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ABIGAIL WASHBURN [Song Of The Travelling Daughter]

夏が終わりに近づいてきましたねぇ。これからは涼しくなってきますが、そんな季節に最適なアルバムを紹介しましょう。これは昨年の私的ベスト10に入る素晴らしいアルバムでした。

f0045842_22381937.jpg昨年リリースされたこのイリノイ州出身の女性バンジョー奏者アビゲイル・ウォッシュバーンの1stアルバム「Song Of The Travelling Daughter」。これはブルーグラス界に衝撃を与えたアルバムだ。私が良く行くブルーグラス歴40年を誇る日本最古のカントリー・レコード店「B.O.M.」の店長からも「凄い女性がいる」と教えてもらったのがこのアルバムです。

このとても華奢そうな彼女がクロウハンマー・バンジョーを奏でる弾き語りというスタイルが非常に斬新だが、その音楽性は更に斬新。なんとブルーグラスというアパラチア山脈の伝統音楽に東洋音楽を融合させてしまったのです。しかもそれを自分の音楽として見事消化してしまっています。何でも彼女は中国の文化に関心を持ち留学経験もあり、中国語もマスターした才人。単なるお遊びな感覚ではない。バンジョーの腕も相当なもので、歌声も非常に優雅でちょっぴりハスキーでキュートな声で、高音でファルセットになるところなどブルース・フィーリングたっぷりです。
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東洋音楽(むしろ中国音楽)の幽玄さでブルーグラスを描いたまるで山水画のような世界を創り上げています。幻想的な美しいアパラチアン・ミュージックにうっとりします。数曲のトラディショナルを除いて全曲が彼女の手によるオリジナル。弦の響く音が非常に丁寧に録音されている。プロデュースに名を連ねるのは奇才ベラ・フレック(昨年出た新作は凄かったです)。この音作りはベラ・フレックのものだろう。彼もギター&バンジョーで参加。その他にも若手を中心としたブルーグラス・ミュージシャンがフィドル、チェロ、アコーディオン、スティール・ギターなどを駆使して見事なアンサンブルを創り上げている。

そして見所はアビゲイルが中国語で歌うf0045842_2393577.jpg2曲。ブルーグラスを中国語で歌うなんて発想自体が凄いですが、これがとても自然に溶け込んでいて見事なのです。こんな今までにはない曲が全く違和感なく、まるで昔からそうであったような自然な佇まいに驚くでしょう。これはブルーグラスの基礎が出来ていないと到底出来ない音楽ですね。

実は彼女は女性5人によるオールドタイム・ストリング・バンド「UNCLE EARL」(下写真)のメンバーでもあり、そこではバンジョーを担当している(今回のソロで初めて歌声を披露したそうです)。UNCLE EARLは2005年に「Rounder Records」と契約してブルーグラス界では話題を集めたバンドで、アルバム「She Waits For The Night」もリリースしている。私もアビゲイルのアルバムで初めてこのUNCLE EARLを知って、聴いてみましたが非常に良質なオールドタイムなブルーグラスを聴かせてくれます。
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アメリカの古き良きアパラチア山脈に伝わる音楽を現代的な要素を加えて伝承する彼女のこの素晴らしい音楽は、ブルーグラス・ファンだけでなくアコースティック・サウンドが好きな人や女性ヴォーカルの好きな人なども是非とも聴いて欲しい。もちろん頑固なブルースグラス・ファンをも唸らせる実力も見逃せませんよ。

彼女の所属するレーベル「Nettwerk」のサイトで全曲視聴可能ですので、是非チェックして下さい。
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by Blacksmoker | 2006-08-30 00:01 | COUNTRY / BLUEGRASS

RYO the SKYWALKER [晴れわたる丘] & DVD[Come Home Tour 2005]

f0045842_21235368.jpg昨年は「Seize The Day」というビッグ・チューンで感動をさらい、アルバム「Come Home」ではレゲエ・シーンを大いに沸かせてくれたRYO the SKYWALKERの2006年初のBrand Newシングルは、「Seize The Day」の流れを踏襲するようにこれまたメロウなミディアム・チューン「晴れわたる丘」。これまた良い出来!

Seize The Day」ではポジティヴ・ヴァイブス満タンの人生応援歌で「決して止まらず前へ進んでいこう」というメッセージに感動したわけですが、今回のこの「晴れわたる丘」は失f0045842_21353680.jpg恋ソング。去ってしまった彼女を歌う傷心ナンバーですね。RYO the SKYWALKERお得意のガチガチに韻を踏みながらもストーリーを持たして進める物語の描写は見事。「まるで知り合った頃と同じ 歌うFreedom Blues響け永遠に」というラインが良いですね。ちなみにこのPVは窪塚洋介が出演してて必見。「Sunny Day Walk」や「Free」などと並ぶ名曲になりそうです。今年も現場ではガンガンに歌われている必殺チューンですのでPUSHIMの「I Pray」と共にチェックして下さい。

f0045842_21365880.jpgそれと同時期に発売されたライブDVD「Come Home Tour 2005 -Final at Osaka Big Cat-」もチェック。これはタイトル通り、昨年2005年にキャリア初のワンマン・ライブ・ツアーを行った時の地元大阪での最終公演の模様を収めた映像作品です。ちなみに私もバッチリ映ってます!

