在も旬なプロデューサーであるロン・ブロウズの起用でしょう。バスタ・ライムスArab Moneyや、カポーン&ノリエガ(CNN)のRotateのヒットで一躍ヒット・メイカーへと躍り出たロン・ブロウズが4曲手掛けています。

まずは昨年から特大ヒットを記録しているPop Champagneでしょう!T-Painの18番「オートチューン使い」を臆面も無く堂々と自分のモノにしてしまったロン・ブロウズ(左写真)。このPop Champagneもオートチュf0045842_8461361.jpgーン炸裂の超強力フロアバンガー!何のヒネリもないどうしようもない歌詞ですが、クラブで聴くと否が応にもアガってしまいます。そして個人的にこのアルバムのベスト・トラックHow To Be A Boss。不穏なストリングスの旋律に猛々しい勇猛なトラックに、ジム・ジョーンズリュダクリスNOEがハスリング・ラップを披露する重厚なシット。マジで何回聴いても鳥肌が立ちます(バードギャングNOEはこのアルバムに5曲も起用されていますが、その声やラップのフローがジェイ・Zにそっくりすぎて笑ってしまいます)。その他にもシリアスなMedicineやアルバム終盤のハイライトとなる重厚だがメロウなRainと、アルバムの中でも最も重要な曲をこのロン・ブロウズが手掛けているのはやはりビジネスマンとしてのジム・ジョーンズの手腕でしょう。

あとはライアン・レズリーを迎えたPreciousと、シンガーのOshyが何と3曲も連続で登場するBlow The BankThis Is For My BitchesGirlfriendが個人的には最高です。そして何よりジュエルズ・サンタナの参加がディップセットのファンなら嬉しいですね。
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最近のヒップホップ・アルバムに顕著なシングル単位での楽しみ方とは違ったアルバム単位で聴ける男汁満載の気合い十分の作品。是非チェックしてみて欲しい!!

   
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by Blacksmoker | 2009-06-06 08:29 | HIP HOP

<後編>WYCLEF JEAN [Carnival Vol.Ⅱ Memoirs Of An Immigrant]


さてワイクリフ・ジョンの素晴らしいアルバム「Carnival Vol.Ⅱ」。思い余って長く書き過ぎたので前編・後編にわけてお送りしております。
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もう前半部分を見ていただくだけでも、もう凄いメンツでそれだけでも「買い」ですが、アルバム後半も強力なナンバーが続きます!ではいってみましょう後編です。

Hollywood Meets Bollywood(Immigration)。タイトルからも既に移民を強調していますが、この曲はパンジャビMCBeware Of The Boysを彷彿させるバングラ・ビートに、インド歌謡曲をサンプリングしたダンスホール・ナンバー。ここに登場するのはサウスの新たな顔、Chamillionaire(カミリオネア)。こf0045842_21245996.jpgの男もナイジェリア移民の2世だ。独特の野太い声で早口でスキルフルにキメるフローが超カッコイイですね。このChamillionaireは正直言うと、最初出てきた時は「またサウスのサグ・ラッパーかよ」というカンジで、あんまり興味持てなかったんですが、ちゃんと聴いてみてビックリのなかなか硬派な社会派ラッパーなんです。大ヒットしたRidin’(あのアル・ヤンコビックにまでカヴァーされたほど)もリリックの内容は強烈な警察批判の曲だし、昨年出た2ndアルバムからの1stシングルとなったHip Hop Policeもかなりのアツイ内容でした。意外f0045842_21303780.jpgにもDead PrezM-1とかにも通ずる社会派なんですね(Chamillionaire自身はビーフというものに反対しているし)。個人的にも今、サウス勢の中で最も好きなラッパーかもしれません。このHollywood Meets Bollywood(Immigration)は、タイトルにもあるように、移民に対する政府の冷遇を激しく攻撃しています(ちなみにボリウッドとはボンベイの事)。こんなビートにも難なく乗せてしまうChamillionaireのラップも見事です。この人かなりの実力派。彼を甘く見ている人は見直したほうが良いですよ。

続いてのAny Other Dayには、大物ノラ・ジョーンズが登場(NY繋がりでしょうか)。現在、主演映画「My Blueberry Nights」(監督はウォン・カーウァイf0045842_21324575.jpgがスタンバイ中のノラ・ジョーンズですが、彼女もラヴィ・シャンカールの娘なのでインドとの混血ですね。ワイクリフGone Till November路線と言ったら良いだろうか?アコースティック・ギターが優しい歌物ナンバー。このノラ・ジョーンズの起用も完璧。この曲もおそらく皆がノラ・ジョーンズに対して抱いている期待に120%応えてくれています。まさしくノラ・ジョーンズらしさが満ち溢れた歌メロのサビが心地良いナンバーですが、歌の内容はカトリーナの被害にあったニューオーリンズの住民が救助の船を待つというもので、その住民の視点で歌われています。正直、タリブ・クウェリのアルバム「Ear Drum」でもノラ・ジョーンズは起用されていましたが、あの曲は地味な出来でいまひとつだったんですが、この曲はバッチリのハマり具合です。

Heaven’s In New Yorkは穏やかなレゲエ・ナンバー。ボブ・マーリィRedemption Songのような曲。「今日が人生最期の日だとしたら、まるで人生最初の日であるかのようなふるまおう。でも俺はまだNYで生きている」という詩的な表現が素敵です。ワイクリフはこういうアコースティックな曲を作るのがとても上手いです。
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次の曲はSelena。イントロで前述のFast Carと同じオーケストラを使ったメロディが流れてきて「ん?」となると、いきなりダンスホールな「ドドドッ」とキックの連打。その後は普通にレゲエ調、そして後半に突如マリアッチなメキシコ風に変わるという無国籍ナンバー。こf0045842_21414422.jpgこで登場するのはメリッサ・ヒメネスという女性シンガー。あまり耳馴染みのない名前ですが、メチャクチャ高い声を出す少しアイドルチックな声質のシンガーです。このタイトルにもなっているSelena(セレナ)とは1995年に24歳の若さで銃弾に倒れて亡くなったメキシコの女性シンガー、セレナ・キンタニーヤ・ペレスの事を歌っており、彼女の大ヒット曲Bidi Bidi Bom Bomのフレーズがサンプリングされています。売れてない時代のジェニファー・ロペスが主演した伝記映画「セレナ」の主人公になった人ですね。あと、曲中に「Reminisce! Reminisce!」とか「Shimmy Shimmy Ya」とかヒップホップ・クラシックなフレーズが飛び出すのも見逃せません。

さて本編最後となる曲Touch Your Buttonはこの大作を締めるに相応しい13分に及ぶ組曲的大曲!3つのパートに分かれていて最初は軽快なダンス・ナンバー、そして次のパートは更に派手になったソカで爆発し、最後のパートではワイクリフがクレオール語で歌うアコースティック・ナンバーで終わるという目まぐるしい曲です。最後を華々しく締める為f0045842_21422062.jpgに登場するのはウィル・アイ・アム。しかしウィル・アイ・アムの声ってあまりにもワイクリフに似ていてインパクトは弱い気も(声以外にも風貌や雰囲気も似てるし)。そして先程のSelenaでも歌っていたメリッサ・ヒメネス嬢や、その他いろいろなシンガー達も登場し豪華な大団円を迎えます。13分という長さを一気に駆け抜けます。このアルバムの「文化の混血」というテーマに相応しいナンバーです。

さて本編はここで終了ですが、日本盤に入っているボーナス・トラック3曲も強力!

