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2006年の10枚。

2006年も最後になりました。今年の総括です。

2006年の10枚」を選んでみました。


■第1位
HANK WILLIAMS Ⅲ「Straight To Hell」
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ダントツの1位。本物のアウトロー・ミュージック。
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レジェンドである爺さんの名に恥じないヒルビリーぶり。2枚組になっていて、Disc2では40分以上に及ぶ弾き語りとサウンド・コラージュが収録されているが、これが悪魔に魂を売ったとしか思えない怖ろしいカントリー。
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■第2位
KEB’ MO’「Suitcase」
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現代のロバート・ジョンソン。現代のブルースの真髄が感じられる1枚。しかも非常に聴きやすいです。
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■第3位
MSC「新宿Street Life」
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トラックがより音楽的に、リリックも更に深くなった傑作。O2が更に狂っているが、無骨なGOが個人的には好き。
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■第4位
OJOS DE BRUJO「Techeri」
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バルセロナ発のミクスチャー・バンドの3作目。折衷感覚がかなり優れています。

■第5位
RICHIE HAWTIN「DE9 : Transitions」
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DJミュージックの新たな可能性を追求した偉大な力作。気の遠くなるような努力の結晶です。フォーマットがDVDなので是非5.1chで体験して欲しいです。

■第6位
NATURAL BLACK「Far From Reality」
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若手ルーツ系ラスタ・シンガーのデビュー・アルバム。熱いメッセージと張りのある歌声が爽快。勢いが漲っています。

■第7位
THE MELVINS「A Senile Animal」
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重鎮が本気を出した超強力盤。サウンドの重さもハンパないが、コーラス・ワークに凝っていて歌も面白い。

■第8位
FAITHLESS「To All New Arrivals」
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器用なバンドです。様々なジャンルを昇華させて、なおかつオリジナリティを放つ新作。マキシ・ジャズのリリックが崇高です。

■第9位
YONDER MOUNTAIN STRING BAND「Yonder Mountain String Band」
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ブルーグラス界の人気者による勝負作。ドラムも取り入れてロック・フィールドにも挑戦しています。凄い技術をさらっと聴かせているのも凄いです。

■第10位
MARISA MONTE「Universo ao meu redor」
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ブラジル音楽界の女王による2枚の大作。これはストリート感を出した方のアルバム。マリオ・カルダートJr.のセンスも見逃せません。
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by Blacksmoker | 2006-12-31 00:16 | 2006年総括

ちょっと休暇。

今からシンガポール行ってChillしてきます。寒い日本から脱出です。

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                 ボブ・マーリー(享年36歳)
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               息子ジギー・マーリー
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                  スティーヴン・マーリー
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                   ジュリアン・マーリー
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                    キマーニ・マーリー
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                     ダミアン・マーリー
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                 全員立派なミュージシャン。
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by Blacksmoker | 2006-12-25 01:14 | REGGAE

CONVERGE [No Heroes]

英雄などいない
-これは落ちぶれた世の中への芸術的アンチテーゼ。
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俺の世界には何もない。絶望なまでの空虚感。そして怒り。コンヴァージの描く世界はモノクロームで内面的で怒りに満ち溢れた世界だ。

コンヴァージがボストンで結成されたのが1990年。以来彼らは世界中の怒りや悲しみをその過激なまでのハードコアな音楽性で提示してきた。そして現在彼らの表現方法はもはや最高到達点に達しつつある。
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一貫した反体制アティチュードや、暴力的なまでのノイズ、そして「死」を連想させる一連のアートワーク(Vo.のジェイコブ・バノンが全て手掛けている)などその高い芸術性も孤高の領域だ。

f0045842_013636.jpg彼らの6作目となるこの新作「No Heroes」は、極北に辿り着いた表現者が更なる進化を遂げたアルバムです。エクストリーム・ミュージックの歴史に残る傑作4thアルバム「Jane Doe」(2001年)、そして5thアルバム「You Fail Me」(2004年)の2枚で一気にアンダーグラウンドのカリスマ的存在となったコンヴァージですが、まだまだその飽くなき進化は続きます。

前作では多少メタリックで整合感のあるサウンドで頂f0045842_0105395.jpg点を極めましたが、今回のアルバムはもっとRawな感触。猥雑で粗暴なパンクなフィーリングが充満しています。このアルバムのほとんどの曲が1テイクか2テイクで録られたものだと言う。偶発的なハウリング・ノイズなどはおそらくそのまま収録されているのだろう。シンプルさがかえってその暴力的なサウンドの本質を浮き彫りにしています。80年代初期のハードコア・バンド(Bad BrainsBlack Flagなど)を彷彿させるところもあります。あの純粋に原始的なエネルギーの爆発は何十年経とうが今の昔も表現形態としては色褪せる事無く素晴らしいものですね。

そしてジェイコブの手掛けるアートワークも毎回ながら素晴らしい。醜悪の中から美しさが拡散されていくような感覚は昔から一貫しているが、今回は「Jane Doe」のジャケットで描かれているアートワークと対を成すように微妙にリンクしています。ゾっとするほど美しいアートワークが秀逸です(ちなみに彼の歌詞には良く「彼女」という言葉が出てきますが、このアートワークの女性の事だろうか)。
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そして来年早々コンヴァージは日本にやってきます。過去2回彼らの壮絶なライヴを体験しましたが、もはやライブ・パフォーマンスも芸術の域に達しつつあります。やり場の無いエネルギーが爆発する瞬間を感じられるその怖ろしいまでのライブは必見。

IsisMastodonSunn 0)))などと共に現代のアンダーグラウンド・シーンで先鋭性と芸術性の両方を兼ね備えた彼らは一見の価値ありです。
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by Blacksmoker | 2006-12-23 00:26 | 極北

THE CAMPBELL BROTHERS [Can You Feel It?]

