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TANYA STEPHENS [Gangsta Blues]

f0045842_01376.jpg前回紹介したリッチー・スパイスのところで「最近のアーティストではまずこの人をオススメ」と書きましたが、まだまだレゲエ界には紹介したいアーティストがたくさんいるんです。このタンヤ・スティーヴンスも激プッシュの1人。ジャマイカのレゲエ・シーンでは珍しい女性DJです。もうすぐ待望の新作がリリース間近ですが、彼女の2004年の傑作「Gangsta Blues」をフックアップ。

PUSHIMの回でも触れましたが、ジャマイカというのはいまだに男社会であり女性アーティストが活躍するのは非常に困難な状況にある。そもそも経済状態が悪いジャマイカでは「男はタフじゃなきゃならない」という考えが一般化しているのでゲイに対してのバッシングもハンパない。カリブ海の東端バルバドスではいまだに違法行為として定められている。この必要以上の「ゲイ・バッシング」問題については、またいずれ触れようと思いますが、そういう状況の中で女性が男性より活躍するなんて事は至難の業だ。

その中でこのタンヤ・スティーヴンスの健闘は目を見張るものがある。
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まずレゲエ・アーティストでありながら大きくレゲエの枠を超えR&Bやソウルも呑み込んだスケールの大きな音楽をやっている。以前はジャマイカのダンスホール・クイーン、レイディー・ソウのフォロワーの域を出なかったタンヤですが、ここ最近で夫のアンドリュー・ヘントンを音楽的パートナーに向かえて新しいレゲエを歌うようになったのが大きい。同じようなアーティストとして思い浮かぶのはローリン・ヒル。あの母性を含んだエキセントリックでオリジナルな存在に近いものがありますね。声質もそのローリン・ヒルに、ネリー・ファタードの無国籍な歌声を足したような声。とても太くて優しいので非常に心地良い気持ちにさせてくれます。

さてこのタイトル「Gangsta Blues」ですが、随分と物々しいタイトルですが別にギャングスタ・ラップをやっているわけではありません(ちょっと風貌が女性ラッパーのEVEにも似ているが…)。このタイトルについて彼女は「ブルースとは悲しいものが多いけど、あえてギャングスタと付けたのはこのブルースを聴いて悲しくならないで元気を出して欲しいという意味を込めたからなの」と発言している。

確かに大ヒット曲「It’s A Pity」は彼氏に奥さんがいたという内容だったりするし、「Little White Lie」は夫とは違う男性の子供を生んで言えないでいる女性の歌だったりと悲しい内容のものが多いんですが、曲の最後にはしっかり希望のメッセージが込められていてるのがf0045842_084220.jpg良い。聴いた後に実にポジティヴになれるのですね。「What's Your Story」の歌詞は記念日に待ちぼうけ喰わされまくってヘラヘラと帰ってきた男に「オマエなめてるのか!」と一撃喰らわせる内容で、最後に「ベレス・ハモンドのレコード買ってあげたの誰だと思ってんの?ここから出て行って他の女でもダマしに行け!!」と一喝してシメる痛快なチューンです。もう怒りを超えて笑えますね。

しかし本当にスケールのデカいアルバムだ。アルバム全体がしっかりと考え抜かれた構成で全く飽きの来ない出来に驚愕です。女性であることに誇りを持つよう歌う「I Am Woman」はいきなりドゥーワップで攻めてくるというレンジの広い音楽性にも驚かされますよ。ライブではアコースティック・ギター1本で弾き語れる実力も持っている才人です。そして、これは全ての音楽ファンに聴かれるべき大名盤です。
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アレサ・フランクリンからローリン・ヒルインディア・アリーまでのファンには間違いなくバッチリなこのジャマイカン・ウーマンの名盤を是非聴いてみて下さい!

