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RYAN ADAMS & THE CARDINALS [Cardinology]


2001年にソロ・デビューしてからまだ7年。遂に10作目

2007年の傑作「Easy Tiger」と、その後に出たEP「Follow The Lights」に続いて200f0045842_14252.jpg8年もやっぱり出ましたライアン・アダムスの新作。「Easy Tiger」発売時に「次からはもうライアン・アダムス名義でリリースすることは無い。次からはザ・カーディナルズ名義になるだろう」と発言していた通りで、もちろんザ・カーディナルズとの共同名義。そしてその名も「Cardinology」!「カーディナルズ学」とでも訳すんだろうか、もの凄い自信の表れのタイトルにニンマリです。(なのに今回からは日本盤は発売されない模様・・・)

当初はメンバー・チェンジも多かったザ・カーディナルズも2006年以降からは不動のメンバーで、今回の新作もギターにニール・カサールデヴィッド・グラボフ、ベースにクリス・フェインスタイン、そしてドラムにブラッド・ペンブルトンという「East Tiger」以降の鉄壁の布陣。
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なので音楽性は全く変わりないですが、このメンバーで作るサウンドには素晴らしいマジックが生まれる。ライアン・アダムスの天才的ソングライティングと、ザ・カーディナルズの豊潤な演奏のもたらすサウンドはもはやブランディングされていますね。

デヴィッド・グラボフのスティール・ギター、そしてニール・カサールのコーラスが毎度の事ながら素晴らしく、彼らに支えられたライアンの叙情たっぷりのメロディが引き立ちまくりです。
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前作「Easy Tiger」の幽玄なカントリー・ロックから、今回は若干ハードなアメリカン・ロックなども取り入れていますが、今回も揺ぎ無いライアン印のサウンド。プロデュースは2005年の「Cold Roses」を手掛けたトム・シック「Easy Tiger」とサウンドの質感が違っているのはそのせいか。

すでにツアーでは披露されているFix ItMagickCobwebsSink ShipsNatural Ghostなどが大量に収録されていて、Grateful DeadやPhishのようにライブでどんどん曲を完成させていくスタイルを取っているのが分かります。
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どれもライブ感のある曲ばかりで、特にCobwebsなどは既に最近のライブでのオープニングを飾っており、ライアンの新たな代表曲になる事は間違いないでしょう。

最終曲のStopライアン自身によるピアノの弾き語り。ここでのライアンのヴォーカルは素晴らし過ぎます。「君がやめたいなら、もうやめよう」という歌詞が染み入りますね。
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何度も言いますが、この天才は是非リアルタイムで体験しておくべきです。この新作「Cardinology」も、もちろん彼のこれからの長いキャリアの中での通過点に過ぎないが、現時点では最高傑作。是非とも今のうちにチェックしてみて下さい。
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by Blacksmoker | 2008-11-21 01:02 | ROCK

ZACH HILL [Astrological Straits]


これはかなりの怪盤

f0045842_1485179.jpg狂ったギターと高速変拍子ドラムが炸裂する超絶デュオHella(現在は5人体制になってますが)。そのHellaのドラマー、ザック・ヒルのソロ・アルバム「Astrological Straits」が大変素晴らしくぶっ壊れています

