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LOU BARLOW as SENTRIDOH [Mirror The Eye]


どんな人にも必ずお気に入りのミュージシャンっていると思います。そのアーティストの音源が出ると無条件にチェックしてしまう事ってないですか?ましてや音楽好きなら多かれ少なかれそういうお気に入りのアーティストは絶対存在するはずです。

さて私Blacksmokerにとってそんなアーティストにあたるのがルー・バーロウです。
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そしてルー・バーロウのレコードというのは、長い間f0045842_2123210.jpg音信不通になっている友人から久しぶりに届く近況報告の手紙みたいなものです。別に状況の変化はないけれど、「あ~元気にやってるんだなぁ」と何か懐かしく思ってしまうのです。そんなルー・バーロウから久しぶりに届いたレコード「Mirror The Eye」(右写真)。やはり相変わらずルー・バーロウルー・バーロウのまんまなんです。しかし、その変わらなさが非常に嬉しい。

マサチューセッツ州アマースト出身のこのルー・バーロウ。彼の音楽キャリアは80年代初頭から始まっている。Deep Woundというハードコア・パンク・バンド(最近彼らの発掘がリリースされてましたね)で活動後、85年にはもう皆さんご存知の通りダイナソーJr.を結成し88年までに3枚のアルバムをリリースしています。2005年のダイナソーJr.再結成でこの時期の彼らの再評価が一気に高まったが、90年代に青春時代を過ごしたオルタナティヴ世代にとっては、ダイナソーを脱退後のルー・バーロウの活動の方が圧倒的に馴染みがあります。

それはやはりセバドー(下写真)です。
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数あるルー・バーロウの活動の中で、最も有名なバンド。ダイナソー脱退後の89年から活動を開始し、99年までに7枚のアルバムをリリースしている。独特のDIYなスタンスとパンク的荒々しさ、そして「ルー・バーロウ節」と言われる独特の半泣きになりそうなくらい素晴らしいメロディ・センスでもって、オルタナティヴ世代にとってはセバドーというバンドはただならぬ影響力があったバンドです。私がリアルタイムで初体験したのが94年のアルバム「Bakesale」ですが、このアルバムなど未だに色褪せない名盤です。当時はロー・ファイというジャンルで語られていましたね。

しかしセバドーだけに止まらないのがこのルー・バーロウの凄さ。
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彼の創作意欲は無尽蔵と思えるほどで、まるで空気を掴むように曲を量産する。それこそ今までに書いた曲は軽く1000曲は超えるんじゃないでしょうか。しかも彼の書く曲はほとんどが切なくメランコリックなメロディを持ったものばかりです。その創作意欲を満たすためか、ルー・バーロウセバドー以外に94年からフォーク・インプロージョンというユニットをジョン・デイヴィスと結成して今までに4枚のアルバムを発表しています(現在はジョン・デイヴィスは離脱)。

さてセバドー、そしてフォーク・インプロージョンと更に並行してルー・バーロウセントリドーという宅録ユニットもやっています。これはローファイと言われたルー・バーロウの中でも最もロー・バジェットでかなりパーソナルなもので、ほとんどが4トラック(時には2トラックも!)のカセットMTRとかで録音されたような弾き語り(時には曲の断片のみ)のロー・ファイの極みといえるもの。ホームページで曲が出来るたびにUPしていってたりもします(今までのセントリドー名義のリリースをまとめたアルバムもひっそりリリースされています)。さて2005年には初の「ルー・バーロウ」名義のソロ・アルバムもリリース(傑作!)したりして、その後は前述のダイナソーJr.の再結成ツアーに参加していたりと多忙な中、なんとセントリドー名義の新作EP「Mirror The Eye」がひっそりとリリースされていました。
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音の方は想像通りのルー・バーロウの音。特別に新しい何かに挑戦しているわけでもないです。淡々と日々の感情を綴っている3分にも満たない小曲が5曲。たったそれだけなんですが、「ルー・バーロウ節」というか彼の書く独特のメロディに胸が締め付けられる名曲になってるんですね。最後の曲なんて1分37秒しかないですが素晴らしい名曲です。やはりルー・バーロウのメロディ・センスは最高です。

f0045842_2233366.jpgそういえば先日リリースされたダイナソーJr.の再結成アルバム「Beyond」(右写真)にもルー・バーロウの書いた曲が2曲収録されていました(ルーが両曲ともリード・ヴォーカル)も相変わらず「ルー・バーロウ節」の曲でしたね。でもルーは以前にJマスシスにイジメられてダイナソーを脱退したので、この再結成にはあまり乗り気ではないらしいですが・・・。ちなみに某インタビューでルー・バーロウは「この再結成は金の為だ」と明言しています。

以前にセバドーとしての来日公演(確か99年)とフォーク・インプロージョンの来日公演(03年)を観たことがありますが、これが非常に人情味溢れるいかにもルーらしいライブで、とても楽しかった思い出がありますね。セバドーのライブでは最後にリクエストを客から募って、客から「あの曲やってくれ」と言われたほとんどの曲を「覚えてないや」と苦笑いしていたのが印象的です。あとでメンバーにどんな曲か教えられて途中で思い出して演奏してましたが。フォーク・インプロージョンの時は開演前に道でルーと出会って片言の英語で話したのがとても思い出に残っています。あの時はルースレイヤーとかオジーとかメタル・トークをしましたね。とても穏やかで優しい人でした。
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何年経っても色褪せないメロディを持った曲をたくさん書いて、いつもひっそりとリリースしていくルー・バーロウ。人柄も素晴らしい。私はこの人には一生ついて行きますよ。
 
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by Blacksmoker | 2007-05-30 02:05 | ROCK

来日直前! マリーザ特別企画:最終回!