そして8月末に待望の新作「Rebelution」がリリースされるのでこれも要チェックです。
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by Blacksmoker | 2006-07-31 01:00 | REGGAE

RICHIE SPICE [Spice In Your Life]

フジロック行きてぇー!!と、心の中で叫びながら平静を装っていた今日一日でした。

しかし暑い日が続きますね。季節柄レゲエばっか聴いてますので、レゲエ・アーティストを集中的に紹介しましょう!

f0045842_2319350.jpg以前にジプシャンの回でも言及しましたが、ジャマイカのレゲエ界では2004年頃から過激化するスラックス(下ネタ)やバッドマン・チューンの反動でコンシャスなラスタ系のアーティストによるシリアスなメッセージを持った曲がより好まれるようになってきている。2006年現在でもその傾向は同じ(若干アゲ系のダンスホール・チューンが復活している気もするけど…)で、多くの若手ラスタ・シンガーの台頭が目覚ましい。その中でも最もブレイクしたのが、リッチー・スパイスだ。今回はこのリッチー・スパイスのブレイク作にして名盤「Spice In Your Life」を紹介します。

リッチー・スパイスは1971年生まれ。8人兄弟のうち既に3人がミュージシャン(2人の兄、プライヤーズスパナ・バナーは、有名なシンガー)という家系で育ち、20代半ばでシンガーとして活動するが全く鳴かず飛ばず。その彼がブレイクを果たしたのが30歳を超えてからというから人生何が起こるか分からない。ブレイクのきっかけは「Earth A Run Red」という曲の大ヒット。この曲で一躍大ブレイクを果たし、ジャマイカのレゲエ界にその名を轟かせる事になる。
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この「Earth A Run Red」の大ヒットの理由はキャッチーなメロディもさることながら、かなりシリアスな内容を歌っている事でしょう。何たってコーラスは「地球が赤く染まる 10代の子供たちが食べ物を探しまわる どこかで子供が死ぬのが聞こえる」というもの。このシリアスさが人々の心を捕らえたのでしょう。そして子供たちへクラックや銃には気をつけろというメッセージを発している。これぞ名曲!!

このアルバム「Spice In Your Life」には「Earth A Run Red」も、もちろん収録されているが、この他にもブッシュの名を出して批判する反戦チューン「Blood Again」や、アフリカ系黒人であることに誇りを持とう呼びかける「Black Like Tar」や、愛を受けられない子供を憂う「Crying Out For Love」など、シリアスなナンバーが目白押し。ここまでシリアスな内容でありながら曲調は全く暗くない。もちろんラスタなのでマリファナ賛歌「Marijuana」もガッチリ収録。

リッチー・スパイスの歌詞の特徴f0045842_23252360.jpgは、ラスタファリズムを前面に押し出した宗教臭いところがないところでしょう。「世界中の人々にメッセージを届けたいからジャマイカ人にしか分からない事は歌わない」と発言しているのも若手ラスタ・シンガーならではの考えで面白いです。こんな発言をバニー・ウェイラーバーニング・スピアアイジャーマンが聞いたら大激怒しそうですが、ユダヤ人ラスタのマティスヤフなどが活躍する現在においてはこういう考えは個人的には全くもって大歓迎ですね!もちろん前述の偉大なレジェンド達もリスペクトしまくってますので誤解のなきよう。

サウンドは生演奏主体のかなり作り込んだ音で、コーラスの掛け方などかなりこだわっているのが分かります。随所にディーン・フレイザー(プロデューサーとしてもクレジット)の哀愁あるサックスの音が素晴らしい味付けをしてくれています。ジャマイカの音の魔術師ボビー・ディジタル(Wu-Tang ClanのRZAの変名ではありません)の手掛けた「Crying Out For Love」の繊細なサウンドが美しすぎる!