ロバート・ランドルフによって一気に注目が集まった「セイクリッド・スティール」ですが、このバンドの存在抜きにはセイクリッド・スティールは語れません。
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セイクリッド・スティール」についてはロバート・ランドルフの回で触れさせてもらったが、このキャンベル・ブラザーズHouse Of God教会の中心的存在。ニューヨークのロチェスターで活動するチャック・キャンベル(ペダル・スティール)、フィリップ・キャンベル(ドラム)、ダリック・キャンベル(ラップ・スティール)の3兄弟を中心に、女性ヴォーカルもいる6人組のファミリー・グループ。「セイクリッド・スティールのゴッドファーザー」と言ってもいいだろう。
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何たってまだ幼少のロバート・ランドルフ少年にスティール・ギターを買い与えたのが、チャック・キャンベルその人だったそうだ。ランドルフにとってはキャンベル・ブラザーズは頭が上がらない存在でしょう。

f0045842_0494561.jpgそんなキャンベル・ブラザーズの今のところ最新作にあたる2005年リリースの「Can You Feel It?」を紹介しましょう。これは彼らの4枚目にあたるアルバム。実はベテラン・グループでありながらまだ4枚しかアルバムを出していないんです。1stアルバムが1997年だからレコード・デビューしたのはまだまだ最近の話なんですね。

今までの3枚のアルバムはアーフリーというインディ・レーベルからのリリースでしたが、このアルバムはNYの先鋭レーベル「Ropeadope」(ローパドープ)からのリリース。この「Ropeadope」はMedeski,Martin & Woodのオルガン奏者ジョン・メデスキも運営に関わっているレーベルで、その音楽性の深さは唯一無二。DJ LogicCritters Buggin’Charlie HunterAntibaras Afrobeat OrchestraSex Mobといった所謂ルーツ音楽に傾倒したジャム・バンドが数多く所属している。このレーベルから出るレコードは殆どが素晴らしいものばかりという超優良レーベルです。The Dirty Dozen Brass Bandもいたりします。

そしてもちろんプロデュースは前述のジョン・メデスキ(左写真)。彼が90年f0045842_051017.jpg代に入って「セイクリッド・スティール」を広めた張本人と言ってもいいが、彼がこのスティール・ギターの音に最初に衝撃を受けたのがこのキャンベル・ブラザーズだったという。彼がセイクリッド・スティールのミュージシャンを集めたアルバム「None but the righteous:the masters of sacred」(2002年)にも、もちろんキャンベル・ブラザーズの曲が3曲取り上げられています。

さてこのアルバムですが、今までのキャンベル・ブラザーズの泥臭いサウンドからは一転して非常に洗練されたというかスッキリしたサウンドになってて、初めての人にも思いっきり入って行きやすい入門アルバムとしても十分オススメできますね。アルバム・ジャケットのポップなカンジもカッコイイ!

そしてファンク度の高いベースに小気味良くカッティングされるギター、そして2台のスティール・ギターがウネリを上げてドライブするこのサウンドはやっぱクセになります。
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とにかく元気でファンキーなゴスペル。インスト中心ながら女性ヴォーカル、デニス・ブラウンのソウルの目一杯詰まった歌声も非常に良い。「Amazing Grace」や「Don’t Let Nobody Turn You Around」といった有名ゴスペル・スタンダードも収録されているし、サム・クックの「A Change Is Gonna Come」のインスト・カヴァーも見事な出来(今年はLeela Jamesもデビュー・アルバムでこの曲を取り上げていましたね。アメリカ人には人気の高い曲なのかな?)。スティール・ギターがヴォーカルのごとく見事に歌い上げています。
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ヴォーカル曲も上手い具合に配置されていてアルバム全体の飽きさせない構成も見事です。後半のレイドバックしたユルいグルーヴが最高の気持ち良さです。弟子であるロバート・ランドルフが大活躍する中、真打ちも負けてませんね。エネルギッシュなオヤジ達のファンキーなパワーに圧倒されますよ。

f0045842_0555390.jpg彼らのパワフルなライブ映像は「Bonnaroo Music Festival 2002」(右写真)のDVDで観れますので是非ともチェックして下さい(ちなみにこのDVDは日本ではほとんど観られない素晴らしいアクトばかり観れますので超オススメ)。彼らの音でヒッピーな若者達が踊っている姿が面白いです。