ぶっ壊れている」というのは破綻しているというわけではなく、あまりにもやってることが超絶過ぎて何が何だかやってることがすぐには理解出来ないという意味。

そもそもロックの歴史においてドラマーのソロ・アルバムというのは、自身のバンドで抑圧されている欲求から解放される為、そのバンドの音とは少し距離を置いたものが多く、さらに歌まで歌っていたりする場合も結構多い。要は「俺はドラム以外の事もバッチリ出来るんだぜ!」的な別の側面を主張する意思が盛り込まれているのだが、このザック・ヒルのソロ・アルバムは、(そういうところももちろんあるだろうが、それ以上に)恐ろしいまでにドラマーであることにこだわり続けドラム道を貫いた作品であり、ドラマーとしての限界に挑戦したもの凄い作品だ。「俺はもっと叩けるんだぜ!」的な意思が伝わってきます。
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音楽性に関しては最近の5人体制となったHellaの音楽性をより進化させたものになっていて、ザック自身によるエフェクターで歪められた奇妙な声のヴォーカルをほぼ全面にフィーチャーし、さらにはキーボードやプログラミングまでも担当しているという奇才ぶり。この歪んだヴォーカルが妙なポップ感も出しており、さらにキーボードのスペーシーなサウンドやノイズがブレンドされ、もう誰も到達の出来ない唯一無二の壮絶な音世界が展開されていて、ザック・ヒルの複雑でぶっ飛んだ脳内宇宙の風景を見せ付けられます。2枚組というヴォリュームもハンパじゃないです。
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とにかくもうドラミングがあまりにも凄すぎる!狂ってるかのようで実は正確無比の高速変拍子ドラミングの嵐。いや嵐というよりも暴風雨。「8時間連続でドラムを叩き続けた事がある」と言われるこの男ですが、こんな事があり得るのか?と思うほど壮絶過ぎるドラミングに開いた口が塞がりません。昔Squarepusherの1stアルバムが「頭の中で蝿を100匹飼っているみたいだ」と評された事がありますが、今回のこのアルバムは「500匹くらい飼ってる」と言っても過言ではありません。試しに9分近くあるUhuruを聴いてみて下さい。もう即死しますよ。
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さらにこの変態的作品には、各方面から変態さん達がゲストとして続々と参加しています。その筆頭格がPrimusレス・クレイプール(下写真左)。あまりにもピッタリすぎるこの人選に思わず笑みがこぼれますが、レスがベースでf0045842_1415171.jpg参加した9分近いAstrological Straitsは3本のギターが暴れまくるのであまりレスのベースの音が目立っていなくて残念なんですが、逆にUmmerという曲がめちゃくちゃPrimusっぽくて面白いです。そして現在のHellaのメンバーや、AdvantageHellaのギタリストのスペンサー・セイムが結成したファミコンの音をカヴァーする奇天烈ユニット)のメンバーも参加。その他にもDeftonesのヴォーカリストのチノ・モレノ(ザックとはTeam Sleepを組んでいます)、そして!!!タイラー・ポープ、そしてSub Popを代表するバンドへとなった素晴らしきデュオNo Age、さらにはこちらも変態的な女性タッピング・ギタリストのマニー・スターンなど錚々たる変態たちがこの作品に華を添えています。
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そして最も凄いのが2枚組の2枚目のNecromancerマニー・スターンの不気味なナレーションで始まる1曲32分58秒の想像を絶するこの曲。フリージャズのような分裂症気味のピアノと、ザックの狂ったような超絶な高速ドラミングだけの悪夢のような素晴らしい32分。この曲、最初から最後まで高速ドラム休みなしで叩きっぱなし!もう頭が壊れそうです。
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もう聴いていると何が何だか分からなくなってきそうです。リリースがマイク・パットン将軍のレーベルIpecacというのも納得です。普通の人にはあまりオススメ出来ませんが、変態的な音が好きなは絶対マストの怪盤。是非聴いてみて下さい。

  
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by Blacksmoker | 2008-11-13 13:50 | 極北

[ULTIMATE MC BATTLE 2008] 大阪大会 @ Fanj Twice 11/1(土) 2008


さて今年もすでに全国各地で始まっている「ULTIMATE MC BATTLE」地方予選。(07年の大阪大会のレポートはコチラ、06年のレポートはコチラで。)
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各地でかなりアツいバトルが繰り広げられていますが、はやり注目は東京予選の優勝者の般若でしょう。言葉遊びと揶揄されたフリースタイル・バトルを、中身のある内容重視のスタイルへと激変させた般若。2002年の「B-Boy Park」でのとの決勝戦はいまや伝説です。
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その後フリースタイル・バトルを止め、一切のフリースタイル・バトルには出ないと宣言していたこの男が沈黙を破り、遂に「ULTIMATE MC BATTLE」に初参戦。しかも東京大会を制した(決勝はRumiという因縁!)というトピックは2008年の「ULTIMATE MC BATTLE」が何かタダならぬ事になりそうな気がしてなりません。自らフリースタイル・バトルに終止符を打ったこの男が2008年のこのフリースタイル・バトルにどう落とし前をつけるかが注目です。

そしてもうひとつのトピックは今年の「ULTIMATE MC BATTLE」の決勝大会が大阪で行われるという事。今まで関東で行われていたこの大会が遂に大阪で開催されるのです。会場の歓声が勝敗を決める要因になるこのバトルにおいて、強豪の関東勢のMC達がどこまで大阪の観客の心を掴むかで命運が分かれるでしょう。

そういった意味においてはこの大阪大会の優勝者はかなり優位な立場になることは間違いない。そしてやはり注目は韻踏合組合Hidaddy

大阪大会3連覇の実力派でありながらエンターテイナー。2006年の決勝大会ではフォークとの延長3回を戦った名バトルは「事実上の決勝戦」と言われているし、2007年にはBesとの死闘も名バトルとしてフリースタイル・バトルの歴史に刻んだと言っても良いでしょう。特にフォークとの死闘は鳥肌が立つ程の素晴らしいスキルの見せつけ合いでしたね。

