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MARCUS INTALEX [Fabriclive.35]


ロンドンが誇るクラブ「FABRIC」。
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世界のトップDJ達が必ずプレイするこの大規模なハコですが、このFABRICが2001年より企画しているのが「Fabric」と「Fabriclive」という2つのMIX CDシリーズ。これまでにこのシリーズには、世界に名立たるDJ達が続々と登場しています。「Fabric」シリーズは主にテクノ、ハウス系のDJ達を中心にしており、もう一つの「Fabriclive」シリーズは主にドラムン・ベースやブレイク・ビーツ系のDJ達を中心にしています。

さて今回紹介するのがこの「Fabriclive」シリーズの35作目の最新作。現在f0045842_14562898.jpgまでにこのシリーズにはジェイムズ・ラヴェルDJ HypeAndy CファビオThe FreestylersディプロHigh Contrastなどが登場していますが、このシリーズの最新作に遂にこの男、マーカス・インタレックスが登場です。ドラムン・ベースの新しい未来を拓くプロデューサーとして個人的には最も注目しているこの男がこの「Fabriclive」に登場となると期待せずにはいられません。

まずはこのマーカス・インタレックスという男を紹介しておきましょう。マーカス・インタレックスはイギリスのマンチェスター出身のドラムン・ベースのプロデューサー/トラックメイカー。
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彼の創り出すサウンドは、High ContrastNU:TONEなどに代表されるHospital Recordsのアーティストらが得意とするソウルやジャズのエッセンスを取り入れたドラムン・ベースだ。所謂「リキッド・ファンク」と言われてます。しかしマーカス・インタレックスのサウンドはそれらのサウンドよりももっとディープでスピリチュアルでソウルフルなドラムン・ベースだ。最近のコマーシャルになり過ぎたドラムン・ベースと違って、即効性よりも持続性(音楽として長く聴き続けられる事)の重きを置いたディープなソウル・ミュージックの未来型のようなサウンド。

そのマーカス・インタレックスの主宰するレーベル「SOUL:R」からZero Tolerancef0045842_14591442.jpgどかなりソウルフルなドラムン・ベースのアーティストを輩出しており、今個人的にはかなり信頼の置けるレーベルです。そしてマーカス・インタレックス自身もCalibre(カリバー)らと組んだユニット「Mistical」で、2006年に素晴らしいアルバム「Eleventh Hour」をリリースしています(これはマジでヤバイのでチェック!)。

さて、そのマーカス・インタレックスによるこのMixですが、これが期待以上の出来。マーカスのレーベル「SOUL:R」から、前述したMisticalZero ToleranceをはじめとしてLynx & KemoAlex Perezといったアーティスト達、その他にも要注目のCalibre(左写真)やCommixといったマーカス・インタレックスf0045842_1534699.jpg並ぶ次世代クリエイターの新曲・未発表曲がズラリ。ここには新しいドラムン・ベースの最新進化型があります。個人的に大きな期待を寄せていたHigh Contrastの新作がかなりイマイチだった私にとって、マーカス・インタレックスらの創り出すサウンドはまさしくドラムン・ベースの未来です。ダブ・ステップと違い疾走感があるのも爽快です。個人的にはINSTRA:MENTALによる桃源郷のような美しい上モノにドラムというよりパーカッションと言った方が正しいようなリズムが流麗なPacific HeightsBANGO COLLECTIVEによるポエットリー・リーディングを導入したFaithlessを更に進化させたようなディープなApocalypseは圧巻の一言。Calibreのトラックももちろん素晴らしいサウンドです。

カウンターカルチャーとして始まったドラムン・ベースも徐々に商業化の波にのまれていく昨今。その波にのまれることなく、ディープにソウルフルに進化するこの漆黒のグルーヴはかなり心地良いです。
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2007年は、Rufige Kruゴールディ)がストリート感溢れるハードコアな新作を発表し、ドラムン・ベースのオリジネーターとして底力を見せつけましたが、このマーカス・インタレックスはドラムン・ベースの世界を新たに切り開きます。全然タイプは違いますがどちらもドラムン・ベース界にとっては超重要作品です。どちらも是非ともチェックして欲しいです!

最後に、この「Fabriclive」シリーズですが、10月にリリースされる「36」にはJames Murphy、そして12月リリースの「37」にはJusticeが登場するようです。
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by Blacksmoker | 2007-09-27 00:13 | DRUM & BASS

QUEENS OF THE STONE AGE [Era Vulgaris]


ストーナー・ロック」― Stoneした(ラリった)ロック、トリップしたロック。この言葉は便宜上よく使われるが、これらにカテゴライズされるであろう多くのバンド達はこの言葉を好んではいないようだ。ではここで新たに命名しよう。「マリファナ・メタル」。これならどうだ!文句無いだろ?むしろ本望じゃないか?

f0045842_1191617.jpgさて前置きはこの辺にしておいて、そんなトリップしまくったマリファナ・メタル・バンドの中で最も成功したバンド、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ。クサの臭いを撒き散らしながら、荒廃した砂漠を爆走する異能のロックンロール・トリップ軍団による2年振りとなる新作「Era Vulgaris」がリリースされました。これが右脳と左脳を両方を宇宙の彼方にぶっ飛ばすような痙攣系ギター・リフが神経系を刺激する最高にヤバいアルバムです!

2000年に結成されたこのクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ。中心人物のジョッシュ・オムこそは健在だが、その他のメンバーは常に流動的。ジョッシュ自身もあまりそのバンドの形態にこだわっていない様子で、いろんな一癖も二癖もある人間が出たり入ったりという一種のコミュニティーのような形態をしている。
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中でも有名なのは元Screaming Treesのヴォーカリスト、マーク・ラネガントム・ウェイツニック・ケイヴにも通じるかなりディープでロウなハスキー・ヴォイスのこの男も、正式メンバーではないが頻繁にクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのアルバムにも顔を出しています(初来日公演にも帯同していましたね)。そしてあまりの素行の悪さからクビになっf0045842_11331013.jpgてしまいましたが、一番人気が高かったのがニック・オリヴェリ。スキンヘッド&アゴ髭&タトゥーのワイルド極まりない風貌で、素行も超ワイルドなこの問題児ニック・オリヴェリはヴォーカリスト&ベーシストとしてクイーンズにおいてジョッシュとの2枚看板として大きな人気を誇っていました。そしてFoo Fightersデイヴ・グロール(左写真)もその1人。2000年「Songs For The Deaf」においてドラマーとして参加し、グルーヴィー極まりない最強のドラミングでクイーンズのサウンドを更に強靭なものにしたデイヴもクイーンズ・コミュニティの1人だ(クイーンズの人気がメジャーなものになったのもデイヴ・グロールの人気に依るところも多かったかと思います)。