さて明日より始まるマリーザ・モンチ来日公演
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私は東京公演を観に行ってきます。

というわけで今回でマリーザ・モンチ特集は終了。最後にマリーザの映像作品を紹介します。

今回紹介するのは2001年のライブDVD「Memórias, Crônf0045842_1155952.jpgicas & Declarações De Amor」(右写真)。2000年にマリーザがリリースした5thアルバム「アモール・アイ・ラヴ・ユー(原題:Memórias, Crônicas & Declarações De Amor)」のリリース後のツアーを記録したライヴ映像作品です。マリーザの地元であるリオ・デ・ジャ・ネイロでの公演を収めたものになっています。私もいろんなアーティストのライブDVDを観てきましたが、このマリーザのDVDは、はっきり言ってその中でも圧倒的に群を抜いたクオリティを誇る永久保存版。映像美、カメラワーク、ステージング、照明演出など非の打ち所がない素晴らしい作品です。

完璧主義といわれるマリーザは実はレコードだけでなく、ライブでの舞台美術や演出まで全てにおいてプロデュースを行います。凝りに凝った映像や照明などもはや芸術の粋です。とにかく今まで観た事もないようなステージングに度肝を抜かれるでしょう。このライブ映像を観てもらえれば一目瞭然。その舞台演出に誰もが目を奪われるはずです。
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ステージ全体に張り巡らされた薄い半透明な布で出来たオブジェのようなものが目を引きますが、これが凄い!その薄い布で覆われたオブジェの中でマリーザ達が演奏するのですが、曲ごとに様々な幻想的な映像が周りに張り巡らされた布に映し出されます。CGで合成されているんじゃないかと錯覚するほどの美しさです。シガー・ロスとかが良くライブで使ってる大きな薄い布のスクリーンに映像を映し出し、その後ろで演奏したりしますが、マリーザの演出に比べれば子供同然です。リオの芸術家エルネスト・ネトが舞台演出を担当しているそうですが、この人は布を使った人間の体内を表現したような作品が有名で、日本でも個展やインスタレーションを行っている人だそうですね。ちなみに彼の作品がコチラ↓です。
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まあその舞台演出だけでも充分鑑賞に値する作品ではありますが、マリーザのステージングもこれまた美し過ぎます。セクシーな花柄のドレスで登場し、ステージに跪いてキスする姿も美し過ぎます。これだけで一気に目が釘付けになりますね。その後一瞬で観客をコントロールしてしまうカリスマ性には圧倒。その妖艶な動きもまさしく天性のもの。
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この時期のバンドはカルリーニョス・ブラウンの弟子のパーカショニストを3人引き連れており、女性コーラスも含めると総勢11人編成。リズム感の強い肉体的なサウンドを前面に出しています。彼らの様々なパーカッションの繰り出す音が面白過ぎます。

f0045842_1251945.jpgそしてマリーザの左に寄り添う寡黙なベーシスト、ダヂ。2001年当時なら、まもなく50歳になろうともいうダヂですが、まるで少年のような若々しさに驚きます。このダヂの事をカエターノ・ヴェローゾが「美しいライオン」と称したのも頷ける美貌です。引き摺るようなヘヴィな低音ではなく、軽やかなベース・ラインが非常に心地良くマリーザ・バンドの根底を支えているのが分かります。(ちなみにダヂマリーザ東京公演の2日前の5/27に東京でソロ・ライブをやるそうです。チケットは一瞬で完売したようです・・・。)

そしてマリーザの右で弾けるのはギタリストのダヴィ・モライス(下写真右)。ノーヴォス・バイアーノスのリーダーのモライス・モレイラの息子であるこのダヴィ・モライスのロックの先鋭性を含んだエッジの利いたプレイが光ります。この人はペドロ・サーと並ぶブラジル新世代ギタリストの筆頭。確かこの時期はマリーザの恋人でもあったそうですね。
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そして腕の立つ確かなミュージシャン達をバックに、存分に歌うマリーザの貫禄はもう圧巻の一言です。「ブラジル音楽界の女王」という言葉には何の虚飾もありません。

選曲はアルバム「アモール・アイ・ラヴ・ユー」が中心。とにかく照明が素晴らしい。「Água Também É Mar/水だって海になる」ではマリーザが手を伸ばすとスクリーンから水滴の映像が雨のように落ちてきてそれが水面に波紋のように広がる演出照明が幻想的です。今までこんな凄い映像は観たことないです。この他にも観た事ないような映像美が満載です。個人的なはなしですが、美大出身の友人がこのDVDを観て「こんな凄い舞台演出が出来る人は今の日本にはいない」と舌を巻いていましたね。
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この他にもアルナルド・アントゥニスが登場したりと見所は満載。とにかくマリーザの映像作品といえばこのDVDをオススメ!これを観れば必ずマリーザのライブに行きたくなるでしょう。

さあいよいよ舞台は揃いました。この15年振りの来日公演、絶対に見逃すな!

 
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by Blacksmoker | 2007-05-26 00:57 | ブラジル

マリーザ・モンチ来日記念! 特別企画:第3弾

いよいよマリーザの来日公演は今週末26日(土)名古屋からスタートです!
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さて、今回はマリーザの今までリリースしたアルバムを振り返ってみましょう。マリーザは1989年にライブ・アルバム「Marisa Monte」でデビューして以来、今までに7枚のアルバムとトリバリスタスでのアルバム1枚の合計8枚のアルバムをリリースしています。

ディスコグラフィは以下の通り。

Marisa Monte/マリーザ・モンチ(1989
Mais/マイス(1991
Verde Anil Amarelo Cor de Rosa & Carvão
               /ローズ & チャコール(1994
A Great Noise/グレート・ノイズ(1997
Memorias, Cronicas e Declaracoes de Amor
               /アモール・アイ・ラヴ・ユー(2000
Tribalistas/トリバリスタス(2003
Universo ao meu redor/私のまわりの宇宙(2006
Infinito Particular/私の中の無限(2006