On Tourでは、Lucinaという女性シンガーを迎えたインド調ダンスホール・ナンバー。前述のシャキーラと共演したKing & Queenと同じくらい中身のない内容ですが、この曲も十分にフロア対応な出来です。西アフリカのナイという笛がフィーチャーされてます。

そして続くChina Wineが強力!この曲もバウンスしまくるダンスホール・ナンバーですが、ここに登場するのがSunなる女性シンガー、そしてエレファント・マン!そしてトニー・マタロン(右写真)!凄f0045842_21433963.jpgいコンビネーションです。このトニー・マタロンがいて、タイトルが「~Wine」とくれば、当然マタロンのビッグ・チューンDutty Wineを思い出すわけですが、この曲はそのDutty Wineの続編的ナンバー。歌詞でも「チャイナ・ワインとダッティ・ワインをミックスして、悩み事は全部忘れるの」と言ってるくらいだし。そしてエレフェント・マンの参加は昨年のエレフェント・マンのアルバムからのシングルFive-Oワイクリフがプロデュースした繋がりでしょう。しかしこの曲も中身の無さは天下一品のアゲアゲなチューン。確かにこのアルバムの趣旨とは少し離れているので、本編には収録されなかったと思われるが、なかなかフロアライクな出来の曲ですね。

そしてこの曲が正真正銘のラスト。エイコンリル・ウェインが参加したSweetest Girl(Dollar Bill)のリミックス!これが面白い。この曲のフックでも触れられているWu-Tang ClanC.R.E.A.M.のトラックとSweetest Girl(Dollar Bill)のボーカル部分をマッシュアップしたナンバー。なかなか憎いリミックスです。そして単なるリミックスに終わることなくフィーチャリング・ラッパーをもう一人参加させています。そのラッパーが何とWu-Tang ClanレイクォンWu-Tang Clanの最新作「8 Diagrams」のジャケットでは堂々のセンターポジションを獲得!)。
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C.R.E.A.M.に実際に参加していた本人が登場です。レイクォンのドープでハードコアなフロウが、リル・ウェインの軟派なラップなど一撃で粉砕するド渋なヒップホップ!さすがレイクォンです。最後にやってくれました。


さて超長くなってしまいましたが、これにて「Carnival Vol.Ⅱ」の紹介は終わり。
どうですか?聴きたくなりませんか?
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このアルバムに興味持った人、今すぐレコ屋へ走りましょう。
 
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by Blacksmoker | 2008-01-15 20:36 | HIP HOP

WYCLEF JEAN [Carnival Vol.Ⅱ Memoirs Of An Immigrant]


f0045842_21582217.jpg夢と消えたTHE FUGEESの再結成。その再結成が流れた事については残念だが、ワイクリフ・ジョンはその時の為に温めておいたアイディアを全て注ぎ込んで、こんな凄いアルバムを作り上げてしまったのだから、残念ではあるが、非常に嬉しいという微妙な気持ちですね。ただTHE FUGEESの再結成を望んでいるのは大半がローリン・ヒルのファンなわけで、ワイクリフが素晴らしいアルバムを作ったとしても喜ぶ人は少ないかも知れません。しかし、もしローリンが本気になっていたなら、おそらく「The Score」以上の大傑作が生まれていた事は間違いないでしょう。そのくらいこのアルバムの出来は素晴らしい。
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さて今回のアルバムの最大の話題は1997年にリリースしたワイクリフの1stソロ・アルバム「The Carnival」(左写真)の続編という事だ。実は自身の最大のヒットとなる300万枚以上の売上げを記録したあの1stアルバム以降、ワイクリフのアルバム・セールスは右肩下がりだったそうで、どこf0045842_2232346.jpgかのインタヴューで読んだときにアルバム「The Preacher's Son」「Welcome To Haiti:Creole 101」は「売れなかったんだから失敗作だ」という発言をしていたのが結構衝撃的でした。普通よくミュージシャンが言うのは「売れなかったけど、あれは今でも気に入ってるよ」的な発言ですが、ワイクリフの場合は「売れなかった=失敗作」という図式になっているのです。厳しいミュージック・ビジネスでサヴァイヴしてきた音楽プロデューサー、ワイクリフならではの視点ですね。移民出身のワイクリフにとってはそこまでシビアにならないと生き残っていけなかったわけです。
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そういや1997年のアルバム「The Carnival」には「feat. Refugee Allstars」という表記があって、エグゼクティヴ・プロデューサーにはプラズローリンの名前もしっかり表記されていましたが、今このアルバムにはRefugee Allstarsのメンバーは誰一人いません。あのアルバムからわずか10年で一線で活躍しているのがワイクリフ以外いなくなってしまったという現状も非情ですね。ジョン・フォルテとか、どこいったんだ?

さてこの新作。タイトルは堂々の「The Carnival Vol.Ⅱ」。このタイトルからもワイクリフの並々ならぬ意気込みが感じられます。「原点回帰」という意味においても「セールス」という意味においても、彼は一度この「The Carnival」というアルバムに戻らなければならなかったんでしょう。
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今回のアルバムにテーマを付けるとすればおそらく「移民の文化」、もしくは「混血の文化」といったところでしょうか。まさしく異文化の融合という言葉がピッタリくるアルバムだ。自身もハイチ難民2世であるワイクリフ。その彼が今までに経験した事を踏まえた上での社会的なリリックを全面にフィーチャーし、そして各曲ごとに豪華なゲストを招いています。

何と言っても素晴らしいのは全編に渡る楽曲単位の完成度。最近のヒップホップのアルバムなんてシングル曲以外はたいがい捨て曲が多いですが、今作は別格。どの曲を取っても全てシングルカット出来て、しかもヒットが狙える曲ばかりです。しかもかなり揺れ幅の大きいバラエティ豊かな(豊か過ぎる)曲ばかり。どの曲も考え抜かれた曲ばかりで怖ろしく完成度が高い。このアルバムに対するワイクリフのハンパない情熱がヒシヒシと感じられます。


それでは、楽曲紹介といきましょう。

イントロに続き、登場するオープニング・ナンバーRiot。不穏なギターリフをバックに登場するのは何とSystem Of A Downサージ・タンキアン(右写真)、そしてラスタファリの神童シズラ。ロック界とレゲエ界から強烈な個性を持ったクセモノ2人が揃い踏みという異色の組み合わせ。アメリカにおいてはサージもアルメニアf0045842_2217550.jpg人2世という出自を持つ所謂「異文化」の人間だし、シズラもラスタという「異文化」の人間だ。緊迫感を増していく世界の姿を歌っています。ギターリフは何とあのアイアン・メイデンNo More Liesのギターリフのサンプリング!おそらくはサージのアイディアかと思われますが、No More Liesというタイトルも含めてのサンプリングでしょう。ここでアイアン・メイデンについて私に語らせると大変長くなってしまうので止めておきますが、この曲は2003年のアルバム「Dance Of Death」に収録されています(正直最近のは全然分かりませんけど)。このロック・テイストなトラックでワイクリフも含めた3者が凄いコンビネーションを見せてくれます。途中でレゲエ・ビートが飛び出しますが、ここでシズラを使わず、ギターの響くトラックで歌わせているのはなかなか新鮮。サージは相変わらずのオペラティックな歌と早口なラップを自在に駆使したヴォーカルを見せていて不気味です。3者が3様に存在感を見せ付けていますね。曲としてもかなりカッコよく仕上がっています。

