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CANDLE [街角ジゴロ]


この男を初めて観たのは2005年3月に京都で行われた「Nyoron Festa」MSCSD JUNKSTAサイプレス上野とロベルト吉野韻踏合組合カルデラビスタメテオAri1010MAKKENZなどキャラも我も強いアクトが続々と登場したイベントで、実は最も印象に残ったのがこのソロマイカー、CANDLEでした(カルデラビスタなんて、この頃は全く印象に残らないMCでした・・・)。
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男前で、どっちかと言うとチャラい風貌ながら、そのマイクから放たれる声は非常にクリアで聴き取りやすく、しかもそのリリックは鋭く突き刺さる攻撃性を持っていました。そのライヴで披露された街角ピエロという曲はその時点ではリリースもされていないく初めて聴いた曲でしたが、その後もずっと耳に残って離れませんでした。そしてそれから半年後にMary JoyからCANDLEの1stシングルとしてその曲街角ピエロがリリースされたわけですが、この曲はもう死ぬほど聴き倒しました。不穏なピアノとウッドベースにエレクトロニックなビートと奇妙なラッパの音を被せたシンプルだが無骨なトラックに、どぎつい言葉をこれでもかと詰め込み、たたみ掛ける怒涛のリリックに完全にノックアウトされましたね。

f0045842_1455710.jpgその衝撃の1stシングルから1年半。CANDLEの1stアルバム「街角ジゴロ」が遂にドロップされました。実はこのアルバムは2007年3月に既にリリースされていて、私も速攻で手に入れて聴きまくっていましたが、あまりにもそのリリックの情報量の多さの為、消化するのにかなりの時間を要してしまって紹介するのが遅れてしまいましたが、これは個人的に2007年の日本のヒップホップのアルバムではぶっちぎりの傑作です。スキルの高さ、トラックの素晴らしさ、リリック内容の濃さなどどれをとっても最高峰。このCANDLE、1980年代生まれの東京を拠点に活動するMCということ以外は正直かなり情報が少ないのですが、BLACKSMOKERが最も注目するラッパーであります。

CANDLEのリリック内容は、降神のように童話的で郷愁的なメルヘン・トリップなものでもなく、MSCのようなリアルなギャングスタ・ライフを切り取ったものでもない。彼のリリックは主に25~35歳のいわゆる「ロスト・ジェネレーション世代」(要するにニート誕生世代、団塊ジュニア世代)の、どうしようもない閉塞感や憂鬱感をぶちまけ、そしておもいっきりやる気のないヘタレな心情を吐露する。その風貌からは軟派なイメージで見られるが、実はその文学的言い回しなどはかなりの知性を感じさせます。聖人君子的なリリックと俗にまみれた廃人的リリックが見事に同居しているのです。お決まりの「Sucker MCモノ」や「俺がNo.1だ」的なリリックはないのでご安心を。
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リリック内容も凄いですが、やはりラッパーとしての声の際立ちも強調しておきたいポイントです。クリアで切れ味の鋭いその声はラッパーとして重要。例えるならMummy-DとかRINO、最近ならKEN THE 390のような「声がカッコイイ」MCでもあります。その鋭さなどは全盛期のRINO並みのかっこよさですね(RINO LATINA Ⅱ改名後はどうしようもなくオワってますが・・・)。

トラックはari1010DJ Top BillKK、そしてVector Omega(a.k.a. Shing02)など様々なプロデューサーが一流のトラックを提供。magiなるプロデューサーが最多の5曲を手掛けていますが、このmagiという人はロサンゼルスのプロデューサーだそうです。かなりヤバいトラックを提供していますね。全体的にどこか近未来を感じさせるトラックで統一されています。innner science制作のエレクトロニカなトラック心変わりマジカルなんて、朝日のように穏やかなトラックの雰囲気とリリックが見事にハマっていて素晴らしい。
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そしてこの膨大なリリックを詰め込んだアルバムですが、フィーチャリングMCはRUMIが参加したバケ猫!!以外は一切ナシ。全ての曲がCANDLEマイクのみという潔さ。ほとんど1MCでアルバム全部を聴かすラッパーとしての技量は見事なものです(最近のラッパーでこんな事が出来るのはOZROSAURUSくらいなものでしょうか)。

これはストイックでストレートな見事なラップ・アルバム。ヘッズは絶対チェック!

 
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by Blacksmoker | 2007-08-31 00:13 | HIP HOP

[ULTIMATE MC BATTLE 2007] 大阪予選 @ Fanj Twice 8/25(土) 2007



8月25日(土)は大阪のHIP HOPヘッズにとっては暑い一夜になりました。

鰻谷sunsuiではTHINK TANK主催の「EL NINO」が行われ、何とスペシャル・ゲストにDEV-LARGENIPPSCQというブッダ・ブランド無敵の3本マイク」が登場。一方、Fanj Twiceでは恒例のMCバトルの総本山「ULTIMATE MC BATTLE」の大阪予選。そして、そのFanj Twiceの50m横のClub TriangleではYOU THE ROCK★のライヴが行われていたりとかなりHIP HOPヘッズには贅沢な夜でした。

