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Roberta Sá [Que belo estranho dia pra se ter alegria]


今ブラジルで最も活発な音楽はサンバだ。しかも若い世代のミュージシャンの再解釈によるサンバが大きな勢いをみせている。時代は「新しいサンバ」なのだそうだ。

いわゆる「Back To Roots」。でもただの回帰だけじゃ聴いてるほうも演奏してるほうもつまらないわけで、新世代のサンビスタ達は、自分の現代的感性を独自にそのサンバに導入する事により新しいサンバを生み出したわけです。今ブラジルでは、そういった若い世代によって「ルーツ」とも言えるサンバが新しく生まれ変わっているのです。

そんな新世代サンビスタの中で、個人的に最も注目しているのが、このホベルタ・サー
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2005年に1stアルバム「Braseiro」でデビューし、新しいサンバのスタイルを提示してみせた女性シンガーだ。ブラジルの北東部(ノルデスチ)出身。その後リオに移り住みその才能を開花させました。この時まだ24歳という若さ。しかも容姿も美しく、歌も上手いという色彩兼備さ。そして単なる回顧主義的サウンドではなく、打ち込みやサンプリングなども取り入れたサウンドで一躍ブラジル音楽界の若きヒロイン的存在になりました。実はペドロ・ルイスの奥さんでもあります。

f0045842_13461348.jpgそんなホベルタ・サーの2ndアルバム「Que belo estranho dia pra se ter alegria」(日本語タイトルは「なんて奇妙で素敵な一日」)。前作と比較して格段に見違えるのがそのヴォーカル。前作から2年経ち26歳となったホベルタですが、よりスケール感が増し表現力が豊かになっているのが驚きです。サウンド自体は前作を踏襲した現代解釈のサンバ。ブラジル音楽の伝統の良さを持ちつつ、ポピュラー・ミュージックとしても十分に対応できるポップなメロディが爽快です。

新世代サンビスタを代表する注目の男性シンガー・ソングライター、ホドリーゴ・マラニャオンによる曲「Samba De Um Minuto」や、モレーノ・ヴェローゾ(彼の参加するオルケストラ・インペリアルでも新しいサンバの形を提示)による雄大なInteressa?など、なかなか若い才能による曲が素敵だ。
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その他にもシドゥニー・ミレール作のショーロっぽい雰囲気を持ったAlo Fevereiroや、フンド・ヂ・キンタル&イヴォニー・ララの名曲Cansei De Esperar Voceなど昔のサンバの代表曲を取り上げていたりします。

そしてサンバだけに囚われることなく、ホベルタの出身地であるブラジル北東部(ノルデスチ)特有のアフロ・ブラジル的なリズム感のある楽曲も取り上げているのが良いですね。1曲目のO Pedidoなんてもろにノルデスチっぽいリズム主体の曲です。その他にもBelo Estranho Dia De Amanhaルーラ・ケイローガの曲ですが(どこかで聴いたことがあるんですが思い出せない・・・)、このルーラ・ケイローガもノルデスチのアーティストだ。
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そして夫のペドロ・ルイスとの共作の自作曲ではアコースティクなサンバも披露。こういうアコースティックな曲での彼女のヴォーカルはとても冴えていて素敵です。

録音メンバーにはマルコス・スザーノなども参加していたりと、取り上げる楽曲、そして演奏ともになかなか注目すべきトピックが満載。その上をホベルタ・サーの豊かなヴォーカルが自由に飛び回る傑作。昨年のブラジル音楽界の話題の1枚です。
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新しいサンバの風を感じてください。
 
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by Blacksmoker | 2008-01-31 12:59 | ブラジル

[Legend Of A Cowgirl] by IMANI COPPOLA

1997年リリース。先を行き過ぎたのかもしれません。

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by Blacksmoker | 2008-01-31 03:00 | R&B / SOUL

ALICE SMITH [For Lovers, Dreamers & Me]


このアナログ盤を意識したジャケット、そこに描かれる不思議な雰囲気の女性。

なかなか個性的なシンガーです。

f0045842_442928.jpgNYの女性ソウル・シンガー、アリス・スミス。デビュー・アルバム「For Lovers, Dreamers & Me」が何とイギリスの「BBE」レーベルからのリリース(J DillaPete RockKing BrittJazzy JeffWill.I.Amなどの良質なソロ作をリリースする信頼度の高いレーベルです)。実は2006年に既にリリースされていた本作なんですが、2007年にepicレコードが配給するメジャー仕様盤で再リリースされ、ようやく日本にも入ってきました。これがなかなか素晴らしい作品です。

このアリス・スミスは正統派R&Bシンガーではなく、もっとオルタナティヴ寄り。透明感のある声ではなく少しハスキーで気だるい声、そして時にドスの利いたシャウトを聴かせる姿は、エイミー・ワインハウスに共通するものを持っているし、クリセット・ミッシェルの持つジャジーな雰囲気も持っています。歌い方は非常にバリエーション豊か。その雑多性はいかにもニューヨークですね。
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シングルとなったWoodstockが特に素晴らしい出来だ。歌詞は「NYでは嫌な事ばかりだけど、ウッドストックで10日過ごしたらまた元気になったわ」といった内容で、アリス・スミスの歌に、超キャッチーなサビ。サウンドはNYのクラブの雰囲気を持ったかなり玄人好みな音。個人的にはエイミー・ワインハウスRehabに匹敵する曲だと思います。あとビックリしたのが、この曲を作曲したのがイマーニ・コッポラ