1曲目の重厚なロックなナンバーから一転、哀愁のある女性のコーラスにアコースティックなギターが印象的なSweetest Girl (Dollar Bill)。先行シングルとして既にヒットを記録している曲ですが、登場するのはエイコンリル・ウェイン。もはやこのメンツという時点でヒットな約束されたようなもんですが、曲としても非常に良い。この曲が一番ラジオ・ヒットが望めそうな曲ですね。ワイクリフのアコースティックなf0045842_22194485.jpg優しいメロディに、女子受け抜群のエイコン(左写真)のヴォコーダー・ヴォイスに、男前リル・ウェインのラップ。完璧です。特にエイコンの働きは素晴らしいです(彼もセネガル出身という異文化の人間だ)。皆がエイコンに求める期待に120%応えたような、まさに「らしい」働きをしています。フロア受けもラジオ受けもかなり良さげな曲ですが、歌詞の内容はかなりシリアス。金の為に生きる1人の女性を歌った内容で、金が支配する世の中を自虐的に歌ったコーラス部分が、なかなか風刺的。ちなみにコーラス部分では「ウータンが言った通りに言ってやるよ。俺の世界は全て金が支配しているのさ。歌うんだドル札万歳と」というWu-Tang ClanのクラシックC.R.E.A.M.の引用になっています。PVの方もなかなかシリアスな作りになってます。

続くWelcom To The Eastは個人的にこのアルバムのベスト・トラック。ヴァイオリンの旋律が耳を惹くアラビックなトラックに、ワイクリフの「極東の王者に敬意を」というシャウトアウトと共に、前述のオープニング・ナンバーに続いて再びシズラが登場。昨年もアルバム「I-Space」をリリース、1f0045842_22231166.jpg年に3~4枚の新作を出すという驚異のペースを保っていて、まだまだその恐ろしいまでのヴァイタリティは止まるところを知りません。アメリカでは以前にDef Jamと契約し話題となったシズラだが、結局そのDef Jamからはアルバムはリリースされず2006年にデイモン・ダッシュKochからアルバム「The Overstanding」をリリース。そして最近はタリブ・クウェリ「Ear Drum」にも参加していたりと、ラッパーの作品にフィーチャーされるようになってきてますね。この曲はそんなシズラの貫禄のDeeJayをじっくりと堪能出来る素晴らしいナンバーになっています。加えて、かなり耳を惹くヴァイオリンを演奏しているのがネイション・オブ・イスラムの指導者ルイス・ファラカーン。この人がヴァイオリンの神童と言われているのは有名な話だが、このラスタとイスラムという異文化を混ぜ合わせ、なおかつラジオ・ヒットも十分に狙える曲として仕上げたワイクリフの手腕には脱帽です。マジで名曲!

続いてはサウスのキング、T.I.を迎えたSlow Downワイクリフの歌う優しいメロディと掛け合いでT.I.がラップをどんどん繋げていくナンバー。もf0045842_2229215.jpgはやサウスのキングからヒップホップのキングにまでのし上がったT.I.が得意の歌うようなフローを見せてくれています、この曲もヒット・ポテンシャル高し。現在絶賛自宅軟禁中(保釈金は300万ドル!)ですが、悪びれることなく堂々とした警察&FBI批判を展開しています。正直、この曲はT.I.でなくとも、The Gameとかでも十分に機能しそうな曲だとは思うんですが、ワイクリフは意外にもサウス以外のラッパーとのコラボレーションが少ないですね。

さて次はHips Don’t Lieの再来!f0045842_22312228.jpgャキーラワイクリフのコンビによるダンスホール・チューンです。間違いなくあの特大ヒットがなければ生まれなかったであろうこのKing & Queen。この曲だけに関しては、政治的な歌詞はナシで、恋愛ネタで突っ切ります。結構シリアスな歌詞の内容の多いアルバムの中において、Hips Don't Lie以上に内容の無い曲ですが、アルバムの流れを考えたら、こういうダンス・チューンも必要ですね。シャキーラの声も女王の風格が出ていてなかなかイイです。ワイクリフも調子に乗って「俺にはシャバ・ランクスのフローが備わっているぜ」なんて言っちゃってます。またディスられるぞ。

まだまだ豪華なゲストが続きます。Fast Carは異色のコラボ。何とポール・サイモンが登場。この曲が2ndシングルです。物悲しいアコースティック・ギターに車の急ブレーキ音が何度も挿入されるこの曲で歌われf0045842_22322985.jpgるのは「車に関わる死」。すぐにポール・サイモンだと分かるくらいのメロディなんですが、このメロディラインはワイクリフが作ったのかな?TLCに憧れる少女や、独身最後の夜をパーティで祝っている男などの悲しい死のストーリーに、ポール・サイモンが歌うメロディがハマっています。2006年のアルバム「Surprise」も素晴らしかったし、まだまだ現役の力を証明していると言っていいでしょう。余談ですが、ポール・サイモンは個人的にジェイムズ・テイラースティーヴ・アールと共に外見が「残念なこと」になっている人ベスト3なんですが、寂しいのはその外見だけで音楽においてはまだまだ絶倫です。

さて次のWhat About The Babyは皆お待ちかねのコラボレート。新作「Growing Pains」も絶好調のメアリー・J・ブライジの登場f0045842_22342943.jpgです。911のようなシリアス路線か?それとも逆にダンス・ナンバーか?どの路線でくるか不安と期待の中、堂々たるミディアム・ソウルで攻めてきました!ワイクリフの浮気が原因の夫婦喧嘩で警察沙汰になり家の周囲50フィート以内に立ち入り禁止になった時の心境を歌っている何とも情けない内容ですが、曲としてはめちゃくちゃ良いです。メロウな前半から、感情の高まりが爆発する後半などとても素晴らしい仕上がりです。メアリーのソロ・パートもじっくり挟み、姉さん得意のシャウトもバッチリな曲で、メアリー・ファンにとっても大満足な曲でしょう。個人的にこの曲は、再結成THE FUGEESの新作用に作られたんじゃないかと思っているんですがどうでしょうかね?メロディラインもどこかローリンを意識したような気も。まあ今のローリンがこの曲を歌っていたらと思うと不安でいっぱいになりますが・・・。


・・・おっと長くなりすぎた!でもまだまだ素晴らしいナンバーが続く「The Carnival Vol.Ⅱ」

後半は次回紹介!
 
