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CHURCH OF MISERY [Houses Of The Unholy]


Let There Be Doomed!!

結成13年。日本の最高峰ドゥーム・バンドChurch Of Miseryは、いつの間にか世界最強のキング・オブ・ドゥームになっていました。
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彼らのライヴを初めて観たのは確か2007年のElectric Wizardの前座の時でした。メインのElectric Wizardも凄かったですが、Church Of Miseryにもマジでブッ飛ばされましたね。70年代から時代が止まっているような出で立ちのメンバーが繰り出すBlack Sabbathを10倍くらい増強させたような超強力なドゥーム。そこに邪悪なシャーマンのように観客をドゥーム曼荼羅へと誘導するVo.のHideki Fukasawaのパフォーマンスに瞬時にフロアは暴動状態に陥ったのは今での鮮明に覚えています。

それ以降何度か彼らのライヴを観ましたが、どんどんヤバくなる彼らのパフォーマンスに完璧にブチのめされましたね。特にVo.の存在感は、15年くらい前に観たCathedralのフロントマン、リー・ドリアン並みのカリスマ性がありますね。

f0045842_15404680.jpgそんなChurch Of Miseryの5年振りとなる新作「Houses Of The Unholy」。前作「The Second Coming」以降もEPやスプリットなどアナログ盤でのリリースが続出で久しぶりな感覚はありませんが、意外にも5年振りのフル・アルバム。これが全てのドゥーム・ファンを完膚なきまでに叩きのめす超強力盤。現存のロック・バンドの中では現時点で最高峰のドゥーム・アルバムです。遂にChurch Of Miseryは、TroubleCandlemassSaint VitusThe Obsessedなどの偉大なる伝説の先達と並ぶドゥーム・バンドになったと言えるでしょう。失禁しそうなくらいカッコイイです!

今回は何とRise Aboveレーベルからのリリース。Rise Aboveと言えばCathedralリー・ドリアンが主宰するドゥーム・レーベル(実は20年も前から運営されている!)。最近でf0045842_15485648.jpgOrange GoblinWitchcraftFirebirdなどの若手ドゥーム・バンドから、Electric Wizardといったレジェンドや、さらにはあのMossまでもリリースしており、ドゥーム・ファンにとっては現在最も信頼の置けるレーベル。そんなRise Aboveからのリリースというだけでも期待が高まるが、今回のこの「Houses Of The Unholy」Rise Aboveのカタログの中でも最高峰の一枚になるでしょう。

まずはもうお馴染みの殺人鬼ジャケットですが、今回のジャケットも強烈。何と1920年代~30年代にかけてアメリカを震撼させた連続殺人鬼アルバート・フィッシュの写真なのです。しかもその写真がジャズのBlue Noteレーベルの名盤ジャケットを模倣したアートワークになっています(ご丁寧にもRise AboveのロゴまでBlue Note風!)。アルバムの中にはアルバート・フィッシュの別名を冠したThe Gray Manという曲まであります。筋金入りです。
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さて、アルバムの方はもう1曲目El Padrinoのヘヴィなギターと歪みきった重低音ベースから繰り出されるリフからもう既に神の領域に達しています。そこに憎悪を放出しまくる凶悪なヴォーカルが乗り禍々しいグルーヴを生み出します。最近観たライヴでもこの曲を必ずオープニングに持ってきているだけあって、自信漲る強烈な一撃です。9分近い長さがあっという間ですね。

全曲を通してこの禍々しいグルーヴの連続。特にギターのリフのカッコ良さに関しては最近では随一。さらには全ての曲と歌詞を作っているのがベーシストなのでベースの目立ちっぷりもハンパないです。そして叫ぶだけでなくブルージーさも兼ね備えたヴォーカルの圧倒的存在感も凄いです(Corrosion Of Conformityペッパー・キーナンの声をもう少し凶悪にしたカンジですね)。
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そして今回も曲ごとに人類史上最も残忍な凶悪殺人鬼達の歌が歌われていきます。

ショットガン乱射殺人鬼ジェイムズ・オリヴァー・ヒュバーティを歌ったShotgun Boogie、更には猟奇殺人鬼リチャード・トレントン・チェイスを歌ったBlood Sucking Freak、そして連続強姦殺人鬼リチャード・スペックの腕のタトゥーの文字を冠したBorn To Raise Hell、そしてネブラスカの連続強盗殺人カップル、チャールズ・スタークウェザーキャリル・フューゲイトを歌ったBadlandsブルース・スプリングスティーンも自身の曲Neblaskaで彼らの事を歌っている)など、凶悪なオーラを放つ禍々しくも危険なサウンドです。聴いていると精神のタガが外れてくるんじゃないかと思ってしまいますよ。
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現時点では間違いなく最凶のドゥーム・アルバム。覚悟して聴いてみて下さい!