ほぼ3年に1枚のアルバムという非常に寡作な人ですね。

そんなマリーザのアルバムの中でBlacksmoker がオススメしたいアルバムを紹介しましょう。

f0045842_1430618.jpg2006年に出た2枚の最新作「私のまわりの宇宙」と「私の中の無限」は必ずチェックして欲しいですが、それ以外ということなら、やはり1994年の3rdアルバム「ローズ & チャコール」をオススメします。アルバムのジャケットが非常に80年代感を漂わせていて少し気に入らないのですが、内容はグレイト。個人的には一番好きなアルバムです。未聴の人はまずはこのアルバムから入ってみて欲しいですね。

1stアルバムがライブ盤だったので、スタジオ盤として実質のデビュー・アルバムとなった2ndアルバム「マイス」は、プロデューサーにアート・リンゼイ(左写真)を迎え、ジョン・ゾf0045842_14395737.jpgーンバーニー・ウォーレルマーク・リボーメルヴィン・ギブスというNYアヴァンギャルド・シーン最強の曲者達を集めたアルバムでした(坂本龍一も5曲参加しています)。ジョン・ゾーンによるフリー・ジャズなアルト・サックスが耳に飛び込んできたり「伝統」と「先鋭」の両方は両立するある意味凄いアルバムでした。そしてこの3rdアルバムにも同様にアート・リンゼイがプロデューサーとして迎えられています(この後5thアルバムまでアートはプロデュースを担当)。伝統的なブラジル音楽を大切にしながらも、随所にアヴァンギャルドな音が挿入されるのはやはりアート・リンゼイならでは。

前作に引き続きバーニー・ウォーレルグレッグ・コーエンといったNYの曲者ミュージシャンが参加していますが、今回はブラジルのアーティストに参加が多く見られます。当時はブラジル新世代の代表的パーカッショニストであったマルコス・スザーノ、そしてトロピカリアの重鎮ジルベルト・ジルの名が目を引きます。そして最も注目なのがこの後マリーザの音楽に欠かせない存在となるバイーア出身の風雲児カルリーニョス・ブラウンの参加でしょう。

総勢200人はいると言われるバイーアのパーカッション集団「チンバラータ」の総帥カルリーニョス・ブラウン(下写真)。
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様々なジャンルを行き来する異種交配が大好きな野生児で、その行動範囲はTHE BOOM宮沢和史マルコス・スザーノも最近はずっと宮沢和史のバンドに参加してますね)からカエターノ・ヴェローゾ、そしてメタル・バンドのセパルトゥラまで多岐に渡る。自身もギタリストであり、作曲家でもあるマルチな才能を持った鬼才。彼の存在がブラジル音楽の発展に大きく寄与したのは明白な事実ですね。

そのカルリーニョス・ブラウンマリーザのアルバムに初めて登場するのがこのアルバムです。もちろん盟友アルナルド・アントュネスも参加しているので、ここで初めてトリバリスタスの3人が邂逅するわけですね。

カルリーニョスの参加で前作よりも伝統的ブラジf0045842_14434437.jpgル音楽のカラーが前面に出だし始めました。はやり耳を捉えるのがブラジリアン・パーカッションのリズム!カルリーニョスのみならず、マルコス・スザーノも一緒になって繰り出すブラジリアン・パーカッションのトライバル・ビートと様々な打楽器の音がポップ・センス溢れるメロディを歌う優雅なマリーザのヴォーカル美しい歌声の後ろで鳴っていて、この融合がマリーザの音楽を一つ上の高みへ持っていったとも言えます。

そして「伝統」を忘れないマリーザジョルジ・ベンの60年代の曲Balança Pemaなども盛り込んだり、さらには後半の3曲ではヴィオラォンでジルベルト・ジルが参加していたりとブラジル音楽の遺産を大事にしていこうという気概も感じられますね。ヴィオラォンの弦の響きがやはりどうしようもなくサウダージ感を感じさせます。あとアート・リンゼイの選曲なのかヴェルヴェット・アンダーグラウンドPale Blue Eyesのカヴァーも。完璧にマリーザの音楽として昇華されている名演です。その他、マリーザの自作曲も全て伝統に根付いており素晴らしいです。
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このアルバムの中で私が一番好きな曲が、異色を放つ曲ではありますが、最近のツアーでも頻繁に披露されている重要曲の一つSegue O Seco」乾いた大地)。この曲はカルリーニョス作曲のブラジルの農民の雨乞いの歌ですが、トライバルなパーカッション、シャーマニックなマリーザの歌、そして土着的な民族コーラス、哀愁のアコーディオンの音色が感動的な1曲。まるでジャマイカのナイアビンギような空気感を持ってます。ウェイラーズのBunny Wailerが76年に出した1stアルバム「Blackheart Man」の一番最終に収録されているナイアビンギのThis Trainを彷彿させますね。
(⇒コチラでその94年の懐かしいPVが観れます! そしてこの曲が最新ツアーでは弦楽器を中心としたこんなアレンジで披露されてます。客席が大合唱なのが凄い!)

ついつい好きなアルバムを語ると長くなってしまいますが、今でも大好きなアルバムですし、マリーザ・ファンの間でも特に人気の高いアルバムです。是非ともチェックしてみて下さい!
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by Blacksmoker | 2007-05-24 00:35 | ブラジル

SUNN O))) @心斎橋クラブクアトロ 5/17(木) 2007


音圧で空間が歪むのを経験したことがあるか?

奥歯だけでなく眼球まで揺れる低音を体験したことがあるか?

ノイズの塊に身の危険を感じた事があるか?

観てるだけで意識が朦朧となるステージを経験した事があるか?