ホーム・グロウンをバックにPUSHIMTAKAFINNG HEADら盟友達をゲストに迎えながらも約2時間を歌いきったRYO the SKYWALKERの現場叩き上げの底力が感じられるステージです。そして彼の長いキャリアを総括するステージでしたね。「現場至上主義」とか長年のファンには堪りません。メジャー・デビューとなった「Sunny Day Walk」にも感激。そしてラスト間際の「Seize The Day」には感動することしきり。私もその場にいて不覚にも涙してしましました。周りでも泣いていたヤツ多数いましたよ。あと「Gimmi Ur Vibes」の「ブラッ!」では皆さん合唱して下さい!
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by Blacksmoker | 2006-08-28 00:02 | REGGAE

DMXの犯罪歴...。

有名人犯罪歴データベースってサイトがあったので検索したら、コートニー・ラブやらボビー・ブラウンやらスヌープ・ドッグらの強豪(?)を抑えてDMXがぶっちぎりの1位でしたよ!!
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DMX】本名アール・シモンズ。ラッパー/(1998.6.28)強姦罪で逮捕。1万ドルの保釈金で保釈/(1999.5.21)知り合いを殴りつけ、暴行容疑で逮捕/(1999)銃不法所持・児童福祉法違反・動物虐待などで妻と共に起訴される。DMXのマネージャーの発砲事件の現場で、DMXの妻の財布が発見されるなどしたため家宅捜索を受ける。その際、装填済みの9mm銃、汚物の溜まった檻の中にいる14匹の闘犬(ピットブル)、腐敗したゴミの山、さらにコカインなどが発見される。また、この家には6歳になる夫妻の息子と15歳のいとこが住んでいた/(2000.3.3)道交法違反・免停違反とマリファナ所持で逮捕。時速45マイルの道を60マイルで走行し、信号無視・ウインカーを出さずに車線変更。警官が車を止め調べると免停中である事が発覚、さらに車内から少量のマリファナが見つかった。15日間の服役と罰金400ドルを宣告される。(2002.3.3)99年の事件も合わせた司法取引により禁固刑は免れ、刑は、1年の保護観察期間・罰金2万8000ドル・動物保護活動への定期的な参加、となった/(2001.3)免許不携帯の罪で、エリック郡矯正施設に11日間入所/(2002.12.24)車線変更の指示違反と偽造文書所有で逮捕。この日、シボレーを運転中、ウインカーを出さずに車線変更。警官に車を停められ、免許証と登録証の提示を求められたが、偽造したものを提出していた/(2003.6.28)カリブ海のセントキッツ島で開かれたコンサートで、下品な言葉を使ったとして逮捕。翌日、376ドルで保釈/(2004.6)ペットウェアメーカーから契約違反で告訴される。前年6月に契約した際、DMXがドッグファイト(闘犬)に関わっていたり、動物虐待で有罪判決を受けていることを明らかにしなかったという。また、このメーカーの発表会に遅刻した上酔って登場したり、テレビ番組で契約通りのプロモーションを行わなかったという/(2004.6.24)自動車窃盗未遂で逮捕。調べによると、JFK空港駐車場で車を運転中、ゲートに衝突。車を降りたDMXは、近くにいた車のドライバーに「FBI職員だ」と言い、車を渡すよう命じた。ドライバーが拒絶すると、力ずくで引きずりおろそうとした。同乗者と共に逮捕されたDMXの車からはコカインと警棒が発見された。1万5000ドル(約160万円)で保釈。窃盗未遂・恐喝・偽称、武器及び薬物不法所持に加え、車を明け渡すように命じられたドライバーの車の中には13歳の子供もいたため、児童を危険にさらした罪も問われることに。(2004.12.8)懲役を回避するために、公判で薬物服用運転と危険行為に関して有罪を認め、罰金1000ドルを支払った。この司法取引には今後1年間以内に違法行為を行なった場合、即服役するという条件も含まれている(1年間の保護観察処分)。違法改造していた所有車フォード・エクスプローラーは没収された/(2004.12.15)NY郊外のハイウェイで制限速度時速65マイル(約時速104キロ)のところを時速104マイル(約166キロ)で運転していたところを警察に停められる。免許停止中だったため、無免許運転で逮捕される。また、未登録の車であったことも罪に問われている。350ドル(約3万7000円)で保釈。(2005.11)JFK空港事件の保護観察処分の規則違反として、罰金1000ドル(約12万円)と70日間の懲役刑を言い渡され、NYのライカーズ・アイランド刑務所に収容された。当初、刑期は60日間の予定だったが、出廷時刻を3時間遅刻し、法廷を侮辱するものとみなされ10日間が加えられた。DMX側は前夜に起きた喘息のため遅刻したとして診断書も提出したが認められなかった。DMXの弁護士は「1年の刑の可能性もあったのでマシな判決」とコメント。同年12月30日、42日間で服役で出獄。模範囚だったことと、拘留期間が刑期として認められたことによる/(2005.4.15)乗用車を運転中、NYブロンクスの高速道路上にてパトカーを含む3台の車両が追突する交通事故を起こす。無免許だったため逮捕される/(2005.9.16)ドイツのクラブで暴行事件を起こす。このクラブのトイレでDMXと居合わせた男性二人が、「君もクールだけど、リル・ジョンのほうがより良いね」と言ったところ、DMXは激怒し男性の顔を殴打。さらに、ボディーガード二人と共に暴行を加えた/(2006.5.13)乗務員の指示に従わなかったため、ヒースロー空港で逮捕される。乗務員にシートベルトを指示されたが従わず、逆に乗務員を罵り、運行妨害として通報されたという。警察からは注意を勧告され釈放/(2006.6.2)NYホワイト・プレインズにてシボレー・サバーバンを運転中、スピード違反と危険な車線変更を行ない警察に停められる。その際、シート・ベルト不着用、運転免許の不所持も発覚/(2006.6.11)NYのフリーウェイで事故を起こす。シボレー・サバーバンを運転中、路肩を違法走行。通常レーンに戻った際、別の車と衝突したという。DMXの運転が悪質で、この車の運転者は回避不可だったため、DMXにのみ違反切符が切られた。(2006.6.29)期日に裁判所へ出廷しなかったため逮捕される。保釈金2万5000ドル(約290万円)を支払って、翌日に釈放された/(2006.6.16)拳銃を隠し持っていたところを警官に発見され、裁判所への出頭を命令される。アリゾナ州のクラブbuzzの外で、携帯していた銃を車の座席の下に隠していたが、一部始終を警官に見られていた。アリゾナ州では、所持している銃を隠すことは違法。
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コイツやり過ぎ!!!

