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PUSHIM @ Zepp Osaka 3/17(火) 2009


新たなるビッグ・チューンルネサンスを引っさげて、2年半振りとなる単独ツアーをスタートさせたレゲエ界の女王プシンの大阪凱旋公演観に行ってきました。
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前回のツアーでも女子率が7~8割でしたが、今回はそれ以上の女子率。もはや女の子にとってプシンは「信頼出来る姉貴分」的存在でしょうね。昨年11月に新しいアルバム「Renaissance」がリリースされた時に、衛星放送の特番でプシンの特集をやってるのを観たんですが、これが凄い。MEGUMIAI、そして土屋アンナまでもがプシンのファンぶりを猛烈にアピールし絶賛の嵐なんです。前作がリリースされた時はレゲエ・シーン以外ではそこまで盛り上がってなかったように思えるんですがね・・・。(余談ですがXTCがアルバムを出すと、「僕、実は隠れXTCファンなんです」的ミュージシャンが必ず現れるのと同じ現象!)

しかしこういう現象を見ると、最近のプシンはレゲエ界を超えた人気を獲得し、新たなファンも取り込んでいるのが分かりますね。
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もちろん今回もバック・バンドはHOME GROWN with コーラス2人。演奏面での新鮮な驚きはないとはいえ(もちろん安定感抜群の演奏ですが)、もうそこにプシンの声があるだけで全てが完璧に成立してしまうと言っても過言ではない。このモノ凄い磁力を持った声は日本のシンガーでもなかなかいないです。技巧派シンガーというよりは、情念系シンガー。もしくはコブシ系。オープニングのあすなろ ~Mental Poverty~から「やっぱスゲェなぁ」と唸ってしまいます。腹の底から沸き上がる感情を魂を込めて歌うこの歌声は、美空ひばりの歌声にも匹敵すると思いますね。
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個人的にプシンの曲は、速い曲よりもゆったりとしたミドル・テンポの曲が好きで、Dancehall Run Di PlaceHey BoyDa Bulldogといった曲よりも、My Name Is…So Much In Loveなどじっくり聴かせてくれる曲がイイ。じっくりその歌声が堪能出来る曲は最高ですね。

しかもライヴで披露されると新たな魅力を持って甦る曲もあって、新しいアルバムの中では正直あまり耳に残ってなかったOh,My Brand New ViewText Book Oneの2曲が、ライヴで聴くと予想以上に良くかなり驚いてしまいましたよ。(ライヴ後に改めて聴き直したらとても素晴らしい曲でしたね。)

中盤のハイライトはもちろんLove This Music。アルバムにも参加していた尼崎f0045842_027766.jpg出身のレゲエ・シンガーJing Teng(右写真)もステージに登場して披露したこのコンビネーション・チューン。ルーツ・レゲエやダンスホール・レゲエだけでなくスカの要素も取り入れた素敵なダンス・チューンは新たなるプシンの魅力を引き出した曲と言ってもいいでしょう。そしてJing Teng。まだまだ若いシンガーですが、その渋い歌声が最高ですね。昨年出たデビュー・アルバム「Sweet Sounds」(下写真)も素晴らしく、かなり愛聴しましたがライヴでもその声は健在。Love This Music以外にも、もう1曲タイトル曲のSweet Soundsもやってました。これもホント良い曲。是非チェックしてみて欲しいです。
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その他にも印象に残っているのは、中盤のMCでフロアの若い子達に向けて「自分の権利をしっかりと使わないといけない。つまり選挙に行こう。」と促したり、自分らしく生きる生き方について語ったり、若い子達を啓蒙する役割を果たしていたこと。やはりもう若さだけで走っていく時期は終わり、今度は上の世代から受け継いだものを下の世代に伝えていく役目をしていく歳になったんだなぁと、プシンと同い年の私もしみじみ・・・。

そして最後はもちろん新たなアンセムルネサンス。イントロから何か感情がこみ上げてくるものがありますね。周りで涙ぐんでる女の子も多数。ホント素晴らしい!I Prayに続く名曲と言えるでしょう。
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アンコールでは大阪ならではのゲストMighty Jam RockからBOXER KID、そしてNG HEADが登場。Love This Musicのワンウェイ・アルバムも発売されるという事でその中の曲を披露し会場中ボス!最後はRainbowで大団円。丸々2時間素晴らしいその歌声を堪能しましたね。素晴らしいグッド・ヴァイヴスをもらいました。帰りにみんなの顔が笑顔だったのも印象的でした。

レゲエだけでなくもはや日本のシンガーとしても屈指の実力を持つプシン一度観るだけでも絶対にファンになる事を約束しましょう。今年も夏の始まりと共におそらくあらゆるレゲエのイベントに登場すると思われるプシン姉さん。まだ観た事ない人は是非とも今年どこかで観て欲しいです!