しかし、つくづくクジ運が悪いのもこのHidaddyの面白いトコロ。かなりの実力者でありながら優勝候補と1回戦であたってしまい、惜しくも1回戦で敗退してしまうという事が2年連続で続いているのです。今回の大会ではその雪辱を果たせるかにはやり注目が集まります。

さて大阪は64名のMC達がエントリー。
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韻踏合組合からはHidaddyErone、そして強豪シーラカンス勢(ブービーoogawa悠然Kenta)や、昨年のファイナリストCosaqu、そして2002年の「B-Boy Park」ベスト8の大超、さらには4WDなどが名を連ねています。(今年は神戸大会と京都大会の優勝者はそのまま決勝大会へ行けるとの事で昨年印象的だったアンジキジョイP-PongQzネスタなどは大阪大会には出てなかったですね。)

今年はベスト32から観ましたが、今年はかなり会場もパンパンで入場規制がかかるほどでした。その中で数々のバトルが繰り広げられましたが、面白かったのはバルーンza弐百式。(下写真右)
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おそらく200kgはあるんじゃないかという巨漢MC。もしかして韻踏合組合PVのオープニングに出てないか?こいつは何度かアメ村近辺で見たことあるけどラッパーだったのか!ふぁんくというMCとのバトルで延長までもつれた結果敗退してしまいましたが、なかなか強烈な印象を残しましたね。

そして個人的に一番ヤラれたのはレペゼン泉州のMC大超(下写真左)。
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無骨ながらも完全にツボにハマる名パンチラインを連発!キャラもオモロすぎで大阪のオッサン的キャラ全開。Mocciとの対戦では3回もの延長戦を経て勝ち残りましたがその時のラップで「アントニオ猪木」と「菅野美穂命」で韻を踏むこのセンス!!マジで最高。テンション上がって、終わってから会場で売ってた大超の5曲入りデモCD「大超デモトラックス01」をゲットしましたが、これにもなかなか笑わせてもらいました(EelsSusan’s Houseのトラックでラップしてる曲もあり。誰も分からんか・・・)。次の試合で残念ながらHidaddyに負けてしましましたが、かなり好きになりましたよ。

そして1人だけ会社帰りのサラリーマンみたいにスーツを着込んだラッパーあきらめん(下写真左)。
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マジなのかネタなのか分かりませんが実力はかなりのもの。シーラカンスoogawaや、昨年の大阪大会のファイナリストCosaquを軒並み倒し勝ち上がりましたが、ベスト4でHidaddyに惜しくも敗退でした。しかしこのHidaddyとの戦いはかなり面白かったです。「3連覇したから次は俺に譲れ」と言ったあきらめんに対し、Hidaddyが「言っとくが俺は4連覇 お前なんか要ねぇんじゃ」の切り返しで勝負ありでしたね。

そして毎年善戦を見せているシーラカンス悠然aka赤いメガネ(下写真右)。
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なかなか手堅い勝ち上がり方で死神Eroneを倒し決勝へ進出。そして圧倒的な実力のHidaddyとの決勝になりました。(ちなみに今回のバトルHidaddyは余裕なのか分かりませんが、かなりテンションが低めに見えましたね・・・。)

そして決勝のHidaddy vs 悠然。これはもう誰もが認める実力派同士の対戦。
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どっちが勝っても納得の2人だが、やはりエンターテインメント性とデリヴァリーの豊富さでHidaddyの実力が一つ上。「ヒダディーひとり旅のDVDではお前のところだけカット」というラインで完全に勝負ありましたね。前人未到の4連覇で見事優勝し、決勝大会への進出を果たしました!
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優勝後のフリースタイルでは「もう俺はこれからフリースタイルやらへん 俺はもう金もらわなラップせーへん そろそろそう言ってもえーやろ?」というラップが印象的でしたね。もしかして今回でフリースタイルは終了なんでしょうか?「待ってろ般若君」という言葉に会場も朝5時にもかかわらず最高潮の盛り上がりを見せ大阪大会は終了しました。

Hidaddyのフリースタイル引退とも取れる発言や、フリースタイル引退宣言を撤回した般若の登場など今年の「ULTIMATE MC BATTLE」は何か特別な事が起こる気がしてなりません!

2008年12月27日なんばHatchでその歴史が変わる瞬間を目撃せよ!

 
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by Blacksmoker | 2008-11-06 17:17 | ライブレポート