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AKRON/FAMILY @京都メトロ 6/11(木) 2009


こんな凄いヤツらだったとは!!

常々「ライヴがとんでもない」と噂されるAkron/Familyの来日公演を観てきましたが、これは噂に違わない凄いバンドだ。
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今、インディロック・シーンでは新たなる地殻変動が起こっている。

Animal CollectiveがNYロック・シーンの重鎮へと成長し、それに続くGang Gang Danceなども独自の成長を遂げている。そしてネオ・シューゲイザーと呼ばれるNo AgeDeerhunter、60年代フォーク/バロック音楽を彷彿させるFleet Foxes、更にカナダからはNeko Caseなど、続々とオーヴァーグラウンドに登場し、なおかつ商業的にもある一定の成功を収めているのです。

その中でNo Ageと共に今最も注目されているのがNYを拠点に活動する異能音楽集団Akron/Family
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デヴェンドラ・バンハートを発掘したSwansマイケル・ジラの目に留まり、彼の主催するレーベル「Young God」から2005年に1stアルバムをリリースしているこのAkron/Familyf0045842_9131578.jpgヴェンドラ・バンハートととも共通するその雑多すぎるサウンドはいわゆる「フリー・フォーク」の文体で語られることの多かったAkron/Familyですが、3月にリリースされた新作「Set ’em Wild, Set ‘em Free」(右写真)では、更に大きく進化したと言っていいでしょう。前作発表後に4人組から3人組になり、「Young God」からも離れたこの新作で、今まで正体を掴みづらかったAkron/Familyが、よりバンドとしての一体感を高めたサウンドに変化した素晴らしい作品でしたね。

そんな素晴らしい新作を引っ提げての待望の来日公演。

ステージ後方には新作のジャケットにも使われているお馴染みのアメリカ国旗を掲げています。そして登場した3人はアパラチアン山脈から出てきたような風貌。ギターのセス・オリンスキーはTシャツ&ジーンズ&長髪&髭&眼鏡という由緒正しきヒッピー・スタイル。そしてベーシストのマイルス・シートンは白いタンクトップを着たマッチョな労働者風スタイル、そしてドラマーのダナ・ジャセンは民族衣装を着たこちらも完全なヒッピー・スタイル。
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そんな時代性とはかけ離れた3人ですが、見た目とは裏腹にミュージシャン気質(何でも全員が20個以上もの楽器を扱えるそうです)。見た目は緩いのですが、音の方は3人とは思えないほどダイナミックでラウド。さらにバンドとしての一体感が加味されて圧倒的なサウンドを聴かせてくれます。さらにギターのセスがキーボード&サンプラーを使って繰り出すSEやエレクトロニックなビートがその有機的なサウンドと融合しAkron/Familyしか出せないサウンドを演出します。さらにSEで曲間を繋ぎ、ほとんどノンストップで曲が続いていく構成も面白いです。
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そして凄いのはこの一見バラバラな個性の3人がThe Bandばりに素晴らしいコーラス・ハーモニーを見せ付けるのです。観ていてビックリするほど美しいコーラスに驚いてしまいましたね。
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さらに圧巻は中盤に用意されたジャム・セッション。前座で登場したあふりらんぽSistertailというバンドのメンバーが総勢10人以上もステージに上がっての一大サイケデリック・セッション!
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サックスやメロディカを加え、あとの他のメンバーはパーカッションを叩きまくりで、まるで90年代初期のBoredomsのような得体の知れないマグマのようなパワーを感じるセッションでしたね。これがこのAkron/Familyのライヴの凄さか!