憶えているだろうか?1997年に衝撃的なシングルLegend Of A CowgirlDonovanSunshine Supermanをサンプリング!)をリリースしたラッパー兼シンガー(ヴァイオリンも弾きます)、イマーニ・コッポラ(下写真)。
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私はこの人の音楽が大好きで、その後リリースされた彼女の1stアルバム「Chupacabra」(下左写真)は1997年のベスト・アルバムになったくらいの傑作です。もちろん1998年に行われた唯一の来日ショ-ケースも観に行きましたよ(今は亡き「難波ウォーホール」でした)。2ndシングルI’m A TreeThe DoorsSoul Kitchenをサンプリング!)も素晴らしい曲でしたが、その後一切名前を聞かなくなってしまい、僅かアルバム1枚でシーンから消えてしまったイマーニ・コッポラ。その彼女がこのアリス・スミスWoodstockの作曲者(バッキング・コーラスやストリングスも担当)だったとは正直声を上げてビックリしましたね。しかも。ちゃんと音楽活動f0045842_463220.jpgしてくれていた事も嬉しかったです。このWoodstockを聴く限りでは、イマーニのその才能は全く衰えていない事が分かります。ちゃんとmyspaceも存在していて、見てみると何と2007年に2ndアルバムがリリースされていて、しかもそのリリース元がマイク・パットン大先生のレーベル「Ipecac」!Melvinsがカタログの半数を占めるような超個性派レーベルですよ。イマーニがこんなレーベルからリリースしているだけでも驚きですが、マイク・パットンの別プロジェクト、Peeping Tomのメンバーとしてライブにも参加しているそうで更に驚き。マイク・パットンイマーニ・コッポラなんて組み合わせ名前聞くだけでも鳥肌立ちますよ。イマーニはこのWoodstock以外にもう1曲Fake Is The New Real(タイトルがイイ!)でも曲を提供しています。こちらはかなり渋いブルース調R&B。アリス・スミスの低いボーカルが上手く引き出されています。

さてイマーニ・コッポラの話題は置いといて、主役のアリス・スミスです。強烈な個性を持ったイマーニにも全く引けを取らない存在感のあるボーカル。後半のメロウ・ナンバーではジャズ・シンガーのように歌っており、その声は低体温な感触でクールさが漂います。自作曲も3曲あり、これがレゲエ/ダブ調であったり、正統的なポップスであったり、ブルース調R&Bであったりとなかなか多彩です。洗練された美声ではなく、ハスキーでラフさのあるボーカルが何とも言えなくカッコイイ。今後要注目なシンガーです。
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これからこのアリス・スミスの名前はいたる所で聴けるようになるハズ(もし売れなきゃそりゃレコード会社がせいですよ)。クリセット・ミッシェルのようにラッパーの曲へのフィーチャリング仕事とか見てみたい。くれぐれもイマーニ・コッポラのように消えていかないでくれ!(でもレコード会社がイマーニの時と同じepicというのが気になるが・・・)
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ちなみにBBEからリリースされているプロモ12インチLove Endeavorは、Maurice Fultonが手掛けたディスコ・パンク・リミックスとかが収録されているようですが、そっち方面には行かない方が・・・。
 
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by Blacksmoker | 2008-01-28 00:31 | R&B / SOUL

RUFUS WAINWRIGHT @ なんばHATCH 1/21(月) 2008


ファンタスティック!
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全てが過剰!照明キラキラ、ミラーボール回りまくり、全員衣装ピカピカ、サウンド豪華すぎ、おまけに歌上手すぎなど、何とも絢爛豪華なゴージャス極まりないライヴ。いや、「ライヴ」というより「ルーファス・ウェインライト歌謡ショー」といった趣きだ。
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実に10年振りの来日。ルーファス・ウェインライトが一大傑作「Release The Stars」を引っさげ日本に上陸しました。まさしく待ちに待ったと言っても良いでしょうね。この10年の間に彼は1人のシンガーソングライターから、アメリカを代表する偉大なるミュージシャンへ変身した。特にここ数年のルーファスはまさしく天才と呼ぶに相応しい作品ばかりだ。アルコール依存症を克服して作ったアルバム「Want One」、そして「Want Two」、さらにジュディ・ガーランドの1961年のライヴ盤「Judy At Carnegie Hall」を完璧に再現したDVD作品「Rufus! Rufus! Rufus! Does Judy! Judy! Judy! Live At The London Palladium」、そして昨年の傑作「Release The Stars」と、もはやその留めない才能が溢れ出るのが分かるほど素晴らしい作品ばかりです。

さて今回のライヴは何と二部構成。しかも全席指定の着席仕様というスタイル。この豪華なショーにはぴったりのスタイルです。バック・バンドはフレンチ・ホルン、サックス、トランペットという吹奏楽隊を含めた7人編成という大所帯。ステージの真ん中にはグランド・ピアノが位置してます。そして全員衣装が派手派手。70年代グラム・ロf0045842_0265634.jpgック風の煌びやかな衣装で身を包んでキラキラしてました。そしてルーファスは白い下地に黒のストライプの入ったスーツ(これも装飾品でキラキラ!)の胸元を大きく開けた格好で登場。まるで歌謡ショーのような歌い方でスタート。曲はRelease The Stars。歌が異常に上手い。こんな凄い歌手だったとは。第一部はほぼ全曲がアルバム「Release The Stars」から。2曲目以降はギターも手にしたり、ピアノを演奏したりするルーファスが更に素晴らしい歌唱をみせます。

バンドもオーケストラを導入したレコードの音を再現するかのように様々な音を出し、更に7人全員がコーラスを取ってサポート。このコーラスが美しい!7人が計算された素晴らしいハーモニーでルーファスのバf0045842_02868.jpgックで歌い荘厳な演出をしてましたね。とにかく音が豪華絢爛。過剰とも言えるサウンド。吹奏楽隊の音が実に多彩で、サックス奏者が時にフルートを吹いたり、ホルン奏者がアコースティック・ギターを弾いたりと多彩な演奏が楽しい。アコースティックな曲ではルーファスを含めた3人がアコースティック・ギターという過剰ぶりです。

