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EELS [Live At Town Hall]

もう10年かぁ、彼らがデビューして。

1996年にデビュー曲「Novocaine For The Soul」 で控えめに(個人的には実に衝撃的でしたが)登場したDream Works Records第一号アーティスト、イールズ。彼らの1st「Beautiful Freak」 は切なさと悲しさを含んだドリーミィなポップ・アルバムで、当時ベックの「Odelay」 で一躍有名になったダスト・ブラザーズの片割れマイケル・シンプソンの創り出すコラージュ&サンプリング魔術によるサウンドの革新さもあって、私の中では何年経っても色褪せない名盤です。

f0045842_324429.jpgさてそのイールズが、ストリングスを従えた7人編成で行ったライブ・アルバム。やっぱりイールズにはこういったストリングスのサウンドがバッチリはまる。以前のディストーションを効かせたギター・サウンドのロック・アルバムより断然良いですね。


マンドリン、ピアノ、メロディカ、ポンプ・オルガン、チェレスタ、ミュージカル・ソウ(のこぎり)、オートハープにストリングス・カルテットの絡むおとぎ話のようにマジカルなサウンドが声にぴったりだ。長い曲がなくほとんどが小曲といったカンジのイールズなのでこのライブ盤での曲が終わるたびに沸き起こる拍手と歓声は少々違和感がありますが、音がかなりきれいに録音されていて「E」のかすれ気味の声のヒリヒリした感じがリアルに伝わってくる。切なくて儚い。この感覚はSPARKLEHORSEに似ている。トム・ウェイツがイールズを気に入るのも分かる。ディランの曲のカヴァーも実に自然にハマっている。
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イールズは常に「死」が付きまとうバンドだ。イールズというよりもこのバンドの中心人物「」という男と言った方が良い。重度の鬱病の為自殺した姉に捧げた2ndアルバムをリリース後、末期癌を患った母親が死に、友人が死に、2000年の初来日直前にはツアー・マネージャーが死に来日がキャンセル。といった具合に不幸続き。それに加えて歌詞も死にまつわるものが多い。でも、どんよりしたサウンドかというとそんなことはなく、繊細で優しい子守唄のようなサウンドで、まるで凍えそうな冬の中で仄かな炎を見つけたような温かさがあります。彼らの曲はピアノやギターのフレーズもホントにシンプル。意外と隠れファンが多いのはこの陰のある儚いサウンドが理由でしょうね。

f0045842_98710.jpgこのアルバム、イールズ・ファンとして非常に気に入っているのですがジャケット・写真などモノクローム調に統一されているのが個人的には残念。彼らのサウンドには一種の暖かさと明るさを感じるので何点か載っているカラーの写真の方が断然イールズの雰囲気が映えるように思える。でもこれは同時にリリースされたDVDがカラー映像で存分に味わえるのでこちらもオススメ。
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by Blacksmoker | 2006-03-29 09:48 | ROCK

SHINGO★西成 [Welcome To Ghetto]

関西に縁のある人間なら一度は耳にした事があるであろう大阪市西成区

あいりん地区、飛田新地(遊郭)、30円のホルモン屋などが1km四方にひしめく時を忘れた街。日雇い労働者とルンペンとジャンキーとドラッグディーラーと200以上のヤクザ組織とアタリ屋と顔のデッサン狂った脳みそ縮小君がわんさか←(これはシンゴ★西成の地元の先輩で現MSCに所属するヒューマンビート・ボクサー太華の言葉です。念のため。)1990年には暴動も勃発し一時期無法地帯化にもなった場所。

f0045842_1414332.jpgそんな街で生まれた関西HIP HOPシーンの大物、シンゴ★西成。彼がMSCのライブラ・レコーズと契約すると聞いたのは昨年末。新宿を根城とするMSCと、大阪西成区に居座り今でも地元をレペゼンするシンゴ★西成。この2者の邂逅はビックリしたと同時に妙に納得もしてしまった。そして遂にライブラ・レコーズからドロップされた1st EP「Welcome To Ghetto」は、「関西HIP HOPシーン最後の大物」と呼ばれる彼の実力を見せ付けた堂々たる力作となりました。

