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SPINNERS [Spinners]

先月2月2日、ひっそりとこんなニュースが世界に報道されました。

スピナーズのオリジナル・メンバー、ビリー・ヘンダーソン糖尿病の合併症のため死去。享年67歳。

個人的には昨年末からガンガンにソウルを聴いていて、中でもかなり入れ込んでいたソウル・コーラス・グループのスピナーズ。そのメンバーがこのタイミングで亡くなるなんて非常に残念です・・・。

f0045842_17501049.jpg今回紹介するのは、そのスピナーズの傑作アルバムの1つ「Spinners」。これはモータウンからアトランティックにレーベルを移籍しての初のアルバムにして、スピナーズの黄金期の始まりとなった1973年の大ヒット作。そして後にクラシックとなるナンバーを多数含む名盤です。スピナーズには傑作アルバムが多くありますが、このアルバムの存在抜きには彼らの歴史は語れません。

1955年ミシガン州で結成された彼ら(当初はドミンゴスと名乗っていたそうです)。その後モータウンに所属し、数曲のヒット曲を出すも決して満足したサポートを得られず、ジャクソン5の運転手をさせられたりとかなりの不遇な扱いを受けていたようです(実はスティーヴィー・ワンダーのプロデュースで曲をリリースしてたりもします)。

その後、1970年代に入り彼らはモータウンを離れ新天地アトランティックに移籍。これにはあのアレサ・フランクリンからの誘いもあったそうだ。そして製作スタッフも一新して作られたのがこのアルバム「Spinners」なのです。
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まずプロデューサーとして迎えられたのがトーム・ベルという人物。ジャマイカ生まれのフィラデルフィア育ちのトーム・ベルは数々のコーラス・グループを手掛けたアレンジャーでもあり、なんとあのデルフォニックスまでも手掛けた人物。この男が関わったことでコーラスワーク、ストリングス、歌詞にいたるまで徹底的にコントロールされ、劇的にスピナーズを変化させ、成功に導いたのです。

やはり私がスピナーズを好きな理由も、曲の良さももちろんありますが、その完璧に近い曲のアレンジぶりと完璧なコーラスワークですね。ほとんどの曲でメインを務めるフィリップ・ソウル・ウィンの安定f0045842_1758543.jpg感抜群のテナー・ヴォーカル、そしてそのヴォーカルを最大限に活かす他の4人のコーラスの引き立てぶりがまさに隙なしです。普通なら「俺も目立たせろ」的なエゴの衝突(それこそ「ドリームガールズ」的な!)があるが、スピナーズの凄いところは他の4人がしっかり自分の役割を理解しバックに徹しているところです。もちろん他のメンバーのソロ・パートもありますが、あくまで主役はフィリップ・ソウル・ウィンという構図は変わらず。

プロデューサーのトーム・ベルはこのスピナーズのアルバムに対し相当な入れ込みを持っており渾身の10曲を用意しました。特にストリングスを多用し、ドラマティックに盛り上げる曲が素晴らしいです。その中で、「I'll Be Around(いつも貴方と)、Could It Be I’m Feeling In Love(フィラデルフィアより愛を込めて)、One Of A Kind(Love Affair)(たわむれの愛) の3曲が全米No.1ヒットを記録。その他の曲もヒットし、まさしくスピナーズの黄金期が始まるわけです。この年に新設されたというグラミー賞の「ベスト・プロデューサー」部門においてトーム・ベルはこのアルバムで受賞しているのも納得の働きです。
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現在でも素晴らしい音楽を生み続けるフィラデルフィアの街の空気、いわゆる「フィリー・ソウル」を70年代という時代に体現していた素晴らしい愛のアルバムですね。

是非一度お試し下さい。

そしてR.I.P. ビリー・ヘンダーソン
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by Blacksmoker | 2007-03-30 00:36 | R&B / SOUL

サンガツ [静かな生活]

この時期に紹介しておきたいアーティストです。

3月」とは皆にとってどんな月なのでしょうか?春の手前、花見、暖かいというイメージでしょうかね。でも個人的には「3月」というのは別れの時期というイメージがあります。別れと言っても「一切の別離」というわけじゃなく、「しばしの別離」というほんの少し悲しい、でも少し前向きなカンジ。
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この東京で活動するインストゥルメンタル・バンド、サンガツの音にもその「3月」の爽やかさの中にある切なさやもの悲しさを感じる事が出来ます。

2000年に1stアルバムをリリースしたこのサンガツ。そのアルバムのオープニングを飾る13分以上にも及ぶFive Daysは控えめながらも実に鮮烈なインパクトでした。2台のドラムという編成でありながらも全くパワフルなドラミングではなくシンバルやスネアの細かい技を多様したリズムに、2台のギターが弾く印象的なフレージングが絡み合って淡々と進んでいく不思議な魅力を持った素晴らしい名曲でしたね。

f0045842_9564315.jpgその後はリミックスEP「sangatsu Remixes」を3枚出したり、奥原浩志監督の映画「波」のサウンドトラック盤を手掛けたりしていましたが、2005年に出たオリジナル・アルバムとしては4年振りの2ndアルバム「静かな生活」(右写真)を紹介します。現在のところ、サンガツの最新作となっています。全6曲。イントロとアウトロを除くと長尺な4つのナンバーで構成されています。

サンガツの表現する音は「変わらない日常」。ドラマティックな展開があるわけでもなく淡々と進む彼らのサウンドは、普段の生活のサウンドトラックみたいなものだ。劇的な変化のある生活ではなく、普段の生活の中でのささやかな変化を表現しているように思えます。2曲目の郊外ででは通勤電車の喧騒の中にいるような、3曲目モザイクでは昼の公園を歩いているような、5曲目夜の地図では友達と別れた後の帰り道のような日常的な音。そして少し大学生っぽい青さも感じられるのも良いですね。同じ東京でも新宿区でもなく、足立区でもなく、墨田区でもないです。例えて言うなら世田谷区や杉並区のような音ですかね。分かるかな。

そして前述したようにその音の中には少しビターなフレイヴァーがあります。明るさの中にも少し悲しさを含んだ2本のギターのフレージングが実に心に響きます。今回のアルバムにはフィールド・レコーディングもあり、日常感は更に増していますね。
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個人的には一年に一度は聴きたくなる時期のある音楽。ライブも過去に2回観た事がありますが、ライブも非常に淡々としています。最近は7人編成のライブとかもやっているそうで、次の作品ではまた違った「日常」を表現してくれるに違いない。
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by Blacksmoker | 2007-03-28 10:02 | ROCK

VINCE GILL [These Days]

先月2/12にNHK FMで放送された「今日は一日カントリー三昧」という13時間に渡る番組を聴かれた人はいるでしょうか?

