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RYAN ADAMS & THE CARDINALS [Follow The Lights]


f0045842_055555.jpgまたもや出ました。2007年にアルバム「Easy Tiger」をリリースしたばかりのライアン・アダムスから早くも新作の登場です。

現在のザ・カーディナルズとの相性が余程良いのだろう。とどめなく出てくるアイディアを溜めておくのは性に合わないという事で、新作「Follow The Lights」のリリースです。今回は7曲入りのEPという形式だが、これまた聴き応え十分な素晴らしい内容です。

まずはFollow The LightsMy Love For You Is Realという新曲が2曲。前作「Easy Tiger」の路線ですが、更に深みを増したライアン・アダムスの歌とザ・カーディナルズの演奏が美しく優雅に融合した絶品の出来で必聴。特にライアンの声はまた表現力が格段に上がっています。今のライアンの姿には、若き日のニール・ヤングの姿が被って見えます。
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バンジョー、ペダル・スティールの音を散りばめたMy Love For You Is Realは涙腺の緩む美しさ。後半のジャム・セッションのような楽器のせめぎ合いも鳥肌モノです。

ほんとに今のこのザ・カーディナルズとの相性は抜群だ(コーラス・ハーモニーも美しいです)。その中でもやはりギタリストのニール・カサール(下写真左)と、キーボード奏者でありプロデュースも担当するジェイミー・キャンディロロの存在は非常に大きいです。(もちろんこのEPのジャケット写真もニール・カサールが撮影したもの。)
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そして3曲目は、ライアンがプロデュースしザ・カーディナルズが演奏を担当したウィリー・ネルソンのアルバム「Songbird」に収録されていた曲Blue Hotelをザ・カーディナルズVersionで再録したもの。ウィリー・ネルソンの老成した燻し銀のヴォーカルも良かったですが、ライアンの伸びやかなヴォーカルで聴くと新たな魅力が出てきますね。
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そして次は注目のカヴァー曲。何とAlice In ChainsDown In A Hole!1992年の名盤「Dirt」に収録されていた曲ですが、やはりライアンAlice In Chainsをリアル・タイムで聴いていた1人だろう。

90年代のグランジ/オルタナティヴのムーヴメントの中心f0045842_0124141.jpg的位置にいたこのAlice In Chainsというバンドは、ギタリストのジェリー・カントレルの書く圧倒的に陰鬱でヘヴィな楽曲と、レイドバックしたアーシーな楽曲が両立しており、そこにレイン・ステイリー(左写真)という不世出のヴォーカリストの呪術的な歌とジェリー・カントレルの低音のコーラスという唯一無二のスタイルを確立したバンドでした。このDown In A Holeという曲はそのAlice In Chainsのレイドバックした側面が出た曲で、ライアンのカヴァーはその「アーシーさ」を良く捉えた秀逸なカヴァーで、ライアンの声もいつもより少し高めでレイン・ステイリーを意識しているのが面白いです。

そして続く3曲は今までにライアンが発表してきた曲を、今のザ・カーディナルズの面々でレコーディングし直したものになっています。まずはアルバム「Rock N Roll」に収録されていたThis Is It。あの「Rock N Roll」というアルバムは、せっかく作った「Love Is Hell」というアルバムをレーベル側から商業的ではないという理由でリリースを拒否された為に、スタジオで勢い一発で録音してしまった荒々しいアルバムでした。今回はその怒りに満ちた荒々しい曲を、思いっきりレイドバックさせたヴァージョンで再録。原曲と聴き比べてもらうと、もはや同じ人間の声とは思えない程ヴォーカルが成熟していますね。
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そして2004年の2枚組アルバム「Cold Roses」に収録されていたIf I Am A Strangerと、同じく2004年のカントリー・アルバム「Jacksonville City Nights」に収録されていたノラ・ジョーンズとのデュエット曲Dear Johnの再録。Dear Johnは特にニール・カサールのヴォーカルが冴えています。こちらも必聴。

