カテゴリ:JAZZ( 14 )

THE JAZZINVADERS [Blow!]


f0045842_13321846.jpgこの「Blow!」というタイトル。日本語で言うと「吹くぞ!」的なニュアンスだろうが、個人的には「吹きまくり!」と訳したほうがピッタリ来ますね。以前に「現在のジャズ・シーンを牽引しているのはイタリアだ」と言いましたが、オランダも負けてない。そんなオランダのザ・ジャズインヴェイダーズの2ndアルバムは最高にクールで踊れる極上のハードバップ・ラテン・ジャズに仕上がっている。

オランダの新興Jazzレーベル「Social Beats」を主宰するフィル・マーティン率いるこのザ・ジャズインヴェイダーズ
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2006年に「Up & Out」でデビューした時はジェラルド・フリジーナハイ・ファイヴ・クインテットなどのクラブ・ジャズの系譜のバンドの一つとして捉えていたが、2年振りとなるこの新作「Blow!」において更なるスケールアップを遂げ完全にオリジナリティ持ったジャズ・バンドとなったと言っていいだろう。

「Blow!」というタイトルに偽りなしのハードバップ・スタイルでアルバム全編トバしまくるのですが、それだけに終わらないのがこの新作の成果だ。まずは前作にも参加していた女性シンガーのリンダ・ブローエムハード(下写真中央)が正式メンバーとして迎えられているのが大きい。
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Idea 6に正式加入した女性シンガーのフランチェスカ・ソルティーノの成功例もあるように、女性シンガーを迎えることにより各曲がより際立ち、曲としてのインパクトも大きくなる(更にライヴではその役目は重要になる)。そのリンダ・ブローエムハードのキュートな歌声が楽曲に新たな躍動感をもたらしている。リンダ以外にもゲスト・ヴォーカルを迎え各曲を彩っていますね。

そして更に驚かされるのが今回のアルバムはとにかく楽曲の質が高い!ヴォーカルの入っていない曲でもかなりの躍動感を持ったハードバップなラテン・ジャズ・ナンバーが最高にカッコイイ。その他にも耳を惹くメロディを持った際立つ楽曲が満載だ。曲を手掛けるのは、このバンドのリーダーでもあるフィル・マーティン(下写真)。彼のセンスが光っています。
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彼の主宰するレーベル「Social Beats」が送り出す作品は素晴らしいものばかりで、これから要注目のレーベルです。

1曲目のThe Sun In Motionから驚異的なかっこ良さ!ラテン・パーカッションの連打からスタートしピアノのメインフレーズが被さり、更にそのフレーズをトランペット&サックスが被せてくるオープニング。これだけでも数あるクラブ・ジャズ・バンドの中でも最高峰とも言えるかっこ良さ。ラテンのリズムと流麗なピアノ、そして感情を昂ぶらせるハードバップの響き。この曲だけでも充分に購入に値するアルバムだ。
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この後も緩急使い分けた楽曲でアルバム全体を全く飽きさせる事がない。ハードバップで押しまくる曲もあればモーダル・ジャズのようなスピリチュアルな雰囲気を持った曲もある。ラストのWhat The Bleepなんかはソウル/R&B的なヴォーカルをフィーチャーしたラテン・ジャズで新境地を見せます。ヴォーカル曲が非常にキャッチーで親しみやすいのは個人的には大賛成ですね。
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最近は「クラブ・ジャズ」というものの是非が議論されているみたいですが、そんなのは聴いた人がそれぞれで判断すれば良いと思うし、この素晴らしい新作「Blow!」の前には不毛な議論と言えるだろう。

是非ともBlowされまくって下さい。
 
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by Blacksmoker | 2008-08-13 13:02 | JAZZ

idea6 [Steppin’Out]


イタリア屈指のジャズ・コレクターにしてDejavu Recordsのオーナーであるパオロ・スコッティが仕掛けるプロジェクト「idea6」(イデア・シックスと読むようです)。

f0045842_22133935.jpg先日リリースされたばかりのidea6の2ndアルバム「Steppin’Out」が素晴らしいので紹介しましょう。以前にマリオ・ビオンディを紹介した時に「現在のジャズ・シーンを牽引しているのは間違いなくイタリアだ」という事を言いましたが、まさにそれを証明するようにこの作品も充実しまくっています。クラブ・ジャズという括りに否定的な古参のジャズ・ファンも十分納得させられる素晴らしいサウンドです。

そもそもこのidea6というのは新旧イタリアのジャズ・シーンの名手が揃ったユニットで、その名の通り6人組。そこに名を連ねるメンバーの顔触れが凄い。まずはイタリア・ジャズ界の黎明期を支えた人物であるサックス奏者のジャンニ・バッソ(下写真)。
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1950年代後半から1960年代にかけてオスカル・ヴァルダンブリーニと共に「バッソ=ヴァルダンブリーニ・クインテット」を率いて活動したイタリア・ジャズ界のレジェンド。イタリアのジャズを語る時に絶対に欠かせないこの「バッソ=ヴァルダンブリーニ・クインテット」。初期の頃のアメリカのウェスト・コーストの影響下にあるサウンドから脱却しイタリアならではのテンポの良いハードバップ・サウンドを確立した超重f0045842_22191826.jpg要バンドである。彼らの作品はまだCD化がされておらずファンの間ではアナログ盤が既にレア盤化していましたが、先日1967年録音の「Exiting 6」(左写真)が世界初CD化されファンを涙させたばかりです。ちなみに日本人としては耳馴染みなのは懐かしの「アメリカ横断ウルトラクイズ」の曲!この曲はおそらくかなりの人間が耳にしているでしょう!これはバッソ=ヴァルダンブリーニ・クインテットの1960年録音の「Walking In The Night」に収録されているCrazy Rhythms(試聴はココで!)。オリジナル盤は激レアだが、Dejavuから再発されてますので見付け次第即ゲットして下さい!

そんなジャンニ・バッソ、1931年生まれなので現在76歳!そんな彼がidea6のフロントを務めます。最近ではイタリア・ジャズ界の若手実力派トランペッターのファブリツィオ・ボッソと「バッソ=ボッソ」名義でアルバムもリリースしており、いまだバリバリの現役です。

そしてもう1人、idea6のフロントを務める人物がトロンボーン奏者のディノ・ピアナ(下写真)。
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ジャンニ・バッソと共にバッソ=ヴァルダンブリーニ・クインテットでも活動したこちらもレジェンド。ちなみにディノ・ピアナは1930年生まれなので実に77歳です!