私は都合で最後の4時間くらいしか聴けなかったんですが、もの凄い濃い番組でした。カントリー・ミュージックの歴史から、現在のカントリー・ミュージックまでも網羅した素晴らしすぎる選曲でもう感動しっぱなしでした。まさしく永久保存版。全部録音してる人がいましたら売って欲しいくらいです。

その中で「現在のカントリー・ミュージック」を特集していたのですが、今まであまり自ら聴いてみようとは思わなかったアラン・ジャクソンジョージ・ストレイト、そしてもっと若手のキース・アーバンニコール・キッドマンの旦那)やティム・マッグロウフェイス・ヒルの旦那)、トビー・キースなどカントリー界のスター達の音が、実は意外と良かったりして、かなりの収穫のある番組でした。

その中で個人的に最も誤解していたアーティストで、今回の番組で改めて素晴らしいアーティストなんだという事に気が付いたのが今回紹介するこの人です。

現代カントリー界のスター、ヴィンス・ギル
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かなり誤解してました!ごめんなさい。だって見た目もちょっとアレだし、何かちゃんと聴いてみようという気が中々起きないですよね、このユルいヴィジュアルは。でも改心しましたので許して下さい。前回紹介したサイプレス上野とロベルト吉野の時もそう思いましたが、やはり見た目で判断してはいけません。

さて、このヴィンス・ギル。1957年オクラホマ州ノーマン生まれの現在50歳。今やカントリー界のトップに君臨する存在ですが、彼がシーンに登場したのがピュア・プレイリー・リーグというカントリー・ロックバンドのリード・ヴォーカリストとして。1979年の事です。このバンドで「Let Me Love You Tonight(日本語タイトル:恋のスターライト)」などの大ヒット曲を放ちます。その後80年代はカントリー・ロックというよりAOR的な曲で人気を果たしましたが、その後1983年にヴィンス・ギルはこのピュア・プレイリー・リーグを脱退してソロに転向します。その後はほぼ毎年アルバムをリリースしています。

f0045842_2236403.jpgそんなヴィンス・ギルの最新作「These Days」ですが、何とCD4枚組全43曲!しかも全て新曲というハンパない超大作。超大物のアルバムとなればトラディショナルのカヴァーなどで丸まる1枚アルバムを作ってしまうのが一般的なこのカントリー界において43曲もの新曲を一気にリリースするなんて前代未聞です。まさしくヴィンス・ギルの活動の集大成的アルバムですね。

実は4枚のレコードにはそれぞれ次のようなタイトルが付けられています。

Disc 1: The Rockin’ Record
Disc 2: The Groovy Record
Disc 3: The Country & Western Record
Disc 4: The Acoustic Record

上記のタイトル通り、それぞれのレコードが趣向が違った音楽になっているのです。要するに1枚目はロック、2枚目はジャズ、3枚目はカントリー、4枚目はブルーグラスというアルバムなのです。こんなアルバムを一気に作ってしまうとはヴィンス・ギルの創作意欲は彼の長年の活動の中でも今がピークにあるようです。
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ヴィンス・ギルという人はカントリー界でも正統派中の正統派。そんな彼が今までの彼の正統派的イメージを払拭するかのようなアルバムを作ってきたのは実に興味深いです。幅を広げながらも、足元はしっかりと根を張っているので、実にワクワクしながらも安心して聴ける作品なのです。

そして前述したように「ヴィンス・ギルの集大成的アルバム」というのはこのアルバムに参加した面子を見るだけでも一目瞭然。

グレッツェン・ウィルソン
マイケル・マクドナルド
デル・マッカリー・バンド
リアン・ライムス
アリソン・クラウス
ボニー・レイット
シェリル・クロウ
ダイアナ・クラール
ジェニー・ギル
トリーシャ・イヤーウッド
エイミー・グラント
パティ・ラヴレス
エミルー・ハリス
リー・アン・ウォーマック
ジョン・アンダーソン
レベッカ・リン・ハワード
ガイ・クラーク


こんな風にカントリー界の大物達が入れ替わり立ち代り登場する凄過ぎるアルバム。そしてこのヴォリュームでありながら、まったくダレることなく最後まで聴かせるアルバム構成とソングライティングのセンスには脱帽するしかありません。ヴィンス・ギルのセルフ・プロデュースで、自身もアコースティック・ギターやマンドリンを演奏しているというもの凄い働きぶりです。
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この4枚のアルバムとも全てが素晴らしいのですが、特にオススメしたいのはDisc3Disc4カントリー盤ブルーグラス盤です。この2枚は泣けますよ。高級ワインのように極上の香りがしてくるような美しいアコースティックなサウンドと共に、女性シンガー達が綺麗な歌声やコーラスで華を添えています。実に感動的です。決して誰も聴いたことのないような革新的なサウンドに挑戦している訳ではないし、やっているのはいつものアメリカン・ルーツ・ミュージックですが、染み付いた経験と貫禄が至る所から漂ってきます。

そしてやはりこの豪華なゲストを迎えながらも最も印象に残るのはヴィンス・ギル自身のウットリするような歌声。中音域で全く自然に溶け込んでくる美しい声ですね。ブルーグラスでもゴスペルでもジャズ・バラードでも完全にヴィンス・ギルの世界が創られていきます。まさに良質な現代アメリカン・ルーツ・ミュージックの見本のようなアルバムですね。

これはヴィンス・ギルのキャリアの頂点を極めた作品であり、現代カントリーの頂点を極めた作品でしょう。今年のグラミー賞でも[Best Male Country Vocal Performance]部門を受賞しています(よく分からん部門ですが・・・)。
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4枚組というヴォリュームに聴く前は一瞬躊躇しましたが、完全に杞憂だったようです。価格も¥3,800くらいだったので4枚組としては格安です。是非ともオススメしておきます。ヴィンス・ギルのサイトでも全曲視聴出来るので是非聴いてみてください。

決して見た目で判断しないように!