強烈な現実の中で育った男の言葉はあまりにもリアルすぎて、清々しい。1曲目「長屋の一人っ子の独り言」 から強烈なゲットー臭。地元レペゼン賛歌にしてアニキ的リリックからしてノー・ダウト。マチガイナイ。そして最大の話題は大阪クラシック「ゲットーの歌です」 !!これはヤバい。KREVAの「国民的行事」 にて知名度を上げた(でもプロップスは下げた)エヴィス・ビーツによるいつもの浪速フレイヴァー全開のトラックに、JAY-Z「Hard Knock Life」 ばりの子供声の超キャッチーなコーラスが乗る曲で、昨年からライブで披露されていた超話題の1曲。このコーラス部分凄いです。

人が死んでいる~ 
頭血出てる~ 
うめきが聞こえる~ 
そばで歌っている~♪

ここで生きていく~♪


西成で生きている悲惨な現実をコミカルに歌う。このポジティヴな生き方には現代人が見習わなければならないところがたくさんある。声にも説得力があって聴き入ってしまいます。
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天王寺動物園の思い出を歌った「天王寺Zoo」 、ヘッズに向けたメッセージ・ソング「心配すな、でも安心すな」 などアニキなリリックに胸が打たれます。ノー・ダウト。MSCからメシアtheフライを迎えた地元レペゼンな「I’m Still」 では、80年代なシンセ使いの軽快なトラックにMSC陣の強烈なリリックが対照的で面白い。早くフル・アルバムが聴きたいですね。

さて、このシンゴ★西成はライブも最高に面白い。この人が出てくると一気に客も沸きます。現場至上主義をモットーにするだけあってステージングも見事。まさしくゲットー・スーパースター。マチガイナイです。一度体験して下さい。
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by Blacksmoker | 2006-03-27 02:18 | HIP HOP

「The Blues」DVDシリーズ 第2回。

「Feel Like Going Home」(監督:マーティン・スコセッシ)

f0045842_1142597.jpgこのプロジェクトの製作総指揮者マーティン・スコセッシ本人の監督作品が登場。1969年生まれの若手黒人ブルースマン、コーリー・ハリスがミシシッピの最深部のデルタにやって来てタジ・マハールやケブ・モらセッションをし、そして伝説のファイフ(笛)奏者オサー・ターナー(下写真)に出会うことで彼らのルーツである西アフリカのマリに行き、アフリカのドラム音楽とブルースの深い関わりを探求するドキュメンタリー。途中に登場するサン・ハウスの独特の奏法の演奏シーンが出てきますが打楽器のようにギターを弾く姿に衝撃を受けます。なるほど、アニー・ディフランコのルーツはこれか!
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この映画の中では、ブルースの起源を辿っていくのだが、タジ・マハールの言う「奴隷時代の過酷な綿花畑の労働がブルースという強烈な音楽を生み出した」という評が興味深い。ゴスペルもそうだが、黒人にとって音楽は過酷な状況を乗り越える為の方法なのだ。サリフ・ケイタも「俺は人生の苦痛を歌ってきた」と言っているし、アリ・ファルカ・トゥーレにおいては「車や酒の為に歌うジョン・リー・フッカーが最初は理解できなかった」とも発言している。まあ全てが全てそうではないとは思うが、ブルースは悲しい歌なのだ。だからブルースを聴く時は歌詞を理解しなければならない。だからこの日本語字幕付というのはありがたい。さて、映画の出来ですが、テーマは良いのだが短い時間に壮大すぎりテーマを詰め込みすぎた為か少々焦点が定まっていないカンジがしたのが残念。もう少し掘り下げてみて欲しかった(そうすると5時間くらいになりそうだが…)。

[評価]
★★★★★ ★☆☆☆☆

追記:
去る2006年3月8日に前述のアリ・ファルカ・トゥーレ(下写真)が亡くなりました。マリの伝統音楽のルーツがアメリカのブルースと源流を同じにしているという事を教えてくれたミュージシャン。年齢不詳の為、推定年齢は65歳と言われている。R.I.P.
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by Blacksmoker | 2006-03-24 01:26 | 「THE BLUES」 DVDシリーズ