最後にもう1人、バッソピアナと共にフロントを務める3人目の人物がトランペット奏者のグイード・ピストゥッチ。彼も60年代に活躍したミュージシャンだ。

そんな超高齢な3管をフロントに据え、そのバックでドラム、ベース、ピアノを務めるのが親と子ほどの歳の離れた3人のミュージシャン(ちなみにドラマーのステファーノ・バグノーリ(下写真)は前述のバッソ=ボッソのレコードでもドラムを務めています)。
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まあ要するにフロント3管はおじいちゃんなんです。しかしアスリートと違ってミュージシャンというものは年齢を重ねる事によって、より素晴らしい作品を残します(ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブが良い例ですね)。このidea6も例外ではない。トロンボーン、サックス、トランペットという3管の出す音が素晴らしいのです。もはや若さ漲る鋭いプレーではないが、実に豊潤で余裕のあるサウンドで、聴いていると実に贅沢な気分にさせてくれます。転がるように滑らかなジャンニ・バッソのサックス、渋すぎる低音の響きを利かせるディノ・ピアナのトロンボーン、印象的なメロディを奏でながら自由に駆けるグイード・ピストゥッチのトランペット。素晴らしいではないですか。

更に輪をかけて素晴らしいのがピアニストのアンドレア・ポッツァ。(下写真)
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もう全てのフレージングが反則かってくらいの感涙のプレイ。跳ねるようなピアノが実にフレッシュな空気を送り込んで、このidea6のサウンドを全く新しいモーダルなサウンドにしているのは間違いない。今回のアルバムで唯一ポッツァが作曲したDance Of The Cricketsの素晴らしさと言ったら!何たるロマンティックで想像力を掻き立てる曲だろうか。上品さと躍動感が見事に同居した超名曲。跳ねるピアノに、3管のハードバップな音がかぶさるオープニングは何度聴いても鳥肌が立ちます。

今回のアルバムには、3曲にボーカリストとして女性シンガーのフランチェスカ・ソルティーノ(下写真)が参加していてこれまた見事な歌唱を聴かせてくれています(良い意味でクセの少ない声ですね)。
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オープニングを飾るマイルス・デイヴィスTune Up(この曲はバッソチェット・ベイカーと録音したものの再演です)でのフランチェスカのボーカルは、この曲に全く新しい生命を吹き込んでいます。途中で披露されるスキャットも完璧です。最終曲のガーシュインのスタンダードIt’s Necessarily Soでの歌声も気高くもありセクシーでもあり素敵です。

さて一時的プロジェクトと思われたこのidea6ですが、前作より更に躍動感溢れるサウンドをこの作品では聴かせてくれます。アメリカのジャズの影響を受けながらも、イタリア独自のハードバップを追求した「粋」な感覚が溢れていてめちゃくちゃクールです。最も古いミュージシャンによる最も新しいモーダルなジャズを堪能してもらいたい。
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そしてそのidea6、今週末遂に単独来日公演を行います。ジャンニ・バッソディノ・ピアナグイード・ピストゥッチというフロント3管はもちろん、ボーカルのフランチェスカ・ソルティーノも参加のこの公演。こんな凄いメンバーが観れるなんて!Dance Of The Cricketsが生で聴けたらもう死にそうです…。
 
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by Blacksmoker | 2007-12-06 00:35 | JAZZ

MARIO BIONDI [Handful Of Soul]


現代のジャズ・シーンを引っ張っているのは間違いなくイタリアだ。

ニコラ・コンテをはじめとして、ジャンニ・バッソディノ・ビアナ擁するidea 6など現代のジャズ・シーンにおいてイタリア人ジャズ・ミュージシャンの数々の素晴らしい演奏が収められた作品が、ジャズ・シーンを席巻している状況に異論がある人はいないでしょう。

その現代のジャズ・シーンにおいて「クラブ・ジャズ」という括りで語られるレーベル「Schema」(スケーマ)。2006年はこのレーベルの創始者であるルチアーノ・カントーネパウロ・フェドレギーニマルコ・ビアンシと組んだユニットThe Invisible Sessionsで素晴らしい1stアルバムをリリースしました。たしかそのアルバムがリリースされた時にルチアーノ・カントーネが雑誌のインタビューでこんな事を言っていた。

次にSchemaからリリースするのはマリオ・ビオンディという男性シンガーのアルバムなんだ。

Schemaが男性シンガーのアルバムを出すなんて珍f0045842_145294.jpgしいなと思いましたが、それから約一年。その男マリオ・ビオンディの1stソロ・アルバムとなる「Handful Of Soul」がリリースされたわけですが、これがSchema史上最大のヒットを記録。イタリア国内だけでも2万枚の売上げを記録しているそうです。このジャケットに写るスキンヘッドのオッサンがそのマリオ・ビオンディ。あまりSchemaらしくないジャケットが異色ですが、これが文句なしにカッコ良いジャズ・アルバム!これは是非とも全ての人にオススメしたいジャズ・アルバムです。

このマリオ・ビオンディは、1970年生まれの37歳。イタリアのシチリア島出身。身長は何と190cmもあるそうですね。Was A Beeというユニットのボーカリストでもあったそうです。
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この人の特徴は何と言ってもその魅惑的な声です。まるで60歳くらいの大物ソウル・シンガーのようなディープさ、そして野太いワイルドな歌声がもう最高にカッコイイのです!少しハスキーでド渋なロウ・ヴォイスが堪りません。

これだけでも十分に鑑賞に余りある素晴らしさなのですが、このアルバムにはもう一つのジャズ・ファンには堪らない重要なトピックがあるのです。それはマリオ・ビオンディのバックの演奏を務めるのが、イタリアの若手実力派5人組ジャズ・クインテット、「ハイ・ファイヴ・クインテット」(下写真)なのです!
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もうこのハイ・ファイヴ・クインテットという名前だけでも触手の動くジャズ・ファンもいるでしょう。天才トランペッターのファブリツィオ・ボッソとテナー・サックス奏者ダニエル・スカナピエコの2枚看板をフロントに擁するイタリア屈指のハードバップ・ジャズ・バンド。特にファブリツィオ・ボッソに関しては、その活躍はもはやイタリア・ジャズ・シーンを越えて、世界的トランペッターの地位を確立しています。「イタリアのジャズがアツい!」と言われる理由の半分くらいがこのファブリツィオ(下写真)の活躍によるものと言っても過言ではないですね。ファブリツィオ自身もブルーノートからアルバムをリリースしている超実力派です。
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ハイ・ファイヴ・クインテット自体も今までに3枚のアルバムをリリースしていて、特にオススメしたいのが2004年の3rf0045842_234749.jpgd「Jazz Desire」(右写真:このジャケットはオリジナル盤)。これは個人的に今でもしょっちゅう聴いている素晴らしいハードバップ・ジャズ・アルバムで、ここでのファブリツィオのトランペットとスカナピエコのテナー・サックスの掛け合いは鳥肌が立つくらいカッコイイですね。ちなみにQUEENAnother One Bites The Dustの本気なのか遊びなのか分からない凄いカヴァーも収録されているので(おそらく遊びでしょう!)、是非ともチェックして欲しいアルバムです。