さて2000年のブレイク作の2nd「Rated R」、そしてメジャー・フィールドでの人気も獲得した2002年の3rd「Songs For The Deaf」、そしてビルボード初登場5位を記録した2005年の4th「Lullabies To Paralize」に続くこの5th「Era Vulgaris」。今回のアルバムの固定メンバーは、前作より参加しているギタリストのトロイと、ドラマーのジョーイ・カスティロ、そしてジョッシュの3人。
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だからなのかどうか分かりませんが、冒頭の3曲はドラムの音がスッカスカ!打ち込みかと思う程の単調なリズムに驚きますが、ギターに関しては、今まで以上に凝りまくった音で、分厚いリフが強烈です。元々ドゥーム・ロックの神と崇められたKyussのギタリストとして強烈過ぎるギターリフを繰り出してきたジョッシュ・オム(下写真)。
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ギターリフ・マスターとして、このクイーンズでも、その才能は爆発していますが、今回のアルバム「Era Vulgaris」でのギターは、より神経に突き刺さるようなクランチーで、エッジの立ったサウンドとそのギター音が重なり合った音圧で脳内トリップを誘発する。リフの重さはまさしくBLACK SABBATH直系だが、80年代パンク/ハードコアの爆走感も備えた無敵のギターリフはカッコ良すぎです。特に1stシングルになっているSick, Sick,Sickなんて、確実にクイーンズの代表曲になるであろう凶暴なギターリフで押しまくる極上の爆走チューンです(ちなみにこの曲にはストロークスジュリアン・カサブランカスが参加しています)。
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そしてもう一つのクイーンズの特徴でもあるそのヴォーカル・スタイル。この手のバンドといえば必ずスクリームか怒号のような咆哮なヴォーカル・スタイルなのですが、ジョッシュのヴォーカルはめちゃくちゃフリーキー。高音域のファルセットも織り交ぜ、地声で喋るように歌う独特なヴォーカル・スタイルはやる気があるのかないのか分からないフリーキーさ(おそらくあるのでしょうが)は、今回のアルバムでも健在です。

f0045842_1211797.jpg4曲目以降はドラムも多彩になり、ミドルテンポな曲から爆走チューン、そして変化球的なポップ・ソングまで、かなりヴァリエーション豊かな楽曲が並ぶが、ギターの音がやはり凄い。ほとんどの曲においてブーストしまくったギター音が3~4本くらいは重ねられていて、その割れまくった残響音がかなりサイケデリックです。アルバム・ジャケットに「You have MONO」という表記があるんですが、これってモノラル・サウンドなんでしょうかね?全然そんな感じがしないです。確かにアナログ盤で聴きたい音ではありますね。ジャケットもアナログ盤を意識した作りになっていますね。カッコイイです。

Misfit LoveBattery Acid3’s & 7’sRiver In The RoadRun, Pig, Runなどはマジでクイーンズの真骨頂ともいうべき爆走サイケデリック・トリップ・サウンドで必聴です。
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人気的にもピークだった3rd「Songs For The Deaf」以降、このクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジはよりアンダーグラウンドに、そして音楽的にはより過激な方へ向かっているような気がします。そしてよりラウドに、そしてよりシンプルになった神経系を刺激する痙攣ギター・リフは過去最強です。是非良い子はチェックして下さい。
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by Blacksmoker | 2007-09-24 00:13 | METAL

サウンドトラック[The Hottest State]


俳優イーサン・ホークによる小説「The Hottest Statf0045842_9563332.jpge」が、イーサン・ホーク自身の監督によって映画化されました。この小説はイーサン・ホークの自伝的物語だそうで、駆け出しの俳優と一人のシンガーソングライターの女性の恋愛を描いたものらしいです。この「The Hottest State」ですがアメリカでは既に7月から公開になっていて、日本公開はもう少し先になりそうですが、今回紹介したいのはこの映画のサウンドトラック盤です。

この映画音楽を手掛けたのがジェシー・ハリス。そうです、またもやこの男です!
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6月に自身の新作「Feel」、そして畠山美由紀とのコラボレーション・アルバム「Summer Clouds, Summer Rain」をリリースしたばかりだというのに、間髪入れずにまたもや新音源が登場です。

アルバムの中にあるイーサン・ホーク自身の解説によると、ジェシー・ハリスイーサン・ホークは長年の友人だそうで、この小説「The Hottest State」の原稿を読んでもらいジェシーにその中のシーンに合う曲を書いてもらったそうだ(何でもジェシーは50曲くらいもくれたそうです)。そしてその中から曲を選び、その曲をいろんなヴォーカリストに歌ってもらった曲を集めたというのがこのアルバムです。
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しかし今回のこのアルバムはちょっと凄い事になっています!なんたってそのヴォーカリストの人選が堪りません。ノラ・ジョーンズウィリー・ネルソンファイストブライト・アイズエミルー・ハリスキャット・パワーM・ウォードザ・ブラック・キーズなどなどインディ・ロック勢からカントリー界の大御所まで網羅し、さらにはブラッド・メルドーによるピアノ・ソロや、ジェシー自身が歌う未発表曲などもあり凄い豪華な内容になってます。もはやジェシー・ハリスの独壇場と言ってもいいですね。

その中でも、やはり注目は何と言ってもノラ・ジョーンズの歌うWorld Of Troubleでしょう。
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ノラ&ジェシーのゴールデン・コンビに心躍らすファンの期待に120%応える名曲の誕生です。ノラ・ジョーンズはピアノも弾いており、隙間を活かしまくったジャジーな演奏はまるで彼女の新曲と言っても差し支えありません。このアルバムの中でもYou,The Queenという曲でヴォーカルを担当しているTony Scherrがギターとバッキング・ヴォーカルも担当しておりコーラスもさりげなく素敵です。アップライト・ベースを弾いているのが何とグレッグ・コーエンでした(あまりベースの目立つ曲ではないですが・・・)!グレッグ・コーエンはこの他にも数曲にベーシストとして参加しています。

個人的にオススメしたいのが、M・ウォード(左写真)によるCrooked Lines。新世代アメリカーナ・シンガーソングライターの中で最も気になるこの男。昨年出たアルバム「Post-War」がトンでもなく素晴らしかったM・ウォードの歌f0045842_1054797.jpgうこの曲Crooked Linesジェシーの以前のアルバムに収録されていた曲だが、その曲をM・ウォードがアコースティック・ギターで静かに静かに弾き語るロマンティック極まりない美しい曲。M・ウォードの声もウェットで繊細な深い声でホントにうっとりします。バックで印象的なピアノとコーラスを担当するのはノラ・ジョーンズです。ベースにはノラのアルバムではお馴染みのリー・アレキサンダーが弦の僅かな揺れまで聴こえる繊細な音を聴かせてくれます。M・ウォードノラ・ジョーンズの3rdアルバム「Not Too Late」にも参加して歌声を披露しているので是非チェックして欲しいです。