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by Blacksmoker | 2008-01-11 00:48 | HIP HOP

CORNEL WEST & BMWMB [Never Forget : A Journey Of Revelations]


アメリカにおいて黒人であるという事はどんな意味を持つのか?

f0045842_13481080.jpg僕は日本人であり、日本という国に住んでいる。なので日本人ということに対してマイノリティ意識など持ったことがない。しかし多くのアメリカに住む黒人たち(もちろんアメリカ以外でも)は自国においてでさえいまだにマイノリティであり、差別の対象となったり、その人が受けるべき人生の権利でさえまともに享受できていない現状が存在しています。この作品「Never Forget: A Journey Of Revelations」はアフリカン・アメリカンというマイノリティの経験してきた不条理な歴史や文化を改めて啓蒙すると共に、現代社会へ問題提起する近年稀にみる意義のある作品と同時に、凄まじいパワーを持った作品でもあります。

さてこの作品を提唱するのがコーネル・ウェスト。彼はアメリカで最も有名な黒人の1人である。
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1953年生まれのエチオピア系アフロ・アメリカンであるコーネル・ウェスト。現在はプリンストン大学にてアフリカン・アメリカンの歴史研究を行う教授である。彼は1974年にハーバード大学を卒業し、プリンストン大学にて修士と博士を取得。その後数々の著作を発表し、アフリカン・アメリカンの歴史研究の権威として知られる人物です。当時教鞭をとっていたハーバード大学では2200人いる教授の中で14人しかいない「University Proffessor」という最も権威のある地位にいたそうです。2002年にはハーバード大学の学長との内紛で対立し、あっさりとハーバードを辞めてプリンストン大学に移った事件は有名です。
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そんなコーネル・ウェスト教授、相当な論客としても有名でスポークンワード活動も積極的に行っており、2001年にはポエットリー・リーディング・アルバム「Sketch Of My Culture」もリリースしています。

さて今作はコーネル・ウェストにとって3枚目となる作品で、これが教授に賛同するヒップホップ/R & B系のアーティストが大挙して参加した超豪華な内容!!コーネル・ウェストという人物を知らなくとも、このメンツを見ればその凄さが分かります。何たってタリブ・クウェリアンドレ3000ジル・スコットKRSワンブラック・ソートラー・ディガプリンスライムフェストジェラルド・リヴァートなどなど。この名前を見てピンとくる人は間違いなく買った方が良い。この豪華なゲスト陣と共に、全曲に渡ってウェスト教授がスポクン・ワードを入れる構成になっています。もちろんこういう内容の為、歌詞が非常に重要です。膨大な量のリリックなので是非歌詞・対訳の付いた日本盤をオススメしたい。
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このアルバムの一連のトラックを担当するのは、コーネル・ウェストを中心とするプロダクション・チーム「BMWMB」(このBMWMBとはBlack Man Who Means Businessという意味だそうです)。この中には教授の兄であるクリフ・ウェストもいるそうです。

そして今回のこのアルバムのリリース・レーベルが「ヒドゥン・ビーチ」というのもポイントです。98年に元モータウンの取f0045842_13594188.gif締役スティーヴ・マッキーヴァーによって立ち上げられたサンタモニカのレーベルで、ブレンダ・ラッセルカインドレド・ザ・ファミリー・ソウルなどかなり良質なR&Bアーティストの作品をリリースしています。ジャズやソウルを基盤にしながらもヒップホップの感触を持ったサウンドが特徴でもあるこのレーベル。ジャズ解釈によるヒップホップの名曲カヴァー集「Unwrapped」といった人気シリーズもリリースしているなかなか面白いレーベルです。長年ジル・スコットが在籍することでも有名ですね。

さてこのアルバムのオープニングを飾るのは先日の来日公演も記憶に新しいタリブ・クウェリ(右写真)によるBushonomics。レーガン大統領時代の経済政策「レーガノミクス」という言葉を、ブッシュ時代の「ブッシュオノミクス」に言い換えたf0045842_1415796.jpgこの曲ではタリブが先陣を切って経済政策を痛烈に批判。ブッシュの政策がいかに欺瞞であるかを早口のフロウで攻撃。フックに登場する「It’s like jungle sometimes」というリリックはグランドマスター・フラッシュ&フューリアス・ファイヴのクラシックThe Messageからの一節です!最後に教授が登場し「俺たちの手でヒップホップをルーツに戻すんだ」という語りで締められる重厚なる1曲です。

次はAmerica(400 Years)。この400 Yearsという言葉から察しがつくように、これは奴隷制度についての曲。要するに「あれから400年経っても俺たちの状況は何も変わっちゃいない」という怒りの告発です(解説では「ボブ・マーリィが取り上げた」と書いてありますが、これはピーター・トッシュの作った曲だという事は強調しておきます!)。この曲に登場するのはThe Rootsブラック・ソート、そして久々の登場の女傑ラー・ディガ(下写真)、そしてアイリーズの3人のMC。彼らの怒りのライムが抑圧された黒人達の心情を代弁します。
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個人的にラー・ディガはかなり好きなMCで、容姿も完璧、実力も十分なのに成功できないでいるのが非常にもどかしいですね(最近はバスタ・ライムスフリップモード・スクワッドも離脱してしまいましたが、バスタ・ライムス+Jディラのミックステープ・アルバム「Dillagence」では2曲も客演)。しかしドスの利いた迫力のフロウは健在。この登場は嬉しい限りです(ちなみにこの曲の日本語訳ではラー・ディガのリリックが男言葉で訳されているというかなりアホな間違いをしていますが…)。フックを歌うのはラッキー・ウィザースプーン。「Get up, Get up, Get up」というフックはボブ・マーリィ&ザ・ウェイラーズGet Up Stand Upからの引用ですね(この曲もピーター・トッシュ作曲ですよ!)。

f0045842_1483268.jpgDear Mr. Manでは何とプリンス(左写真)が登場。リリースされたばかりのアルバム「Plant Earth」では「お前を愛してるけど、俺のギターほどじゃないぜ!」なんてブッとんだ事をホザいていた殿下ですが、この曲ではかなりの政治的シリアス・モード。シーラ・Eメイシオ・パーカーといったお馴染みのメンバーも参加したミディアム・ファンクな曲です。内容はプリンスが地球レベルでの異変を訴えるプリンスマーヴィン・ゲイWhat’s Going On的ナンバー。プリンスというとどうしても「官能的世界の追求者」というイメージですが、かなりストレートでプロテストな内容で逆に新鮮です。

このアルバムならではのナンバーで非常に面白いのがThe N-Wordという曲。曲というより討論の実況。TV番組司会者のターヴィス・スマイリーをホストに、こちらも大学教授でありラジオ番組司会者f0045842_1412426.jpgでもある論客マイケル・エリック・ダイソン(右写真:かなり賢そうな顔してます)を迎えて、コーネル・ウェストマイケル・エリック・ダイソンが「N-Word」つまり“Nigga”という言葉の使い方の是非について議論を交わす12分にも及ぶナンバー。もう2人でずっと喋り続けています。どういう結論に着地するかは是非聴いてみて欲しいですが、この差別用語であるNiggaという言葉の持つ歴史的背景などがコーネル・ウェスト教授によって語られるところなどはかなり参考になります。この言葉(メソッド・マン&レッドマンの言うところの「Nigganess」)についての2人の知識人による考察がとても興味深いです。