 
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by Blacksmoker | 2007-03-26 00:13 | COUNTRY / BLUEGRASS

サイプレス上野とロベルト吉野 [ドリーム] 

フレッシュ!!

偏見を捨てて聴くべき傑作!

f0045842_313364.jpg遂に登場!レペゼン横浜のヒップホップ・ユニットaka Next ベイのスター、サイプレス上野とロベルト吉野(別名:サ上とロ吉)の1stアルバム「ドリーム」が超フレッシュな出来です!ここまでフレッシュな完成度を誇るアルバムを作ってくるとは予想だにしなかったです。こんな音楽的にも素晴らしいアルバムを作れるなんて!油断しまくってましたね。

「ヨコハマ・ジョーカーEP」(既に廃盤)で全国のヒップホップのヘッズのほんの一部だけを熱狂の渦に巻き込んだこのユニット。日本語ラップ・ジャンキーだったMCのサイプレス上野、そして強烈なインドア派DJのロベルト吉野という2人が偶然なのか必然なのか結成してしまったこのユニットは、数々の現場でのライブをこなす事でヘッズ達に名前を浸透させてきた。オールドスクールなさんピン世代から現在のMCバトル世代、Raw Life世代までにもまたがるフィールドの広さ。彼らと同郷である横浜のオジロザウルスが「045スタイル」(045は横浜の市外局番)を標榜するのに対して、サ上とロ吉の掲げるのは「184-045非通知スタイル」! 良く分かりませんが、何か理解出来ますよね。
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とりあえずこいつらはライブが非常に面白い。半分くらいがラップで半分くらいが喋りという爆笑ぶり。しかもDJロベルト吉野に至ってはライブ中は真っ裸で鉄仮面を被ってDJしているというアホ全開ぶり。数年前に初めて彼らを観たとき(確か京都のEastだったと思う)は、サイプレス上野(下写真)のあまりの普通ぶり(オーラの無さ)に笑いましたね。しかも前日にかけたパーマを失敗して客から何回もヤジられっぱなしという普通のあんちゃんぶりに思いっきり親近感が沸きました(もちろんロベルト吉野は裸で鉄仮面!)。しかもライブの最後に「俺達のEPをチェックしてくれ!」とかカッコ良く言ってたけど、そのEP既に廃盤やし!
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そのサ上とロ吉の遂にドロップされた1stアルバムですが、前述したように予想以上にフレッシュな出来。実はこのアルバムの発売前にロベルト吉野は警察に逮捕されていたそうです。しかもその理由が大麻所持とかではなくて、酔っ払ってコンビニの看板を壊したから。本人も非常に反省しているそうだが、これはまさしくこの2人を象徴するエピソード。個人的に彼らに魅力を感じるのはその「カッコよくなりきれない、どうしようもない情けなさ」なのです。ラップといえばMSCとかSCARSとかのサグでストリートあがりなハードコアなヤツラが多いが(もちろん彼らも大好きですが)、サ上とロ吉のこの隣のあんちゃんぶりに非常に親近感を感じてしまいます。

リリックもそういった魅力満載です。

エヴィス・ビーツ制作の「おかしな話」では妄想モテ話に花を咲かせといて最後には「でもラップでモテる事なんかねぇ!客の9割が男なんだぜ」という泣かせるリリック。こういうヤツには個人的に非常に惹かれますね。

一方「バウンス祭」の中のライン「かなり負けず嫌いだが本当は勝てずにいたい だから申し訳程度のヘッドバンギング それだけでちょっとハッピー」なんて実にナードだが、実に共感できる名パンチライン。「俺なんて、どうせGAL HUNTじゃギャグ担当 困ったときにはいつでも呼んで 君のTAKE OUT手伝うよ!」というリリックなんて涙なしには聴けません。「手伝うぜ!」じゃなくて「手伝うよ!」というところも実に情けない。
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メロウなトラックに女性コーラスの乗る「LET’S GO遊ぼうZE」なんてここまで完成度の高いお洒落な曲に仕上げているくせに、内容は「車に飛び乗ってLET’S GO DRIVE お洒落なBGMかなり都会風 だが容赦ない 男臭さ OH漂う車内」なんてラインに即死です。

このサグになりきれない情けなさというのは、20代前半のリスナーよりも20代後半から30代前半のリスナーの心の琴線に確実にヒットすること間違いないでしょう。ライムスターの宇多丸師匠がこのアルバムを聴いて「何で俺がこのアルバムに入ってないんだ!」と悔しがったそうだが、その気持ち非常に分かりますね。でも宇多丸師匠が入ってしまうとフレッシュ度が無くなるので入らなかったのは正解かもしれません。
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「P.E.A.C.E.~憤慨リポート~」ではSucker MCモノと思いきや、他のMCを直接ディスる事はせず、「俺達はこんなに誤解されてんだ」的な内容になっていますね。「チャレンジしなよお笑い とかありがたいお言葉 音とか理解する気あんのかな?」というリリックは彼らの心の声でしょう!そうです、サ上とロ吉はマジなんです!でも女の子から「お笑いですよね?」と言われたら平気でお笑いやってくれるでしょう!そんなフレッシュなヤツなんです!

ゲストMCもShingo☆西成(下写真)、ロボ宙ポチョf0045842_3392063.jpgムキンTaro Soulなどクセモノが参加して華を添えています。特にShingo☆西成をゲストに迎えたナンバー「音楽遊び」ではShingo兄貴が、ライブでお馴染みの例の「Yo!Yo!Yo!」という声だけで1曲持たせるあの得意技をガッチリ披露してくれてます。曲が終わってもずっと「Yo!Yo!Yo!Yo!Yo!」言ってます。手が付けられません。

そしてトラックメイカーもエヴィス・ビーツKing3LDKやけのはらラテン・クォーター、そして新鋭Buzzer Beatsなど豪華ですね。Buzzzer Beatsは最近やたらその名前を聞きますね。非常にトラックの完成度が高いのもポイント。
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お笑いに見られるかもしれませんが、コイツらは大マジです!是非とも偏見を捨てて聴いてみる価値のある傑作です。サイプレス上野の母親が描いたジャケットもヤバイぜ!