リッチー・スパイスの声はジャマイカではあの「Mr.Cool Rulerグレゴリー・アイザックスf0045842_2335481.jpg比較されるほどだそうです。個人的には全然違うように思えるんですが、確かに様々な歌い方を披露するリッチーの独特な声(特に高音の伸びが素晴らしい!)は偉大なシンガーと比較されても十分に張り合える要素を多分に持っていますね。

最近のレゲエで良いアルバムない?」と聞かれたら間違いなくこのアルバムをオススメします。

もちろん他にもたくさん良いアルバムありますので、それは次回にでも…。
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by Blacksmoker | 2006-07-29 00:02 | REGGAE

MINISTRY [Rio Grande Blood]

f0045842_22251197.jpg反戦・反ブッシュをテーマにしたアルバムが数々リリースされているがこのミニストリーの新作「リオ・グランデ・ブラッド」 はその急先鋒。ってか凄いジャケット!!

正直言うとここ数年はあまりミニストリーをチェックしていませんでしたが、こんな憎悪と怒りと皮肉に満ちたアルバムを作ってくるとは思いませんでしたね。アル・ジュールゲンセン(下写真中央)がブッシュが大嫌いなのは有名だが、ここまで悪意に満ちたアルバムは痛快です。ジャケットから曲タイトル、そして歌詞までも全てがアンチ・ブッシュ!やり過ぎとさえ思えるくらい徹底しています。
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数年前に相棒のポール・バーカーが脱退してほぼアル・ジュールゲンセンのソロ・プロジェクトになっているミニストリーポール・バーカーが抜けてからインダストリアル色よりもメタル色を一層強めて過激に突っ走っていたようです。そもそもミニストリーは1982年にシカゴで結成されてるので、今年で何と結成24年!アル・ジュールゲンセンももう48歳になっている。だが、まだまだ言いたいことはあるらしい。

さて音楽性はというと前述の通りスラッシュ・メタルにも通じるスピードで金属ノイズを撒き散らしながらひたすら爆走。水中で叫んでいるようなエフェクトをかけまくったボーカルが叫びまくってます。前作のことはあまり知らないんですが、このアルバムでは元PRONGのフロントマンであるトミー・ヴィクターがアルの相棒として作曲・演奏ともに大きくクレジットされている。PRONGではそのハードコアとインダストリアルを絶妙にブレンドさせたぶッといゴリゴリなリフ主体の超カッコいいヘヴィ・サウンドをやっていたにも関わらず、正統な評価を得られずにいた彼ですが、この爆走振りは彼の影響も多大にあるんじゃないでしょうか。

ちなみに1996年のPRONG(右写真。真ん中がトミー・ヴィクター)の初にして唯一の来日公演は私も観に行ったf0045842_2237494.jpgんですが、心斎橋クラブクアトロで客が僅か16人というとんでもない少なさでした!それでも血気盛んでダイハードな16人は受け止める人が誰もいないフロアにステージ・ダイブを敢行するというヤケクソに近い暴走行為を働き、当たり前のように地面に叩きつけられていました。私もその時にステージ前方の鉄パイプに激突して出来た傷が脛に今でも残ってるというエポック・メイキングなライブでした。

そして最高に過激なアルバムをリリースしたミニストリーは現在SLIPKNOTジョーイ・ジョーディソンをドラムに迎え、トミー・ヴィクターKILLING JOKEポール・レイヴンという豪華メンバーを従え全米ツアー中。10月には「Loud Park 2006」で超久々に日本にもやってきます!そういえば私の人生初のスタンディング・ライブはこのミニストリーでした。あの時はギュウギュウのクアトロに黒ずくめの客ばっかりで、窒息しそうなくらい酸欠寸前の盛り上がりで、ボンデージの女がいきなり全裸になったりとそれはそれは衝撃でした。彼らの凄いライブを是非体験して欲しいですね。
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しかし残念ながらミニストリーは次のアルバム「The Last Sucker」(これまた素晴らしいタイトル!)をもって解散という正式アナウンスがされています。おそらく最後の来日公演となるであろうアル・ジュールゲンセンの勇姿を是非拝みに行け!
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by Blacksmoker | 2006-07-27 00:21 | METAL

COCOA TEA [Save Us Oh Jah]