ロバート・ランドルフが好きな人は絶対チェックして下さい!
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by Blacksmoker | 2006-12-21 01:07 | GOSPEL

MARY J. BRIGE [Reflections: A Retrospective]

個人的にはベスト・アルバムというものには否定的な立場です。理由は簡単で「選ばれてない曲にもたくさん素晴らしい曲があるから」で、そこを無視したくないという単純な理由からですね。

f0045842_192961.jpgそこでこのメアリー・J・ブライジ「Reflections: A Retrospective」です。今まで誰もやらなかったヒップホップなトラックの上でR&Bを歌うスタイルは「ヒップホップ・ソウル」と呼ばれ、大ヒットを記録しましたが、そのデビュー時からずっとビッグな存在であり続けていますね。これは彼女のキャリア初のベスト・アルバムになります。ベスト・アルバムには否定的な立場でしたが、このアルバムは別格です。

なんたって彼女がデビューして早14年。その長い活動の歴史を1枚にまとめ上げるなんて到底不可能な事は分かっているので、今回はそれ以外のところが注目なんです。まず新曲が4曲も入っている事。そして自身のアルバム以外に客演で参加した曲も多数収録されているのがポイントです。
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まず新曲ですが彼女のヒット曲「Be Without You」を手掛けたブライアン・マイケル・コックス&ジョンタ・オースティンによる2曲「Reflections(I Remenber)」と「We Ride(I See The Future)」。日本太鼓のようなドラム・サウンドが印象的な「Reflections(I Remenber)」は今のメアリーがデビュー前のメアリーを振り返るという内容で「まだJodeciと仲良かった頃~」とか出てきてドキっとします。「1つ分かったことがあるの。男性に邪魔されない唯一のものは私たち自身をリスペクトする心」という詩がカッコイイです。メアリーが女性に絶大な人気を誇るのはこういう姿勢でしょう。「We Ride(I See The Future)」は「Be Without You」の2006年アップデイト版のようなカンジですね。

そして注目f0045842_1465155.jpgジョン・レジェンド(右写真)とのデュエット「King & Queen」は、ジョン・レジェンドの新作「Once Again」に入っていそうなメロウ・チューンで、もはや堂々たる風格のジョン・レジェンドのハスキーな声が最高にセクシーでメアリーとの絡みも抜群。そしてアップテンポだがメアリーの歌でどこか明るくなりきれないダンス・チューン「You Know」など盛り沢山です。ただ噂されていたアレサ・フランクリンとのデュエット曲は収録が見送られた模様・・・。個人的には「You Know」が気に入りましたね。

さて、それ以外はメアリーの堂々たる代表曲のオンパレード!1stからはイントロで秒殺のクラシック中のクラシック「Real Love」(一昨日のDJでもかけさせて頂きました!)、Dr.Dreの手掛けた特大ヒット「Family Affair」、そして仰々しい「No More Drama」など久しぶりに聴いても破壊力抜群の名曲ばかり。

f0045842_148740.jpgメソッド・マンの1stに収録されていた「All I Need」にRZAがリミックスした鬼のようにカッコイイ「I’ll Be There For You/You’re All I Need To Get By」(ちなみにこの曲のシングル盤にはThe ProdigyThe Chemical Brothersのリミックスが入っていて必聴!)、そして最新のヒット曲としてはU2との共演まで果たした「One」(アルバムにはメアリーのみのVer.で収録)、ジョージ・マイケルとデュエットしたスティーヴィー・ワンダーのカヴァー「As」(ジョージ・マイケルがこんなに素晴らしいヴォーカリストだとは思わなかったです!)、そしてザ・ゲームの「Hate It Or Love It feat. 50 Cent」のメアリーVer.などフィーチャリング曲も多数収録されてて楽しめます。

ただ2003年の傑作「Love & Life」から1曲も収録されてないのが正直不満なところ。「Love@1st Sight」とか何で入ってないんだ?とか言い出したらキリが無いので文句を言うのは止めておきます。
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しかし個人的にはそこまでメアリーに入れ込んだことが無いと思っていましたが、収録曲のほとんどが知っている曲ばかりなんで驚きましたね。でもよくよく考えると、メロウな曲など言語道断のグランジ・ロッカーだったBlacksmokerを説き伏せた95年のヒット曲「Not Gon’ Cry」以来、11年が経ちますが常にメアリーの曲はクラブやラジオなどいろんな所で耳にしていたような気がします。これはホントに凄い事ですね。デビュー以来、移り変わりの早いこのシーンにおいて常に最前線で女王の立場を守り続けたメアリーに最大限のリスペクトを贈ります。
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クリスマス・シーズンに突入していろいろとアルバムがリリースされています(Sarah MaClachlanAimee Mannのクリスマス・アルバム、Gwen Stefaniの新作などなど)が、このアルバムはその中でもオススメの1枚です。

聴いた事のない人もこの機会に是非!
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by Blacksmoker | 2006-12-19 01:27 | R&B / SOUL

CAPLETON [Reign Of Fife]

炎の化身ケイプルトン

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この男を形容するならそう表現するのが一番相応しいだろう。まさしく炎の男