とにかくEPと呼ぶには充実しすぎている内容で、今のライアン・アダムスザ・カーディナルズとのケミストリーがいかに素晴らしいかを実感出来る作品になっています(1000円ちょっとで買えるので、コスト・パフォーマンスも高い!)。
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まだライアン・アダムスを聴いた事がない人でも試しに買ってみても絶対に損はないですよ。
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by Blacksmoker | 2008-04-25 00:53 | ROCK

映画「My Blueberry Nights」


ウォン・カー・ウァイ監督による「マイ・ブルーベリー・ナイツ」観てきました。
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主演にはこれが映画初主演となるノラ・ジョーンズを起用するなど音楽ファンには公開前より話題になっていた作品です。ラヴ・ストーリー的な要素が前面的に宣伝されているように思いますが、実はラヴ・ストーリー的な要素は希薄。どちらかと言うと、これは「ロード・ムーヴィー」だ。主人公が旅を通して成長するプロットはまさしくロード・ムーヴィー(後半は特にその色合いが強くなってきます)。
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個人的な事を言わせてもらうとロード・ムーヴィーというものにハズレはない。昨年だと「リトル・ミス・サンシャイン」など良い作品があったし、今年に入って公開された「ダージリン急行」「団塊ボーイズ」なども(まだ観てないですが)間違いなく良い作品でしょう。(個人的にお気に入りのロード・ムーヴィーは「シティ・スリッカーズ」「ストレイト・ストーリー」ですね。)

今回の「マイ・ブルーベリー・ナイツ」も、もちろん素敵な(素晴らしいではなく)作品。
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そしてロード・ムーヴィー的要素だけに終わらないのはウォン・カー・ウァイ監督。今回のこの映画は彼の創る映像美を堪能出来るだけでも観る価値がある。全てのシーン1つ1つのコマ割りまでこだわり抜いた美しい映像の連続は、映像の美しさを売りにしている現在公開中の映画「潜水服は蝶の夢を見る」なんかよりも圧倒的に美しい。

特に赤を基調とした照明やネオンの使い方、空の描き方、登場人物を真っ直ぐに捉えないカメラのフレームワークなどは非常に印象的。
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上海出身のウォン・カー・ウァイ監督らしくアメリカを舞台としながらもどこか異国の雰囲気が漂っています。新境地を見せるナタリー・ポートマンの演技などなかなか見所は多いです。

さてこの映画は、音楽面に関しても注目です。

映画内で使われるスコアを担当しているのはライ・クーダー
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最近のライ・クーダーの得意とする広大なアメリカの大地に根付く土臭いサウンドがこのロード・ムーヴィーにばっちりハマっています。同じくライ・クーダーがプロデュースし、土臭いサウンドが素晴らしかったメイヴィス・ステイプルズのアルバム「We’ll Never Turn Back」からEyes On The Prizeも使われています。

そしてノラ・ジョーンズの注目の新曲The Storyをもったいぶらずにオープニングでさらっと使ってしまうセンスも好きですね。ノラ・ジョーンズ絡みでデビューし、2ndアルバムでルーツ寄りのサウンドん接近したエイモス・リーSkipping Stoneも中盤に使われていてこれもハマってましたね。
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オーティス・レディングTry a Little Tendernessルース・ブラウンLooking Backなどソウルの名曲がシーンを盛り上げるのに一役買っています。カサンドラ・ウィルソンによるニール・ヤングのカヴァーHarvest Moonも印象的です。

そして何と言ってもこの映画で最も目立っていたのがCat Powerの曲。
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特に2006年にニューオーリンズ録音のアルバム「The Greatest」からのタイトルトラックThe Greatestは映画中3回も使われている入念振り。TVのCMで使われていたのもこの曲でしたね。Cat Power = ショーン・マーシャルの独特な声が映画の色を決定付けていると言っても良いでしょう。このアルバム「The Greatest」からは前述のThe Greatest以外にもLiving Proofも使用されています。しかも、このショーン・マーシャル、映画中盤にスクリーンにも登場します!(下写真)
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唐突に出てきたので驚きましたが、ジュード・ロウとの会話がとても印象的。しかも素性はあまり明らかにされない役柄ですが、ジュード・ロウとのキス・シーンもありインパクトは絶大です。Cat Powerのファンは絶対にチェックです。

