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BOREDOMS in BOREDRUM @名村造船所跡地 10/3(土) 2009


2007年7月7日に77台のドラム、そして2008年8月8日には88台のドラムでもって行われたBoredomsによる「BOREDRUM」公演。このまま2009年には「99台か!?」と思われましたが、今年は9台のドラムによってAll Tomorrow’s Partiesで披露されたようです。

今までの「BOREDRUM」はアメリカで開催され日本で観ることは出来なかったのですが、今回初の日本披露となる「BOREDRUM」がここ大阪で開催されました。場所は、住之江区の名村造船所跡地。昨年に同じ場所でZettai-Muの13周年記念イベントでV∞REDOMS名義でのライヴが行われましたが、今回は「NAMURA ART MEETING '04-'34 名村造船所跡地30年の実験 vol.03 起程Ⅱ~海路へ臨む祭礼」というイベントの一環として行われるもので、これは既に廃墟となった名村造船所をアートの拠点として発展させていこうというイベントなのです。よってヤノベケンジによる作品「ラッキードラゴン」(被爆した第五福竜丸からネーミングされてる)と、水都2009でも話題だった「ラバーダック」(わざわざ会場まで運んできたようです)などアート作品が並べられており、かなり特異な空間になっていましたね。
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さて、その「ラッキードラゴン」と「ラバーダック」に挟まれた場所が今回のステージ。Studio Partitaの入り口にある赤い鉄骨で組まれた倉庫のような場所で、ほぼ野外ステージと言っても差し支えないでしょう。

ステージには既にドラムセットが並べられており、その数は8台。直前の情報でドラマーの1人であるHellaザック・ヒルが来日中止になっていたので、9台から1台引いた形ですね(ザック・ヒルは次の日にある予定だったソロ・ライヴも楽しみにしていたのに残念!)。

定刻になりメンバーが6人登場。EYEはいつものように真ん中に立ち他の5人がドラムセットに座ります。そしてEYEの合図で5台のドラムのシンバルが一斉に鳴り響きます。野外だけあって音が反響せずに拡散し、その音が「」の音のようにも聴こえます。
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そしてYoshimiのドラムを合図に他の4人のドラマー達が同時にタムをヒット。「ズドン!」という途轍もない低音が会場に響きます。今回ちゃんと観て気付いたのですが、このドラムを叩くタイミングはYoshimiのドラムに他のドラマー達が合わせているんですね。だから他の4人はYoshimiの一挙手一投足を凝視していましたね。ここは凄い緊迫感でした。

そのドラムのパフォーマンスを観ていると、会場後方が騒がしくなり、振り返ると神輿に担がれたドラムが登場!
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これは昨年観たライヴの時も同じように神輿に担がれたドラムが登場しましたが、今回は何と2台で登場!!
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昨年のライヴの時はフロアが人でパンパンで、押し合いでもう大変な騒ぎになってましたが、今回は会場の人数は意外に少なかったので(そういやこのイベント、あんまり大々的に宣伝してなかったですね)比較的落ち着いていましたね。

そして担がれたドラム2台が、今度は客席の中央で時計回りに回転し始め、それに呼応してステージ上の5台のドラムもどんどん大きな音になり、かなりのカオス度。いや~毎回毎回Boredomsにはホント驚かされますね。
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そのパフォーマンスが終わり、ドラマー2人がステージに加わり、さらにはEYEまでもソラムキットに座り、ドラム8台の共演!!凄い迫力です。昨年のドラム4台の時よりも破格の破壊力ですね。