フレッシュ!
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by Blacksmoker | 2007-03-22 03:10 | HIP HOP

SOLOMON BURKE [Nashville]

さて前回は「ソウル界の巨人ソロモン・バークの1968年のアルバム「King Solomon」を紹介しましたが、今回紹介するのはそのソロモン・バークの昨年出た最新作「Nashville」を紹介します。これが非常に良いのです。

f0045842_23232432.jpg「King Solomon」の頃は28歳ですが、この2006年の「Nashville」の時にはソロモン翁も既に67歳!でもここ最近はアルバム出したり、ライブやったり、様々なアーティスト達と競演したりとかなり精力的な活動をしています。体がデカくなりすぎていて、杖をつきながらしか歩けないし、ライブでもイスに座ったままでしか歌えませんが、その圧倒的な歌声は全くもって健在です。

そんな御大が出したアルバムはその名もズバリ「ナッシュビル」。読んで字の如くソロモン・バークがテネシー州ナッシュビルに赴き、プロデューサーであるバディ・ミラーエミルー・ハリスのバンドのギタリストでもあり、ディキシー・チックスも手掛けてます。)と共に10日間で録音したカントリー・アルバムです。
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そして御大の為にナッシュビルに駆けつけた様々なカントリー系アーティスト達をゲストに迎え、そのアーティストが御大の為に書き下ろした新曲や、カヴァー曲も交えてセッションしたアルバムになっています。前回の「King Solomon」の所でも触れましたが、ソロモン・バークという人は昔からソウルという枠には収まりきらないヴォーカリストで、ゴスペルやカントリーもお手のものなので、この全編カントリーのアルバムも違和感など微塵もありません。

カントリー界というのはおそらく想像以f0045842_23282683.jpg上の「タテ社会」かと思うので、御大の為に駆けつけたアーティストも非常に豪華なラインナップ。ドリー・パートンエミルー・ハリスという女性カントリー・シンガーの二大巨頭はもちろん、更にはベテランのギリアン・ウェルチ(左写真)やパティ・グリフィン、そしてパティ・ラヴレスも参加。各人がデュエット及びコーラスでガッチリと親分をサポートしています。まさしく万全の体制。ギリアン・ウェルチパティ・グリフィンは日本ではあまり馴染みが薄いですがアメリカでは絶大な支持のある実力派。彼女達のアルバムは素晴らしい作品ばかりですので一度は聴いてみて欲しいですね。

曲の方はほとんどが古いカントリーのクラシックのカヴァーですが、古すぎてよく知らない曲が多くてほとんど新曲に聴こえますね(ドリー・パートンTomorrow Is Foreverと、ブルース・スプリングスティーンAin’t Got Youくらいしか知りませんでした・・・)。ちなみにパティ・グリフィン(下写真右)は新作からのナンバーを御大とデュエットしています。
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さて御大のヴォーカルですが非常に「深い」。深みがあるという言い方も出来るが、業が深いと言った方が良いかもしれない。人生の酸い甘いを体験しきったような重みのあるズシンとした声が凄いですね。もちろん声にエコーかけたり、オーヴァーダブするような事は一切行っていないので、生々しさの塊のようなRAWな録音になっています。ソウル度たっぷりな声で歌われる哀しいカントリー・ソングには自然と涙が零れます。
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このアルバムは何年にも渡って愛聴盤になるでしょう。まだまだソロモン・バークには現役で作品を残して欲しいですね。
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by Blacksmoker | 2007-03-20 00:12 | COUNTRY / BLUEGRASS

SOLOMON BURKE [King Solomon]

2007年は個人的に「Year Of The Soul」。今年はSoulを中心に掘っていこうと決心して早くも2ヶ月以上が経ちましたが、そろそろソウル・レコードを紹介していこうかと思います。

今回紹介するのはソウル界の巨人ソロモン・バーク

超大御所ですね。しかし超大御所と言われるf0045842_22141647.jpgわりに、なぜか日本ではウィルソン・ピケットオーティス・レディングらと違ってイマイチ人気が薄いような気がするんですよね。最近の作品は日本盤も出ていますが、昔の名盤ですら日本盤は未発売だったりするし。映画「Lightning In A Bottle」でのあの圧倒的な存在感や絶大な人気ぶりを観ると、やはり本国アメリカと日本ではかなり温度差のある人だと思います。そのソロモン・バークの1968年の名盤「King Solomon」を紹介します。

1940年にフィラデルフィアに生まれたソロモン・バークは9歳から、祖母の設立した教会の聖歌隊ソロイストを務め、12歳になる頃には既に歌手としてステージをこなしており、僅か14歳で初レコーディングという驚異の早熟ぶりを発揮、1960年に名門アトランティック・レコードと契約し数々のヒット曲を飛ばしていたそうです。一般的にソロモン・バークというと60年代が全盛期と言われていますが、この68年の「King Solomon」はその全盛期の1枚でもあります。(ちなみに映画「キング・ソロモンの秘宝」とは何の関係もありません。)
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まず1曲目It’s Been A Changeですが、これが予想を裏切るロックンロール・ナンバー。ジェリー・リー・ルイスらに代表される黒人ロックンロール。ソウルをふんだんに込めたドスの利いた声が激しくシャウトするナンバーです。

2曲目のTake Me(Just I Am)はアメリカ南部の香りのするゴスペル・ナンバー。この曲はシングル・ヒットを記録したナンバーだそうで、薄っすらと響くオルガンの音が良いですね。スロー・テンポだが後半に徐々に激しく歌い上かってくるソロモンの声と、それに寄り添うような女性ゴスペル聖歌隊のコーラスが胸を揺さ振る名曲です。

ソロモン・バークと聞くと「ソウルの巨人」という一般的なイメージがありますが、ソウルだけでなくロックンロールやゴスペルなどf0045842_2221887.jpg予想していたよりも遥かに幅の広い音楽を難なくこなします。そのジャンルを自由に横断する圧倒的なヴォーカルはまさしく彼が「キング」と呼ばれる所以。さすがというしかないですね。この頃はウィルソン・ピケットがメンフィスで録音した南部音楽をヒットさせていた時期で、ならってソロモン・バークも南部のミュージシャンとの録音を敢行している。よってNY録音でありながらアルバム全体的にホーン・セクションを使ったメンフィス風サウンドが漂っていますね。