遂に実現したSUNN O)))のライブはその全てを一気に経験させてくれました。あまりにも凄すぎました。
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実は轟音やノイズにはある程度免疫が出来ていると思っていた。でもそんな自信など粉々に砕かれました。メルツバウEYEHATEGODMASONNASTRUGGLE FOR PRIDEDIESEL GUITARなど今までに様々なノイズ・轟音系でならすアーティスト達を経験してきましたが、もうまったく次元が違います。SUNN O)))と比べれば彼らなど子供ですよ。全く足元にも及びません。実はライブが終わった後、三半規管をやられてました。マジです。帰りは、もう頭グラグラでまっすぐ歩けませんでした。次の日までも耳の中にノイズが鳴り響いていました。

噂が噂を呼ぶ伝説のSUNN O)))のステージ。「アンプ3段積み×10台のフルヴォリューム」、「スモーク炊き過ぎてまったくステージが観えない」、「体の臓器にまで響いてくる低音」、「音圧に殺される」とか怖ろしい噂ばかりが先行していましたが、噂は全て真実でした。
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今回の初来日は昨年リリースされたSUNN O)))BORISとの地獄の共演アルバム「Altar」での来日。もちろんサポートにはBORIS。考えうる限りでは最凶の組合せでしょう。しかもグレッグ・アンダーソンスティーヴン・オマリーの通常2人のユニットであるSUNN O)))ですが、今回は何とOrenAmbarchi、そしてあのノルウェーの伝説のブラック・メタル・バンドMAYHEMのヴォーカリストAttila Csihar(アッティラ・シハー)も参加するというスペシャル・ユニットで登場するという恐ろしさです。
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さてサポートを務めるBORISがこれまたもの凄い轟音で1時間を越えるとことんヘヴィな重低音ドゥーム・サウンドをブチかましてくれた。アンビエント・サイドのborisと、ヘヴィ・サイドのBORISの垣根が決壊したようにこの両者が融合した超重低音サイケデリック・ドゥーム曼荼羅。この頃からもう耳鳴りがしてました。

セット・チェンジの時に、噂通りの3段積みのアンプが10台ステージに並べられると、これから起こる壮絶な光景を想像して何とも言えない不安と高揚感に襲われます。

そして遂にあのSUNN O)))のステージが始まりました。

f0045842_0251155.jpgもう凄いスモークでまったくステージが観えない中、黒装束を着た一人の男が登場。全く顔は見えないが、この男こそがあの泣く子も黙るブラック・メタルの帝王、あの伝説のMAYHEMのヴォーカリストであるAttila Csiharだ。まったくMAYHEMのメンバーが来日するというだけでも事件ですよ。そのAttilaがいきなりグレゴリオ聖歌のような荘厳で威圧的な声で歌い始める。しかも言語はサンスクリット語。もの凄い迫力です。オペラのような声から徐々に地獄の底から唸るような呻き声に変わっていく所など戦慄を覚えましたね。

そしてしばらくして、大量のスモークの中を黒装束に身を包んだ数人の男が登場。遂にフルメンバーでのSUNN O)))が降臨です。
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3本のギターに、サンプラー、チャイニーズ・ゴング、そしてAttila Csiharという6人編成。チャイニーズ・ゴングを叩くのはBORISAstuo。この6人から繰り出される音圧の凄さは覚悟はしてましたが、想像を絶してました。あまりにも凄まじい音圧で、「音の壁」が目に見えるんですよ。冗談ではなく本当に空間がねじれてるのが分かるんです。こんな経験は初めてですよ。その音圧に窒息死しそうで、もう一瞬でも気を抜くと魂ごと抜かれてしまうような考えられない壮絶な状況です。頭の中が漂白されて記憶が薄れていってるのが分かります。まったくシャレにならない状況です。

f0045842_0335934.jpg3人の黒装束がギターを高らかと掲げ、そのギターを揃って一気に振り下ろすと超大音量のハウリング・ノイズの音圧の塊が情け容赦なく襲いかかってきます。しかも音の威力で風が起こっているのが分かります。ありえません。Astuoの叩くチャイニーズ・ゴングのサイケデリックな残響音がその威力に更に拍車を掛けています。その昔AC/DCのアルバムに「ギター殺人事件」というタイトルがありましたが、今回のSUNN O)))のライブこそまさにギターによる殺人です。しかも大量虐殺!もうほんとにシャレになってませんよ。

しかし、どれだけの量炊いてるんだよ!ってくらいの凄いスモークの量。まったくステージ上が見えません。最前列くらいにいてもステージのメンバーの姿さえもはっきり分かりません。しかもステージ上だけでなく客席までもまるで濃霧の中にいるような状態で、自分の周り半径3メートルより先は何も見えません。途中でいなくなったと思っていたAttila Csiharでしたが、実はよく見るとステージ上の真ん中で座禅を組んでいました。それくらい何も見えないくらいのスモーク。全てが規格外のスケールです。
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そしてライティング!後光のような照らされる原色のライティング。更にはハレーションを起こす強烈に点滅するライティングにもう失神寸前。映画「バベル」を観たくらいで気分が悪くなっているヤツは瞬殺&即成仏な超危険な殺人的空間です。

聴覚も麻痺し、視覚までも麻痺、音圧で感覚までも麻痺させられ神経がイカレてしまいましたね。終演後、体が僅かに痙攣してました。とにかくSUNN O)))の表現するものはレコードだけでは全くもって不十分です。

毎回SUNN O)))のレコードにはこういう文章が載っている。

「Maximum Volume Yields Maximum Results」

最大ヴォリュームで聴けば最高の効果が得られます」― まさしくその通り!この文章の意味がライブを経験して体で理解出来ました。「ライブを観た」というより「臨死体験をした」と言った方が正しいだろう。こんな経験は2度と出来るもんじゃないでしょう。冗談ではなく本気で音圧に殺されたライブでした。あ~死ぬかと思いました。
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もし、もう一度SUNN O)))のライブを観る機会があれば私は必ず耳栓を用意する事でしょう。
 
 
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by Blacksmoker | 2007-05-21 00:53 | ライブレポート

何とこの人まで来日決定!!


