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ADRIANA CALCANHOTTO [Adriana Partimpim O Show]


うお~、あと1日!!

個人的にはかなり盛り上がってきてます!アドリアーナ・カルカニョット初来日公演が遂に間近に迫ってきました。
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今年はブラジル音楽界からはマリーザ・モンチという超大物が15年振りに来日を果たしましたが、そのマリーザから僅か2ヶ月後にアドリアーナ・カルカニョットまで来日するなんて2007年は夢のようです!

さて、まだまだ知らない人が多いと思うので、このアドリアーナ・カルカニョットを紹介したいと思います。アドリアーナは1965年ブラジル南部のポルト・アレグレ出身のシンガー。1990年にデビューして今までに7枚のアルバムをリリースしています。
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マリーザ・モンチがブラジル音楽の伝統を大きく受け継いでいるディーヴァ的な立ち位置に対して、アドリアーナ・カルカニョットを一言で表すなら「異端児」。この人は少し変わっています。「不思議ちゃん」と言ったらいいのだろうか、少し掴み所のない変な人なのです。しかしこの独特な不思議な雰囲気の中にも、一本芯の通ったアドリアーナ節とも言えるメロディが非常に印象的。日本人ミュージシャンで言うならUA、海外のミュージシャンで言うならビョークといったところでしょうかね。
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その彼女のリリースする曲はいわゆるポップではあるが、実験的でひねくれた一筋ならではいかない曲ばかり。しかしアドリアーナの凄いのは、リリースする曲がことごとくヒットしてブラジルの国民的な人気を得ているところだ。実験性とポピュラリティを両立させている数少ない存在なのです。その彼女の音楽は彼女が師事するカエターノ・ヴェローゾの音楽に拠るところが多い。彼女の実験精神はトロピカリズモの影響を多分に受けているのです。

f0045842_2110112.jpgさて、そのアドリアーナ・カルカニョットのアルバムは全て紹介したいくらいの名作揃いですが、今回紹介するのはアドリアーナ・カルカニョットの魅力を存分に堪能出来る映像作品です。アドリアーナを知るにはアルバムを全て聴くよりも映像作品を観て頂くのが早いと思います。彼女の映像作品は今までに2作品リリースされていて、2つとも全く異なる性質なので両方ともチェックして欲しいのですが、視覚的にかなり面白いこのDVD「Adriana Partimpim O Show」アドリアーナ・パルチンピン オ・ショー)を紹介します。

これは今のところアドリアーナの最新作にあたる2004年のアルバム「Adriana Partimpim」に伴うツアーでのライヴ映像になります。このアルバム「Adriana Partimpim」自体がf0045842_21103545.jpg非常に面白く、「子供に向けたアルバム」というコンセプトを元に作られている。しかも彼女の幼少期のニックネーム「アドリアーナ・パルチンピン」名義で発表されているのも面白い。でもこれは「子供向け」という言葉に油断すると痛い目を見るアルバムだ。ポップさとアヴァンギャルドさにかけてはアドリアーナ史上最高値。中毒性もハンパない。コンセプトは子供向けだが、大人が聴いても全く問題ない完成度を誇ります。舐めてかかると返り討ちに遭う凄いアルバムと言っていいでしょう。

参加メンバーもアドリアーナの脳内音楽を具現化するには相応しい曲者ミュージシャン揃い。ブラジル音楽の新世代ミュージシャンの筆頭とも言えるドメニコカシンモレーノカエターノ・ヴェローゾの息子)という「どんな楽器でもこなしますよ」的未来派職人集団(右写真)から、最近のカエターノ・ヴェローゾのライヴでも異様な存在感で衆目をf0045842_21111999.jpg集める天才ギタリストのペドロ・サー、そしてマリーザの来日公演でもドラムを担当していたマルセロ・コスタアントニオ・カルロス・ジョビンの孫でもあるピアニストのダニエル・ジョビンなど超豪華なメンバーがホントに様々な音を出しています。ギター、ベース、ドラムといった従来の楽器以外にも、ヴィオラォンやパンデイロといったブラジル音楽特有の楽器などももちろんありますが、更にスクラッチ音やMPC2000などの効果音的なサンプリング音も随所に飛び出し、クラリネットなどの管楽器なども加えてもうその音世界はオリジナリティに溢れています。

そして驚異的なのは、その音楽の全てが「ポップ」という枠に収まっている事。誰でも一発で覚えられ、すぐ歌えるメロディラインはほんとに見事と言うしかない。そして、隠そうとしても自然と体から発せられるアドリアーナのアート的な臭いもやはり強く残っており、その存在感は比類なきものになっています。
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さて、前置きが長くなりましたがこのDVDの中身です。