ゴスペルからカントリー風バラード、軽快でキャッチーなサザンソウルなナンバーなど非常に多彩な曲が揃っていますが、この頃まだ28歳というソロモンの凄い声量のヴォーカルがホントに魅力的。この頃の録音機材では仕方がないが、ヴォーカルが凄くて少し音が割れてしまってる所もありますね。それくらいの迫力です。

現在、御歳67歳でも現役で活動するソロモン・バーク。その声はもはや円熟の極みとも言うべき圧倒的なヴォーカルですが、この若かりし頃のソロモン・バークの若々しい勢いのあるヴォーカルもまた素晴らしいです。
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日本では人気が薄いですが、是非ともこの「ソウルの巨人」の本物の歌声に耳を傾けてみてください。
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by Blacksmoker | 2007-03-17 00:13 | R&B / SOUL

DJ OSHOW [Vinyl Puzzle]

DJ KentaroDJ Bakuら日本のターンテーブリスト達のリリースが続いています(マイメンmDAブログで紹介しておりますのでチェック)。もちろん彼らの音源も要チェックですが、個人的には日本人ターンテーブリストとしてこの男の作品を全力で推すぜ

その男の名はDJオショウ

f0045842_17284762.jpg一年中和服を着こなし(もちろんDJの時も和服!)、フロアを熱狂させるそのアッパーぶりとスクラッチのスキルのハンパなさ、そして自らもマイクを持ちMCをするなど「笑い」と「驚き」の同居したここまでのパーティ・ロッカーDJは日本にはそうはいない!(一度オショウのプレーを観たことがありますが、最高でした。)マイカデリックのDJとして活動後、12inchシリーズのリリースを経て遂にリリースされたこの初のソロ・アルバム「ヴァイナル・パズル」は全B-Boyだけでなく全国のパーティDJはスルー厳禁のマスト盤。日本のフロアはオマエに任せた!

もう全編がフロアキラーチューン。全盛期のFatboy Slimのアルバムのようなフロアをアゲることを使命としたアルバムですね。誰も聴いたことがないのに誰もが踊らされるパーティ・チューン満載です。CDの帯に「大型フェス対応ブレイク満載」とか書いてありますが、その言葉に嘘偽りナシ!大ネタ使いのサンプリングに、和モノ音のサンプリングが絶妙にブレンドされたブレイクに、オショウの2枚使いの超絶スクラッチが炸裂する超アゲアゲなパーティ・アルバム。このアルバムをまるまる1枚かけてるだけでも盛り上がる事確実!最高のアルバムです。
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オープニングの出囃子の尺八の音に続いて、登場するナンバーJumpは、Eric B & RakimのクラシックKnow The Ledgeのイントロまんま使いで、House Of PainJumpのあの「Jump! Jump!」の掛け声を合体させた超アゲアゲ・ナンバー。

そして誰もがやりそうでやらなかった正月の定番BGM「春の海」をコスリまくったブレイク・ナンバー踊ル皿。これはフロア即死級Shitですね。超ヤバイ!新しい日本の正月の定番曲の誕生です。

このアルバムはインスト中心ですが2曲だけラッパーが参加しています。その1曲Doin’ This For Yearsでは何とM.O.P.Nice & SmoothからスムースBが参加!一体どういう組み合わせなんだ!?しかもM.O.P.参加と聞いて予想される「Ante Up」のようなフロア・バンガーな曲とは全く違ったスムースなメロウ・チューン。しかもPete Rock & C.L.Smoothの超クラシック「I Get Physical」ネタ使い!メロウ・チューンなのにM.O.P.が唾飛ばしまくってます。

12inchでも大好評だったSwingtopは、映画「Westside Story」のサントラから曲名は知らないが誰でも一度は聴いたことのある「Mambo(Meno Presto)」という大ネタを使ったハウス・チューン。でもドラムはしっかりヒップホップ。曲のバラエティは様々だが、随所にヒップホップへのかなりの拘りが垣間見れますね。
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この他の曲も和モノ映画やレコードの音源をふんだんにサンプリングし、大ネタとブレンドさせた素晴らしいパーティ・チューンばかり。ハウスDJもヒップホップDJもこれをかけときゃマチガイナイでしょう!

パーティ・アルバムの代名詞的アルバムとなること確実なこの「ヴァイナル・パズル」。全国のパーティ野郎やDJ達はすぐゲットするように!このアルバムをまんま流してるDJがいても俺は黙っといてやる!
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by Blacksmoker | 2007-03-15 00:32 | HIP HOP

JESSE HARRIS, RICHARD JULIAN, SASHA DOBSON @京都磔磔 3/8(木) 2007

何度でも言うぞ。ジェシー・ハリスはアメリカ最高のシンガー・ソングライターだ。

昨年出たアルバム「Mineral」が彼のキャリアの中でも最も素晴らしい作品で、その後に行われた来日公演でもその素晴らしさを堪能しましたが、そのジェシー・ハリスが昨年に引き続き再来日公演が行われました。
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「Mineral」発売以降、ジェシーの活動は相変わらず活発で、彼の前面バックアップで新人女性シンガーのサーシャ・ダブソンをデビューさせたり、マデリン・ペルーのアルバムにも曲を提供していたり、話題のノラ・ジョーンズの新作では1~5曲目までアコースティック・ギターで参加していたりしていましたね。そして何と畠山美由紀の新作のプロデュースを行っていたりもするそうです。まさしく売れっ子。そういえば2006年はトリスタン・プリティマンの作品にも関わっていましたね。いやぁ女性アーティストからモテまくりですね。