EYEはその後すぐに中央のブースに戻り、もう一人のドラマーのDMBQ増子さんもエフェクターボードに移り、ドラムは左右に3台づつ配置された6台に。
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その後はほぼ最後までノンストップでしたが、昨年観たライヴと大きく違ったのはそのライヴの構成力。昨年は中盤で少し中だるみした所もありましたが(ドラムが2台になるトコとか)、今回はかなり「見せる」力が格段にグレードアップしており、随所に様々な展開を盛り込んでいて、最後まで全く飽きさせない構成になっていたのはさすがでしたね。
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Boredomsの音源でもよく耳にするオープンリールのテープ逆回転が生で観れたり、ゴリラのように叫び声を出すEYEのヴォーカル・パフォーマンスなどかなり視覚的にも面白い。
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Boredomsに当てはまる言葉ではない気もしますが、より「エンターテインメント性」を増していたと言ってもいいでしょう。そういやSuper Go!!!Acid Policeのフレーズも飛び出してましたね。
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さらに陽も暮れて辺りが暗くなってくると(古来より祭というものは夜始まるのです!)、ステージの音に合わせて今度はステージの横の港に泊まっていたヤノベケンジの「ラッキードラゴン」が、突如として炎を吹き始めステージも観客もさらにヒートアップしてましたね。
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ステージだけでなく周りのものも含めて凄いパフォーマンスを見せてくれました。時間にすると1時間少々という短いパフォーマンスでしたが、あの場にいなければ分からない空気感も含めて、充分過ぎるほど堪能させてもらいましたよ。

個人的な見解ですが、今回のパフォーマンスでBoredomsの「Boredrum」は一段落を迎えたんではないでしょうか。おそらくこの後もさらに進化したパフォーマンスでこちらの度肝を抜いてくれるであろう彼らの次のステージが楽しみですね。
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さて、このイベントはこの後も高木正勝のライヴや、ヤノベケンジの新作「黒い太陽」のパフォーマンス(ライヴを終えたBoredomsのメンバー達も見に来てました)やら最後までかなり面白いイベントでしたね。来年も期待してます!
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by Blacksmoker | 2009-10-28 23:00 | ライブレポート

映画「O Mistério do Samba」


現在、大阪の西九条シネヌーヴォーで行われている「ブラジル映画祭2009」(ちなみに東京は終了し、大阪は明日16日まで)。そこで日本初上映となる映画「O Mistério do Sambaミステリー・オブ・サンバ ~眠れる音源を求めて」を観てきました。
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マリーザ・モンチが共同プロデュースを務めたこの映画。これは、1998年から2007年の9年間にマリーザ自身がブラジルのリオ市の北西部にある街「オズヴァルド・クルス」にある最も伝統のあるサンバ・チーム(エスコーラ・ヂ・サンバ)の「ヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラ」を訪れて、彼らの作ったサンバの中でも未だに録音されずに埋もれたままになっているサンバを録音しレコードに残そうというプロジェクトを追ったドキュメンタリー映画です。ブラジル音楽ファンにとっては、素晴らしく美しいシーンの連続で感涙の映画ですね!熱心なファンでなくともブラジル音楽に少しでも興味のある人は観ておいて損はないでしょう。

そもそも、この映画の存在は最近まで全く知らなかったのf0045842_9442742.jpgですが、これによって2000年にリリースされたヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラのアルバム「Tudo Azul」(右写真:日本盤オリジナル・ジャケット)をマリーザ・モンチがプロデュースしていたこと、そして2006年にリリースされたマリーザの2枚の傑作アルバムのうちの1枚「Universo ao meu redor/私のまわりの宇宙」がサンバ・アルバムだったことの理由がようやく分かりましたね。このプロジェクトがその2つを繋ぐミッシング・リンクだったのです。

