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MUSIQ SOULCHILD [Luvanmusiq]

ビルボード・チャート初登場1位!

f0045842_231322100.jpgフィラデルフィアの伝統を受け継ぐその名もずばり「ソウルの申し子」、ミュージック・ソウルチャイルド。彼の3年振りとなる4枚目のアルバム「ラヴァンミュージック」の登場です。デフ・ジャムからアトランティック・レコーズに移籍し、アルバムとしてはほんとに久々となるリリースでしたが、今回のアルバムも極上のフィリー・ソウルの真髄を聴かせてくれる素晴らしい出来ですね。もはやその歌声や佇まいにも貫禄が漂ってきて、彼が良く比較されるスティーヴィー・ワンダーにも引けを取らない存在になってきました。

このミュージック・ソウルチャイルドは前述の通りフィラデルフィア出身。2000年に「Nutty Professor Ⅱ」のサントラの中のJust Friends(Sunny)でデビューし、その後2001年に1stアルバム「Aijuswannaseing」をリリース。A Touch Of Jazzらフィラデルフィアのミュージシャンが参加したこのアルバムが大ヒットして、一躍ソウル界の寵児になります。
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その後2ndアルバム、3rdアルバムを毎年1枚のペースでリリースという精力的な活動をしていましたが、長年在籍したデフ・ジャムのソウル部門であるデフ・ソウルを離れた為、このアルバム・リリースまでに3年が経ってしまいました(この間、ブラック・アイスロイド・バンクスなど多数に客演していたので「久しぶり感」はあまりありませんが)。新たに、最近創設60周年でソウル・レーベルとしての復権を果たしてきているアトランティック・レーベルに移籍したこの新作は、軽くビルボード・チャート初登場1位を記録。さすが根強い人気ですね。1stアルバム以降、「ソウルチャイルド」という名前を封印して「ミュージック」という名前だけでしたが、今回からは心機一転「ミュージック・ソウルチャイルド」になっています。

f0045842_2322228.jpgさてその新作「ラヴァンミュージック」ですが、集結した制作陣が非常に豪華。盟友カール・ハギンスラファエル・サディークThe Underdogsウォーリン・キャンベル、そしてあのNe-Yoなど錚々たる面子。さすがに売れ線狙いと揶揄されそうな布陣ですが、決して売れ線を狙った音にはなっていないんですね。今まで愛されてきた彼の音楽を更により高い次元にもっていく手伝いをしているという感じで、非常にまとまっていて美しい珠玉のメロディーにこだわった素晴らしい曲ばかりになっています。これはちょっと凄いですよ。

中でもやはり注目はヒット中の1stシングルのB.U.D.D.Y.。ヒップホップ・ヘッズには「Buddy」と言えばもちろんア・トライブ・コールド・クエストジャングル・ブラザーズが集結したデ・ラ・ソウルの名曲Buddyですが、そのデ・ラ・ソウルBuddyでサンプリングしたハウス・ネタの定番ターナー・ガードナーHeartbeatを使っています(この2曲を聴き比べてもなかなか同じネタ使いとは思えませんが)。しかしおそらくミュージック・ソウルチャイルドが言いたい事は同じネタ使いというサウンド面ではなく、歌詞の面。デ・ラ・ソf0045842_23262049.jpgウルBuddyでライムしたのは本当に分かり合える最良の相手(Buddy)を探すという事でした(でも彼らの場合は”Jimbrowski”とか”Jimmy”とかエロネタ満載のリリックでしたが・・・)が、このミュージック・ソウルチャイルドのリリックも道端で出会った女の子に声を掛けるというシチュエーションのリリックで「君が僕の相棒になってくれたら最高 ためらわずにやってみようよ お互いが得をする協定だよ」というもので、ストレートに取るとソウルメイトを求める歌。勘繰った見方をすれば「大人の関係」を歌っているように思えるんですがどうなんでしょ?(右写真はそのBuddyが収録されているデ・ラ・ソウルの1st「3 Feet High And Rising」。)

まあその他は結構品行方正な純愛系リリックが続きます。サウンド面はヒップホップ・ビートを基調にした極上のフィリー・ソウル。Ne-Yoと共作したMs.Philadelphiaなんて素晴らしいメロディを持ったメロウ・ソウル。カール・ハギンス制作のコーラスが泣かせる感動的な「Teachme」、まるでR・ケリーのような甘いソウルを聴かせる「Today」、フィラデルフィアのコーラス・グループ、ブルー・マジックの74年のStop To Startをサンプリングした「Lullaby」では中盤のファルセットと優しいコーラスの絡みが美し過ぎます。Dr.Dreを思わせるブッといビートに乗るMakeyouhappyなどもなかなかカッコ良いし、コーラスが高揚感を煽りファルセットが爆発するGreatestloveなどかなり気合いの入った強力な曲ばかり。
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そして個人的に一番気に入ったのがジョス・ストーンの新作で大活躍だったラファエル・サディークの手掛けたBetterman。打ち込みのビートに彼の得意とする生演奏の音を絡め躍動感のある仕上がり。途中のピアノの音がジャクソン5ABCを思わせるどこか懐かしい感触の音。この手の音を作らせるとラファエル・サディークの右に出るものはいないですね。

しかし今回のアルバムは曲単位で勝負できる捨て曲なしの素晴らしい出来ですよ。文句の付けようがないです。並々ならぬ気合いが入ってますね。21世紀のスティーヴィー・ワンダーと言われるのも納得の傑作。でも神童といわれた孤高の天才スティーヴィーよりも人懐っこいところも親しみやすいですね。
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是非この素晴らしいフィラデルフィア・ソウルを堪能してください。
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by Blacksmoker | 2007-04-29 00:05 | R&B / SOUL

MARGIE JOSEPH [Margie Joseph]