ジャマイカのレゲエ界で最も熱いDJと言えばこの男を置いて他にない。人気・実力ともジャマイカでもトップ・クラスを誇るベテランDJですが、その人気はやはりその暑苦しいまでのヴァイブスあるだろう。その燃えたぎる炎のヴァイブスで全てを焼き尽くします。

合言葉は「モー・ファイヤー!」。

f0045842_2315667.jpgどんな時でも「モー・ファイヤー!」。辛い時でも「モー・ファイヤー!」、悲しい時でも「モー・ファイヤー!」、嬉しい時にはもっと「モー・ファイヤー!!」です。この言葉は一時期ダンスの現場では流行語になってましたね。ケイプルトンはこう語る「全ての根源は火なんだ。愛を燃やすにも火がいるし、平和を訴えるにも火が必要だ。ボブ・マーリィの1stアルバムはCatch A Fireだし、2ndはBurnin’で全てが火にまつわるものだ。ただ戦闘的な意味ではなく、Libertyと同義語で使っているんだ」。

流行りのコンシャス系やシングジェイ系の音に安易にヒヨる事なくひたすらハードコアにラスタファリアン道を突き進みます。ルーツ&カルチャーf0045842_230962.jpgな曲もあるがあくまで詩の内容は熱い。今回紹介するのは現時点での最新作「Reign Of Fire」(2004年)。これは2000年の「More Fire」、2004年「Still Blazin’」に続くケイプルトン曰く「ファイヤー3部作」の最後を飾るアルバムにして最高にヤバい1枚。その名も「炎の統治」!真摯なラスタのメッセージと最新のダンスホール・リディムが見事なまでの融合、そしてベテランDJならではのそのハードコアな姿勢の裏から滲み出る優しい感情、つまり愛情に満ちた神々しいアルバムです。

1曲目から「Jah Is My Everything」でジャーへの変わらない忠誠を高らかに宣言。先程「シングジェイに安易にひよる事なく~」と書いたが、ここ最近はキャリアを積み重ねる事から来る「器のデカさ」というか「芸風の広さ」が顕著に表れていて、歌い上げるスタイルが自然に身に付いてきている。ルチアーノばりの伸びやかな声で歌い上げられます。
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その後も歌を中心に持ってきた曲も結構多く、マーリィ・ファミリーからスティーヴン・マーリィを迎えての爽やかなラブ・ソングも。かと思うと最新リディムをガンガンに乗りこなす「Or Wah」や「Real Hot」、「In Her Heart」、「Who Yuh Callin’ Nigga」などダンスホール・チューンも目白押し。ここまでの幅の広いスタイルを高いレベルで維持出来ているのは、もはやこのケイプルトンシズラくらいのものだろう。

f0045842_233156.jpg現在のレゲエ界のトップ・レベルに位置するこのハードコアなラスタファリアンのケイプルトンですが、実はこの炎の男も最初からゴリゴリのラスタファリアンではなかったというのも面白い。デビュー当初はスラックス(下ネタ)満載のアホ丸出しなバッドマンDJでしたが、94年にラスタに改宗し、このハードコアなスタイルに転向した過去を持つ。そういう意味では同じような過去を持つブジュ・バントンとも共通する点は多い。

当時はあのスタイルが主流で、人気を得るにはあのスタイルが手っ取り早かったのさ」と語るケイプルトン。安易に過去を封印しないで曝け出すところも実に大人だ。こういう人間的なヤツは個人的に大好きですね。
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この「Reign Of Fire」もレゲエを語る上では絶対に外せない1枚。是非ともチェックして欲しい。
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by Blacksmoker | 2006-12-16 00:13 | REGGAE

OJOS DE BRUJO [Techari]

バルセロナ・ストリート発!

東欧圏の音楽性の豊かさはジャズを筆頭に非常に顕著ですが、西欧圏も負けてません。ここスペインにも素敵なバンドがいます。

その名はオホス・デ・ブルッホ。スペイン語で「魔術師の目」を意味するようです。変わった名前ですが、このバンドはちょっと覚えておいたほうが良い。
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スペインのバルセロナという町は移民の町で地中海近隣諸国、つまり東欧圏そしてアフリカ大陸からの移民が数多く存在する(マヌー・チャオもバルセロナに移ってきたバンドですね)。ゆえに人種の坩堝を象徴するように文化圏も多種多様。オホス・デ・ブルッホはそんな文化を体現したようなバンドだ。地元スペインではもう相当な人気を誇るそうですね。

女性ボーカル2人、フラメンコ・ギター2人、ベース、そしてパーカッションが3人という8人組(ライブではダンサーも参加する。最近ではトランペッターもメンバーとして加入したようです)。彼らの音楽はスペインの音楽を代表するフラメンコを基盤としている。そこにキューバン・アフロ、インド音楽、エスニック、アラブ音楽が融合して今まで聴いたことのないような万華鏡のような音が展開されます。

f0045842_23355127.jpgそしてメンバーの年齢が20代~30代を中心とした若い年齢層なので鋭いストリート感も備えている。つまりヒップホップなビート感が前面に出ているのも特徴だ(全然ヒップホップなトラックはないですが)。メンバーそれぞれがヒューマンビート・ボックスやターンテーブルも兼任している。そこに様々なミュージシャンを迎えて製作されたのが本作「テチャリ」。スペイン語で「自由」を意味するこのアルバムは彼らの3作目にあたります。