しかも今年の6月には自身の新作がスタンバイしているそうで、凄い活動ぶりです。

そんなジェシー・ハリスの今回の来日公f0045842_0444664.jpg演ですが、実はジェシーの単独での来日ではなくスペシャルな企画。前述の女性シンガーのサーシャ・ダブソン、そしてノラ・ジョーンズのバンド、リトル・ウィリーズのメンバーであり、自身も昨年ソロとしてメジャー・デビューを飾った男性シンガー・ソングライターのリチャード・ジュリアンという2人を加えた3人でのジョイント・ライブ。この人達はニューヨークのライブハウス「Living Room」を中心に活動するフォーク/ジャズ周辺のミュージシャン達だ。リトル・ウィリーズはこの「Living Room」に集まるミュージシャンが結成したバンドなんですね。(ちなみに昨年私の後輩がこの「Living Room」に行ったのですが、非常に小さなライブハウスだそうです。)

実はこの3人の組み合わせというのは、60年代に活躍したフォーク・グループ「ピーター・ポール&マリー」にならったそうで、「ジェシー・リチャード&サーシャ」というグループでツアーしたら面白いんじゃないか?という発案によって、このツアーが実現したようですね。ナイスな企画です。

f0045842_0484244.gifさて前座におおはた雄一というシンガー・ソングライターが登場して、流麗なアコースティック・ギターと爽やかな歌声を聞かせてくれました。4曲と短い間でしたが、緩やかな空間を作り出していました。最後の曲でアコースティック・ギター1本でインストを披露してましたがこれが素晴らしいインスト・ナンバーでしたね。正直言うと歌声があまり印象に残らなかったですが、最後に曲のギターがとても印象に残っています。もう一度観てみたいですね。

さて、本編。

まず最初に登場したのはジェシー・ハリス。ドラムとベースを従えての3人編成。ドラマーにはダン・ライザー。この人はリトル・ウィリーズのメンバーでもあります。非常にクールだが多彩なプレーを見せてくれます。そしてベースにはティム・ランツェル。この人も「Living Room」周辺のミュージシャン。彼のソロ・アルバムにはリチャード・ジュリアンノラ・ジョーンズも参加しています。60年代のザ・バンドのメンバーのような凄い髭面だが非常に愛嬌のある人でしたね。対するジェシーはニューヨークの大学生のような普段着だが、なかなかお洒落な着こなしが品を感じさせます。

まず1曲目は「Mineral」からSlow Down。天才的なソングライティングが冴え渡ったあのアルバムのオープニングを飾るナンバーだ。曲も良いが、やはりジェシーの声がイイ。シルクの布のように柔らかだが、非常に儚くもあり繊細な中高音域の声が耳にスッ入ってきますね。この声は天性の才能ですね。その後は6月にリリースされる新作「Feel」からのナンバーを中心にしたセット。アコースティック・ギターをバンジョーに持ち替えての演奏もなかなか素晴らしい。
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懐かしの2ndアルバムからキャッチーなStart All Overも披露。これは名曲ですね。最後の曲では、おおはた雄一と次に登場するリチャード・ジュリアンを呼び込んで再び新曲You And Meを披露してくれましたが、おおはた雄一の弾くスライド・ギターをフィーチャーしたフォーキーなカントリー調ナンバー。非常に印象的なナンバーで新作への期待が募りますね。

f0045842_101344.jpg次は、リチャード・ジュリアン。見た目はまんま都会のニューヨーカーです。ジェシーとは気色の違うキャラですね。声が少しハスキーで、曲調もフォーク調な感じではなくジャズを基調にした都会的なナンバーが多く、言葉を詰め込むようなストーリーテリングな歌い方が彼の特徴だ。個人的にはヴォーカルといい、曲調といいポール・サイモンを彷彿させました。昨年出たソロ・アルバム「Slow New York」からの曲を一通り演奏。この人も凄い才能の持ち主です。

そして最後にサーシャ・ダブソンの登場。昨年のジェシーの来日公演でスペシャル・ゲストで登場してなかなかの歌声を披露してくれましたが、その後自身のアルバム「Modern Romance」(ジェシー・ハリスリチャード・ジュリアンがプロデュース)をリリf0045842_152521.jpgースしてからは初の日本公演です。前回観た時よりもヴォーカリストとしての存在感が増しており、美声を聴かせてくれました。彼女はシンガー・ソングライターというよりもジャズ・シンガーの色合いが強い。ボサノヴァやジャズに非常に良くマッチするキッチュな声。ジェシーが彼女に提供した曲もジャズ・ボッサなナンバーで、やはりジェシーも彼女がどんなヴォーカリストなのかよく理解しているのだろう。しかし、ただの歌の上手いジャズ・シンガーというだけではなく、ジャズだけに囚われない奔放なヴォーカルも垣間見せており、その最もたるものがYEAH YEAH YEAHSのカヴァーModern Romance。アルバムのタイトル曲でもあるこの曲だが、あのバラードをしっかりと自分の色に染め上げていて見事です。様々なジャンルを越えた素晴らしいミュージシャンですね。

途中からはジェシー・ハリス&リチャード・ジュリアンも参加。タイプの異なる三者がお互いを立てあって、歌を活かした演奏を見せてくれていました。実に素晴らしいコンビネーション。豪華な共演ライブでした。
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派手さは皆無だが確実に心の片隅に残る曲を披露してくれるジェシー・ハリス。そしてその周辺に集まるリチャード・ジュリアンサーシャ・ダブソンという才能を一度に堪能できた素晴らしい企画ライブでした。ほんとにこの人達の音楽は何回観ても心に響きます。

是非とも一度はニューヨークの「Living Room」にも行ってみたいですね。
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by Blacksmoker | 2007-03-13 00:40 | ライブレポート

EXTREME THE DOJO Vol.17 [出演:BRUTAL TRUTH, VADER, CRYPTOPSY] @心斎橋クラブクアトロ 3/5(月) 2007

行ってきました「Extreme The Dojo Vol.17」

世界各国のアンダーグラウンドに蠢くメタル/ハードコア・バンドを何組かパッケージングして日本で激突させるグレイトなこのイベント。
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2003年に始まってからすでに17回目。毎回毎回濃いすぎる凄まじいメンツが集められるこのイベントですが、実はBlacksmokerは初期の頃からこの「Extreme The Dojo」に参戦しています。17回中Vol.2~Vol.12とVol.14に参戦しているので実に参戦率8割!もうそろそろ「黒帯」を名乗っても良いんじゃないかと思うんだが・・・まあいいか。しかし、このイベントで初めて出会ったバンド達で強烈に記憶に残っているのはやはりEYEHATEGODですね!その他にも凄かったのがNILESOILENT GREENHIGH ON FIRENASUM(スマトラ沖地震でVo.が死んじゃいましたね・・・)など、このイベントがなければ絶対に観れなかったバンドばかりです。