そういえばライヴが始まる前にAkron/Familyを召喚したレーベル「コントラリード」の人が出てきて「彼らはライヴが盛り上がれば盛り上がるほど、どんどん力を発揮しますから」と言っていましたが、それが良く分かります。Akron/Familyのライヴというものは観客とバンドが一体になって創り上げていくものなんですね。今回の京都公演は(他の公演は観ていないので分かりませんが)、まさしく客とバンドが一つになって凄まじいエネルギーを生み出していたと思います。特にそのエネルギーの質量はハンパなかったですね。その後ベースのマイルスは盛り上がりすぎて客席にベースを弾いたままダイヴ!クラウドサーフィンをしながらベースを弾くというハジけっぷりでした。
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そして、その大セッションのまま、新作のオープニング・ナンバーEveryone Is Guiltyに突入。ここでテンションが上がりきったフロアのエネルギーが爆発。この日のピークを記録したのは言うまでもありません。
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しかし、こんなテンションで毎回ライヴをやってるなんて、こりゃ凄いバンドだ。No AgeにしてもこのAkron/Familyにしても、ライヴという場所でレコード以上の力を発揮しますね。やはり人気が出るだけのことはある。

そして最後は、ハジけきったフロアの客を癒すかのような静かなゴスペル・ナンバー。3人のコーラスが美しいです。さっきまで暴れまくっていたメンバーが繊細で美しいコーラスを見せてくれる姿はとても感動的な光景でした。
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バンドならではのダイナミックさと、見た目とは裏腹の繊細さが同居し、客のエネルギーまでも自分達のエネルギーに昇華させていくAkron/Family。彼らにはまだまだ無尽蔵の力がありそうな気がしますね。もっと大きな会場でやることが出来れば更なる力を発揮しそうですね。

とにかくこのバンドは観れて良かったです。まだ未体験の人は次回の来日こそは観る事をオススメします!
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by Blacksmoker | 2009-06-30 08:54 | ライブレポート

ANTHONY HAMILTON [The Point Of It All]


で、前回のターシャに続いて今度は旦那アンソニー・ハミルトンの3作目「The Point Of It All」

f0045842_13123692.jpg2005年の前作「Ain’t Nobody Worryin’」から4年も空いていますが、その間にもかなりの数の客演をこなしたり、未発表曲を集めたアルバム「Southern Comfort」が出たり、さらには映画「American Gangster」への出演に、そのサウンドトラックへの曲提供、最後は嫁ターシャのデビューなど話題には事欠かかないカンジですが、やはり正式なアルバムとなると俄然期待してしまうのがこの男です(そもそもこの男の声が聴けるだけでいいというファンも多いでしょう)。

そんな稀代のソウルマン、アンソニー・ハミルトンの新作は、名盤だった前作の路線とは若干意匠を変えてきました。
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今回のアルバムを一聴して気付くのは、そのサウンドの違い。前作「Ain’t Nobody Worryin’」はモロに南部路線でしたが、今回は若干サウンドがヒップホップ・ソウル路線。前2作と違って非常に「都会的な」ジャケットも象徴的ですね。前作を期待した人は少々面喰うかもしれません。
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何たって、このアルバムからの1stシングルCoolからして、今までと様相が違います。まるで80年代後半のヒップホップのようなドラムマシンによるビートに、ボトルネック奏法のギターの音の1フレーズをサンプリングしただけという超シンプルな「1ループ」トラック。そして後半にデイヴィッド・バナーの野太いナスティなラップが出てくるという今までのアンソニー・ハミルトンには無い新機軸な1曲です。前作の1stシングルだったCan’t Let Goとはかなり違いますね。しかしアンソニーの声が入るとそれだけで十分魅力的な曲になるのが不思議です。

これ以外にもトラックがヒップホップ・ソウル的なものが多いです。The Day We MetFallin’ In Loveなんて、メアリー・J・ブライジが歌ったらバッチリなトラックですよ。

そもそもアンソニー・ハミルトンという男はレーベルの倒産f0045842_1326837.jpgなどでデビュー作のリリースが見送られてお蔵入りになり、So So Defに移籍して新しく作った1stアルバム「Comin’ From Where I’m From」が大ヒットした経歴がある。そんなアンソニーの見送られたアルバムの内容は「ヒップホップ・ソウル的なもの」だったと言われている。ですので、アンソニーは前2作のディープ・ソウルな泥臭いサウンドを踏襲せずこの新作では、デビュー前のヒップホップ・ソウルな洗練されたサウンドへ向かったことになりますね。