前述したそのアルバムのツアーなので、ライヴも凄いことになっています。客席前方はほんとに子供(というか幼児)ばかり!その前でアドリアーナが「歌のお姉さん」ばりに歌って踊って見せるのです。
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小さい子供が相手ということもあって、視覚的に最高に面白い演出ばかりで、全く飽きさせない。何たって最初の天井から風船に乗って降りてくる登場シーンからもう面白すぎです。
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服装もいろんな被り物を使ったり、アドリアーナも含めバンド・メンバー全員が楽器を入れ替わり立ち代りで交換しながら演奏します。ステージ上に置かれている様々なオモチャを完全に楽器の一部として使って演奏します。例えばカエルのオモチャの鳴き声とか、お皿を叩く音とか、水槽に入った水の音とかが全部演奏に使われるのです。遊び心満載で観ている方も、演奏している方も非常に楽しめます。ビョーク(金の亡者)が泣いて悔しがりそうなアイディア満載のステージが展開されます。
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そしてアドリアーナの抜群の存在感は健在。非常に美人だし聡明そうな容姿ですが、コケティッシュで、ミステリアスな雰囲気も携えていてその存在感は唯一無二。この映像を観ていると、どんどんアドリアーナ・カルカニョットの魅力に引き込まれていくでしょう。「女カエターノ」とか「現代のトロピカリスタ」といった彼女を形容する言葉がまったく嘘偽りない事が良く分かります。曲もポップ度全開の曲ばかりなので、全く曲を知らない人でも充分に楽しめて、更にはアドリアーナの魅力にヤラれてしまうこと間違いないです映像作品です。
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個人的にはアルバムよりもライブが凄い人だと思いますので、もし初めて聴く人はこの映像作品から入っていって欲しいですね(ブラジル盤のDVDは値段が高いですが…)。

さて、このライヴDVDではドメニコカシンモレーノの「未来派職人集団」は参加してないですが、今回の来日公演では遂にアドリアーナとこの3人が邂逅します(この数日後に、この3人はakikoのバックバンドでフジロックに参戦します!)。事前の告知では全員の担当楽器が告知されていますが、「あくまで担当楽器は予定です」という素晴らしく心踊る文字が載っていました。ドメニコ曰く「アドリアーナがどんな楽器を担当するかは楽しみにしておいて欲しい」との事で、どんな面白いステージが展開されるのかかなり楽しみですね!
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東京のみの2日間公演(日程はコチラ)ですが、私も大阪から参戦してきます!

レポートは次回!
 
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by Blacksmoker | 2007-07-25 00:02 | ブラジル

RYAN ADAMS [Easy Tiger]


ライアン・アダムスの才能はとどまる所を知らない。その溢れるアイディアが枯渇する事はまだまだないようだ。
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2000年にソロ・デビューして以降、7年間で早くも9枚目となるアルバム「Easy Tiger」の登場です。

f0045842_23342483.jpg2005年は3枚ものアルバムをリリース(フジ・ロックでのライブをキレて途中退場というのもありました)、そして2006年は全米・全英・欧州ツアーを行いながら、ホームページで大量の未発表音源を公開したり、更にはウィリー・ネルソンのアルバム「Songbird」のプロデュースと常に精力的で多忙な活動をしていましたが、2007年はこのアルバム「Easy Tiger」から始まります。

さて、ここではっきりさせておきたいのはライアン・アダムスは多作家だが、濫発しているわけではない。ライアンはアルバムでリリースする曲には一切手を抜かない。リリースを重ねるごとにどんどんアルバムのクオリティが上がっているのが凄いです。アルバムを重ねるごとに増す円熟さ(まだ32歳ですが)や、曲の深みにはほんと脱帽するしかないですね。

そのライアン・アダムスの最新化型がこのアルバム。ライアン・アダムスという男の「現在」を感じられると共に、彼のキャリア史上最高作と言えます。以前と変わった事は何もやってないし、音がドラスティックに変化したという事も一切ないが、曲の深みやヴォーカリストとしての深みのある声は、やはり2005年にリリースした3枚のアルバム群と比べても上がっています。
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今作の作風としてはライアン・アダムスの得意とするカントリー・ロックを主体としています。現代版THE BYRDSロデオの恋人」とも言うべき2005年のアルバム「Jacksonville City Nights」を更に推し進め、「Cold Roses」や「Love Is Hell」で披露したアート・ロック的な要素を上手く融合させている。