そしてもう1曲。新世代アメリカーナを代表するバンド、ブライト・アイズによるBig Old House。今年は新作「Cassadaga」も発表しビルボード・チャート初f0045842_1071022.jpg登場4位を記録、その後はサマーソニックにも総勢10人組の「ブライト・アイズ・オーケストラ」として登場したコナー・オバースト(右写真)のソロ・プロジェクト、ブライト・アイズですが、この曲Big Old Houseも完全にブライト・アイズ流に料理された曲に。リヴァーヴの利いたラウドなドラムと、キーボードによる印象的なイントロのフレーズ、そしてバックでさりげになるサイケデリックなエレクトリック・ギターの残響音など、どれを取ってもまさにブライト・アイズ色が出まくった曲です。後半のカオスっぽいところはまるでWilcoのようなカンジです。この曲も凄い良いです。

まあ、その他にも60年代の女性フォークシンガーのようなカナダ出身のシンガーソングライター、ファイスト(左写真)によるSomewhere Down The Road(原曲はジェシーのアルバム「Mineral」に収録)や、まf0045842_1023120.jpgるでカントリーのクラシックを歌うようなウィリー・ネルソンによるAlways Seem To Get Things Wrong(原曲はジェシーのアルバム「While The Music Lasts」に収録)、完全に轟音ブルーズ・ロックに解体したザ・ブラック・キーズによるIf You Ever Slip、そしてこれも素敵なピアノ・ソロ曲として生まれ変わったブラッド・メルドーによるロマンティックなNever See You、そして若きジョニ・ミッチェルのような女性シンガーソングライター、Rochaが歌う3曲の穏やかなフォーク・ソングも素敵です。他にもエミルー・ハリスキャット・パワーによる曲などもあって聴き所満載です。

しかしやはりこのアルバムを聴き終えて最終的に思うのはジェシー・ハリスのソング・ライティングの素晴らしさです。
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繊細だがメロディの際立つジャジーなフォーク・サウンドは、特に女性が歌うと凄く栄える曲が多いように思いますね(以前紹介した畠山美由紀しかりです)。そしてジェシー自身のヴォーカリストとしての素晴らしさも強調しておきたい。この個性的なシンガー達の中でもジェシーの声は全く埋もれることなく、むしろ際立つ繊細な声は本当に素晴らしいですよ。まさしく21世紀を代表する天才シンガーソングライターです。アルバム全体的の流れも素晴らしく、アルバム1枚を通して聴いてしまいたくなる構成になっています。終盤に配置された2曲のインストゥルメンタル曲の美しいさは特筆もの。ちなみにジェシー本人もこの映画に出演しているそうです。
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とりあえず2007年後半は怒涛のジェシー・ハリスのリリース・ラッシュですが、どれを取っても全くハズレなしのクオリティ。10年後に20枚くらいアルバム出てて、どれから聴いて良いか分からなくなる前に、今のうちにジェシー・ハリスの作品はチェックしてみて下さいよ!
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by Blacksmoker | 2007-09-20 00:13 | サウンドトラック

ZAP MAMA [Supermoon]


さて2007年はアフリカを代表する女性アーティf0045842_2353064.jpgスト、アンジェリーク・キジョーの新作がリリースされましたが、ここにもう一人アフリカを代表する女性アーティスト、ザップ・ママの新作がリリースされました。個人的にはこの3年振りとなるこのザップ・ママの新作「Supermoon」は、最も期待していた1枚。アフリカをルーツにし、そこから世界に向けて常に斬新な音楽を発信する、このあくなき音楽の探求者ザップ・ママ。今回のアルバムも実にポップであり、同時に実に刺激的なサウンドが満載です。

さてこのザップ・ママですが、実はザイール生まれのマリー・ドルヌという女性のソロ・プロジェクト。
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99年にワールドワイドでデビューした時はザップ・ママは5人組の女性グループだったのですが、その後リーダーのマリー・ドルヌの音楽的志向が他の4人と完全に変わってしまったため、グループは2ndアルバムをリリース後解体され、3rdアルバム「」以降はマリー・ドルヌのソロ・プロジェクトとして機能している。

実はマリー・ドルヌがソロへ転向するきっかけとなったのは、マイケル・フランティ(下写真)との出会い。
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彼との出会いによって彼女の音楽は更なる高みに到達したと言っても過言ではない。その後は様々なアーティストとの交流を経て、前作である2004年のアルバム「Ancestry In Progress」ではよりヒップホップ的アプローチを見せた(エリカ・バドゥコモンタリブ・クウェリクエストラヴなど豪華なゲストが参加)ザップ・ママですが、3年振りとなるこの新作「Supermoon」では更にアフリカ的リズムを強めながらも、サウンドは更に洗練され、マリー・ドルヌのその妖艶なヴォーカルにもますます魅力的になっています。そしてその開かれたポップ・センスは、先に出たアンジェリーク・キジョーの作品にも共通する事ですが、多くの人々の心を捉えるでしょう。
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リズムはアフリカ的ですが、メロディは欧米的なところも多く、そのブレンド加減が絶妙で彼女の孤高性を更に高めている。アンジェリーク・キジョーが、自身の音楽のスケールを大きくしてグローバル化を目指すのに対し、このザップ・ママも同じベクトルを向いてはいるが、サウンドはより実験的な方へ向かっています。

前作では様々なゲスト・ヴォーカルを迎えていましたが、今作では打って変わってほとんどゲスト・ヴォーカルf0045842_23595945.jpgは参加しておらずマリーのヴォーカルに照準を当てた作りになっています。しかしサウンドに関しては別。タダモノではないゲスト陣が参加しています。特に注目なのは1曲目1000 Waysウィル・リーの弾くベースラインに合わせ、ドラムを担当するのはトニー・アレンフェラ・クティのリズムを支えたグルーヴ・マスターによるリズムが冴えるこの曲からしてそのサウンドはプリミティヴ。その他にもミシェル・ンデゲオチェロ(新作「The World Has Made Me The Man Of My Dreams」ではかなり凄い領域まで行ってしまってます)やバシリ・ジョンソン、その他にもアフリカ人のミュージシャンが多数参加。かなりのクセモノが揃っています。