色の使い方、カメラワークなどの映像美だけでなく、音楽面でもとても素敵なロード・ムーヴィー。

観た人なら必ず何かを発見出来る映画です。
 
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by Blacksmoker | 2008-04-21 00:59 | 映画

MODEST MOUSE @ 心斎橋クラブクアトロ 4/8(火) 2008


常に話題性のあるバンドではない。皆が知っている大ヒット曲があるわけでもなく、カリスマ性のあるヴォーカリストがいるわけでもなく、男前のメンバーがいるわけでもない。ましてや楽曲に関しても誰でも楽しめるポップ性の高いものでもない。

そんな一見地味過ぎるインディ・ロック・バンドのアルバムが全米No.1になってしまう。そんなありえないパラドックスを生んでしまうのが、この「謙虚なネズミ」=モデスト・マウスの魅力だ。
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1993年にワシントン州イサワクという町(シアトル近郊)で結成されたこのモデスト・マウスは今までに「K」や「Sub Pop」といった有名インディ・レーベルからアルバムをリリースし、いくつかのメンバーf0045842_22045.jpgチェンジを経験しながらも、年100本という精力的なライブ活動を中心に着実にファン層を拡大してきて、結成14年目となる2007年の6枚目となるアルバム「We Were Dead Before The Ship Even Sank」(右写真)で遂にビルボード・チャート初登場1位を記録したわけですが、これは決して一時的なブレイクではなく、地道な活動で築いてきたファン層による支持なので彼らの人気はそう簡単になくなる事はないだろう。

さてそんな全米No.1を記録したアルバムを引っさげてのツアーですが、何と日本での会場はクラブクアトロというとんでもなく小規模スケール。本国では5000人クラスのアリーナを満員に出来る人気と実力を備えたモデスト・マウスをこんな小さなハコで観れるなんて、まあアメリカではありえない状況でしょう。
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会場は本国での人気の高さを証明するかのように外国人率が異常に高いが、日本人ファンの熱狂度も凄い高かったのが印象的だ。

さて、昨年モデスト・マウスというバンドに脚光を浴びさせた男がいます。

               その男はジョニー・マー
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そうです、あのThe Smithsのギタリストのジョニー・マー。そのジョニーが何とこのモデスト・マウスに正式メンバーとして加入したのです!しかもイギリス人であり、年齢だって上の世代のジョニーが、アメリカのインディ・バンドに加入というその仰天のニュースは確実にモデスト・マウスというバンドにとって過去最大の話題になったはず。そして今回のツアーにも、もちろんジョニー・マーが参加しているのです。これもかなり注目なのです。

さてライブの方ですが、コレが凄い。アルバムよりも数段に迫力のあるダイナミックなサウンド。何たって正式にドラマーが2人いるというのもこのバンドの面白いところ。
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一人はパーカッションというわけではない。正式ドラマーが2人。このリズムの強力さは凄い迫力だ。さすが年間100本近いライブを行うバンドならではのアイディアとも言える。