どの世界にも共通することだが、その時代に過小評価されてきたが後になってその功績が評価されることがある。特に分かりやすいのが音楽の世界で、アルバムが再発されると同時に一気に衆目を集め遅すぎる評価を受けるケースが多々あります。

f0045842_1120460.jpg今回紹介したいのがこのマージー・ジョセフの1972年のセルフ・タイトルのレコード。長年未CD化が続いていたらしく、2007年についに世界初のCD化となりソウル・ファンだけでなく、ポピュラー・ミュージックのファンの目にも触れるようになりました。そして今回私も初めてこのマージー・ジョセフの歌に触れることになりましたが、これがほんとに素晴らしいソウル・アルバム。時代が時代なだけに正当な評価されなかったらしいですが、今の時代なら必ず正当に評価されてしかるべきアルバムです。そして内容もさることながらこのジャケット!イイですね~。このスリー・ディグリーズばりのセクシーなマージー・ジョセフのショットにまずヤラれるでしょう。

このマージー・ジョセフアレサ・フランクリンらと並ぶ70年代を代表するソウル・シンガーの一人。ミシシッピ州出身の彼女はニューオーリンズの大学に行き、カウンセラーの仕事もするほどの才人だったようですね。この時代に大学に行けるというのは、非常に裕福な家庭だったと思われます。しかし、その彼女も69年から71年の間に「ヴォルト」から2枚のアルバムをリリースしているが正当な評価がなされないままだったそうです。
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しかし、そんな彼女に惚れ込んで手を差し伸べたのが、アトランティック・レーベルのソウル部門の功労者であり昨年惜しくも他界したプロデューサーのアリフ・マーディン。彼はアレサ・フランクリンをはじめとして、チャカ・カーンダニー・ハサウェイロバータ・フラックなどを手掛けた名プロデューサー兼エンジニアであり、その功績からアトランティックの副社長にまで昇りつめたレジェンド。最近ではノラ・ジョーンズの1st「Come Away With Me」のプロデュースも手掛けていましたね。そのアリフ・マーディンがアトランティックにマージー・ジョセフを招き入れるわけです。

そしてマージー・ジョセフが一番憧れていたアレサ・フランクリンと同じレーベルに入った事で、彼女はアレサが使っているミュージシャンをそのまま起用し録音しているのもポイントです。アレサのバックというとギタリストのコーネル・デュプリーやドラマーのバーナード・パーディなど凄腕プレイヤーばかり揃っているので演奏は素晴らしいです。当時のアトランティック・レーベル自体が南部録音のサウンドへ向かっていたこともあり、このマージーのアルバムもしっかりと南部のフレイヴァーが感じられますね。

アルバムの一番の注目はアル・グリーンのカヴァーLf0045842_11253578.jpget’s Stay Together(左写真はこの曲が収録されている1972年のアルバム「Let's Stay Together」)。様々なミュージシャンがカヴァーしている名曲ですが、ソウル・ファンの間ではこのマージー・ジョセフのカヴァーが最も素晴らしいと言われています。原曲よりもピアノと前面に出し、途中でサックスなどを挿入し盛り上げる演奏に、張りのある伸びやかなマージーの声が素晴らしく、終盤のシャウトも堂々たる迫力です。

この他の曲も僅かに香るサザン・ソウル、適度な都会性という絶妙な演奏陣に負けず見事な歌唱力で熱く歌いまくるマージー・ジョセフのヴォーカルが気持ち良い仕上がりです。

しかしこのアルバムは前述のLet’s Stay Togetherがチャートの43位に昇った以外は大したヒットを生まずに終わったそうです・・・。しかし!改めて今の時代に蘇ったこのアルバムを聴くとなぜヒットしなかったのかと思う程の素晴らしい出来です。時代が時代なら売れていたに違いない。なので非常に運の悪かった1枚とも言える。しかし、この初CD化で新たにこの時代の彼女の魅力を堪能してもらえる事だろう。
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素直に喜ばしいけど、同時にちょっぴり悲しいアルバム。その全てをマージー・ジョセフのヴォーカルが包み込んでくれるメロウ・ソウルの隠れた名盤だと思います。
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by Blacksmoker | 2007-04-26 00:41 | R&B / SOUL

RY COODER [My Name Is Buddy]


90年代に入ってからのライ・クーダーの活動には素晴らしいものがありますね。
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世界的大ブームとなったブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブはもちろん、その他にも映画のスコアや、アリ・ファルカ・トゥーレマニュエル・ガルバンとのアルバム、そしてニック・ロウジョン・ハイアットジム・ケルトナーと結成したバンドLittle Villageでも地味ながらも素晴らしい作品を残しています。そう言えばベン・ハーパーもデビュー時は「黒いライ・クーダー」と言われていましたね。

f0045842_23562457.jpg2005 年の前作「チャベス・ラヴィーン」は、1940年代後半に実在したメキシコの街Chávez Ravineを題材にした物語をチカーノ音楽と共に綴った素敵な作品でしたが、前作から2年。早くもライ・クーダーの新作「My Name Is Buddy」が登場です。前作のコンセプトも面白かったですが、今回のアルバムもかなり面白くて気合いが入った傑作です。そしてもちろん今作もNonesuchからのリリース。Nonesuchからのリリース作品に全くハズレはないですね。前作のタイトルには[a record by Ry Cooder]というサブ・タイトルが付いていましたが、今回のアルバムには[Another record by Ry Cooder]というサブ・タイトルが付いていて前作との類似性を感じさせます。

さてこの新作ですが、アメリカン・ルーツ・ミュージックが好きな人には超オススメの1枚です。今回のコンセプトは「過ぎし時代のアメリカ」。時代設定は明確ではありませんが、1930年代~50年代のアメリカが舞台の物語です。本の装丁になっていて曲に付随する物語やイラストなどが描かれているので、本を読みながら楽しめる作品になっています。この時代の音楽、つまりゴスペルやカントリーやフォーク、そしてテックス・メックスなどのどこかで耳にした事のあるようなの伝承歌を下敷きにした曲が並んでいます。作風としてはアメリカン・ルーツ・ミュージックの歴史を俯瞰したボブ・ディランの昨年のアルバム「Modern Times」や、プロテスト・ソングや労働歌を歌ったフォーク・シンガーのピート・シーガーが取り上げた曲を見事現代に蘇らせたブルース・スプリングスティーンの力作「We Shall Overcome : The Seeger Sessions」に近いですね。
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さてこの物語の主人公はタイトルとジャケットの通りバディという名の一匹の猫。そんバディ君を擬人化し、彼がスーツケースを片手に、その中で寝泊りしながらこの時代のアメリカを旅する物語が綴られています。そこで出会う人や当時の労働者組合の様子、KKKの話など当時の状況が描かれているのが面白い。もう一人バディと旅を共にするのがネズミのレフティバディよりも頭が良いこのレフティバディの良き相棒となっています。そしてもう一人途中で登場するのが盲目のカエル、トム・トード牧師。「トム・トード」という名前で分かる人も多いでしょう。あのジョン・スタインベックの「怒りの葡萄」の主人公であるトム・ジョードのパロディですね。ブルース・スプリングスティーンの曲にもトム・ジョードの事に触れたThe Ghost Of Tom Joadという曲があります(この曲はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンもカヴァーしてましたね)。ちなみにボブ・ディランの師事したウディ・ガスリーの曲にもこのトム・ジョードについて歌ったTom Joadという曲があります。この「怒りの葡萄」の中で描かれている30年代の砂嵐で荒廃した農地の時代を歌った曲はたくさんありますね。