今回もライアンのバックを支えるのはザ・カーディナルズ
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このザ・カーディナルズの演奏はほんとに素晴らしい。演奏のダイナミズム、バンド全体の心地よいアンサンブル、各楽器の印象的なフレージング、隙間を持たせた「静」の表現方法など、個人的にはこのザ・カーディナルズの音にはあがない難い力を感じます。断然ソロの時よりもザ・カーディナルズとの音の方が好きですね。ニール・ヤングにはクレイジー・ホースがいるように、ブルース・スプリングスティーンにはE・ストリート・バンドがいるように、トム・ペティにはザ・ハートブレイカーズがいるように、ライアン・アダムスにはザ・カーディナルズがいる。このライアンザ・カーディナルズの生み出すマジックは素晴らしいです。

さて、このザ・カーディナルズのメンバーで注目したい男がいます。

2006年から加入したギタリスト、ニール・カサール
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このニール・カサールの加入によってライアン・アダムス&ザ・カーディナルズは更なるスケールアップと遂げたと言っても過言ではない(フジロックのステージでベースを弾いていた紅一点のキャスリーン・ポッパーは離脱した模様)。

ニール・カサールは自身もシンガー・ソングライターとして活躍するアーティストで、2006年には2枚目となるソロ・アルバム「No Wish To Reminisce」(左写真)をリリースし、来日公演もf0045842_2343257.jpg行っています。ちなみに、このアルバム「No Wish To Reminisce」はホントに素晴らしく、アメリカン・ロック/フォーク・ロックの傑作なので、是非ともチェックして欲しいです。ニールはまたヴォーカリストとしても非常に素晴らしく、クセのない伸びやかな歌声がこれまた良いんです。今回の「Easy Tiger」では、そのニールが非常に重要な役割を果たしています。バッキング・ヴォーカルや叙情感たっぷりのスライド・ギター、印象的なエレクトリック・ギターのフレージングなど大活躍です。ちなみにジャケットのライアンの写真もニールが撮影しています(最近のライアンのアーティスト写真はニールが撮影しているものがほとんどです)。

さてこの素晴らしいアルバム、全曲解説したいくらいですが、長くなるのでやめときますが、ホントに良いですね。ライヴで盛り上がるのが目に見えるHalloweenheadや、シェリル・クロウがコーラスで参加した叙情的なカントリー・ロックTwoグラム・パーソンズの魂が乗り移ったようなTears Of Gold、思いっきりブルーグラスなPearls On A Stringライアンのハーモニカが超メランコリックな感動的なバラードI Taught Myself How To Grow Oldなど素晴らしい曲ばかり。ライアンのアルバムの中でも最高作でしょう。
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是非とも、後世に確実に名を残すであろうこの天才の「今」を聴いてみて欲しい。
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by Blacksmoker | 2007-07-22 00:08 | ROCK

「チューバイカ.com」ホームページ完成!

 
2年前より行っているDJパーティ「チューバイカ」

ホームページも完成しました!

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チューバイカDJsの紹介やら、チューバイカに関する様々な情報をUPしていってますので是非チェックしてみて下さい。現在はマイメンmDA氏によるDJミックスのmp3もUPされてます。


「チューバイカ.com」 ⇒ コチラ
チューバイカDJsの紹介 ⇒ コチラで!


そして次回「チューバイカ Vol.12」は8/18(土)開催です。是非お越し下さい。
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今回のBLACKSMOKER23時20分の登場!いつもは深夜帯の登場が多いのですが、今回はチューバイカでは最もお客さんの多い時間に登場。レゲエのフル・ジョグリング・セットで臨みます!電車でお越しの方でも終電ギリギリ間に合うので是非とも見に来てくださいね。
 
 
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by Blacksmoker | 2007-07-18 11:34 | 告知

TIMO LASSY [The Soul & Jazz Of Timo Lassy]


昨年遂にアルバムをリリースし、その全貌を現したフィンランドのジャズ・グループ(というかプロジェクト)、ザ・ファイヴ・コーナーズ・クインテット
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50~60年代のジャズを現代に蘇らせるというコンセプトの元、見事なまでのサウンドを聴かせ、クラブ・ジャズ・シーンでも大ヒットを記録。私もその後に行われた来日公演を観に行きましたが、かなり素晴らしいプレイを見せてくれました。

f0045842_0325673.jpgそのファイヴ・コーナーズ・クインテットからテナー・サックス/バリトン・サックス奏者のティモ・ラッシーのソロ・アルバム「The Soul & Jazz Of Timo Lassy」が登場。これは、ジャケのクールで大人しいイメージとは180度違う肉体的な躍動感溢れるハード・バップの会心作。これぞ新世代ジャズの最新化型!こんなカッコいいジャズ・サウンドはなかなかお目に掛かれるもんじゃない。

