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SUNN O))) & Boris [Altar]


                   まさしく悪夢の共演
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ドラムレスで歪みきったヘヴィなギターの「ズズ~ン」といった残響ディストーション・ノイズ音を垂れ流し続けるドローンと言われる禁断の音楽の第一人者スティーヴン・オマリーグレッグ・アンダーソンのユニットであるSUNN O)))(←サンと読みます)。KHANATE(残念ながら06年に解散してしまいましたが・・・)でも活動するスティーヴン・オマリーは、孤独、怒り、悲しみ、絶望と言った一切の「負」の感情を表現する常人には理解不能なまさしく極北の表現者。
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ライブも壮絶だそうで、スモークが充満するステージ上に黒装束を被った2人が逆光のライティングの中でひたすらノイズを撒き散らすというライブで、もはや宗教儀式のような様相を呈しているらしい。

対するBorisも東京から世界に誇るヘヴィ・ロックバンド。その世界観はまさしく唯一無二。ロック・バンドとして活動する時の名義「BORIS」(大文字)と、異ジャンルのアーティストらとのコラボレートする時の実験的ユニットである名義「boris」(小文字)などを使い分けて活動する世界のヘヴィ・ミュージックの中でも最も革新的なバンドと言っていい。
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f0045842_135585.jpgこの2者が遂にアルバム「Altar」(右写真)で邂逅を果たしました。これは一般人にとっては悪夢以外の何ものでもないが、この手の音楽好きにとってはまさしく夢の共演です。

さてこの共演で想像できる音楽といえば、とことん陰鬱で光の当たらない暗闇の中で怒りの充満したヘヴィなドローンを想像してしまいますが、3割が正解だが7割は間違っている。この2者が合体することで、新たに方向性を発見したようなサウンドを提示してきました。

3割正解というのはやはりそのヘヴィ度。SUNN O)))の持つ圧倒的音圧で迫るドローンなノイズを継承しつつ、そこにBorisのヘヴィさも加わった重量級ノイズはやはり素晴らしい。

7割間違いというのはその楽曲の幅です。SUNN O)))の前作「Black One」ではメリハリの利いた(もちろんSUNN O)))の歴史の中でという意味ですが・・・)曲が並んでいましたが、今回は更にドラムやギターの音を加えてバラエティに富んだ楽曲が並ぶ。それ以外にもチャイニーズ・シンバル(ゴング)やムーグ、トロンボーン、ピアノなど多彩な楽器が使用されている。そこへゲスト・ヴォーカルも加え悪夢の桃源郷ともいえる素晴らしきディストピアを現出させている。
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ピアノの荘厳な響きの中、エリザベス・フレイザーマリアンヌ・フェイスフルの中間を行くような老成した魅惑の声を聴かせるジェシー・サイクスという女性ヴォーカルを迎えた「The Sinking Belle(Blue Sheep)」は、まるでシガー・ロスのように幽玄ですね。ジョー・プレストン(メルヴィンズHIGH ON FIREでも活躍するベーシスト)がヴォコーダーで参加した曲があったり、元サウンドガーデンキム・セイルがギターで参加していたりとゲスト陣もなかなか豪華(もちろん「この世界では」です)。

最終曲の15分近くにも及ぶ「Blood Swamp」の期待通りの残響音まみれの禁断のドローンには恍惚の表情を浮かべてしまうくらい素晴らしいです。
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そして更に目玉なのは日本盤のみに付いているボーナス・ディスク!「Her Lips Were Wet With Venom」というタイトルのこの曲ですが、何とドローン・ミュージックのもう一つのパイオニアであるEARTHディラン・カールソンが参加しています。EARTH+SUNN O)))+Borisというファンにはもう悶絶必至の28分14秒!地獄度全開のヘヴィ・ドローンに脳の髄まで溶かされて下さい。中盤のブルース・フィーリングなギターが別世界に連れて行ってくれるでしょう。

このアルバムの予想以上に素晴らしい出来に驚きと嬉しさを隠せません。1+1が3にも4にもなる事を証明したようなコラボレーション・アルバムです。決してオススメは出来ませんがお勧めです!
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そしてそのSUNN O)))ですが5月に遂に初来日を果たします。もちろん共演にはBoris!この奇跡のジョイント・ライブは絶対に見逃せません。
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by Blacksmoker | 2007-01-31 01:46 | 極北

RICARDO VILLALOBOS [Fizheuer Zieheuer]

実に中毒性の高い1枚。

2006年という時代を象徴する音楽と言っていい。一度耳にすると完全に抜けられなくなる禁断の音

リカルド・ヴィラロボスは、リッチー・ホウティンスヴェン・ヴァスらと並ぶミニマル・テクノを代表するDJ。「クリック・ハウス」とも呼ばれる。
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クリック・ハウスというのはラップトップで作るハウス・ミュージックの総称なので、その定義は非常に曖昧なものだが、個人的には緻密に作りこまれた密室的なテクノとして捉えている。特にリズム・トラックが無機質で感情を排除したようなヒンヤリ感が逆に心地良い。

f0045842_3433332.jpgリカルド・ヴィラロボスは南米チリ生まれ。当時の独裁政権下から3歳で家族とドイツに移住したという過去を持っている。ご覧の通りのかなりの男前でもあります。もはやトップDJとしての貫禄も漂いますね。彼のプレイは即効性重視ではなく、長時間掛けてジリジリ盛り上げていくタイプなのでロングセットのプレイが特徴ですが、今回紹介するこの「Fizheuer Zieheuer」は彼のそのライブセットで使われている人気トラックの初音源化です。

実に1曲37分9秒

まず何たっていきなり飛び出すのがバルカン・ホーン!この「2006年を象徴する音」といっても過言ではないバルカン・ホーンのマーチング的というか、少しコミカルというか管楽器ブラス隊の威風堂々とした雄大なホーンが実にハマります。ひたすらミニマルに刻まれる無機質なリズムにダブ処理のなされたエフェクトが入ってきます。はっきり言って、もうそれだけなんです!ひたすら延々とストイックなクリック・ハウス。
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しかし聴いているとこれが不気味なくらい段々と盛り上がってくるんです、コレが。そしてマーチング的なホーンとは別に突如入ってくるホーンの突飛のなさがかなり面白いです。「何でココでこんなリズムを無視したホーンが入って来るんだ!?」というような疑問もひたすら無機質な4つ打ちのリズムが無言で押し潰していきます。気が付けば37分9秒が一気に終わってしまい、また延々とリピートして聴いてしまうという無限のミニマル地獄に突入。抜けられません。