1曲目「Color」からキューバ人のホーンセクションを導入した奇天烈なファンク!ブリブリなファンク・ベースの上にDJによるスクラッチがビシビシ入ってきます。超早口の巻き舌でボーカルの女性が歌います。コンガカホーンなども導入していて圧倒的なオリジナリティを誇ります。

続く「Sultanas De Merkaillo」では哀愁のフラメンコ・ギターにパーカッションが乱れ飛ぶ。打楽器のようなギターのハネ具合とパーカッションに思いっきり踊らされます。
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タブラで始まる怪しい「Todo Tiende」は、女性ヴォーカルのブレスレスな超ファストなラップに、シタールのように高音域を出すフラメンコ・ギターのインド音階のフレーズ(Panjabi MCのあの曲みたいだ)が頭に残る、異常に中毒性の高い1曲。ゲストでAsian Dub Foundationからドールが参加してラガなラップを披露しています。後半のジャム・セッションのようなパートが圧巻です!

もう冒頭3曲でも即死級のカッコ良さですが、その後も容赦なく斬新かつぶっ飛んだサウンドが展開されます。サウンド面だけでなくフラメンコを歌う女性ヴォーカルのマリーナ(下写真)がむちゃくちゃ上手く、しっかり歌で引っ張って行く曲ばかりなので、ちゃんと歌としても成立しており1曲1曲が非常に際立っているのが凄いですね。
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フラメンコが基盤なのは終始一貫しているが、セネガルのヒップホップ・グループ、ダーラJのMCがセネガル語のラップを披露する曲や、インド人ヒューマンビート・ボクサーによる超絶な口タブラの炸裂な曲などもう強烈な個性を放つ曲ばかり。他にもヴァイオリンやウドゥ、マリアッチなトランペット、アンビエントなピアノなど様々な音が乱れ飛んでいます。乾いたドラムにぶっといベースが響くレゲエの上に哀愁あるフラメンコのヴォーカルが乗る曲もある。もう圧倒的。
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初めてオホス・デ・ブルッホを聴いた時、見事すぎる音の融合ぶりの完成度があまりにも高すぎて「こいつらフェイクなんじゃないか」と勘ぐってしまう程でしたが、聴き直す度に「やはりこいつらは本物だ」と再認識。歌の内容の方もかなり反体制。パンクなヤツラでもあります。このバンド、絶対にチェックです!

ジプシーというかノマド気質なこんな刺激的な音楽が生まれるのは、やはりバルセロナという特殊な土地柄のおかげでしょう。ここまで凄い音楽が生まれるこの町はこれから俄然注目です。

f0045842_23491989.jpg最高にクールなこのバンドが実は昨年5月に来日したばかりと聞いてかなりショック!!全くノーチェックでした。

ライブがかなり凄いらしいので、行った人には是非感想を聞かせて欲しいです。昨年に2005年のライブを収録したDVD「パリ・ライブ」(左写真)がリリースされているそうなので、それを観て次回の来日を楽しみにしておくしかないですね・・・。次に来たときは絶対行きますよ!

ちなみに彼らのライブ映像がココで観れます!

そして前述のインド音楽を取り入れた怪しい「Todo Tiende」のPVはココでチェック!!
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by Blacksmoker | 2006-12-14 00:13 | スペイン

THINK TANK + DJ BAKU in 「El Nino」@ 鰻谷sunsui 12/8(金) 2006

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アンダーグラウンド・ヒップホップ界の闇で蠢く異能集団THINK TANK。結成当初はまだヒップホップと呼べる音楽をやっていた彼らですが、現在はダブやフリージャズをも呑み込んだ黒く煙たいドロドロな、何とも呼べないぶっ飛んだ即興的な音楽を展開しています。

4人のMCと2人のDJを擁するこの集団、正式なアルバム・リリースはたった1枚のみだが、各メンバーのソロやライブ盤、Mix CD、Mix Tapeなどそのリリースは膨大な量に及ぶ。しかもほとんどがCD-Rでのリリースというものばかりという恐ろしいアンダーグラウンドぶり。特にTHINK TANKf0045842_0341682.jpg中心人物であるK-Bomb(右写真)のラップ(というかフリースタイル)や彼の作るトラックのイカレっぷりは群を抜いていて、その他にもKiller BongLord Puffなどなど10数個の変名で活動をしている。気が向いた時にしか活動しないという商業ベースとは全く無縁な活動で、金に困ったら自分の音源のCD-Rを売りさばくというスタイルも凄いです。今年Killer Bong名義でリリースしたアルバム「Osaka Dub」も強力盤でした。