1974年フィンランドのヘルシンキ生まれのこのティモ・ラッシー。10代で既にジャズに目覚め、サックスを学んでいたという早熟さで、ヘルシンキの名門音楽院「シベリウス・アカデミー」で本格的にジャズを学んでいる実力派です。2005年にファイヴ・コーナーズ・クインテットに加入。一気に注目を浴びる事になります。
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さて今回のソロ・アルバムではファイヴ・コーナーズ・クインテットの時とは少しテイストが違いラテンやアフロ・キューバンな「リズム」を強調した更にダンサブルなジャズを展開する。とにかく稚拙な言葉で申し訳ないが、コレが非常にカッコイイのだ!バリバリにブロウするテナー・サックス!体のデカい黒人ハード・バッパー並みに豪快なブロウに聴いているコチラも体が熱くなります。ファラオ・サンダースのようにブロウしまくるサックスが最高にクールです。

そしてこのアルバムではそのティモ・ラッシーの豪快なサックスに負けじと参加メンバーのプレイもめちゃくちゃ熱いです。
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ユッカ・エスコラアンチ・エーリカイネンテッポ・マキネンの3人がファイヴ・コーナーズ・クインテットから参加。アルバムのレコーディング・メンバー6人の内、実に4人がファイヴ・コーナーズ・クインテットのメンバーというファンにはたまらない編成。そして残りの2人は同郷フィンランドからトロンボーン奏者ミック・ムストーネン、そしてギリシャ人のピアニスト、ジョルジオス・コントラフォリウスが加わっている。この6人各人が素晴らしすぎる演奏でこのアルバムを彩っています。

特筆すべきはドラムのテッポ・マキネン(左写真)。昨年のファイヴ・コーナーズ・クインテットの来日公演でもf0045842_049385.jpg超絶なドラミングを見せてくれたこのテッポ・マキネンが今回も凄い。ドラムだけでなくパーカッションやヴァイブも担当し大活躍しています。このテッポ・マキネンは、ユッカ・エスコラのソロ・アルバムに続きこのアルバムでもプロデュースや作曲も担当しており、その才能には脱帽するしかない。まだ33歳なのに物凄い才能ですよ(まあファイヴ・コーナーズ・クインテットのメンバーは全員かなり若いんですが)。そしてもう一人がピアノのジョルジオス・コントラフォリウス。彼はフィンランドに在住しているそうでヘルシンキでジャズをやっている人で知らない人はいないと言われる程の実力派ピアニストだそうです。確かにフロントに出過ぎず、バックでさりげに凄いソロを聴かせるプレイはとにかくその実力が嫌でも垣間見れるし、そのタッチのやわらかさは自然に耳に入り込んできます。最高にクールな演奏にホントに熱くなりますね。

まずは昨年、既にシングル・カットされてヒットした1曲目High At Noonをチェックして欲しい。軽くぶっ飛ばされますよ。テッポ・マキネンのラテン・グルーヴ満載のドラムに絡むティモ・ラッシーの吼えまくるテナー・サックスのブロウ!最初の1分でもう勝負アリです。この曲だけでも聴く価値はありますね。
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そして大人のロマンティックなムード漂うLove Moan。ここでのティモ・ラッシーのサックスはまるで人間が喋っているような錯覚に陥る流暢なサックス。様々な表情を見せるティモのサックスは素晴らしいですね。全体的にはラテン的リズムを強調したダンサブルな本格的なジャズに血が騒ぎます。

これは「クラブ・ジャズ」という括りではなく本物のジャズ。ヨーロピアン・ジャズの屈指の傑作として是非このティモ・ラッシーのソロ・アルバムに触れてみて欲しいですね。
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by Blacksmoker | 2007-07-16 00:13 | JAZZ

MAVADO [Gangsta For Life]

2006年のレゲエ・シーンで最も注目だった新人アーティストがGYPTIANだった。アルバム「My Name Is Gyptian」も大ヒットし、一気に大物の仲間入りを果たしたといっても過言ではないでしょう。

そして2007年はこの男がレゲエ界を震撼させる!