ミニマル系の革新化にバルカン・ホーンを採用したのは実に面白いアイディアです。リカルド・ヴィラロボスしかり、リッチー・ホウティンしかり、彼らの実験精神こそがテクノ・シーンの未来だ。このアルバムはダンス・ミュージックの即効性と実験性が同居した革命的な曲と言っていいでしょう。是非ともこの無限のミニマル・グルーヴに身を委ねて下さい。
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さて、ちょっと聴いてみたいという人にはコチラを。リカルド・ヴィラロボスのDJ Setの一部がココでダウンロード出来ます(左上に出てくるボックスにアルファベットを入力して下さい)。前半の15分くらいまでが今回紹介した「Fizheuer Zieheuer」です。是非一聴を!
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by Blacksmoker | 2007-01-28 03:54 | TECHNO

CALEXICO with IRON & WINE @心斎橋クラブクアトロ 1/24(水) 2007

昨年素晴らしいアルバム「Garden Ruin」をリリースしたアリゾナ州トゥーサン出身のキャレキシコ。このアルバムは以前にこのブログでも紹介しましたが、その後キャレキシコはもう1枚素晴らしいアルバムをリリースしています。

シンガー・ソングライターのサム・ビームのソロ・ユニットであるアイアン&ワインとのコラボレーション・アルバム「In The Reins」(下写真)です。

f0045842_11111127.jpgアイアン&ワインはアメリカの良心を歌うこれまた素晴らしいアーティスト。サブ・ポップからリリースしているアルバムやEPは、いずれもアメリカ南西部の香り漂う良質な作品ばかり。特に2004年にリリースしたアルバム「Our Endless Numbered Days」はかなりソング・オリエンティッドな作風の静かな傑作です(先日、日本盤でリリースされたばかり)。アイアン&ワインことサム・ビームが作った曲にキャレキシコが演奏を合わせるという形で作られたこの「In The Reins」は、「Garden Ruin」で一層歌心を重視する方向へシフトしたキャレキシコの方向性をより深化させた名盤になりました。

そんなキャレキシコアイアン&ワイン(下写真中央がサム・ビーム)が今回同時に来日。アメリカではジョイント・ツアーを行っていた彼らが、遂にこの日本でも観られるわけです。
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さて、主催者が「アメリカではキャレキシコよりアイアン&ワインの方がビッグなんですが・・・」と説明して(苦笑)、アイアン&ワインがオープニング・アクトで登場。コーラスを担当する妹のサラ・ビームが横でサポートするというシンプル極まりない編成。ギターを抱えたサム・ビームの風貌は、写真よりさらに髪と髭が伸びてまるで60年代ウッドストック時代のザ・バンドのメンバーのようなヒッピー風情になっていました。しかし、その風貌からは全く想像出来ないくらい繊細で優しく包み込むような歌声にウットリさせられます。ステージ上でカポを何度もはめ直してチューニングしたりとかなりリラックスした雰囲気。そしてそこにあるのは本当に良い曲ばかりだ。寄り添うように控えめなコーラスもイイ。ギターもかなり上手くて聴いてて全く飽きません。サム・ビームはカントリーやフォークなどの伝統音楽を現代に伝える重要な音楽家の一人ですね。

30分程でアイアン&ワインが終了し、次は本命キャレキシコ
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所狭しとステージに溢れかえった楽器類の多さには驚くが、大男が6人もステージに立つとそれだけでもかなりの迫力がある。そしてその男達が出すサウンドがかなりユニーク。キャレキシコのサウンドの中核を担うのはやはりメキシコのチカーノ音楽。妖しいトランペットや、哀愁のあるアコーディオンなどマリアッチなサウンドが彼らの音楽をよりオリジナルなものにしている。しかし、これは彼らの住んでいるアリゾナという街が人種の入り混じった文化を孕んだ街なので、そこに住む彼らの音楽がそうなっていくのは自然なプロセスだろう。ロス・ロボスらにも共通するその折衷感というものはその街で育っf0045842_11221074.jpgたものにしか出せない音ですね。トランペットやアコーディオン以外にも、ヴィブラフォンやウッドベース、そしてペダルスティールなどが混然一体となっているサウンドには一切不自然な整合感はない。特にポール・ニーハウス(左写真:この人はラムチョップのメンバーですね)が弾くペダルスティールの絶妙な揺れ具合が非常に気持ち良い音でシビレます。

ジョン・コンヴァーティノの叩くドラムはタム回しを多用したラテン独特のリズムで、アルバム「Garden Ruin」でソング・オリエンティッドな方向へシフトしたキャレキシコが前作「Feast Of Wire」や前々作「Hot Rail」のようなチカーノ色全開の音にまた回帰していましたね。ジョーイ・バーンズの歌声は中音域が伸びやかで非常に耳障りの良い声質なので心地さにも一役買っていたと思います。

f0045842_11234015.jpg演奏は全体的にラフで荒々しいロック・サウンド。特にフロント3人がギターに持ち替えてトリプル・ギターの歪んだ音のアンサンブルが炸裂する「Deep Down」などかなり予想外の荒々しい演奏で驚きました。そして哀愁のあるトランペットのフレーズが耳から離れないです。バルカンビートなどもそうですが、管楽器の音というのは人間にとって心地よい周波数なんでしょう。

「Garden Ruin」「Feast Of Wire」の2枚からの曲を中心にしたセットで、その他の代表曲なども盛り込んだベスト的な選曲。終盤では再登場のアイアン&ワインの2人を迎えてコラボレーション・アルバム「In The Reins」からの曲を披露。メイン・ボーカルを執るのはサム・ビーム。なので思いっきり曲調はアイアン&ワインです。軽快で、これ以上にないほどポップな「History Of Lovers」などは、もし各バンド単独名義ならおそらく作られなかったであろう曲ですね。両者がいてこそ作られた秀逸なロック・ソング。そしてローリング・ストーンズ「Wild Horses」のタメの利かせたしっとりとしたカヴァーもGOOD!
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アンコールは「Guero Canelo」。終わりを告げるファンファーレのようなトランペットに歓喜の気持ちと一抹の寂しさを憶えながら大団円。キャレキシコのファンはコアな人が多いので良い盛り上がりでしたね。