さて、このヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラは、1926年結成というとてつもなく長い歴史を誇るエスコーラ。それゆえに初期の中心的メンバーはここ数年で相次いでこの世を去っているが、現在の主要メンバーであるモナルコ(ちなみに彼の息子のマウロ・ヂニスはマリーザの2007年の来日公演でバック・バンドのメンバーでした)や、カスキーニャらを中心にいまだその勢力は健在だ。その彼らや、さらにはヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラのメンバーでもあり、その後「サンバの貴公子」とも言われる天才サンビスタのパウリーニョ・ダ・ヴィオラのインタビューを中心に、このオズヴァルド・クルスという街に根付くこの美しいサンバの生い立ちが次々と語られていく様は、非常に興味深く、観るものの心を捉えます。
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そして全編に渡って登場するマリーザ・モンチのサンバに対する真摯な姿勢にも目が行きます。実はマリーザは父親がヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラの役員を務めていたこともあり、幼少の頃から彼らのサンバが身近にあったらしいですね。そもそもマリーザはデビュー・アルバムでも、カルトーラの作曲したサンバを取り上げていたし、続く2ndや3rdアルバムでもこのヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラのメンバーと共に録音したサンバを収録している。特に3rd「Verde Anil Amarelo Cor de Rosa & Carvão/ローズ & チャコール」でラストを飾るEsta Melodiaは素晴らしいです。
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当初はミュージシャンでもなく、普通に大工など仕事をしていたというヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラのメンバー達の様々な話は、酔っ払いの昔話のようでもあるが、自由奔放な男達のなかなか魅力的なエピソードばかり。

しかし、この映画で本当に語られるべきは、この男達を支える奥さんら女性達の力強さでしょう。
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どちらかと言うと勝手気ままな男達を、呆れながらもしっかりと支える彼女達がいなければ、この地のサンバはなかったと言っても過言ではないでしょう。単純な恋愛だけでなく、失恋相手への怒りや、妻への謝罪、人生訓など様々な感情が込められた魅惑的なサンバは、やはり女性という存在があってこそなんですね(あとマリーザと共に共同で監督を務めるカロリーナ・ジャボールが女性という事も関係しているかもしれませんが)。

そして個人的なハイライトは、既に亡くなった初期のメンバーのマナセーアの家でマリーザが未発表の歌詞やテープなどを発見し、「これは宝物を発見したわ!」と興奮するシーン。家族の結構ずさんな管理状態も凄いが、こうやって歴史から抹消されるところだった曲が救出される様子はほんと感動的ですね。

最後は、ヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラのメンバーがマリーザと共に歌うEsta Melodia
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前述したようにマリーザの3rdアルバム「Rose & Charcole」にも入っているこのサンバが歌われるシーンは壮観ですよ。

そしてこの映画の全編に渡って漂っているのは、この街のサンバに対する深い愛情です。とある街角でサンバを演奏するメンバー達を見て、たまたま通りかかったお婆さんがその音に合わせてステップを踏むシーンなんてホント最高です。いかもこの街にサンバが根付いているのかが分かりますね。エンドロールで流れる演奏でももうお爺さんお婆さんにもなる人達が踊り始める姿は微笑ましいですね。
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このオズヴァルド・クルスに住む若者達が抱くサンバ感というものも聞いてみたかったりもしますが、やはり伝統というのは大事にしていかなければいけません。テープレコーダーも存在しなかった時代から口承文化として受け継がれてきたこの美しいサンバの名曲達が形として残り、こうやって現代に生きる私達の耳に届くという歴史的意義は非常に大きいです。マリーザのこういう高尚な意識を持った姿勢にもリスペクトです。
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観終わった後に、清涼感を感じつつも、何か心の中が熱くなるような映画でした。映画を観る前にレコード屋でマライア・キャリーの新作を買ってしまった自分が少しだけ恥ずかしく思えてしましました・・・。
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by Blacksmoker | 2009-10-15 09:31 | 映画

MISHRAS @ 住吉区正覚寺 9/12(土) 2009


インドの大御所シタール奏者Pandit Shivnath Mishraの奇跡の来日。
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さらには彼の息子であるシタール奏者Deobrat Mishraと揃って「Mishras」としての来日。そしてその公演場所は、何と大阪市住吉区の下町の一角に佇む正覚寺というお寺。江戸時代より約300年間大阪の江戸掘に居を構えていたが、第2次世界大戦の影響で昭和17年より現在の住吉区へ移したこの寺は、本堂と座敷は江戸掘の伽藍をそのまま移築しているそうです。