インド音楽やディープ過ぎるダブやらの断片を昇華してどんどん「アッチ側」の煙たい音楽へ進化しているTHINK TANKf0045842_0352895.jpgすが、数年前からフリージャズ界のトリオMinga(ジョン・ゾーンのレーベルからもリリースしている)とのフリー・インプロヴィゼーションを頻繁に行っており、これがめちゃくちゃフリーキーでイカれた異端の音楽なので、ダブやフリージャズのような異端な音楽が好きな人はフリー・セッション・ライブ盤「Think Tank meets Minga /Jazz Nino」(左写真)をチェックして欲しい。ちょっとぶっ飛び過ぎていますね。

そのTHINK TANKが主催する煙たいイベント「El Nino」。彼らのディープでスモーキーな音楽に共鳴するミュージシャン(DJ QuietstormKuranakaRebel FamiliaGoth-Tradなど) が集まるこのイベントは個人的には日本で最もヤバいイベントだと思います。毎月池袋のClub Bedで行われていて私も何回も行ってますが、タバコの煙とは違う煙の匂いの充満する強力なイベントです。
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そんな「El Nino」も最近は大阪でも行われるようになりましたが、今回の「El Nino」のゲストはDJ BAKU!!

f0045842_0504565.jpgDJ BAKU(右写真)は新宿拡声器集団MSCとも親密に繋がるハードコアなDJ。彼のプレイはハードコアでアンダーグラウンドなヒップホップからGodflesh(!)などもミックスする完全に尖ったロックなDJですね。今年は初のリーダーアルバム「Spin Heddz」もリリースしました。400枚以上のレコードをディストーションをかけてサンプリングして作り上げた強力なアルバムでした。ちなみにそのDJ BAKUですが、もうすぐTHINK TANKをfeat.したアナログ・シングルをカットするという事でこのクセモノ2者が合体したらどんな音楽が出来上がるのかが非常に楽しみです。

さて深夜2時頃に登場したTHINK TANKですが、もの凄いスモークの中に薄暗い逆光の照明の中ぞろぞろと6人のメンバーが登場する。DJの2人のうち1人はサックスを担当。いつもながらステージが暗すぎてメンバーの姿がかろうじて判別出来るくらい。スモークの中を蠢く姿が実に不気味でドープ。即興のサックスの不穏な残響音とダビーでユルいスモーキーなビートの中、4人のラッパーがf0045842_151370.jpg呪文のようにフリースタイルを重ねていく。特にK-Bomb aka Killer Bongのダミ声で呻き声に近いラップがフリーキー過ぎてヤバいです(DJ Quietstormの「Fuji Rocks」という曲でfeat.されているKiller Bongはタダ唸っているだけ!強烈です)。そしてBabaの煙たくダルな声もいつもながらめちゃくちゃカッコイイです。2本のマイクを使ってエフェクトを掛けていてこれが割れた音になって耳に突き刺ささり強烈でした。昔の曲も全く違うビートでラップされているのでとても原曲を留めません。ドラッギーでヤバすぎるビートにタバコではない煙の匂いのする空間、そして逆光の照明がとてつもない異形な世界を作り上げていました。サイケデリック!

そして途中からDJ BAKUが登場し、THINK TANKとのスペシャルなセッション。BAKUが加わっていきなりビートがソリッドになって、ドラムン・ベースのようなヘヴィなビートにTHINK TANKの4MCがイルなラップを乗せていく。これはもしかしてDJ BAKU feat. THINK TANKの曲なのかな?いずれにせよドープです。
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やる気のあるのか無いのか判別不能なフリーキーなスタイルは終始相変わらずですが、サンプラーやMPC3000やエフェクター類が所狭しと並べられたステージには彼らの音に対する執着が見取れましたね。音もとにかくヘヴィだったので、ダブを延々と聴きまくった後のようなダルい倦怠感がミョーに気持ち良い夜でした。

会場でいろいろ売っていたCD-Rもたくさんゲットし、聴きまくってるのでここ2日くらいはユル~い空気感が漂っています・・・。
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by Blacksmoker | 2006-12-12 01:07 | ライブレポート

FAITHLESS [To All New Arrivals]

最高傑作

イギリス音楽界最強のエレクトロ・ユニット、フェイスレスf0045842_22435056.jpg3年振りの新作「To All New Arrivals」は、今までのフェイスレスを更に進化させた美しく幻想的なサウンドで、まさしく彼らの最高傑作でしょう。2005年にリリースされたベスト・アルバム「Forever Faithless:The Greatest Hits」で10年のキャリアを総括し、2006年は名門ハウス・レーベル「Renaissance」から素晴らしいMix CD「3D」をリリースしたばかりの彼らの新しい出発に相応しいアルバムです。