その男の名はMAVADOマヴァード)。
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この男は危険です。2年前にリリースしたReal McKoyでBussして以降、次々とヒットを連発しているそのMAVADO、現在ジャマイカのみならず全世界のレゲエ・ファンから最も注目されるこの男が遂に1stアルバム「Gangsta For Life」を完成させました。これは超強力です。

f0045842_15582176.jpgさてこのMAVADOですが、ジャマイカのギングストン生まれ。キングストンな中でもかなりのゲットー・エリアと言われるカッサヴァ・ピースの出身だ。ゲットー生まれの筋金入りのギャングスタとしてMAVADOは育ってきたわけです。アルバムのタイトルが物語るように「俺は一生ギャングスタだぜ」という超ハードコアな姿勢を貫いています。MAVADOは自分の事を「バッドマンDJ」と言っているが、そのスタイルはシンガーに近い。しかしリアルなゲットーを歌うDJ的な所も多分に持ち合わせている。いわゆるシングジェイなスタイルですね。ガラ声寸前のハスキーな声で伸びやかに歌い上げ、時に畳み掛けるようにライムを吐き出します。

その独特なラフでタフな歌声の凄みはハンパないです。ギャングスタといして生きてきた年季がその声からヒシヒシと感じられます。アイス・キューブとかスヌープ・ドッグとか50 CENTとか初めて聴いたときに感じるものと同種のものを感じるでしょう。「うわぁ~悪そうだなぁ!!」的な印象です。
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合言葉は「Anyway~!Gangsta For Life~!」。とにかく現場で「エニウェ~イ!」と聴こえたらそれは間違いなくMAVADOだ。

MAVADOが注目されるキッカケとなったのは、2005年にあのバウンティ・キラー率いる「アライアンス・クルー」に所属した頃から。数々のトラブルや抗争などで名を上げる事になったそうだ。本当に筋金入りのギャングスタですね・・・。師匠格のバウンティ・キラーと敵対するビーニ・マンや、アライアンス・クルーを離脱した兄貴分ヴァイヴス・カーテルまでも名指しでDisする事でその名を知らしめてきたのは有名な話です。

さて数々のハードコアなビッグ・チューンで勝ち上がってきたf0045842_1643316.jpgこのMAVADOが遂に放った1stアルバム「Gangsta For Life」。過去のビッグ・チューンReal McKoyDreamingTop Shotta Nah Missなどもガッチリ収録されている他、Brand Newな新曲をギッシリ詰め込んだスキットを併せて25曲というフル・ヴォリューム!単なる寄せ集めではない超危険でストリートなアルバムです。全編に渡ってハードコアで、ギャングスタなギラついた空気が流れています。荘厳で不穏な雰囲気を持ったドラマティックなオケが非常に多いです。イントロ一発でライター&拳を上げるチューン満載!狙った獲物はハズさねぇと歌うTop Shotta Nah Missなんて今一番現場で盛り上がる曲と言っても過言ではない。

全編に渡るリアルでハードコアなそのリリックに耳がいきますが、ギャングスタに憧れて無駄死にしていく若いヤツラを歌ったDyingや、ゴスペル的要素を採り入れたBorn & Raised、物悲しいSadnessなどのナンバーにも注目です。ゴリゴリなハードコアな男が見せる一瞬の人間らしさというものに得てして人間というものは惹かれるものです。
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まだまだ荒削りでラフな所はありますが、その若さ漲る圧倒的なパワーで一気に押し切ってしまう勢いが凄いです。若さと言えば、このアルバムの中のWeh Dem A DoAmazing GraceTop Shotta Nah Missのプロデュースを手掛けたスティーヴン・マクレガーという人物。最近ジャマイカで最も注目されているトラック・メイカーですが、何と15歳だそうです!どんだけ若いねん!あのフレディ・マクレガーの息子だそうですね。凄い才能に驚きです。

今年のジャマイカを揺るがすこの男のデビュー・アルバム。かなりタフなアルバムです。是非ともチェックして欲しいです!

ちなみにこの6月にMIGHTY CROWN主催の「World Connection」で来日予定でしたが、キャンセルになってしまいました・・・。何でも契約後にMAVADO側がギャラを吊り上げてきたのがキャンセルの原因だそうです・・・。なんともギャングスタなエピソード。でもそんな事をやってるとプロップスを失うので、もっと賢くなってビジネスにも強くなって欲しいものです(これはスタッフの問題か)。

しかし、昨年のGYPTIANの来日キャンセルといい、このMAVADOのキャンセルといい、一番旬な状況でのキャンセルというのは痛いですね。
 
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by Blacksmoker | 2007-07-12 00:13 | REGGAE

RUFIGE KRU [Malice In Wonderland]

いつぞやの喧騒はどこへやら。

メディアのドラムン・ベースに対する興味の失せ方には閉口するしかない。あれだけ持ち上げといて最近は一切無視である。でも誤解して頂きたくないのは決してドラムン・ベースが下火になったわけではない。アンダーグラウンドでのドラムン・ベースの勢いはハンパないものがあります。むしろ以前よりもその勢いは増強しています。今アンダーグラウンドで最も熱く革新的な音楽と言ってもいいでしょう。最近台頭してきたグライムダブ・ステップという音楽もその源流にはドラムン・ベースがあってこそなのです。