おそらくこれはアンソニーの意向なのでしょう。最近の彼の参加した曲やアーティストを見ると、かなり多彩になってきているのが分かります。カントリー系シンガーとの共演(Josh TurnerJohn Rich)や、ファンク路線の曲などもあります(前作ではレゲエにも挑戦していたし)。
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これは1人のシンガーとしてのステップアップとして捉えるべきでしょう。アンソニーはド渋なディープ・ソウルな曲以外でも、どんな多彩な楽曲も乗りこなす力量も持ち合わせているのです。ただ、どんな曲でもあの声が被されば自然にアンソニー印になってしまうわけですけどね。

しかし、今までと全く違ってしまったかというとそんな事も無く、以前からのファンも納得させられる曲もしっかり収録されているのもニクイ。ホーン・セクションが絡むPlease Stayや、都会的な洗練さとサザン風味が見事に合わさったThe Point Of It Allなどは名曲ですね。ボビー・コールドウェルが歌いそうな若干AOR調なバラードHer Heartも新機軸だがハマっています。
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そしてラストに歌われるのは、このアルバムを聴く人へ捧げるようなゴスペルFine Again。以前のファンも、新しいファンも、さらにはこのアルバムの方向性に違和感を感じている人でさえも、この「きっとまた良くなるさ」と歌われるこの曲に全ての感情を持っていかれる事でしょう。

サウンドは変わってもこの男のスピリットは全く不滅。前2作にも劣らない作品だと思います。

    
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by Blacksmoker | 2009-06-24 13:09 | R&B / SOUL

TARSHA McMILLIAN HAMILTON [The McMillian Story]


この品行方正なジャケット写真。R&Bファンならこのジャケットだけでも買いでしょうが、中身も素晴らしいです!

f0045842_1551923.jpgターシャ・マクミリアン・ハミルトンの記念すべき1stアルバム。R&Bファンなら彼女の名前はアンソニー・ハミルトンの2006年の2ndアルバム「Ain’t Nobody Worryin’」に収録されているPreacher’s Daughterに参加していたシンガーとして記憶している人も多いでしょう。しかし、そのときの名前は「Tarsha McMillian」でした。そして今彼女は「Tarsha McMillian Hamilton」。

そうです、アンソニー・ハミルトンと結婚していたんですね。そして旦那の前面バックアップを受けてリリースされたのがこのアルバム。これがホントに素晴らしいアルバムなのです。

「The McMillian Story」というタイトルから分かるように、このアルバムはターシャだけでなくマクミリアン一家の今までの人生、そしてこれからの未来を歌った非常にパーソナルな内容。インナースリーヴの写真も彼女の子供時代の家族の写真がたくさん使われています(2ページに渡ってギッシリと書き綴られたサンクス・リストの内容も要チェック)。
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Preacher’s Daughterの時は、アンソニーのバッキング・ヴォーカル的な扱いだったので、彼女の歌声の真価はまだ未知数でしたが、今回のアルバムで披露された彼女の歌声はまさしく本物。1曲目を聴いた時はエリカ・バドゥの歌声を思い出しましたが、エリカ・バドゥのように突き放すようなクールさは無く、もっと母性を感じさせる包容力のある歌声で、しかもゴスペル的な要素を持っているのが特徴ですね。

旦那様のアンソニー・ハミルトン(左写真)がバックにf0045842_1620697.jpgついてるだけあって、制作陣も彼のアルバムに関わっている人脈を総動員。プロデュース陣にはアンソニーの前作にも参加しているケルヴィン・ウーテン。さらにアンソニーとは1stアルバムからの付き合いであるジェイムズ・ポイザーアル・グリーンのアルバム「Lay It Down」でも良い仕事をしていましたね)など、一介のインディーズ・レーベル(Mister’s Music)から出た新人シンガーのデビュー盤にも関わらず、その参加メンバーの豪華さはメジャー流通のアーティストのアルバムに匹敵します。

さらにアンソニーに関しては12曲中5曲でバッキング・ヴォーカルで参加。さらにもう1曲の、このアルバムのハイライトとも言えるSilence Killsでは堂々とデュエット相手として登場します。