そしてこのバンドのリーダーであり、ヴォーカルとギターを担当する奇才アイザック・ブロック
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「インディ・ロックの奇才」というとエキセントリックなキャラクターが多いが、このアイザックに関してはそれは全く当てはまらない。何の変哲もない黒いTシャツを着て、キャップを被ったその屈強な出で立ちはハードコア・バンドのヴォーカルと言っても過言ではない。しかも唾を飛ばしまくって全身全霊をかけてシャウトする姿や、ヘッドバンギングしながらギターを掻き鳴らす姿はそのインテリっぽさを感じさせる音からは想像出来ません。
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そしてジョニー・マーアイザックの弾くカッティング中心のギターと対極にある極彩色の強い繊細でカラフルなギター・サウンドがモデスト・マウスの曲をグレードアップさせているのが分かります。無表情ながら派手なアクションでもってギターを弾くジョニーにはやはり相当な存在感がある。ついついアイザックよりもジョニーに目がいってしまうのは、ジョニーの持つ未だ衰えぬカリスマ性だろう。ヴォーカルも担当し、もはや完全なるモデスト・マウスの一員を楽しんでいるようです。
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個人的にはこのジョニー・マーの加入はモデスト・マウスにとって大きなプラスになったろうが、それ以上に最近低迷していたジョニー・マーにとっての方がより大きなプラスになったんじゃないかと思いますね。ジョニーが今回のモデスト・マウスとのレコーディングを充実感を「The SmithsのThe Queen Is Deadのレコーディング時に匹敵する」と発言していたのも実に頷けるほど、活き活きとしているのがはっきりと分かりましたね。
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ジョニー加入後の最新作「We Were Dead Before The Ship Even Sank」の曲がほとんどかと思いきや、披露したのはDashboardFire It UpWe’ve Got EverythingFly Trapped In A JarSpitting VenomKing Ratの6曲で、それと同じ割合で前作「Good News For People Who Loves Bad News」からの曲も披露されていましたね。いかにこの2枚のアルバムがモデスト・マウスにとって重要なのかが分かります。

しかし凝った曲展開や、トランペット、フィドル、バンジョー、キーボードといった様々な楽器の効果的な使い方などはその先鋭的なサウンドは80年代のトーキング・ヘッズ並みのクリエイティヴさです。バンジョーなどを用いてルーツに接近したサウンドなどはウィルコにも共通する所があります。
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もちろんFloat Onなどでは大合唱も起きるなど客の反応もバッチリ。そしてSpitting Venomでの壮絶なカオス度も最高でした。

とにかく予想以上に凄かったモデスト・マウス。やはり地力のあるバンドはライブの格が違います。こんな小さな会場で観れたのも貴重でしたが、それを抜いてもこのバンドのライブは十分に観る価値はある。何度も何度もライブを観ても飽きそうにないですね。

この熱い魂のこもった素晴らしいライブ。モデスト・マウスには「最強のライブ・バンド」の称号を与えよう。
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by Blacksmoker | 2008-04-17 01:22 | ライブレポート

RICKIE-G [am8:59]


この男の声を初めて聴いたのは、2006年にリリースされたMighty Crownのレーベル「Life Style Records」によるコンピレーション「Life Style records Compilation Vol.2」の中に入っていたTonightという曲。この曲でFire BallのシンガーCrissと共演して、その美声を披露していました。

そしてこの男を初めて観たのは、レゲエのビッグ・イベント「Soul Rebel」。ダンスホール・レゲエのアーティストが大多数を占めるこのイベントにおいて1人ヒッピーの風貌で登場。彼が歌い始めた瞬間から会場の空気が変わりました。この男の優しく伸びやかな歌声が会場の空気を一気にレイドバックさせていたのは印象的でしたね。

f0045842_235958.jpg2006年に1stミニアルバム「Life Is Wonderful」をリリースし、ロング・セールスを記録した神奈川出身のレゲエ・シンガー、RICKIE-G。その後、数々のレゲエ・フェスやイベントに参加し、その名を広めてきた彼の満を持しての1stアルバム「am8:59」。これほどストレートで真摯なメッセージとサウンドの詰まったアルバムは聴いていて清々しい。Blacksmokerにとって生涯付き合っていくことになるアルバムになりそうです。