遂に出ます。

TOOLの5年振りのアルバム。

タイトルは「10,000 Days」。アートワークも発表になりました!
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[トラックリスト]
Vicarious
Jambi
Wings For Marie (Pt 1)
10,000 Days (Wings Pt 2)
The Pot
Lipan Conjuring
Lost Keys (Blame Hofmann)
Rosetta Stoned
Intension
Right In Two
Viginti Tres


全米発売日は2006年5月2日!! 心して待て!
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by Blacksmoker | 2006-03-22 10:49 | METAL

PRIMAL SCREAM [Star]

マイメン、たばさ氏のブログを読んでいて何か聴きたくなってきたプライマル・スクリーム

彼らの曲で僕が一番好きなのは1997年「ヴァニシング・ポイント」 に収録されてる「Star」 という曲。当時MTVでPV(マニが汗まみれで走ってるヤツ)が頻繁に流れてて妙に気に入ってしまいました。

f0045842_0451411.jpgこの曲はシングルでリリースされていて、そのシングル盤のジャケ(右写真)が非常にかっこ良くて当時から超お気に入りです。若い黒人が「オークランド警察署」と書かれた建物の前でショットガンを持ってる何か意味ありげな写真です。中ジャケを見ると同じ場所でもう1人の若い黒人が今度はリヴォルヴァーを持って写真に写っている。クレジットの所に目をやると「Bobby Hutton」という名前が。そうです、もう気付いた人もいるでしょう。60年代カリフォルニアのオークランドで結成された黒人自衛団「ブラック・パンサー党」の第一号党員ボビー・ハットンです。もう1人のリヴォルヴァーを持った黒人青年はボビー・シール。彼の方がブラック・パンサー党員としては有名か。当時はプライマル・スクリームとブラック・パンサーが何で結びつくのかなんて全然理解してませんでしたが、今考えると彼らに共通するのは「レベル(Rebel)」という言葉でしょうね。昔はそんなバンドとは思えませんでしたけど。

f0045842_0503215.jpgさてこの曲「Star」 の一番の好きなところは何といってもメロディカが奏でる哀愁のメロディですね。この印象的なメロディカを演奏しているのがレゲエ界の巨人にして偉大なるメロディカ奏者オーガスタス・パブロ。そういやオーガスタス・パブロの名を聞いたのはこの時が初めてでしたね(当時この事を教えてくれたのは現在「あらかじめ決められた恋人たちへ」というソロ・ユニットをやっているメロディカの奇才にして友人の池永正二君でした)。しかもこれがパブロの残した最期の作品だそうです。これ以降パブロの哀しげでありどこか懐かしいメロディカの音の虜になりました。おかげでレゲエ馬鹿になったわけでもありますが…。

メロディカ以外にもメンフィス・ホーンズによるサックスやトランペットによるニュー・オーリンズ・テイストの味付けもハマっているし、よく聴くとタブラの音も入っている。ダブ処理されたボビーのヴォーカルや効果音のトビ具合も全く大袈裟ではなく自然だ。

歌詞の内容もかなりRebelな内容。プロテスト・ソングです。シスター・ローザ(ローザ・パークス)やマルコムXドクター・キング(キング牧師)など実名で出てきます。『俺はこの歌を権利の為に立ち上がる全てのみんなに歌う』という歌詞もクールだ。『Every brother is a star, Every sister is a star』というコーラス部分はEveryone is a starと歌ったスライ&ザ・ファミリー・ストーンを思い出します。

この曲は聴けば聴くほど新しい発見が見つかる曲ですね。ヘッドフォンで聴いたらその面白さが分かりますよ。
もうリリースされて9年経つが今でもフェイヴァリットな一曲です。

この曲がリリースされた1997年の翌年、彼らは「フジロック’98 in Tokyo」 で来日したわけですがこの曲を初めて生で聴けました。会場後方で寝転びながら聴いた「Star」 は最高に気持ち良かったですよ。
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by Blacksmoker | 2006-03-21 01:00 | ROCK

高橋 幸宏 [Blue Moon Blue]

f0045842_057821.jpg決して表に立つことはないが、バックでしっかりサポート。でもやっぱり注目されたい。個人的にはそんな印象が強い高橋幸宏。最近では細野晴臣とのユニット、スケッチ・ショウで存分に存在感をアピール。そして満を持して遂にリリースの7年振りのソロ・アルバム「Blue Moon Blue」は……やはり彼の性格らしく地味に素晴らしいアルバムでした。