そしてもちろん盟友マイケル・フランティも参加。彼の参加したHey Brothaでは2人の早口言葉のような巻き舌のヴォーカルの掛け合いが聴けて面白いです。続くタイトル曲Supermoonでは一変してリラックスしたアコースティックなポップ・チューン。そして後半に進むにつれ徐々にスピリチュアルな方向へ。その途中に挟み込まれた明朗なアフリカン・ポップスGatiも良いアクセントになっています。アフリカン・ポップスと実験的精神が混然一体となっていく様はなかなか痛快。もはや大物の風格さえ漂う堂々たる作風です。
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もちろん全曲マリーによる作曲。この新作を聴けば必ずこのマリー・ドルヌの底知れぬ才能に惚れることは間違いないでしょう。素晴らしいファッション・センスも注目です。是非この新作チェックしてみて下さい。

 
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by Blacksmoker | 2007-09-17 00:28 | アフリカ

「REGGAE X-PLOSION 2007」@愛知万博記念公園 9/9(日) 2007


ある友人がこう言っていた。「夏が終わった?いいや、夏の終わりは俺が決めるんだよ」- まさしくその通り!Blacksmokerの2007年夏はこの「Reggae X-Plosion」を体験しないと終わらない!

名古屋のレゲエ・サウンド「Guiding Star」が主催するこの「Reggae X-Plosion」。ジャパニーズ・レゲエ・フェスティヴァルと言えば、「横浜レゲエ祭」と「HIGHEST MOUNTAIN」の東と西の2大フェスがあって毎年かなりの盛り上がりを見せていますが、ジャマイカン・アーティストによるフェスティヴァルはまだまだ少ない。この「Reggae X-Plosion」は2日間に渡り、1日目はジャパニーズ・アーティスト、2日目はジャマイカン・アーティストに分けて開催されたのですが、注目はこの2日目にラインナップされたジャマイカン・アーティスト達。

LUCIANO
DA’VILLE
MARCIA GRIFFITHS
SUGAR MINOTT
MIKEY GENERAL
DEAN FRASER

もうジャマイカン・レゲエ・シンガー好きにはたまらないラインナップ!もはやレジェンドのマーシャ・グリフィスから、世界的ブレイクを果たした若手シンガーのダヴィル、そしてこちらも大御所のシュガー・マイノット、若いながらももはや貫禄のベテラン、ルチアーノなどまさに「新旧ジャマイカン・レゲエ・シンガーのスター」が揃ったラインナップは、ジャマイカン・レゲエにハマったことのある人間なら嬉しさを隠せません。

そして今回の会場となる場所は愛知万博記念公園モリコロパーク。くそデカい広大な敷地の中にあるこの大きな広場のモリコロパーク。愛知万博のイメージ・キャラクターのモリゾーキッコロから取ったこのユルい名前もさる事ながら、会場の周辺に流れる小川や芝生がさらにユルい雰囲気を醸し出しておりレゲエ・ミュージックを楽しむのには完璧なロケーション。客層はマーシャ・グリフィスシュガー・マイノット目当てと思しきオッサンも何人かはいましたが、やはりダヴィル目当てのギャルやダンサーの女の子が多かったです。

さあ長くなるのでさっと行きましょう!

f0045842_1357204.jpg女性シンガーの有坂美香を擁するReggae Disco Rockersが会場にピースフルなヴァイヴスを振りまいた(YOYO-Cも登場してました)後、マイキー・ジェネラルが登場。このマイキー・ジェネラル(右写真)に関しては今回初めて知ったのですが、ルチアーノの舎弟的なシンガーだそうですね。真っ黒に固めた衣装で、でっかい体を揺らしながらドレッドを振り乱して歌う姿は若き日のジェイコブ・ミラーを彷彿させます。その風貌とは裏腹に非常に若々しい歌声で会場を沸かしていましたね。

そして次はディーン・フレイザー(左写真)率いるJah Messenjah Band。もはやジャマイカf0045842_1444866.jpgン・レゲエだけでなく日本のレゲエ・アーティストの作品でもその印象的なサックスを聴く事ができるこのベテラン・サックス奏者ディーン・フレイザー。そのディーン・フレイザーをリーダーとしてギター×2、ベース、ドラム、キーボード、パーカッションという7人編成によるJah Messenjah Bandによるずっしりと安定した強靭なレゲエ・サウンド。そしてディーンが圧巻のサックス・ソロ炸裂で会場を沸かします。ちょうど日が暮れかかった夕日が差す会場で演奏されたのがボブ・マーリィーRedemption Song!こんなシチュエーションでハマりすぎのこの選曲(しかもかなりの長尺ヴァージョン!)に会場も大盛り上がりでした。

そしてJah Messenjah Bandをバックに登場したのが御大シュガー・マイノット(右写真)。70年代からStudio Oneそして80年代には自身のレーベルBlack Roots、そしてニューヨークのWackiesなどに多くの作品を残している大ベテラン。私もWackiesからのアルバム「Wicked Ago Feel It」はかなり好きなので、かなり期待してましたが、予f0045842_1471675.jpg想を上回る素晴らしさに感激でした。何たってステージングが上手すぎる。客を煽ったり、盛り上げたり、歌わせたりとそのクラウド・コントロールはベテランならではの上手さ。そしてそのパワフルな歌声は全く昔と変わらず。あまりにも普段着な衣装はもうちょっと何とかして欲しいが、またそこが気さくなオッサンみたいなフレンドリーさで良かったかもしれません。そしてハイライトは、やはりHerbman Hustling!今でもレゲエのサウンドでは普通にかかってダンスホールを熱狂させるこの不朽のクラシックに若い客層も含めて会場が一体になってましたね。素晴らしい!途中で名古屋のレゲエ・シンガーのパイオニアNAHKIを呼び込んだコンビネーション・チューンも披露していました。

そしてシュガー・マイノットが終わり、次に登場したのが個人的に今回最も楽しみにしていたマーシャ・グリフィスリタ・マーリィジュディ・モワットと共にコーラス・グループ「アイ・スリーズ」を結成f0045842_14115795.jpgボブ・マーリィ&ザ・ウェイラーズを支え、ボブ・アンディとのデュオ「ボブ&マーシャ」や、自身のソロ活動など、もはやその芸歴は40年!ベレス・ハモンドが北島三郎なら、マーシャ・グリフィスは都はるみ的な存在でしょう。今年VP Recordsからマーシャのその長い活動を2枚組にまとめたベスト・アルバム「Reggae Anthology: Melody Life」(左写真)がジャマイカでも売れまくっててチャートでもずっと上位をキープし続けているので、やはりその人気はかなり凄いものがありますね。