そして私が行ってきたのはFanj Twice。そうです「ULTIMATE MC BATTLE 2007」大阪予選です。やはり一番フレッシュなのはコレでしょう!若きMC達のフリースタイル・バトル。年末の12月29日に行われる全国大会決勝トーナメントへ出場する大阪代表を決定するこの大事な大阪予選。コレは行かないわけには行かないでしょう!
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思えば昨年2006年の「ULTIMATE MC BATTLE 2006」で2005年の覇者カルデラビスタを倒し全国制覇を成し遂げたのはレペゼン横浜のクルー「アイスバーン」のフォークでした。そしてこのフォークと一回戦で対戦したのが大阪代表、韻踏合組合HIDADDY。「事実上の決勝戦だった」と言われるこの壮絶なバトル(延長戦2回!)は、先日リリースされたDVD「ULTIMATE MC BATTLE Grand Champion Ship 2006 Club Citta」で観れるので必ずチェックしておいて欲しいですが、あのバトルでのHIDADDYの凄まじいスキルはフォークのそれとほぼ互角だったと言っていいでしょう。ほんと鳥肌が立つくらい凄いバトルでした。MCを務める太華も言っているように「大阪のフリースタイルのレベルはかなり高い」のです。
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さてそんなハイレベルの大阪大会最終予選。すでに行われている神戸大会和歌山大会の優勝者がベスト16に自動的にエントリーされ、そして勝ち上がってきた14名のMC達と共に優勝を賭けて火花を散らします。準々決勝までは互いに8小節の2ラウンド、そして準決勝からは16小節の2ラウンドでフリースタイル・バトルを繰り広げます。判定方法は①観客の歓声の大きさと、②観客の中から無造作に選ばれた審査員によるジャッジ。もし①と②で判定が割れれば延長戦ということになります。
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昨年はベスト16からしか観なかったんですが、今年はベスト32くらいから様々な試合を観ました。やはり圧倒的な強さを誇るのが韻踏合組合勢と、COE-LA-CANTH(シーラカンス)勢、そして昨年の大阪予選でも健闘したMC達が順当にベスト16に勝ち上がってました。韻踏合組合からはHIDADDYERONE遊戯の3人が、そしてCOE-LA-CANTHからは吉田のブービーOGAWA悠然(a.k.a.赤いメガネ)の3人がベスト16に進出。ちなみに昨年、悠然を倒し準決勝まで進んだP-PONGはベスト16を前に姿を消し、代わりに神戸大会優勝者のアンジキジョイ、そしてK-1小林TATUという無名のMC達が新たに登場。注目はレペゼン和歌山のMCダイジュ。何と16歳だそうです!!若い!
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そして遂に出揃ったベスト16に名を連ねるMC達によるバトルは大阪ならではの熱き闘い。和歌山大会優勝者のサリーや、昨年の神戸大会優勝者のネスタ、昨年の覇者HIDADDY、そしてCosaqu(コーサク)、QZなどはやはり圧倒的な力の差で勝利。面白かったのは、韻踏合組合同士の対決となった「ERONE vs. 遊戯」(下写真)、そして「ダイジュ vs. 小林」。前者はERONEの辛勝、後者は延長の末にダイジュが辛勝でした。ちなみに今年の神戸大会優勝者のアンジキジョイは友人でもあるCosaquにコテンパンにやられてました。
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そしてベスト8。「K-1 vs. HIDADDY」はHIDADDYが圧勝。HIDADDYの凄さは、どんなビートにも対応する柔軟なフローや、ガチガチに踏みまくってくるスキルの高さもさることながら、その根底には大阪ならではの「笑い」があるところが良いですね。必ず観客が爆笑するパートもキッチリ盛り込んでくるところは物凄いスキルですよホント。「南海を走っているのはラピート」とかいうタームがいきなり飛び出し観客も大爆笑をさらってました。

続く「ERONE vs. QZ」は延長の末に昨年の大阪予選ファイナリストQZERONEを倒し、「ネスタ vs. サリー」はネスタに軍配。「ダイジュ vs. Cosaqu」戦では16歳のダイジュが健闘するもCosaquの前に実力の差を見せつけられ敗北してしまいました。

ベスト4(準決勝)からは16小節の2セット・バトル。「フリースタイル・バトルは後攻が有利になりやすい」ということから、先行のMCがビートを選べるというアドヴァンテージをつけての対戦になります。昨年の決勝戦と同じ対戦となった「HIDADDY vs. QZ」。QZも相当な巧者なのだが、やはり相手が悪すぎました。HIDADDYが圧倒的な強さを見せ決勝進出。そして「ネスタ vs. Cosaqu」。かなりの実力者でありながら、見た目が2人とも超普通の学生のような風貌同士の対決は観客の声が2分し延長戦へ。この延長戦が凄かった。ネスタのソリッドな攻撃に対して、Cosaquの「もっかいちゃんと聴いとけデ・ラ・ソウル」とかア・トライブ・コールド・クエストをネタにした返しで客も大歓声!見事ネスタを倒し決勝進出しました。

そして決勝戦「Cosaqu vs. HIDADDY」。
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昨年の大阪の覇者HIDADDYに対して、どんな勝負が繰り広げられるか楽しみでしたが、出だしでCosaquが一瞬言葉が詰まったのが災いし、そのまま一気にHIDADDYに畳み込まれ勝負アリ。もはや余裕と貫禄でHIDADDYが昨年に続いて優勝を飾りました!
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しかしHIDADDY強し!!圧倒的な強さでしたね。もはや当分大阪で彼に勝てるMCは出てこないんじゃないだろうか? そして大阪代表として12月の全国大会決勝でもそのヤバスギルフリースタイルで勝ち上がって欲しい!応援してますぜヒダヤン
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今年の地方予選も既に各地で始まっており東京準予選では何とサムライトループスメテオが優勝。岡山予選ではYOUTHが優勝。そして水戸予選では昨年に続きまたもやGOCCIが優勝と、今年もかなり熱い大会になりそうですね!楽しみです。