そもそもルーファス・ウェインライトの音楽はアメリカ人でありながら思いっきりヨーロッパ的なロマンティックさと荘厳さを持ち合わせている。アメリカだけでなく、ヨーロッパでの人気が高いのもそういう理由もあるのだろう。このルーファスの誇大妄想的とも言えるデカダンなサウンドが、煌びやかで豪華なバンド・サウンドとぴったり。寡黙にギターを弾くロック・スターのようなド派手出で立ちの男は、何とデヴィッド・ボウイのバンドのギタリストでもあるGerry Leonard。生粋のグラム・ロッカーです。彼の弾くディストーションのかかったギターがなかなか素敵だ。ステージが大きいので、バリエーション豊かで幻想的な照明も非常に映えるし、ミラーボールもガンガンに回ってステージは一種の妖艶なキャバレーのようでした。
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あとルーファスはかなりのジョーク好き。MCの度にジョークを連発。サービス精神も旺盛で見た目のわりにかなり陽気な男です。しかも自分がゲイであることを逆にネタ化して自虐的な笑いにもっていく。客もそれを分かっているのでルーファスがあえてする大袈裟なゲイの仕草に大歓声です。

第一部を終えて休憩を挟み、第二部は丁寧にもお色直し。今度は緑のシャツにサスペンダー付きの半ズボン、そして緑の長い靴下というロビン・フッド(または木の妖精か?)のようなf0045842_0332883.jpgいで立ち。これは「Release The Stars」の中ジャケで着ているのと全く同じ衣装ですね。ピアノに座ってアルバム「Poses」よりThe Consortでスタート。そしてこの日一番の歓声だったDo I Disappoint You。これが凄かった。ルーファスを含め8人全員が最初から完璧なハーモニーで歌い、アルバムと同様の荘厳なサウンドを再現(フルートの音も完璧)。ここでのルーファスの歌唱力は鳥肌が立つくらいの力強さと伸びやかさ。後ろからのライティングでメンバーの姿が浮かび上がる演出も素晴らしすぎ。

次は前述のジュディ・ガーランドのナンバーIf Love Were All!ピアノとボーカルだけで演奏されるこのスタンダード・ナンバー。ここまで正統なスタンダード・ナンバーを歌い上げる見事な歌唱力に会場中が聴き入ってましたね。何度も言いますがホントに歌が上手いです!しかも動きが過剰なほど演劇的。まさしくアメリカを代表するシンガーです。
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そしてハイライトはNot Ready To LoveSlideshowへの2曲の流れ。この2曲は連曲になっていて、「まだ人を愛せないんだ」という傷心な感情の吐露が歌われるNot Ready To Love、その後にその曲のアウトロの音がそのまま次のSlideshowへ繋がっていき、「君を愛してる。君のスライドショーの主役は僕じゃなきゃいけない」と立ち直る壮大なナンバー。曲が始まる前に、客に「I Love You!」と言わせておいて、「でも僕は君を愛せないんだ、なぜなら・・・」と言って始めるオープニングもなかなか上手い。その後も、もう息もつかせない見事な美しさで、終盤の感情の爆発も感動的でした。

f0045842_182631.jpgアンコールでは何と真っ白なバスローブ姿で登場!もう完全にゲイ・キャラを楽しんでます。そしてスポットライトの中、ピアノの弾き語りで披露したのはレナード・コーエンHallelujah。聴き惚れるほどの美しさ(この曲はジェフ・バックリーもカヴァーしてましたね)。そしてその後も名曲Get Happyも披露する大サービスぶり。

そしてここから更に悪ノリ!ダイヤのピアスを付け、黒いピンヒールを履き、真っ赤な口紅を塗るパフォーマンス。もう「ゲイ・バー」的ノリです。更にバンド・メンバー全員が黒のタキシードに蝶ネクタイで登場。ルーファスがバスローブを脱ぐと、黒の女性スーツ(しかも超ミニスカート)に黒タイツ!黒いハットまで被って、歌って踊ってもうミュージカル状態。笑いと感動の中、もの凄い格好で大団円。
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予想を上回る派手さと、歌と演奏の素晴らしさ。そして過剰なエンターテインメント性。しばらくは余韻が続くほど衝撃的なライブでした。ルーファス・ウェインライト、こんな面白い天才は貴重です。

彼の素晴らしいパフォーマンスはライブDVD「Rufus! Rufus! Rufus! Does Judy! Judy! Judy! Live At The London Palladium」(下写真)でじっくり堪能出来ます。
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ビックリするくらい素晴らしいので是非チェックして下さい!
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by Blacksmoker | 2008-01-24 00:07 | ライブレポート

CALM [Blue Planet]


バレアリック」という言葉は今でも使い慣れませんが、CALMの音楽を言い表わす言葉としては非常に使いやすい。
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テクノほどハードではないし、ハウスよりもテンポは遅いし、アンビエントよりはビートは強い。そして何よりも美しい。そんなCALMのサウンドには「バレアリック」という言葉がしっくりくる。

f0045842_2239816.jpg前作より4年振りとなるCALMの新作「Blue Planet」。2003年の前作「Ancient Future」では「深夜」をイメージさせ、そしてTHA BLUE HERBイル・ボスティーノとのユニット、JAPANESE SYNCHRO SYSTEMでは「夜明け前」をイメージさせていましたが(2003年にはK.F.名義でのハウスのアルバムもありました)、今回のアルバムは「朝」というイメージが非常にピッタリだ。「朝」と言っても夜の明けたばかりの明け方ではなく、陽が昇った朝。このアルバムには明るい、前向きなポジティヴさが感じられるチルアウトなサウンドが詰まっています。個人的にはCALMのベスト・ワークともいえるJAZZANOVAInstropection(Calm’s Outrospect Remix)の雰囲気にとても近い。
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今まで以上に歌心が全面に出た作りで、とても美しく穏やかなメロディが心に響きます(全11曲中5曲がボーカル入りというのもCALM史上最多)。CALMFarr a.k.a.深川清隆という音楽家が、今までにORGAN LANGUAGEJAPANESE SYNCRHO SYSTEM、そしてMOONAGE ELECTRIC ENSEMBLEK.F.、そしてCALMという様々な名義で奏でてきたサウンドの集大成といえる出来映えです。