マリーザ・モンチが来日間近というこのタイミングで、何とこの人の初来日公演が発表されました!

アドリアーナ・カルカニョット、初来日決定!
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いやぁ、今年はブラジル音楽ファンにとっては凄い年になりそうです。

マリーザのライヴァルでもあり親友でもあり、そのマリーザと並んで賞されるブラジリアン・ポップの歌姫アドリアーナ・カルカニョットが遂に日本にやってきます。しかもモレーノ・ヴェローゾドメニコカシンというブラジル新世代の最強トリオがバックを務めます!
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もう凄すぎです!一体どんなライブを見せてくれるんでしょうか?


<Adriana Calcanhotto with Moreno+Domenico+Kassin : Japan Tour 2007>

7月25日(水)恵比寿LIQUID ROOM
7月26日(木)恵比寿LIQUID ROOM

開場 18:30 / 開演 19:30
チケット一般発売日:5月26日(土)

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何で東京だけなんだよ!でもこれは行くしかないですね。
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by Blacksmoker | 2007-05-19 01:24 | ブラジル

マリーザ・モンチ来日記念! 特別企画:第2弾


さてあと約2週間後に迫ってきましたマリーザ・モンチの来日公演
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今回の来日は2006年にリリースされた2枚の新作アルバム「Infinito Particular(私の中の無限)」と「Universo ao meu redor(私のまわりの宇宙)」のツアーなので、この2枚のアルバムからの楽曲が中心となって披露されますが、各国での今ツアーのセットリストを見てみるとこの2枚のアルバム以外にもたくさんの曲が披露されています。その中で目を引くのが「トリバリスタス」のアルバムからの曲が多い事です。

今回紹介するこのトリバリスタスというのは、マリーザ・モンチのキャリアの中でもかなり重要なポジションを占めるプロジェクト(バンド)です。

2003年に結成されたこのバンドのメンバーは以下の通り。

マリーザ・モンチ
カルリーニョス・ブラウン
アルナルド・アントュネス

このブラジルを代表する個性派の3人によって結成されたこのトリバリスタスですが、一見意外な組み合わせのようでいて、実は至極当然な成り行きで結成されている。
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何たってアルナルド・アントュネスマリーザの91年の2ndアルバム「マイス」の時点で既に参加しているし、カルリーニョス・ブラウンの99年の2ndアルバム「オムレツ・マン」はマリーザがプロデュースしている。そしてアルナルドの2001年のアルバム「パラデイロ」は今度はカルリーニョスがプロデュース。その他にも彼らの共演・共作など数えたらキリがないくらい多い。ブラジル音楽界というのはどこかで誰かが繋がっている。どんなところにも必ず顔を出すカエターノ・ヴェローゾしかりである。

f0045842_22561024.jpgそんな人気・実力共に申し分のない3人が結成した超話題のこのバンドなので、やはりブラジル本国、それだけでなく世界各国でも大ヒットを記録。ブラジルではチャート・バスターな大ヒット・アルバムにもなりました。

このアルバム「トリバリスタス」(右写真)、世界中で大ヒットしチャートを賑わせたアルバムという事なので、未聴の人は果たしてどんなに派手で凄いアルバムなんだろうかと想像するでしょうが、実はこれが肩透かしを喰らうほど落ち着いた大人のアルバムなんです。私もこのアルバムが出た当時はカルリーニョスが暴れ回り、マリーザが弾けまくっているようなアルバムをイメージしていたので、その落ち着いたアルバム全体の印象に正直驚きでしたが、じっくり聴いてみるとこのアルバムの尋常ならざる完成度に舌を巻きました。アコースティックな音色を中心に、落ち着いていて、ある種地味でいて実はもの凄い凝った作りになっています。

やはりこのトリバリスタスの真の要はアルナルド・アントュネスだろう。2006年のソロ・アルバム「クアルケール」も完f0045842_230137.jpg成度の高い絶品のアルバムでしたが、トリバリスタスの根底、つまりリラックスしていながらもめちゃくちゃ緻密なつくりになっているこのアルバムのサウンドを支えているのがこの男であることに間違いはないだろう。歌詞も手掛け、他の楽器も操る鬼才ですが、何たってボトムの低いバリトン系の声が素晴らしい。そして文学的で非常に表現力豊かな歌詞も素晴らしいですよ。(カルリーニョス・ブラウンがやや控えめな感じがしますが)

さらにこの3人以外にもこのトリバリスタスを支える2人のミュージシャンがいます。1人は前回紹介したノヴォス・バイアーノスからダヂ(右写真)。もf0045842_23357100.jpgはや今のマリーザにはなくてはならない存在ですね。そしてもう1人はバイーア出身のセーザル・メンデス。この2人の働きが随所に光っている。ダヂの演奏する不思議なヴィオラォン、そしてセーザル・メンデスの弾くガット・ギターのアコースティックな響きがとても心地よいです。ちなみにダヂは様々な楽器を演奏しているが本業であるベースは一切演奏していないのが面白い。このセッションがいかにリラックスした雰囲気だったが想像出来ますね。マリーザいわくこの2人もトリバリスタスの一員との事。

さて、このアルバムの中で私の一番のお気に入りはPassf0045842_238958.jpge Em Casa(家においでよ)。この曲は今回のツアーでも披露されていますが、バイーアの女性シンガー、マルガレッチ・メネーデスを迎えたアルバム中一番ポップでダンサブルな名曲。アルナルドのクールな語りのようなヴォーカルにキャッチーな女性コーラスが絡み、カルリーニョス・ブラウン(左写真)の出す様々な効果音も耳を引き、とても良いアクセントになっている。そしてマリーザの吹くハーモニカが素晴らしい!