ちなみに、この大阪予選が終わったのが4時過ぎ。速攻で車飛ばしてsunsuiに行ったんですが、ブッダのライブちょうど終わったトコでした・・・。無念!!
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by Blacksmoker | 2007-08-28 01:43 | ライブレポート

畠山美由紀 [Summer Clouds, Summer Rain]


f0045842_177100.jpgさて前回紹介したジェシー・ハリスの新作「Feel」と同時にリリースされたこの畠山美由紀の新しいアルバム「Summer Clouds, Summer Rain」。これは何とジェシー・ハリスが全面プロデュース。ジェシーはプロデュースだけでなく、ソングライティング、演奏も全てジェシーが担当。メインでヴォーカルをとる曲もあり、プロデュースというよりもコラボレーションと言った方が良いでしょう。実はこのアルバムはジェシー畠山美由紀のたった2人だけで作られているのです。まるで畠山美由紀を主人公にしたジェシー作のヴォーカル・アルバムのような出で立ち。

さて、ジェシー・ハリスという人は自分の曲以外に、女性アーティストに提供した曲も非常に多い。
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言わずもがなのノラ・ジョーンズを筆頭に、リズ・ライトマデリン・ペルートリスタン・プリティマンサーシャ・ダブソンといったNYのシンガー達だけでなく、日本人アーティストではbirdなどもジェシーが曲を提供しています。その愛され方を見ると、彼の曲は女性に好まれるという証明です。

そして本編の主人公、畠山美由紀に話を戻しましょう。
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実は個人的には日本の女性シンガーの中では最も好きな人の一人でもあります。Port Of Notes時代からソロに転向してのアルバムは全て持っています。その他にもDouble Famousをはじめとして数々のユニットにヴォーカリストとして参加していますが、その包容感があって母性を感じさせる畠山美由紀の歌声は日本にはなかなかいないタイプのシンガーです。更に言うと日本語詞よりも英語詞による歌の方が映える日本人離れした希有なシンガーだと思います(個人的にはソロ転向後も悪くないですが、Port Of Notesの時の畠山美由紀が好きですね。実は彼女の中で一番好きなのはPermafrostで歌ったAfricaです)。

この新作「Summer Clouds, Summer Rain」は、そのカヴァー曲の選曲センスもなかなか秀逸。

ビートルズBlackbirdビリー・ホリディI Cover The Waterfrontなどはスタンダードf0045842_1202774.jpgだが、ニール・ヤングWonderin’なんてマニアックなものや、マリーザ・モンチUniverso ao meu redorなんて新鮮なカヴァーや、大正時代の唱歌浜辺の歌なんてのも。このバラバラな選曲が畠山美由紀の声によって同一線上にしっかり収まっているのも見事。ハンク・ウィリアムズの「I’m So Lonesome I Could Cry」のカヴァーなんてのもやってます。まあこのI’m So Lonesome I Could Cryのカヴァーはハンク・ウィリアムズのトリビュート・アルバム「Timeless」でのケヴ・モによるカヴァーの素晴らしさに勝るものはないですが、今回のカヴァーも素朴ですがハンク・ウィリアムズのソングライティングの秀逸さを浮き立たせる良いカヴァーですね(まあ、ケブ・モのカヴァーの方が20億万倍素晴らしいですけどね)。

そしてジェシー・ハリス作の新曲3曲もなかなか素朴だが侮れません。畠山美由紀による日本語詞も実に自然にはまってます。
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フォーキーなまぼろし、ボサ・ノヴァ調のSummer Clouds, Summer Rain、そして前半をジェシーが歌い、後半に畠山とのデュエットを聴かせるAlways Seem To Get Things Wrongは完全にジェシー色に彩られてます。最近のお気に入りなのかバンジョーを使った曲が多いですね。あとジェシーの以前のアルバムにも入っているWhile The Music LastsThis Is Goodbye畠山美由紀による日本語詞でリメイク。新たな魅力で蘇っていて面白い。唯一の畠山美由紀作詞・作曲によるあなたみたいも素晴らしいので必聴です。
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従来よりも抑え気味の歌い方は彼女のアルバムの中でも異色ではありますが、彼女の魅力を堪能出来る素敵なアルバム。長く愛聴していくアルバムになりそうです。
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by Blacksmoker | 2007-08-23 00:56 | FOLK

いよいよ明日!「チューバイカ Vol.12」


いよいよ明日となりました!是非お越し下さい。入場無料です!

チューバイカ Vol.12@common cafe 入場無料


2007年8月18日 (土) 20:30スタート - 4:30


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[Time Table]20:30 Open

21:00 qu-ga

21:45 Martin Looser

22:30 waterloo

23:15 BLACKSMOKER

0:00 mDA

0:45 Fuckino10

1:30 TB Arkestra

2:15 KBKW

3:00 hino

3:45 Cameo

VJ : Nonemaster Jay


food: 出張カフェ「太陽ノ塔


チューバイカ・オフィシャルHP「CHBYKA.COM」 ⇒ http://prosv3.tok2.com/~chbyka/

common cafe URL ⇒ http://www.talkin-about.com/cafelog/

○地図はこちら ⇒ http://www.talkin-about.com/cafe/map.html


さて今回BLACKSMOKERは、チューバイカでは最もお客さんの多い時間帯の23時15分に、遂に登場です!「チューバイカで最もヤバイDJ」と言われるBLACKSMOKERのセットを是非体験しにきて下さい。

今回の抱負:

手加減はしません!!