その中でも特筆すべきはEGO-WRAPPIN’中納良恵(左写真)がf0045842_22421569.jpgボーカルを取るSunday SunFarrによるポジティヴな歌詞に、中納良恵の母性的な歌声が、輝く朝日のように穏やかで美しいトラックによる名曲です。「出会った全ての人にありがとうと言えますか?」という歌詞が良いですね。クラブで朝にこの曲がかかったら涙が出そうです。

その他にもUmi-Uta(Sea Song)や、ヴァイオリンの響きが美しいLove Is…などボーカルが入った曲が特に良い。そしてインスト・ナンバーもよりメロディアスに。CHARI CHARIのようなポリリズミックなリズムが心地良いBeautiful One、1stを彷彿させるアフリカ的なAfrican Textiles、浮遊感のあるシンセのリズムに雨の音が挿入されるBefore The Rainから連なる、弦楽器の音とフィールド・レコーディングによる虫の声が印象的な田園Country田園(Denen Is Eden)など名曲揃い。

今まで人の手の届かない天上界で美しい音楽を奏でていたCALMですが、今回のアルバムでは地上に降りてきて人々と同じ目線でとことんポジティヴで、輝くようなメロディを奏でています。
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こういうCALMは非常に新鮮だ。嫌な事など忘れさせてくれるほど前向きなサウンドは社会の喧騒に揉まれる全ての人のサウンドトラック。オススメです。

実はこの「Blue Planet」と対を成すアルバム「Silver Moon」も2月にスタンバイ中だそうです。こちらも楽しみ。
 
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by Blacksmoker | 2008-01-21 00:33 | ELECTRONICA

Shing02 & SHINGO☆西成 @ Club Triangle 12/28(金) 2007


今さらですが、年末になかなか面白いライブを観ました。

カリフォルニアと大阪を拠点に活動するDJ A-1が、同じカリフォルニア出身のShing02、そして地元の大阪からSHINGO☆西成を迎えたジョイント・ライブを敢行。

このShing02SHINGO☆西成という全くスタイルの違う2人ですが、実はこのライブの前に既にネタ振りはさf0045842_23334325.jpgれていました。この2人はDJ A-1のMix CD「敏腕舞句」(右写真)にて共演。しかも2Pacの「California Love」のトラック上で、2人がマイクを交し合う、その名もCalisakania Love!2007年はホントに様々な客演・共演をこなしてきた我らが兄貴SHINGO☆西成KREVAアグレッシ部(Remix)大西ユカリとの二人の新世界の2曲はマジで必聴!)ですが、この共演はかなりヒップホップ界でもエポックメイキングな共演でしたね。

そんな2人の、今度はステージ上での共演が期待されるこの日のライブ。ファン層もShing02SHINGO☆西成の両方のファンがひしめく面白い光景。

韻踏合組合DJ Kan + COE LA CANTH悠然 aka 赤いメガネのプレイが終わり、DJ Fuku(Ultra Naniwatic MC’s)がセットにつき、トップバッターのSHINGO☆西成兄貴の登場。首から2足のスニーカーをぶら下げたいつもの「正装」で登場です。
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しょっぱなから50 Centのトラックでフリースタイル。そしていつもの「パクリちゃうでサンプリングや」の決めセリフ。MCでその場の雰囲気を一気に掌握する見事な現場テイナーぶり!その後は苦労すフィンガーをガッチリとキック。

そして、この後が面白い。客の反応によって次々に曲をチョップしていきます。ゲットー・クラシックゲットーの歌ですなども客の反応がイマイチなら(Shing02のファンも多かったので)、一気にNext f0045842_23364031.jpgTuneへ。盛り上がるならBone Thugs-N-HarmonyI Tryのトラックで延々とフリースタイル。諸先輩方からのお言葉」のコーラスの声が小さければ、すぐにアコースティックなトラックに差し替えて諸先輩方からのお言葉(Remix)を歌い出すプロフェッショナル現場アクターぶりはさすが(会場中大爆笑!)。まるでレゲエの現場のようですね。

その後はILL西成Blues地元Loveなどクラシックを連発。まさしくゲットー・クラシックな素晴らしいエンターテインメント・ショー。ラストはもちろんU.Y.C.(言うてる事とやってる事がちゃいますねの略)。最初は戸惑っていたShing02のファンも完全にロック。あのTシャツ欲しいです。

そして兄貴のアツいステージの後、DJ A-1をバックにShing02の登場。個人的には超久しぶりのライブです(1999年のフジロック以来か?その時のLive映像が収められたDVD作品「Droppin' Lyrics」Blacksmokerも少し映ってます)。真っ黒のエナメルのパーカーに身を包み登場したShing02
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オープニングから何と英語詞の曲を連発で3曲!温まったフロアが一気に凍りついたというか雰囲気が変わりましたね。その後は懐かしの「緑黄色人種」から誰も知らない。この辺りでようやく温まり始めたフロア。続く旋毛風憂国などでは待ってましたの大歓声。400ではかなりの盛り上がりを見せましたが、SHINGO☆西成のステージとは明らかにノリが違っていて、この盛り上がりの違いが面白かったですね。Shing02のファンはどちらかというとスノッブなカンジかな。
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でもShing02もステージでは、SHINGO☆西成兄貴のパワーに見習ってか、いつもより気合が入っているカンジがしましたね。あとShing02が曲を何回か間違えて最初からやり直すというなかなか見慣れない珍しい光景も。最後は「皆が一番聴きたい曲をやるよ」というMCと共にLuv(Sic)をドロップ。この日一番の大歓声。やはりこの曲はいつ聴いても名曲ですね。

本番が終わってDJ A-1の「この曲をやんなきゃいけねーよな」というMCと共にステージにはSHINGO☆西成が再び登場!Shing02SHINGO☆西成の共演というおそらく日本のヒップホップ史上、歴史的と言っても過言ではない瞬間です!
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曲はもちろんCalisakania LoveShing02のファンもSHINGO☆西成のファンもまさしく一体となった尋常じゃない爆発ぶりでこの日の最大瞬間風速を記録しました。ホントに素晴らしい瞬間でした。