全体的にとても落ち着いたアルバムですが、非常に聴き応えのある素敵なアルバムでもあります。流行り廃りの波に一切左右されない音楽ですね。マリーザ・モンチのキャリアにとっても非常に意義のあるバンドでありますが、ブラジル音楽ファンにとっても同時に重要なアルバムです。
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是非マリーザのアルバムと同様に、このトリバリスタスもチェックしてみましょう。
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by Blacksmoker | 2007-05-17 00:28 | ブラジル

INFECTED MUSHROOM [Vicious Delicious]

f0045842_23947100.jpgサイケデリック・トランス・シーンを牽引するインフェクテッド・マッシュルームの6枚目のアルバム「ヴィシャス・デリシャス」。前作より約2年振りの新作ですが、サイケデリック・トランスの枠を大きく越えて進化した会心作!

イスラエル出身。エレズ・アイゼンアミット・デュブデブからなるこのサイケデリック・トランス・ユニット、インフェクテッド・マッシュルームももう10年目。同じイスラエルの同郷SKAZIと共にもはや人気・実力共に既に大物の風格です。

彼らはS.U.N.PROJECTJUNO REACTOR、そしてSKAZIらと同様にダークなサイケデリック・トランスにロックの肉体性を融合させ、主にライブをメインに据えた活動においてその実力を発揮してきたユニットだ。
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アミットがヴォーカルも兼任し、そしてギタリストも参加しヘヴィ・メタルなギターを炸裂させるライブはSKAZIと同様に異常な盛り上がりを見せます。もはやエレクトロニック・ロック・バンドですね。

様々な音楽を融合し常に進化してきたインフェクテッド・マッシュルームの新作はこれまた様々なジャンルを横断しながら疾走するカッコ良すぎるアルバム。いろんなジャンルを横断しているが最終的には「カッコイイ」という言葉に帰結しているのがイイですね。
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超大ヒットの1曲目Becoming Insaneなんて、イントロからフラメンコ・ギターが盛り上げ(JUNO REACTORの名曲Pistoreloに匹敵します)、ラテン語のヴォーカルとヘヴィなディストーション・ギターがうねる扇動的必殺キラー・チューンに即死でしょう。そしてHIP HOPユニット、スウォールン・メンバーズがラップする2曲目Artilleryなんてf0045842_2332026.jpgBPMがたったの100!もはやサイケデリック・トランスとは思えないナンバーです。3曲目のVicious Deliciousもサイケ・トランスのビートかと思いきやいきなりロックな展開を見せながら疾走しまくるダーク・サイケ・チューン。冒頭の3曲を聴くだけでももう5~6曲は聴いたんじゃないかと思うくらいのヴァラエティの幅と展開の多さです。BPMが110のエレクトロニック・ロックなトラックに思いっきりポップなヴォーカルが乗るForgive Meなんて新境地も見せてくれます。

でもやっぱりカッコイイのはBPMが140以上で激走するアッパーなサイケデリイク・チューンですね。でもインフェクテッド・マッシュルームの音は、アゲアゲにはならずダークさを感じさせるのがイイ。
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サイケデリック・トランスの枠を越えたロック・テイスト全開のこのインフェクテッド・マッシュルームの新作。めちゃくちゃカッコイイので良い子は必ずチェックだ!
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by Blacksmoker | 2007-05-15 00:13 | PSYCHEDELIC TRANCE

マリーザ・モンチ来日記念! 特別企画:第1弾

さあ、いよいよ5月末に迫ってきたブラジル音楽界の女王マリーザ・モンチ15年振りの来日公演(公演日はコチラ)!
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そのマリーザ・モンチの待望の来日を記念して、マリーザをより知ってもらう為にマリーザに関係するアイテムをいくつか紹介していきたいと思います。

さて、今回の来日公演では10人編成で行われることが公式にアナウンスされていますが、そのバンドの中に注目のメンバーがいます。
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まずはベーシストを務めるダヂ。この人は現在50歳を越える年齢ですがここ数年はずっとマリーザのバンドに参加しています。そしてギタリストを務めるのはペドロ・ベイビー。前回のツアー・メンバーだったダビィ・モライスからギタリストの座を引き継いでいます。実はこのダヂ、そしてペドロ・ベイビー、さらには前任ギタリストのダビィ・モライスと、この3人にはある共通のバンドが関係しています。

それが今回紹介するバンドOS NOVOS BAIANOS(オス・ノーヴォス・バイアーノス)です。
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その名(ノーボス・バイアーノス新しいバイーア人)が示す通り、1968年にブラジルのバイーアで結成されたバンドです。男女2人のヴォーカリストを擁し、3人のパーカショニストもいる総勢9人組の編成。当時はメンバー全員が10代~20代という若さであったので、ショーロやバイアォンなど伝統的なブラジル音楽にボサノヴァ、そして60年代後半の欧米のロックも融合させた音楽をやっていました。ちょうどこの60年代後半というとカエターノ・ヴェローゾジルベルト・ジルらが興した「トロピカリズモ運動」が軍事政権に弾圧されていた時期でもありカエターノジルベルトはロンドンに亡命中。その彼らの意志を受け継ぐ形でこのノーヴォス・バイアーノスは結成されたと言われています。
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さて前置きが長くなりましたが、このノーヴォス・バイアーノスマリーザのバンド・メンバーにどう関わっているかなんですが、実はマリーザのバンドでベーシストを務めるダヂはこのノーヴォス・バイアーノスのベーシストなのです。そして現在マリーザのバンドのギタリストであるペドロ・ベイビーはこのノーヴォス・バイアーノスの女性ヴォーカリスト、ベイビー・コンスエロ(現在はベイビー・ド・ブラジルに改名)の息子。そしてそして前任ギタリストだったダビィ・モライスも、ノーヴォス・バイアーノスのリーダーでありヴォーカリストのモライス・モレイラの息子なのです。