 
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by Blacksmoker | 2007-08-17 22:51

JESSE HARRIS [Feel]


アメリカで成功するのに必要なエンターテインメント的な部分は僕は備えていないから商業的アーティストにはなり得ないと思う。

これがジェシー・ハリスの自分評。
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なるほど的確に分析してます。彼のファンも、もはやジェシーには商業的成功以上に良質な作品を作り続けていってくれる事を望んでいます。

f0045842_1792212.jpg素晴らしい傑作となった(といってもジェシーの作品は全てハズレなしですが)前作「Mineral」から僅か1年で早くも新作「Feel」が登場です。ファンの期待通り素晴らしい曲が詰まったアルバムです。

その前に、ここで少し話を遡ります。今、手元に今年の3月に行われたジェシー・ハリス&リチャード・ジュリアン&サーシャ・ダブソンの来日公演でのジェシーのセットリストがあるんですが、そのセットリストにはこうあります。

[Jesse Harris @ Kyoto Taku Taku 21.03.2007]

①Slow Down
Shadow
The Wind
④It Will Stay With Us
I Would
Feel
⑦Start All Over
You And Me

披露された8曲中、ピンク色の5曲がこの新作「Feel」に収録されていたのです。どうりで聴いた事のない曲が多かったわけですね。
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さて、その新作「Feel」ですが、いつもながらに繊細で優しい曲が17曲。どれもがこれぞジェシー・ハリスといった素敵な曲ばかりです。前作で大きくフィーチャーされていたハモンドB3オルガンの郷愁的な音色は今作では影を潜めており、代わりにラテン・パーカッションが使われた曲が多く見られます。今作に参加しているブラジル人パーカッショニスト、マウロ・レフォスコの存在が大きな役割を担っていると言えます。ジェシー・ハリスの書く曲と、このマウロ・レフォスコによるラテン・f0045842_17155495.jpgパーカッションのリズムの融合がとても面白いです。でも以前に紹介したカルリニョス・ブラウンの新作「A Gente Ainda Não Sonhou」と同様に、パーカッションがメインではなく味付け程度。基本はジャジーでソフトなアコースティック・フォーク・ミュージック。音数の少ない空間の多い音作りはいかにもジェシー・ハリスらしいです。先の来日公演にも参加していたリチャード・ジュリアンや、ベースのティム・ランツェルも参加していますね。そしてライヴでも使っていたバンジョーを使った曲もあり、なかなか楽しませてくれます。

ソングライティングにかけては、もはや説明の必要もない天才的センスが十分に発揮されていますので、クオリティも申し分ない出来映えです。しかしいつも思うのですが、ジェシーの曲というはほんとに宝石のような輝きを放っていますね。そして、その輝きの中には必ず優しさが含まれています。そこいらのシンガーソングライターなんかが10年掛かっても書けない曲を1年そこらで何十曲もさらっと書いてしまう物凄い天才ですね。
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そしてジェシー・ハリスのファンにとってはまたも素晴らしい傑作の誕生でしょう。まだジェシーを聴いた事のない人は早くこの才能に触れてみて欲しいと思います。
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by Blacksmoker | 2007-08-16 00:36 | FOLK

DONNIE [The Daily News]


まずはこのジャケットを見て欲しい。

f0045842_235538.jpgこのいかにも金を持ってなさそうな青年。名前をドニーと言います。でも彼を侮ってはいけない。この風貌でありながら、実は彼はブラック・ミュージックの魂、つまり「レベル」の精神をしっかりと受け継いでいる真のソウルマンの一人。そして若手ソウル・ミュージシャンの中でもかなりの正統派シンガーだ。この彼の新作「The Daily News」は、まさしく70年代ソウルを彷彿させるソウル・ミュージックの傑作です。

さて実はBlacksmokerは、ドニーについては、このアルバムで初めて知ったのですが、「The Daily News」は彼の5年振りになる2ndアルバムになります。1976年ケンタッキー州レキシントンに生まれたこのドニー。多くのソウル/R&Bシンガー達と同じく幼少より教会でゴスペルを歌っていたという。20代後半よりアトランタに移り地元のミュージシャン達と共に「クルーヴメント」という集団を結成し活動していたそうです(ちなみに、このクルーヴメントにはあのインディア・アリーも所属していたそうです)。
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そして2002年1stアルバム「The Colored Section」をジャイアント・ステップからリリース。その後あのモータウンがこのアルバムを気に入ってモータウンから再発もされています。

さて、この前作は未聴なんですが、この新作「The Daily News」はかなりの社会的メッセージを備えていてf0045842_23201555.jpg驚きます。ソウル/R&Bのアルバムはほとんどが「愛」についての内容ですが、これは全編において「抑圧された市民の怒り」、「911」、「自殺問題」、「人種差別」「幼児虐待」など社会問題を告発する内容ばかり(でも1stシングルのIf I Were Youはラヴ・ソングですが…)。ここにはパブリック・エネミーの精神、もっと遡るとジェイムス・ブラウンスライ&ザ・ファミリー・ストーン、そしてマーヴィン・ゲイの精神がしっかり継承されているのが分かります。