地味」なんて言い方しましたが、何かしっくりこないなぁ。「派手じゃない」って言いたかっただけです。大人の知性を感じさせるエレクトロニカ。エッジの立ってない音。感性を揺さぶる刺激的な音じゃなく、感性を休息させてくれる音でスケッチ・ショウの延長に位置するアルバムです。細野氏に「スケッチ・ショウ用に取っといてくれよ」とか言われてそうな出来栄えです。数曲を除いてほとんどが歌モノ。HER SPACE HOLIDAYのボーカルやMARZのボーカルも参加していてモロに北欧エレクトロニカ。クールで優しいサウンドです。高橋幸宏の歌もフラットで血を感じさせない声で、羅針盤の時の山本精一の声を思い出す。
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全編英語詞で歌われているが最終曲「Eternally」 で突如唯一の日本語詞が歌われる。散文調の短く優しい言葉の羅列。心が洗われます。

細野晴臣がブライアン・イーノなら、高橋幸宏はさしずめダニエル・ラノワか。ちなみにイーノのカヴァー「Lay My Love」 も収録。ハマりすぎ。
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by Blacksmoker | 2006-03-19 01:10 | ELECTRONICA

OPETH [Ghost Reveries]

こりゃたまげた!こんな凄いバンドがいたとは!

f0045842_0303432.jpgスウェーデン出身のプログレッシヴ・デス・メタルバンド、オーペスの通産8枚目のアルバム「ゴースト・レヴァリーズ」

オーペスの名前は聞いたことあったが音は聴いた事はありませんでした。この新作をたまたまレコード屋で見つけ試しに買ってみたわけですが帰りの車の中で聴いてビビリました。その後すぐ旧作も全部揃えました。

まあ最初で「デス・メタル」と書いた時点で半数以上の人がこの先を読むのをリタイヤしていると思うが、オーペスはもはや狭義のデス・メタルなんか超越してます。

PINK FLOYDCAMELKING CRIMSONら70年代プログレッシブ・ロックの映像を喚起させる幻想的な音、TOOLの得体の知れない不気味さ、SEPULTURAのトライバル感、VADERの残虐さ、NILEのオリエンタルなメロディ、TYPE O NEGATIVEの耽美さ、MESHUGGAHのプレイヤビリティ、初期FLEETWOOD MACのブルージーさ、北欧的な透明感、宗教的荘厳さなどを備え、さらに誰とも似ていない完全なオリジナリティを獲得しているサウンドは圧倒的です。
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デス・メタル特有の「グォー!」というヴォーカルもありますが、普通の声で歌う率の方が高いのも特徴。これがめちゃくちゃブルージーで透明感のある素晴らしい声で感動します(って油断してたらまたゴォーってカンジになりますが。ちなみにデス声の迫力はMORBID ANGELのデヴィッド・ヴィンセントとタメを張るくらい凄いです)。プログレッシヴなだけあって長尺の曲も多く最初から10分、10分、8分というように大作が続きます。しかし次々目まぐるしく変わる曲調が全く時間を感じさせない。今作から新加入したSPIRITAL BEGGARDSのキーボード奏者によるクラシック・ロックを彷彿させるプレイもドラマティックさに磨きをかけている。それに加えてTOOLの影響がかなり見られます。リフ・ワークなんかそれっぽいトコロが随所にありますね。

プログレッシブ・デス・メタル」という枠に囚われず、普通のロック・アルバムとして評価されたとしても、そうとう高い評価を受けるアルバムでしょう。ちなみに以前のアルバムも全部聴いてみたんですが全くのハズレなし!ここまで完成度の高いバンドも珍しいですよホント。前作ではアコースティック・アルバムとかリリースしてますからね。デス声ゼロで。デス・メタル・バンドがアコースティックですよ!ただモンじゃないです。
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by Blacksmoker | 2006-03-17 01:06 | METAL

DEVENDRA BANHART [Cripple Crow]