FBI職員だ」と言うあたりがアホというか、変に賢いというか...。
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by Blacksmoker | 2006-08-26 00:01 | HIP HOP

DMX [Year Of The Dog...Again]

遂にDMXがゲームに戻ってきたぜ!

f0045842_20491031.jpg2003年の前作「Grand Champ」リリース後、数々のビーフに辟易してラップ界からの引退を表明(ってか誰も本気にしてなかったけどさ)して、一線を退いていたDMXが長年いたDef Jamからも離れSonyに移籍して心機一転、「Year Of The Dog...Again」を引っ提げてここに完全復活です。再び狂犬がシーンに戻ってきました!

そして、このアルバムはちょっとドエラい事になってます!エネルギーの量がハンパないです。火傷しそうなほど熱く吠えまくってます。何せデビュー・アルバムを含めた今までのDMXがリリースした5枚のアルバムは全てビルボード・チャート1位を獲得しているという途轍もない記録を持っているだけに、このアルバムにかける本人の意気込みもハンパないでしょう。

f0045842_213883.jpgDMXと共に黄金時代を築いた盟友スウィズ・ビーツがフロア一撃必殺のバンギング・チューンをこれでもかと提供していてオープニングから燃えまくりです。冒頭から3曲もスウィズ・ビーツに任せるこの信頼ぶりに、必殺のクラシックで彼も真っ向から応える。良いですねぇ、こういう関係。とにかくアルバム前半はSLAYERの新作にも劣らない勢いと破壊力に圧倒されます。


オープニングから「ナンバー・ワン・アルバムが6枚だ!想像してみろや!俺はヤバイぜ! まだ覚悟が出来ていないようだな 即行でつぶしてやる おれはそういうニガなんだぜ!」という頭の良さそうなリリック満載の「We In Here」にひねり潰されます。そして続く「I Run Shit」では「ここをシメてるのは俺だ お前らなんてクソ喰らえ 俺に楯突くヤツには銃をぶっ放してやるぜ!」という素晴らしく頭の良いリリックで瞬殺。「俺がここを仕切ってる」ってのは「I run shit」って言うんだねぇ。IQとカーストの低いB-Boyは即戴きフレーズですね!「Touch It(Remix)」で共演したバスタ・ライムスと絡む「Come Thru(Move)」も凄いですよ。「Xをナメてんじゃねーぞ!サグがどうのこうの言ってやがるが この○○○でも舐めとけやこのニガが!」と、もう非常に品行方正なリリック満載の激ヤバShit!やっぱDMXはこうでなくちゃいけない。もはや手を付けられない狂犬が吠えまくりです。
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その後はエイメリーをfeat.したスムースなメロウ・チューン「Dog Love」で女性ファンも追撃。抜かりないです。フッドのブラザー達をフックアップした曲もあってプロップスもガッチリ掴んでいるしマチガイナイです。スコット・ストーチによる先行ヒット「Give ‘Em What They Want」もバッチリ収録で後半もダレることなく聴かせてくれる。

後半は勢い一発のような前半に比べてシリアス・ナンバーで固められている。最近インタヴューで「最近のヒップホップ・アルバムってのは、レベルが低くて到底俺の子供に聴かせられるようなモノがねぇ」とf0045842_21135929.jpg吠えていたので前半のとてつもないリリックには「どこがやねん!」ってカンジでしたが、後半はフッドの仲間への愛や、ポジティヴな人生賛歌など案外まともなリリックが多いです(途中で「Walk These Dogs」という「犬様のお通りだ 俺は野獣 ストリートでは俺の視界に入らないほうがイイぜ!」というアホな曲もありますが…)。毎回アルバムに収録されている神への祈り「The Prayer」のPART6も勿論収録。2ndシングルとなる「Lord Give Me A Sign」のとても純粋で敬謙なリリックは男泣き確実Shit。

想像以上にハンパない出来で、もう全曲聴き終えるには相当な体力を要するアルバムです。クラブでは即ヘッズ爆発のバンギンBomb Shitが満載なのでヒップホップ・ヘッズはマスト。それ以外の人でも押さえておいてマチガイナイ!ちなみに日本盤にはアナログ・カットのみだった「Pump Ya Fist」(これまたスウィズ・ビーツ制作)が収録されているので是非コッチをゲットしてくれ!この曲も超ヤバイです。

f0045842_21175357.jpgそれとDMXは最も逮捕歴の多いラッパーだ。ここ数ヶ月だけでも空港で暴れて逮捕、スピード違反で逮捕、交通事故で逮捕、拳銃不法所持で逮捕と毎週のようにお騒がせ。「Lord Give Me A Sign」とか言っときながらトンでもないヤツですね。お騒がせは音楽だけにしましょう。

そして遂に全米でもリリースされたこのアルバム、ビルボード初登場2位!!残念!奇行が祟ったか?
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by Blacksmoker | 2006-08-25 00:02 | HIP HOP

JURASSIC 5 [Feedback]