2人のスタイルの異なるラッパーが1つのターンテーブルの上で邂逅を果たした、まさしくこれぞヒップホップなライブでした。DJ A-1にリスペクト!2007年最後にイイもの観せてもらいましたよ。そしてShing02もいよいよ2008年に6年振りの新作「歪曲LP」がリリースされるとの事でコチラも超期待です。
 
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by Blacksmoker | 2008-01-19 00:13 | ライブレポート

<後編>WYCLEF JEAN [Carnival Vol.Ⅱ Memoirs Of An Immigrant]


さてワイクリフ・ジョンの素晴らしいアルバム「Carnival Vol.Ⅱ」。思い余って長く書き過ぎたので前編・後編にわけてお送りしております。
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もう前半部分を見ていただくだけでも、もう凄いメンツでそれだけでも「買い」ですが、アルバム後半も強力なナンバーが続きます!ではいってみましょう後編です。

Hollywood Meets Bollywood(Immigration)。タイトルからも既に移民を強調していますが、この曲はパンジャビMCBeware Of The Boysを彷彿させるバングラ・ビートに、インド歌謡曲をサンプリングしたダンスホール・ナンバー。ここに登場するのはサウスの新たな顔、Chamillionaire(カミリオネア)。こf0045842_21245996.jpgの男もナイジェリア移民の2世だ。独特の野太い声で早口でスキルフルにキメるフローが超カッコイイですね。このChamillionaireは正直言うと、最初出てきた時は「またサウスのサグ・ラッパーかよ」というカンジで、あんまり興味持てなかったんですが、ちゃんと聴いてみてビックリのなかなか硬派な社会派ラッパーなんです。大ヒットしたRidin’(あのアル・ヤンコビックにまでカヴァーされたほど)もリリックの内容は強烈な警察批判の曲だし、昨年出た2ndアルバムからの1stシングルとなったHip Hop Policeもかなりのアツイ内容でした。意外f0045842_21303780.jpgにもDead PrezM-1とかにも通ずる社会派なんですね(Chamillionaire自身はビーフというものに反対しているし)。個人的にも今、サウス勢の中で最も好きなラッパーかもしれません。このHollywood Meets Bollywood(Immigration)は、タイトルにもあるように、移民に対する政府の冷遇を激しく攻撃しています(ちなみにボリウッドとはボンベイの事)。こんなビートにも難なく乗せてしまうChamillionaireのラップも見事です。この人かなりの実力派。彼を甘く見ている人は見直したほうが良いですよ。

続いてのAny Other Dayには、大物ノラ・ジョーンズが登場(NY繋がりでしょうか)。現在、主演映画「My Blueberry Nights」(監督はウォン・カーウァイf0045842_21324575.jpgがスタンバイ中のノラ・ジョーンズですが、彼女もラヴィ・シャンカールの娘なのでインドとの混血ですね。ワイクリフGone Till November路線と言ったら良いだろうか?アコースティック・ギターが優しい歌物ナンバー。このノラ・ジョーンズの起用も完璧。この曲もおそらく皆がノラ・ジョーンズに対して抱いている期待に120%応えてくれています。まさしくノラ・ジョーンズらしさが満ち溢れた歌メロのサビが心地良いナンバーですが、歌の内容はカトリーナの被害にあったニューオーリンズの住民が救助の船を待つというもので、その住民の視点で歌われています。正直、タリブ・クウェリのアルバム「Ear Drum」でもノラ・ジョーンズは起用されていましたが、あの曲は地味な出来でいまひとつだったんですが、この曲はバッチリのハマり具合です。

Heaven’s In New Yorkは穏やかなレゲエ・ナンバー。ボブ・マーリィRedemption Songのような曲。「今日が人生最期の日だとしたら、まるで人生最初の日であるかのようなふるまおう。でも俺はまだNYで生きている」という詩的な表現が素敵です。ワイクリフはこういうアコースティックな曲を作るのがとても上手いです。
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次の曲はSelena。イントロで前述のFast Carと同じオーケストラを使ったメロディが流れてきて「ん?」となると、いきなりダンスホールな「ドドドッ」とキックの連打。その後は普通にレゲエ調、そして後半に突如マリアッチなメキシコ風に変わるという無国籍ナンバー。こf0045842_21414422.jpgこで登場するのはメリッサ・ヒメネスという女性シンガー。あまり耳馴染みのない名前ですが、メチャクチャ高い声を出す少しアイドルチックな声質のシンガーです。このタイトルにもなっているSelena(セレナ)とは1995年に24歳の若さで銃弾に倒れて亡くなったメキシコの女性シンガー、セレナ・キンタニーヤ・ペレスの事を歌っており、彼女の大ヒット曲Bidi Bidi Bom Bomのフレーズがサンプリングされています。売れてない時代のジェニファー・ロペスが主演した伝記映画「セレナ」の主人公になった人ですね。あと、曲中に「Reminisce! Reminisce!」とか「Shimmy Shimmy Ya」とかヒップホップ・クラシックなフレーズが飛び出すのも見逃せません。

さて本編最後となる曲Touch Your Buttonはこの大作を締めるに相応しい13分に及ぶ組曲的大曲!3つのパートに分かれていて最初は軽快なダンス・ナンバー、そして次のパートは更に派手になったソカで爆発し、最後のパートではワイクリフがクレオール語で歌うアコースティック・ナンバーで終わるという目まぐるしい曲です。最後を華々しく締める為f0045842_21422062.jpgに登場するのはウィル・アイ・アム。しかしウィル・アイ・アムの声ってあまりにもワイクリフに似ていてインパクトは弱い気も(声以外にも風貌や雰囲気も似てるし)。そして先程のSelenaでも歌っていたメリッサ・ヒメネス嬢や、その他いろいろなシンガー達も登場し豪華な大団円を迎えます。13分という長さを一気に駆け抜けます。このアルバムの「文化の混血」というテーマに相応しいナンバーです。

さて本編はここで終了ですが、日本盤に入っているボーナス・トラック3曲も強力!