そしてバディレフティトム・トード牧師という3人での旅を通じて今のアメリカが失くしたものを思い起こさせてくれるのです。悪名高きFBI長官フーヴァーf0045842_0134137.jpg事、黒人を排除した街サンダウン・タウンの事、ハンク・ウィリアムスの事、選挙投票の事、農場で働く少女との会話などについての曲が語られています。ライ・クーダー個人ではなくバディという猫の新たな目線で語る事によって非常に辛辣でありながら面白い表現になっています。特にバディハンク・ウィリアムス(左写真)との思い出について歌うHank Williamsでは、「俺がもっと良い友達になれば良かった」とか、「あんたらとってはハンクは英雄だが、俺にとってはただの友達さ」「あんたらはハンクの事を俺ほど知ってはいないのさ」と言ったバディならではの視点での面白い歌詞が楽しめます。

他の歌詞の方も昔の伝承歌からのフレーズも多数用いらf0045842_0151871.jpgれています。Cat And Mouseに出てくる歌詞「which side are you on?」なんかは1930年代の有名な労働歌の一節。ピート・シーガー(右写真)やアルマナック・シンガーズもこの一節を歌っていましたね。ボブ・ディランDesolation Rowの中でこの一節を引用しています。最近では労働者階級の我らが頼れるアイリッシュ・パンク・バンド、ドロップキック・マーフィーズWhich Side Are You Onで思いっきり使ってましたね(この曲は最高です!)。超有名フレーズです。

アルバム中には前述の伝説のフォーク・シンガー、ピート・シーガーとその弟マイク・シーガーの2本のバンジョーを使ったセッションがあったり、ヴァン・ダイク・パークスがピアノで参加していたり、盟友ジム・ケルトナーマイク・エリゾンドフィオナ・アップルの3rdを作った人)らも参加しています。フィドルやマンドリン、バンジョー、ピアノ、ハーモニカ、アコーディオン、ホイッスルなどで華やかに彩られ、古き良き日のアメリカが表現されています。途中に入るジャズ・ナンバーも良いアクセントになっています。ライ・クーダー自身が主にヴォーカルを執り、その味のあるしわがれた声を聴かせてくれるが数曲にはゲスト・ヴォーカルも加えてとても賑やかなアルバムですね。
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このアルバムを聴いてあの時代のアメリカを想像するのも良いし、このアルバムから古いフォークやブルース、ゴスペルを遡ってみるのも良いし、物語を読みながらバディ達の旅を見守るもの良いし、様々な楽しみ方が出来る素晴らしい作品です。

日本盤には全ての英文訳と注釈付きの解説が付いているのでよりこのアルバムへの理解が深まるでしょう。是非日本盤でチェックして下さい。どのレコード会社もこういう丁寧な仕事をして欲しいものですね。
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by Blacksmoker | 2007-04-23 00:28 | COUNTRY / BLUEGRASS

告知■Gurf Morlix / Diamonds to Dust Tour in Japan 2007■

ザ・リゼントメンツらアメリカン・ルーツ・ミュージックの知られざる素晴らしいアーティストを日本に紹介してくださっているTwangさんがまたも素晴らしいアーティストを日本に呼んでくれる事になりました。

Gurf Morlix / Diamonds to Dust Tour in Japan 2007
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ガーフ・モーリックス

<プロフィール>
1951年、米ニューヨーク州バッファロー出身。現在は全米有数の音楽都市テキサス州オースティンに在住。シンガー・ソングライター、ギター・プレイヤー、プロデューサー、エンジニア。一般にはルシンダ・ウィリアムスの仕事で名が知られるようになったが、ウィリアムスと袂をわかって以降はオースティンを中心に数多くのミュージシャンのプロデュースを手がけており、うち何人かはその助力を得て傑作をモノにしている。現在のアメリカーナ音楽シーンの最重要人物の一人といって間違いない人物だが、盟友ともいえるバディ・ミラーを表とすればモーリックスは裏の存在かもしれない。

幼少時代にビートルズに触発されて早くからミュージシャンになりたいと考え、小学校でベースを弾き始めた。ギターを弾き始めたのは13歳の頃で、ビートルズがアメリカに初上陸した64年だった。高校に上がる頃には、ローカル・クラブでのバンドのギグに加わるようになり、プロとして収入を得るようになった。20代前半からは、カントリーやブルースといった音楽もからも影響を受け始めた。当時、ボブ・ディランハンク・ウィリアムズマディ・ウォータースピンク・フロイドなどの曲を演奏したかったが、バッファロー近隣では、充分にメンバーを集めることができず、その結果、75年にテキサス州オースティンに移住。
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ほどなくテキサス界隈のクラブ・サーキットを往来するようになったが、80年代中頃にロサンゼルスでルシンダ・ウィリアムスと出会い、活動を共にすることになった。当時のロサンゼルスには伝統的なカントリー音楽をルーツの一つとしながらも、そこに捕らわれないユニークなサウンドを演奏するミュージシャン達が小さなシーンを形成しつつあり、ジム・ロウダデイルバディ・ミラーらとも出会った。86年、同郷の幼馴染みでもあったピーター・ケイス(Peter Case)のアルバムに参加。本格的なキャリアをスタート。88年にはルシンダ・ウィリアムスの"Lucinda Williams"で初めてプロデュースを行い、その貢献は一部で高い評価を得た。90年には故ウォーレン・ジヴォンのツアーにも参加している。