そんなマーシャですが、登場と共に一気に客はヒートアップ!何たってその衣装のカッコ良さ!真っ白な髪飾りに白いフレームのサングラス、そして白のドレスという全身白でバッチリとキメた衣装はまるでメアリー・J・ブライジのようです(体型は全然違うけど・・・)。
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しかも往年のクラシックDreamland(バニー・ウェイラー作)とか投下されたら、アルバム「Truly」を死ぬほど聴いた身にとってはもうたまりません。その後もI Shall Singなど名曲を披露。その後は何とダミアン・マーリィの2005年の大ヒット・チューンWelcome To Jamrockのカヴァーやら、ボブ・マーリィCould You Be Lovedのカヴァーなども披露してくれたりと大サービス。何よりもマーシャの包容力のある歌声にジャマイカの底力を感じましたね。

その後はNYのサウンド、Down Beatのジョグリング、そしてスペシャル・ゲストとしてパフォーマンスを行ったレフトサイド&エスコエスコf0045842_14131329.jpg更に会場を盛り上げた後は、もはや世界的な人気シンガーとなったダヴィルが登場。会場中の女子はおそらくこのダヴィル(右写真)を観に来ているんでしょう。物凄い黄色い声援でした。Jah Messenjah Bandは休憩でセレクターをバックにしてのステージング。いやはやノリに乗ってる男は違います!まだまだ素晴らしいヴォーカリストと呼ぶには先に出たベテラン・シンガーと比べると声の伸びが足りないが、コッチには勢いがありますマーシャ・グリフィスが登場しAll My Loveをデュエットしたり、客席から女の子を上げてダンスさせたりとサグな路線ですが、いちいち黄色い声援で凄かったです。In Heavenなんかは強烈に盛り上がってました。最後はもちろんAlways On My Mind。観客にコーラスさせるんですが声がほとんど女の子の声でしたね。降参です

そしてトリはルチアーノ
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もうこの人しかいないでしょう。JAHのメッセージを世界に伝え、数々のf0045842_14144799.jpgヒット曲を放つルーツ・レゲエ・シンガー。その偉大な活動はまだ12年しか経っていないが、そのリリース量は尋常じゃありません。しかしそのリリース量の多さにも関わらず、全くそのクオリティは落ちません。ダンスホール全盛の時代でも、ルチアーノのルーツ・レゲエは愛され続けています。そのコンシャスな姿勢を貫き通す姿はもはや神々しさすら感じさせます。どのアルバムも素晴らしいですが是非2005年のアルバム「Serious Time」(右写真)は大名盤なので聴いてみて欲しいですね。

さてステージには再びJah Messenjah Bandが登場。彼らの音をバックに、軍服姿で物凄いマントを纏ってルチアーノが歌いながら登場。その荘厳な姿は凄いオーラです。
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そして会場中が待っていたGive Praise!ダンスホール全盛の時代でさえも輝きを放つこのクラシック・チューン。イントロと同時に会場が爆発したと言っても過言ではない弾け振りでした。その後も大ヒット曲連発。跳んだり跳ねたり前転したりと、異常にアクティヴな動きで観ていても全く飽きさせません。終盤にはスペシャル・ゲストとしてPUSHIMが登場。もちろんPUSHIMのアルバム「Sing A Song…Lighter!」に収録されているルチアーノとのコンビネーション・チューンAs Oneです!いやぁ盛り上がらないわけがないでしょう。わざわざこの為だけにやってきたPUSHIMにもリスペクトです。
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そして最後まで堂々としたルチアーノのエネルギーの塊のようなパフォーマンスと、Jah Messenjah Bandによるサウンドはほんとに素晴らしかったです。最後は出演者全員が登場して大団円。ピースフルに締めくくって去っていきました。

会場のロケーションも含めて終始ピースフルな空気が流れていたこのイベント。非常に素晴らしいイベントでしたね。来年も是非開催して頂きたいです。素晴らしいジャマイカのシンガー達にリスペクト。そしてGuiding Starにもナフ・リスペクト!

コレでようやく2007年の夏は無事に終わりを迎えれそうです。
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by Blacksmoker | 2007-09-13 00:13 | ライブレポート

SUNN O)))、旧作の日本盤Expanded Edition発売決定!!

今月号の「Euro-Rock Press」は凄いです!
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ドローン・ミュージック特集です!もちろん表紙は5月に奇跡の来日が実現し日本中を震撼させたSUNN O))) & Boris!(ライヴというより臨死体験と呼ぶ方が相応しい壮絶な来日公演のレポートはコチラで。)
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そして10月にはそのSUNN O)))の旧作が日本盤エクスパンデッド・エディションとして再発されます。来日前にも第一弾として「White 1」('03)、「White 2」(’04)、「Black One」(’05)の3枚が日本盤エクスパンデッド・エディションとして再発されましたが、今回はその第二弾です。しかしこの日本盤エクスパンデッド・エディション、はっきり言ってとんでもないシロモノなんです。

このSUNN O)))というユニットは、今までに正規盤以外にライヴ会場などで販売されるライヴ盤が多数リリースしています。ただでさえ世界中に狂ったマニアが多数存在するこのSUNN O)))。しかも限定500枚とか僅かな数しか存在しないこともあり、このライヴ盤や正規盤のヴァイナルなどは世界中のマニアの間でトンでもない高値で売買されています。
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そんな幻ともいえる貴重なライヴ音源をボーナス・ディスクとしてパッケージングしたのがこの日本盤エクスパンデッド・エディションなのです!世界中のマニアがこれほど日本人を羨ましく思ったことはないでしょう。特に前回再発された「White 2」などは、世界中のマニアの間で激しい争奪戦が繰り広げられた幻の2枚組ライヴ盤「Live White」がボーナス・ディスクとしてついた3枚組としてリリースされるという快挙とも暴挙とも言える再発でした。
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もちろん私もSUNN O)))のアルバムは全て持っていましたが、この素晴らしい日本盤エクスパンデッド・エディションの為、もう一度買い直してしまいました。そして今回10月31日に再発されるこの日本盤エクスパンデッド・エディションの第二弾。今回再発されるのは「The Grimmrobe Demos」('00)、「OO Void」('00)、「Flight Of The Behemoth」('02)の3枚。詳細を見ましたが、今回も凄すぎます!(以下、アルバム解説より)

「The Grimmrobe Demos」f0045842_21133050.jpg
SUNN O)))がその姿を地上に現した、記念すべき第1弾作品 (オリジナル発売:00年)

ボーナス・ディスク:Live at Gabah / Anti Club '99




2000年にHydra Headのサブレーベル、2xHNIの第1弾として限定500枚+α/特殊パッケージでリリースされた作品。SUNN O)))と言われてイメージする暗黒ドローンのエッセンスのみをただひたすら抽出したサウンドは、SUNN O)))史上最もプリミティヴなものであり、全ての原点ともいうべき高純度音。ボーナス音源として収録されるのは、音源発表は勿論、まだローブ/僧衣を纏う前のSUNN O)))最初期のパフォーマンスを収録したライヴ盤。これまでメンバーに近しい友人のみに極少数だけ配布されていたとされる音源であり、一般発売は一切無かったもの。音源以上に生々しいライヴであり、資料的価値という以上のインパクトを持っている。