要するに家族ぐるみで繋がっているわけですよ。余談ですが、先日友人の結婚式に行きまして、その新婦のお兄さんの奥さんがブラジル人なんですが、ブラジル人の親子の関係は日本人のそれとはかなり違っていて、まるで友人か兄弟のような関係だということを痛感しましたね。だからブラジル音楽界では、親子や親族同士が繋がっているバンドなんて珍しいものでも何でもないのですね(アフリカとかもそうですよね)。

さて是非聴いて欲しいのがこのノーヴォス・バイアーノスが1972年にリリースした2作目「Acabou Chorare」(アカボウ・ショラーレ)です。これf0045842_2325011.jpgは当時の才能に溢れたブラジルの若者のエネルギーが爆発した素晴らしい傑作であり、さらには70年代ブラジル音楽シーンにおいても記念碑的な作品であります。ここにはカエターノらがリリースしたあの名作「トロピカリア」と同様のエネルギーが感じられます。まさしくトロピカリズモ直系のフラワーチルドレンです。そしてブラジルの伝統音楽を大切にしながらも、自分達の音楽を創ろうという外へ向けた力が非常に感じられます。しかも更に凄いのは今聴いてもまるで30年前の音とは思えないことです。普通に聴いたら今の若いバンドがリリースした新作のようなフレッシュさです。このバンドの先進性が分かりますね。このアルバムは1997年に初めてCDとして復刻され世界中の多くの人が感動した傑作です。

f0045842_23182064.jpgやはり特に目(耳)を引くのは女性ヴォーカリストのベイビー・コンスエロ(左写真)の歌声と、モライス・モレイラのギター。ベイビー・コンスエロの少し舌足らずで、少女のようにあどけない声がとてもチャーミング。そしてモライス・モレイラの緩急豊かで変幻自在のギターが凄過ぎます。アコースティックからエレクトリック・ギターも自在に使い分け、トリッキーで印象的な演奏を見せていて驚異的です。終盤のUm Bilhete Prá Didiのギターは圧巻過ぎて言葉が出ませんよ。

そしてマリーザ・モンチも実はこのアルバムからの曲をカヴァーしております。彼女の1997年のアルバム「ア・グレート・ノイf0045842_2319152.jpgズ」(スタジオ録音とライブ録音を合わせたアルバム)でこのノーヴォス・バイアーノスA Menina Dançaをカヴァーしております。ベイビー・コンスエロの繊細であどけない歌声を、マリーザが歌うと実に堂々たる曲になりますがこの曲を現代に見事に蘇らせた実に素敵な名演です。この当時マリーザは、モライス・モレイラの息子であるダビィ・モレイラと付き合っていたそうですね。思わぬ形でノーヴォス・バイアーノスに注目が当たったと言って良いでしょう。

現代に蘇ったこの素晴らしい名盤。是非一度マリーザの音楽と共に聴いてみて欲しいです。
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by Blacksmoker | 2007-05-12 00:36 | ブラジル

澤野工房!

「澤野工房」

この名前は、もはやジャズ・ファンにとって絶大なる信頼を誇る。そして我が大阪から世界に誇る超優良ジャズ・レーベル。ジャズ・ファンならば必ずその名前は耳にしたことがあるはずです。小さなレーベル(従業員僅か5人)にもかかわらず、大手メジャー・レーベルを凌ぐ売り上げを記録しているというから驚きです。

本日その澤野工房にお邪魔してきました。大阪市浪速区の通天閣の目の前の商店街の中にあります。これがその写真↓。
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はっきり言って、世界に名立たるジャズ・レーベルだとは全く思えません(笑)。

実はその「澤野工房」、本業は草履屋(これは結構有名な話)。

1985年に、この草履屋さんの4代目澤野由明氏が「澤野商会」という名前で興したレーベルです。当時はジャズ・レーベルのクリス・クロスと専属契約したりしてジャズ・レコードを販売していましたが、全く上手くいかず瀕死状態に陥っていた(由明氏談)ようですf0045842_22565731.jpgが、1995年にヨーロッパの幻と言われたジャズの復刻盤をアナログで限定1000枚それぞれ5タイトルずつリリースしたのが見事に完売になったことから軌道に乗り出し、98年にはCD販売を開始し、ジャズ・ファンからは確固たる信頼を築いています。その確かな耳で発掘したヨーロッパのジャズ・ミュージシャンの素晴らしさ、そしてその質感にまでこだわったパッケージングの装丁に至るまでまさに「澤野ブランド」という一種の信頼を確立した素晴らしいレーベルです。

さて、この草履屋の中に入るとその一番奥の壁に申し訳なさそうにCDが陳列されていました。何度も「ほんとにこれが世界の澤野工房なのか?」と思ってしまいますが、そうなんです(笑)。そして店には普通に澤野由明社長がいました。しかも普通に喋り掛けてくれました。凄い穏やかで気さくなオジサンでいろいろとお話させていただきました。自分が澤野商会を興した時の苦労話とか、ジャズ・ミュージシャンを来日させた時の話とか面白い話ばかりしてくれて凄い感激でした。