2007年にリリースされた逃避行ラヴソウルという2枚のシングルでもその片鱗は見せていましたが、このアルバムは現時点でのRICKIE-Gのまさしく集大成とも言える内容。ソウルフルで伸びやかなその声は人生においての調和を歌う。レゲエという枠を越えて幅広い層にアピール出来る魅力を備えています。スピナビルにも似たオリジナルな声ですね。
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シングルではまだまだ伝えきれていなかった、R&Bやソウルの要素も含んだRICKIE-Gの音楽性の広さがこのアルバムではしっかり表現されています。レゲエ・シンガーというだけでなくソウル・シンガーとして認識されるべき存在です。ちなみにアルバム・タイトルになっている「am8:59」というのは彼の生まれた時間だそうです。
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基本的には生バンドを主体としたサウンドになっていて、以前にリリースされていたシングル曲もアレンジし直されて再録されている。アコースティック・ギターと歌のみで始まるソウルっぽいEverybody Needs Love And Harmonyから、ルーツ・レゲエ色の濃いメッセージ・ソングLife Is Wonderful、そしてFire BallChosen Leeを迎えピリっと利いたリリックで平和を訴えるNo Peace No Lifeという冒頭3曲の流れで一気に引き込まれるでしょう。アコースティックに始まるナイヤビンギ調のBorn Again、もろR&Bなスターオアダストなどそのバラエティはとても豊か。
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個人的に最も好きなのは終盤のam8:59。自分の人生を振り返り、歌い手としての自分のこれからの人生への希望を歌う曲であり、またラブ・ソングでもあるこの曲。やさしく歌われるアコースティック・ナンバーに不覚にも涙してしまいましたね。RICKIE-Gの歌に宿る意志や精神は日本語という媒体を介してストレートに我々の心に届きます。
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レゲエというジャンルからスタートしたRICKIE-Gだが、このアルバムを聴くと全くその枠に収まっていない事が分かります。一言「Good Music」という言葉がピッタリ。そんな素晴らしいアーティスト。是非とも聴いてみて下さい。
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by Blacksmoker | 2008-04-13 01:56 | REGGAE

EDGAR JONES & THE JONESES @ Club Noon 4/2(火) 2008


一体今、俺がいるのは何年なんだ?目の前で行われるステージを観ていると思わずそう錯覚してしまうほどのタイム・スリップ感。

それほどまでにエドガー・ジョーンズ&ザ・ジョーンゼズの音はヴィンテージ級に古い。
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先日観たウィッチクラフトの音も70年代を彷彿させる古いサウンドでしたが、こっちはもっと古い60年代の音。エドガー・ジョーンズのルーツにあるのはHowlin’ Wolfのブルーズであり、Fats Dominoのロックン・ロールであり、The Skatalitesのスカ、さらにはDuke Ellingtonのジャズといったサウンドだ。その偉大な先人達の一番カッコ良いエッセンスだけを凝縮させた最高のロックンロールをブチかましてくれました。
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はっきり言ってレコードで聴くよりも数倍カッコイイ。音の分厚さや広がり、そしてライヴならではのグルーヴ感などレコードとは比べ物にならないです。

さてそのステージはWe Should Get Togetherでスタート。前半はMellow f0045842_11244598.jpgDown PussycatNecessary EvilNeed For LovingFool For Meといったアルバム「Gettin’ A Little Help…From The Jonses」(右写真)のナンバーを中心にしたセット。1曲毎にロック、ソウル、スカ、ジャズと顔を変えて演奏されますが全てがエドガー・ジョーンズという色に染まっています。やはりその要因はエドガーのヴォーカルだろう。

ブラック・ミュージックのフィーリングを濃縮したソウル度たっぷりの歌声には、オーティス・レディングソロモン・バークといったソウルの偉大な先達を思い浮かべてしまうほど濃ゆいです。唸るようなガラ声がかなりの迫力。
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レコードではヴォーカルにエフェクトをかけたりしている曲もありますが、ライヴではほとんどダイレクトにその熱さが伝わります。序盤ではデューク・エリントンI Let A Song Go Out Of My Heartのカヴァーも披露していましたが、コレが難なくセットリストにおさまってしまってます。