■「OO Void」f0045842_21273382.jpg
SUNN O)))初期サウンドのアイデアを完璧にまとめ上げたスタジオ作(オリジナル発売:00年)

ボーナス・ディスク:OO Void Remix by NURSE WITH WOUND




2000年のリリース当時はいわゆる正式な1stスタジオ・アルバムという位置付けだったが、現在は '2枚目の作品' とされるアルバム。『THE GRIMMROBE DEMOS』で提示されたドラム/リズム無しの徹底した暗黒ドローン・サウンドが、独特の美意識をもって執拗に蹂躙される様は圧巻。メンバーのGreg Andersonいわく「もっとも気に入っている作品のひとつ」とのことであるが、現在全世界的に廃盤になっており、今回の日本盤特別仕様での発売は非常に意義が高い。ボーナス音源として、インダストリアル界の生ける伝説NURSE WITH WOUNDがアルバムを丸ごとミックスし直した超絶音源を収録。メンバーが今回のプロジェクトにあたり熱望した人選であり、完璧な再構築振りながら今後も日本盤以外に別売りされることは一切無いという貴重な作品である。

■「Flight Of The Behemoth」
f0045842_21315851.jpgヘヴィ・ドローンをベースに様々な要素を取り入れ音の幅を拡張した作品(オリジナル発売:02年)

ボーナス・ディスク:SUNN O))) with MERZBOW at Earthdom, Tokyo 2007



2002年リリース、ヘヴィ・ドローンを基調にしながらもシンセやパーカッションを導入するなど実験性も芽生え、確実に世界観を広げた作品で、後の布石ともなるターニング・ポイント的1枚。2曲でMERZBOW(秋田昌美)がミックスを担当しており、話題を呼んだ。原曲を完全解体したMETALLICAのカヴァーを含む。ボーナス音源として今年5月の来日時の東京Earthdomで収録したライヴ音源を収録。24chマルチトラックでレコーディングされた素材をMERZBOW(秋田昌美)がミックス。今回の来日時で最も小さい会場ながらアンプ10台など全ての機材を持ち込み、密閉空間での余りの音圧に聴く者が死すら意識した音が生々しく蘇る。今回のexpanded 2CD editionシリーズの目玉ともいえる。

ヤバイ!SUNN O))) with MERZBOWのライヴ音源とか、Nurse With Woundのリミックス音源とか、もう悶絶死確実!
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全作品マストです!暗黒ドローンの波の中に精神を委ねてみてください。
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by Blacksmoker | 2007-09-11 00:04 | 極北

中山うり @Shangri-La 8/31(金) 2007


昨年から話題の中山うりのライヴを体験してまいりました!
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ちなみに大阪では初ワンマンという事で会場のShangri-laはほぼ満員。その注目度の高さが窺えます。客席には年配の人もたくさんいてその人気の幅広さにも驚きましたね。

さてオープニング。Shangri-la独特な赤いカーテンで囲まれた空間が何ともマッチしています。ステージ前の赤いカーテンが開くと、既にバンドがスタンバイしていて演奏が始まる。ドラム、アコースティック・ギター、ウッド・ベース、そしてパーカッションという4人編成。彼らの演奏をバックに中山うりの登場。エキセントリックな風貌は写真で見るとおりだが、実に自然な佇まいです。
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さっとアコーディオンを抱え歌い出すと、一瞬にして場の雰囲気が郷愁を帯びたセピア色に変わった気がするほどその歌声は独特な魅力を持っています。そして1曲目が終わると客席に向かって一言「中山うりの世界へようこそ。」この自信漲る堂々たるMC。その辺のデビューしたてのアーティストではなかなか言えないでしょう、こんなセリフ。変なアマチュア感など微塵も感じさせないプロフェッショナルな姿勢が観ていて非常に清々しい。

さて今回初めて中山うりのライヴを体験して、感じたのは物凄い堂々としたステージングだった事。今まで大阪ではライヴをしてない人なので、まだまだ新人のように思っていたこっちのイメージを一気にぶっ壊してくれました。しかし、そのギャップに驚いた事を抜きにしても、一般的に見てもかなりの堂々たるステージングでしたね。
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バンドの演奏もこなれたもので、長年一緒にやってきた(と思われる)バンドならではのアンサンブルでガッチリと中山うりのバックを支えています。思ったよりもどっしりしたサウンドなのが結構意外でした。特にギタリストの繰り出すジャズ、スパニッシュ、スカなどを網羅した力強いアコースティックなメロディがとても印象的で、CDで聴くとスライド・ギターかと思った音も普通に指のスライドだけの音でしたね。このギタリストの存在は非常に大きいです。

バンドの音(というか中山うりの音)は主にジャズ、ブルf0045842_1144049.jpgーズ、昭和歌謡などを基盤にして、そこにアコーディオンの郷愁的な音色を取り入れた異国情緒漂う音で、例えるならばEgo-Wrappin’の世界観に似ています。ただEgo-Wrappin’のような突き放すようなクールさはなく、包み込むような包容力でもって場の雰囲気を支配するのが中山うりの特徴だと言っても良いでしょう。

ワンマン・ライヴだけあって1stアルバム「DoReMiFa」からの8曲全てはもちろん披露。その他にも未発表曲や新曲、そしてカヴァーも含めた1時間半。じっくりと「中山うりの世界」を堪能出来ましたね。
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特に「DoReMiFa」からの曲はやはり素晴らしい。中山うり自身も「自分で言うのもなんですが、これは名曲です。」と言っていた月とラクダの夢を見たなどはまさしくその言葉通りの名曲です。古くから歌い継がれてきたような佇まいを持った素晴らしい曲ですね。早起きラジオなんかももはや名曲と言っていいでしょうね。披露された新曲も中山うりの世界を踏襲したメロディの際立つ曲で、新作への期待が高まります。suikatotoが作詞したほろ酔いブランコもこれまた素晴らしい曲でしたね。

f0045842_1214573.jpgカヴァーで披露されたのは何と高田渡生活の柄!これは私も高田渡の中で一番好きな曲です。この曲を完全に中山うり流にポップにアレンジしていて面白かったですね。客席からもコーラスが自然に起きて非常に良い雰囲気に。そしてアンコールの一番最後で披露されたのが、彼女曰く「初期の頃に作った」という曲歌を忘れたあなた。これが切ないメロディを持った良い曲で、かなり印象的でしたね。こんな曲を若い頃に作っていたとは凄い才能ですね。この曲で感動的に締めくくって、静かにステージを去っていきました。