そしてその豪華参加陣に全く引けを取らないターシャのヴォーカル。
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これがホントに心が洗われそうなほど素晴らしい。凛とした中にも包容力のある優しい歌声。セクシーさはあまり無いですが、その代わりに万人に愛される要素を持っています。徐々に頂点に向かって盛り上がっていく歌い方は、おそらくゴスペル畑の出身と思われます。

実はこのアルバム、個人的に当初前半の5曲くらい聴いた時にあまりピンと来なかったのが正直なところなんですが、ハイライトとなる6曲目のアンソニー・ハミルトンが登場するSilence Kills以降、後半はビックリするくらい曲が素晴らしくなるんです(アナログ盤なら、A面最後~B面に掛けてですね)。

前半は1曲目のニュー・クラシック・ソウルなSecond To Nothingや、初期のエリカ・バドゥを彷彿させるUnconfidential Love、さらにアップなダンスナンバーPraise Him、さらにはディストーション・ギターが炸裂するロック・テイストなReaching Outなどバラエティに富んだ内容なんですが、何か違和感がありました。
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しかし次のSilence Killsで一気にアルバムの空気が変わります。アンソニーとのデュエットでドラマティックに盛り上げるピアノ・バラード。やはりこの男の声は素晴らしすぎます!しかし凄い夫婦ですよね。そして、この次の曲Pressing My Way。これが個人的にはベスト。ハモンド・オルガンの穏やかな音色で始まるサザン・ソウル色全開のゴスペル。この曲を聴いて前半で感じていた違和感の正体が分かりましたね。彼女の声が最も映えるのはこういった南部色の強いゴスペル・ナンバーなんですね。

意図的にそうなのかどうか分かりませんが、後半はゴスペル・ナンバーばかり。9分近いThomas’ Hymnや、Ronald Hubbard(この人は初耳ですね)を迎えたBetter、アコースティック・ギターが優しく穏やかなFrom Me To Youなど、感動的で素晴らしい曲ばかり。どの曲も穏やかに始まりゴスペル・コーラス隊がドラマティックに盛り上げていくサザン・ソウル。ターシャの声が見事と言うしかないほど映えています。

これは是非R&Bファンに聴いて頂きたい作品です。

ちなみに7月に決まったアンソニー・ハミルトンの初来日公演の来日メンバーにターシャの名前がクレジットされてたので、かなりテンション上がったんですが、最近その名前が消えていますね・・・どうなんでしょうか?是非とも一緒に来日して欲しいです!
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by Blacksmoker | 2009-06-17 15:47 | R&B / SOUL

MIKE DOUGHTY @ 梅田Rain Dogs 6/10(水) 2009


Back in 1994. 今から15年前。

BeckG.Love & Special Souce、そしてThe Jon Spencer Blues Explosionなど(当時では)最先端ともいえるジャンルに囚われない雑多な音楽性を持ったバンド達(ヒップホップの感覚を取り入れている所が共通していますね)が続々とシーン登場し、カート・コバーン亡き後にも新しい地殻変動が起こっている事が肌で感じられた1994年。

その同じ1994年にNYから登場したSoul Coughing
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彼らの1stアルバム「Ruby Vroom」(右写真)はその新しい潮流の中でも見逃す事の出来ない素晴らしい名盤でした(今聴いてもその素晴らしさは再確認できf0045842_1572036.jpgますよ)。NYのアンダーグラウンド・シーンならではのアヴァンギャルド感を纏い、サンプリングを多様したサウンド、さらには言葉を詰め込んだラップ調のボーカルのクールさに、ウッド・ベースを使ってジャズっぽさも加味した完全にオリジナルなスタイルを持ったこのSoul Coughing。同世代のバンドの中でもその鋭い感覚は群を抜いていましたね。その後、彼らはアルバムを3作目まで発表しましたが、商業的な成功を収める事はなく、2000年に惜しくも解散してしまいました。

それから9年。何とそのSoul Coughingのフロントマンだったマイク・ドーティが来日してツアーを行うというではありませんか!