ギタリストとしてもテクニカルでは無いが、艶のある独特の音色、個性的なタイム感とフレージングで注目を集めていく。さらに92年、ルシンダの傑作"Sweet Old World"を制作したことにより、プロデューサーとしての評価は決定づけられた。それ以降、プロデュースやセッションの仕事も徐々に活発化。98年、ルシンダ・ウィリアムズの"Car Wheels On A Gravel Road"の制作をめぐり、二人の見解が対立。結果、袂を分かつことになったが、これにより、より多くのミュージシャン達がモーリックスのプロデュースを得られることとなった。

2000年、初のソロ・アルバム、”Toad of Titicaca”をリリース。独特のユーモアが冴えるソング・ライティング、枯れた独自の個性が光るヴォーカルによりシンガー・ソングライターとしての評価も得ることになった。その後はソロとしても活動を続けており、"Fishin' in the Muddy"(2002)、”Cut 'N Shoot”(2004)とf0045842_1262359.gif3枚のアルバムをリリースしているが、近年はプロデューサーとして多忙をきわめており、自身のショーは稀にしか行わない。その音楽はロック、ブルース、カントリー、フォーク、そして南部スワンプ的な感覚もたたえたもの。4月10日に新作"Diamonds to Dust"(右写真)を発表の予定で、今回は同作を引っさげての初来日ツアーとなる。広島、鎌倉では単独のアコースティック・セット、その他の会場ではバンドを従えてのエレクトリック・セットでも演奏の予定。この下のガーフのMyspaceではすでに新作からの4曲を先行公開中です。


そのガーフ・モーリックスの初の日本ツアーが明日4/21(土)からスタートします。

■4. 21(土)広島 ミュージックライフ タオ Hiroshima at Music Life Tao
Open 6:30 / Start 7:30 予約¥4,000 / 当日¥4,500 
* ワンドリンクつき
with Fighting Ducks
(問)タオ 082-262-7744(メール)tao_m_h@ybb.ne.jp
http://www.m-l-tao.com/

■4. 22(日)広島 ウィンドフォール・カフェ Hiroshima at Windfall Cafe
Open 5:00 / Start 6:00 予約¥3,500 / 当日¥4,000 
* 要ワンドリンク・オーダー
Acoustic Solo
(問)ウィンドフォール・カフェ 082-242-0030(メール)windfall_mit@ybb.ne.jp
http://www.geocities.jp/windfall_mit/

■4. 26(木)京都 ケニーズ Kyoto at Kenny's
Open 7:00 / Start 8:00 予約¥3,500 / 当日¥4,000 
* 要ワンドリンク・オーダー
with Wednesday Music Club
(問)ケニーズ 075-451-3797(メール)info@k-country.com
http://www.k-country.com/kenny's_2.html

■4. 27(金)大阪 レインドッグス Osaka at Raindogs
Open 7:00 / Start 7:30 予約¥4,000 / 当日¥4,500 
* 要1,000円分飲食チケット
with Wednesday Music Club
(問)レインドッグス 06-6311-1007(メール)raindogsmail@ybb.ne.jp
http://www.raindogs-web.com/toppage.html

■4. 28(土)東京 弁天 Tokyo at Benten
Open 7:00 / Start 8:00 予約¥4,000 / 当日¥4,500 
* 要ワンドリンク・オーダー
with Prince Trust
(問)弁天 03-5340-8270(メール)music@benten55.com
http://www.benten55.com/

■4. 29(日)鎌倉 カフェ・ゴーティ Kamakura at Cafe Goatee
Open 6:30 / Start 7:00 予約¥3,500 / 当日¥4,000 
* 要ワンドリンク・オーダー
Acoustic Solo
(問)カフェ・ゴーティ 090-8430-9708(メール)info@cafegoatee.com
http://www.cafegoatee.com/

■4. 30(月/祝)横浜 サムズ・アップ Yokohama at Thumbs Up
Open 6:00 / Start 7:00 予約¥4,000 / 当日¥4,500 
* 要ワンドリンク+ワンフード・オーダー
with Prince Trust
(問)サムズ・アップ 045-314-8705(メール)live@stovesyokohama.comhttp://www.terra.dti.ne.jp/~stoves/tup/


是非ともチェックして下さい!
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by Blacksmoker | 2007-04-20 01:13 | 告知

TINARIWEN [Aman Iman]

ここ最近、俄然注目を浴びている「砂漠のブルーズ」。

f0045842_2243740.jpg昨年亡くなったアリ・ファルカ・トゥーレヌールー・カイネ、最近ではトゥーマストなど「砂漠のブルーズ」を代表するアーティストの作品が続々と登場していますが、サリフ・ケイタら素晴らしいミュージシャンの出身でもある西アフリカのマリ共和国から「砂漠のブルーズ」の真打ちティナリウェンの登場です。彼らの3年振りの新作「Aman Iman」は後世に残る素晴らしい傑作と言って良いでしょう。

このティナリウェンはマリの北東部出身。アフリカ大陸に横たわる広大なサハラ砂漠の遊牧民トゥアレグ人によって結成されている。トゥアレグ人は1960年後半にフランスの植民地政策と戦うのですが、その革命軍の中にこのティナリウェンのリーダー、イブラハム(下写真中央)をはじめとする3人のオリジナル・メンバーがいたそうです。
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手作りのギターを持って活動していたティナリウェンはその後、80年代に入りボブ・ディランボブ・マーリィのプロテストな音楽に影響を受けアコースティック・ギターをエレクトリック・ギターに持ち替え活動するようになる。90年代、内乱の続くマリにおいてはティナリウェンのサウンドは革命軍の歌となり、もはやマリでは彼らは伝説のグループとして巨大な影響をあたえるグループになっていたそうですね。