80年代に新世代ダンスホール・レゲエの代表格として「Volcano」を初めとして「Jammy’s」などのレーベルから大ヒット曲を連発したココ・ティも、今ではもうレゲエ界随一の大ベテラン・シンガーとして君臨する。

f0045842_2337268.jpg90年代に入ってからは非常にマイペースな活動で作品をリリースしていたココ・ティ(地元ジャマイカでは現役で漁師をやっているのは有名な話)の超久々の新作「Save Us Oh Jah」は昨今のレゲエ・シーンのど真ん中を行く素晴らしいダンスホール・アルバムです。今年リリースされたレゲエ・アルバムの中ではダントツに光る出来です。

アッパーなダンスホールではなく、全編に渡ってミディアム・テンポの緩やかなダンスホール・チューンで占められている。しかも今回ココ・ティは90年代のベスト・パートナーであったプロデューサーのフィリップ・バレル率いる「XTERMINATOR」サウンドとの再びの邂逅を果たしました。これは往年のココ・ティを知る人にはビッグ・サプライズです!f0045842_024850.jpg他にもファイアー・ハウス・クルーや、アール”チナ”スミス(泣)、そしてディーン・フレイザーも参加してガッチリ脇を固めています!「Xterminator」の生音主体のどっしりした安定感のある演奏と女性コーラス隊が偉大なるシンガー、ココ・ティの歌声をバックで支えています。ルーツ&コンシャスなシリアスなナンバーや、ダンスホールやラヴァーズ・ロックなど非常に多様でカラフル。陽性なココ・ティの歌声と相まってとても素晴らしい完成度を誇る。

しかしココ・ティの歌声はやっぱグレイト!ジャマイカのラスタ・シンガーの中で彼とタメを張れるシンガーなんてベレス・ハモンドくらいしかいないですね。あのジプシャンだってまだまだココ・ティの足元には及ばないでしょう。個人的に大好きなラスタ・シンガーのルチアーノも、ココ・ティと比べれば声の張り・伸びやかさ・包容力など悔しいがココ・ティの方が一枚上手。インナースリーブの写真のゲットー感満載のアミシャツ姿も貫禄出まくりです。
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今年のレゲエ・シーンを代表する1枚となるであろうこの新作は是非ともレゲエ入門アルバムとしてもオススメです。特に女性にも聴いて欲しいアルバムです。最高のラスタ・シンガーの歌声を堪能して下さい。

そしてこのココ・ティ9月に来日決定!!これはマストです。
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by Blacksmoker | 2006-07-24 00:42 | REGGAE

PUSHIM [I Pray]

f0045842_013457.jpg今年も大いに盛り上がっているジャパニーズ・レゲエ・シーンですが、女王プシンが今年の夏のアンセムとなる1曲「I Pray」をドロップしました。今年の夏はこの曲で乗り切れ!

昨年から「A Song Dedicated...」と「Anything For You」という2曲のアンセムで、横浜レゲエ祭ハイエスト・マウンテン など数々のビッグ・ダンスで数万人の心をガッチリ掴んだプシンが放つBrand Newは前述の2曲のようなミディアム・リディムを踏襲した感動的な曲です。今回もプシンは世代やジャンルを超えた素晴らしい名曲を誕生させました!

まず内容ですが、どんな試練が来ようとも立ち向かって行こうというポジティヴな内容です。「不幸せなんて私が言うセリフじゃない」というトコはかなりグッときます。内容自体は斬新なものではないけど、プシンの歌声の高f0045842_0233338.jpg揚感が楽曲に一層の輝きを与えてます。いつもながらとんでもない声量とコブシの利いた貫禄たっぷりの声には感服します。いまだに男社会のジャマイカでは女性レゲエ・アーティストが上位に立てない状況で、いまだにジャマイカの女性シンガーのトップはアイ・スリーズ(Bob Marley & The Wailersのコーラス隊)のリタ・マーリィマーシャ・グリフィスという停滞が続いていますが、プシンに関しては日本のレゲエ界の頂点に完全に君臨しています。そしてこれは当分破られない事はないでしょう。