しかし、こんな凄いアルバムを創っていながら何とアルバム完成直後にヴォーカルが脱退!現在ヴォーカルを探しているみたいです。果たしてあんなカリスマ性のある人物が見つかるんでしょうかね?

 
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by Blacksmoker | 2009-07-16 00:13 | ROCK

BRUTAL TRUTH [Evolution Through Revolution]


グラインドコアの神、再び降臨。

f0045842_021434.jpg2006年に再集結を果たし、翌2007年には「Extreme The Dojo Vol.17」で来日し壮絶なパフォーマンスでグラインドコア・ファンを捻じ伏せてくれたBrutal Truth。長く待たれていた新作が遂に登場です。

1997年の「Sounds Of The Animal Kingdom」以来、12年振りとなるこの新作。正直聴く前はこの12年ものブランクを克服出来るのか心配していましたが、こちらの心配など一撃で粉砕してしまう凄まじい出来です。完全に甘く見ていました・・・。
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タイトルは「Evolution Through Revolution」―「変革の後の進化」。これは紆余曲折を経てBrutal Truthが辿り着いた新たなる到達点。恐ろしいまでのパワーと、恐ろしいまでの怒りや憎悪のエネルギー、そしてちょっとだけのユーモアを凝縮したこのサウンドはヘヴィさを標榜する凡百のバンドを軽く蹴散らしてくれるでしょう。とにかく究極に壮絶な作品です。
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今回の新作は、グラインドコアの金字塔とも言える「Sounds Of The Animal Kingdom」(そういえば2004年に芥川賞を受賞したモブノリオ「介護入門」の中に、大音量で”Brutal Truth”の”Sounds of the Animal Kigdom”を22曲目まで聴かせてやろうという一節が出てきますね。ちなみに24曲目の方がヤバイです!!)のRAWで荒々しいパワーと、コリン・リチャードソンのプロデュースした「Need To Control」でのキレのあるメタルの整合感の両方を融合させたような新たなる次元に突入しています。

1曲目Sugar Daddyから、もう即死。アドレナリンが出まくって、全身の血が沸騰する程ヤバイ事になっています。

何よりも凄いのはリッチ・ホークのドラム!
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前回紹介したAgoraphobic Nosebleedは「人間の限界を超えた速さのドラム」を表現するためにドラムマシンを導入していますが、はっきり言ってAgoraphobic Nosebleedのドラムより速いです!Agoraphobic Nosebleedは一聴すると機械とは思えないドラムに驚愕しますが、それとは逆にこのリッチ・ホークのドラムは一聴すると人間技なんて全く信じられないです。速すぎます。どうやったらあんな細い体からこんな人間技を超えたドラムが叩けるんでしょうか?リッチ・ホークBrutal Truth以外にやっているTotal Fucking Destructionでもそれはそれは凄絶極まりないドラミングが聴けますが、やはり本業Brutal Truthでは気合いの入り方が違います。そして、やはりBrutal Truthにはこの男のドラムしかありませんね。ちなみに今作のマスタリングを担当しているのが、前述のAgoraphobic Nosebleedの頭脳スコット・ハル。彼はリッチ・ホークのこのドラムを聴いてさぞ悔しかったに違いない。

ヴォーカルのケヴィン・シャープ(下写真)は以前よりも低い声になっていますが、咆哮のキレ具合は相変わらず尋常ではないです。
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全20曲。ほとんどの曲が1~2分の超濃縮型激烈グラインドコアの嵐(ただその中には、わずか5秒で終了するGet A Therapist…Sare The WorldというNapalm Deathへのオマージュみたいな曲があったり、Melvinsのようなミドル・テンポのスラッジのような曲があったりもしますが)。全て聴き終える頃にはグッタリです。
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これはまさしく「グラインドコアの神による、グラインドコア・ファンの為の、グレイト過ぎるグラインドコア・アルバム」です。一家に一枚のマスト盤。

ちなみにファン以外は絶対に手を出さない方が良いでしょう。
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by Blacksmoker | 2009-07-13 00:07 | 極北

AGORAPHOBIC NOSEBLEED [Agorapocalypse]


スコット・ハルという男をご存知だろうか?