2004年にリリースされた前作「アマサクル」で一気に注目を浴びたティナリウェンの新作「Aman Iman」は前作を大きくスケールアップした傑作です。このAman Imanと言うのは英語でWater Is Life、つまり「水こそ命」。砂漠の街に住む彼らならではのタイトルです。
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ティナリウェンはフロントマンが4人いてその4人が全員ヴォーカルとエレクトリック・ギターを弾き、そこにベースとドラムとパーカッションが入るのが基本構成。トライバルなリズムに歪んだブルース・ギター4本が絡み合い、その上をイブラヒムの歌と土着的な女性コーラスが重なるカッコ良すぎるサウンド。ちなみにティナリウェンはエレクトリック・ギターが何層にも重なるが、これが全てアコースティック・ギターだとまるでサリフ・ケイタの近年の洗練されたサウンドになります。

f0045842_2341643.jpg今回は前作よりもメリハリの利いた曲が増えたのも良い変化だ。アコースティック・ギターを導入したのも良いアクセントになっている。実に躍動感のある音楽です。生命のエネルギーが漲っているのがひしひしと伝わってきます。リズム感もアフリカならでは。

イブラヒムのヴォーカルもカッコイイです。彼の歌詞はやはりボブ・マーリィの影響か現実を直視したものが多い。それでいて予言者的でもあります。このイブラヒムは写真でも分かるように非常にカリスマティックな人であるようですね。

プロデュースを手掛けたのが元レッド・ツェッペリンのヴォーカリストでもあるロバート・プラントのバンドのギタリストでもあるジャスティン・アダムス。そう聞くと近年の(ペイジ&プラント以降の)ロバート・プラントが、アラブやアフリカ的な音楽へ向かって行っていたのも納得です。2001年からマリで開催されている「The Festival Of The Desert砂漠のフェスティヴァル)」にもロバート・プラントティナリウェンと共に出演しています。そのジャスティン・アダムスによって、欧米のマーケットにも充分対応できる音作りになっています。Konono No.1のようにむちゃくちゃな録音状態であっても、その勢いや熱気は自体は伝わるでしょうが、やはり歌詞の聴きやすさやギターのアンサンブルなどカチっと纏められたサウンドになっている。これは大正解だったと思います。

ほんとに何度聴いてもその音楽の躍動感に心踊らされながらも、同時にその歴史的背景から来るその重さや奥深さに感服してしまいます。とりあえず彼らの歴史の中でも最高傑作です。
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さあ世界へ飛び立つ準備は揃った。是非とも世界中でこの砂漠のブルーズを奏でて欲しい!
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by Blacksmoker | 2007-04-19 00:35 | アフリカ

SOUL GENERATION [Beyond Body & Soul]

まさしくジャケ買いの1枚。こんなジャケでハズレるわけがないでしょう!

f0045842_22252799.jpgこの「Beyond Body & Soul」は、ニュー・ジャージー出身のコーラス・グループ、ソウル・ジェネレイションの1972年にリリースされた唯一のアルバムにして、70年代ソウル・グループの中でも極上のメロウさを誇る名盤です。ながらく未CD化が続いていたらしく、91年に初CD化となった事でも話題となったアルバムです。CD化にあたりアナログ盤オンリーのリリースだったシングル曲が4曲追加されたソウル・ファン感涙の1枚。

スピナーズがコーラス・グループとして各メンバーの役割を理解した上で極上のソウル・ミュージックを披露しているのに対し、このソウル・ジェネレイションはアプローチが全く逆。各人がスキルやエゴを主張しまくるアルバムです。まだまだ荒々しさも感じますが、その彼らが一体になる瞬間のカタルシスに痺れます。

そんなソウル・ジェネレイションにおいて、メインを張るのはクリフ・パーキンス(下写真の左から2人目)。この人の特徴は何と言ってもそのファルセット・ボイス。全編裏声で歌ってもまったく乱れることのないファルセットが驚異的です。ファルセット・ボイスと言えば、やはり有名なのがデルフォニックスウィリアム・ハートですが、このクリフ・パーキンスの声もそれに負けず素晴らしい甘さです。スウィート・ソウルに失禁寸前ですよ。
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個人的にこのアルバムの中で、瞬間最大スウィート・ソウル度を記録するのが4曲目Ray Of Hopeと、今回ボーナストラックとして収録されたシングル盤のみのリリースだった14曲目Praying For A Miracle

前者Ray Of HopeTHE RASCALSのカヴァー(下写真はそのオリジナル曲が収録されているアルバム「Ff0045842_223287.jpgreedom Suite」)だが、クリフのファルセット、そしてコーラス、その後テナーのソロとまるでヒップホップのマイクリレーのようにヴォーカルがチェンジしていく様は異常なくらいのカタルシス!(ここで反応するのは男だけか?)。そしてパーカッションやギターの絶妙すぎるカッティングで徐々に盛り上げてきて、サビではストリングス+ホーンセクションで大爆発させる感動的な1曲。原曲の良さも手伝って感涙の1曲に仕上げてます。

後者Praying For A Miracleは、ソウル度高めのギター+妙に躍動感のあるストリングスのミディアム・アップなイントロに、クリフのファルセットが入ってくる瞬間で即死です。これがシングル・オンリーだったとは。おそるべしソウル・ジェネレイション

2曲だけ紹介しましたが、アルバムのほとんどの曲がまさしくスウィート・ソウルのクラシックと呼んでも差し支えないナンバーばかりです。

このアルバムをプロデュースを手掛けたのがニュー・ジャージー出身のポール・カイザー。スウィート・ソウルを手掛けると右に出るものはいないとさえ言われる敏腕プロデューサーだそうです。バックの演奏を務めるのが西海岸のジャズ/フュージョン系のミュージシャンだそうで、この筋では相当な腕を誇るそうですね(詳しくは知りませんけど・・・)。寄り添うように流れるピアノの響きがなかなか素晴らしいです。

こんな素晴らしすぎるグループがこのアルバム1枚しか残さなかったのは非常に残念ですが、アルバムを通して聴くと、その理由も何となく推測出来ます。

何曲かではリードを取るバリトンの人のソロ曲があったり、クリフ・パーキンスのソロ曲みたいな(コーラスが全く入らない!)妙な曲があったりと、統一感に欠けるのです。やはりグループ内でのエゴの衝突があったんではないかと推測されf0045842_22335152.jpgるんですが、どうでしょうか?いろいろな曲がありすぎてグループとしてのカラーが非常に希薄なんですね。要するにこのグループはファルセットのクリフ・パーキンスをメインに据えてあとのメンバーはしっかりバックに徹していればソウル・ジェネレーションとしてのカラーを前面に打ち出すことが出来て絶対に売れていたに違いない。ファルセットをリードにすることで他の低い声の方の3人が取るコーラスが重厚になるし。各メンバーが自分の役割を的確に認識していなかったのでしょうね(それはプロデューサーのポール・カイザーの責任でもありますが・・・)。プロに徹し切れなかったツメの甘さが今になっては非常に惜しまれるグループでもありますね。

でも曲単位では名曲揃い

この「Beyond Body & Soul」がスィート・ソウルの名盤である事に変わりありません。
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by Blacksmoker | 2007-04-16 00:03 | R&B / SOUL

AMOS LEE [Supply And Demand]

このアルバムって売れたのかな?