その後も強力なナンバーの目白押し。自らも「エデュテインメント」(エデュケイションとエンターテインメントを合わせた造語)を提唱する御大KRSワン、そして過激な社会派ラップ・グループ、Df0045842_14145698.jpgead PrezからM-1(左写真)を迎えてブッシュ大統領に宛てたメッセージという形で展開する曲Mr.Presidentも見逃せません。特にコーネル・ウェスト教授からマイクを渡されるM-1(ジャマイカ系移民の2世だそうです)のラップのカッコ良さは個人的にこのアルバムの最大の聴き所。超ファストに弾丸のようにライムを詰め込んだM-1のハードライマーとしての素晴らしさを体感出来るでしょう。一方のKRSワンはいつも通りのオールドスクール・スタイルで、唾飛ばしまくる無骨なフローがアツイです(Rage Against The Machineザック・デ・ラ・ロッチャがいかにKRSワンのフローに影響を受けているかが良く分かります)。

その他にもキラー・マイクドゥーイ・ロックを迎えたファンク・チューンKeep’ In It P.I.アンドレ3000とのChronomentrophobia(これはOutkast「Idlewild」に収録されていた曲に教授のパートを加えたもの)など前半はラップ・アクトが続きますが、後半はシンガーもので統一。もちろんヒドゥン・ビーチからのリリースなら看板シンガーであるジル・スコット(下写真)ははずせません。
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軽快な曲調ながら「今どういう状況か分かってる?」というジル・スコットのシリアスなメッセージがズシリと響くWhat Time It Isも聴き応え十分です。その他にもダリル・ムーアがじっくり歌い上げるSoul Sistaや、デヴィット・ホリスターチャッキー・ブッカーという2人のアツい男による強力な歌唱が凄いEverything Gone Be Alright、そして故ジェラルド・リヴァートの魂の篭ったソウルフルな歌声をバックにウェイニー・ウェインがライムするプリンスばりのミディアム・チューンMan Gonna Getchaなどじっくり聴かせます。

そして最終曲What A Matter Of。この曲では何とあのTower Of Powerのヴォーカリスト、レニー・ウィリアムス(右写真)を迎えて、コーネル・ウェストが両親、そして自分の仲間達に感謝を捧げるナンバー。流麗なピアノをバックに歌われるレニー・ウィリアムスの素晴f0045842_14323325.jpgらしい高音の歌声のフックと共に、コーネル・ウェストの渋い声が、今は亡き父親への感謝を語るパートはマジに泣きそうなくらい感動的(個人的にこういうヤツには涙腺が弱いです・・・)。こういう曲を最後に配置して感動的に締めくくるなんて構成は普通ならかなりベタなんですが、曲が素晴らしいため全然OK。この感動的なラストは涙なしには聴けませんよ。

そんなわけで最初から最後まで聴き所が満載のこの作品。是非ともこの素晴らしいミュージシャンが奏でる歌の中に少しでもこの作品に込められたメッセージを受け止めて頂きたい。そしてこんな意義ある素晴らしい作品を作り上げたコーネル・ウェストに最大限の賛辞を贈りたい。アルバム・コンセプトから歌詞の内容、そしてアルバム・ジャケット(この写真は1868年にオランダの艦船ダフネ号上で撮影された奴隷たちの写真だそうだ)など全てにおいて教授のアツい熱意が込められています。
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この作品が1人でも多くの人に聴かれる事を望みます。
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by Blacksmoker | 2007-11-30 00:16 | HIP HOP

BLU & EXILE [Below The Heavens]

これは「2007年版ピート・ロック&C.L.スムース」ではないか!

f0045842_2218251.jpgAloe BlaccとのユニットEmanonでも活躍するトラックメイカーのExile。そしてLA出身のアンダーグラウンドMCのBluの2人からなるこのユニットによる1stアルバム「Below The Heavens」は、「サンプリングのセンスの良さ」、「スクラッチのカッコ良さ」、そしてもちろん「ラップのカッコ良さ」と言った、最近では珍しいくらいにヒップホップを感じさせるアルバムであり、ヒップホップの最も良質な部分を再認識させてくれる素晴らしい傑作です。

Sa-Ra Creative PartnersSteve Spacekなどをリリースしている今最も注目されている重要HIP HOPレーベル「Sound In Color」からのリリースです。Exile(下写真)自身もこのレーベルに籍を置き、自身のソロ・アルバム「Dirty Science」をリリースしています。
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さてこのExileですが、世間では「J-Dillaの意志を継承するトラックメイカー」と言われているそうですが、このアルバム「Below The Heavens」を聴いてみて思ったのが、「J-Dillaというよりピート・ロックやんけ!」って事。

もうドラム・サウンドから、ソウル・ネタの印象的な使い方、スクラッチの入れ方まで、完璧なピート・ロック印(左写真)。大半をf0045842_2301637.jpg占めるメロウ&ジャジーなトラックを聴くと、もうピート・ロックの新作かと思うくらい完成度が高い。しかも完成度が高すぎてピート・ロック師匠を超えちゃった感もあります。もちろんJ-Dillaを彷彿させるあの独特のベースライン(AKAIのサンプラーに入っている周波数音のピッチを極限まで落とし、それをMPCで叩いてベースラインを作る)も聴けますが、やはりJ-Dillaと言うよりもピート・ロック色が強いですね。90年代後半のHIP HOPのあの空気感が漂っています。


そんなExileのトラックをバックにガッチリとマイクを握るBlu(下写真)も相当の技巧派MCです。その声質はC.L.スムースに似ていてやたらカッコイイです(その他にも初期の頃のモス・デフも彷彿させます)。軽やかで流れるようなフローに豊富なデリヴァリーを矢継ぎ早に詰め込んだスタイルはかなりの実力派。
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Juicen’ Dranksという曲では最初から最後まで”ai”という言葉で韻を踏み倒したリリックに久々にアツくなりましたね。(ここまで踏み倒してくれたのはBusta RhymesPut On Your Arms Where My Eyes Could Seeと、三善善三韻道以来です!)更には歌声まで聴かす曲もあり侮れません。

ストリングスをサンプリングしたSo(ul) Amazin’(Steel Blazin’)やソウルフルな声ネタが印象的なIn Remembrance Of MeMiguel Jontelなるシンガーを迎えたCold Heatedなど、とにかくソウルフルなトラックが素晴らしい。
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終盤の目玉となるのはPart1とPart2に分かれたThe World Is (Below The Heavens..)。Part1はNASのクラシックThe World Is Yours(これもピート・ロック制作ですね!)の中の必殺パンチライン「Whose world is this?」の声ネタをサンプリングし、Ghostface KillahBe Easyばりにバンギンするチューン(このBe Easyピート・ロック師匠作!)。そして一転してPart2ではゴスペル・コーラスが入って崇高に盛り上げる感動的な曲に仕上がってます。

この作品によってBluOthelloMoka Onlyなどの優れたアンダーグラウンドMC達と並ぶ存在として認識される事になるだろう。そしてExileJ-Dilla亡き後のデトロイト・サウンドの後継者として更なる評価を得るだろうし、今後シーンにExileプロデュースのビートが増えるのは間違いないでしょう(ピート・ロックと比べれば格段にギャラは安いし!)。
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とにかく素晴らしいアルバムです(ジャケも含めて)!ピート・ロックJ-Dilla、そしてSlum Villageなどの音が好きなヘッズはマストです。それ以外でもTalib KweliCommonなどのMCが好きなヘッズにも十分にオススメできるアルバムですよ。
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by Blacksmoker | 2007-11-18 00:07 | HIP HOP

SA-RA CREATIVE PARTNERS [The Hollywood Recordings]