タイトルは「新たに到着した全ての人達へ」という示唆に満ちた言葉で、どこか外国の港町の夕暮れ時を描いた風景画のジャケットがとても美しい。

このアルバムは今まで以上にゲスト・ヴォーカルをフィーチャーした曲がほとんどで、その多彩なヴォーカリスト達のバックで鳴る、シンセやピアノの音が霧のような靄のかかった美しい深遠なプログレッシヴなハウス・サウンドが幻想的な空間を作り出しています。仄かに80年代フレイヴァーが感じられるのも良いですね(これが過剰だと個人的にはダメです)。
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エコーのかかったコーラスが印象的な曲が多く一聴すると非常に美しいサウンドですが、それとは逆にマキシ・ジャズ(下写真)のポエトリー・リーディングのようなラップは実にソリッドでリリックを見ると実は意外とシリアスで現実問題を捉えたアイロニックなものばかり。幻想的なフェイスレスのサウンドに意外とサイケデリックな感覚が少ないのは、おそらくマキシ・ジャズのラップが強烈に聴く者を現実に引き戻す磁場を持っているからだろう。サイケデリックには聴くものを異次元に飛ばす力があるが、フェイスレスのサウンドは殺伐とした現実の中に幻想的な空間を作り出すような感覚がある。前作でも「Weapons Of Mass Destruction」などかなり強烈な詩が印象的だったマキシ・ジャズだが、今回もそのリリックは鋭く現実をえぐる。まさしく現代のリントン・クエジィ・ジョンソンです。
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今回のアルバム製作中にフェイスレスのメンバーのロロシスター・ブリスの2人には子供が誕生したそうで、それに呼応してサウンドや歌詞などにも親の視点で描かれた現実感のある歌が多い。

話題のリード・シングル「Bombs」は、ヴォーカリストに「KUBB」というイギリスのロック・バンドのHarry Collierを迎えての美しいハウス。「NEXTクリス・マーティン(Coldplay)」かと思うくらいの美声のコーラスに続くマキシ・ジャズのレバノンの空爆を題材にしたリリックが痛烈です。この曲は彼らのMyspaceでも視聴出来ますので是非聴いてみてください。
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その他The Cureロバート・スミス(またもや再評価か?)を迎えた曲(「Lullaby」をサンプリング!)や、そしてCat Powerを迎えた曲など様々なゲスト・ヴォーカルが楽曲を彩ります。もちろんロロの実妹Didoもヴォーカルで参加しております。

もちろんそのプログレッシヴで深遠なハウス・サウンドだけ聴いても十分機能しますので、車で流すのも部屋で聴くのにも最適ですし、その鋭い歌詞に耳を傾けるのも面白い。
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個人的には今年のベストアルバム候補の1枚。是非聴いてみて下さい。
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by Blacksmoker | 2006-12-09 00:03 | ELECTRONICA

THE GAME [Doctor's Advocate]

The Game Is Back !!!!

コンプトンの後継者が帰ってきたぜ!

Dr.Dre50 Centの強力バックアップを受け2005年1月にデビューアルバム「The Documentary」を全米1位に叩き込み、最終的には500万枚以上を売ったザ・ゲームがシーンに戻ってきました。
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同じコンプトン出身のN.W.A.に心酔し、Easy-Eを師匠と仰ぐザ・ゲームの登場は衝撃でした。個人的に何が衝撃だったかと言うとライミングのスキルやDr.Dreのプロデュースした恐ろしいまでの完成度の高いトラックなどもありましたが、ザ・ゲームがもう「そのまんまなギャングスタ」だった事!何もヒネリもない王道リアル・ギャングスタ(悪い意味じゃないです)!「金・女・車・ドラッグ」といった言葉しか出てこない完璧なギャングスタ・スタイル(最終曲「Like Father, Like Son」は生まれた子供に向けた賛歌でしたが)。もはや清々しさすら感じる神々しいまでのギャングスタ!最高です。これはもう伝統芸能ですね。このアルバムからは「Love It Or Hate It」や「Westside Story」、そして「How We Do」や「Dreams」などクラシックが数々生まれました。

f0045842_16201094.jpg50 Cent(右写真)のG-Unitにも加入し順風満帆かと思われたが、その後50 Centと歴史に残るビーフが勃発する。

ザ・ゲーム50 Centの言動を批判する発言をしたことに対して、怒った50 Centは一方的にG-Unitからの離脱を宣言。そこからこの2人の抗争は熾烈を極める。ザ・ゲームのスタッフが銃撃されたりと不穏な空気が流れる中、事態を懸念した50 CentがRun DMCのランラッセル・シモンズの立会いのもとザ・ゲームに停戦を呼びかけます。

そして2人揃っての和解会見が開かれたわけですが、下の写真がその和解会見の模様です。
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                全然納得してねーし
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                しかもふて腐れてるし!!

そしてこの後やはり周囲の予想通り、G-Unitザ・ゲームの抗争は再燃していきます。互いに数々のディス・トラックを発表したりして、現在でもこのビーフは治まりそうにもありません。ちなみにザ・ゲームの発表した「300 Bars & Runnin’」という15分にも及ぶフリースタイルは必聴です!ネットで探せば見つかるので是非聴いてみて欲しい(以前Blast誌でそのフリースタイルの対訳が掲載されていましたね)。

その渦中のザ・ゲームの待望の2ndアルバム「ドクターズ・アドヴォケイト」が遂にドロップされました!

f0045842_16265513.jpgもちろん50 CentG-Unit Recordsからは離れGeffin Recordsに移籍してのアルバムになります。50 Centとのビーフの為に、後見人であるDr.Dreに迷惑が掛かるのを懸念してDr.Dreのプロデュースした曲は一切使用されていない。しかしこの「ドクターズ・アドヴォケイト」=「ドクター(Dreの事)の代弁者」というタイトルからして完全に「俺はDreの後継者なんだ!」と言わんばかりの意思表示です。「もしDreのアルバムが発売されたらDreが言いそうな事だったり、2Pacが生きてたら言いそうな事を提言しているのさ」とはザ・ゲーム本人の弁です。アツイです。