実に4年振りとなるジュラシック5の新作「フィードバック」の登場です。

f0045842_816386.jpgジュラシック5はLAを拠点とする「4MC & 2DJ」のヒップホップ・チーム。実は「」を名乗りながら、6人組。彼ら曰く「ファイブの方が響きがいいからさ」。こういうルーズさ良いですねぇ。しかし、ちゃんとDJを擁するヒップホップ・グループなんて今ではホント珍しいですよね。DJがいるヒップホップ・グループって、DJプレミア先生のいるGANG STARRくらいじゃないかな? しかもジュラシック5は、カット・ケミストDJヌーマークという天才DJが2人もいるという今では貴重なグループです。私もジュラシック5のライブを観たことがありますが、彼らのライブではこの2人による壮絶なスクラッチ合戦も楽しめる。とにかくアイデア満載のスクラッチ・セッションは彼らのライブのハイライトでもあります。今やオーヴァーグラウンドで活躍する彼らが、アンダーグラウンドにおいても今も変わらず揺ぎ無い支持を受け続けているのはこの2人の存在のおかげだろう。
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しかし今回、このアルバムにはカット・ケミスト(左写真)は参加しf0045842_1431062.jpgていない。彼は自身のソロ・アルバムの制作に集中するためジュラシック5から離脱している。メンバーのインタヴューとか読んでると「脱退したわけではないから、いつ戻ってきてくれても歓迎だ」とか言ってるので友好的な離脱だろう。と、いうわけで文字通りの5人組になってしまったわけですね。そして彼らの音楽にも多少の変化が現れている。

まずはこのアルバムからの1stシングル「Work It Out」。何とジャム・バンド・シーンの大御所デイヴ・マシューズ・バンドf0045842_1513517.jpg参加しているのです。ジュラシック5はここ最近はこのジャム・バンド・シーンと大きな関わりを持っていて「Bonnaroo Festival」にも常連ですから、デイヴ・マシューズ・バンドの参加は極々自然な流れだと言える。生演奏をfeat.したユル~いグルーヴにデイヴ・マシューズ(右写真)の脱力系ヴォーカルのキャッチーなヴァースが気持ちいいこの曲にはコアなヘッズは驚くだろうが、デイヴ・マシューズ大好きな私は全く持って大歓迎。ロック・フィールドでも十分にラジオ・ヒットが望めそうなポップ・ソングです。

この曲を筆頭にユルくレイドバックしたトラックが多数あるのがこのアルバムの特徴だ。まさしくジャム・バンド・シーンからの恩恵。このユルさがハマります!ただ誤解の無いように言っとくとヒップホップ度はキープ。オールドスクールの定番ブレイクを使用した「In The House」などヒップホップ度はむしろ高い。カット・ケミストの抜けた穴をDJヌーマークが1人で踏ん張っています。音がシンプルになった分、強度が増した気がします。

しかしジュラシック5がどんな音を出そうが個人的にはあまり関係ない。私がジュラシック5に求めるものは「チャーリー・ツナのラップが入ってくるときのf0045842_159442.jpgカタルシス」に集約される。ジュラシック5の中で最も低音のバリトン・ヴォイスでラップするチャーリ・ツナ(ラップ界でも彼ほど特徴的な低音はいないです)が無骨だがシャープなラップが切り込んでくる瞬間はいつ聴いてもゾクゾクする。キャラも最高で、2mくらいある巨体でありながら顔は気のいいあんちゃんでジュラシック5の中でも最も陽性なヴァイブを放つ彼はやはり人気もダントツに高い。掛け合いラップの楽しさはいつ聴いてもカッコイイし、他の3MCもスキルの高さを見せるが、チャーリ・ツナのラップがあればジュラシック5はそれだけで最高のラップ・グループです(かなりの暴論)。

さてこの楽しいラップ・アルバムをリリースした後はライブでしょう!彼らのライブはハッピーなヴァイブで溢れた極上のパーティです。フォーメーションを組んでいるようにステージ上に陣取る4MCのパフォーマンスからしてもうヒップホップの楽しさを存分に味わわせてくれるし、マイクさばきも見事な掛け合いラップ、スクラッチ・バトルなど立派なショウです。
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まさしく「パーティ・ラップ」という言葉が当てはまるほど楽しいショウなので是非楽しみに待っていましょう。

そしてジュラシック5を離脱したDJのカット・ケミストのソロ・アルバム「The Audience’s Listning」f0045842_241866.jpg同時期にリリースされていますのでこれもチェック!自他共に認めるスター・ウォーズ・フリークでもある彼によるヒップホップ純度100%なオタク魂全開のインスト・アルバムです。DJシャドウオゾマトリの活動を経て、彼が2年という時間を費やして作った入魂のアルバムです。ここにはネタ師でもあるカット・ケミストの意地と根性がぎっしり詰まっている。ジュラシック5の新作が気に入らないヘッズはこのアルバムを聴いて涙しろ!!
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by Blacksmoker | 2006-08-23 02:15 | HIP HOP

MATISYAHU @ Zepp Osaka 8/13(日) 2006

マティスヤフは個人的には今年最もBreak Throughなアーティストでした。
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アルバムも超カッコ良かったし、ジャムバンド・シーン出身でライブが凄いらしいし、おまけにアルバムはビルボード初登場4位という大ヒットで押しも押されぬ存在となったマティスヤフが生で観れるなんて期待するなという方が無理ですね。後方で「Creeping Death」とか「For Whom The Bell Tolls」といったヘッドバンガーズ・メタル・クラシックスを炸裂するメタリカのステージを後にして行って参りましたマティスヤフに!(マイメン、ロディ aka なおちんにBig Up!)

f0045842_181236.jpgドラム、ギター、ベースという超シンプルなセットでマティスヤフのバックを務めるのはお馴染みRoot Tonic。マティスヤフのブレイクを受けて最近リリースされたビル・ラズウェルとのアルバム(右写真)ではヘヴィでディープなダブ・サウンドを聴かせてくれていた叩き上げのライブ・バンドだ。見た目は冴えない(ギターの人なんて特に…)が演奏は鉄壁。