世の中には決して売れる音楽ではないけれど、長く聴き続けられる音楽というものがあり、キャレキシコの音楽もその中の一つだ。感情の起伏の激しいラテン的な血を受け継ぎ、聴く者の悲しみや喜びという感情とリンクするような彼らの音楽はもはや彼らの音楽を愛する人には必要不可欠でしょう。そしてこのような音楽というのは、レコードよりライブの方がやはり素晴らしい。
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是非とも興味のある人は彼らの音楽に触れてみて欲しい。以前にも書きましたが、今バンドやるならこういう音楽のバンドがやりたいですね。
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by Blacksmoker | 2007-01-26 00:49 | ライブレポート

GUITAR WOLF [Ultra Cross Vol.1,Vol.2,Vol.3]

ギターウルフから新たな一撃!これは強力!
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他界したビリーの後任として新加入したベーシストUG(しかもベースなんて持つのも初めてという全くの素人!)を迎えて復活を遂げた新生ギターウルフの記念すべき初音源は「ウルトラ・クロス」というEPで登場です!

この「ウルトラ・クロス」とは爆音で鳴らすバンドをギターウルフが迎え撃つ異種格闘技スプリットEP。しかもVol.1Vol.3というタイトル通り3枚のシリーズなので各ジャンルから爆音で鳴らす3組のアーティストが迎えられている。
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まずは第一弾「Vol.1」に登場するのはライトニング・ボルト

f0045842_2252964.jpgロードアイランド出身のドラムとベースのみの2人組の爆走轟音変態ハードコア・バンド。毎回ステージではなく客のいるフロアにドラムセットとアンプを置いて演奏するという変態ぶり。昨年来日公演が急遽中止になって残念な思いをしたファンもいるでしょう。しかし、その残念な思いを一気にブッ飛ばすほど強烈な2曲です。オモチャ箱をひっくり返してさらにそれを100回くらいシェイクさせたようなムチャクチャなブッ壊れぶりが痛快です。まるで90年代初頭に体感したあのバットホール・サーファーズボアダムズのようなあのジャンク感覚が蘇ります。
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対するギターウルフ「レッドシチュエーション」「ケンカロック」というブランニューな2曲!「レッドシチュエーション」ではセイジ兄貴の雄叫びと共に新加入のUGの雄叫びもバッチリなこれぞギターウルフな新たな代表曲となるであろう1曲。セイジ兄貴UGがヴォーカルを分け合う最強アンセムです。何かギターウルフの演奏がかなり上手くなっているのが驚きです。

続く第二弾「Vol.2」はこれぞ爆音というべき東京が世界に誇るノイズ・コア・バンド、ストラグル・フォー・プライド

f0045842_2322330.jpg昨年は遂に1stアルバム「You Bark We Bite」をメジャー・レーベルからリリースして何気に聴いたリスナーを恐怖のどん底まで突き落とした彼らが、もうノイズの塊といって言い程の残虐極まりない新曲を2曲提供しています。もはや一聴するだけでストラグル・フォー・プライドの音だと分かるくらいオリジナリティを誇るノイズはやはり凄い迫力があります。そして注目は2曲目「Something Stupid」。これはフランク・シナトラ&ナンシー・シナトラが60年代に大ヒットさせたあの名曲のカヴァーなのです!これをストラグル・フォー・プライドは悪意をたっぷり込めた壮絶なカヴァーで披露してくれております。極悪!
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対するギターウルフはというとこれまた素晴らしいネーミング・センスの2曲で応酬。タイトルは「SEXナポレオン」!そして「東京ゾンビ」!もうこの時点で素晴らしいですが、歌詞のセンスも素晴らしいです。これは字面で表現するとホントにバカバカしいので是非実際に聴いてヤられて下さい。グレイトな2曲です!


さあ最後の第三弾「Vol.3」に登場するは、上記2組に比べるとかなり気色の違うアーティストDJ BAKUが登場!!

f0045842_2335384.jpgMSCなどとの交流のあるヒップホップDJ。意外な様ではあるが実はDJ BAKUのプレイを観たことがある人なら分かるだろうが、彼のプレイはロックテイスト満載です。昨年リリースされた1stアルバム「SPINHEDDZ」などもかなりのブレイクビーツに拘っているが全体的な仕上がりはかなりエッジの利いたロックだ。そのDJ BAKUからは「92 skream」「92 Experimental Guitar Wolf」という2曲。前者はBlack Ganionというハードコアのヴォーカルをゲストに迎えた高速ハードコア・ジャングル。叫び倒すボーカルにディストーション・ギターやノイズ音のサンプリングがスクラッチされまくります。そして面白いのが後者。DJ BAKUギターウルフの音源をサンプリングして新たに作り上げた曲で「ミサイル・ミー」「オールナイトでぶっ飛ばせ!!」、そして「ジェット・ジェネレーション」といったウルフの名曲がヒップホップのリズム・トラックの上で細かくスクラッチされます。
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そしてギターウルフですが、このシリーズ中最もキャッチーな1曲「高校生アクション」、そしてUGのドスを利かせたボーカルをメインに置いた「池袋タイガー」の2曲で応酬。特に「高校生アクション」、これは名曲です。

さて、この「ウルトラ・クロス」シリーズですがCDのジャケットがアナログ仕様になっているのがイイ。これは是非ともCDじゃなくてアナログ盤で3枚とも揃えたいブツであります。
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そして、そんな爆音異種格闘技シリーズ「ウルトラ・クロス」をリリースしたギターウルフですが、これに続いて遂に9枚目となるニューアルバムが発売されます!