さて、このマリオ・ビオンディのアルバム「Handful Of Soul」は、そのハイ・ファイヴ・クインテットとのコラボレーション・アルバムになります。ハイ・ファイヴ・クインテットは、バック・バンドという一歩下がった位置付けではなく、バリバリ全面にフィーチャーされており、もはやハイ・ファイヴ・クインテットのアルバムと言っても良いくらいです。

曲構成もしっかりしており、マリオ・ビオンディの歌が終わると同時に各パートのソロがキッチリと演奏され、そのソロが終わるとまた切り込むようにマリオ・ビオンディの歌声が入ってくる曲の構成はめちゃくちゃ考えられていますね。
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そしてこのアルバムの中で是非オススメしたいのは、3曲目のThis Is What You Areです。これはマリオ・ビオンディの元所属ユニット「Was A Bee」での持ち歌だそうですが、この曲をハイ・ファイヴ・クインテット流に調理しなおした、おそらくクラブ・ジャズ史上に於いて最もポップでスピリチュアルな曲でしょう。ダブル・ベースによるイントロからラテン・パーカッション、そしてピアノという形で入ってくるオープニングだけでももう失禁モノ。そしてフロント2人によるハードバップがもう最高の一言。終盤に出てくるファブリツィオによる滑らかなフロウのトランペット・ソロの素晴らしさは感動的です。もはやこの曲だけでも十分に買う価値のあるアルバムです。

そして、その他の曲もフロント2人の掛け合いが凄いです。と言っても、マイルス・デイヴィスのバンドのような楽器の殺伐としたバトルではなく、エンターテインメンf0045842_2133298.jpgト性をそなえた余裕のある大人な「技の見せ合い」がたまらないですね。特にオーソドックス的なハードバップを聴かせるA Handful Of SoulI Can’t Keep From Cryin’ Sometimesアル・クーパーのカヴァー)での、後半のトランペットとテナー・サックスの掛け合いなどは絶品です。今回はファブリツィオのトランペット以上に耳を惹くのがダニエル・スカナピエコ(左写真)のテナー・サックスです。湧き上がる泉ような流れ出るテナー・サックスのフロウが素晴らしいですね。ついつい人気者のファブリツィオ・ボッソの影になりがちなダニエル・スカナピエツコの実力も十二分に発揮されていますね。

ラウンジ・ジャズからラテン・ジャズまでも余裕で歌いこなすマリオ・ビオンディのド渋なヴォーカルは最初から最後までインパクト大。そして、その声とハイ・ファイヴ・クインテットのハードバップ・サウンドとの融合が、このアルバムを名盤と呼ぶに相応しいものにしています。最終曲のビル・ウィザースのムーディーなカヴァーI’m Her Daddyもハマリすぎです。
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個人的には是非次回の「007」の映画の主題歌を歌って欲しい男であります。
 
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by Blacksmoker | 2007-10-15 01:01 | JAZZ

TIMO LASSY [The Soul & Jazz Of Timo Lassy]


昨年遂にアルバムをリリースし、その全貌を現したフィンランドのジャズ・グループ(というかプロジェクト)、ザ・ファイヴ・コーナーズ・クインテット
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50~60年代のジャズを現代に蘇らせるというコンセプトの元、見事なまでのサウンドを聴かせ、クラブ・ジャズ・シーンでも大ヒットを記録。私もその後に行われた来日公演を観に行きましたが、かなり素晴らしいプレイを見せてくれました。

f0045842_0325673.jpgそのファイヴ・コーナーズ・クインテットからテナー・サックス/バリトン・サックス奏者のティモ・ラッシーのソロ・アルバム「The Soul & Jazz Of Timo Lassy」が登場。これは、ジャケのクールで大人しいイメージとは180度違う肉体的な躍動感溢れるハード・バップの会心作。これぞ新世代ジャズの最新化型!こんなカッコいいジャズ・サウンドはなかなかお目に掛かれるもんじゃない。

1974年フィンランドのヘルシンキ生まれのこのティモ・ラッシー。10代で既にジャズに目覚め、サックスを学んでいたという早熟さで、ヘルシンキの名門音楽院「シベリウス・アカデミー」で本格的にジャズを学んでいる実力派です。2005年にファイヴ・コーナーズ・クインテットに加入。一気に注目を浴びる事になります。
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さて今回のソロ・アルバムではファイヴ・コーナーズ・クインテットの時とは少しテイストが違いラテンやアフロ・キューバンな「リズム」を強調した更にダンサブルなジャズを展開する。とにかく稚拙な言葉で申し訳ないが、コレが非常にカッコイイのだ!バリバリにブロウするテナー・サックス!体のデカい黒人ハード・バッパー並みに豪快なブロウに聴いているコチラも体が熱くなります。ファラオ・サンダースのようにブロウしまくるサックスが最高にクールです。

そしてこのアルバムではそのティモ・ラッシーの豪快なサックスに負けじと参加メンバーのプレイもめちゃくちゃ熱いです。
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ユッカ・エスコラアンチ・エーリカイネンテッポ・マキネンの3人がファイヴ・コーナーズ・クインテットから参加。アルバムのレコーディング・メンバー6人の内、実に4人がファイヴ・コーナーズ・クインテットのメンバーというファンにはたまらない編成。そして残りの2人は同郷フィンランドからトロンボーン奏者ミック・ムストーネン、そしてギリシャ人のピアニスト、ジョルジオス・コントラフォリウスが加わっている。この6人各人が素晴らしすぎる演奏でこのアルバムを彩っています。