さてマティスヤフ登場。この暑さにも関わらず、いつものあの「ハシディム」の黒ずくめの衣装で登場。この人かなりデカいです。そして実際観るとやはり若いですねぇ(まだ20代だもんな…)。
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1曲目は何とナイヤビンギ(レゲエ以前のジャマイカの民族音楽)の伝統歌「Rastaman Chant」!完全にヤラれました。この曲はRAS MICHAEL & THE SONS OF NEGUSの古典「Nyahbinghi」にも収録されているし、有名なところではBOB MARLEY & THE WAILERSのあの歴史的名盤「Burnin’」の最後を飾るスピリチュアルなナイヤビンギだ(オリジナル・ウェイラーであるボブ・マーリィピーター・トッシュバニー・ウェイラーの3人の崇高なコーラスが泣けます)。「そうだそうだ、マティスヤフはラスタマンなんだ」と改めてその風貌とのギャップに驚く。超スローにゆったりと「Fly Away Home To Zion~♪ 」と歌い上げていく声が非常に伸びやかで歌詞も聴き取りやすく感心させられる。

もうオープニングだけでもJah Rastafariな私f0045842_1175253.jpgは大満足ですが、ここからが本番です。アルバム「Youth」からのナンバーを立て続けに披露。待ってましたとばかりにフロアはお祭り状態。客もピースな連中が多い。ジャム・バンドのライブではお馴染みのデカいバルーンも登場です。マティスヤフの声がとにかくタフでストロング。使命を持っているというか、芯があるというかストイックな声なんですね。それにフロウがメロディアス。シズラにも似たシングジェイな所も良いです。

そしてバックを務めるRoots Tonicの音が強力。このバンドの要はベースです。「あんたメンバーに黙って1人だけヴォリューム上げてるだろ!」と思えるほどブリブリの低音を利かせています。彼らは3人とも白人のニューヨーカーなので、音はジャマイカ人が持って生まれたルーディなリズムの濃いレゲエではない。Jack Johnsonのバック・メンバーとかSublimeとかもそうだが白人によるレゲエ・サウンド(個人的にはホワイト・レゲエと呼んでいる)は非常にベースを強調しているのが特徴だ。ジャマイカン・レゲエの要はドラムなんだよね。しかしこれこそがマティスヤフが支持される理由だろう。アングロサクソンにはこのリズムが心地いいんだと思う。もちろん日本人にも。(ジャマイカンにマティスヤフを聴いた感想を教えて欲しいですね。)

そしてギターがこれまた面白い。グレイトフル・デッドジェリー・ガルシアに影響を受けまくってます。あの天を駆ける様なギター・ソロなんてジェリーのギターに音までそっくりでニヤリ。即興演奏もガンガンこなして徐々にエンジンがかかって盛り上がっていく演奏もジャム・バンドならでは。
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その強力なバックに負けずマティスヤフも盛り上げる。横ノリの演奏に縦ノリの歌という対比が面白い。途中披露した得意のヒューマン・ビートボックスもむちゃくちゃ上手い。ほんとライブ慣れしてますね。流れを作るのが上手いです。後半ではアンプに上って熱唱してました。個人的に一番好きな曲「Jerusalem」も聴けました。

圧巻は「King Without A Crown」。ラジオでもガンガンに流れてたこのヒット曲でフロアも最高潮の盛り上がり。後半のRoots Tonicによるジャムも圧巻。基礎体力の高さを見せつける演奏でした。脱帽。予想以上にストイックでストロングでタフでありながら、楽しさ満載のGood Vibes溢れたピースフルな空間が最高でしたね。アーティストも客も一体となって盛り上がった素晴らしいライブでした。ただ90分にも満たない短さだったのが非常に残念!

もし可能なら次回はもっとロング・セットなライブを観てみたいですね。深夜スタートで3時間くらいやってくれるのがベストですけど。誰か企画して!

ちなみにライブが終わって外に出たらまだメタリカやってました!!Seek & Destoy!!
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by Blacksmoker | 2006-08-21 01:59 | ライブレポート

TOOL @ Intex Osaka Hall 8/12(土) 2006

遂にこの日がやってきました。あの怪物トゥールを生で観れる日が!

フジロックでの初来日も、初の単独ツアーの時も都合が合わなく観れずじまいで、ヴォーカルのメイナード・ジェイムス・キーナントゥールとは別にやっているバンド、ア・パーフェクト・サークルでのライブは何回か観たが、やはり本家トゥールのライブを観ないことには始まらない。個人的には昔から「最も観てみたかったアーティストNo.1」だったで、この異形のモンスターの超久々の来日公演にはただならぬ意気込みで臨みました。

そして、そのステージは正しく怪物というべきほどf0045842_2034112.jpg圧倒的で唯一無二の恐ろしいライブでした!音楽性・ヴィジュアル・メディア露出など最もコマーシャルに程遠い存在でありながら、アルバムを出せば世界各国でチャートの1位を飾り(右は最新作「10,000 Days」)、ライブは全公演ソールドアウトという異常人気ぶりは日本にいるとその理由が分からなかったんですが、その理由の一つがライブの凄さだという事が分かりましたよ。

始まる前からステージには大きな4枚のスクリーンが配置されて、要塞のように積み上げられたドラムセットが有無を言わせぬ存在感を放っている。そして始まる前から観客の方に張り詰めた緊張感が漂っている。外国人率も異常に高い。