Soul Coughing解散以降、メンバーの動向は全くチェックしていなかったんですが、調べてみたら何とマイク・ドーティはアルバム4枚も出していたんですね!
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しかもここ最近2作は何とあのデイヴ・マシューズのレーベル「ATO」からのリリースじゃないですか!完全にノー・チェックでした・・・。でも元気に活動してくれているみたいですね。(日本でも人気のアメリカのTVドラマ「Grey’s Anatomy」にも曲が使われているようで、最近「Grey’s Anatomy」を観まくっている奥さんにその曲を聴いてもらったら、「聴いた事ない」って言われましたけど・・・。)

さてそんなマイク・ドーティSoul Coughing以来の久々の来日。大阪会場はRain Dogsでしたが客は何と20人くらい・・・。前座で5バンドも出ていて、そのバンドのメンバー達も含めて20人なので純粋にマイク・ドーティを観に来た客はおそらく3人くらいでしょう。どうやらSoul Coughingの遺伝子は大阪では死滅してしまっていたようです(泣)。

そこへアコースティック・ギター1本を抱えて登場したマイク・ドーティ。横にはチェロ奏者を1人引き連れています。
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マイクは2008年のアルバム「Golden Delicious」のジャケットの写真よりも太っていて、おまけに髪は無くなっており何か別人のようでしたね。この日はマイクの誕生日だったらしく開演前にいきなりサプライズでバースディ・ケーキが登場。みんなでハッピー・バースディを歌いお祝い。とてもアット・ホームな感じでスタートしました。
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風貌は変わってしまいましたが、歌い始めるとあのレコードで聴いた歌声が健在でまずそれだけで感動してしましましたね。マイク・ドーティの声はホントに素晴らしい。明るく、抜けの良いその独特な声は天性のものですね。声の質感はデイヴ・マシューズに似ていますね。オープンコードで弾くアコースティック・ギターのジャラジャラした音色に、アタックの強いピッキングがビート感を出し、さらにはチェロ奏者とのアンサンブルが完璧で2人なのでとても色彩豊かな音をしていましたね。

ソロになってからの曲は全く未聴だったんですが、サウンドはSoul Coughingの時のようなアヴァンギャルドな音ではなく、もっとアメリカン・ルーツ音楽へ向かっている曲が多いですね。シンプルなんですが、マイク・ドーティの書くメロディが要所で冴える素敵な曲ばかりです。あと独特の言語感覚の言葉を繰返す歌い方はSoul Coughing時代から今でも健在。このヒップホップ以降の言語感覚も彼の特徴の一つでしょう。
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ファンには感涙の懐かしのSoul Coughing時代の曲も披露しつつ(Circlesなんて最高です!)、ソロ曲をしっかり演奏して約1時間のステージは文字通りあっと言う間に終了しました。1曲1曲のメロディが立っているので、どの曲も耳を捉え聴き入ってしまいます。この人のライヴならおそらく2時間でも十分に飽きないで楽しめるでしょうね。やはりこの男のソングライティング力は素晴らしいものがあります。
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Soul Coughingの遺伝子はここ大阪では死滅してしまったかもしれませんが、一人のアーティストとしてのマイク・ドーティの素晴らしさはしっかりと観た人の記憶に残せたんじゃないでしょうか?(20人しかいなかったけど。)

この男、これからも応援していきますよ!私も早速、彼のソロ・アルバムをチェックします。まだ聴いたことない人はSoul Coughing「Ruby Vroom」から聴いてみて下さい!
  
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by Blacksmoker | 2009-06-13 01:48 | ライブレポート

NO AGE @ 鰻谷sunsui 5/25(金) 2009


いや~イメージと全く違うバンドでビックリしましたよ。

2008年にアルバム「Nouns」をリリース以降、絶好調のNo Age
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現在、第2期の黄金期を迎えるSUB POPレーベルの中でもその主力とも言える存在である彼らの来日公演に行ってきましたが、これがこちらの予想を大きく上回るライヴでした。