ドラムン・ベースがメディアにも大きく取り上げられ興隆していた90年代中盤は私も何度も「Drum & Bass Sessions」のパーティにはよく行っていたものの、時間が経つにつれて足が遠のいていたんですが、2年前にDJ ZINCDynamite MCのパーティに久々に行って、その変わらない熱さと盛り上がりぶりに再びドラムン・ベースを完全に見直してしまいました。

f0045842_0535256.jpgさて前置きが長くなってしまいましたが、本題に入りましょう。今回紹介するのは、2007年そのドラムン・ベース界の大本命とも言うべき超強力盤です。遂に登場したRUFIGE KRU(ラフィッジ・クルー)のアルバム「Malice In Wonderland」。ドラムン・ベースを少しでも知っている人ならこの名前は聞いた事があるでしょう。RUFIGE KRUというのはあの男の変名プロジェクトなのです。

そうです、その男とはドラムン・ベース界の覇王ゴールディーなのです。
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1998年ドラムン・ベース界のみならずロック界やヒップホップ界をも震撼させた一大傑作「Saturnz Return」をリリース以降、メディアにはほとんど登場しなくなったゴールディーだが、アンダーグラウンドでの活動は続けており(俳優業もやってましたね)、彼の主宰するレーベル「メタルヘッズ」からも新人を送り出したりと、いまだにその威力は絶大です。

そのゴールディーがアーティスト活動として初めて使用していた名前がこのRUFIGE KRU。ここからゴールディーの歴史は始まっているのです。1996年にリリースされた「メタルヘッズ」の名コンピレーション「Metal Headz: Full Metal Jacket」にもそのRUFIGE KRUのクラシックV.I.P. Riders Ghostが収録されています。
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そして、そのゴールディーRUFIGE KRU名義を再び復活させ、遂に1stアルバムを完成させたのです。ドラムン・ベースの真のオリジネーターの復活です。まあ流行しか追わないメディアはもうこの話題に触れる事もないだろうが、そんな事は些細な事。2007年のドラムン・ベース界にとっては最重要作の登場。そしてこれはマジに超強力盤。

最近はHIGH CONTRASTNU:TONEなどの「Hospital Records」のアーティストに代表される流麗でオシャレなドラムン・ベースが人気があり、個人的にも大好きなんですが、このRUFIGE KRUのサウンドはそんなドラムン・ベースの対極に位置するダークでヘヴィでハードコアなドラムン・ベース。ラフで肉体的な躍動感を持ったストリートなサウンドが死ぬほどカッコイイです。「Alice In Wonderland」をもじった「Malice In Wonderland」(不思議の国の悪意)というタイトルにもストリート感がビシビシ感じられます。ほんとにあの帝王ゴールディーの帰還です。
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このアルバムから先行カットされたSpecial RequestMonkey Boyが早くもクラブでガンガンにプレイされているようだが、やはりこのサウンドの破壊力がハンパない証明だ。もう全曲がゴリゴリのハードコアなドラムン・ベースで、心ゆくまで強力な重低音ベースラインを堪能できます。

そして今回のもう一つの話題は、エンジニアとして迎えられたハイスト(下写真)という人物。
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Full CyclePlay:musicなどからもリリースしているこの男は、今ドラムン・ベース界では若手注目No.1アーティスト。この男がミックス・エンジニアを担当した事によって、かなりフロア映えする出来栄えになっていますね。

ホントにこれは強力盤です!軟弱な野郎に喝を入れる真のオリジネーターのゴールディーの復活です。
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とくとこの新作にヤラれて下さい!
 
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by Blacksmoker | 2007-07-07 00:25 | DRUM & BASS

RUFUS WAINWRIGHT [Release The Stars]


f0045842_1833991.jpg前々作「Want One」(2003)、そして前作「Want Two」(2004)という2部作で、圧倒的なオリジナリティを確立し、シンガーソングライターとしては孤高の存在となりつつあるルーファス・ウェインライト。その素晴らしさは他のアーティストと一線を画します。この新作「Release The Stars」は彼の存在をもっと大きなものにしてくれる作品であり(全英チャート初登場2位!)、まだルーファス・ウェインライトを良く知らないという人(特に映画「I Am Sam」でのAcross The Universeのカヴァーでしか知らないという人)には是非このアルバムから聴く事をお勧めしたい一大傑作です。