2005年の1stアルバムで一気に注目を浴びたエイモス・リーブルーノートが契約した大型新人(しかもトップ・プライオリティ・アーティスト)という形で、ノラ・ジョーンズリー・アレキサンダー(ノラの片腕)がバックアップしたデビュー・アルバム「Amos Lee」が大ヒット。その後はボブ・ディランのツアーのオープニング・アクトにも抜擢されたりと、かなりのブレイクを果たしたフィラデルフィア出身のシンガー・ソングライター。
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実は裏話があり、ノラ・ジョーンズで特大ヒットを飛ばしたブルーノートが、次に契約を狙ったのがジェシー・ハリスだったそうです。でも、そのジェシーにあっさりとフラれてしまった為、代わりに白羽の矢を立てたのがエイモス・リーだったようですね。

しかし、そんなトピックを打ち消すように彼のデビュー・アルバムは「次のノラ・ジョーンズ的サウンド」を求めるファンに応えるような音楽性と、ラジオ・ヒットも望めるキャッチーな楽曲群、そしてエイモス・リーの誰にも拒絶されることのない優しい声も相まって見事にヒットしました。ちなみにその後、同時期に別々に行われたジェシー・ハリスエイモス・リーの来日公演では集客数においてエイモス・リーが圧勝していたのも印象的です。

f0045842_15295039.jpgそのエイモス・リーの昨年出た1年半振りの2ndアルバム「Supply And Demand」。このアルバムは昨年結構ひっそりとリリースされていたような気がします。話題になったのかならなかったのか分からないのですが、かなり素晴らしいアルバムです。1stアルバムの時はノラ・ジョーンズ周辺の人脈のミュージシャンがガッチリとサポートしていましたが、今回は打って変わった制作布陣。今回は地元フィラデルフィアのミュージシャンを起用。そしてプロデューサーには元ザ・ウォールフラワーズボブ・ディランの息子ジェイコブ率いるあのバンド)のメンバーでもあるバリー・マグワイアを迎えて制作されています。

そのせいか、1stアルバムでの隙間を活かしたジャズっぽい音から、よりフォーク・ロック的アプローチの曲が格段に増えています。以前の跳ねるような躍動感に溢れた歌い方から、地に足の着いた堂々たる歌い方になってきていますね。
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1曲目の1stシングルにもなったShout Out Loudからジャラジャラしたアコースティック・ギターの王道たるコード進行からして前作とは気色が違います。前作と比べてグッと深みと存在感を増したエイモス・リーの歌声。最初にこの声を聴いた時、その深みを増した声に驚きましたね。その声で歌われるフォーク・ロックにはザ・ウォールフラワーズの影響も感じられますね。しかもサビのメロディが非常にキャッチーでラジオ・フレンドリーな曲。「Shout It Out Loud」といえばKISSだが、Shout Out Loudといえばエイモス・リーといえる彼の代名詞的な1曲になるであろう名曲です。

3曲目Freedomなどは、イントロのギターかf0045842_1534965.jpgらしてザ・バンドのようなフィーリング。6曲目Supply And Demandなんて軽やかな60年代フォーク・ロックど真ん中。11曲目Long Line Of Painなどはスライド・ギターを使った穏やかなカントリー・フォーク。前作のようなジャズ・フィーリングな曲ももちろんありますが、全体的にアメリカの大陸的(アメリカーナ的)な曲が多くなってきてますね。1stの路線も好きですが、こっちの路線も素敵です。

そして1stと2ndの両方のアルバムに共通することは、ソング・ライティングの素晴らしさ。1曲1曲必ず耳に引っかかるメロディを持った楽曲が並んでいます。最近ではアルバム1枚を丸々飽きさせることなく聴かせられるアーティストが果たしてどれだけいるだろうか?エイモス・リーは素晴らしいメロディ・センスで全く飽きさせず最後まで聴かせてくれます。これって地味ながら凄いことだと思いますよ。
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売れたのか売れなかったのか分からないですが、このアルバムがとても素敵な事には変わりないですね。
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by Blacksmoker | 2007-04-13 00:18 | FOLK

TYPE O NEGATIVE [Dead Again]

f0045842_2112819.jpg実に4年振り。ニューヨークの最深部で独特のゴシックな耽美世界を極め続けるタイプ・オー・ネガティヴの待望の新作「Dead Again」が登場です。

ここ最近の3枚のアルバムは全てが4年振りという寡作なバンドですが、その恐ろしいまでのグロテスクさと美しさが同居するゴシックな世界は、もはやこのバンドに以外には出せない世界です。

1980年代後半に活動したニューヨークのブルックリンの伝説的な超反社会的ハードコア・バンドCARNIVOREでフロントマンを務めていたピーター・スティールが、1990年に結成したのがこのタイプ・オー・ネガティヴ。当初は前身のCARNIVOREの音楽性を受け継ぐハードコアをやっていましたが、1993年の「Blooby Kisses」くらいからひたすらスローだがヨーロッパ的なデカダンを思わせるゴシックとサイケデリックを美しいまでに融合させたその独自の世界を確立していきます。アルバムもじわじわと売れて「Bloody Kisses」は50万枚のセールスを記録しています。その後もその耽美なゴシック的世界を追求し、孤高の存在になっています。
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まず見た目が凄い。