当初、私が彼らに持っていたイメージは「ノイジィなガレージ・ロックの2人組」というカンジでした。もちろんその「ガレージ・ロック」に関しては予想の範囲だったかもしれませんが、「ノイジィな」というイメージに関しては、こちらの予想を大きく上回る音のデカさ!もう「轟音」です。これが今世間で言われるネオ・シューゲイザーというヤツなんでしょうか?それにしてもこんなに音がデカいとは!前月に同じ場所であったSunn O)))の轟音にも負けないくらいの音のデカさでしたよ。
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さて、ギター&ドラムの2人組のバンドと言われてすぐに思いつくのがThe White Stripes、そして私も大好きなThe Black Keys。彼らのルーツはブルーズだ。彼らの曲にはギターのフレーズにもそのブルーズの要素が多分に見え隠れしますが、No Ageのサウンドにはブルーズ的な要素はあまりない。彼らのルーツにあるのはパンクだ。しかもジャンク的要素も加味しているパンク。グルーヴが完全に縦ノリ。The Jon Spencer Blues Explosionからブルーズの要素を引いて轟音にしたらNo Ageになるかもしれませんね。ギターのランディ・ランドール(写真と違ってかなり太ってました・・・)は思いっきりThe MisfitsのTシャツ着てたし。
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そしてドラマーでありボーカルも兼任するディーン・アレン・スパント。そのか細い体からは想像もつかないシンプルで力強いドラミングは圧巻の一言。一音一音がズシンと重く響きます。ボーカルをとっている時のドラミングは少し単調になるが、それ以外では荒々しく暴れまくりです。そこにランディの耳を劈くほどの轟音ギターが重なりモノ凄いグルーヴを生み出します。とにかくうるさいし、カオス。ポップさを増長した「Nouns」(下写真)の曲でさえもほとんど判別出来ないくらいのカオス度。こいつらの本当の凄さはレコードではなくライヴだという事が実感出来ましたね。彼らのアルバムはあまりずっと聴きまくるタイプのものではないんですが、ライヴを観てからアルバムを聴くとまたその魅力が変わって新しい発見がありますよ。
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2人組バンドとしてはライヴ・パフォーマンスも重要な要素ですが、これももう堂々たるもの。やはり世界各国でライヴしまくって、ライヴ慣れしただけの事はある。観ていて全く飽きさせない激しいパフォーマンス。終盤に披露されたNo Ageの新しいアンセムともいえるEraserではランディが客席に飛び込んでフロアでギターを弾いたり、ディーンがドラムセットを離れてマイクスタンドを掴みボーカルをとったりと、やりたい放題。若さ溢れるフレッシュなライヴが清々しかったですね。
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やはりOmにしてもHellaにしてもLightning Boltにしても、今まで私の観た2人組バンド達はやっぱりレコード以上にライヴが最強です。このNo Ageもそれらのバンドに匹敵するくらいライヴがハンパなく凄かったです。Sunn O)))に続いてまたもや耳鳴りが止まないライヴでした。

No Ageは絶対にライヴで観てみるべきバンドですよ。

  
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by Blacksmoker | 2009-06-10 02:02 | ライブレポート

JIM JONES [Pray Ⅳ Reign]


Balling~!!!

f0045842_8411215.jpgサウス勢が席巻するヒップホップ・シーンに対して、現在のNYのボスからの回答がこのアルバムだ。

ディップセットディプロマッツ)のリーダー、ジム・ジョーンズがメジャー・レーベルに移籍して放つ新作「Pray Ⅳ Reign」はNY復権を唱える入魂のアルバムだ。これを聴けば今NYを統治(Reign)しているのが誰かハッキリするだろう。