1973年ニューヨーク生まれのルーファス・ウェインライト。彼は自分がゲイである事を隠さない。もはやその事を逆手にとっていかにもゲイ風なPVを作ったり、ゲイ雑誌の表紙を飾ったりと完全にオープンな姿勢を取っています。
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さらには映画「ブロークバック・マウンテン」(これもゲイの映画です)のサントラではテディ・トンプソンのデュエット相手として登場していたり、さらには前回のワールド・カップの時にはグレース・ジョーンズとのデュエット曲を録音していたり(爆笑!)と、要するにこの人はとてもシニカルでひねくれた笑いが好きな人のように思えます。

f0045842_1873818.jpgたしかに今までのアルバムも一筋ならではいかないもの(でも傑作揃い!)が多かったですが、このアルバムは非常に明るくてかなりポップな曲ばかりで、その完成度たるや全曲シングル・カットでも通用するくらいの素晴らしい曲ばかり。前々作「Want One」、そして前作「Want Two」の息を呑む程の素晴らしさに言葉も出ないくらい感服しましたんですが、今回のアルバム「Release The Stars」ではその前2作をあっさりと凌駕してしまいます。まったくこの無尽蔵な才能には言葉も出ないですね。

さて今回のアルバムはベルリンで録音されており、そのサウンド全体に荘厳なオーケストラが大々的にフィーチャーされています。ルーファスの歌声は少しナイーヴでもあり少しオペラ的でもあり、この荘厳なオーケストラ・サウンドに見事に溶け込んでいて本当に絶品の一言に尽きます。もはや天性の声です。

そして何とエグゼクティヴ・プロデューサーにはPET SHOP BOYSニール・テナント(この人もゲイです)!どこまで本気なのか遊びなのかは分かりませんが、ニール・テナント色は皆無。サンプリングやバッキング・ボーカルを担当しているのみで、彼の存在が良く分かりません(唯一Between My Legsの80年代風アレンジがニール色なのか?)。そして天才なのでなんでもこなすので、アルバム全体は当然のごとくルーファス本人がプロデュース。もはやこの才能は他人にはコントロール出来ません。
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1曲目の荘厳すぎるオーケストラをバックに伸びやかな歌声を聴かすDo I Disappoint Youから、最終曲の映画の終幕を彷彿させるオーケストラをバックに歌われるミュージカル調のRelease The Starsまで、もう息つく暇がない程美しく荘厳なサウンドにウットリします。個人的には7曲目の美しいワルツNot Ready To Loveでの終盤のメランコリックなストリングスが8曲目Slideshowの冒頭に繋がっており、そこに優しいアコースティック・ギターの音が入ってくるという絶品の流れはいつ聴いても鳥肌が立ちますね。

ゲストには妹のマーサ・ウェインライトテディ・トンプソン、そして先日素晴らしいアルバムをリリースしたリチャード・トンプソンもギターで参加していたりしますが、完全にルーファス・ウェインライト一色の美しくも儚いデカダンな世界で塗り固められています。
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しかし、この人の音楽には本当に惚れ惚れさせられます。ニューヨーク出身でありながら、どこかヨーロッパを感じさせる音楽なのも面白いですね。アメリカよりイギリスの方が人気が高いのも頷ける気がします。個人的には最近の男性シンガーソングライターの中ではこのルーファス・ウェインライトスフィアン・スティーヴンスの2人がずば抜けていると思います。

そして、この「Release The Stars」ルーファス・ウェインライトのキャリアの最高傑作と言ってもいい一大傑作。是非とも聴いてみてください!
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by Blacksmoker | 2007-07-05 00:03 | ROCK

CHRISETTE MICHELE [I Am]

f0045842_22235170.jpgデビュー前よりJAY-ZLost OnesNASCan’t Forget About Youに客演し、その名を広く知らしめてきたDEF JAM期待の大型新人女性シンガー。そして遂にこのクリセット・ミッシェルのデビュー・アルバムが登場しました。「DEF JAMが送り出す大型新人」というコピーを聞くと豪華プロデュースに豪華客演と凄いド派手なイメージを抱いてしまいそうですが、これが予想していたサウンドと全く違ったサウンドでビックリ。さらにはこのクリセット・ミッシェルというシンガーの素晴らしさにもビックリという、イイ意味で驚かされたアルバムです。とにかく後世に残る素晴らしいアルバムなんで是非とも聴いてもらいたい。

ニューヨークのロングアイランド出身のこのクリセット・ミッシェル。1983年生まれの現在24歳。幼少から教会でゴスペルを歌っていた彼女。
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DEF JAMのCEOであるLAリードに発掘され期待の大型新人としてJAY-ZNASのそれぞれのアルバムの重要曲に起用されたのは前述した通り。さて「DEF JAM期待の女性シンガー」というからには凄いソウル系シンガーかポップ系シンガーかを想像するでしょうが、彼女の音楽は全く違います。JAY-ZNASに客演したそれぞれの曲を聴いても分かるんですが、彼女が他のシンガー達と大きく異なるのはジャズ・シンガーの要素が非常に強い事だ。