さてアルバムの内容にいってみましょう。

冒頭を飾るまるでDr.Dreのトラックのように荘厳な「Lookin At You」。そしてザ・ゲームのライムが炸裂する。

ウエスト・コーストに戻ってきたぜ!俺はマザファッキンなギャングスタ・ラップの救世主!ドレなしでも俺は堕ちねぇ。前のアルバムだけでファイヴ・ミリオン捌いたぜ!ニガたちは俺の事をどんなときでもヤバイ男だと思ってるんだぜ!

来た!これだぜ!何も変わってねぇ。このIQの高そうなリリック!これこそまさしくギャングスタ!このカタルシスがたまりません。
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続く「Da Shit」も何のヒネリも感じさせない(その必要すらない)超王道ギャングスタ・ラップ!リリックには「金・女・車・ドラッグ」という非常に品行方正な言葉しか出きません!あとDreへのリスペクトが少々。

1stシングルとなった「It’s Okay(One Blood)」もハードコアで超ストロングなコンプトン及びウェッサイ・レペゼン賛歌。「俺はビギー、俺はキューブ、俺はNas、俺はパックだぜ!」と強烈なラインが印象的です(50 CentがディスってたNasザ・ゲームはリスペクトしている)。

そして売れっ子プロデューサーになったBlack Eyed Peasウィル・アイ・アム(左写真)制作による「Compton」がかなりf0045842_16332217.jpgフライな出来!Easy-Eの「Real Muthaphukkin G's」をサンプリングした最近のウィル・アイ・アムには珍しい超ハードコアなコンプトン賛歌!「ニガ!」「ファック!」ばかり出てくる素晴らしいリリックにN.W.A.Easy-Eやらをリスペクトしまくるザ・ゲームウィルの掛け合いが非常にスリリングです。「NYのヤツラも俺をベストだと言うぜ!」とも言っています。もの凄い自信です。

ジャスト・ブレイズの手掛けた「Remedy」では、何とPublic Enemyの名作2ndから「Black Steel In The Hour Of Chaos」のあの不穏なキーボードが鳴るトラックに乗せてザ・ゲームのライムが疾走するクールな1曲。この曲の元ネタはアイザック・ヘイズの「Hyperbolicsyllablisequedalymistic」ですね。もはや定番ネタです。

長くなりすぎたので、駆け足で他の曲も紹介しましょう。

50 Centが作りそうなフックが面白い「Let’s Ride」、スウィズ・ビーツによるヘッドバンガー・チューン「Scream On Em」、そしてスヌープ・ドッグイグジビットを迎えた完全にG-Funkなサウンドのウェッサイ賛歌「California Vacation」などシリアスで超ハードコアなチューンが目白押し。

f0045842_16381136.jpg一方でカニエ・ウェスト(右写真)による恒例のサンプリング早回しによるメロウな「Wouldn’t Get Far」(カニエのラップの内容が面白い)も中々良い出来です。その他にも人生を振り返る悲しい「One Night」や、Hi-Tekによる「Ol’ English」、ジェイミーフォックスをfeat.した「Around the World」などアルバム後半はソウルフルでメロウな曲も多くなりハードコア一辺倒なアルバムではないのだが、アルバム全体をシリアスなムードが覆っている。パーティ・チューンなど1曲も収録されていないのも凄い。

バスタ・ライムスを迎えた「Doctor’s Advocate」ではDr.Dreに対して「あんたの元を去ったりして悪かったが、男にはやるべき時があるんだよ。でもあんたの為なら俺は銃弾を受けるぜ」とDreに忠誠を誓うシリアス・チューン。最初から最後までDre賛歌です。

そして最終曲には、遂に実現したNYのキングNas(左写真)をf0045842_1645542.jpg迎えた「Why You Hate The Game」(ジャスト・ブレイズ制作)。9分にも及ぶこの曲のドラマティックなトラックが盛り上げる中、本物のリリシストNasの真髄を見せ付けるリリカルなライムが鋭く切り込む。しかしここでNasとは恐れ入りました。「人生の4つ角で法律が追いかけてくるのが見える」なんてリリカルな表現はNasしか出来ないでしょう。それに呼応するようにザ・ゲームのライム・フェチぶり発揮のリリックが超クール。最後はゴスペル聖歌隊がドラマティックに締める感動的な曲ですね。

このようにギャングスタ一色のハード極まりないアルバムです。まるで女人禁制のようなアルバムになってしまいましたが、このアルバム、ビルボード・アルバム・チャートTop200にて堂々の1位をマーク!ハンパないです。Dreの力なしでも十分にやっていける実力派ハードコアMCの帰還です。是非聴いてみて下さい。
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これで50 Centの次の一手が楽しみになりました。
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by Blacksmoker | 2006-12-06 16:52 | HIP HOP