Dr.DreDJ PremierSwizz BeatzThe NeptunesKanye Westなど独自のサウンドで一時代を築いたヒップホップ・プロデューサー達。そしてその次に来るのはこの3人であることは間違いない。これf0045842_262895.jpgから様々なアーティストのアルバムで彼らの名を聞くことになるだろう。Sa-Ra Creative Partnersサーラー・クリエイティヴ・パートナーズ)のサウンドはヒップホップのNextスタンダードを提示する。そのサーラー・クリエイティヴ・パートナーズの新たな一手となるこの1stアルバム「The Hollywood Recordings」。まずは彼らの名刺代わりの1枚。ここにはヒップホップの次なる潮流を生み出すサウンドが詰まっています。

このサーラー・クリエイティヴ・パートナーズというのは、タズ・アーノルド(Taz Arnold)、シャフィーク・フサイン(Shafiq Husayn)、オンマス・キース(Om'Mas Keith)という3人のプロデューサーによるチーム。それぞれが実は錚々たる経歴の持ち主で、タズなどはDr.Dreのクリエイティヴ・コンサルタントとして1999年のクラシック「2001」にも参加しているそうです(アルバム・クレジットにその名前は見当たらないけど・・・)。
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それぞれが楽器を担当するのはもちろん3人ともヴォーカルまでこなすというマルチ・プレイヤーによる三者三様のスタイルが混ざり合ったサウンドなので、非常に幅広い要素を持っています。しかし、一貫して彼らのサウンドを特徴付けているのが「キーボードによる音作り」。Neptunesがどちらかと言うと打楽器的なパーカッシヴなサウンドを得意とするように、Kanye Westがソウルのサンプリングを得意とするように、Dr.Dreがビートとベースの「鳴り」を重要視した重厚なサウンドを得意とするように、サーラー・クリエイティヴ・パートナーズの得意とするのはキーボードによるサウンドだ。主にシンセサイザーや、エレクトリック・ピアノ、そしてフェンダー・ローズなどを使ったサウンドを基盤としている。曲のバックでは必ずと言っていいほど「ビョ~ン」とか「ピロピロ~」といった浮遊感のある音が鳴っています。
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彼らの音は、P-ファンク・サウンド(特にヴァーニー・ウォーレル)に影響を受けているのが良く分かる宇宙的で浮遊感のあるサウンドです。そしてP-ファンクだけではなく、Jay-Dee以降のあの無機質なドラムビートの後継者でもあります。日本のJay-Dee信者が挙って飛びついたサウンドという情報は誤りではなかったですね。あと、プリンスにも影響を受けているのが分かります。

f0045842_2122866.jpgさてそんなサーラー・クリエイティヴ・パートナーズのアルバム「The Hollywood Recordings」ですが、実はこのアルバムは当初Kanye Westのレーベル「G.O.O.D」からリリースされる予定でしたが、直前になって急遽インディ・レーベルの「Babygrande」からのリリースとなった曰くつきのアルバム。実は以前にサーラー・クリエイティヴ・パートナーズが「G.O.O.D」に加入した事が発表されたにも関わらず、なかなかリリースが滞っていたのですが、どうやら先日「G.O.O.D」との契約は解消になったみたいですね。残念。

しかしこのアルバム、インディ盤だからといって侮るなかれ!もの凄いクリエイティヴィティ溢れる音だし、さらにゲスト陣もまったくもってメジャー盤と遜色ナシの豪華さです。そんなゲストに名を連ねるのは、エリカ・バドゥタリブ・クウェリビラルクラプトファロア・モンチカポーン& N.O.R.EそしてJディラJay-Dee)などなどそうそうたるメンツ。これだけでもフツウなら買いでしょう。まったくインディ・リリースという事が残念なくらい。ゲストの参加していない曲では3人でヴォーカルを担当しており、そのファルセット・ヴォイスが素晴らしく、まるでプリンスを彷彿させます。

注目は、やはりシングルにもなったタリブ・クウェリを迎えたFeel The Bass。Tf0045842_216141.jpgR-808ドラムマシンによる少しオールドスクール的なビートにタリブのファストでストレートなラップが映える傑曲です。その他にはエリカ・バドゥ(右写真)のあの独特な歌声を贅沢にもコーラスに配置したメロウなFly Away。バックで鳴るギターの音もプリンスばりです。女性シンガーRozzi Daimeを迎えたキャッチーなソウル・ナンバーSo Specialでは、Rozzi Daimeの伸びやかなヴォーカルをメインにサーラーの3人がコーラスに回ってガッチリと曲を引き締めています。曲構成が非常に上手いですね。このRozzi DaimeTracyという曲でもヴォーカルを執っておりここではラップも披露しています。かなりクールな声でカッコイイので今後注目ですね。キャッチーでカワイイLadies Singなど女子ウケの良い曲がたくさんあります。

一方、野郎共が注目なのはファロア・モンチによるFish Fillet。この曲なんかモロにJay-Dee以降のサウンドを継承したビートで、そこにあのファロア・モンチの痺れるフロウが切り込む様には血が騒ぐ事マチガイナシ。さらに最終曲Thrillaでは何と故J ディラ(Jay-Dee)のラップをフィーチャーした派手なパーティ・チューン。ヘッズは男泣き確実です。

インディ・リリースとは非常にもったいないこのアルバム、ヒップホップ、R&Bファンはマストなアイテムです。次なるヒップホップ・スタンダードはサーラー・クリエイティヴ・パートナーズです。そして音だけでなく、彼らのファッションにも注目して欲しいですね。
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ちなみに9/2より待望の来日公演を行うこのサーラー・クリエイティヴ・パートナーズですが、来日メンバーはタズ・アーノルドオンマス・キース2人のみ・・・。バック・バンドには日本からCro-Magnonがサポートするという変則的な編成。しかもタズオンマスの2人はヴォーカルのみ担当ということらしいです。ゲスト・ヴォーカルには前述のRozzi Daimeと、アルバムにも参加しているサーラーが全面バックアップしてアルバム・デビューを果たす女性シンガーErika Rose(下写真)も参加するそうですが・・・。
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果たしてこのライヴはどうなんでしょうか・・・。
 
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by Blacksmoker | 2007-09-04 01:39 | HIP HOP

随喜と真田2.0 [Walk This Way 58](罰当たRemix)[CD-R]


餓鬼レンジャーポチョムキン(a.k.a. Freaky随喜)と、元マイカデリック真田人(a.k.a. 真田2.0、またの名をサナディアンマン)によるスペシャル・ユニット「随喜と真田2.0」!
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もう聴く前からどうしようもなさ加減が漂うこのユニットですが、9月のフル・アルバム発表を前にこんな凄いシングルをカットしてきました!