それにしてもこの中山うりは素晴らしいアーティストです。その世界は初めて観る人でも一気に魅了されると思います。是非チェックしてもらいたいですね。まずはiTunesで視聴してみて下さい。そしてライヴ慣れした堂々としたプロフェッショナルなステージも一見の価値アリです。
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大阪には10月に「Minami Wheels」で、そして12月にはShangri-laで再びワンマンがあるそうです。
 
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by Blacksmoker | 2007-09-07 00:45 | ライブレポート

SA-RA CREATIVE PARTNERS [The Hollywood Recordings]


Dr.DreDJ PremierSwizz BeatzThe NeptunesKanye Westなど独自のサウンドで一時代を築いたヒップホップ・プロデューサー達。そしてその次に来るのはこの3人であることは間違いない。これf0045842_262895.jpgから様々なアーティストのアルバムで彼らの名を聞くことになるだろう。Sa-Ra Creative Partnersサーラー・クリエイティヴ・パートナーズ)のサウンドはヒップホップのNextスタンダードを提示する。そのサーラー・クリエイティヴ・パートナーズの新たな一手となるこの1stアルバム「The Hollywood Recordings」。まずは彼らの名刺代わりの1枚。ここにはヒップホップの次なる潮流を生み出すサウンドが詰まっています。

このサーラー・クリエイティヴ・パートナーズというのは、タズ・アーノルド(Taz Arnold)、シャフィーク・フサイン(Shafiq Husayn)、オンマス・キース(Om'Mas Keith)という3人のプロデューサーによるチーム。それぞれが実は錚々たる経歴の持ち主で、タズなどはDr.Dreのクリエイティヴ・コンサルタントとして1999年のクラシック「2001」にも参加しているそうです(アルバム・クレジットにその名前は見当たらないけど・・・)。
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それぞれが楽器を担当するのはもちろん3人ともヴォーカルまでこなすというマルチ・プレイヤーによる三者三様のスタイルが混ざり合ったサウンドなので、非常に幅広い要素を持っています。しかし、一貫して彼らのサウンドを特徴付けているのが「キーボードによる音作り」。Neptunesがどちらかと言うと打楽器的なパーカッシヴなサウンドを得意とするように、Kanye Westがソウルのサンプリングを得意とするように、Dr.Dreがビートとベースの「鳴り」を重要視した重厚なサウンドを得意とするように、サーラー・クリエイティヴ・パートナーズの得意とするのはキーボードによるサウンドだ。主にシンセサイザーや、エレクトリック・ピアノ、そしてフェンダー・ローズなどを使ったサウンドを基盤としている。曲のバックでは必ずと言っていいほど「ビョ~ン」とか「ピロピロ~」といった浮遊感のある音が鳴っています。
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彼らの音は、P-ファンク・サウンド(特にヴァーニー・ウォーレル)に影響を受けているのが良く分かる宇宙的で浮遊感のあるサウンドです。そしてP-ファンクだけではなく、Jay-Dee以降のあの無機質なドラムビートの後継者でもあります。日本のJay-Dee信者が挙って飛びついたサウンドという情報は誤りではなかったですね。あと、プリンスにも影響を受けているのが分かります。

f0045842_2122866.jpgさてそんなサーラー・クリエイティヴ・パートナーズのアルバム「The Hollywood Recordings」ですが、実はこのアルバムは当初Kanye Westのレーベル「G.O.O.D」からリリースされる予定でしたが、直前になって急遽インディ・レーベルの「Babygrande」からのリリースとなった曰くつきのアルバム。実は以前にサーラー・クリエイティヴ・パートナーズが「G.O.O.D」に加入した事が発表されたにも関わらず、なかなかリリースが滞っていたのですが、どうやら先日「G.O.O.D」との契約は解消になったみたいですね。残念。

しかしこのアルバム、インディ盤だからといって侮るなかれ!もの凄いクリエイティヴィティ溢れる音だし、さらにゲスト陣もまったくもってメジャー盤と遜色ナシの豪華さです。そんなゲストに名を連ねるのは、エリカ・バドゥタリブ・クウェリビラルクラプトファロア・モンチカポーン& N.O.R.EそしてJディラJay-Dee)などなどそうそうたるメンツ。これだけでもフツウなら買いでしょう。まったくインディ・リリースという事が残念なくらい。ゲストの参加していない曲では3人でヴォーカルを担当しており、そのファルセット・ヴォイスが素晴らしく、まるでプリンスを彷彿させます。

注目は、やはりシングルにもなったタリブ・クウェリを迎えたFeel The Bass。Tf0045842_216141.jpgR-808ドラムマシンによる少しオールドスクール的なビートにタリブのファストでストレートなラップが映える傑曲です。その他にはエリカ・バドゥ(右写真)のあの独特な歌声を贅沢にもコーラスに配置したメロウなFly Away。バックで鳴るギターの音もプリンスばりです。女性シンガーRozzi Daimeを迎えたキャッチーなソウル・ナンバーSo Specialでは、Rozzi Daimeの伸びやかなヴォーカルをメインにサーラーの3人がコーラスに回ってガッチリと曲を引き締めています。曲構成が非常に上手いですね。このRozzi DaimeTracyという曲でもヴォーカルを執っておりここではラップも披露しています。かなりクールな声でカッコイイので今後注目ですね。キャッチーでカワイイLadies Singなど女子ウケの良い曲がたくさんあります。

一方、野郎共が注目なのはファロア・モンチによるFish Fillet。この曲なんかモロにJay-Dee以降のサウンドを継承したビートで、そこにあのファロア・モンチの痺れるフロウが切り込む様には血が騒ぐ事マチガイナシ。さらに最終曲Thrillaでは何と故J ディラ(Jay-Dee)のラップをフィーチャーした派手なパーティ・チューン。ヘッズは男泣き確実です。

インディ・リリースとは非常にもったいないこのアルバム、ヒップホップ、R&Bファンはマストなアイテムです。次なるヒップホップ・スタンダードはサーラー・クリエイティヴ・パートナーズです。そして音だけでなく、彼らのファッションにも注目して欲しいですね。
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ちなみに9/2より待望の来日公演を行うこのサーラー・クリエイティヴ・パートナーズですが、来日メンバーはタズ・アーノルドオンマス・キース2人のみ・・・。バック・バンドには日本からCro-Magnonがサポートするという変則的な編成。しかもタズオンマスの2人はヴォーカルのみ担当ということらしいです。ゲスト・ヴォーカルには前述のRozzi Daimeと、アルバムにも参加しているサーラーが全面バックアップしてアルバム・デビューを果たす女性シンガーErika Rose(下写真)も参加するそうですが・・・。
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果たしてこのライヴはどうなんでしょうか・・・。
 
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by Blacksmoker | 2007-09-04 01:39 | HIP HOP

随喜と真田2.0 [Walk This Way 58](罰当たRemix)[CD-R]


餓鬼レンジャーポチョムキン(a.k.a. Freaky随喜)と、元マイカデリック真田人(a.k.a. 真田2.0、またの名をサナディアンマン)によるスペシャル・ユニット「随喜と真田2.0」!
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もう聴く前からどうしようもなさ加減が漂うこのユニットですが、9月のフル・アルバム発表を前にこんな凄いシングルをカットしてきました!