盛り上がる「フリー・フォーク」と呼ばれるシーン。

f0045842_131246100.jpgアニマル・コレクティヴアントニー&ザ・ジョンソンズを筆頭にヴァシュティ・バニヤンココーロジーなど素晴らしい作品がリリースされた2005年だが、このシーン(ってかコミュニティと呼んだ方がしっくりくる)の中心を担うデヴェンドラ・バンハートの新作「クリップル・クロウ」。これは1つのマイルストーン的な作品です。

SWANSマイケル・ギラのレーベル「Young God」 から出た謎のアシッド・フォーク・シンガーということでデビューした当時からカルト的な扱いでしたが、この4作目にしてワールド・ワイドでXLと契約。XLといえば真っ先に思い浮かぶのがプロディジーレモン・ジェリーディジー・ラスカルといったクラブ系の音なので、バリバリにアシッドなこのデヴェンドラ・バンハートとの接点が見つからないのだが、音は変わらず、さらに多様な音楽性を爆発させた大傑作となりました。

何といってもまずこのジャケット。タダならぬ雰囲気を感じます。アシッド感出まくりです。もうこのジャケットだけで何か感じた人はすぐレコード屋に走ってくれてかまいません。まちがいなく気に入るでしょう。

基本はアシッド・フォーク。緩やかなギターにゆらゆらと震える歌が60年代のヒッピー系フォークをf0045842_13141311.jpg連想させます。しかしそれだけに終わらないのが今の時代のアーティスト。このデヴェンドラの内包する音楽性の幅は宇宙のように広い。カントリーの曲が出てきたと思えば、次はトロピカリズモを感じさせるスペイン語の歌があったり、シタールを入ったインド音楽があったり、ニューオーリンズ・テイストな曲があったりと才能が爆発しています。低血圧気味のヘロヘロな歌声から発せられる幽玄なメロディが体にやさしく染み入ってきます。

ほとんどの楽器を自分自身で演奏しているそうで、そのプレイヤビリティの高さにも驚かされるが音のバランス加減が素晴らしくサイケデリック。ストリングスやパーカッションや残響音のアシッドなミックスが60年代のフラワー・ムーブメントの空気を再現してくれていますね。22曲で78分もある超大作(というより詰め込みまくっただけかも)ですが、どっから聴いても全然OKなおもちゃ箱的アルバム(音楽性は違うがビースティ・ボーイズILL COMMUNICATIONもそんなカンジですね)。

どこまで本気か分からない得体の知れなさも相変わらずですが、このアルバムで少し親近感が出てきた気がします。カルトなキャラから一気にポピュラリティを獲得し、時代の寵児的な存在になりつつあるこの男。2006年は「ボナルー」や「コーチェラ」など注目のフェスに登場します。

今年はこの男が台風の目になる気がします。
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by Blacksmoker | 2006-03-15 13:31 | FOLK

ANIMAL COLLECTIVE @ unagidani sunsui 3/11(土) 2006

フリー・フォーク」シーン(ネオ・アシッド・フォークやらフリークトアウト・フォーク
やら呼び名は様々ありますが…)の人気者ニューヨークのブルックリン出身のアニマル・コレクティヴの来日公演行ってきました。

昨年バンドの最高傑作とも言える「Feels」を発表し、f0045842_2262140.jpg人気を決定付けた彼らの待望の来日公演ということでsunsuiは超満員。チケットはソールドアウトという状況にビックリ。そんな人気あるのか?アニマル・コレクティヴって…。意外だ。

さて前座のトクマルシューゴに続いて出てきたアニマル・コレクティヴの4人の面々。見た目は超普通のインディ・ロック系の兄ちゃん達です。ステージの中央にサンプラーやディレイマシンを操る髭ぼうぼうのメンバーが頭にライト装着して暗いステージの中を頭を振りまくりながらノイズやSEなどを撒き散らす。ドラムはずっと立ちながら演奏しておりドラムというよりパーカッションってカンジで超シンプルなセット。両サイドにギター2人。1人はボーカルも兼任で割れまくったエコーのかかった子供のような変な声です。
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これはいわゆるジャンク系だ。所謂「フリー・フォーク」とはちょっとかけ離れてる気がする。昔のバットホール・サーファーズのカオスなライブを思い出しました。かなりのフィジカルさ。クールなフォークかと思いきや暴れまくりのかなり躍動的なステージング。昔のボアダムズにも似てる。ただあそこまでクレイジーな感じではなくもっと親しみやすい。女性ファンが多いのもその理由だろう。カオス路線に走っていたらおそらく男率が90%になっていたに違いない。BLACK DICE(アニマル・コレクティヴのレーベル所属)のようなノイズの中を、妙にクセのあるメロディで歌われる歌が超ポップで気持ちいい。ウダウダな演奏かと思っていたが、かなりまともで安定していた。これも意外。
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最新作「Feels」の曲をメインに結構やってましたね。このアルバムは牧歌的メロディが冴えた曲が多くサイケデリック感たっぷりなんですが、ライブ後半はそのサイケ感を前面に出した曲が多く妙にユルい空気が漂ってました。これもなかなか気持ちいい。