身長2mの怪物ピーター・スティール(下写真)をf0045842_21433864.jpg始めとして、その他のメンバーも全員が1m90cmとかあってそのイカツすぎる見た目のインパクトはトンでもない迫力があります。そしてピーター・スティールの歌声というのがもう1つのインパクト。オペラでも歌いそうなぶっとくて伸びやかで、とことん低いデーモニッシュな声。初めて聴いたらこの声だけでも相当なインパクトです。そしてブラック・サバス直系の引き摺るようなヘヴィでスローなギター・リフと、オカルティックで荘厳なオルガンのようなキーボードの音がもうヨーロッパの陽の当たらない深い深い森の中の異世界にいるような気分にさせてくれますね。

そんなタイプ・オー・ネガティヴの新作「Dead Again」。なんとジャケはあのロシアの怪僧グレゴリー・ラスプーチン。よくわかりませんが凄いインパクトです。そして前作「Life Is Killing Me」でもそうでしたが、CARNIVOREを彷彿させるファストなナンバーが増えてきています。そして7分や8分や10分の長尺な曲が78分ぎっしり詰め込まれています(この人達は毎回そうですけど)。普通ならもうお腹一杯なヴォリュームですが、そうならないのはこの人達の作るメロディ・センスが非常に優れているからです。ひたすら陰鬱でドゥームな曲からいきなりオペラチックでキャッチーな珠玉のメロディが出てくるんです。まるで暗い森を彷徨っていたら空から神々しい光が差してきたような感覚です。こういう展開がもうクセになったら完璧に彼らの音にハマって抜け出せなくなるでしょう。
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哲学的で、皮肉に満ちたそのオリジナリティ溢れた歌詞の世界もこのタイプ・オー・ネガティヴの特徴です。彼らの表現の中にはかならず「皮肉」が効いているのがイイですね。1stアルバムのジャケが良く見るとケツのドアップの画像だったり(もちろん発売禁止でジャケット差し替え)、満を持して発売された1996年の4thアルバム「October Lust」の1曲目Bad Groundが無音だったり、ベスト・アルバムのタイトルが「The Least Worst Of Type O Negative」だったりとなかなか良いユーモアのセンスをしています。こういう巨体でマジな顔してアホな事をやってるのがまた笑えます。↓こういう写真も実にバカです。
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このアルバムの中で一番オススメしておきたいのがSeptember Sunという曲。荘厳なグランド・ピアノの音を取り入れ、穏やかな語りのような歌で始まり、どんどんオペラに近い展開をみせ、サイケデリックでゴシックな凄い世界になっていく新境地をみせる文句なしの名曲。実に9分47秒。後半は巻き舌のロシア語で歌い上げている不敵なヴォーカルの意味不明の不気味さも強力です(ちなみに結構ネットでフリー・ダウンロード出来るサイトがありますので聴いてみてください)。

聴き手を選ぶ音楽ではありますが、この世界観にハマると抜け出せない麻薬のごとき音楽性です。是非とも一度チャレンジしてみてください。
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by Blacksmoker | 2007-04-11 00:10 | METAL

大城美佐子 [唄ウムイ] 

この音楽は日本人にとってのブルーズでありゴスペルでもある。

大城美佐子の実に10年振りとなるアルバム「唄ウムイ」f0045842_2044538.jpg発売されました。この音の中に息づく喜びや悲しみ、愛や郷愁といった全ての感情が聴く者の心を捉えて離さないでしょう。200年以上前から歌われる沖縄民謡に込められた感情が、今まさに目の前で蘇るようです。このアルバムを聴いて思うことは人それぞれではあるが、時間を忘れて何か日本人として心の中にある大事なものを感じさせられるのはおそらく聴いた人皆に共通するものではないだろうか。これはやはりブルーズやゴスペルの持つ性質と非常に似通っている。

大城美佐子という人は嘉手苅林昌知名定男登川誠仁らと並ぶ沖縄民謡界の大御所。1936年大阪市大正区北恩加島生まれ、名護市辺野古育ち。20歳頃から古典音楽や舞踊を習い、普久原恒勇上原直彦らに強く勧めf0045842_20484733.jpgられ、知名定繁知名定男の父)に弟子入りして民謡の道に進んでいる。1962年シングル片思いでデビューし、以後レコード・CD、海外・国内の公演、映画、テレビなどでの活動を続けています。芸歴は既に50年という大ベテランです。「風狂の歌人」と呼ばれた嘉手苅林昌(故人)とは名コンビとして知られています。私が彼女の名前を知ったのもその嘉手苅林昌と一緒に出演していた映画「ナビィの恋」でした。余談ですが彼女が弟子入りした知名定繁は大阪市生まれ、登川誠仁も尼崎生まれだそうです。大阪市大正区生まれの大城美佐子といい、育ったのは沖縄だが生まれが大阪近郊という人が多いのは偶然でしょうかね?興味深いです。その知名定繁は沖縄独自の琴「琉琴」の生みの親でもあります。

その大城美佐子の新作ですが、1つのコンセプトを元に制作されたようです。

それは「若い世代にも聴ける沖縄民謡のスタンダードを創ること」。

このコンセプトを元に、幅広くもっと多くの人に聴かれるようにとの思いで制作されています。ただ若い世代が聴けると言っても、現代的なアレンジで奇を衒ったわけでは一切なく本当にシンプルなアレンジになっています。特に一音一音が丁寧に録音されてるのが分かります。主役である歌声を邪魔しないようにかつ埋もれないような絶妙なバランス感覚でミックスされています。

14曲中10曲が沖縄民謡歌。この古来より伝わる伝承歌を丁寧に現代に伝えてくれています。残りの曲は嘉手苅林昌の曲や知名定繁の曲で綴られています。インナースリーヴの歌詞にもしっかりと標準語の訳が掲載されており、歌の内容がしっかりと分かるようになっています。ブルーズというのは歌詞が命なので、この歌詞もじっくり読ませてもらいましたが涙が出そうになりました。言葉少ない中でこれほどまでに心を揺さ振られる表現に感動しきり。楽しさもあれば、悲しさもある昔の人々の悲喜交々。決して時代性を感じない、「今」の音楽として充分過ぎるほどの力を持っています。そして70歳を過ぎているとは思えない若々しい歌声も感動的です。
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そして大城美佐子の幼馴染でもある知名定男や、名護良一も歌と三線で参加。知名との掛け合いが非常に小気味良いですね。体験したことはないはずの60年代~70年代の沖縄の風景が見えてくるようです。