そしてバックを勤めるのはもちろんホーム・グロウンしかいません。もうそろそろこの人達に続くバンドが出てこないとレゲエ界はもっと大きくならないんじゃないかと思ってしまうほど、ホーム・グロウンばかりですね(ファイアー・ボールのJungle Roots Bandとかもいるけど…)。哀愁のある曲調でありながら、聴いた後の高揚感もあるポジティブなこの「I Pray」は今年のアンセムになることマチガイナシで、日本各地で大合唱確実です!
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カップリングのBOY-KENとの初コンビネーション・チューン「Don’t Feel No Way」もヤバいのでチェックして下さい。この曲はBOY-KENのアルバムにはアコースティックVer.で収録されているのでこちらもチェック。

さあ今年の夏は「I Pray」で合唱しましょう!!
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by Blacksmoker | 2006-07-22 00:36 | REGGAE

KEB' MO' [Suitcase]

このアルバムが人々に聴かれないで終わっていくことは全くもって罪なことだ!

それほどにこの天才ブルースマン、ケブ・モの新作「Suitcase」は素晴らしい出来です。

f0045842_20571092.jpg外見とは裏腹にケブ・モのブルースはミシシッピ・デルタ・ブルースのように濃くはない。とても聴きやすく耳に優しい。ドロドロのブルースとは一線を画している。近年流行のサーフ・ミュージック・シーンの延長でも十分通用するほどの聴きやすさです。「ブルース」というだけで聴かれないのは非常にもったいない話だ。クラプトンだってブルースじゃないか!

なんて文句の1つも言いたくなるが、それほどまでに日本じゃ有名ではないのだ。日本盤もおそらく出ないでしょう。大体名前で損しているんじゃないか?英語で「KEB' MO'」と書くとカッコイイが、カタカナで「ケブ・モ」と書くとあまりカッコいい字面じゃない。「ペル・ウブ」とか「イモージェン・ヒープ」とf0045842_2162030.jpgか「サダハル」(アメリカのパンクバンドです)とか最初っから聴かれない運命にあるような名前だ。実はケブ・モの本名はケヴィン・ムーア。この名前をブルース流に言い換えたのがケブ・モということらしい。しかも昔はケヴィン・ムーア名義でアルバムもリリースしていたそうですね。こっちの方が良いような気もするが、それじゃあまりにも地味過ぎるか…。

ちょっと話が逸れましたが、この新作は何度聴いても味のあるアルバムです。まんまロバート・ジョンソンなジャケットが聴く者を選別してしまっている気がするが、ブルース汁は濃くは無いです。ブルースにR&Bやゴスペルの味付けをして全体的にポップに昇華させているのでとても聴きやすいし、ケブ・モも声も太くて伸びやかで包み込むような包容力がある。ギターの音もまるで人格を持っているかのように歌っています。情感たっぷりのスライドギターや、出番は少ないのに存在感の光るサックス、控えめながら実に効果的なハモンドB3など実に素晴らしい演出です。
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そしてもちろん歌詞も良い。最小限の言葉で最大限の感情を伝えるケブ・モの歌詞はブルースの真骨頂です。普通に歌詞を見て泣けましたよ。やっぱりブルースは詩が命ですね。「I’m A Hero」って曲で「こんなにダメな俺でも、彼女にとっては俺はヒーローなんだ」と歌われる歌詞は俺も含めて結婚している人間にとってはほんと涙が出るほど感動しますよ(ちょっとAORっぽい曲調ですが…)。

とりあえず「素晴らしい!」を50回くらい叫んでも足りなf0045842_21243571.jpgいくらいの名盤ですので、是非とも聴いてみて下さい。冒頭でも書きましたが、このアルバムが聴かれないのは全くの罪ですよ。ちなみにオフィシャル・サイトで視聴が出来ますので早速行ってみよう!オープニングの「Your Love」のタメの利いたギターと渋い声にヤラれてください。「Your love means everythig to me~♪」と堂々歌うカッコ良さは正に現代のロバート・ジョンソン。多くの人々に聴かれること切に願いますよホント。
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by Blacksmoker | 2006-07-20 00:01 | BLUES