そういえばここ数年、プシン姉さんどんどん綺麗になっていきますね。以前にマイメンhino氏がライムスターの武道館公演の打ち上げに参加させてもらった時に錚々たる有名人の中で「プシンが一番綺麗やった」と断言していたのを思い出しました。

 
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by Blacksmoker | 2009-03-31 00:13 | ライブレポート

HEAVY D [Vibes]


f0045842_1031682.jpg80年代後半から90年代前半に活躍したヒップホップ・グループのHeavy D & The Boyz。そのリーダー巨漢ラッパーHeavy Dの実に約10年振りとなるソロ・アルバム「Vibes」がかなりイイです。

でもあの90年代のようなヒップホップではなく、このアルバムは何と全編レゲエなんです。

何でレゲエなんだ?と思うでしょうが、実はこのHeavy Dってジャマイカ出身なんですね。そう言われるとHeavy D & The Boyz時代にもMood For Loveなどレゲエ調のナンバーもあったし、彼らのキャリアの中で最も有名な、Teddy ReilyのプロデュースのNow That We Found The Loveだって、オリジナルはジャマイカのレゲエ・グループThird Worldの曲だ。それ以外にもSuper CatBuju Bantonともコラボレーションしていたりしてましたね。だからこれは意外な事でも何でもなく、実に自然な「Back To Roots」なんですね。
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しかもレゲエと言ってもDJスタイルで歌うダンスホール・レゲエではなく、ミディアムなリディムの上をHeavy D御大がゆったりと歌い上げる歌物のレゲエだ。これが最高に気持ち良い出来になっている。

何たってこのHeavy Dの歌がめちゃくちゃ上手いんです!確かに以前にBuju Bantonとのコンビネーション曲でもかなり歌の上手さを披露していて印象に残ってましたが、こんな安定した堂々たる歌いっぷりは非常に心地良い。体系からは想像も付かないほど伸びやかな声にヤラれます。
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あのBarrington Levyをゲストに迎えたLove Me Like Thisでも、Barrington Levy以上に伸びやかなノドを披露してくれています。Sizzlaを迎えたPrivate DancerでもSizzlaの独特のクセのあるシングジェイに引けを取る事なんて全くない安定感抜群の歌です。薄っすらとアコースティックで味付けされた清涼感のある哀愁系Deliahでの歌い方には最近のWyclef Jeanを彷彿させますね。

そしてルーツ色の濃い土着的なレゲエ・サウンドではなく、洗練された非常に耳馴染みの良いレゲエ・サウンド(でももちろんベースは効きまくってます)なのはプロダクション陣によるところも大きい。もちろん約半数をプロデュースしているのはHeavy D自身だが、その他にプロデュースに関わるのがWarryn Campbell(Musiq Soulchildの新作でも良い仕事してましたね!)やTony Dofatなど以前からHeavy Dと仕事をしてきた面々。普段はR&B畑の職人達である彼ら(Heavy Dだって最近はAnthony Hamiltonの曲にも関わってたし)の作る音が土着的なレゲエ一歩手前の心地の良いレゲエで非常に聴きやすいのもポイントでしょう。女性コーラス隊もバッチリ入ってます。The Techniquesの名曲Queen Majestyのカヴァーなんて最高に気持ちイイ。
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Heavy D & The Boyz時代のラッパーとしての姿もカッコ良いHeavy Dですが、今回のレゲエ・シンガーとしてのHeavy Dも素晴らしいです。レゲエ・ファンならマストですが、それ以外にも十分にアピールする魅力満載の素敵なアルバムでもあります。是非チェックして下さい。そして次回作では久々のラップ・アルバムも作って欲しいですね!
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by Blacksmoker | 2009-03-11 10:07 | REGGAE

RECOMPOSED BY CARL CRAIG & MORITZ VON OSWALD


世界で最も長い歴史を持つクラシック・レーベル「ドイツ・グラモフォン」。

1898年に創設された由緒正しきこのレーベル。クラシックに疎い人でもこの「黄色いラベル」は目にしたことはあるでしょう。ソウルで言うところの「モータウン」、ジャズで言うところの「ブルー・ノート」、テクノで言うところの「ワープ」、ヒップホップで言うところの「デフ・ジャム」みたいなものでしょうか。