特筆すべきはドラムのテッポ・マキネン(左写真)。昨年のファイヴ・コーナーズ・クインテットの来日公演でもf0045842_049385.jpg超絶なドラミングを見せてくれたこのテッポ・マキネンが今回も凄い。ドラムだけでなくパーカッションやヴァイブも担当し大活躍しています。このテッポ・マキネンは、ユッカ・エスコラのソロ・アルバムに続きこのアルバムでもプロデュースや作曲も担当しており、その才能には脱帽するしかない。まだ33歳なのに物凄い才能ですよ(まあファイヴ・コーナーズ・クインテットのメンバーは全員かなり若いんですが)。そしてもう一人がピアノのジョルジオス・コントラフォリウス。彼はフィンランドに在住しているそうでヘルシンキでジャズをやっている人で知らない人はいないと言われる程の実力派ピアニストだそうです。確かにフロントに出過ぎず、バックでさりげに凄いソロを聴かせるプレイはとにかくその実力が嫌でも垣間見れるし、そのタッチのやわらかさは自然に耳に入り込んできます。最高にクールな演奏にホントに熱くなりますね。

まずは昨年、既にシングル・カットされてヒットした1曲目High At Noonをチェックして欲しい。軽くぶっ飛ばされますよ。テッポ・マキネンのラテン・グルーヴ満載のドラムに絡むティモ・ラッシーの吼えまくるテナー・サックスのブロウ!最初の1分でもう勝負アリです。この曲だけでも聴く価値はありますね。
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そして大人のロマンティックなムード漂うLove Moan。ここでのティモ・ラッシーのサックスはまるで人間が喋っているような錯覚に陥る流暢なサックス。様々な表情を見せるティモのサックスは素晴らしいですね。全体的にはラテン的リズムを強調したダンサブルな本格的なジャズに血が騒ぎます。

これは「クラブ・ジャズ」という括りではなく本物のジャズ。ヨーロピアン・ジャズの屈指の傑作として是非このティモ・ラッシーのソロ・アルバムに触れてみて欲しいですね。
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by Blacksmoker | 2007-07-16 00:13 | JAZZ

中山うり [DoReMiFa]

実は2006年にiTunesで配信のみでリリースされていf0045842_1221067.jpgたEP「Uri Nakayama EP」でめちゃくちゃ気に入って、それ以降の音源のリリースをかなり愉しみにしていた中山うり。その彼女が遂にメジャー・デビューです。それに伴いiTunesにて既にリリースされている曲に新録音3曲を追加した1stアルバム「DoReMiFa」がリリースされました。こうして誰でも手に入れやすい環境になった事は非常に喜ばしい事だ。これを機会に是非とも中山うりの歌声とその音に触れてみて欲しい。

ミュージシャンでありながら現役の美容師・スタイリストしても活動している変わった経歴の彼女ですが、この人はデビュー前からワンマン・ライヴを満員にしたり、フジロック・フェスティヴァルにも出演したりと数々の伝説を持っている。それほどまでに彼女の音楽は魅力的で人を引き込む力を持っているのです。
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アコーディオンの弾き語りというスタイルもユニークですが、やはり彼女の声が最大の魅力と言っても過言ではない。この声に引き込まれます。声だけで言うと昔なら荒井由美、今なら湯川潮音といったところでしょうか。母性的でありセクシーでもある表情豊かな歌声が素晴らしい。どちらかと言うとジャズ・ボーカリストの風情が漂いますね。

彼女のバックを支えるバンドもギターやドラム以外にトランペットやフィドル奏者もいてまさしく無国籍なジプシー音楽といったカンジ。異国の人情味のある市井の場末のサウンドトラックです。キャレキシコディヴォーチカなどマリアッチ的なところもあるし、フランスのシャンソンのようでもあり、ジャズのスタンダードのようであり、良く聴くとやはり日本的であったりもする。まさしく無国籍。昨年アサイラム・ストリート・スパンカーズの東京公演で前座を務めたそうだが、まさしく適任だったと言えるだろう。
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さてこの1stアルバム「DoReMiFa」。iTunesでダウンロードして聴きまくった人ならもはやお馴染みの曲月とラクダの夢を見たで始まります。この曲は以前iTunesで一週間フリーダウンロード曲に選ばれていた曲であり、この曲で彼女の魅力に引き込まれた人も多いはずです。穏やかなスライド・ギターに絡むアコーディオン。そこに魅惑的なヴォーカルが乗ります。もう出だしだけで名曲の風情が漂っています。もはや後世に残る名曲と言っても大袈裟ではないですね。
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月とラクダの夢を見た以外にもiTunes配信のマドロス横丁」「Blu-Voyage」「ノスタルジア」「走る女が既発ですが、他に新曲が3曲夏祭り鮮やかにsuikatotoが歌詞を書いた曲。totoの相変わらず浮遊感のあるリリックが不思議な魅力の曲ですね。続く早起きラジオ。これはライブでは定番の曲らしいですが、素敵な曲ですね。これも歌詞がとても良い。そしてばいばいどくおぶざべい中島みゆきのカヴァー(この“どくおぶざべい”はオーティス・レディングの「The Dock Of The Bay」の事)。いずれの曲も中山うりのオリジナルのような曲になっています。素晴らしいジャズ・ボーカリストというはスタンダード曲をオリジナル以上の出来にすると言われていますが、まさしく彼女もそのセオリー通りですね。
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とにかく非常にオリジナリティ溢れる音楽。まさしく「中山うり」というジャンルを確立しています。前述しましたが、この機会に是非聴いてみて欲しいアーティストです。チェックしてみて下さい。絶対損はさせませんよ。
 
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by Blacksmoker | 2007-06-17 01:00 | JAZZ

澤野工房!

「澤野工房」

この名前は、もはやジャズ・ファンにとって絶大なる信頼を誇る。そして我が大阪から世界に誇る超優良ジャズ・レーベル。ジャズ・ファンならば必ずその名前は耳にしたことがあるはずです。小さなレーベル(従業員僅か5人)にもかかわらず、大手メジャー・レーベルを凌ぐ売り上げを記録しているというから驚きです。

本日その澤野工房にお邪魔してきました。大阪市浪速区の通天閣の目の前の商店街の中にあります。これがその写真↓。
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はっきり言って、世界に名立たるジャズ・レーベルだとは全く思えません(笑)。

実はその「澤野工房」、本業は草履屋(これは結構有名な話)。

1985年に、この草履屋さんの4代目澤野由明氏が「澤野商会」という名前で興したレーベルです。当時はジャズ・レーベルのクリス・クロスと専属契約したりしてジャズ・レコードを販売していましたが、全く上手くいかず瀕死状態に陥っていた(由明氏談)ようですf0045842_22565731.jpgが、1995年にヨーロッパの幻と言われたジャズの復刻盤をアナログで限定1000枚それぞれ5タイトルずつリリースしたのが見事に完売になったことから軌道に乗り出し、98年にはCD販売を開始し、ジャズ・ファンからは確固たる信頼を築いています。その確かな耳で発掘したヨーロッパのジャズ・ミュージシャンの素晴らしさ、そしてその質感にまでこだわったパッケージングの装丁に至るまでまさに「澤野ブランド」という一種の信頼を確立した素晴らしいレーベルです。