その名も「Dead Rock」(下写真)!!
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新生ウルフの復活アルバム。男なら絶対マストな一枚。今すぐ買いに行け!
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by Blacksmoker | 2007-01-22 00:02 | ROCK

THE ROOTS @ Blue Note Osaka 1/12(金) 2007

ザ・ルーツは「No.1 ヒップホップ・バンド」ではない。「No.1 ロック・バンド」だ。
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新作「Game Theory」(下写真)を引っさげての来日公演で分かった事は、ザ・ルーツはもはや最強のロック・バンドだという事。天下のDef Jamに移籍しての初アルバムとなる「Game Theory」もかなりジャズ色が希薄になり荒々しいロック色を前面に出した作品でしたが、今回のブルーノート公演でもそのバンドの変化が如実に分かる演奏でした。

f0045842_2253353.jpgそれにしてもザ・ルーツがブルーノートでライブをするというのはもはや恒例になってきましたね。3年前にブルーノート大阪(移転前の)で観て以来のザ・ルーツのライブですが、ブルーノートという場所は彼らのライブを観るには絶好のハコだと思いますね。ライブ・バンドとしての実力をいかんなく発揮するザ・ルーツなので、音響もクラブに比べれば格段に良いし、ステージと客席の距離がほとんどない会場というのも客のヴァイブがすぐに伝わって爆発的な盛り上がりを見せるブルーノートというのは非常にマッチしている。

ただ惜しむべくはチケット代の高さと演奏時間の短さ。ライブ・バンドならではの演奏中に徐々にエンジンが掛かってくるようなステージはやはり2時間くらいの長さは必要だと思う。1日2セットというステージなので、やはり1回の演奏時間は短くなってしまいます(今回も1セット80分くらいでした)。1日1回の公演でいいので2時間はやって欲しいものです。あとあの会場の雰囲気とBボーイ達のミスマッチ感もいつもながら面白い。
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さてライブの方ですが、今回はヒューマン・ビートボクサーのスクラッチはツアーには不参加。彼は「Game Theory」にも参加していなかったので当然ですが、生でスクラッチ音やサンプリング音を声で出すあの脅威的なパフォーマンスを観た事があるので少し残念。ただ今回のライブはそれを補って余りある生々しいロックなパフォーマンスがかなり良かったですね。まずはギタリスト、カーク・ダグラスの激しいパフォーマンスに代表されるかなりロック・テイストが満載。ベースは物凄い低音を響かせてます。(余談ですが少し前に加入したキーボードのカマールジャングル・ブラザーズのマイクGにそっくりでした・・・。)

MCのブラックソートもステージ狭しと動き回り荒々しいラップを聞かせます。そしてやはりザ・ルーツの演奏の要はドラムのクエストラヴ!「音楽をやっているヤツであのドラムが欲しくないヤツなんているのか?」と言われるタイト極まりないクエストラヴ(下写真)のリズムがこの曲者揃いのメンツをしっかり纏めている。パーカッショニストがドラムと全く同じリズムを叩いており、音がかなりブ厚くヘヴィでタイト。
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アルバムのタイトル曲「Game Theory」でスタート。新作と前作「Tipping Point」を中心にしたセット。「Don’t Say Nuthin」「In The Music」「Don’t Feel Right」と続くかなりロックなパフォーマンスがかなり新鮮でしたね。「Love Of My Life」「The Next Movement」「Mellow My Man」「Double Trouble」などの以前のヒット曲なども挟みかなりの盛り上がり。ブラックソート(下写真)がJ.Dillaの遺作「The Shinning」に参加した曲「Love Movin’」のラップを少し披露していたのには少しグっと来ましたね。
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途中でレッド・ツェッペリン「Immigrant Song」のカヴァーも披露。ヴォーカル・パートはギターのカーク・ダグラスが歌っていました。今のロックなザ・ルーツにはこの選曲はかなりハマってましたね。

ロックなパフォーマンス中心でしたが、実はそれだけではないのもザ・ルーツの凄いところ。ファンカデリック以上にファンクだし、ツェッペリンよりロック、ジャジーな演奏もお手の物。こんな凄いバンドなんてそういるもんじゃないですね。そのスケールのデカさには驚きでした。

そしてハイライトは名曲「You Got Me」!いつになってもこの曲は色褪せません。エリカ・バドゥのパートを歌うのはまたもやギターのカーク。彼は今回大活躍でしたね。
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80分とかなり短いライブなのが実に残念でしたが(アンコールを呼ぶ拍手が鳴り止みませんでしたが)、ザ・ルーツの計り知れない実力を見せつけられたライブでした。このライブを観てから新作を聴き直すと、またかなり新たな魅力が発見出来ますね。

是非未聴の人はこの新作「Game Theory」を聴いてみて下さい。素晴らしい力作ですよ。
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by Blacksmoker | 2007-01-20 00:02 | ライブレポート

PIXINGUINHA [O Maestor Do Brasil]

f0045842_1313665.jpgこのレコード、ピシンギーニャ「ブラジル音楽の父」(原題:O Maestor Do Brasil)は、2006年にリリースされたものの中でも「よくぞ発掘してくれた!」的一枚。編集者の努力と労力と情熱の結晶といっても過言ではないくらいの「ベスト功労賞」認定の素晴らしいアルバムです。手軽なコンピレーションが氾濫する昨今、それらとは全く違った次元に位置する偉大な一枚。

ピシンギーニャ

この人は「ブラジル音楽の父」と呼ばれる。ショーロを支えた天才として名を刻む偉人なのです。
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まずショーロとはどんな音楽なのか?

ショーロとは1870年代にリオ・デ・ジャネイロで生まれた音楽で、支配階級時代の黒人奴隷が生み出したと言われている。支配階級であるポルトガル人が奴隷であるブラジル人に演奏させていたポルカやワルツが、演奏するブラジル人によってアフロ的な独特なノリを身につけて新たなダンス・ミュージックとして発展を遂げたのがショーロ。この音楽がその時代のブラジルでメインストリームのダンス・ミュージックになるわけです。

ショーロの基本的な構成はヴィオラォン(ガット・ギター)、フルートカヴァキーニョ(ウクレレみたいな楽器)で構成されます。当時はドラムなどは入っていませんでした(その後ショーロはドラムやサックスなど取り入れてジャズ的な発展を遂げて、それがボサノヴァになっていくわけです)。だからカントリー音楽で例えるならば、カントリーの前に存在したブルーグラスみたいな位置にあたるのがショーロですね。