Anal Cuntのギタリストであり、現Pig Destroyerの中心人物である奇才ギタリストだ。ちなみに自身のソロ・アルバムでは、それらの常軌を逸した音楽とは全く違うアンビエントなラウンジ・ミュージックを見せるグラインド・コア界の鬼才とも言える。

f0045842_045928.jpgそんなスコット・ハルのバンドの一つでもあるこのAgoraphobic Nosebleed。その新作「Agorapocalypse」がマジで凄い(いや、毎回凄いんですが、今回は特に凄い!)

スコット・ハルの数あるプロジェクトの中で、このバンドの特徴はその「速さ」だ。このバンドの目指すのは「限界を超えた速さのグラインド・コア」。その速さはもう人間の力では実現出来るものではない為(噂ではBPMは1,000以上あるとか!)、マシンドラムを使用しており、ドラマーはいないのです。そしてその速すぎて判別出来ないくらいの超高速ブラストビートに合わせて渾然一体となって襲い掛かる叫びっぱなしのヴォーカル。そして速すぎる展開を見せる殺傷力抜群のギターとベース。もう聴くだけで相当の体力を要します。
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そんなAgoraphobic Nosebleedの7年振りとなる新作。7年振りと言ってもEPやらスプリット盤やらを多発しているので、全く不在感はないですね。そういや2005年にリリースされたシングルや未発表曲を集めたEP「Bestrial Machinery」は2枚組で136曲収録という凄いインパクトでした。(あと、スコット・ハルが編集した反ファシストの為のグラインド・コアのコンピレーション「This Comp Kills Fascists」も壮絶で必聴!)

さて今回このAgoraphobic Nosebleedは、バンド編成、そしてサウンドともに多少の変化があります。まずは新メンバーに女性ヴォーカルが加入した事!何とツイン・ヴォーカル体制になったのです。Salomeというバンドで活動するKatherine Katという女性なんですが、写真で見たらたまげました。
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ブロンド・ヘアーのあどけなさが残る少女じゃないですか!!見様によっては未成年じゃないかと思えるほどです。こんな女性がAgoraphobic Nosebleedみたいなバンドに入っても大丈夫なのかと思いましたが、一聴して納得。杞憂でした。もう1人のヴォーカルを喰うくらいの怖ろしいスクリーム&グロウルにケツを蹴り上げられますよ。他のヴォーカルとどう違うのかと聞かれても、全く同じ系統なんでそんなものは良く分かりませんが、この代わる代わるに吼えまくられる様はもう拷問のようです。
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さらに今回はサウンド面でも変化があります。BPMを限界まで速める事を命題にしていたこのバンド。今回はBPM1500くらいまで行くんじゃないかと想像していましたが、予想に反して今回はBPMを落としてきました(それでも一般のグラインド・コアと比べても十分に速いんですが・・・)。今までは正直言うと、BPMを上げ過ぎることによって少し単調感が出ていたことは否めなかったので、この部分を改善して楽曲としての完成度を高める方向にシフトしたのかも知れません。今まで1曲20秒くらいの曲ばかりだった彼らが今作では2~3分の曲が中心になっています。曲数も13曲という最も少ない曲数です。

しかし、この変化が大正解

まず1曲の中で展開を持たせることで単調感を払拭し、さらに鬼のように鋭く殺傷力のあるギターリフの多様さが今までで最も光ります。アルバムとして最後までしっかりと飽きずに聴ける点に於いて、更に楽曲のカッコ良さという点に於いても、今作はAgoraphobic Nosebleedのアルバム中で最も素晴らしい出来でしょう。
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そして毎回驚くのですが、このマシンドラム。プログラミングに相当な時間を掛けているのが、聴いていてよく分かる程、技の多いドラミング。バスドラが速いだけでなく、シンバルやハイハットのヒット音、さらにはタム回しやら技があまりにも巧妙すぎて人間が叩いているとしか思えません!曲の途中でドラム・ソロが登場する曲があったりもして、全く機械だとは考えられません・・・。凄いです。