アルバムのインナースリーヴは、アルバム・タイトル「The Daily News」にちなんで、全て新聞を模したものになっています。つまりドニーの歌うこれらの問題は、我々の日々の生活の中に存在する問題ということだ。彼の視線は常にストリートにあります。アルバムに収録されているOver-The-Counter-Cultureに唯一ラッパーとして参加しているのが、リトル・ブラザー9thワンダーが脱退して2人組になっちゃいましたけど・・・)のフォンテ(下写真右)。彼のストリート目線でのリリックもこのアルバムには実に自然に溶け込んでいます。
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歌詞に目が行きがちなアルバムですが、音楽性も非常に素晴らしい。生演奏とプログラミングの中間をいく音作りによる極上のミディアム・ファンク。元ルーファスボビー・ワトソンによるブリブリのベースが腰に来るファンキーさで迫ります。サウンド的にはかなりアース・ウィンド&ファイアの影響がかなり大きいように思います(と、思ったらギターに元アース・ウィンド&ファイアアル・マッケイが参加していました)。

そしてドニー素晴らしい歌唱力
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スティーヴィー・ワンダーの影響がかなり窺い知れる見事な歌声。ステーヴィーだけでなく、ダニー・ハサウェイマーヴィン・ゲイなどの数々のソウル・レジェンド達の姿が目に浮かびます。正統的ソウル・シンガーの後継者と言っていいでしょう。そしてコーラスの使い方などは完全にゴスペル・マナーに沿っています。この32歳という若さならではの躍動感溢れる歌声が最高です。

曲も、フックのある実に良く練られた曲ばかりで全く飽きさせません。非常に明るい曲調が多いのですが、歌詞はかなりリアルな内容の社会派なメッセージというギャップはレゲエ・ミュージックのようですね。
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このまだまだ無名に近い存在のドニーのアルバム「The Daily News」、個人的には2000年代におけるマーヴィン・ゲイの名盤「What’s Goin’ On」級の位置付けにある傑作だと言いたい!是非チェックしてみましょう。
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by Blacksmoker | 2007-08-13 00:19 | R&B / SOUL

JAH CURE [True Reflections…A New Beginning]


2007年7月28日。一人の男にジャマイカ中が熱狂しました。

悲劇のシンガー、ジャー・キュアが実に8年振りに刑務所から釈放されたのです。

f0045842_1384640.jpg今回紹介するアルバムはそのジャー・キュアの新作「True Reflections…A New Beginning」です。しかし、このアルバムを説明する前にジャー・キュアがなぜ「悲劇のシンガー」と呼ばれるのか?を説明しないといけません。

このジャー・キュアはジャマイカのモンティゴ・ベイ出身のラスタ・シンガー。その才能は、ジャマイカの超大物シンガーのベレス・ハモンドをも魅了し(彼はジャー・キュアの最初のアルバムのエグゼクティヴ・プロデューサーを務めている)、シズラケイプルトンと言った若手ラスタの実力者達からも一目置かれる存在でした。

しかし彼は1998年11月にジャマイカのモンティゴ・ベイで女性に対する暴行容疑及び銃の不法所持により逮捕される。この逮捕についてはジャマイカでは冤罪という説が非常に有力だそうだ。そして不十分な証拠にも関わらず1999年4月に禁固15年の刑が言い渡される。実は示談金で和解出来るところを、ジャー・キュアは一切受け付けなかったそうです。この事件は警察によるラスタへの見せしめのスケープゴートにされたというのがジャマイカの一般人の認識になっている。

その順風なキャリアの途上で起こったこの事件で、ジャー・キュアのシンガーとしての生命は絶たれたと思われましたが、実はここからジャー・キュアの第二のキャリアが始まるとは誰もが思いもしなかったでしょう。

f0045842_13121525.jpg実はジャー・キュアの服役する刑務所にはレコーディング機材があり、彼はこの刑務所内で録音したレコードをリリース。折りしも時代はダンスホールからコンシャス系ワン・ドロップな作風の曲が流行していた時期であったのもあり、ジャー・キュアはコンシャス系のシンガーの筆頭として一躍その名を馳せる事になるのです。ジャマイカ中のみならず世界中のレゲエ・シーンでビッグ・ヒットを記録したLonging Forを始めとして、Love IsJamaicaTrue Reflectionsなど次々に大ヒット。皮肉な話だが、ジャー・キュアは塀の中において時の人になってしまったのです。

さてこのアルバム「True Reflections…A New Beginning」は前述のビッグ・チューンに加えて、新曲も収録したベストヒット的内容になってます。このアルバムからの先行カットされているメロウ・チューンTo Your Arms Of Loveなどは早くも大ヒットを記録しています。この曲は現在ヒット中のGuardian Angelのリディムを使った曲(T.O.K.が現在大ヒットさせている曲ですね)。
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これらのレコーディングはあらかじめ出来たトラックを獄中のジャー・キュアに渡してヴォーカルをレコーディング。そしてヴォーカルを入れたトラックをプロデューサーがスタジオでミックスダウンして作られたそうです。そのせいか、曲によってはかなり荒削りなデモのような音質のものや、モノラル録音のようなものもあり、刑務所の録音機材などが、あまり良くなかった事が窺えます。しかしそんな悪条件でのレコーディングなど関係なくジャー・キュアの声はジャマイカ中に響き渡る力を備えていたのです。