さて、この草履屋の中に入るとその一番奥の壁に申し訳なさそうにCDが陳列されていました。何度も「ほんとにこれが世界の澤野工房なのか?」と思ってしまいますが、そうなんです(笑)。そして店には普通に澤野由明社長がいました。しかも普通に喋り掛けてくれました。凄い穏やかで気さくなオジサンでいろいろとお話させていただきました。自分が澤野商会を興した時の苦労話とか、ジャズ・ミュージシャンを来日させた時の話とか面白い話ばかりしてくれて凄い感激でした。

丁寧に説明してくれる女性スタッフがいろいろ視聴させてくれるしマジで感動しました。しかも2500円のCDを全て2000円にしてくれたし。

その澤野社長から教えてもらいましたが、6月に来日するアメリカ在住の日本人ベーシスト北川潔の新作が10月頃澤野工房からリリースされるそうで、ドラムには再びブライアン・ブレイドが参加しているそうです。「この前NYで録音してきたばかりだけど、凄いレコードになる!」と自信満々でした。12月には来日もするそうなので要注目ですね。去年ビル・フリーゼルの来日公演ブライアン・ブレイドを観た話をすると、澤野社長も来てたそうで楽屋に呼ばれたとかいろいろ面白い話をしてくれました。

大阪近郊の人は是非一度訪れてみて下さい。でも、あまり仕事の邪魔はしないように。

今回は結構気になっていたフランスのピアノ・トリオ、ルネ・ユルトルジェ・トリオのライブ盤「Trio Live」を購入。
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ハンガリーのピアノ・トリオ、ロバート・ラカトシュ・トリオも聴かせてもらいましたが、気分的にルネ・ユルトルジェがハマりました。



※近く「favorites International」代表仲田敬之氏との澤野工房についての対談をUPしますのでお楽しみに。
 
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by Blacksmoker | 2007-05-10 00:42 | JAZZ

THE INVISIBLE SESSION [The Invisible Session]

昨年のベスト・アルバムから惜しくも外れましたが、このアルバムは実に素晴らしい傑作なので紹介しましょう。インヴィジブル・セッションの1stアルバム「The Invisible Session」です。

f0045842_1614096.jpgここ数年の間で大きな盛り上がりを見せるヨーロピアン・ニュー・ジャズ・シーン。50年代後半~60年代の黄金期と呼ばれるジャズを、打ち込みやハウス、ドラムン・ベースの要素を融合させ現代に新しいジャズとして再生させている。これがいわゆる「クラブ・ジャズ」。ジャズを古いモノではなく、斬新でカッコイイものなんだと提示してみせた素晴らしい試みですね。

そのクラブ・ジャズ・シーンを支える代表的レーベルがイタリアのミラノを拠点とするレーベル「SCHEMA」(スケーマ)です。極論を言うと、このレーベルからリリースされているアルバムやコンピレーションはどの作品も全くハズレがありません!全てが傑作揃いという往年のBLUE NOTEのような素晴らしいレーベルです。特にここ数年はニコラ・コンテ「Other Direction」ジェラルド・フリジーナ「Hi Note」ソウルスタンス「Lead The Way」など大名盤がリリースされています。それに呼応したかのようにフィンランドからザ・ファイヴ・コーナーズ・クインテット(昨年のライブも素晴らしかった!)が登場し、傑作「Chasing The Jazz Gone By」をリリース。ここ数年でヨーロピアン・ニュー・ジャズ・シーンは大きな興隆を迎えています。

そしてそのヨーロピアン・ニュー・ジャズ・シーンの大本命ともいえるのがこのユニット、インヴィジブル・セッションです。
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メンバーは以下の通り。

パウロ・フェドレギーニ
マルコ・ビアンシ
ルチアーノ・カントーネ

上記2人は「パオロ・フェドレギーニ&マルコ・ビアンシ」名義(左写真)でSCHEMAf0045842_16232552.jpgらリリースもしている(特に2004年に出た「Several People」は素晴らしい傑作なので是非聴いてみて欲しいです)。そして、ルチアーノ・カントーネ。この人はSCHEMAの創設者の1人でDJやプロデューサーとしても活躍しています。もともとSCHEMA自体が1960年代のヨーロピアン・ジャズの名盤を再発するレーベルとしてスタートしているのでこのルチアーノ・カントーネも相当なジャズ・マニア。まあ日本で言うところの須永辰緒ですね。そんなヨーロピアン・ジャズを知り尽くしたミュージシャンの3人が提示するインヴィジブル・セッションの1stアルバムの新しいジャズ・サウンドは、まさしくクラブ・ジャズの真髄!個人的にSCHEMAのリリースの中でも1番好きな傑作です。

曲調は非常にバラエティ豊か。ハードパップからジャズ・ボッサ、スピリチュアル・ジャズやモーダル・ジャズなどめちゃくちゃ多彩。ここ最近のSCHEMAの特徴でもある、プログラミング主体の音ではない生演奏を中心にしたサウンドが非常に心地よい。しかもその全部が深遠で繊細な美しいさで尖らず優しく耳に流れ込んで来ます。ドラムのミニマルな反復的リズムがクラブ・ミュージックを通過した耳には実に自然に馴染みます。

実はこのアルバムに10曲中7曲がヴォーカル入り。その7曲のうち6曲でヴォーカルを取るのがジェニー・Bというイタリア人女性シンガー。
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この人が大活躍しています。凄い声量でソウルフルなゴスペル・シンガーのような存在感を発揮しています。素晴らしいシンガーですね。でも曲の全編に渡って歌いまくっているわけでもなく、各楽器の演奏を尊重したように曲の要所だけ登場する構成になっている。楽器の1つのような存在。非常にクールです。

そして、もう1つ特筆すべきはアルバムに参加しているイタリア人トランペット奏者、ファブリツィオ・ボッソ!!
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昨年ニコラ・コンテのライブで初めてファブリツィオ・ボッソの生のトランペットを体験して流れるようなハードバップな音に痺れましたが、そのファブリツィオが随所で素晴らしいトランペットを披露しております。このファブリツィオの音がこのアルバムのハイライトだと言えますね。まだまだ若いファブリツィオですが、もはや現代のイタリアン・ジャズ・シーンの中でも確固たる位置を築いている実力派ですね。テナー・サックスで参加しているレナート・ダイエロという人のプレーも実に光っています。アフロ・ビートを導入した曲などもありますが、非常に自然な融合がなされています。