もうこうなるとPig Destroyerとのサウンドの違いが分からなくなってきそうですが、まあそんな事はどうでも良いくらいのブチ切れまくったサウンドです。素直に楽しんで、この激烈なサウンドに圧殺されるのみでしょう。
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by Blacksmoker | 2009-07-09 00:38 | 極北

Atom™ @大阪ワールド・トレード・センタービルディング展望室 6/13(土) 2009


傑作「Liedgut」をリリースしたばかりのドイツ人エレクトロニック・ミュージシャンAtom™、またの名をアトム・ハート、そしてまたの名をセニョール・ココナッツ

f0045842_14581.jpgいくつもの名義を使い分け多作な彼が、あの「Raster-Norton」からのリリースという事でAlva Notoのような一切の人間的感情を排除した硬質なエレクトロニクス・サウンドが展開されるのかと思いきや、その新作「Liedgut」(左写真)のサウンドは予想外にも、今までの現代エレクトロニクスの歴史を俯瞰したような様々な要素(Alva Notoはもちろん、OvalFennesz、さらにはJeff MillsAphex Twin、さら遡ってKraftwerkまでも!)を持ち、それらが「ポップ」という文脈でも見事に結実した傑作でした。

そんなAtom™の来日公演。場所は大阪南港にそびえ立つワールド・トレード・センタービル(WTCコスモタワー)。その最上階55階にある展望室が今回の会場だ。エレベーターで52階まで昇っていき、そこから40mの長さのエスカレーターで上がって行くとその先に現れる展望室。地上252mのその空間は360度全面ガラス張り
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眼下に大阪の夜景が広がるという風景は、まるでバブル期の名残りを若干感じさせますが、その様子はまるで「天空の城」です。そんなありえない非日常的空間でAtom™のライヴが観れるなんて嬉しすぎます。

さて現れたAtom™はバッチリと黒いスーツに身を包んだ出で立ち。機材の置かれた卓の前に佇む姿はまるで「1人Kraftwerk」。
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機材もシンプルにTenori-OnMPC、そして足元にはペダル2個のみ。

そして、そこから出される音は最新作「Liedgut」とは全く違ったスピード感溢れるダンサブルな音。Atom™というより、アトム・ハート的な音ですね。

面白いのはステージの両側に配置されたスクリーンの映像。
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左側のスクリーンには音とリンクして不思議な動きをする映像(ビートのキックに合わせて映像が変化したりする)が映し出されていきます。そして逆の右側のスクリーン。こちらには真っ黒いバックに緑色の電光の文字列が映し出されている。一見するとパソコンのプログラミング画面のように見えるが、よく見ると徐々に文字列が変化していっています。

これは何と操作パネルの画面をそのままスクリーンに映し出しただけなんですね!
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要するにAtom™が今、手元で操作している機材の画面がリアルタイムで映っていたのです。イコライザーやエフェクターやピッチ、そしてドラム・パターンなどを変化させていく画面だけを見せるという「視覚的に全く面白くないもの」を逆に視覚的に利用し、逆に現代のエレクトロニクス機材の最先端インターフェイスである視覚効果抜群のTenori-Onを、全く視覚的に演出せずに音のみで使用するなんて、何て使い方!!この逆転の発想に度肝を抜かれましたよ。
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無表情でほとんど動きを見せないAtom™のライヴが視覚的にここまで楽しませてくれるものだとは予想外でした。しかも大阪の夜景が眼下に広がるこんな場所で行われているというパラドックス!

ライヴの方はBPMを定期的に変化させながら、終始Tenori-OnMPCのみで作られたサウンドだけで通し切っていく姿には神々しさすら感じましたね。そしてそれが場所の非日常感とも融合して、とても奇妙な磁場が作られていましたよ。
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今年観た中では奇抜なアイディアと音楽、そして非日常的な空間も相まって最もファンタスティックなパーティだったと言っても間違いないです。そしてこの会場は是非もう一度行って見たい場所ですね。

あとAtom™が気になった人は、新作「Liedgut」が素晴らしいので是非聴いてみて下さい!

  
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by Blacksmoker | 2009-07-03 00:39 | ライブレポート