そしてギター、ベース、ドラム、サックス、キーボードの5人によるザ・ジョーンゼズの演奏もエドガーに負けず劣らずこれまた濃ゆい。特にサックス奏者が大活躍のサウンドは聴いていても観ていても派手で楽しい。
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そしてエドガーのソウル度の高いヴォーカルも含めた6人によるロックンロールの濃さはちょっとハンパないです。オアシスノエル・ギャラガーポール・ウェラーエドガーにぞっこんになっているというのも頷けますね。ミュージシャンならこんな姿に憧れるでしょう。
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この後もGonna Miss You You’ve GoneDo Doh Don’tcha DohMore Than You’re Ever Hadといったアルバム「Soothing Music For Stray Cats」からも披露。とにかく一貫して流れるのは黒人音楽のフィーリング。憧れが昇華して、完全にそのものになってしまったような感覚ですね。エドガーのステージで煙草をふかす仕草さえもキマってます。客の扱い方も上手く、アルバムではカウベルを使っていたところを客にハンドクラップさせリズムを取らせるなどいい感じに客と一体感を持たせた堂々たるステージ。
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後半は全然聴いた事のない新曲も多数披露していましたが、コレがめちゃくちゃカッコイイ曲ばかり!一度聴いたら耳に残るキャッチーさ。これは是非次のアルバムに収録して欲しいですね(会場で売ってたツアー限定ライブCDの中には入ってるらしいけど買うの忘れた・・・)。アンコールではEdgar Jones & Friends名義でリリースされたアルバム「The Masked Marauders」からのTalk About Itもやってくれたりしていましたね。
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終始スモーキーでブルージーな60年代のフィーリングにどっぷり浸かったステージに酔いしれた濃ゆい夜でした。演奏時間が一時間くらいと短かったのが残念でしたが、次回は2時間くらいは堪能してみたいですね。ほんと素晴らしいライヴ・バンドだ。
 
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by Blacksmoker | 2008-04-10 00:09 | ライブレポート

PUNCH BROTHERS [Punch]


大袈裟ではなくコレは21世紀のブルーグラス最大の衝撃作です。

f0045842_1182240.jpg1940年代中頃にBill Monroe & His Blue Grass Boysがブルーグラスを演奏し始めてから既に60年。その間にブルーグラスという音楽は大々的に注目を浴びる事はなかったが、静かに人々に愛され続けてきた(2002年に「オー・ブラザー!」のサウンドトラックがグラミー賞の最優秀作品賞を受賞し一時的に注目を浴びた事はありましたが)。

もちろんその60年という長い長い歴史の中で、ブルーグラスに大きな変革をもたらすアーティストが現れている。例えばサム・ブッシュであり、ジョン・ハートフォードであり、デイヴィッド・グリスマンであり、彼らの存在がブルーグラスを様々なジャンルへと融合させ進化させていった。

そして2008年、21世紀のブルーグラスを更に新たな領域まで進化させる衝撃の作品が登場しました。それがこのパンチ・ブラザーズのデビュー・アルバムとなる「Punch」。この若いブルーグラス・ミュージシャン達が、ブルーグラスの歴史に大きな変革をもたらす事になるでしょう。

このパンチ・ブラザーズ・・・変な名前ですが、その名前はマーク・トウェインの短編小説から取られている。そしてこのバンドはある1人の男を中心とするプロジェクトなのです。

               その男の名はクリス・シーリ
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絶大な人気を誇りながらも2006年に解散したNickel Creekの若き天才マンドリン奏者クリス・シーリ(26歳!)が「自分の作りたい音を実現する」ために、それを実現できるミュージシャンを集めて結成したいわゆるスーパー・プロジェクトとも言える。
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クリス・シーリを含む5人編成(マンドリン、ギター、ベース、バンジョー、フィドル)で、そのメンバーにはJerry Douglas Bandにも在籍するフィドル奏者ゲイヴ・ウィッチャーや、昨年デビューした新鋭ブルーグラス・バンドInfamous Stringdustersのギタリストのクリス・エルドリッチも名を連ねている。まるで70年代のブルーグラス界を震撼させたスーパー・プロジェクトMuleskinnerの登場を彷彿させますね。

このメンバーは2006年に発表されたクリス・シーリの5枚目のソロ・アルバム「How To Grow A Woman From The Ground」(左写真)に参f0045842_1261446.jpg加していたメンバーで、クリスの脳内音楽を具現化出来る天才集団と言えます。僅か12歳でソロ・アルバムをリリースし、既に教則ビデオも出しているこの早熟な天才児ですから、その彼についていくだけでも相当な技術を持っていると言えます。ポップな方向へシフトしようとしたNickel Creekとは全く別次元のサウンドで、やはりNickel Creekの解散は致し方ない事だったのだろう。

