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SUNN O))) @ 鰻谷sunsui 4/22(木) & 4/23(金) 2009


日本を震撼させた初来日から2年。再びこの日がやって来ました。

あれだけ打ちのめされたのにまた行ってしまうなんて、まさしくジャンキーですが、こういった輩を生み出す魔力を持っているのがこのSUNN O)))だ。これはSUNN O)))のライヴを体験した者でしか分かりえない感覚でしょう。「Maximum Volume Yields Maximum Results」がどういうものか身を以って知っている人なのです。
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そんなわけで、今回は大阪公演2日間参戦。Blacksmokerの最もリスペクトする音楽ライターの山崎智之氏の横で最前列で体験しました。(ちなみに山崎氏は、前回の来日公演と同様、今回も全公演制覇したようです。さすがです。)

今回のツアー・タイトルは「Shoshin」=「初心」。原点回帰という意味だが、今回のライヴを観れば、その意味するところが一目瞭然。前回の来日公演のステージがいかにショー・アf0045842_173345.jpgップされたものだったかがよく分かります。ステージにはMayhemアッティラ・シハーもいないし、エレクトロニクス担当のオーレン・アンバーチもいないし、もちろんBorisAtsuoもいない。事前のアナウンスの通りでステージにはギターを持ったスティーヴン・オマリーグレッグ・アンダーソンの2人のみ。そしてSUNN O)))の1stアルバムである「The Grimmrobe Demos」(右写真)を演奏するというスペシャル・プログラム。

前回のライヴではライティングも様々な色が使われ、後半ではハレーション効果など視覚効果も存分にありましたが、今回は「初心」というだけあって、ライティングも全く変化なし。(初日の照明はオレンジ、2日目は青という違いくらい。)徹底的にショー的な要素は排除していましたね。もちろんステージにはスモークが充満していて、ほとんど何も見えませんでしたが。
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しかし、これで露になったのがSUNN O)))の本来の姿。アッティラの邪悪な呪文のような声もないので、観客は純粋に凶暴なドローン・ノイズの壁に容赦なく圧殺されるわけです。その音圧たるや、2人であってもまったく前回のライヴに劣らない地獄度。体の内臓にまで響き渡るその低音の振動はやはり分かっていてもその凄絶さに驚愕。鼓膜にまでダイレクトに響いてくるその重低音に耳の奥が痛みを感じます。しかも、ノイズの壁の波動をモロに喰らう最前列は恐ろしいまでの地獄度。あまりの危険度に何人もが脱落していきましたね。(山崎氏から聞いた話では、この大阪公演の数日前に行われたISISをヘッドライナーにした轟音イベント「Leave Them All Behind」に出演した時のSUNN O)))はヘッドライナーのISISに気を使って音はいつもより小さめだったようです。)
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2日連続で参加すると各日でその内容が微妙に違っているのがよく分かります。1日目はスモーク焚きまくりで、全くステージもフロアも判別が出来ないほどでしたが(1m隣の人でさえ見えない!)、2日目は比較的スモークが少なめ。ステージが見えるようになって分かったのは、グレッグ・アンダーソンがかなりアクティヴに動いているんですね。長い髪を振り乱してヘッドバンギングを繰り返している姿は、このあまりにもスローなドローン・サウンドにはミスマッチでしたが、観ていて面白い(対するスティーヴン・オマリーはあまり動かないでギターを高く振り上げるくらい)。初日ではスモークが凄すぎて全く見えなかったので新鮮でした。
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しかし、サウンドの地獄度は2日目の方が格段に上。最前列はもう音圧で殺されるんじゃないかと思うくらいの壮絶極まりない地獄度でした。しかも1日目よりも演奏のスピードが明らかに速くなっていましたね。そして、そのあまりの音圧の凄さにある凄い出来事が起きました。SUNN O)))の演奏中、あまりの音圧でステージ後方のスポットライト照明が「パキンッ!」と割れてしまったのです!朦朧とする意識の中で幻覚まで見えるようになったのかと思っていましたが、その事態の尋常のなさに思わず現実世界に引き戻されました。しかし音圧で照明が割れるなんて聞いたことあります?こんな壮絶な光景はそうそう目撃出来るものではないですよ。まさしく命懸け!しかも会場中どこへでもこの凶暴な音圧は襲ってくるので逃げ場なしです。
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意識を正常に保ってないと一発でアチラの世界に連れて行かれる驚愕のドローン地獄。雪山で遭難した時に「寝るな!」とか言われる感覚と同じようなものでしょう。両日共に1時間半のドローン地獄を存分に味わわされました。

もはやSUNN O)))は純粋に音楽を追求する真のアーティストと言っていいでしょう。こんな臨死体験は、おそらく彼らのライヴでしか体験する事は出来ないでしょう。そして家のどんな性能の良いスピーカーでも残念ながらこの凄さは再現できない。
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そして我々は再びこのSUNN O)))のライヴに足を運ぶ事になるのです。
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by Blacksmoker | 2009-05-21 16:49 | ライブレポート