そもそも私がこの男を好きな理由はその「ハスリング」ぶり。
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プエルトリカンだけあって血の気も多く、とにかく貪欲。もともとはディップセットの中でも裏方の仕事をやりたかったそうだが、表舞台に出てきた理由というのが「自分の思うスピードで金を稼ぐにはアーティストが一番早い」からだそうだ。恐ろしいまでの正直さが潔くてイイ。ただその貪欲さが災いしてか同じディップセットの盟友キャムロンと対立し、今やディップセットは完全に休止状態(ヘル・レルも昨年離脱)。そして自身が率いるクルー、バードギャングからもマックス・Bピート・ロックのアルバム「NY Finest」にもジム・ジョーンズと共に参加していたのに・・・)が喧嘩別れで離脱と非常に大変な人みたいですね。
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クラブとかでは絶対に遭いたくないジム・ジョーンズですが(ディップセットの連中全員そうですが・・・)、曲は別の話。この男のラップは無骨で味がある。もろにビギー譲りなフローもイイが、その声から感じられるブルージーさがカッコイイ。しかも何か余裕を残してるカンジがまた最高。特に2006年の特大ヒットWe Fly High以降は一段とその余裕ぶりに貫禄が出てきてます。Ballin~!
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そんなNYのボスの新作。コロンビア・レコードの重役に就任したリック・ルービンが億単位のディールで獲得したと言われるだけあって、リル・ウェインT-Painカニエ・ウェストNe-YoAkonが参加した豪華な作り(aka 予定調和な作り)になるかと思いきや、そこはいつものジム・ジョーンズ。ゲスト陣は、ディップセットの盟友ジュエルズ・サンタナを筆頭に自身のバードギャングからNOEメル・マトリックス、そしてシンガーのOshyなど、ほとんど身内で固めています。最近の大物ラッパーのアルバムの中では非常に異質なアルバムです。

ただラッパーとして以上にトレンドセッターとしての役割も彼は忘れてはいません。中でも注目なのは現在も旬なプロデューサーであるロン・ブロウズの起用でしょう。バスタ・ライムスArab Moneyや、カポーン&ノリエガ(CNN)のRotateのヒットで一躍ヒット・メイカーへと躍り出たロン・ブロウズが4曲手掛けています。

まずは昨年から特大ヒットを記録しているPop Champagneでしょう!T-Painの18番「オートチューン使い」を臆面も無く堂々と自分のモノにしてしまったロン・ブロウズ(左写真)。このPop Champagneもオートチュf0045842_8461361.jpgーン炸裂の超強力フロアバンガー!何のヒネリもないどうしようもない歌詞ですが、クラブで聴くと否が応にもアガってしまいます。そして個人的にこのアルバムのベスト・トラックHow To Be A Boss。不穏なストリングスの旋律に猛々しい勇猛なトラックに、ジム・ジョーンズリュダクリスNOEがハスリング・ラップを披露する重厚なシット。マジで何回聴いても鳥肌が立ちます(バードギャングNOEはこのアルバムに5曲も起用されていますが、その声やラップのフローがジェイ・Zにそっくりすぎて笑ってしまいます)。その他にもシリアスなMedicineやアルバム終盤のハイライトとなる重厚だがメロウなRainと、アルバムの中でも最も重要な曲をこのロン・ブロウズが手掛けているのはやはりビジネスマンとしてのジム・ジョーンズの手腕でしょう。

あとはライアン・レズリーを迎えたPreciousと、シンガーのOshyが何と3曲も連続で登場するBlow The BankThis Is For My BitchesGirlfriendが個人的には最高です。そして何よりジュエルズ・サンタナの参加がディップセットのファンなら嬉しいですね。
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最近のヒップホップ・アルバムに顕著なシングル単位での楽しみ方とは違ったアルバム単位で聴ける男汁満載の気合い十分の作品。是非チェックしてみて欲しい!!

   
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by Blacksmoker | 2009-06-06 08:29 | HIP HOP

NEAL CASAL @ Café Martha 4/25(土) 2009


彼の20年にも及ぶ長いキャリアの中でもおそらく最高傑作とも言える新作「Roots & Wings」を引っさげてニール・カサールが約1年振りの来日。前回は東京公演のみだったので、関西には久しぶりです。
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前述したように2009年に入ってリリースされたニール・カサールの15枚目のソロ・アルバム「Roots & Wings」(右写真)は、これまでニールの中でも最高傑作とされていた2006年の「No Wish To Reminisce」を軽く上回る素晴らしい出来でした。カントリーf0045842_19494441.jpg・ロック寄りだった「No Wish To Reminisce」に比べ、今回の新作「Roots & Wings」はタイトル通りよりルーツ音楽色を深めている。ペダル・スティールやバンジョー、そしてハモンド・オルガンといった楽器がよりこのアルバムでは強調されていて(特にグレッグ・リースの弾くペダル・スティールが絶品!)郷愁的な音色がとても心地良くなっていることに加え、やはり一番の変化は曲が良くなっていることですね。1曲1曲がそれぞれ独立した輝きを持ったものになっているのが、このアルバムが最高傑作と呼ばれる理由でしょう。