そして17回目の今回の「Dojo」ですが、これも凄い。ヘッドライナーには9年振りに再結成したグラインドコアの帝王ブルータル・トゥルース。そしてヴェイダークリプトプシーという2バンドをサポートに迎えたデスメタル/グラインドコア・ナイトです。

Dojo」としてはかなり客が多かった今回。トップバッターで登場したのはカナダのモントリオール出身の5人組デスメタル・バンド、クリプトプシー
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昔から名前は知っていたがあまり聴いたことがなかったんですが、これがかなりの良かった。全員相当なスキルを持ったテクニカルな演奏を見せてくれます。フロントに並んだロン毛のヴォーカルとベーシストがまるで歌舞伎役者のように並んで髪を風車のようにグルングルン回してる姿は笑いを通り越して圧巻!短髪のギタリストが異常にカッコよいアクションで目立ってましたが、もう1人のギタリストの髪型がロン毛なのにほぼ頭のてっぺんだけハゲ上がっているという超ヤバイいでたちで逆に目立っていたぜ!ドラムはほぼ全編ツーバス連打(シンバルやスネアの数の方が少なかったです)。1曲の中に超高速なブラストビート、グルーヴィーな重低音リフ、各ソロなどが盛り込まれてそれが目まぐるしく1曲の中で変化していく曲構成なので観ていて全然飽きません。凄いテクニックを持った全ての楽器が一丸となって一気に攻め込んでくるようなド迫力な演奏が圧巻!かなりカッコいいバンドでしたね。なかなか人気もかなりありました。

そして2番手に登場はポーランド出身の4人組の重鎮デスメタル・バンド、ヴェイダー
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これは何枚かアルバム持ってるぜ!デビューしてきた頃は結構な衝撃でしたね。当初はかなりSLAYERのフォロワー的印象でしたが、どんどんオリジナリティを発揮してきて、今やデスメタル界の重鎮になりました。最近初期の頃から在籍した超絶ドラマーが脱退(その後死亡)し、活動が危ぶまれていたそうだが、新ドラマーを向かえて見事復活。登場した時にヴォーカルが「We’re Back!!」と言うと会場は大歓声。いやはやヴェイダーも人気高いですね。音楽性ですが、久しぶりに観たらSLAYER濃度激高!困ったくらいにSLAYER!しかもf0045842_1105181.jpg荘厳!1曲1曲始まる度に荘厳なSEが響き渡るのは笑えましたが、演奏は殺傷能力高し!カミソリのようなソリッドな高速リフ!ギターソロは思いっきりジェフ・ハンネマンを彷彿させます。正直各メンバーがあまり動かないのでステージングは面白くないですが、なかなか演奏自体は迫力ありましたね。さすがポーランドの怪物です。おおぉ!懐かしの98年のアルバム「De Profundis」からSilent Empireなんてやってるじゃないか!なかなか血が騒ぎましたよ。

そして最後にヘッドライナーで登場したグラインドコアの帝王ブルータル・トゥルース
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98年に解散したんですが、カトリーナで家を失ったニューオーリンズのEYEHATEGODのメンバーを救済するために行われたベネフィット・コンサートの為に昨年再集結したブルータル・トゥルース。一度だけの再結成なんてあまりにももったいないとツアーまで敢行してしまったわけです。過去に一度ブルータル・トゥルースの強烈なライブを観た事がありますが、今回も変わらずに強烈でした。

ヴォーカルのケヴィン・シャープが予想通り太ってしまってましたが、リーダーでもある長身のベーシストのダン・リルカや、ドラムのリッチ・ホークなどは全然その容姿は変わらず。音の方も超ファストなグラインドコア・ナンバーのオンパレード!これも全然変わってませんでしたね。
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特筆すべきはドラマーのリッチ・ホーク!前座の2バンドのドラマーはツーバスを多用したドラミングだったのに対して、このリッチ・ホークのドラミングはスネアを高速に叩きまくるもの凄いドラミング!手数が凄い!久々に目が釘付けになりましたよ。リッチ・ホークは個人的に大好きなドラマーで、ブルータル・トゥルース後に結成したバンドTotal Fucking Destructionも欠かさずチェックしていましたので、リッチのグラインドしまくる鬼のドラムを生で観れるなんてホント嬉しい。やはり前2バンドのルーツがメタルなのに対して、ブルータル・トゥルースの出自はハードコアだ。荒々しさがハンパなく凄かったですね。

さてセットリストですがこれがブルータル・トゥルース・クラシックス!イヤーエイクf0045842_150344.jpg代の1stから、我が青春のバイブル「Need To Control」(右写真)、そしてグラインドコアを極めた名盤「Sounds Of The Animal Kingdom」から代表曲は全て網羅。グラインドコア・フリークは狂喜乱舞でしょう。1曲目Dimentiaからもう笑えるくらいにグラインドコアが炸裂!10年前に観た時と全く変わってないぜ!嬉しいやら悲しいやら、もう変な感情がいっぱい出てきて困りましたよ。フロアはもちろんモッシュピットが発生してダイヴする輩が続出。まさしくカオス。

さらに我が大阪が誇ったグラインドコア・バンドSxOxBxLet’s Go Beachのカヴァーを披露!そういえば昔自殺したSxOxBxのVo.とっつぁんの追悼ライブ(もちろん私も参加しました)で急遽来日してヴォーカルを務めたのがこのケヴィン・シャープでした。このSxOxBxのカヴァーにはちょっと感動。あとEYEHATEGODの名盤「Take As Needed For Pain」からSister FuckerのPart 1&2をメドレーでカヴァーしたりもしてましたね。