クリセット・ミッシェルビリー・ホリデーエラ・フィッツジェラルドなど女性ジャズ・シンガーの系譜を受け継いでいるのです。50年代のジャズ・ボーカリストのような佇まいを携えています。だから今回の「DEF JAM期待の大型新人」というふれ込みはいわゆる「諸刃の剣」であって話題性は十分だが、逆に大きな誤解を招く恐れもあるかもしれません。彼女はメアリー・J・ブライジのようなR&Bシンガーではなく、ジャズ・シンガーの要素が強いというのは強調しておきたいですね。
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さてDEF JAMのCEOであるLAリードが力を入れてるだけあって、このクリセット・ミッシェルのデビュー・アルバム「I Am」には例に漏れず凄い制作陣が揃えられています。まずはBLACK EYED PEASからWill.I.Am、そしてNASの作品で御馴染み(最近はエイミー・ワインハウスなども手掛ける)のサラーム・レミ、そして久しぶりのベイビーフェイス、そしてジョン・レジェンドなど超豪華な布陣。でも派手なパーティ・チューンなどはなくジャズ・シンガーとして(R&Bシンガーとしても)のクリセット・ミッシェルのヴォーカリストとしての才能を最大限に引き出す事に成功しているといって良いでしょう。

個人的な事を言わせてもらうと、HIP HOPなトラックよりも彼女が映えるのはやはり隙間を活かしたR&B的なトラックやジャジーなトラックだ。その意味ではWill.I.Am(左写真)の手掛ける2曲は正直もう一歩。最近かなり売れっ子でどこでも出ずっぱりのWillだが、個人的には最近は大ネタばかりの大雑把なトラックがf0045842_22353696.jpg多くなっているように思えます。今回の彼の手掛けたBe OKボブ・マーリィCould You Be Lovedをサンプリングしたトラックですが大雑把感がかなり強いし、途中で登場するWillの毒にも薬にもならないラップも正直いらないです。もう1曲Let’s RockRUN-D.M.C.の大ネタHere We Goを使ったこれまた大雑把な曲なんで正直もう一つ。ファーギーにはいいだろうがクリセット・ミッシェルには似合わない曲ですね。サラーム・レミの手掛けるまるで90年代のような無骨なHIP HOPトラックのGood Girlなども少し違和感がありますね(悪くはないんだけど・・・)。

f0045842_22363492.jpgその意味では久しぶりに登場のベイビーフェイス(右写真)の手掛けたYour Joyなんてホントに素晴らしい。良く分かってますね。2本のアコースティック・ギターとクリセット・ミッシェルの歌だけで引っ張る前半から、ストリングスが絡んでくる中盤、終盤にかけてドラムが入り盛り上げる展開なんてまるで、60年代のカリフォルニアの女性フォーク・シンガーのようで素晴らしいですね。もう1曲ベイビーフェイスの手掛けたBest Of Meも彼女のジャズ・シンガーとしての特性を十二分に引き出した素晴らしい曲です。

1stシングルにもなったIf I Have My Wayも隙間を活かしたジャジーなR&Bでクリセットのコケティッシュな一面が見えるヴォーカルが素晴らしいですね。これぞ彼女の真骨頂でしょう。そしてジョン・レジェンドが制作し美しいピアノを聴かせるLove Is You。この曲なんてまるでジョン・レジェンドの曲のようなクラシック調なジャジーなナンバーです。
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最終曲のIs This The Way Love Feelsなんて、もう至福のソウル・ナンバー。教会で歌ってきたというだけあってゴスペル・シンガーとしても側面が非常に出ており、徐々に盛り上げていきクライマックスではもの凄い高音のシャウトを披露するクリセットの声がほんとに素晴らし過ぎます。スティーヴィー・ワンダーのようなスピリチュアルで崇高なトラックがこの曲をずっと聴いていたいという気持ちにさせます。オルガンとギターで引っ張る後半なんてほんとに至福を感じますね。

DEF JAM期待の大型女性シンガー」ではありますが、そのイメージとはかけ離れた魅力を持つこのクリセット・ミッシェル。このアルバムは早くも年間ベスト・アルバム候補の一枚です。必ずチェックして欲しいです!彼女は間違いなくアリシア・キーズインディア・アリーを越える存在になるでしょう。
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by Blacksmoker | 2007-07-01 00:07 | R&B / SOUL