ジャー・キュアの声を、1994年に28歳で他界した天才シンガーf0045842_13151259.jpgガーネット・シルク(左写真)と比較する人もいるそうだが、その真摯で切実に迫る歌声は少なからず近いものを感じます。もちろん、まだまだガーネット・シルクの柔らかく伸びやかな声には及ばないですが、声自体に悲しみを備えた所なども共通していますね(ちなみにジャマイカ人にとってガーネット・シルクという存在はほぼ神格化されており、新しいシンガーが登場する度にガーネット・シルクと比較されるという運命が待っています)。とにかくオープニングを飾るTrue Reflectionsだけでも是非聴いてみて欲しい名曲です。

これは「悲劇の獄中シンガー」という話題だけで彼がスターになったわけではない事を証明する素晴らしいアルバムです。是非この歌声に触れてみて頂きたい。
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遂に7月28日に8年振りに釈放されたジャー・キュア(刑期15年が8年に短縮されたそうです)。これからが彼の第2のキャリアのスタートです。ちなみに、この10月には3日間に渡るジャー・キュアの釈放を祝うフェスティヴァル「CUREFEST」がジャマイカで開催され、そこには本人も登場してステージを披露するとの事。また凄い盛り上がりになりそうですね。
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by Blacksmoker | 2007-08-09 00:50 | REGGAE

CARLINHOS BROWN [A Gente Ainda Não Sonhou]


f0045842_22552292.jpgマリーザ・モンチの来日、そしてアドリアーナ・カルカニョットの来日など、日本のブラジル音楽ファンにとって、ブラジル・フィーヴァーが続いてます。そしてその熱の冷めやらぬうちにこの男の新作も登場!今回紹介するのは「バイーアの風雲児」カルリーニョス・ブラウン。彼の2年振りの新作「A Gente Ainda Não Sonhou」です。これが素晴らしい傑作に仕上がっているので紹介しましょう!

以前マリーザ・モンチの記事でも紹介したこのカルリーニョス・ブラウン。「パーカッション集団チンバラータの総帥」とか、超ド派手な外見とかもあいまって、一般的なカルリーニョス・ブラウンのイメージというと、ブラジリアン・パーカッションが乱れ飛び、カルリーニョスが吼えまるトライバルで血沸き肉踊るサウンドという感じでしょうか。
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もちろんそれはカルリーニョスの魅力の一部ではありますが、このカルリーニョスは非常に繊細でポップな音楽を作るシンガー・ソングライターという一面も持っている。そのカルリーニョスのポップ・マエストロとしての功績は自身のソロ・アルバムや、マリーザ・モンチアルナルド・アントゥニスとの運命共同体トリバリスタスでの活動でも実際に聴く事が出来るので確認して頂きたいのだが、とてもやさしいタッチの曲が多い。しかも今にも壊れそうなくらいの繊細な作風がとても心地よく、ホントにあの風貌からは想像しがたく、そのギャップが面白い。
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最近は異ジャンルとのコラボレーションなどの活動が活発で「バイーアの風雲児」としての異名通り、暴れまくっているイメージがありましたが、今回のアルバム「A Gente Ainda Não Sonhou」は久しぶりにカルリーニョスのシンガーソングライター的なポップさ全開の曲が詰まったアルバムだ。

しかし「シンガー・ソングライター的」といっても、そこはやはりカルリーニョスのアルバムなので、そのリズムはおそろしく多彩だ。エレクトロニックなサウンドから、オーケストラを導入したもの、コンガ、ボンゴ、パンデイロ、タブラなど膨大な数のパーカッションが鳴りまくっています。
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しかし、面白いのはこの怖ろしいほど緻密に構成されたパーカッションによるリズムが、全く主張することなく、カルリーニョスの歌声の後ろにまわっている事。あくまで主役は「」という姿勢が貫かれています。カルリーニョスの歌声も曲調と同じようにやさしく繊細です。

さてやはりアルバムの中で注目なのは、マリーザ・モンチアルナルド・アントュニスカルニーニョス・ブラウンによるトリバリスタス(下写真)の3人によって共作された3曲。
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Mande Um Email Pra Mimでは時計の針のチクタク音をリズムに、優しげなヴィオラォンの音色やトライアングルの残響音、水の音などが重なるまるで子守唄のように穏やかな曲。カルリーニョスの歌声がアルナルド・アントュニスの声にそっくりでびっくりします。そしてもう1曲のEverybody Gente。これはトリバリスタスの3人にセウ・ジョルジまでもが共作者として名を連ねた超ポップでドリーミーな素晴らしい1曲。まさしくトリバリスタスの真骨頂ともいうべき3者(いや4者か)のそれぞれの個性が見事に融合した名曲です。後半の女性コーラスなんて、「もしマリーザが歌っていたら?」なんて考えるだけで身震いがしますね。残りの1曲Página Futuroは、一聴すると全然そんな風には聴こえないんですが、実はエレクトロニックで複雑なリズム構成になっている、とてもストレンジなポップ・ソングです。
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このトリバリスタスの3曲以外もほんとにポップな曲揃い。キャッチーな女性コーラスが特徴的なGuaraná Caféも、アコースティックな弦楽器をフィーチャーしたかなり面白いエレクトロニック・ビートな曲だし、ロマンチックな弾き語りのタイトル曲A Gente Ainda Não Sonhouも、結局はピアノ、アコーディオン、サンプリング音など様々な効果音を入れて、一筋縄ではいかない曲になっていますやはり根っからの天才肌のアーティストですね。
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ジャケットの写真に引くことなかれ。2007年のブラジル音楽界において軽く名盤に認定されるであろうアルバムです!
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by Blacksmoker | 2007-08-06 00:35 | ブラジル