タイトルはWalk This Way 58!何が58なのか?一体どういう意味か分かるでしょうか?答えは単純です。この曲にf0045842_23431519.jpg加したラッパーの人数なのです。え?58人?と思われた方、その通りです!いや、もうそのまんまなんですが、この曲は58人のラッパーが参加している、ヒップホップの歴史上最も参加人数の多いポッセ・カット!!2000年にリリースされたGathering Of The All Stars名義のWe Are The Wildという曲も、38人という人数のラッパーが参加してましたが、今回はそれを20人も上回っちゃってます。実に1曲19分というトンでもない曲。この随喜作のジャケットも意味不明です。

では参加ラッパーをマイクリレー順に記載しておきます。

・随喜
・YOSHI(餓鬼レンジャー/ULTRA NANIWATEC MC’S)
・MR.O.K.I. (ULTRA NANIWTIC MC'S)
・KEN-1-ROW(DA VOLCANOS/DOSMOCCOS)
・DJ FUKU(ULTRA NANIWTIC MC'S)
・HIDADDY(韻踏合組合)
・TOMOGEN(DORBELMAN INC)
・MONCHI(ABNORMAL BULUM@)
・COYASS(KOUZUI/MIC BANDITS)
・GATTSUKIMAN (T-CITY BOYS)
・K-ONE (LARGE PROPHITS)
・AGURI (LARGE PROPHITS)
・TOKI (LARGE PROPHITS)
・ARAKEN (SMC)
・DOO (SMC)
・万寿
・DEJI
・バケラッタ(トリカブト)
・清水USK(WOLF PACK)
・井上ヴォルフガング(WOLF PACK)
・エムラスタ(ROMAN CREW)
・村上水軍
・アンジキジョイ(ABNORMAL BLUM@)
・ラップマ二アック
・チャカパーン
・DARTHREIDER
・KEN THE 390
・CUTE(大和民族)
・INDARA(大和民族)
・環ロイ
・TARO SOUL
・HOOK
・ARK(走馬党)
・SKIPP (走馬党)
・Q (走馬党)
・GHOST-P
・JUGEMU (MMT)
・NG HEAD
・MIC大将(ZZ PRODUCTION)
・NAM (タサツ)
・ZIM BACK (INSIDE WORKERS)
・W-MOUTH (INSIDE WORKERS)
・SUPER-B (INSIDE WORKERS)
・GASS(INSIDE WORKERS)
・NAGANSERVER (ABNORMAL BLUM@)
・MEKOLI (げんこつ)
・k@zzzy (げんこつ)
・ボジョ (げんこつ)
・GOUKI(CAMEL BACK)
・TARO(4wd RECORDS)
・HIDENKA(GARBLE POOR!)
・KM-MARKIT(UBG)
・AMIDA
・HIDADDY(韻踏合組合)
・ERONE(韻踏合組合)
・遊戯 (韻踏合組合)
・SATUSSY(韻踏合組合)
・真田人

いやぁ、3分の1くらい聴いた事ないラッパーですね。

この58人のラッパー達がそれぞれ8小節ずつ間髪入れず次々に登場するこの曲。もう聴いてるだけで吐きそうなくらいの満腹感に襲われます。なんたって、いつまで経っても終わらないんです!CDを早送りしても19分なんてなかなか進まないですよフツウ。っとか言いながらも、ついつい最後まで聴いてしまうんですが、いやぁ実に濃いです(なぜかHIDADDYが2回も入ってます)。しかもテンション高すぎるため、聴き通すのに相当な体力を要する曲と言ってイイでしょう。疲れている時、体調の悪い時には聴く事は決してオススメしません。

今回のシングルに収録されているWalk This Way 58。オリジナル・ヴァージョンは9月のフル・アルバムに収録されているそうだが、今回のシングル・ヴァージョンに入っているのはアルバムに収録されていない2ヴァージョン。1つ目の「Beat奉行side」はトラックに主に90年代ロックのビートを使ったロッキン・ヴァージョン。3~4人のラッパー毎にRage Against The MachineNirvanaRed Hot Chili PeppersChemical BrothersThe OffspringLimp BizkitFatboy Slimとかの御馴染みのロッキンなビートが入れ替わる最高のパーティ・トラック!
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そして注目は、2つ目の「DJ BOLZOI side」。これはアイスバーンDJ BOLZOIによる、何とヒップホップのクラシック・ビートを58曲使用したリミックス!要するに、58人のラッパー毎にそれぞれ58曲のヒップホップのクラシック・ビートが飛び出すトンでもなく気の遠くなるような手間の掛かったリミックスなんです!オールド・スクールからニュー・スクールまで様々なクラシック・ビートが飛び出し昇天確実。正規リリースではなく、CD-R作品ならではのヤリタイ放題感が出まくってます。正規リリースなら確実にサンプリング許可が出ないでしょうね。ARKのヴァースでビートがPete Rock & C.L.SmoothThey Reminisce Over Youが出てくるところなんてあのサックスの音が聴こえてくるだけで個人的に顔がニヤけまくりでした。

しかし、参加ラッパーも大変ですよね。たった8小節で自分の存在感をアピールしないといけないわけですから。そういう意味ではWOLFPACK清水USKTaro Soulや、神戸を中心に活動するクルーABNORMAL BLUM@所属のラッパー、アンジキジョイMONCHIなどが僅か8小節でありながらも自分の存在を上手くアピールする事に成功しているでしょう。この3 MC & 3 DJの6人組ABNORMAL BLUM@(下写真)は今かなり注目のクルーです。
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このシングル、正規リリースではなくCD-Rでの発売なので現在のところ東京の恵比寿のレコード店wenodでしか手に入りませんが、ネットでも注文出来るので是非手に入れて聴いてみて下さい!価格は¥500です。僕に会える人なら直接言ってくれれば焼いて上げますよ!フレッシュ!!!
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by Blacksmoker | 2007-09-02 00:02 | HIP HOP

CANDLE [街角ジゴロ]


この男を初めて観たのは2005年3月に京都で行われた「Nyoron Festa」MSCSD JUNKSTAサイプレス上野とロベルト吉野韻踏合組合カルデラビスタメテオAri1010MAKKENZなどキャラも我も強いアクトが続々と登場したイベントで、実は最も印象に残ったのがこのソロマイカー、CANDLEでした(カルデラビスタなんて、この頃は全く印象に残らないMCでした・・・)。
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男前で、どっちかと言うとチャラい風貌ながら、そのマイクから放たれる声は非常にクリアで聴き取りやすく、しかもそのリリックは鋭く突き刺さる攻撃性を持っていました。そのライヴで披露された街角ピエロという曲はその時点ではリリースもされていないく初めて聴いた曲でしたが、その後もずっと耳に残って離れませんでした。そしてそれから半年後にMary JoyからCANDLEの1stシングルとしてその曲街角ピエロがリリースされたわけですが、この曲はもう死ぬほど聴き倒しました。不穏なピアノとウッドベースにエレクトロニックなビートと奇妙なラッパの音を被せたシンプルだが無骨なトラックに、どぎつい言葉をこれでもかと詰め込み、たたみ掛ける怒涛のリリックに完全にノックアウトされましたね。

f0045842_1455710.jpgその衝撃の1stシングルから1年半。CANDLEの1stアルバム「街角ジゴロ」が遂にドロップされました。実はこのアルバムは2007年3月に既にリリースされていて、私も速攻で手に入れて聴きまくっていましたが、あまりにもそのリリックの情報量の多さの為、消化するのにかなりの時間を要してしまって紹介するのが遅れてしまいましたが、これは個人的に2007年の日本のヒップホップのアルバムではぶっちぎりの傑作です。スキルの高さ、トラックの素晴らしさ、リリック内容の濃さなどどれをとっても最高峰。このCANDLE、1980年代生まれの東京を拠点に活動するMCということ以外は正直かなり情報が少ないのですが、BLACKSMOKERが最も注目するラッパーであります。