あと、めちゃくちゃやってそうでかなり知性を感じさせる計算された音楽のように思えた。演奏力も高かったし、何と言ってもメロディがしっかりした曲が多い。こういう芯の通ったバンドは強いですよ。ちょっと「色物見たさ」的な客もぶっ飛ばされたんじゃないでしょうか。

アニマル・コレクティヴ侮れないですね。でも昔はこんな格好とかしておりました…。
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by Blacksmoker | 2006-03-13 02:51 | ライブレポート

NINE HORSES [Snow Borne Sorrow]

音楽というものは聴く時間帯によって印象がガラっと変わる。昼にしか効力を発揮しない音楽もある。その陽性な音は夜に聴いてもまったく効き目がない。そして逆に、夜にしか効力を発揮しない音楽も存在する。こと音楽に関しては夜にしか効力を発揮しない音楽のほうが昼のそれより多いと思う。昼に聴いてもそれほど印象が薄いのだが、夜に聴くと段違いに良く聴こえる。

デヴィッド・シルヴィアンもその1人。彼の声は夜にその効果を発揮する。

f0045842_0524979.jpgそのデヴィッド・シルヴィアンが新しいユニット、ナイン・ホーセズを結成。2005年にデビュー・アルバム「Snow Borne Sorrow」をリリースしました。今年日本盤もめでたくリリースされましたので紹介しましょう。



ナイン・ホーセズはデヴィッド・シルヴィアン(写真右)、彼の実弟スティーヴ・ジャンセンバーント・フリードマンの3人からなるユニット。作風はデヴィッド・シルヴィアンの前作「Blemish」 の世界観の延長線にあると言っていい。デレク・ベイリーフェネスとのコラボレーションで即興性を重視した「Blemish」 は太陽の当たらない森の中にいるような静寂で深遠なアルバムで、デヴィッドの消え入りそうなくらい不安定なメロディの歌と、予測出来ないデレク・ベイリーのギターが見事に融合したサウンドでした。それと比べると、今回はデヴィッドの歌により焦点を当てている。ジャケットの印象からエレクトロニカなサウンドを想像したが、エレクトロニカ的な要素はかなり薄め。そして「Blemish」 よりも陽性な作風です(と言っても一般的にはダークなんですが)。
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ゲストにはノルウェーのジャズ・バンドSUPERSILENTのトランペット奏者アルヴェ・ヘンリクセン。スウェーデンの女性ヴォーカリスト、スティーナ・ノルデンスタム、そしていつもの坂本龍一。特筆すべきはアルヴェ・ヘンリクセンのトランペット。デヴィッド・シルヴィアンの低音ヴォイスとの絡みが素晴らしい。相性が抜群だ。聴いていてゾクゾクします。スティーナ・ノルデンスタムとのヴォーカルの掛け合いもハマリすぎ。1曲目なんか薄っすらとエレクトロニックな装飾がなされた北欧ジャズなサウンドをバックに2人がヴォーカルを分け合うおそろしくカッコ良いナンバーです。アルバムを通して歌の力強いメロディが際立っています。最強の助っ人を得たシルヴィアンが、彼のヴィジョンを明確に音で再現しきったともいえるでしょう。迷いのなさがサウンドからも感じられます。最近のシルヴィアン作品の中でも「ポップさ」「実験性」の融合が見事な作品です。

彼の性格から考えるとこのユニット、次作があるかどうか微妙ですが是非とも続けて欲しいものです。

ピーター・バラカン師匠も絶賛です。
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by Blacksmoker | 2006-03-11 01:14 | ROCK