まるで1950年代~60年代のモーダル・ジャズの現代版のようなアf0045842_16381833.jpgルバムです。作曲と編曲は全て3人で担当しているそうだが、バラエティに富んだ曲をきっちりと1つのコンセプトを持った作品として纏め上げた総合プロデューサーを担当したルチアーノ・カントーネ(右写真)の手腕にも感服します。ルチアーノ自身が相当なレコード・マニアなので、このアルバムにかけた情熱は相当なものだったに違いないですね。ディープでスピリチュアルなフィーリングを兼ね備えた文句なしの名盤です。

もし自分ならジャズの入門編としてこのアルバムをお薦めしますね。是非チェックしてみてください。
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by Blacksmoker | 2007-03-08 00:20 | JAZZ

特別対談:「Favorites International」を訪ねて。[第2回]

さて昨年9月振りの登場です。ジャズ・レコードのディストリビューション会社「Favorites International」代表、「未体験JAZZ」主催、仲田敬之氏に貴重なお時間を頂きまして、対談をしてきました。
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今回は仲田氏による日本におけるジャズのレコード・セールスの裏話など面白い話が聞けますので要チェックです。では今回も対談形式でお送りしましょう!

<INTERVIEWER:Blacksmoker
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Blacksmoker:アリス・コルトレーンが亡くなりましたね。あとマイケル・ブレッカーも・・・。

仲田氏:アリス・コルトレーンの音楽ってちょっとイカレてるよね。数年前に30年振りくらいにニュー・アルバム出してたよね。確か「Impulse」から・・・。

あんなものは「Impulse」くらいしか出しません。マイケル・ブレッカーも「Impulse」からのリリースでした。

あの人もずっと病気と聞いていたからなぁ。非常に残念だね。

さて、前回から約半年振りくらいの登場ですが、近況を教えてください。

ホームページが変わってからかなり売れ出しました(笑)。やはりホームページは簡素化が重要です。分かり易い情報を分かり易く届けるのが大事なんだよね。

なるほど。ページが重いと飛ばしますからね。

その通り。デザインじゃないんです。

おお、なかなか力強い言葉だな。では個人的に知りたいんだけど、ジャズ・レコードの購買層はどんな人が多いんでしょうか?

正直言うと20代~30代女性はほとんどいない(泣)。

それはモテ的には絶望的ですね(泣)。

未体験JAZZ」の主な購買層は40代~50代が圧倒的多数を占めます。自分は正直言ってこの層がインターネットで買い物をするとは思っていなかったんだよね。しかしこの層のアクティヴさというか、探求力にはほんとヴァイタリティがあって凄いです。メルマガにもかなりの人が登録されているし。

メルマガは誰でも登録出来るんだよね?

もちろん。ジャズ・レコードのレア情報を配信しているので、興味のある人は是非登録して欲しい。

では日本ではどんなジャズが売れるんでしょう?

まず大前提として、ここだけは強調しときたいんだが、俺たち世代、つまり20~30代が聴いているジャズと、上の世代の聴いているジャズは全く違うということだね。つまりホテルのラウンジで流れているようなジャズが上の世代にとっての「ジャズ」なんだ。だからピアノ・トリオなんだよね、日本で売れるジャズというのは。アコーディオンやヴィブラフォンが入ったものや、ジャム系のものはこの世代にはあまり人気がないのが現実です。最近良く分かってきましたね。日本人は絶対にピアノ・トリオです。

なるほど。そしてそのピアノ・トリオのピラミッドの頂点に君臨するのがビル・エヴェンスというわけですね。

その通り。ビル・エヴァンス(下写真)が頂点だね。絶大な人気を誇ってます。彼の録音ならどんなものでもたいがいは売れるね。だが逆にそんな人達にとってキース・ジャレットなんかは「ナシ」なわけです。分かるでしょ?この感覚。「売れ線」はダメなんですわ。
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なんか分かります(笑)。まったく気難しいな。

そうなんだよ。ピアノ・トリオでも知らなければ知らない程良いんだよね。だからレアなヨーロッパ盤とかの方が売り上げが良いだよ。例えばピアノ・トリオじゃないけど、先日アート・ペッパーが1981年に北海道網走で行ったライブ録音盤がCD化されたんですが、このCDは「未体験JAZZ」でも扱ってたんだが、一瞬で完売しました。やはりレアであればレアである方が良いんです。

まさしく「レコードやくざ」ですね。

人間何年経っても変わりません。

では今回も「未体験JAZZ」イチオシの1枚を持ってきてもらいました。

f0045842_2325126.jpg話の流れから、もちろんピアノ・トリオです。この人は1996年よりニューヨークで活動するイタリア人女性ピアニスト、SIMONA PREMMAZIシモーナ・プレマッツィ)の作品「LOOKING FOA AN EXIT」です。まだ20代くらいじゃないでしょうか。若いです。その彼女がドラム、ベースと組んでいるトリオ編成によるレコードです。ほとんど白紙に近い経歴の彼女ですが、これはマジで凄いです。直感レベルでオーラが違いますよ。

オヤジ・ファンにはマストな要素ばかりですね(笑)。

マチガイナイです。「未体験JAZZ」のブログでも紹介してるんでチェックして欲しい。

では、2007年の展開を教えてください。

いろいろやりますよ。あまり詳しい事はまだ言えませんが。あと売り方に磨きを掛ける。ビジネスマン的発想です。自分の紹介したもので売れる喜びは最高だからね。

ただビジネスマン的発想には弊害もあるわけですが・・・。

そうなんだよね。段々商売気が付いてくる。するとDJ的な発想になってくるんだよね。あんたもDJやってるから分かるだろうけど、「コレは盛り上がるかな?」とかいう発想だね。要するにジャズを聴くときに「コレは売れるかな?」という発想になってくるんです。この前岡山の某有名ジャズ・レコード店のオーナーで、その道数十年という凄い人なんですが、その人と話をしていた時に、その人からは「このレコードが良い」という言葉でじゃなくて「このレコードは売れる」という言葉しか出てこなかったのが正直衝撃だった。

かなりリアルな話だな。

そういう麻痺した感覚にならないようにして行きたいとは思っているんだけどね・・・。

今後の展開に期待してますよ。今日は貴重な時間をありがとう。
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by Blacksmoker | 2007-02-02 00:32 | JAZZ