そしてその達人たちを得たクリスは、とんでもない楽曲を完成させます。これはThe Blind Leaving the Blindと題された4つの楽章で構成された40分にも及ぶ壮大な組曲。これは何と言ったら良いだろうか、ブルーグラスの枠を超えた、クラシックというか・・・ジャズというか・・・何と言うか符合する言葉が出てこないんですが、とにかく既存のブルーグラスを超越した1つの『良質な音楽』として機能している。
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ブルーグラス・ファンなら耳が釘付けになる超絶な演奏を楽しむことも出来るだろうし、それ以外の音楽リスナーでも「新たなジャンル」としても十分に楽しめる。そして音楽をあまり聴かない人でのBGMとして心地良い穏やかさを与えてくれる不思議なサウンドだ。

しかし、もうコレはまさしく「プログレ」だ。ブルーグラス版のプログレ。起伏に富んだ曲展開、細部の僅かな弦の響きまでも計算されつくした演奏、そしてクリス・シーリによる若さの残る歌もしっかり入っているし、ブルーグラスの醍醐味である楽器同士のアンサンブルなどもう絶品の一言だ。アルバム全編がスタジオ・ライブ形式で録音されていて、その臨場感と緊迫感がダイレクトに伝わります。
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正直、一聴して理解出来るものではないかもしれない。コレは何度も聴くうちにその凄さが理解出来てくると思います。天才のやることは凡人にはすぐ理解出来るものではありません。

そしてThe Blind Leaving the Blind以外にも他に4曲が収録されていて、こちらは幾分かリラックスした雰囲気を持っていてコチラもとても楽しめます。
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とにかく全てのカントリー/ブルーグラス・ファンだけでなく、全ての音楽ファンに聴いてもらいたい一大傑作と言えるでしょう。スルー厳禁!

ちなみにこのアルバムのリリース元は何とあのNonesuchからのリリースというのにも注目です。ワールド・ミュージックのレーベルでユッスー・ンドゥールカエターノ・ヴェローゾWilcoデイヴィッド・バーンといった一癖も二癖もあるアーティストを抱える信頼の置ける重要レーベルで、このレーベルからリリースされるものは全て素晴らしいと言っても過言ではない。
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そしてこのパンチ・ブラザーズNonesuchからのリリースというのも非常に納得出来る話ですね。
 
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by Blacksmoker | 2008-04-05 00:58 | COUNTRY / BLUEGRASS

ALICE COOPER @ IMPホール 3/27(木) 2008


シアトリカル・ロックの帝王降臨。
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さあ、行ってきましたよ。アリス・クーパー19年振りとなる日本公演。この人がいなければホワイト・ゾンビだってマリリン・マンソンだってスリップノットだって、ましてやKISSだって存在しなかったのだ。グラム・ロックなんて生ぬるいもんじゃねぇ。「ショック・ロック」と呼べ!
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そのショック・ロックの帝王が遂に戻ってきました。19年振りなんでもちろん私も観るのは初めて(私がリアルタイムで体験したのは91年の「Hey Stoopid」です)。客層はもちろん年齢層高め。事前にアナウンスされていた「オールスタンディング」という形式が、急遽「席あり」しかも「自由席」になっているのには笑いましたが、それも頷ける客層です。「前回の来日公演も観てるぜ!」というカンジの人がかなり多かったですね。

さて、ステージには「ALICE COOPER」と大きなロゴの入った垂れ幕が掛かっており、ステージが全く見えなくなっているのですが、客電が落ちると不穏なSEと共にアリス御大の大きなシルエットがその垂れ幕に浮かび上がった瞬間から会場総立ちの大熱狂!!
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その熱狂の中、垂れ幕にもう一つのアリス・クーパーのシルエットが登場。そのアリスの影が、もう1人のアリスの影を刺し殺して垂れ幕が上がると、本物のアリス・クーパー御大が登場。完璧です。これが本物の帝王。ベタベタですが観客のテンションは既に最大瞬間風速を記録しています。
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バンド・メンバーはギター×2、ベース、ドラムの4人。全員退廃的な衣装に身を包んでおりサイバー・パンク風。ドラマーは何と元KISSエリック・シンガー。シンバルとタムの異常に多いど派手でラウドなドラム。ツーバス連打でスティックを回すモロに80’sメタルなパフォーマンスも健在。ギターもベースも分厚くラウドな80’sメタルなアレンジ。