DJ QUIETSTORM [Jigajisan]

f0045842_23343875.jpg東京・中目黒を拠点とするアメリカ人、DJクワイエットストームの2年振りの新作「Jigajisan」(3rd)がリリースされました。日本語に直すと「自画自賛」!新たな音楽性を追求したタイトル通りの傑作となりました。

DJクワイエットストームは90年代初期から日本のヒップホップ・シーンに深く関わっているDJで、雷家族DJ KENSEIなどとも交流を持つ傍ら、自身はアメリカのヒップホップ集団リヴィング・レジェンズ(下写真)の一員f0045842_23412885.jpgでもある。前作「Soramiro」は彼のフェイヴァリットなMC(リヴィング・レジェンズのメンバーをはじめとして、TWIGYILL-BOSSTINOTHINK TANKなどアンダーグラウンドなMC)を集めたラップ・アルバム(これも傑作!THINK TANKのヤバすぎるフロー&ライムを聴け!)でしたが、今回はMC無しの完全なインスト・アルバムになっています。

彼のDJプレイを観た人には分かるでしょうが、彼のf0045842_23504181.gifプレイはヒップホップだけでなくドープなロックや、ハードコアも織り交ぜて独特の世界観を作り上げています。DJ BAKUのプレイにも通じる世界観です。そしてそのDJプレイを反映してか、今回このアルバムでDJ クワイエットストームはサイケデリック・ロックとヒップホップを融合した新たな音を作り上げています。要するにピンク・フロイド(R.I.P. シド・バレット)やグレイトフル・デッド、そしてサンタナなどのあのヒッピー・カルチャーの空気感を含んだ60年代サイケデリック・ロックをヒップホップと融合させたのです。「融合」と言いましたが、はっきり言ってサイケデリック・ロックそのものです!もちろん随所に切り込んでくるスクラッチやサンプリングなどはヒップホップな要素は多分にあるが、ドラムは生音主体(AUDIO ACTIVEのドラマーが参加)だし、シタールやタブラなどが飛び交うトライバルで極彩色なサウンドだ。まるでウッドストックにいてるようなライブ録音的な音造りも良いですね。DJ的なセンスでサイケデリック・ロックをやっているアーティストなんて今までにはいなかったし、アシッドでやられたドロドロな音楽でもなくヒップホップ的なタイトなリズムなので非常に聴きやすいのもポイントです。今のサイケデリック好きな若者にはジャストな音だと断言できます。
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DJクワイエットストームは長年日本に住んでいるだけあって(日本語はペラペラです)、日本人的なキメの細かさが感じられるトラックもカッコイイし、楽器のフレーズなども思いっきり日本人の琴線に触れるメロディを持っていてかなりヤラれます。BGMやチルアウトにも最適なアルバムです。個人的には日本のヒップホップ・シーンにおいてインストだけでアルバム1枚勝負出来るのはDJ YASと、このクワイエットストームだけだろうと思います。これから長く愛聴していく盤になりそうです。

最後に、このアルバムは全編に渡ってサイケデリック・サウンドなんですf0045842_23574024.jpgが、その中に1曲だけ「Hardcore Beat」という曲があるのですが、これが80年代後半のヒップホップ(LL COOL JPUBLIC ENEMYなど)の有名フレーズを2枚使いで擦りまくった超バンギングなヒップホップ・トラックでこの1曲だけ異常に浮いているのですが、これには自分のルーツを忘れないクワイエットストームの気概を感じずにいられません。

1st「Damare」、2nd「Soramiro」(いつもタイトルが良い!)も素晴らしいので機会があれば聴いてみて下さい。
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by Blacksmoker | 2006-07-17 00:16 | HIP HOP

レゲエ馬鹿道場(VERSION) 第五回。

さて2ヶ月ぶりのレゲエ馬鹿道場です!第5回目を迎えました。

さて、本日紹介するのはレゲエ界の大物シンガーの1人。今でも現役で活動する大スターで今年も来日したばかり。行ってみようか、レゲエ馬鹿道場第5回目はコイツだ!!