CANDLEのリリック内容は、降神のように童話的で郷愁的なメルヘン・トリップなものでもなく、MSCのようなリアルなギャングスタ・ライフを切り取ったものでもない。彼のリリックは主に25~35歳のいわゆる「ロスト・ジェネレーション世代」(要するにニート誕生世代、団塊ジュニア世代)の、どうしようもない閉塞感や憂鬱感をぶちまけ、そしておもいっきりやる気のないヘタレな心情を吐露する。その風貌からは軟派なイメージで見られるが、実はその文学的言い回しなどはかなりの知性を感じさせます。聖人君子的なリリックと俗にまみれた廃人的リリックが見事に同居しているのです。お決まりの「Sucker MCモノ」や「俺がNo.1だ」的なリリックはないのでご安心を。
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リリック内容も凄いですが、やはりラッパーとしての声の際立ちも強調しておきたいポイントです。クリアで切れ味の鋭いその声はラッパーとして重要。例えるならMummy-DとかRINO、最近ならKEN THE 390のような「声がカッコイイ」MCでもあります。その鋭さなどは全盛期のRINO並みのかっこよさですね(RINO LATINA Ⅱ改名後はどうしようもなくオワってますが・・・)。

トラックはari1010DJ Top BillKK、そしてVector Omega(a.k.a. Shing02)など様々なプロデューサーが一流のトラックを提供。magiなるプロデューサーが最多の5曲を手掛けていますが、このmagiという人はロサンゼルスのプロデューサーだそうです。かなりヤバいトラックを提供していますね。全体的にどこか近未来を感じさせるトラックで統一されています。innner science制作のエレクトロニカなトラック心変わりマジカルなんて、朝日のように穏やかなトラックの雰囲気とリリックが見事にハマっていて素晴らしい。
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そしてこの膨大なリリックを詰め込んだアルバムですが、フィーチャリングMCはRUMIが参加したバケ猫!!以外は一切ナシ。全ての曲がCANDLEマイクのみという潔さ。ほとんど1MCでアルバム全部を聴かすラッパーとしての技量は見事なものです(最近のラッパーでこんな事が出来るのはOZROSAURUSくらいなものでしょうか)。

これはストイックでストレートな見事なラップ・アルバム。ヘッズは絶対チェック!

 
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by Blacksmoker | 2007-08-31 00:13 | HIP HOP

RUMI [Hell Me Why??]

今かなり勢いの出てきている日本のアンダーグラウンド・ヒップホップ・シーン。一時期は完全に下火になっていたこのシーンも最近はかなり活発で嬉しい限り。しかも「BLAST」誌休刊というネガな話題も関係なく、アツいアーティストの作品がリリースされていますね(その意味では今までいかに「BLAST」という雑誌の力が無力だったかが証明されてしまったわけですが)。

そんな中で今回紹介するのは、RUMIの新作「Hell Me Whf0045842_18270100.jpgy??」。非常に力作に仕上がっています。前作の1stアルバム「Hell Me Tight」において、そのハードコアな姿勢で存在感を見せ付けたRUMI。今回はなんかジャケットが前作と違って可愛らしいものになっていて、一瞬ビックリしましたが、ハードコアな姿勢は全く変わってません。そして前作よりも余裕感のある作風でバラエティに富んだ内容になってます。グサッと胸に突き刺さるRUMIの鋭利なリリック描写は今回もギラリと光っています。

1978年生まれ。高校時代に妄走族般若、そしてDJ BAKUと共にヒップホップ・ユニット「般若」を組んでいf0045842_1829366.jpgたという話は有名だが、彼女の名前が浮上してくるのは2004年の1stアルバム「Hell Me Tight」から。RUMI曰く「溜まっていたものを吐き出した」このアルバムで強烈なリリックとスキルで一気に注目を浴び、その後MSCDJ BAKUとのコラボレーションでもヘッズにその存在感を確固たるものにしたと言っていい。アンダーグラウンドで生き抜く女性ならではの視点でのかなりドぎついリリックが個人的には印象的。特に浮ついた同性に対する辛辣な警告や、バカな男に対する強烈なDisは耳が痛いです。(亡霊パピー」「アキメクラ」「Beautiful Lifeなどは必聴です。)

さて「HELL3部作」と言われるプロジェクトの2作目にあたるこの「Hell Me Why??」ですが、トラックメイカーにレベル・ファミリアGOTH-TRAD(前作の「Mad Raver’s Dance Floor」は超強力盤!)なども迎えて揺れ幅の大きいトラック群が目を引きます。グライムのようなダンス・トラックをも余裕で乗りこなすRUMIがカッコイイですね。そして更に顕著になった様々な声色を使い分けるラップの表情が凄い。ドスの利いた低音で凄む声、高音域で叫ぶカナきり声、普通のカワイイ女の子のような優しい声など様々な声を使い分けて曲の表情を非常に感情豊かなものにしています。
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さてそのアルバムの中でもやはり出色なのは2005年に既にアナログ12インチでカットされている極楽都市。今回CDでは初収録。トラックはTHA BLUE HERBからO.N.O.が担当。ゲストにはMSCよりO2!最近のO.N.O.の音でも顕著な4つ打ち風のトラックに首都東京のかくれた裏側をエグるRUMIO2のリリックが凄いです。ここでの注目はやはりO2(左写真)。MSCの中でもイルさにかけては随一の彼の、気持ち悪いフローと強烈なパンチラインf0045842_1835537.jpg即死です。エヴィス・ビーツとコラボしたO2のソロ曲畜生とか、最近ではSHINGO☆西成のアルバムにも収録されている不適切な発言でもfeat.されてて強烈なパンチラインをカマしてましたが、もうイル過ぎますO2は。「高台にて高笑いするファミリー  レンタカー内の練炭で焚き火」とかヤバすぎて笑えないくらい。個人的に現在最もヤバいMCだと思います。

その他では、同じくMSCからPRIMALが参加したFever!GOTH-TRAD制作)もヤバいですね。グライミーなビートで暴れるPRIMALのハジケぶりが凄いです。「金はないけれど常にハイ」の連呼が強力。そして都会の幻想を暴くリリックとメロウで流麗なトラックのあさがえり藤圭子三上寛も歌った「夢は夜ひらく」のRUMI版リメイクR.U.M.I.の夢は夜ひらくMic Jack ProductionからDJ DOGGを迎えたピアノのループにストイックなヒップホップ・ビートが物悲しいZEROなど力作揃い。
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そして最終曲CAT Fight!!。アナログ・シングルにもなっているこの曲ですが、いやぁ強烈です!SKEによる不穏なピアノの音をサンプリングしたトラックに、セレブ願望の女を猫に見立てた超ドぎついリリックが炸裂です。「クソナスに捕まるな 毎日毎日ツメを磨けよ!」というコーラスがコワ過ぎます。

ジャケットからは想像できないエグい内容ですが、一聴の価値あり!アンダーグラウンド・ヒップホップ好きだけでなく、ロック寄りの人にも充分ガツンと喰らわせられる内容です。是非チェックして下さい。

ちなみに1stアルバム「Hell Me Tight」のジャケットはコレ↓
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全然雰囲気が違いますね・・・・。
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by Blacksmoker | 2007-06-21 00:13 | HIP HOP