ステージの照明が落ちて暗がりの中、メンバーが出てきて自分のポジションにつく。そして観客はヴォーカルのメイナード・ジェイムス・キーナンの登場を待つ。丸坊主に全身白塗りで海パン1枚とか、全身青塗りで海パンの股間にバナナ入れてたり、マドンナの格好で出てきたりと(フジロックでア・パーフェクト・サークルを観た時は金髪のロングヘアのカツラに黒い海パン1枚という不気味な格好でした…)、これまでにそのありえない異常な姿で登場してきた人だけに今回はどんな姿で現れるのか期待度は高かったが、ジーンズに上半身は裸でカウボーイ・ハットで登場と予想に反してまともな姿でした。4人の中で立ち位置は一番後方でスポットライトも当たらないところにいるのは相変わらず。
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1曲目から「Stinkfist」!96年のアルバム「アナマ」の冒頭を飾るこのナンバー。イントロが鳴った瞬間にもう鳥肌が立ちました。そしてステージ上の4枚の巨大スクリーンにはあの「Stinkfist」のあの人の神経を刺激するようなグロい映像。そして凄い量のライティング!いやもう凄いわ。口開きっぱなし。もうその時点で前方ではモッシュ・ピットが発生している。いやぁ十分に暴れられる音楽なんですね。ちなみにメイナードはカウボーイ・ハットを取るとモヒカン!
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そして最新作「10,000デイズ」から「The Pot」。冒頭のメイナードの美しすぎるアカペラの後にトライバルなドラムがドカドカ入ってきて、フィードバック・ノイズがf0045842_20395659.jpg切り込んでくるところはもう宗教儀式ような神々しさです。人間が細胞レベルで持っている原始の記憶を呼び覚ますかのような怖ろしくトライバルなリズムが体の芯に響きます。ギターのアダム・ジョーンズ(左写真)の繰り出す変幻自在のサウンドも怖ろしい破壊力です。この人はトム・モレロとかレディオヘッドのジョニー・グリーンウッドらと同じ感覚派のギタリストで既存のギタープレイよりも、どうやって新しい音を出せるかに執着するタイプのギタリストだ。クールな顔してやってる事が凄い。

一方のメイナードはというとステージ後方の自分のお立ち台で1人タコ踊りのような不気味ダンスを踊りながら歌っている。ここには人気バンドのフロントマンという世俗的なパーフォーマンスは一切存在しない。こんな不気味な動きをしてるくせに、曲が終わったら客席に向かってキメキメで口半開きでポーズを取っていてまったくもって意味不明だ。もはや何だか理解不能な光景が眼前で繰り広げられているが、音の破壊力でもう身動きが取れない。
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46 & 2」などサイケデリックな映像効果抜群でトリップ寸前。メイナードが手持ちのスピーカーでアジテーションしまくる「Rosetta Stoned」、「この音ってベースで出してたのかよ!」って驚きの「Schism」。新作からの「Jambi」などはギター・リフとドラム炸裂のメタル・ナンバーではダイブするヤツもいましたね。パンクスもハードコアもメタル野郎もまとめて飲み込むそのスケールのデカいブラックホールのようなサウンドに圧倒。そして懐かしの1stアルバム「Undertow」からはあの初期の名曲「Sober」も披露。当時MTVで初めてこの曲のPVを観て鈍い衝撃受けた記憶が蘇りましたよ。マニアが泣いて喜ぶ選曲です。

しかしこのトゥールというバンドは個性の塊のようなヤツラが集まったバンドだと思う。あの異様な存在感を持つメイナードでさえ、このバンドの中にいると存在感が小さくなるほど他の3人の個性も強烈だ。特にアダム・ジョーンズが全体を掌握していて、ステージを進行させているリーダー的立場だというのが分かる。要塞のようなドラム・セットから雷のようなツーバスを連打しまくるドラマーのダニー・カーレイ(もう私の常識を超えた有り得ないドラミングでした)と、頭を振りながらヘヴィー極まりない低音を出すかと思えばギターのような音も出すベーシストのジャスティン・チャンセラーも存在感ありまくりです。こんなヤツラに囲まれていたらメイナードもさぞ息詰まるだろうなぁ。彼がア・パーフェクト・サークルを始めた気持ちも分からないでもない。それほど全く隙がない完璧な布陣のバンドなのだ。
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Lateralus」の美しくも神がかった演奏などはもはや孤高のパフォーマンス!最後の「Aenema」での「LAなど沈んでしまえ!そしてLAが沈んだらアリゾナ・ベイから見下ろしてやる!」という歌詞での「Leran To Swim!」の合唱はかなり感動でしたね。

全ての演奏が終わった後(アンコールは一切やらないので有名)、ステージでメンバーが笑顔で手を振って帰っていったのが結構人間味溢れてて新鮮でした。

しかしホントにとんでもないライブでした。「2月に日本に戻ってくる」と言っていたのでその時は是非この唯一無二のライブを体験してください。ちなみに昔フジロックのア・パーフェクト・サークルのライブの時も「2月にまた来るよ」とか言って来なかったので期待薄ですが…。
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by Blacksmoker | 2006-08-19 00:13 | ライブレポート

二階堂和美 @ Shangri-La 8/8(火) 2006

初めて二階堂和美のライブを観てぶっ飛ばされたのが2年前。この人はまさしく天才だと思った。
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普段の温厚で天然なキャラが一旦マイクに向かうと人間が豹変する。シャーマニックともいうべきその変わりようには度肝を抜かれるが、それよりも同じ人間からこんなにもいろんな声が出るのかという事の方がもっと驚く。それ以降何度か彼女のライブを観てきましたが、観るたびにパフォーマンスも上達してきて更にその不思議な存在感は増している。

さて今回彼女が3年振りのアルバム「二階堂和美のアルバム」をリリース。少し前にi Tunesでこのアルバムからの「Lovers Rock」がフリー・ダウンロードで話題になってましたが、このアルバムは鴨下潤(aka イルリメ)が作詞・作曲・プロデュースを担当し、二階堂和美は歌に専念f0045842_23595226.jpgするという面白い形態で録音されている。本来自作自演のシンガー・ソングライターである彼女が、「歌」に重点を置いた真正面な傑作ポップス・アルバム(多少アシッド含む)を作りあげた事で二階堂和美は、シンガー・ソングライターとしてではなく一流の歌手としても認められる存在になるだろう。そしてイルリメの才能に脱帽。歌詞も素晴らしいです。アルバムに参加しているゲストも渋谷毅テニスコーツmama!milkレイ・ハラカミSakerockイリシット・ツボイ赤犬など錚々たるメンツです。

さてライブの方ですが、ステージで登場を待つ客の意表を突いてステージの後方脇に登場。「ちょっと変わったところでやりたかった」と言っていたが結局最後までそこでやっていたのが笑った。演奏はいたってシンプルな弾き語り。しかしこれが全然飽きない。ちょっと抜けた脱力気味のMCも笑えるが、歌に入ると人格が変わって違う人の歌い方になるのはいつ観ても面白いですね。
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ライブではお馴染みの曲「今日を問う」でのビッグバンド風トランペットの声態模写も凄い。新しいアルバムにも入っている笠置シヅ子の子供時代の曲「アイレ可愛や」のカヴァーでは全く違う人のような声で歌う。昔はイルリメの曲を弾き語りでラップしてた人ですからねぇ。ほんと変な人です。最近は声も随分伸びやかになってライブ映えしてきましたね。何か華奢で細い人なんだけど、オーラ出てます。凄い人ですよ。

まだ彼女を知らない人は是非アルバムを聴いてみて下さい!