オープニングは77年のアルバム「Lace And Whisky」からIt’s Hot Tonight!既に御歳f0045842_1171511.jpg60歳という高齢ながら、相変わらずのオーラで威圧する姿は神々しさすら感じます。この後もNo More Mr.Nice GuyUnder My WheelsI’m EighteenIs It My Bodyなど70年代を彩ったクラシック連発!御大も歳を感じさせないステージングで観客を煽りまくり。客席も大合唱で、会場の一体感はハンパない。

そしてショック・ロックの帝王の名に恥じぬ数々の演出を盛り込んだ渾身のパフォーマンス。スモークやストロボ・フラッシュが炸裂しまくりでライティング効果も抜群。いろんな格好をしたエキストラも多数出てきます。

そして中盤、赤いチャイニーズ・ドレスに身を包んだセクシーな若い女性がステージに登場。
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彼女もパフォーマンスに加わり、妖しいダンスを披露したりと更なる過剰なパフォーマンスを展開。この女性、実はアリス・クーパー御大の実娘キャリコ・クーパー(下写真)。いやはや血は争えません。
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90年代~00年代の比較的新しい曲も数曲挟みつつも、やはり落とし所はMuscle Of LoveBe My Loverといった70年代クラシック。そしてギター2人がパーカッションに加わったドラム・ソロ・タイム(御大はステージ裏で休憩)も盛り込み客のテンションを下げさせません。

正直、演出的にもサウンド的にも既に前時代的なパフォーマンスなのですが、もはf0045842_11112365.jpgアリス・クーパーにとってはそんな批判など百も承知。「こっちはそんな事分かって35年以上やっているだよ!」と言わんばかりの明確な意志に一切ブレはなく、神々しさすらを感じさせます。しかし60歳とは思えないアグレッシヴさ。途中客席の女性ファンから差し出されたバラの花束を受け取るや、そのバラをステージ上で粉砕する鬼のパフォーマンスに大喝采!ブルータル!(でも、しっかりメッセージカードは抜き取って胸ポケットに入れてました。)

終盤には何とあの1975年の名盤「Welcome To My Nightmare」からWelcome To My NightmareCold EthylOnly Woman BleedStevenの4曲の黄金のクラシックスで捻じ伏せる。
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血塗れの女性の喉を掻っ切って血が飛び散ったり、赤ん坊を八つ裂きにしたり、真珠のネックレスをばら撒いたりと、もう笑えるくらい過剰で最高なパフォーマンス!

この後遂に登場した首吊り処刑台!
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もう観客は発狂寸前。アリス御大が拘束具を着せられ処刑されるパフォーマンスは生で観ると凄い迫力ですね。そして首を吊られたまま一旦退場したアリスが再び蘇り本編ラストを飾る名曲中の名曲School’s Out!会場中大合唱でした。

そしてアンコールはBillion Dollar Babies。ドル札束をサーベルに串刺しにして客席にばら撒き客席はパニック状態。でっかいバルーンが何個も客席に投げ込まれたり楽しさ満載。その後は89年の大ヒット曲Poison、そして70年代クラシックElectedで締め。最強の選曲でアリスの19年振りの来日公演は大成功に終わったと言っても良いでしょう。
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まさしく帝王の貫禄。これが全てのロック・ミュージシャンからリスペクトを受けるアリス・クーパーという男の所以だ。

一度は観る価値のあるエンターテインメント・ショー。そんなリヴィング・レジェンドをこんな近距離で観れて幸せな一夜でした。
 
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by Blacksmoker | 2008-04-03 00:13 | ライブレポート