GREGORY ISAACSNight Nurse」(1982)
グレゴリー・アイザックスナイト・ナース

別名「COOL RULER」。1f0045842_2323419.jpg951年キングストン生まれ。17歳の時コーラス・トリオとして初レコーディング。20歳過ぎからソロに転向し70年~80年代には大スターの地位を築く。プロデュース業やレーベル経営までも行う才人だ。ちなみにここまで有名なのに「スタジオ・ワン」録音を経験してないアーティストはグレゴリーくらいじゃないだろうか。そしてファッション・センスも一流でファッション・リーダーとしても多くのファンを生んだ。特に女性に大人気でモテまくりだったそうだ。たしかに今でもその佇まいは十分にカッコイイですね。


これまでに彼の出した作品は名盤と呼ばれるものばかりで、どれを選ぶかかなり迷いましたが、この82年の「Night Nurse」を選びました。ジf0045842_2329967.jpgャケは数ある彼の作品の中で一番ダサい気がしますが、中身は極上です。「COOL RULER」の異名を取るだけあって、彼の声には人々の心を落ち着かせる作用がある。暴動寸前のパンクスにグレゴリーの歌を聴かせると、一気に平常心を取り戻し、彼の声の虜になってしまうでしょう。このアルバムにも収録されているヒット曲「Cool Down The Pace」なんて、彼の声で「ペースをおとせよ」なんて言われたら何にもやる気なくなるでしょフツー(ちなみに彼の全盛期の姿は映画「ROCKERS」で観れます。しかも貴重な演奏シーン!カッコよすぎるぜ!)。

さて、その「COOL RULER」のバックを固めるのはTHE ROOTS RADICS。当時のジャマイカが誇る鉄壁の演奏を聴かせるレゲエ・バンドだ。ただこのアルバムでは(おそらく製作上、意図的にだろうが)グレゴリーのバックに徹し切っているカンジ。あくまで主役はグレゴリーの歌声。是非この歌声を堪能してみてくれ。
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白い帽子を被ったグレゴリーが「ホラ、聴けよ」と挑発しているかのような視線を投げかけるジャケが目印。その挑発に乗るともう「COOL RULER」の虜ですよ。

JAH RASTAFARI!!!
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by Blacksmoker | 2006-07-14 00:02 | レゲエ馬鹿道場(VERSION)

NEIL YOUNG [Living With War]

f0045842_3401539.jpg陰で政府を操るヤツラも、ウソ臭い戦争も必要ないぜ。楽園がなくなってしまったらな!」と歌われる「After The Garden」で幕を開けるニール・ヤング話題の新作「リヴィング・ウィズ・ウォー」は前々からの予告通りの反戦・反ブッシュのアルバムになりました。最近のニール・ヤングは怒涛の創作モードに入っているようですね。

これは強烈ですね。わずか2週間で製作f0045842_2236156.jpgされたというこの新作にはニール・ヤングの怒りや言いたい事が詰まっている。何が彼を突き動かしたのかは分からないが、これほど荒々しいニール・ヤングは久しぶりだ。ディクシー・チックスがあれほど批判を受ける現状の中で、ニール・ヤングはパンク・ロックのようにストレートな歌詞を堂々と歌っている。誰にも文句を言わせません(ってか誰も文句言わないか…)。

とにかく「Let’s Impeach The President」(大統領を弾劾せよ)とか、「Lookin’ For A Leader」(リーダーを探して)とか「Living With War」(戦争と共に生きる)とか、あまりにもストレートな歌詞が吐き出される。そしてニーf0045842_22561055.jpgル・ヤングの専売特許ともいえる歪みまくったギターの轟音が響く。一発録りの勢いが肌で感じられる生々しい出来が良いですね。全10曲40分という短さも潔い。単に勢い一発に終わらずゴスペル隊をコーラスに従えた曲のキャッチーさも見事で、全曲が明確なメロディを持った力強い曲になっている。前作「プレーリー・ウィンドウ」のあの繊細で穏やかなアコースティック・サウンドから一転してこのハードなサウンドは、単に社会情勢の悪化だけが原因ではなく「まだまだ若いヤツらにゃ負けないぜ!」という頑固オヤジの気概を感じることが出来ますね。