さてこの日はキセルもライブやってたんですが、リズムボックス&兄弟2f0045842_092571.jpg人の弾き語りで相変わらず浮遊感のある不思議で郷愁的なライブ。実は昔からキセルが大好きで、演奏してた曲が全部歌えたのが自分でも驚きでした。高田渡の「鮪に鰯」のカヴァーもハマりすぎ。なんでもライブではお馴染みらしいですね。隠れた名曲「夏休み」にも感動した夜でした。彼らも良いアーティストですね。
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by Blacksmoker | 2006-08-18 00:28 | ライブレポート

[ULTIMATE MC BATTLE 2006] 関西地区予選 @ Club Azure 8/8(火) 2006

さて今年の「ULTIMATE MC BATTLE」はもう始まっています!
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12月30日に千葉Club Cittaで行われる決勝大会の為に、既に3月から福山大会を皮切りに全国16箇所で地方予選大会がスタートしています。この地方大会の優勝者が決勝大会に進むというシステムです。今年はかなりの参加者で自分の地元の大会にエントリー漏れしたラッパーが地方大会の方にエントリーしているという。昨年の大会を観て「俺もやってやるぜ!」というラッパーが増えたんでしょう。

青森大会では昨年の決勝大会ベスト8のギネスが初戦敗退、水戸大会では遂に登場したLUNCH TIME SPEAXのGOCCIが優勝、横浜大会では昨年の雪辱を果たしたアイスバーンのFORKが優勝とかなり面白いカンジになってきてます。

そして我がレペゼン大阪大会は神戸大会・京都大会の優勝者がベスト16にエントリーするという正しく関西の顔を決める重要な大会だ。京都大会では瘋癲のMILIが出てたり、神戸大会では大阪予選のエントリーに漏れた強豪フリースタイル集団シーラカンスのメンバー(昨年決勝大会ベスト4の吉田のブービーもシーラカンスのメンバー)が多数出ていたりと凄いメンツです。
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関西大会だけあってエントリーが56人と非常に多く、熱気もハンパない。Club Azureの前には人相悪いラッパー達が恐い顔して自分の出番を待っている。ベスト16を前に昨年の決勝大会に出場した醍福や、韻踏合組合のERONEが姿を消していきました。

さて深夜2時頃にやっと関西予選ベスト16が決定。シーラカンスから赤いメガネ、韻踏合組合からHIDADDY(aka HIDA)などいずれも強豪ばかり。

f0045842_17244252.jpg司会を務めるSHINGO☆西成(右写真)と太華が「お前らが関西の顔を決めるんやぞ!」と観客を煽る。ついでにSHINGO☆西成が爆笑ゲットー・フリースタイルを披露して会場も大爆笑。ホンマ兄貴最高です!来年はSHINGOさんにも是非出て貰いたいッスね!


まずは8小節の2セット・バトル。初戦から神戸大会優勝のネスタvs 京都大会優勝のターキーの超ハイレベルなバトルで盛り上がる。見た目も超ヤバいレペゼン堺の赤いメガネ(シーラカンス)のスキルの高さもハンパねー。意外な伏兵P-PONG、和歌山からSARRY、神戸のQZなど無名だが実力のあるバトルMC達が登場して会場もサウナ状態。ハイライトはHIDADDY vs コウサク。優勝候補のHIDADDYが観客の判定では負けるが、審査員の判定で辛くもドロー。納得のいかない観客の怒号と罵声の中、延長に突入。それでも実力が拮抗し延長戦を2回も敢行。SHINGO☆西成が観客に「延長するのがMCにとってどんだけツライか分かってんのか?お前らがしっかり声出して判定しろや!」という熱すぎるMCをしていたのが印象的。結果は現場慣れした底力とデリヴァリーの多さでHIDADDYが辛くも勝利。熱過ぎました。

準決勝から決勝まで16小節の2バトル制。俺も珍しく酔っ払っててもうあんまよく憶えてないんだけど、新鋭のQZが和歌山のSARRYを倒して、赤いメガネを倒したP-PONGHIDADDYに敗れる。

決勝はHIDADDY vs QZ。これは結構憶えてるんだけど、QZが「巨人とナベツネ」というタームを盛り込んだフリースタイルを披露した後に、HIDADDYが「ここは関西やろが!」と言って関西ネタのフリースタイルで応酬し会場をロックさせ見事優勝。圧巻でした。最後は客席にダイブを敢行し大盛り上がりで関西予選は終了。関西代表は韻踏合組合のHIDADDY(下写真)に決定しました!カンサイィィィ!終わった頃はもう5時を廻ってましたね。出口の階段でうなだれる敗戦ラッパー達が印象的でした。しかし、お前らもリスペクトだぜ!
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ということで決勝大会までまだまだ地方大会は続く(沖縄や札幌予選まである)ので是非地元で予選が行われるなら行ってみましょう!面白いですよ。
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by Blacksmoker | 2006-08-17 00:03 | ライブレポート

[ULTIMATE MC BATTLE -Grand Champion Ship Tour Guide 2005-]