On Tourでは、Lucinaという女性シンガーを迎えたインド調ダンスホール・ナンバー。前述のシャキーラと共演したKing & Queenと同じくらい中身のない内容ですが、この曲も十分にフロア対応な出来です。西アフリカのナイという笛がフィーチャーされてます。

そして続くChina Wineが強力!この曲もバウンスしまくるダンスホール・ナンバーですが、ここに登場するのがSunなる女性シンガー、そしてエレファント・マン!そしてトニー・マタロン(右写真)!凄f0045842_21433963.jpgいコンビネーションです。このトニー・マタロンがいて、タイトルが「~Wine」とくれば、当然マタロンのビッグ・チューンDutty Wineを思い出すわけですが、この曲はそのDutty Wineの続編的ナンバー。歌詞でも「チャイナ・ワインとダッティ・ワインをミックスして、悩み事は全部忘れるの」と言ってるくらいだし。そしてエレフェント・マンの参加は昨年のエレフェント・マンのアルバムからのシングルFive-Oワイクリフがプロデュースした繋がりでしょう。しかしこの曲も中身の無さは天下一品のアゲアゲなチューン。確かにこのアルバムの趣旨とは少し離れているので、本編には収録されなかったと思われるが、なかなかフロアライクな出来の曲ですね。

そしてこの曲が正真正銘のラスト。エイコンリル・ウェインが参加したSweetest Girl(Dollar Bill)のリミックス!これが面白い。この曲のフックでも触れられているWu-Tang ClanC.R.E.A.M.のトラックとSweetest Girl(Dollar Bill)のボーカル部分をマッシュアップしたナンバー。なかなか憎いリミックスです。そして単なるリミックスに終わることなくフィーチャリング・ラッパーをもう一人参加させています。そのラッパーが何とWu-Tang ClanレイクォンWu-Tang Clanの最新作「8 Diagrams」のジャケットでは堂々のセンターポジションを獲得!)。
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C.R.E.A.M.に実際に参加していた本人が登場です。レイクォンのドープでハードコアなフロウが、リル・ウェインの軟派なラップなど一撃で粉砕するド渋なヒップホップ!さすがレイクォンです。最後にやってくれました。


さて超長くなってしまいましたが、これにて「Carnival Vol.Ⅱ」の紹介は終わり。
どうですか?聴きたくなりませんか?
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このアルバムに興味持った人、今すぐレコ屋へ走りましょう。
 
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by Blacksmoker | 2008-01-15 20:36 | HIP HOP

WYCLEF JEAN [Carnival Vol.Ⅱ Memoirs Of An Immigrant]


f0045842_21582217.jpg夢と消えたTHE FUGEESの再結成。その再結成が流れた事については残念だが、ワイクリフ・ジョンはその時の為に温めておいたアイディアを全て注ぎ込んで、こんな凄いアルバムを作り上げてしまったのだから、残念ではあるが、非常に嬉しいという微妙な気持ちですね。ただTHE FUGEESの再結成を望んでいるのは大半がローリン・ヒルのファンなわけで、ワイクリフが素晴らしいアルバムを作ったとしても喜ぶ人は少ないかも知れません。しかし、もしローリンが本気になっていたなら、おそらく「The Score」以上の大傑作が生まれていた事は間違いないでしょう。そのくらいこのアルバムの出来は素晴らしい。
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さて今回のアルバムの最大の話題は1997年にリリースしたワイクリフの1stソロ・アルバム「The Carnival」(左写真)の続編という事だ。実は自身の最大のヒットとなる300万枚以上の売上げを記録したあの1stアルバム以降、ワイクリフのアルバム・セールスは右肩下がりだったそうで、どこf0045842_2232346.jpgかのインタヴューで読んだときにアルバム「The Preacher's Son」「Welcome To Haiti:Creole 101」は「売れなかったんだから失敗作だ」という発言をしていたのが結構衝撃的でした。普通よくミュージシャンが言うのは「売れなかったけど、あれは今でも気に入ってるよ」的な発言ですが、ワイクリフの場合は「売れなかった=失敗作」という図式になっているのです。厳しいミュージック・ビジネスでサヴァイヴしてきた音楽プロデューサー、ワイクリフならではの視点ですね。移民出身のワイクリフにとってはそこまでシビアにならないと生き残っていけなかったわけです。
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そういや1997年のアルバム「The Carnival」には「feat. Refugee Allstars」という表記があって、エグゼクティヴ・プロデューサーにはプラズローリンの名前もしっかり表記されていましたが、今このアルバムにはRefugee Allstarsのメンバーは誰一人いません。あのアルバムからわずか10年で一線で活躍しているのがワイクリフ以外いなくなってしまったという現状も非情ですね。ジョン・フォルテとか、どこいったんだ?

さてこの新作。タイトルは堂々の「The Carnival Vol.Ⅱ」。このタイトルからもワイクリフの並々ならぬ意気込みが感じられます。「原点回帰」という意味においても「セールス」という意味においても、彼は一度この「The Carnival」というアルバムに戻らなければならなかったんでしょう。
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今回のアルバムにテーマを付けるとすればおそらく「移民の文化」、もしくは「混血の文化」といったところでしょうか。まさしく異文化の融合という言葉がピッタリくるアルバムだ。自身もハイチ難民2世であるワイクリフ。その彼が今までに経験した事を踏まえた上での社会的なリリックを全面にフィーチャーし、そして各曲ごとに豪華なゲストを招いています。

何と言っても素晴らしいのは全編に渡る楽曲単位の完成度。最近のヒップホップのアルバムなんてシングル曲以外はたいがい捨て曲が多いですが、今作は別格。どの曲を取っても全てシングルカット出来て、しかもヒットが狙える曲ばかりです。しかもかなり揺れ幅の大きいバラエティ豊かな(豊か過ぎる)曲ばかり。どの曲も考え抜かれた曲ばかりで怖ろしく完成度が高い。このアルバムに対するワイクリフのハンパない情熱がヒシヒシと感じられます。