このショーロが全盛期を迎えるのが1920年代~30年代にかけて。その全盛期を支えたのが作曲家ピシンギーニャ(下写真の一番左)なのです。
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彼はフルート奏者であり、後年はサックス奏者としても有名でした。彼の功績は後のブラジル音楽に多大な影響を与えるわけで、アントニオ・カルロス・ジョビンらもショーロにはかなりの影響を受けています。もしピシンギーニャがいなければブラジル音楽はまた変わっていた事でしょう。それほど偉大な作曲家なのです。ブラジルでは彼の誕生日の4月23日は「ショーロの日」と制定されているそうですね。

そんな彼の音源ですが実はなかなか耳にすることが出来なかったのが現状でした。彼は全盛期の1920年代後半まではフルート奏者として、そして1930年前後はフルートをサックスに持ち替えてオーケストラを率いるサックス奏者として名を馳せていたのですが、今レコードで聴けるのは1940年代以降の音源がほとんどなのでf0045842_1346189.jpgすね。歴史的名盤とされるピシンギーニャがショーロ最高のフルート奏者とも言われるベネジート・ラセルダと共演した「ショーロの聖典」(左写真)というレコードは、文字通りの名盤で「聖典」と呼ぶに相応しいものですが、これは1946~1950年の音源の為にピシンギーニャはサックスを演奏しており、しかも年齢は50歳という円熟期のもの。ピシンギーニャの全盛期の音源というものは日本でもブラジルでもなかなか聴くことは出来なかったのが現状だったようです。

さてこのアルバム「ブラジル音楽の父」の内容ですが、その全盛期のピシンギーニャの姿を時代順に捉えたかなり気合いの入った編集盤です。前半はショーロのフルート奏者として活躍した頃の音源を集め、後半はサックス奏者として活躍した頃の音源が集められている(特にこのアルバムを編集した田中勝則が目指したのが1930年前後のオーケストラを率いたサウンドの作品を作ることだったそうですね)。

編集者の意図に逆らうようだが、個人的には30年前後のオーケストラ作品よりも、1910年後半~1920年後半のフルート奏者としての録音の方に衝撃を受けましたね。

前述のベネジート・ラセルダよりも軽やかでポップなフルート。もはやピッコロみたいに軽快にフルートが跳ねまくります。素晴らしいです。ダンス・ミュージックとして機能していた訳ですから、テンポも速くつんのめるようなフルートが心を躍らせます。一般的にイメージされる「カフェのBGM」として流れるショーロとは全く違いますね。こんなのがBGMだとソワソワして落ち着きませんよ。

ショーロといえば私はすぐに30年代~50年代に活躍したギター奏者ガロートを想像してしまいますが、ピシンギーニャのショーロは全く違った味わいがありますね。特に「Urubu Malandro」(邦題:ウルブー・マランドロ)や、その曲をさらに発展させた「O Urubu E Gaviao」(邦題:ウルブーと荒馬)のフルートの白熱した演奏はまさに歴史的。1920年後半の音源にもかかわらず、その生々しさや勢い、そしてその時代の空気といったものを見事に切り取った素晴らしい録音です。
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先程フルート奏者時代に衝撃を受けたと言いましたが、後半のサックス奏者としてオーケストラを率いたピシンギーニャの演奏もかなりの貴重すぎる音源です。ここではジャズに衝撃を受けたピシンギーニャが自身のジャズ・バンドでブラジル風ジャズを目指した時代の音源だ。ブラジルならではのアフロ・ジャズの原型がここで聴くことが出来ます。そしてこの中でも特筆すべきは32年の録音「Ainda Me Recordo」(邦題:覚えているよ)と、「Estou Voltando」(邦題:俺は戻っている)の2曲。これはグァルダ・ヴェーリャとの録音で、名義はグルーポ・ダ・グァルダ・ヴェーリャ(Grupo Da Guarda Velha)になっているが、ショーロの演奏をバックにアフロ・ジャズを融合させた画期的な演奏です。ブラス・バンド風ショーロみたいな素晴らしいダンス・ミュージック。この2曲は必聴です。

終盤にはラセルダとの共演曲なども収録されており、全ての時代のピシンギーニャの音源が満遍なく網羅されています。偉大なる「ブラジル音楽の父」の歴史を辿るには最適なアルバムです。よくぞ編集してくれました!是非ともブラジル音楽ファンはもとよりジャズ・ファン、そしてまだこれらの音楽に触れたことのない人たちに是非とも聴いて欲しい盤ですね。
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惜しむべくはジャケがダサすぎる事!もうちょっとマシなジャケにしてくれたらそれだけでも聴かれる人の幅は広がるはずだ。再発されるような事があるならジャケの再考だけはお願いしたいです。
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by Blacksmoker | 2007-01-17 14:16 | ブラジル

MESHELL NDEGEOCELLO [the ARTICLE 3 EP]

かなり凄いところまで来ちゃったなぁ・・・」 これが第一印象。

フランス国籍の女性ベーシスト。ミシェル・ンデゲオチェロは今までアルバムを発表するごとに様々な音楽性を提示してきた。ファンクやR&B、ダブなどアルバムごとのカラーは多種多様。まるでカメレオンのように変化する彼女の音楽ですが、一本ぶっとい芯の通った力強さが、どこで演奏しても必ず彼女の音というものが自己主張します。
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これが彼女の天才アーティストといわれる所以。ファンクを基礎に徹底的にストイックで滑らかなベースラインは一聴すればすぐに彼女のものだと分かります。確かめたければ彼女が参加したローリング・ストーンズSaint Of Meを聴いてみて欲しい。歳喰った爺さん達に喝を入れるがごときボトムを蹴り上げるミシェルのベースラインはあの曲に新たな息吹を入れたと言っていいですね。

f0045842_22253995.jpgさて前作ではフリージャズ・プロジェクトまでも始動させた彼女ですが、今回リリースされた新作「the ARTICLE 3 EP」では、更に形容しがたい音楽になっています。これは2007年にリリースされる新作からの先行EPという形だそうだ。しかしこの5曲入りのこのEPの内容の濃さと言ったら普通じゃない!この調子だとアルバムはとてつもない領域に達してしまっているんではないだろうか・・・。

まずはオープニングを飾る1曲目Hadithaはイスラム教の導師Hamza Yusufの演説をサンプリングした小曲。妖しく響くギターを弾くのはブランドン・ロス!!