この変化の理由は、もちろんライアン・アダムス(下写真)からの影響に他ならない。
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ライアン・アダムス率いるザ・カーディナルズニール・カサールがギタリストとして加わってから、ライアン・アダムスの音楽性が明らかに素晴らしく変化したように、このニール・カサールライアン・アダムスからの影響を受けているのが分かります。曲作りに関しても、前作と比較してみるとよく分かるんですが、全体的にそれぞれの曲が30秒程短くなっていて、余分な中だるみを省いたタイトなものになっていて、これが非常に聴きやすさが増している原因です。さらにニールのヴォーカル自体も表現力が広がっていて、時折ライアン・アダムスのような歌いまわしが顔を出すところなんて思わずニヤリとしてしまいますね。

さて今回のアルバム・リリースに伴うツアーは日本全国の小さなクラブを廻るツアーで、ここ大阪の会場は阿波座にあるCafé Marthaという小さなカフェ。ライアン・アダムス & ザ・カーディナルズのツアーでは5000人規模のホールを常に満員にしているだけあって、こんな小さなカフェでゆっくり観れるのは逆に良い事ですね。ライヴは二部構成になっていて、第一部はニールのアコースティック・ギター1本の弾き語り。第二部はベースとピアノを加えたバンド・セットという構成。
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まったく飾らない風貌で登場したニール・カサール。1曲目は新作からのTomorrow’s Sky。生で観て更に分かるのがそのヴォーカルがライアン・アダムスのヴォーカルを彷彿させる事。裏声になるところなんて、ライアンの声そのものに聴こえます。やはりこの2人はお互いに影響を与え合っているんだと改めて実感しましたね。決して真似してるというカンジではなく、あくまで自然な形でお互いの良い所を取り込んでいる。

横に置いた日記帳のような手帳(おそらく歌詞が書いてあるとおもわれる)をペラペラめくりながら、新作からのナンバーを披露。やはり新作の曲はとてもイイですね。
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第二部からは日本人のベースとピアノを迎えたバンド・セットだが、このベーシストというのがサニーデイ・サービス(祝復活!)の田中貴。そしてピアノとコーラスは前回のツアーにも参加したという女性。新作での音をピアノの音で代替したバンド・サウンドになっていました。個人的には新作でのペダル・スティールの音がとても気に入っていたので、新作から披露されたナンバー(特にSignals FadingChasing Her Ghostといった曲の)のペダル・スティールの音が聴きたかったですが、そこはピアノの音にアレンジし直されてたのがちょっと残念でしたが・・・。
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そして新作の中でも私の最も好きなThe Cold & The Darknessニールの数ある名曲の中でも個人的に最上の名曲だと思います。歌詞やサウンドともに感動的な曲なので、この曲が聴けたのは今回のライヴの個人的に最大の収穫といっても過言ではありません。それ以外には前作からのYou Don’t See Me CryingTraveling After Darkなども披露してくれていましたね。曲中のMCも非常に丁寧で真摯。彼の人柄の良さが滲み出ていましたね。
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それにしてもニール・カサールのシンガー・ソングライターとしての資質が十分に堪能出来るライヴだったと思います。ルーツ系のシンガー・ソングライターの中でも個人的には頭一つ抜けた存在になりましたね。全く派手さはないですが、何年経っても色褪せない曲を書くアーティスト。素敵ですね。

さて次の来日はニールの単独なのか、ライアン・アダムス&ザ・カーディナルズとしての来日なのか、どっちでしょうか?

 
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by Blacksmoker | 2009-06-02 18:11 | ライブレポート