ADRIANA CALCANHOTTO - MORENO - DOMENICO - KASSIN @ 恵比寿リキッドルーム 7/25(水)&7/26(木) 2007


行って参りました!アドリアーナ・カルカニョット初来日公演!!
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結論から言うと今回の来日公演は「アドリアーナ・カルカニョットの単独公演」というより、「アドリアーナ・カルカニョットが一員の新バンドによる来日公演」といった趣き。カシンドメニコモレーノの3人がそれぞれヴォーカルを担当したりもしていたり、アドリアーナのファンにとっては少々物足りなさを感じたかもしれませんが、本国ブラジルでもなかなかお目に掛かれないこの4人によるバンドとしての面白さは十分に楽しめたし、アドリアーナの不思議な存在感やビザールなオーラは存分に感じられました。
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さすがは本国ブラジルでも絶大な人気を誇るアドリアーナだけあって会場はブラジル人率が非常に高い。やはり本国での人気を窺えますね。年配の人もいっぱい来てました。在日のブラジル人にとってはこんな小さな会場でアドリアーナが観れるなんておそらく凄い事なんでしょう。

今回のライヴでアドリアーナのバックを務めるカシンドメニコモレーノという「ブラジル新世代」3人衆(下写真)。
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彼らの実験精神剥き出しのスタイルは「ブラジル未来派」とも呼ばれ、その音楽性や先鋭性、ミクスチャー感覚などは現在の若手ブラジル・ミュージシャンの中では随一。その3人がアドリアーナのバックバンドという枠を飛び越えた、一つのバンドとしてのパフォーマンスを見せてくれました。ドメニコがサンプラー生叩きでドラムビートを担当し、各人が担当楽器を持ち替えたり、3人がそれぞれにヴォーカルをとったりと見所満載。でもなぜか全体的な雰囲気はユル~い感じです。

アドリアーナはほんと自然体。マリーザ・モンチがライヴではドレスアップしたディーヴァ的なオーラを発散していたのに対しアドリアーナはいたって素のまま。低血圧気味な大人しい佇まいは、映像作品で観られるように独特な不思議なオーラを放っていましたね。
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さてライヴですが、かなり知らない曲が多い!カシンモレーノのそれぞれのリーダー・アルバムからの曲も多いし、カヴァーや新曲も含めかなりマニアックな選曲です。

やはりヒット曲の反応がむちゃくちゃ良い。アルバム「Candata」に収録されているProgramaでは会場が沸き上がります。続くMusicマドンナのカヴァー)でも大きな歓声。アドリアーナの歌がブラジル人にとってほんとに浸透しているのが分かります。この曲ではアドリアーナモレーノのダブル・チェロ。チェロの不穏な旋律を無表情に鳴らすアドリアーナに比べて、他の3人のリラックスした明るい表情の対比が面白い。
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続く2曲はモレーノがヴォーカル。もはやレジェンドである父親カエターノ・ヴェローゾを彷彿させるファルセットがかった優しい歌声が心地良い(でも家で寛いでるようなジャージ姿がユルいです)。続く曲では今度はドメニコがヴォーカルを担当。モレーノ同様にやさしい歌声です。この間アドリアーナは座ったまま小道具の小さな空き瓶を擦ったり、積み木みたいな木を叩いたりいろんな効果音を担当してました。アルバム「Adriana Partimpim」に収録されているBorboletaではDVDでもやっていたようにカエルのオモチャの鳴き声を出していましたね。面白かったのはステージに置いているリンゴをかじってその音を効果音として使っていて、これが会場中爆笑でしたが、本人はいたって真顔。ホントに変な人です。
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そしてここでサプライズ!アドリアーナマリーザ・モンチに提供した曲Vai saber?を披露(この曲はマリーザのアルバム「私のまわりの宇宙」に収録)。アドリアーナのヴァージョンでこの曲が聴けるなんてかなり嬉しかったですね。

そしてモレーノドメニコから受け継いでカシンもヴォーカルを担当。他の2人の高い声とは少し違った低い声のカシンが2曲も歌を担当していました。

f0045842_22462375.jpgしかし、このカシンキャラが最高なんです!どうみてもオタク度100%。しかもメガネで小太りな風貌も相まって最高にファニー。一人でペットボトルの水をグビグビ飲んでいたりする姿はまるで動物園のパンダみたいです。そのオットリとした見た目に会場からも「カワイイ!」の声が飛んでました。しかし、このカシン、見た目とは裏腹に音楽的には相当なキレ者。このギャップが凄いです・・・。

そしてモレーノのリーダー・プロジェクト「モレーノ+2」のアルバム「Maquina De Escrever Musica」からRio Longe。この曲はアドリアーナとの共作で、アップビートでポップ度の高い明るい曲。ライヴで聴くとまた違った魅力を感じられます。
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そして「Adriana Partimpim」からの大ヒット曲Fico Assim sem voceでは大合唱。会場も終盤にかけてドンドン熱気を帯びてきて、本編以外にアンコールも2回(モレーノが父親ばりに歌い上げる曲もありました)。アドリアーナも終始ゴキゲンなカンジでしたね。基本的に2日間の曲順などは1~2曲を除いて、ほとんど変化ナシでした。
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さて前述しましたが今回のアドリアーナの初来日公演はバンドとしてのライヴだったので、アドリアーナの魅力を存分に味わえたかというと、正直まだまだ足りなかったです(7割くらいと言ったところでしょうか)。かと言って別にカシンドメニコモレーノの3人が悪いというわけではないですが、いつかは弾き語りライヴ「Publico」のような、アドリアーナ・カルカニョットの魅力を存分に堪能出来るライヴも観てみたいですね。
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by Blacksmoker | 2007-08-04 00:13 | ライブレポート