f0045842_22331384.jpgカサンドラ・ウィルソンのバックで来日した時に観た、あの静寂を細い針で貫くかのように切り込ませるギターが印象的な人でしたが、彼の参加はおそらく前回のジャズ・プロジェクトからの繋がりでしょう(先日リリースされたばかりのブランドン・ロスのソロ最新作「Puppet」は超傑作なので必聴)。小曲なので、ギターは目立っていませんが彼はまた後でも登場します。

2曲目THE SLOGANEERはドラムンベースのリズムのドラムマシーンと、Deantoni Parksの叩くドラミングが見事に融合しぶっ飛ばす曲(もしかしたらドラムは一人でやってるかもしれない。スネアの音がやけに無機質)。そして最近はジャズなどやっていてあまり歌声を披露していなかったミシェルのハスキーでソウルフルな声が久々に聴けます。そしてベースが凄い!うねりまくる、うねりまくる。しかもジャズじゃなくて完璧にロックなベースライン!コレ、まんまルート弾きじゃないですかね。音が割れてますよ。かなり珍しいハードな曲です。中盤から後半にかけてのドラムとベースのインプロの応酬がハンパなく凄い。ベース音が途中からもう判別不能な異様な音を出しています。

嵐のようなTHE SLOGANEERが終わると、3曲目は非常に美しいShirk。2本のアコースティック・ギターの弦の絡みが美しい。サリフ・ケイタの最近の音にも共通する弦の「鳴り」を強調したアコースティック・サウンド。この印象的なギターを弾くのがパット・メセニー!なんか凄い人選ですね。曲者揃い。
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しかしここでのパット・メセニーはかなり抑え目。前述のブランドン・ロスといいこのパット・メセニーといいこのEPではまだ全貌を見せてない気がしますね。アルバムでは大爆発してるんでしょうかね。マリ語だろうか?ミシェルがアフリカの言語で歌っています。もう一人の女性ヴォーカリストOumou Sangareと分け合うように歌っています。非常に美しい曲です。

そしてこのアルバムのハイライトでもある4曲目Article 3。これは壮絶です。最初聴いた時はすぐに理解出来ませんでしたね。頭の中に「?」が連発される複雑怪奇な曲。30回くらい聴いてやっと曲の構成が掴めてきたくらいです。ドラムマシーンの規則的なリズムをf0045842_2241428.jpgバックにThandiswa Mazwaiという女性ヴォーカルがアフリカ色濃厚な叫び声を聴かせる一方でミシェルが地に着いたどっしりした声を聴かせます。パンクのように荒々しい曲。知らない間にドラムが生ドラムに代わって、唐突にリズムが不規則になる予測不能な展開を見せます。タブラなどのパーカッションが飛び交い、Konono No.1で有名なあのリケンベの歪みまくった音まで入ってきます。ファズをかけたベースがギターのように突き進むもう唯一無二のミシェル・ンデゲオチェロのカオスな世界が展開されます。そんなカオスの中、終盤でまたもやパット・メセニーの鳴くような高音のギターが入ってきます。まったくもってよく分かりません。一聴しただけでは脳がついて行けず理解するのに苦しみましたね。何度も聴いてチャレンジしてみて欲しいです。

最終曲EllipticalSy Smith(下写真)のセクシーな歌声f0045842_2248558.jpgのfeat.した宇宙空間に漂うようなスペーシーなマシーン・ファンク。ミシェルの歌声との掛け合いが良いですね。機械が喋るような加工されたヴォーカルが入ってきて宇宙的な雰囲気を持った静かな1曲。その静寂を切り裂くように曲の最後になぜかコルネットの音が入ってきます。このコルネットを吹くのがなんとグレアム・ヘインズ!最後の一瞬ですよ、出てくるのは!何なんだ一体?そして再びブランドン・ロスのギターのフレーズが入ってきてフェードアウトしていきます。

実はよく聴かないと分からないんですが、この最後のギターの音が、1曲目の最初のギターの音に繋がっていてこのEP自体がエンドレスにループしているという凝った構成になっています。さすがです。
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しかしたった5曲しか入っていないのこのEPでも十分凄いのに、一体アルバムはどんな事になっているんでしょうか。おそらくゲスト陣もかなり活躍していると思われます。怖ろしい反面、物凄く楽しみなアルバムは、もうすぐリリースされるはず。期待して待ちましょう!
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by Blacksmoker | 2007-01-14 00:02 | JAZZ

STOP-ROKKASHO.ORG

先日、十三の第七藝術劇場で「六ヶ所村ラプソディー」という映画を観ました。

2004年、青森県上北郡六ヶ所村に完成したプルトニウムを製造する使用済核燃料再処理工場の稼動をめぐって、賛成派も反対派も含めたそこに住む人々の「核と共存生活」を描いたドキュメンタリー映画で、それぞれに生きる道を選択した住人の心情を捉えた興味深い作品でした。
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人口1万2千人という小さな村に生きる彼らの生活は再処理工場の完成によって大きな転換を迎える。心的不安を与えられる人々、逆に再処理工場のおかげで仕事が出来た周辺住民などさまざまな立場の人が存在する。国家規模のプロジェクトに選択を余儀なくされた彼らの選択は人生を賭けた選択であり、もっと大きな視点で捉えるとこの構図は現代社会に生きる我々の生活にも少なからずあてはまる社会の縮図と言って良い。監督の鎌仲ひとみの立場はかなり「再処理工場稼動反対」という立場が強調されてましたが、なかなか面白かったです(NHKスペシャルみたいな作りでしたが)。

そして、ここに六ヶ所村再処理工場の稼動に反対するミュージシャンがいます。

坂本龍一です。
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彼は以前より六ヶ所村再処理工場に対して大きく「NO」を唱えてきた人間の一人で、彼のホームページにもリンクが張ってあったり、大学で講演会を開いたりと進んで活動している。

その彼がf0045842_14122999.gif今行っているのがプロジェクトが「Stop-Rokkasho.org」というもので、彼の提唱に賛同するアーティストがこの問題に対してプロテストするというものだ。大貫妙子や我がピーター・バラカン師匠も名を連ねている。詩人や画家なども参加しているが、やはり一番注目したいのがミュージシャン達です。サイトも立ち上がっており(かなり以前からですが)、ここではさまざまなアーティスト達のプロテスト・ソングがUPされているので注目です。