そんな由緒正しき「ドイツ・グラモフォン」が贈る「ReComposed」シリーf0045842_956798.jpgズ。グラモフォンの所有するクラシック音源をエレクトロニック系のミュージシャンが再構築(Remix)するというこのシリーズは、2005年にドイツのMatthias Arfmann、そして2006年にはフィンランドのJimi Tenorがそれぞれ担当しましたが、今回の第3弾に選ばれたのは何とデトロイト・テクノの革新者カール・クレイグ。そしてもう1人はミニマル・ダブのパイオニアであり、Basic Channnelの創設者モーリッツ・フォン・オズワルド。この2人によるクラシック音楽の究極のエレクトロニック再構築版が今回紹介する「RecComposed by Carl Craig & Moritz Von Oswald」。これは同時にエレクトロ・ミュージックを新たな次元まで高めた革新的な作品だ。
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この2人がグラモフォンから選んだ素材はあの「指揮者の帝王」ヘルベルト・フォン・カラヤン(下写真)が指揮するベルリン・フィルハーモニーの演奏するラヴェルボレロスペイン狂詩曲、そしてムソルグスキー/ラヴェル展覧会の絵など。
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所謂クラシック門外漢でも一度は耳にしたことのある超有名曲をズタズタに分解して新たに構築し全く新しいテクノとして提示しています。

ジャケット写真に映るのはおそらく今回使用した音源のオリジナル・マスターテープでしょう。こんな超貴重な写真を見るとさぞやクラシック・マニアのオジサン達は興奮するでしょうが、そんなオジサン達を地獄の底に叩き落すかのような容赦ない再構築ぶりが凄い。 カール・クレイグと同郷のRichie HawtinによるMix CDの新境地「DE9シリーズ」と同じ方法論で作られた「踊るだけではないテクノ」の提示とも言えるでしょう。ただクラシック・マニアはこれを聴いたら多分激怒するんじゃないかな。
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クラシック音源を使用しているからと言ってここにはおなじみのメロディも使われてないし、ボレロのクライマックスへ向かうカタルシスも全く存在していません。主旋律よりもオーケストラの中の楽器の一部を抜き出し、ひたすらストイックに余分な贅肉を削ぎ落としたかのようなミニマル・テクノが延々と反復を繰り返されます。テクノ・ファンでさえ前半部分のキックの無いノンビートなリズムが延々と繰り返される様には「これからどうなってしまうんだ?」という不安と期待に襲われるでしょう。

しかしそうしているうちにいつの間にか我々はこのレコードの深い音の迷宮の中に知らずに取り込まれてしまっています。気が付くと完全にミニマルなビートの中にいるのです。「あれ?いつのまにこんなビートになってたんだっけ?」と気が付いた頃にはもうこの音世界からは抜け出せないでしょう。緻密に計算されたカール・クレイグの作る音世界ですが、この抜け出せないズブズブ感は完全にモーリッツ・フォン・オズワルドの成せる技でしょう。
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1~6楽章から構成されており、1~4章までが第一部。インタールードを挟み5~6章が第二部といった分類がなされている。約30分に及ぶ第一部でミニマル・ダブを突き詰め、第二部はカール・クレイグのRemixした5章と、モーリッツ・フォン・オズワルドのRemixした6章。それぞれの構築の方法の違いを聴いてもらうという意図だろうか。

第一部でクラシック音楽のカタルシスを究極的に一切排除したミニマル・ダブを展開させましたが、このカール・クレイグによる5章ではオーケストラの迫力を組み入れた展開をみせる。逆に最後のモーリッツ・フォン・オズワルドの6章はBPMをぐっと落とし、パーカッションをも組み込むディープなダウンビート。この2人の性質の違いが明確に分かって面白い。
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企画物という体裁でありながら、全く他者を寄せ付けない程の圧倒的なクオリティ。何でも1年以上掛けてじっくり作りこまれたというからこの2人の気合いを感じます。中ジャケの写真ではクールにキメて写っている2人ですが、その写っている場所が誰もいないオーケストラ・ホールで、その中でキメキメな2人というのが結構笑えます。2人のこの作品の出来に対する自信の表れのようでもありますね。

芸術性」を冷酷なまでに排除した「素材」としてのクラシック音楽の再構築には、クラシック音楽のファンの拒絶反応が目に見えるかのようですが、エレクトロニック・ミュージックとしては、新たな可能性を追求しそれを見事に結実させた画期的な作品とも言えるでしょう。是非ともチェックしてみて下さい。Ricardo VillalobosによるRemixを収録した12インチ盤(下写真)も超ヤバイのでコレもチェックです!
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しかしカール・クレイグはどこまで進化していくんでしょう!
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by Blacksmoker | 2009-03-04 08:59 | TECHNO