タイトルはWalk This Way 58!何が58なのか?一体どういう意味か分かるでしょうか?答えは単純です。この曲にf0045842_23431519.jpg加したラッパーの人数なのです。え?58人?と思われた方、その通りです!いや、もうそのまんまなんですが、この曲は58人のラッパーが参加している、ヒップホップの歴史上最も参加人数の多いポッセ・カット!!2000年にリリースされたGathering Of The All Stars名義のWe Are The Wildという曲も、38人という人数のラッパーが参加してましたが、今回はそれを20人も上回っちゃってます。実に1曲19分というトンでもない曲。この随喜作のジャケットも意味不明です。

では参加ラッパーをマイクリレー順に記載しておきます。

・随喜
・YOSHI(餓鬼レンジャー/ULTRA NANIWATEC MC’S)
・MR.O.K.I. (ULTRA NANIWTIC MC'S)
・KEN-1-ROW(DA VOLCANOS/DOSMOCCOS)
・DJ FUKU(ULTRA NANIWTIC MC'S)
・HIDADDY(韻踏合組合)
・TOMOGEN(DORBELMAN INC)
・MONCHI(ABNORMAL BULUM@)
・COYASS(KOUZUI/MIC BANDITS)
・GATTSUKIMAN (T-CITY BOYS)
・K-ONE (LARGE PROPHITS)
・AGURI (LARGE PROPHITS)
・TOKI (LARGE PROPHITS)
・ARAKEN (SMC)
・DOO (SMC)
・万寿
・DEJI
・バケラッタ(トリカブト)
・清水USK(WOLF PACK)
・井上ヴォルフガング(WOLF PACK)
・エムラスタ(ROMAN CREW)
・村上水軍
・アンジキジョイ(ABNORMAL BLUM@)
・ラップマ二アック
・チャカパーン
・DARTHREIDER
・KEN THE 390
・CUTE(大和民族)
・INDARA(大和民族)
・環ロイ
・TARO SOUL
・HOOK
・ARK(走馬党)
・SKIPP (走馬党)
・Q (走馬党)
・GHOST-P
・JUGEMU (MMT)
・NG HEAD
・MIC大将(ZZ PRODUCTION)
・NAM (タサツ)
・ZIM BACK (INSIDE WORKERS)
・W-MOUTH (INSIDE WORKERS)
・SUPER-B (INSIDE WORKERS)
・GASS(INSIDE WORKERS)
・NAGANSERVER (ABNORMAL BLUM@)
・MEKOLI (げんこつ)
・k@zzzy (げんこつ)
・ボジョ (げんこつ)
・GOUKI(CAMEL BACK)
・TARO(4wd RECORDS)
・HIDENKA(GARBLE POOR!)
・KM-MARKIT(UBG)
・AMIDA
・HIDADDY(韻踏合組合)
・ERONE(韻踏合組合)
・遊戯 (韻踏合組合)
・SATUSSY(韻踏合組合)
・真田人

いやぁ、3分の1くらい聴いた事ないラッパーですね。

この58人のラッパー達がそれぞれ8小節ずつ間髪入れず次々に登場するこの曲。もう聴いてるだけで吐きそうなくらいの満腹感に襲われます。なんたって、いつまで経っても終わらないんです!CDを早送りしても19分なんてなかなか進まないですよフツウ。っとか言いながらも、ついつい最後まで聴いてしまうんですが、いやぁ実に濃いです(なぜかHIDADDYが2回も入ってます)。しかもテンション高すぎるため、聴き通すのに相当な体力を要する曲と言ってイイでしょう。疲れている時、体調の悪い時には聴く事は決してオススメしません。

今回のシングルに収録されているWalk This Way 58。オリジナル・ヴァージョンは9月のフル・アルバムに収録されているそうだが、今回のシングル・ヴァージョンに入っているのはアルバムに収録されていない2ヴァージョン。1つ目の「Beat奉行side」はトラックに主に90年代ロックのビートを使ったロッキン・ヴァージョン。3~4人のラッパー毎にRage Against The MachineNirvanaRed Hot Chili PeppersChemical BrothersThe OffspringLimp BizkitFatboy Slimとかの御馴染みのロッキンなビートが入れ替わる最高のパーティ・トラック!
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そして注目は、2つ目の「DJ BOLZOI side」。これはアイスバーンDJ BOLZOIによる、何とヒップホップのクラシック・ビートを58曲使用したリミックス!要するに、58人のラッパー毎にそれぞれ58曲のヒップホップのクラシック・ビートが飛び出すトンでもなく気の遠くなるような手間の掛かったリミックスなんです!オールド・スクールからニュー・スクールまで様々なクラシック・ビートが飛び出し昇天確実。正規リリースではなく、CD-R作品ならではのヤリタイ放題感が出まくってます。正規リリースなら確実にサンプリング許可が出ないでしょうね。ARKのヴァースでビートがPete Rock & C.L.SmoothThey Reminisce Over Youが出てくるところなんてあのサックスの音が聴こえてくるだけで個人的に顔がニヤけまくりでした。

しかし、参加ラッパーも大変ですよね。たった8小節で自分の存在感をアピールしないといけないわけですから。そういう意味ではWOLFPACK清水USKTaro Soulや、神戸を中心に活動するクルーABNORMAL BLUM@所属のラッパー、アンジキジョイMONCHIなどが僅か8小節でありながらも自分の存在を上手くアピールする事に成功しているでしょう。この3 MC & 3 DJの6人組ABNORMAL BLUM@(下写真)は今かなり注目のクルーです。
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このシングル、正規リリースではなくCD-Rでの発売なので現在のところ東京の恵比寿のレコード店wenodでしか手に入りませんが、ネットでも注文出来るので是非手に入れて聴いてみて下さい!価格は¥500です。僕に会える人なら直接言ってくれれば焼いて上げますよ!フレッシュ!!!
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by Blacksmoker | 2007-09-02 00:02 | HIP HOP