BRUCE SPRINGSTEEN with THE SESSIONS BAND [Live In Dublin]


個人的な意見。ブルース・スプリングスティーンはもはやボブ・ディランを越えた存在になっていると思う。
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何をもって越えたかは人によって感じ方が違います。もちろんセールス面でいえばブルースの圧勝ですが、その影響力においてはいまだに根強い人気を誇るディラン、どちらが偉いかという線引きをするつもりはないですが、90年代以降のブルースの活動はホントに素晴らしいと思います。自身のソロ活動とE・ストリート・バンドとの活動を使い分け、ソロでは主にフォークを主体としたルーツ・ミュージックに傾倒し、E・ストリート・バンドとの活動ではビッグなロックで魅了する。個人的にディランは「孤高のカリスマ」、一方ブルースは「大衆のヒーロー」という位置付けだったんですが、近年のブルースのカリスマぶりには目を見張るものがあります。精力的な活動や作品の持つ力強さなどはもはやディランを越えているように思えます。

f0045842_11434466.jpgそのブルースが昨年リリースしたアルバム「We Shall Overcome: The Seeger Sessions」E・ストリート・バンドと一旦離れてフォーク・シンガーのピート・シーガーの取り上げたフォーク・ソングをブルースが無名なミュージシャン達と一緒にカヴァーした作品で、カヴァー作品でありながらもブルース印の素晴らしい作品に仕上がっていました。そしてアメリカン・ルーツ・ミュージックを俯瞰するという意味においてはディランの昨年の傑作「Modern Times」と同じベクトルを向いていたと言っていいでしょう。

今回紹介するこのDVD「Live In Dublin」(下写真)はその「We Shall Overcome: The Seeger Sessions」リリース後に行ったツアーのアイルランド・ダブリン公演のライブ映像をDVD化したものです。

f0045842_11391962.jpgここでのブルースは完全に大衆のヒーローとしてのブルース・スプリングスティーンだ。E・ストリート・バンドが参加していないとはいえ、バンジョー、フィドル、マンドリン奏者、その他にもコーラス隊やブラス隊など総勢17人を従えたブルースの姿はあいかわらずヒーロー然としています。現在58歳のブルースだが、そんな歳など微塵も感じさせない若くエネルギッシュなパフォーマンスは観ているコチラまで熱くなってきます。すかした顔して小難しい演奏をして一人悦に入っている若いミュージシャンは、コレを観て少しでも勉強して欲しいものですね。

全23曲。「We Shall Overcome: The Seeger Sessions」に収録されている曲はもちろん、ブルース自身のヒット曲を含めた盛りだくさんの内容。面白いのが、お馴染みの代表曲が、このバンド用にアレンジされたヴァージョンで披露される事。Atlantic CityIf I Should Fall BehindHighway Patrolman、そしてBlinded By The Lightまでもが、このバンド編成ならではのアレンジで観れますが、全く違う曲になっていてかなり新鮮です。コーラスに入るまで全く気付かない曲もあるくらいです。ブルース自身もこのバンドでの演奏を心から楽しんでいるようです。
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そしてダブリンの客の熱狂振りも凄まじい。労働者階級が多いという土地柄もあるだろうが、もの凄い盛り上がりです。オールスタンディングの会場なので若い客がかなり多い。年配の人だけでなく若者にまで支持されるブルースの人気振りが窺えます。その客が常に大合唱!曲のイントロのフレーズが鳴る度に、すぐさま反応し大合唱する姿はもはや感動すら覚える光景です。ブルースのパフォーマンスもそれに呼応するように白熱しまくります。E・ストリート・バンド以外のバンドでここまで熱くさせられるなんて思ってもみなかったですね。終盤に登場するWhen The Saints Go Marching In(聖者の行進)のカヴァーでの、一人一人のメンバーが1ヴァースづつ歌っていく感動的な構成も見事です(通常のブルースのライブでのIf I Should Fall Behindのような感じですね)。

そのE・ストリート・バンドからは奥さんのパティ・スキャルファのみが参加。常にステージ前方でギターとコーラスを担当し、ガッチリとブルースを支える姿は本当にカッコイイです。
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その他にもブルースのライヴではお馴染みの女性ヴァイオリニストのスージー・タイレルもいて激しいパフォーマンスを見せてくれます。パティ・スキャルファにせよ、スージー・タイレルにせよもはや60歳に近い女性がこんな迫力のパフォーマンスを見せてくれるのはブルースのライヴならではですね。

とにかく熱い圧巻のライヴ!観てるだけでも元気が出てくるエネルギッシュな最高のライヴです。
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1997年の「Ghost Of Tom Joad」ツアーでのアコースティック・ソロ・ライヴ以降、日本には10年間来日していませんが、是非生で見てみたいです!
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by Blacksmoker | 2007-08-01 10:41 | ROCK