それでは、楽曲紹介といきましょう。

イントロに続き、登場するオープニング・ナンバーRiot。不穏なギターリフをバックに登場するのは何とSystem Of A Downサージ・タンキアン(右写真)、そしてラスタファリの神童シズラ。ロック界とレゲエ界から強烈な個性を持ったクセモノ2人が揃い踏みという異色の組み合わせ。アメリカにおいてはサージもアルメニアf0045842_2217550.jpg人2世という出自を持つ所謂「異文化」の人間だし、シズラもラスタという「異文化」の人間だ。緊迫感を増していく世界の姿を歌っています。ギターリフは何とあのアイアン・メイデンNo More Liesのギターリフのサンプリング!おそらくはサージのアイディアかと思われますが、No More Liesというタイトルも含めてのサンプリングでしょう。ここでアイアン・メイデンについて私に語らせると大変長くなってしまうので止めておきますが、この曲は2003年のアルバム「Dance Of Death」に収録されています(正直最近のは全然分かりませんけど)。このロック・テイストなトラックでワイクリフも含めた3者が凄いコンビネーションを見せてくれます。途中でレゲエ・ビートが飛び出しますが、ここでシズラを使わず、ギターの響くトラックで歌わせているのはなかなか新鮮。サージは相変わらずのオペラティックな歌と早口なラップを自在に駆使したヴォーカルを見せていて不気味です。3者が3様に存在感を見せ付けていますね。曲としてもかなりカッコよく仕上がっています。

1曲目の重厚なロックなナンバーから一転、哀愁のある女性のコーラスにアコースティックなギターが印象的なSweetest Girl (Dollar Bill)。先行シングルとして既にヒットを記録している曲ですが、登場するのはエイコンリル・ウェイン。もはやこのメンツという時点でヒットな約束されたようなもんですが、曲としても非常に良い。この曲が一番ラジオ・ヒットが望めそうな曲ですね。ワイクリフのアコースティックなf0045842_22194485.jpg優しいメロディに、女子受け抜群のエイコン(左写真)のヴォコーダー・ヴォイスに、男前リル・ウェインのラップ。完璧です。特にエイコンの働きは素晴らしいです(彼もセネガル出身という異文化の人間だ)。皆がエイコンに求める期待に120%応えたような、まさに「らしい」働きをしています。フロア受けもラジオ受けもかなり良さげな曲ですが、歌詞の内容はかなりシリアス。金の為に生きる1人の女性を歌った内容で、金が支配する世の中を自虐的に歌ったコーラス部分が、なかなか風刺的。ちなみにコーラス部分では「ウータンが言った通りに言ってやるよ。俺の世界は全て金が支配しているのさ。歌うんだドル札万歳と」というWu-Tang ClanのクラシックC.R.E.A.M.の引用になっています。PVの方もなかなかシリアスな作りになってます。

続くWelcom To The Eastは個人的にこのアルバムのベスト・トラック。ヴァイオリンの旋律が耳を惹くアラビックなトラックに、ワイクリフの「極東の王者に敬意を」というシャウトアウトと共に、前述のオープニング・ナンバーに続いて再びシズラが登場。昨年もアルバム「I-Space」をリリース、1f0045842_22231166.jpg年に3~4枚の新作を出すという驚異のペースを保っていて、まだまだその恐ろしいまでのヴァイタリティは止まるところを知りません。アメリカでは以前にDef Jamと契約し話題となったシズラだが、結局そのDef Jamからはアルバムはリリースされず2006年にデイモン・ダッシュKochからアルバム「The Overstanding」をリリース。そして最近はタリブ・クウェリ「Ear Drum」にも参加していたりと、ラッパーの作品にフィーチャーされるようになってきてますね。この曲はそんなシズラの貫禄のDeeJayをじっくりと堪能出来る素晴らしいナンバーになっています。加えて、かなり耳を惹くヴァイオリンを演奏しているのがネイション・オブ・イスラムの指導者ルイス・ファラカーン。この人がヴァイオリンの神童と言われているのは有名な話だが、このラスタとイスラムという異文化を混ぜ合わせ、なおかつラジオ・ヒットも十分に狙える曲として仕上げたワイクリフの手腕には脱帽です。マジで名曲!

続いてはサウスのキング、T.I.を迎えたSlow Downワイクリフの歌う優しいメロディと掛け合いでT.I.がラップをどんどん繋げていくナンバー。もf0045842_2229215.jpgはやサウスのキングからヒップホップのキングにまでのし上がったT.I.が得意の歌うようなフローを見せてくれています、この曲もヒット・ポテンシャル高し。現在絶賛自宅軟禁中(保釈金は300万ドル!)ですが、悪びれることなく堂々とした警察&FBI批判を展開しています。正直、この曲はT.I.でなくとも、The Gameとかでも十分に機能しそうな曲だとは思うんですが、ワイクリフは意外にもサウス以外のラッパーとのコラボレーションが少ないですね。

さて次はHips Don’t Lieの再来!f0045842_22312228.jpgャキーラワイクリフのコンビによるダンスホール・チューンです。間違いなくあの特大ヒットがなければ生まれなかったであろうこのKing & Queen。この曲だけに関しては、政治的な歌詞はナシで、恋愛ネタで突っ切ります。結構シリアスな歌詞の内容の多いアルバムの中において、Hips Don't Lie以上に内容の無い曲ですが、アルバムの流れを考えたら、こういうダンス・チューンも必要ですね。シャキーラの声も女王の風格が出ていてなかなかイイです。ワイクリフも調子に乗って「俺にはシャバ・ランクスのフローが備わっているぜ」なんて言っちゃってます。またディスられるぞ。