まずRokkashoというメイン・テーマとなる曲に参加したミュージシャンが凄い。「Team 6」というユニット名ですが、そのメンバーはまず坂本龍一はもちろんですが、何とあのFENNESZが参加しています!
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このオーストリア出身の電子音楽家クリスチャン・フェネス(上写真右)のソロ・ユニット。2002年にリリースされたラップトップの未来を変えたと言われる大傑作「Endless Summer」においてラップトップという表現形態の可能性を大きく切り開いた孤高の奇才。そのフェネスが参加しているのも面白いが、もう一人Shing02(下写真)もラップで参加しています。2007年はいよいよ新作がリリースされそうですが、彼の英語詩f0045842_14254838.jpgよるラップが披露されている。フェネスによるあの独特なグリッチ・ノイズの残響の中でShing02のラップが際立つ曲だ。この曲かなりイイ。この曲は[A Cappella Version]や[Piano Version]などがUPされており、どんな人でもリミックスが出来るようになっています。実は1年位前にこのサイトを訪れた時はこのRokkashoだけしかUPされていませんでしたが、久しぶりに見てみたら膨大な数の曲がUPされていてビックリ!

RokkashoのRemix Versionだけでなく、アーティストの新曲などもかなりUPされています。全然知らないアーティストの曲もいっぱいありますが、有名なミュージシャンのものを少し紹介しましょう。

f0045842_14362485.jpgまずはDJ Krush
Time To Meltという新曲が聴けます。和モノのコラージュ・サンプリングにKrush先生独特のあの硬質なスネアの音の入ったビートが言葉以上に雄弁に「NO」を物語る。最近の作品に見られるビートの延長線上ですが、やはりこのオリジネーターのビートはストイックで力強いです。


f0045842_14421981.jpgそして元JAPANミック・カーン
Chocolateという曲を提供しています。坂本龍一JAPANと言えば、やはりデイヴィッド・シルヴィアンの名が挙がりますがミック・カーンとも繋がりがあるんですね。この曲ではピアノをメインにした悲しくも美しいインスト。原発に悲しむ暗い海のような何とも言えない感情が漂っています。


青木孝允Aoki Takamasa)も曲を提供していますね。
f0045842_14434993.jpgフランス在住のラップトップ・ミュージシャン(実は大阪出身)。高木正勝とのプロジェクト「SILICOM」でも知られてますが、Her Next Morningというかなり15分以上に及ぶ長尺な曲。フェネス以降に代表される不規則なグリッチ・ノイズが飛び交う抑揚の少ない浮遊感のある深遠な曲ですね。後半にはSketch Showの曲の断片も混じってます。薄っすらと暗い朝に明るい朝日が差し込んできそうな曲ですが、朝に聴くと絶対起きれなさそうな夢のような曲。

ジャキス・モレレンバウム+坂本龍一
f0045842_1446424.jpgCASA」というアルバムで坂本龍一とはボサノヴァをやっていましたが、個人的にはカエターノ・ヴェローゾのバック・バンドで知ったチェリスト。もっと古参ボサノヴァ・ファンであればアントニオ・カルロス・ジョビンとの活動の方が有名でしょう。このIARA (Mother Of The Waters)という曲はホラー映画のサントラに入ってそうなチェロの旋律が不気味な曲。中盤に入ってくる教授のピアノにほっとするのも束の間、再び不気味な戦慄と虫の鳴く音で終焉を迎えます。

その他にもCarl StoneKangding Rayなどの電子音楽家が新曲をUPしていているので注目です。ラップトップ系の音楽が好きな人には堪らないでしょう。近藤等則SUGIZOのコラボレート曲なんてのもあります。

是非ともこれらの音楽を聴いて、同時に原発についてもいろいろ考えてみたら面白いんじゃないでしょうか。

あともう一つあわせて紹介したいのがShing02が発表した論文「僕と核」
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科学者へのインタビューとリサーチをまとめた原子力についてのレポート。かなり渾身の内容になっています。ちょっと長いですが是非一読をオススメします。ココで読めます。
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Shing02の活動にはいつも驚かされますね。ちなみにBlacksmokerは彼のドキュメンタリー映画に映った事があります。懐かしい思い出ですが。
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by Blacksmoker | 2007-01-11 00:04 | 映画

SPARKLEHORSE [Dreamt For Light Years In The Belly Of A Mountain]

家には買ったのにまだ聴いていないレコードがいっぱいあるんですが、このレコードもその一枚でしたが、こんな素敵なレコードをまだ聴いていなかったとは反省です・・・。

f0045842_038650.jpgスパークルホースの5年振りの新作「Dreamt For Light Years In The Belly Of A Mountain」。これはまたもや素晴らしいアルバムですね。スパークルホースのアルバムにハズレはありません

スパークルホースとはヴァージニア州リッチモンド出身のマーク・リンカスのソロ・ユニット。今までに3枚のアルバムをリリースしている。その幽玄で繊細で穏やかなドリーミィな音楽は世界中のインディロック・ファンの耳を虜にしてきた。「アメリカの裏音楽史」なるものがあったならマーク・リンカスは必ずやその名を刻むことになるだろう。

前作「It’s A Wonderful Life」(2001年)は、アメリカン・ゴシックともいえる霞のかかったような神秘的なサウンドで多くの音楽通の「心の名盤」になった傑作でした。まるでグリム童話のごとき美しくもどこか畏怖を感じるような雰囲気に包まれたアルバムで、彼の音に魅入られたトム・ウェイツPJハーヴェイ、そしてカーディガンズニーナなどをゲスト・ヴォーカルに迎えた豪華なアルバムでした。そしてこのアルバムにおいてマーク・リンカスの名は一流のサウンド・クリエーターとしても認められる事になるのです。
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その後ダニエル・ジョンストンのアルバム「Fear Yourself」のプロデュースも手掛けたりと奇才ぶりを発揮(もちろんダニエル・ジョンストンのカヴァー・アルバム「Discovered Covered:The Late Great Daniel Johnston」にも参加。フレーミング・リップスとの共演でGoをカヴァー)していましたが、ようやくスパークルホースで帰ってきました。実に5年振りとなるこの新作「Dreamt For Light Years In The Belly Of A Mountain」。「山の中腹で何光年も夢を見ていた」というタイトルも童話的で美しいですが、アルバムはそのタイトルに相応しい内容となっています。前作のアメリカン・ゴシック風の幽玄なサウンドをより深遠にしたようなアルバムです。