2年前に動脈瘤硬化で倒れて手術したばかりの人とは思えないf0045842_22575771.jpg精力ぶり。昨年アメリカで公開されたニール・ヤングの映画「Heart Of Gold」(右写真)もやっと日本でも観れそうだし(アメリカではDVDが発売されたばかり)、まだまだこのオヤジには楽しませてもらえそうですね。

ちなみに、この「リヴィング・ウィズ・ウォー」は歌詞が非常に重要な作品なのですが、わざわざ日本盤を買う必要はありません。このサイトで素晴らしい対訳をされている方がおられますので値段の安い輸入盤で十分だと思います。
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そしてオフィシャル・サイトでは全曲が視聴できますので是非チェックして下さい!
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by Blacksmoker | 2006-07-12 00:02 | ROCK

SKAZI [Total Anarchy]

サイケデリック・トランス界で最もアナーキーなユニット、イスラエル出身のスカジーの待望の新作「Total Anarchy」がリリースされました!

数あるアーティストの中でもダントツの人気を誇るこのスカジーの魅力は何たってそのロックな音楽性だ。パンク/ハf0045842_230164.jpgードコア・シーンあがりのAsherAssaf B-bassの2人からなるこのユニットは、ヘヴィなメタル・ギターと、ド派手なシンセ・サウンドをサイケデリック・トランスに融合したその超アッパーなサウンドが代名詞だ。ALIEN PROJECTINFECTED MUSHROOMTALAMASCAとかギターを導入したヤツラもいるがここまで徹底的にそしてアッパーに融合させて突き抜けたサウンドにしたのはスカジーだけだろう。

そしてもう1つの魅力は強力なライブ・パフォーマンスだ。今までに何回も彼らのパフォーマンスを体験していますが、こんな盛り上げてくるヤツラはロック、テクノ、ヒップホップ、レゲエの世界を見渡してもいないんじゃないか?(個人的な話ですが、Df0045842_2383466.jpgJをやっていて、このスカジが自分のDJプレイに与えている影響はかなりデカイです!)権利関係で正式にはリリースされていないものですがフロアでは既にお馴染みのメタリカ「Seek & Destroy」(Skazi Remix)も超アッパーな出来で何回かDJでも使わせて頂いてます。  

f0045842_23115832.jpgさてこの新作ですがもうこれ以上無いくらいのハイパーなサイケデリック・トランスで聴いているこっちがちょっと恥ずかしくなるくらいのド派手っぷりです。そしてその音楽性はトランスにとどまらずこの新作ではレゲエDJをfeat.した曲も登場。この曲「Hit & Run」はサイケデリック・パーティのDJで必ずと言っていいほどかかるアンセムです。その他にも「Out Of Space」など即死級のチューン満載。サイケ・トランス・ファンはマストですね。


そしてもう1つこの新作と共にチェックして欲しいのがスカジーの初のワールド・ツアーを収録したDVD作品「Hit & Run World Tour」。やf0045842_2319427.jpgはりスカジーを知るにはコレが決定的なアイテム!ブラジル、ロシア、イスラエル、日本でのライブ映像が収録されているが、やっぱり最高です。ここまでド派手にカマしてくれるアクトもそうはいませんね。客も凄いハジケ方で特にロシアの客がヤバいです(ちなみに日本はフジロック出演時の映像です)。しかもオフショットも満載でその行動のハイパーぶりに呆れます。あと自家用ジェット高級リムジンなんて持っててビビリましたよ。

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ちなみに結構毎年日本には来てくれるので是非一度は彼らのパーティに行ってみてください!とにかくライブが最高なのです。
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こんな凄い映像が観れるぜ!!マストです!
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by Blacksmoker | 2006-07-10 00:01 | PSYCHEDELIC TRANCE