ライブが進行するにつれケヴィン・シャープが徐々にヤバい雰囲気になってきて、マイクを自分の頭にガンガンぶつけて頭が割れるんじゃないかと心配するほど狂ってきてましたが、またこの危なさもブルータル・トゥルース!最高です。フロアも大盛り上がりです。
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この後も憶えてる限りではGod PrayerTurn FacePork FarmKill Trend SuicideBlack Door MineI See RedDisplacements、そして懐かしい1stからIll-NeglectWalking Corpseもやってましたね。I Killed My Familyのカヴァーもガッチリ披露!!久しぶりに完全燃焼でした。

最後はケヴィンがフロアにダイヴして大団円。暴風雨のように荒れたイベントに終止符を打って去って行きました。カッコイイぜ、ブルータル・トゥルース
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とりあえずリッチ・ホーク凄すぎでした!新作をレコーディングするとかしないとか言われてますが、もう別にどうでもイイっす。

いやぁしかし10歳は若返りましたね~。やはり「Dojo」は素晴らしい!これからも凄いメンツを期待してますぜ!
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by Blacksmoker | 2007-03-10 01:11 | ライブレポート

THE INVISIBLE SESSION [The Invisible Session]

昨年のベスト・アルバムから惜しくも外れましたが、このアルバムは実に素晴らしい傑作なので紹介しましょう。インヴィジブル・セッションの1stアルバム「The Invisible Session」です。

f0045842_1614096.jpgここ数年の間で大きな盛り上がりを見せるヨーロピアン・ニュー・ジャズ・シーン。50年代後半~60年代の黄金期と呼ばれるジャズを、打ち込みやハウス、ドラムン・ベースの要素を融合させ現代に新しいジャズとして再生させている。これがいわゆる「クラブ・ジャズ」。ジャズを古いモノではなく、斬新でカッコイイものなんだと提示してみせた素晴らしい試みですね。

そのクラブ・ジャズ・シーンを支える代表的レーベルがイタリアのミラノを拠点とするレーベル「SCHEMA」(スケーマ)です。極論を言うと、このレーベルからリリースされているアルバムやコンピレーションはどの作品も全くハズレがありません!全てが傑作揃いという往年のBLUE NOTEのような素晴らしいレーベルです。特にここ数年はニコラ・コンテ「Other Direction」ジェラルド・フリジーナ「Hi Note」ソウルスタンス「Lead The Way」など大名盤がリリースされています。それに呼応したかのようにフィンランドからザ・ファイヴ・コーナーズ・クインテット(昨年のライブも素晴らしかった!)が登場し、傑作「Chasing The Jazz Gone By」をリリース。ここ数年でヨーロピアン・ニュー・ジャズ・シーンは大きな興隆を迎えています。

そしてそのヨーロピアン・ニュー・ジャズ・シーンの大本命ともいえるのがこのユニット、インヴィジブル・セッションです。
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メンバーは以下の通り。

パウロ・フェドレギーニ
マルコ・ビアンシ
ルチアーノ・カントーネ

上記2人は「パオロ・フェドレギーニ&マルコ・ビアンシ」名義(左写真)でSCHEMAf0045842_16232552.jpgらリリースもしている(特に2004年に出た「Several People」は素晴らしい傑作なので是非聴いてみて欲しいです)。そして、ルチアーノ・カントーネ。この人はSCHEMAの創設者の1人でDJやプロデューサーとしても活躍しています。もともとSCHEMA自体が1960年代のヨーロピアン・ジャズの名盤を再発するレーベルとしてスタートしているのでこのルチアーノ・カントーネも相当なジャズ・マニア。まあ日本で言うところの須永辰緒ですね。そんなヨーロピアン・ジャズを知り尽くしたミュージシャンの3人が提示するインヴィジブル・セッションの1stアルバムの新しいジャズ・サウンドは、まさしくクラブ・ジャズの真髄!個人的にSCHEMAのリリースの中でも1番好きな傑作です。

曲調は非常にバラエティ豊か。ハードパップからジャズ・ボッサ、スピリチュアル・ジャズやモーダル・ジャズなどめちゃくちゃ多彩。ここ最近のSCHEMAの特徴でもある、プログラミング主体の音ではない生演奏を中心にしたサウンドが非常に心地よい。しかもその全部が深遠で繊細な美しいさで尖らず優しく耳に流れ込んで来ます。ドラムのミニマルな反復的リズムがクラブ・ミュージックを通過した耳には実に自然に馴染みます。

実はこのアルバムに10曲中7曲がヴォーカル入り。その7曲のうち6曲でヴォーカルを取るのがジェニー・Bというイタリア人女性シンガー。
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この人が大活躍しています。凄い声量でソウルフルなゴスペル・シンガーのような存在感を発揮しています。素晴らしいシンガーですね。でも曲の全編に渡って歌いまくっているわけでもなく、各楽器の演奏を尊重したように曲の要所だけ登場する構成になっている。楽器の1つのような存在。非常にクールです。

そして、もう1つ特筆すべきはアルバムに参加しているイタリア人トランペット奏者、ファブリツィオ・ボッソ!!
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昨年ニコラ・コンテのライブで初めてファブリツィオ・ボッソの生のトランペットを体験して流れるようなハードバップな音に痺れましたが、そのファブリツィオが随所で素晴らしいトランペットを披露しております。このファブリツィオの音がこのアルバムのハイライトだと言えますね。まだまだ若いファブリツィオですが、もはや現代のイタリアン・ジャズ・シーンの中でも確固たる位置を築いている実力派ですね。テナー・サックスで参加しているレナート・ダイエロという人のプレーも実に光っています。アフロ・ビートを導入した曲などもありますが、非常に自然な融合がなされています。

まるで1950年代~60年代のモーダル・ジャズの現代版のようなアf0045842_16381833.jpgルバムです。作曲と編曲は全て3人で担当しているそうだが、バラエティに富んだ曲をきっちりと1つのコンセプトを持った作品として纏め上げた総合プロデューサーを担当したルチアーノ・カントーネ(右写真)の手腕にも感服します。ルチアーノ自身が相当なレコード・マニアなので、このアルバムにかけた情熱は相当なものだったに違いないですね。ディープでスピリチュアルなフィーリングを兼ね備えた文句なしの名盤です。

もし自分ならジャズの入門編としてこのアルバムをお薦めしますね。是非チェックしてみてください。
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by Blacksmoker | 2007-03-08 00:20 | JAZZ