MESHELL NDEGEOCELLO [the ARTICLE 3 EP]

かなり凄いところまで来ちゃったなぁ・・・」 これが第一印象。

フランス国籍の女性ベーシスト。ミシェル・ンデゲオチェロは今までアルバムを発表するごとに様々な音楽性を提示してきた。ファンクやR&B、ダブなどアルバムごとのカラーは多種多様。まるでカメレオンのように変化する彼女の音楽ですが、一本ぶっとい芯の通った力強さが、どこで演奏しても必ず彼女の音というものが自己主張します。
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これが彼女の天才アーティストといわれる所以。ファンクを基礎に徹底的にストイックで滑らかなベースラインは一聴すればすぐに彼女のものだと分かります。確かめたければ彼女が参加したローリング・ストーンズSaint Of Meを聴いてみて欲しい。歳喰った爺さん達に喝を入れるがごときボトムを蹴り上げるミシェルのベースラインはあの曲に新たな息吹を入れたと言っていいですね。

f0045842_22253995.jpgさて前作ではフリージャズ・プロジェクトまでも始動させた彼女ですが、今回リリースされた新作「the ARTICLE 3 EP」では、更に形容しがたい音楽になっています。これは2007年にリリースされる新作からの先行EPという形だそうだ。しかしこの5曲入りのこのEPの内容の濃さと言ったら普通じゃない!この調子だとアルバムはとてつもない領域に達してしまっているんではないだろうか・・・。

まずはオープニングを飾る1曲目Hadithaはイスラム教の導師Hamza Yusufの演説をサンプリングした小曲。妖しく響くギターを弾くのはブランドン・ロス!!

f0045842_22331384.jpgカサンドラ・ウィルソンのバックで来日した時に観た、あの静寂を細い針で貫くかのように切り込ませるギターが印象的な人でしたが、彼の参加はおそらく前回のジャズ・プロジェクトからの繋がりでしょう(先日リリースされたばかりのブランドン・ロスのソロ最新作「Puppet」は超傑作なので必聴)。小曲なので、ギターは目立っていませんが彼はまた後でも登場します。

2曲目THE SLOGANEERはドラムンベースのリズムのドラムマシーンと、Deantoni Parksの叩くドラミングが見事に融合しぶっ飛ばす曲(もしかしたらドラムは一人でやってるかもしれない。スネアの音がやけに無機質)。そして最近はジャズなどやっていてあまり歌声を披露していなかったミシェルのハスキーでソウルフルな声が久々に聴けます。そしてベースが凄い!うねりまくる、うねりまくる。しかもジャズじゃなくて完璧にロックなベースライン!コレ、まんまルート弾きじゃないですかね。音が割れてますよ。かなり珍しいハードな曲です。中盤から後半にかけてのドラムとベースのインプロの応酬がハンパなく凄い。ベース音が途中からもう判別不能な異様な音を出しています。

嵐のようなTHE SLOGANEERが終わると、3曲目は非常に美しいShirk。2本のアコースティック・ギターの弦の絡みが美しい。サリフ・ケイタの最近の音にも共通する弦の「鳴り」を強調したアコースティック・サウンド。この印象的なギターを弾くのがパット・メセニー!なんか凄い人選ですね。曲者揃い。
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しかしここでのパット・メセニーはかなり抑え目。前述のブランドン・ロスといいこのパット・メセニーといいこのEPではまだ全貌を見せてない気がしますね。アルバムでは大爆発してるんでしょうかね。マリ語だろうか?ミシェルがアフリカの言語で歌っています。もう一人の女性ヴォーカリストOumou Sangareと分け合うように歌っています。非常に美しい曲です。

そしてこのアルバムのハイライトでもある4曲目Article 3。これは壮絶です。最初聴いた時はすぐに理解出来ませんでしたね。頭の中に「?」が連発される複雑怪奇な曲。30回くらい聴いてやっと曲の構成が掴めてきたくらいです。ドラムマシーンの規則的なリズムをf0045842_2241428.jpgバックにThandiswa Mazwaiという女性ヴォーカルがアフリカ色濃厚な叫び声を聴かせる一方でミシェルが地に着いたどっしりした声を聴かせます。パンクのように荒々しい曲。知らない間にドラムが生ドラムに代わって、唐突にリズムが不規則になる予測不能な展開を見せます。タブラなどのパーカッションが飛び交い、Konono No.1で有名なあのリケンベの歪みまくった音まで入ってきます。ファズをかけたベースがギターのように突き進むもう唯一無二のミシェル・ンデゲオチェロのカオスな世界が展開されます。そんなカオスの中、終盤でまたもやパット・メセニーの鳴くような高音のギターが入ってきます。まったくもってよく分かりません。一聴しただけでは脳がついて行けず理解するのに苦しみましたね。何度も聴いてチャレンジしてみて欲しいです。

最終曲EllipticalSy Smith(下写真)のセクシーな歌声f0045842_2248558.jpgのfeat.した宇宙空間に漂うようなスペーシーなマシーン・ファンク。ミシェルの歌声との掛け合いが良いですね。機械が喋るような加工されたヴォーカルが入ってきて宇宙的な雰囲気を持った静かな1曲。その静寂を切り裂くように曲の最後になぜかコルネットの音が入ってきます。このコルネットを吹くのがなんとグレアム・ヘインズ!最後の一瞬ですよ、出てくるのは!何なんだ一体?そして再びブランドン・ロスのギターのフレーズが入ってきてフェードアウトしていきます。

実はよく聴かないと分からないんですが、この最後のギターの音が、1曲目の最初のギターの音に繋がっていてこのEP自体がエンドレスにループしているという凝った構成になっています。さすがです。
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しかしたった5曲しか入っていないのこのEPでも十分凄いのに、一体アルバムはどんな事になっているんでしょうか。おそらくゲスト陣もかなり活躍していると思われます。怖ろしい反面、物凄く楽しみなアルバムは、もうすぐリリースされるはず。期待して待ちましょう!
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by Blacksmoker | 2007-01-14 00:02 | JAZZ

特別対談:「Favorites International」を訪ねて。

さて今回、特別企画としてディストリビューション会社「Favorites International」にお邪魔して来ました。この「Favorites International」では「未体験JAZZ」というジャズ専門のCD販売とダウンロードのサイトを運営しています。
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そこで「Favorites International」のCEOであり、マイメンでもある仲田敬之氏に「未体験JAZZ」の話を色々と聞いて参りました。「未体験JAZZ」のイチオシのアーティストや今後の展開などについて語ってくれておりますので対談形式でご紹介しましょう!<INTERVIEWERBlacksmoker
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Blacksmoker:さて今回は「未体験JAZZ」の仲田氏に来て頂いております。調子はどうですか?