まだまだ豪華なゲストが続きます。Fast Carは異色のコラボ。何とポール・サイモンが登場。この曲が2ndシングルです。物悲しいアコースティック・ギターに車の急ブレーキ音が何度も挿入されるこの曲で歌われf0045842_22322985.jpgるのは「車に関わる死」。すぐにポール・サイモンだと分かるくらいのメロディなんですが、このメロディラインはワイクリフが作ったのかな?TLCに憧れる少女や、独身最後の夜をパーティで祝っている男などの悲しい死のストーリーに、ポール・サイモンが歌うメロディがハマっています。2006年のアルバム「Surprise」も素晴らしかったし、まだまだ現役の力を証明していると言っていいでしょう。余談ですが、ポール・サイモンは個人的にジェイムズ・テイラースティーヴ・アールと共に外見が「残念なこと」になっている人ベスト3なんですが、寂しいのはその外見だけで音楽においてはまだまだ絶倫です。

さて次のWhat About The Babyは皆お待ちかねのコラボレート。新作「Growing Pains」も絶好調のメアリー・J・ブライジの登場f0045842_22342943.jpgです。911のようなシリアス路線か?それとも逆にダンス・ナンバーか?どの路線でくるか不安と期待の中、堂々たるミディアム・ソウルで攻めてきました!ワイクリフの浮気が原因の夫婦喧嘩で警察沙汰になり家の周囲50フィート以内に立ち入り禁止になった時の心境を歌っている何とも情けない内容ですが、曲としてはめちゃくちゃ良いです。メロウな前半から、感情の高まりが爆発する後半などとても素晴らしい仕上がりです。メアリーのソロ・パートもじっくり挟み、姉さん得意のシャウトもバッチリな曲で、メアリー・ファンにとっても大満足な曲でしょう。個人的にこの曲は、再結成THE FUGEESの新作用に作られたんじゃないかと思っているんですがどうでしょうかね?メロディラインもどこかローリンを意識したような気も。まあ今のローリンがこの曲を歌っていたらと思うと不安でいっぱいになりますが・・・。


・・・おっと長くなりすぎた!でもまだまだ素晴らしいナンバーが続く「The Carnival Vol.Ⅱ」

後半は次回紹介!
 
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by Blacksmoker | 2008-01-11 00:48 | HIP HOP

2007年の3公演。


2007年もよくライブは行きました。その中でベスト3を。

■第1位
SUNN O))) @ 心斎橋クラブクアトロ(2007年5月17日)
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もうこれを超える衝撃はないんじゃないか?まさしく事件でした・・・。ライブというより臨死体験。あまりの音圧に命の危険を感じました。自分の中の世界観を根底から覆されたと言ってもいいでしょう。これ以降どんな轟音もノイズも物足りないです。個人的に最も衝撃的体験だった、1997年の富士天神山の台風直撃の中で行われたフジロックのRage Against The Machineのライブを超えましたね。
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こうして日本を震撼させたSUNN O)))の初来日は伝説となったわけです。


■第2位 
Marisa Monte @ 渋谷オーチャードホール(2007年5月30日)
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こちらは貫禄。15年振りの女王の降臨。当ブログでもアホみたいに来日特集をしました。もう美しすぎて美しすぎて。10人編成という大所帯バンドの奏でる、ブラジル音楽の伝統と革新を兼ね備えたサウンドも感動的でした。
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■第3位 
Ledisi @ Billboard Live Osaka(2007年11月15日)
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こちらは怪物。ソウル度満点のエネルギーの塊のような超強力なライブでした。



さて、これにて2007年の総括は終了。
 
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by Blacksmoker | 2008-01-08 00:07 | 2007年総括

2007年の10曲。

それでは昨年のBlacksmokerの10曲を。

<2007年の10曲>

■第1位
中山うり「月とラクダの夢を見た」
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この人の存在感は圧倒的でした。その中でも最も好きなこの曲が第1位。魅惑的な歌と不思議な世界観の歌詞が素晴らしいです。


■第2位
CALM「Sunday Sun」
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Ego-Wrappin’の中納良恵の感動的なボーカルと、CALMの輝くようなトラックが融合した最高の1曲。あなたは出会った人全てにありがとうと言えますか?

■第3位
TIMO LASSY「High At Noon」
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ドライブ感溢れるドラムとピアノの上をブロウしまくるサックスが超クール。こんなカッコいいジャズは久々。

■第4位
PHAROAH MONCH「When The Gun Draws」
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知的に、そして詩的に語られる銃社会の現実。語り口が斬新で一気に引き込まれます。1stアルバムの頃のEminemを彷彿させます。いやあの頃のEminemがファロア・モンチだったのだ。

■第5位
eastern youth「沸点36℃」
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1曲に込める感情の量がハンパない。普通に泣けました。

■第6位
TARRUS RILEY「She’s Royal」
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このストレートすぎるワンドロップな曲が2007年のジャマイカを席巻しました。世の中まだまだ捨てたもんじゃない。

■第7位
MARIO BIONDI & THE HIGH FIVE QUINTET「This Is What You Are」
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このオヤジのキャラクターが全てを圧倒した超名曲。バックのHigh Fiveの演奏も最高です。

■第8位
RUFUS WAINWRIGHT「Slideshow」
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オープニングからエンディングまで美しすぎる1曲です。ルーファスは偉大なシンガーの一歩を踏み出しました。

■第9位
NIGHT JUNGLE「太陽も星」
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ディジリドゥの響きが人間の眠っている太古の記憶を呼び起こしてくれそうな曲。この曲を聴くと時間の流れが止まります。これがモノラル録音というのが驚愕。

■第10位
JONI MITCHELL「Shine」
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実にジョニらしい歌詞。全ての人に光を。高速道路で内側から抜いてくるバカヤローにも光を。こんな事言ってる本人が高速道路で内側から抜いてきそうですが・・。

■次点
随喜と真田2.0「Walk This Way 58」(DJ Bolzoi Remix)

58人のラッパーというムダな多さも最高だが、それぞれ58人分のクラシック・ビートを用意したDJ Bolzoiの手の込みようにリスペクト。次は100人揃えてやって下さい。
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by Blacksmoker | 2008-01-05 01:47 | 2007年総括