これは心の奥底で眠っていた大事なモノを思い起こさせてくれる素晴らしい音楽です。同じ日本人としてこの音楽を共有出来る事はこの上ない幸せだ。
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by Blacksmoker | 2007-04-09 00:13 | BLUES

JOSS STONE [Introducing Joss Stone]

初めて彼女の声を聴いたのは2005年のグラミー賞授賞式。丸刈りになったド迫力のメリッサ・エスリッジと共にステージに立ったのがこのジョス・ストーンだった。
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彼女達が演奏したのはジャニス・ジョプリンのナンバーCry BabyTake Another Piece Of My Heartメリッサ・エスリッジと堂々と渡り合う迫力の歌声を披露したジョス・ストーンにはかなり衝撃を受けましたが、更に驚いたのが彼女がまだ17歳だった事。これにはほんと驚愕でしたね。(その共演の模様はココで観ることが出来ます。ドスの利いた2人のヴォーカルはコワいくらいです。)

その後、彼女の2003年のデビュー・アルバム「Soul Sessions」を聴いたわけですが、これが70年代ソウルのカヴァー集で当時16歳という若さながらその完成された圧倒的なヴォーカルに一気にヤラれてしましました。

f0045842_22571277.jpgその後2004年に2ndアルバム「Mind, Body & Soul」をリリース。この2枚のアルバムだけで全世界で750万枚というトンでもないセールスを記録するわけですが、今回紹介するのは彼女の最新作にして3枚目のアルバム「Introducing Joss Stone」。3枚目にして「Introducing・・・」というタイトルも凄いですが、内容もこれまた濃ゆいソウル・アルバムになっています。しかし、まだ19歳ですか・・・怖ろしいです。

今回ジョス・ストーンがプロデューサーに迎えたのがラファエル・サディーク。元トニー・トニー・トニーのメンバーであり、今や伝説的ユニットとなったLucyf0045842_2315335.jpg Pearlのメンバー。ディアンジェロアンジー・ストーンエリカ・バドゥも手掛けるネオ・ソウルの鬼才。個人的にラファエル・サディークという人は、ちょうどDJ SpinnaJay-Deeらのあのストイックなビートにハマっていた時にラファエルのソロ・アルバム「Instant Vintage」(右写真)に出会いその素晴らしい出来に感動した事があるので、彼の起用にはかなりの期待をしていましたが、想像以上に相性の良さを発揮しています。

ラファエルがプロデュースしたという事で打ち込みを主体にしながらも、生楽器の演奏を随所に散りばめた演奏のキャッチーさが非常に歌を際立たせています。この辺の音作りは彼の実に得意とするところですね。70年代ソウルの臭いを残しながらも現代的なサウンドに味付けしたまさしくフューチャー・ソウル。

そしてもうハンパないジョス・ストーンの声。これがまだ19歳の声だとは・・・。普通に聴かされたら絶対分かりませんね。しかもイギリス人だし。それも白人。このギャップが凄いです。普通に聴いたら黒人の女性ソウル・シンガーと思うでしょう。しかしどっからこんな声出てるんでしょうかね?
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この声を聴いて、やはりすぐ思い浮かぶのがアレサ・フランクリン。圧倒的な声量はアレサのスタイルを踏襲していますが、それだけではなく適度なラフさ、荒々しさも感じますね。この辺はメアリー・J・ブライジを彷彿させます。おそらくアレサメアリーらと共演してもまったく引けを取らないであろう圧倒的なヴォーカルです。

歌詞の方は、ほとんどが恋愛モノ。ただやはりまだ10代の女性を感じさるところもありますね。「私に触れてみて ベイビー」とか、「あなたに溺れているのよ」とか、「あなたの愛なしでは生きられないの」とか、大半がそんな歌詞です(まあソウルのレコードなんて9割がそうですが)。オープニングのGirl They Won’t Believe Itだけは、世の中の女性に自由を謳歌しようと呼びかけるTLC的なナンバーですね。

そしてこのアルバムを彩るゲスト・ミュージシャンが2人。まずはTell Me What We’re Gonna Do Nowに参加しているのがコモン(左写真)。哀愁f0045842_2321311.jpgを帯びたメロウなトラックに、声を少し低めにしたジョスのヴォーカルとコモンの穏やかなラップが絡む良曲。 コモンのリリックも愛に溢れてますね。「愛とは失われてもまた見つかるもの スティーヴィーの言う通りだ」なんてカッコよすぎるリリックですね~。後半になって段々熱を帯びてきて盛り上がってくるジョスの声の高まりも素晴らしいです。ゴスペル調のコーラスもいい具合に華を添えています。

そしてもう1曲Musicにゲスト参加しているのは、先f0045842_23252154.jpg日の来日公演でもお騒がせだったローリン・ヒル(右写真)。しかしローリンが他人の作品に参加するなんて初めてなんじゃないでしょうかね?なんでもジョスは、ローリンの母親の連絡先を手に入れ毎日のように電話をかけまくってお願いして奇跡的に実現したそうです。シリアス系なミディアム・トラックに最近のローリンの低い声のソリッドなラップが切り込むナンバーで、映像を喚起させるような表現のリリックがかなりスピリチュアルです。丁寧にもTHE FUGEESThe Maskをサンプリングしています。地味ながらも必聴です。

実はコモンローリンの参加した2曲をジョスと作曲したのがノヴェルという人物。この人はあの今は亡きヒップホップ・レーベル「Rawkus」にいた人ですね。タリブ・クウェリのアルバム「Quarity」の中の曲Stand To The Sideにも参加して良い仕事をしています(この時は美声も披露してます)。実はこのノヴェルという人は、ソロモン・バークの孫だそうですね。ヒップホップ・ヘッズはこの2曲だけでもチェックする価値ありです。
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まあその2曲が良いアクセントにはなっていますが、主役は良質なソウル・ミュージック。実にメロディも爽快で、アルバム全体が小気味良く展開されていきます。懐かしさと先進性が同居した現代のソウル・ミュージック。これはオススメです。オフィシャル・サイトでも、いろいろ聴けるのでチェックしてみて下さい。

そして何と今年はフジ・ロック・フェスティヴァルに出演決定です!!
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by Blacksmoker | 2007-04-07 00:13 | R&B / SOUL