仲田氏:ボチボチやね。まだまだこれからなところが多いな。色々苦労してるよ。

そういや、この前のニコラ・コンテはヤバかったな。

あれはかなり良かった。特にファブリツィオが素晴らしかった。

ところで一番聞きたかった事なんだけど、なぜ「ジャズ」のディストリビューションをやるようになったの?そもそも数年前までは俺と「レゲエ馬鹿道場」を開校してたのに。

ん~(笑)。まあレゲエを聴かなくなったって訳でもないんだけど、「レゲエ馬鹿道場」をやりだして結構みんながレゲエを聴いてき出してきたので、もういいかな?と思って。

なんじゃそりゃ(笑)。

でも、もともとベーシストなんでいろいろとジャズは好きだったんでね。

では本題に入るけど「未体験JAZZ」のコンセプトを教えて下さい。

ずばりジャズとはカッコイイ音楽なんだ、モテるんだという事を布教する事。

それは超重要だな。

あと、モテないジャズメンの救済です。聴かれずに埋もれているジャズメン達に手を貸したいと思って「未体験JAZZ」を立ち上げたので、埃に埋もれてしまったジャズメンの捜索活動が主です。リハビリすると元気に羽ばたけそうなジャズメンの更生活動にも力を入れてゆきます。

なかなか地道な活動だよな。あと「未体験JAZZ」ではポーランドのジャズをかなり推しているんだけど、これはなぜ?

以前にネットでいろいろ検索していたら、「東欧圏のジャズ・シーンがヤバい」という事を知ったんだよ。で、実際に自分でも調べて聴いてみたらほんとにヤバかった。

そういやイタリアやドイツや北欧のジャズは有名だけど、東欧圏は確かに未開拓ではあるな。ポーランドのジャズは他とはどう違うの?

まずポーランドという国は社会主義体制の共産国だったんだよね。で、適正音楽がジャズだったわけ。だからアンダーグラウンドでは非常にジャズメンが成長してるんだ。そしてもうひとつ。ポーランドはクラシック音楽の発祥の地なんだ。だからクラシックを小さい頃から勉強している非常に音楽的に発達したジャズが多いんだね。

なるほどねぇ。じゃあ同じような環境のロシアのジャズ・シーンとかも凄いかもな。

確かにそうだ。でもヨーロッパのジャズの方がメロディが綺麗なのも特徴だね。

さて今回は「未体験JAZZ」のオススメの1枚を持って来てもらいました。

f0045842_23211329.jpgこれはポーランドではかなり有名なサックス奏者、ヴォイチェフ・スタロニェヴィッチ「Hand-Made」(右写真)というアルバム。サックス、ギター、ベース、ドラム、アコーディオンによるカルテットでの2002年録音。これはマジでイチオシだね。素晴らしいアルバムです。



一言でジャズと言っても、いろいろあるよね。具体的にはどんなジャズなの?俺の中でジャズと言えばエリック・ドルフィーの「Out To Lunch」のあの音なんだけど。

Out To Lunch」は文系だよね!理屈っぽい学生が小難しい顔して聴いているような。

確かにそう言われると否定は出来ないが…。

でも、ああいうジャズとは少し違うな。「普通のジャズ」の感覚f0045842_23375562.jpgで聴くと少し違和感があるかもしれない。どちらかというと「ジャズ・ロック」に近いかも。このヴォイチェフ・スタロニェヴィッチは1995年にポーランドのポローニア・レーベルからピアニストのアンジェイ・ヤゴヂンスキと一緒にアルバム「Quiet City」をリリースしているんだ。このアンジェイ・ヤゴヂンスキって人はポーランドでは最高峰のピアニストと言われていて、2004年に「澤野工房」から出たアルバムも日本でかなり売れたんだ。そういう凄い人達なんだよね。



澤野工房」はマジでヤバいジャズを発掘してくるからな。何となくヴォイチェフ・スタロニェヴィッチの凄さも伝わってくる。あとカルテットにアコーディオン奏者がいるのが珍しいな。あまりジャズにアコーディオンってないよね?

そうそう。あまりジャズでアコーディオンのソロとか聴かないでしょ?でもこのアルバム聴いたらアコーディオンのイメージ変わるよ、確実に。このアコーディオン奏者のツェザルィ・パチョレクの演奏は神掛かってるね。独特な演奏に言葉を失うぞ。カントリーやブルーグラスにはアコーディオンのソロはあるかもしれないけどな。

それとは全然違うでしょ。

あとギターの人も凄い人で、ポーランドの最高の音楽賞「フレデリック賞」の2003年のノミネートされたこともあるしね。とにかく名盤だ。
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ちなみにこの盤は「未体験JAZZ」のエクスクルーシヴ?

そうエクスクルーシヴ!ここでしか買えない。

マチガイナイですな。

マチガイナイね。でもほんと素晴らしい名盤だから是非買って欲しいです。

じゃあ最後に「未体験JAZZ」の今後の展開を教えて下さい。

まずはダウンロード。欧米では主流だからね。今準備中で9月中旬からスタート開始します!楽しみにしといてください。1曲200円でダウンロード出来るんで。最近アメリカとカナダでiTunes Music Storeのダウンロードでかなり売れたアンディ・シェパードという人と独占契約結んだばかりなのでこの人もチェックして下さい。カナダ人のアコースティック・ギター奏者です。同姓同名のイギリス人ジャズマンもいるので間違わないでくれ。あと半年に一回くらいのペースでフリーペーパーを出したいと思ってる。ジャズのクラブやライブハウスに置きたいね。

なかなか頼もしいね。是非今後の展開に期待します。次回もオススメ盤を紹介して下さい。今日はありがとう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

というわけで、「Favorites International」CEO仲田敬之氏に話を伺いました。今回はこのポーランド・ジャズの名盤、ヴォイチェフ・スタロニェヴィッチHand-Made」を紹介させてもらいました。もう一度言っておきますが「未体験JAZZ」エクスクルーシヴです!是非ゲットして下さい!次回もまた定期的に「未体験JAZZ」からオススメ盤を紹介してもらいますので是非お楽しみに!

追伸:
そして来週から「未体験JAZZ」ではポーランド特集をやるそうです!チェックして下さい!
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by Blacksmoker | 2006-09-10 00:01 | JAZZ