その本堂の照明が消され、キャンドルの灯だけが揺らめいている様はかなりスピリチュアルな雰囲気。しかもその日は雨が降っており、その雨の音がまたこの雰囲気にめちゃくちゃハマっていてかなり幻想的。完全にその空間だけ時間が止まっているような感覚に陥ります。
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開演前に今回の主催者の人(イベント「おとのたび」の主催者)と話したのですが、何でもMishrasは前日に京都のとんでもなく山奥にあるお寺で公演したらしく、こちらもかなりスピリチュアルな雰囲気の場所だったみたいです。

そして定刻より一時間半以上も遅れてMishrasの登場(あまりにも時間の流れがゆっくりなので、気にならなくなっていましたが・・・)。一曲
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目はラーガの中でも有名なKirwaniでしたね。そういえば今までにCornershop岡野弘幹with天空オーケストラなどシタールを導入したバンドのライヴ
は観た事がありますが、こういったシタールだけのライヴは初めて。当初は眠ってしまうんじゃないかと思ったりしてましたが、全くの杞憂。

はっきり言って、これは「ジャズ」ですね。
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演奏が進むにつれて、若く躍動感のある演奏を見せる息子のDeobrat Mishra(まだ33歳)と、全く無口で眼光の鋭いレジェンドの父親Pandit Shivnath Mishra(66歳)による余裕の安定感を見せるシタールのせめぎ合い。さらにそこへDeobratの甥であるタブラ奏者Prashant Mishra(何とまだ16歳!)も加わってMishra家三代による壮絶なバトルとも言うべきシタールとタブラの応酬がスリリング過ぎます。ヒーリング的なものを期待すると、完全に裏切られるかなり壮絶な演奏でしたね。ヨーロッパではジャズ・フェスティヴァルにも出演しているというのも納得出来ますね。Pandit Shivnathの演奏もどんどん白熱して動きがアクティヴになってきます。
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ちなみにこの若きタブラ奏者Prashant Mishra君(下写真)はインドでは「Nextザキール・フセイン」と称される超天才少年だそうです。あどけない姿に油断するとぶっ飛ばされるくらい凄い演奏でしたね。終演後に彼と喋ってたらタブラを叩かせてくれたりとイイ奴でした。ザキール・フセインについてはHe’s a monster!!と言って、かなりリスペクトしている様子が窺えましたね。
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1時間くらいこのラーガを演奏。Deobratによると、インドでは普段は1つのラーガで3時間くらい演奏しているそうですね。そうする事によってラーガの形が見えてくると言っていました。3時間とは凄い・・・。

休憩を挟み、第二部。Deobratによって歌われる歌は、バラナシに伝わる伝承歌。これがホントに美しい歌声。眼光の鋭い父親も機嫌が良さそうです。
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さらにはそのPandit Shivnathの作った人類平和の歌の静かで穏やかな美しさは筆舌に尽くしがたく、ホントにこれなら3時間くらい演奏してもらっても全然構わないと思いました。

結局、休憩を含めて3時間近く演奏。静かに始まり、中盤から白熱してきて、ピークを迎えた後は静かに穏やかに終わっていくという1つの壮大なストーリーを見せられているようでした。
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まさにクンダリーニ。生で体感するとその素晴らしさは格別です。さらにはお寺という完全なる異空間、そして雨音の中という自然界の見事な演出が、この公演を忘れられないものにしてくれましたね。
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インドの伝統音楽の素晴らしさと奥深さを体感させてくれたMishras。インド音楽というのは、まだまだ全然詳しくないのですが、これを機にいろいろと勉強していきたいですね~。

   
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by Blacksmoker | 2009-10-05 00:43 | ライブレポート