JESSE HARRIS @ 京都磔磔 4/15(水) 2009


2006年にアルバム「Mineral」、そして2007年にはアルバム「Feel」、さらに畠山美由紀との共作アルバム「Summer Clouds, Summer Rain」や、映画「The Hottest State」のサウンドトラック盤、そして2008年にはおおはた雄一のアルバム「Music From The Magic Shop」のプロデュースと、ここ数年は毎年のように素晴らしい音楽を届けてくれるジェシー・ハリス
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2009年も素敵な新作「Watching The Sky」をリリースしてくれたばかりのジェシーですが、それに伴う日本ツアーとして前回のサ-シャ・ダブソン&リチャード・ジュリアンとのジョイント・ライヴから約2年振りの来日(何か毎年来てるように思ってましたが、2008年は来日してなかったんですね・・・)。

「Mineral」から「Feel」に掛けてジェシーの音楽も、アコースティック・ギター中心のフォーク路線から、バンジョーを取り入れたり、ブラジリアン・パーカッションを取り入れたりとその音楽性を多様化f0045842_100611.jpgさせてきましたが、この最新作「Watching The Sky」(右写真)では、「Feel」の路線を継承しながら、さらにホーン・セクションなども導入して、より音楽的に幅を広げたサウンドになっているのが特徴。この作品はバハマの「コンパス・ポイント・スタジオ」で録音されたのも注目で、前作に比べて音がより奥行きのある開放的な響きをしています。ヴォーカルの響きなんて特に素晴らしいですね(ちなみに日本盤ライナー・ノーツにはこの「コンパス・ポイント」の説明が書いてありますが、ここで録音されたアーティストとしてたくさんのアーティストが列挙されていますが、AC/DC「Back In Black」がここで録音された事に触れていないなんて全くいただけません)。

さてさて、そんなまたもや素晴らしい作品をリリースしてくれたジェシー・ハリスの来日公演ですが、今回は3月末からほぼ3週間の長期滞在ツアー。ほとんどの公演にオープニング・アクトとしてキセルを帯同させ、そのツアーの間には畠山美由紀やおおはた雄一、さらにはsaigenjiらと共演し日本全国を廻るまさしく「ジェシー・ファミリー」総動員のツアー。ジェシー・ハリスキセルなんてなかなか絶妙な組み合わせじゃないですか。

そのキセルがいつも通りのユル~い空気で(でもなかなか楽しい音で)ステージを終えた後、これまたいつも通りの全く飾らないジェシーが2人のバンド・メンバーを引き連れてステージに登場。今回はパーカッションとベースという最小編成。パーカッションはブラジリアン・ドラムを使用し、さらにベーシストはフレンチ・ホルンも担当したりと、シンプルながらも音楽の幅により多様性を持たせて、新作の音楽性を表現しようとする編成です。
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そしてジェシーはと言うと、まあ何年経ってもマイペースで穏やかな雰囲気を纏った飾らない人ですね~。普通に街中で会っても全くミュージシャンとは気付かれないような佇まいですが、でもこの人が歌い始めるとやはりその滲み出る天才ぶりにヤラれてしまいます。そのあまりにも繊細で優しい声や、まるで体の一部のように演奏されるギターやバンジョーの穏やかな音色など、やっぱり恐ろしいまでの天才ですね。

Watching The Sky」ツアーという事で、新作からの曲はほぼ網羅。間にぞの前のアルバムからの曲を配していましたが、サプライズはやはりDon’t Know Whyでしょう。もうこの曲はジェシーのライヴでは聴くことはないと思っていましたが、遂にジェシーのヴァージョンで生で聴くことが出来ました。こういうのは、ちょっと得した気分になりますね。でもジェシーは仰々しくもなく実に淡々と演奏していてあっさり終了しちゃってましたけど・・・。途中ではキセルを迎えての共演も実現。この人は必ずと言っていいほどオープニング・アクトを自分のステージに上げて共演してくれますね。その風通しの良さも魅力の一つではあります。
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さらなるサプライズはカヴァー曲。意外にも接点がなさそうだったニール・ヤング(多作家という点では共通してますが)のMellow My Mind。もちろんジェシー風。これはなかなかのハマり具合。さらにアルバム「Mineral」では、ボブ・ディランCorrina, Corrinaをカヴァーしてライヴでも披露していましたが、今回は同じディランの曲でもTomorrow Is A Long Timeというかなりマニア度の高い曲(「グレイテスト・ヒッツ第2集」にしか入っていない!)を披露。こんなの披露されても普通の人なら確実に気が付きません・・・。さらなるカヴァーは、一番最後に披露されたザ・バンドBessie Smith!これもイイですね。何かジ~ンとくる選曲です。こういうカヴァーの選曲を見ると、やはりジェシーのルーツは70年代のアメリカン・フォーク・ミュージックなんだという事が分かります。家に帰って久しぶりにザ・バンドの5枚組BOX「A Musical History」を引っ張り出して聴きたくなりましたね。
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今回のライブは最新のジェシーの音を堪能出来て、さらにはジェシーのルーツまでも振り返ることの出来たライブでしたね。今までジェシーのライブは4回観ていますが、毎回違った趣向で楽しませてくれます。もちろん今回も新たな魅力を発見出来る要素も満載でしたが、今回のライブでもやっぱり「ほんとジェシー・ハリスは天才だなぁ」と思い知らされる事になったわけでした。

2006年に観たライブではウンザリするくらい会場がガラガラでしたが、最近はかなり会場の人数も増えてきています。かなりスロー・ペースだが確実にジェシー・ハリスの音楽は浸透してきている証拠です。
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やはりこの天才の音楽は時代性を超越し長く語り継がれていくことになるのでしょう。
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by Blacksmoker | 2009-05-15 01:52 | ライブレポート