丁寧に説明してくれる女性スタッフがいろいろ視聴させてくれるしマジで感動しました。しかも2500円のCDを全て2000円にしてくれたし。

その澤野社長から教えてもらいましたが、6月に来日するアメリカ在住の日本人ベーシスト北川潔の新作が10月頃澤野工房からリリースされるそうで、ドラムには再びブライアン・ブレイドが参加しているそうです。「この前NYで録音してきたばかりだけど、凄いレコードになる!」と自信満々でした。12月には来日もするそうなので要注目ですね。去年ビル・フリーゼルの来日公演ブライアン・ブレイドを観た話をすると、澤野社長も来てたそうで楽屋に呼ばれたとかいろいろ面白い話をしてくれました。

大阪近郊の人は是非一度訪れてみて下さい。でも、あまり仕事の邪魔はしないように。

今回は結構気になっていたフランスのピアノ・トリオ、ルネ・ユルトルジェ・トリオのライブ盤「Trio Live」を購入。
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ハンガリーのピアノ・トリオ、ロバート・ラカトシュ・トリオも聴かせてもらいましたが、気分的にルネ・ユルトルジェがハマりました。



※近く「favorites International」代表仲田敬之氏との澤野工房についての対談をUPしますのでお楽しみに。
 
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by Blacksmoker | 2007-05-10 00:42 | JAZZ

KEITH JARRETT TRIO @フェスティヴァルホール 5/3(木) 2007

GWはいろいろなイベントがありましたが、私はキース・ジャレットのライブに行ってきました。

ここ最近はずっと恒例化しているキース・ジャレットをリーダーとするトリオでのライブ。ゲイリー・ピーコック(Ba)とジャック・ディジョネット(Dr)というお馴染みの編成です。このトリオは1977年から30年以上も続くもはやジャズ界の「至高のトリオ」です。
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まず黒いカーテンが張られている大きな舞台にはピアノとダブル・ベースとドラムの3つの楽器が中央に寄せられている。それだけ。印象的な照明もなし。ほんとに何もない。この異様なシンプルさを誇るステージに驚きだが、裏を返せばたったこれだけで見せられるというのもある意味凄い事です。

さて開演時間を少し過ぎた頃に、亀のようにゆっくりと歩きながら御大以下トリオの面々が登場。各自、無言で所定の位置に付き穏やかに演奏スタート。静かに静かに音が鳴り出すピアノに、これまた静かにドラムが入っていきます。流麗なピアノと控えめなドラムにヨーロッパ的なものを感じますが、ベースはゴツゴツした荒い音で非常に異物感を感じるのがこのトリオの音の特徴です。

「ジャズのトリオ」と聞くと、普通はf0045842_065097.jpg各パートのせめぎ合いの予測不可能なスリリングさが見物だったりしますが、このトリオはゲイリー・ピーコック(左写真)が70歳ジャック・ディジョネット65歳、そして一番若いキース・ジャレット61歳という超高齢トリオなので、バトルというよりも「演奏の調和」というか、このトリオが生み出す造形美を表現することに重きを置いた演奏になっています。ここがやはり中高年層に無理なく受け入れられる理由でしょうね。もう絶大なる安心感が得られます。そしてもはや「キース・ジャレット・ブランド」とも言うべきこの流麗なピアノが素晴らしい。

終始にこやかな御大キース・ジャレット。ジョークも言うしご機嫌です。照明の温度が熱すぎて何回か下げるように指示をしてるときもステージを歩き回って愛想を振りまいてましたし、どこかのバカな客が演奏中にいきなり携帯を鳴らしてしまい会場中にその間抜けな音が響きわたってしまった時も、一瞬演奏を止めて客席を覗き込み、わざわざ「I’m sorry!」と言って会場を笑わせてみたりとご機嫌でしたね。

完全即興演奏ではなくあらかじめ決まっている曲の途中でインプロヴィゼーションを盛り込む構成。私はキース・ジャレットを聴きまくっている程のマニアでもないし、正直言って全然詳しくはないですが、何曲かは聴いたフレーズもあり(「Standards,Vol.2」のI Fall In Love Too Easilyなど)楽しめましたね。

そして恥ずかしながら今回のライブを観て初めて気づいた事があります。実はキース・ジャレットのレコードを聴いていると、彼のピアノの後ろで人の鼻歌のようなものを頻繁に耳にします。聴く度にぼんやりと「何の声なんだ?」と思っていましたが、これってキース・ジャレット本人の声だったんですね!実際に観て初めて気が付きましたよ。演奏がノッてくると、ピアノに合わせて陽気にキース本人が歌うんですね。この発見は個人的には大きかったです。イスから腰を上げながら元気にピアノを弾く姿にも驚きでした。
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ゲイリー・ピーコックはやや同じフレーズが多く感じましたが、これも安定感は抜群。ジャック・ディジョネット(上写真)のドラミングはピアノを浮き立たせるようなサイドマン的役割を果たしながらも随所に光る技を取り入れた至高のドラミングが素晴らしかったです。そしてキース・ジャレットの流麗極まりないピアノ。まさしく天上の音。昔はマイルス・デイヴィスとしのぎを削っていたほど男が辿り着いたのはこんなに美しい桃源郷のような世界。ライブ中にふと周りを見るとウトウトして眠っている人がほんとにたくさんいましたが、こればかりは仕方がないでしょう。しかもキース・ジャレットのピアノをバックに寝れるとは何たる贅沢な事か。

個人的に一番感動したのが本編が終わって、アンコールの1曲目に演奏されたYou Belong To Me。このロマンティック過ぎるピアノと押さえに押さえたベースの演奏にウットリでしたね。この後一旦ステージ袖に消えた3人がまた亀のようにゆっくり歩いてきて、もう1曲演奏してくれました。とりあえずその動きのスローさに笑えましたね。やはり楽器持ってなきゃただのおじいちゃんです。
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スリリングさとは無縁ですが、この王道中の王道ジャズ。たまにはこういうのも良いもんですね。
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by Blacksmoker | 2007-05-07 00:02 | ライブレポート