日本のフリースタイル・ラップバトルは2002年に2人のラッパーによって劇的な転換を迎える。

f0045842_2133655.jpgその2人とは般若(右写真)と。東京を拠点に活動する妄走族(三軒茶屋)とMSC(西新宿)のそれぞれに所属するラッパーだ。彼らがB-BOY PARKのMCバトルの風向きを変えてしまった。 

今までのMCバトルというのは即興は即興だが、韻を踏むことに重点を置き過ぎていた為どうも文体があまり意味を成さない事が多かった。しかも今と比べるとスピード感もなくてバトルとしても緊迫感が弱かった(当時はあれでも凄く思えたが…)。


ちなみにこの頃のMCバトルのキングはこの人、
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                  KREVAでした。

しかもKREVA3年連続B-BOY PARKのMCバトル優勝というもの凄い記録を持っている。そのKREVAが「3回も優勝しちゃったから、もう出ない」と言ってMCバトルから卒業した後、般若が韻を踏む事にこだわるよりもメッセージを重要視したフリースタイルで新しい潮流を起こす。しかも前年のMCバトルには出ていたが当時まだまだ無名だったMSCという異形の怪物の登場で一気にレベルが上がったのです。ここで2002年のMCバトルの決勝「般若vs 」の映像が観れますので、こっちで観れる2001年のMCバトル決勝「KREVA vs キンダシャーロック」とのレベルの違いを比べてみて下さい。全然違いますよ。

そして2002年にB-BOY PARKを制覇したMSC(下写真)が2005年に立ち上げた「名声、職業、年齢、性別などに関係なく純粋に己のマイク1本でf0045842_238069.jpg勝負出来るMCバトル大会」が「ULTIMATE MC BATTLE」なのです。全国各地で様々なバトルが行われているが、この「ULTIMATE MC BATTLE」が現在最もB-BOYからリスペクトを受ける大会となっている(ちなみにB-BOY PARKのMCバトルは判定の不公平さなどからプロップスを失っている)。

f0045842_2292151.jpg今回紹介するこのDVD「ULTIMATE MC BATTLE -Ground Champion Ship Tour Guide 2005-」 は総勢500名が参加した全国予選を勝ち抜いた16名の猛者による2005年8月13日に新宿ロフトで行われたMCバトル決勝トーナメントの模様を収録したドキュメンタリー。主催者であるのインタヴューや、全国各地の予選の模様も収録された3時間近くある超濃密な内容です。

ちなみにこのMCバトルのルールは以下の通り。

1・観客の歓声による判定(1ポイント)
2・回戦毎に無作為にオーディエンスから選ばれる数名の陪審員の判定(1ポイント)

以上の2つの判定で2ポイント(観客と陪審員)取得により勝利となる。
判定が割れた場合は何回でも延長戦を行うものとする。


これだけのシンプルなルール。頼るは己のマイク1本。

予選大会からもかなりの白熱したバトルが繰り広げられています。O2 vs ガスケンの乱闘スレスレの緊迫したバトルがヤバいです。ダ・メ・レコーズからの女性MCのコマチのバトルも観れます。しかし、ここ数年ダ・メ・レコーズ勢の躍進は目を見張るものがありますね。「アルバム1枚1000円」というストリートな姿勢もいまだに貫いていてリスペクト。

さて、予選大会を勝ち抜いた本選参加メンバーが錚々たるメンツだ。ダ・メ・レコーズから総帥ダースレイダーKEN THE 390カルデラビスタ、大阪からは韻踏合組合HIDAERONE、同じく大阪のシーラカンスから吉田のブービー、Shing02のレーベルからの刺客CANDLE、そしてMSCからメシアTHEフライなどハイレベルなフリースタイラーが次々に出てきます。予選では8小節の2ラウンドだったが、決勝大会では12小節の2ラウンド対戦。
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シャープかつスマートで怖ろしいほどのスキルの高さを見せるKEN THE 390、ラガでサグなラップで勝ち残るギネス、超高速なラップを繰り出し強力なリターンを返す吉田のブービー、もはや帝王とも言うべきの圧倒的存在感など見所満載。司会の太華が観客に「みんなに責任負わせるからな」というほどの緊迫感。画面からも緊迫感がヒシヒシと感じられるが十分なエンターテインメント性も備えていてメチャクチャ楽しめる。
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そして最後の決勝戦、「 vs カルデラビスタ」の対戦はフリースタイル・バトルは後世に語り継がれるであろう名バトル。1回戦から徐々にレベルが上がってきて覚醒しているのが手に取るように分かるカルデラビスタが、王者、に立ち向かっていく姿はロールプレイング・ゲームで最後のボスと対峙する主人公のようです。の容赦ないディスに「でも無くはない感謝」と切り返すところはホントに鳥肌が立ちます。カルデラビスタのフリースタイルにはディス以外のメッセージが含まれているのが他のラッパーと一味違うところ。ストーリー性もある。2年前に京都でライブ観たときは全く存在感がなくってほとんど覚えてないんですが、凄いラッパーになったもんだ。さすがのも「オマエやるじゃねえか やっぱこれが決勝だぜ!」と今までにない迫力で切り返す。もう瞬きすら出来ない緊迫したバトルは必見です。日本のフリースタイル・バトルのスキルの高さと面白さをしかと見届けろ!

最後に、この「ULTIMATE MC BATTLE」の初代王者カルデラビスタの言葉で締めましょう。

『日本語ラッパーとして生きてきた。

このフィルムの中には俺の人生において分岐点となる瞬間が収められている。
これは強さ、熱さ、面白さを兼ね備えた一つの闘い方だ。
悩み多き現代、「平和」という言葉だけでは成り立たない人間がいる以上、MCバトルは意味をもち続けるだろう。』

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by Blacksmoker | 2006-08-15 02:57 | HIP HOP