何と言っても注目は、デンジャーマウスとのコラボレート!デーモン・アルバーンとのゴリラズや、Cee-Loとのナールズ・バークレー、そしてMF Doomとのデンジャードゥームなどのプロジェクトで一躍時代の寵児になった感のあるデンジャーマウス(下写真)ですが、まさか彼がマーク・リンカスとコラボレートするとは予想もしませんでした。
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このアルバムでは3曲をコラボレートしています。エレクトロニカなブレイクビーツを使ったコーラジュ・ノイズから始まるDon’t Take My Sunshine Awayではドラム・ビートがほぼ生音のサンプリングという不思議な曲。ギターの控えめなアルペジオと呟くように歌うマーク・リンカス、そしてうっすらと被る女性コーラス、優しいヴァイオリンの音色などが絡み合って浮遊感のあるドリーミィなサウンドを聴かせてくれます。まさしくデンジャーマウスの新境地。次のGetting It Wrongなどもデンジャーマウスが作ったと言われても全く分からないシンプルなエレクトロニカなトラック。Mountainsも完全な8ビート・ドラムのロック・トラック。ほんと意表を突かれますね。途中に入ってくるエレクトロニックなサンプリング音が可愛らしいです。

そしてもう1人。このアルバムには重要な人物が参加しています。

デイブ・フリッドマンです。

マーキュリー・レヴのメンバーで、もはや説明不要の音の魔術師。彼の手に掛かると魔法がかかったような素晴らしいサウンドが創られますが、このアルバムでは4曲で参加して活躍しています。ピアノやメロトロンやヴィブラフォンなども使用した深い森の中にいるようなマジカルでドリーミィなオークストラルなサウンドは圧巻です。マーキュリー・レヴを彷彿させるような箇所が随所にありますね。そしてフレーミング・リップスマイ・モーニング・ジャケットから連なるあのバシャン、バシャン鳴るサイケなドラムのシンバル音もバッチリ聴けます。当のフレーミング・リップスからはギターのスティーヴン・ドローズが参加。あと何気にトム・ウェイツも前作に続き参加しています。
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だが、やはり全体を支配しているのはマーク・リンカスの幽玄なサウンド。彼は最小限の音数で最上のメロディを奏でる音楽家だ。素朴でありながら実に暖かみのある美しいメロディが素晴らしいです。スパークルホースの「小宇宙」的なマジカルなサウンドはイールズEの創り出すサウンドにも通じるところがありますね。

またもや素晴らしい傑作を作り上げたスパークルホースですが、残念ながらこのアルバムは日本盤発売はありません。GOMEZとかもそうだが、こんな素晴らしいバンド達が聴かれないのはまったくもったいない話である。
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マーキュリー・レヴ」や「フレーミング・リップス」、そして「デイヴ・フリッドマン」や「イールズ」と言ったタームに即効で反応した人は間違いなく気に入るはずなのですぐにチェックしてみてください。
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by Blacksmoker | 2007-01-09 00:48 | ROCK

BABA [Skunk Heads]

まったくコイツらには恐れ入ります。

BlackSmoker Records代表。アンダーグラウンドで蠢く闇の集団THINK TANKからまた新たな刺客の登場です。

ちなみに中心人物のK-Bombは昨年末にKiller Bong名義で「Osaka Dub」、そして「Tokyo Dub」に続くDopeなインスト・アルバム「Moscow Dub」、そして彼が今までに作ってきたコラージュやサンプリング・アートを集めた本「Black Book」などかなりヤバい作品を相次いでリリースし(先日「Tokyo Dub Begins」なんてタイトルのCD-R作品も出たばかり!)、DEV LARGEのソロ・アルバムにもラップで参加してたりとかなり活動的でしたが、今回はTHINK TANK第二の男BABAが始動。

2003年のソロ・アルバム「No Credit」(右写真)で相当ILLで狂った世界f0045842_21472120.jpgを見せつけたBABA。トラックもラップもほとんど独りで創り上げたサイケデリックでストーンで「昭和」な唯一無二の世界は脳みそが溶けそうになるほど危険でした。その後も、もう一つペルソナであるBlue Berry名義でレゲエやダブのMix TapeやMix CDを度々リリースしてました(ちなみにBlue Berryの選曲はもうどうしようもないくらい廃人級深度のDubですので取り扱い注意が必要)が、今回はまたもや別名義で始動です。

              その名もSKUNK HEADS
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いきなり登場してきた全くもって謎のプロジェクトですが、その音は更に進化を遂げた脳内麻薬のごときサウンド・トリップ。今年にリリースされるというSKUNK HEADSのアルバムからの先行シングルという形でリリースされたこのCD-R作品ですが、かなり強烈なサウンドです!しかし、ここ最近のTHINK TANKの連中は「音」に関しては非常に貪欲だ。ラップは相変わらずフリークアウトしているが、「音」の方は、単なるジャンキーのトリップ・ミュージックとは一線を画した音の響き(鳴り)への探求が感じられます。いや、でもただのジャンキーかもしれない。

今回のSKUNK HEADSのサウンドは、より猥雑で荒々しく、酩酊感の漂う歪んだギターが空間を引き裂き、変質狂のごときスクラッチ、ラップもエフェクトかけた割れた声になり、かなりパンク・フィーリングが強調されたものになっている。そして「No Credit」の時にも感じられたどこか郷愁的な「昭和」のフィーリングが滲み出ているのも面白い。

緩い宇宙空間を漂うようなインスト曲を含む3曲(+アカペラ)しか入ってませんが十分に強力な一枚。黒煙の王Killer Bongが参加した曲での様々なエフェクトやスクラッチが飛び交うサウンドはかなりの脳に響きます。SubtleとかTeracotta Troopsを従えた時のShing02のようなささくれ立った刺々しいサイケデリックなサウンドが神経を刺激します。
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HIP HOPを大きく逸脱したTHINK TANKの中でもKiller Bongと共に目の離せないフリークアウトした奇人BABAの注目の2ndアルバムは今年リリース予定!とりあえずヤバい出来になる事はこの音を聴くだけでも約束されていますね。ヘッズは要チェックです。
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by Blacksmoker | 2007-01-07 00:34 | HIP HOP