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DANIEL JOHNSTON @ 心斎橋クラブクアトロ 2/10(水) 2010


2003年の初来日公演以降、ダニエル・ジョンストンはどんどんポピュラリティを得ている。
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翌年2004年にはトム・ウェイツThe Flaming LipsMercury Revベックなどインディー・ロックの錚々たる面子が集結したダニエルのカヴァー・アルバム「Covered Discovered: The Late Great Daniel Johnston」がリリースされた事、そして2005年に公開されたドキュメンタリー映画「悪魔とダニエル・ジョンストン」が決定打となったと言って良いでしょう。さらに2006年にはSparklehorseマーク・リンカス(R.I.P.)がプロデュースしたオリジナル・アルバム「Lost & Found」もリリースされ、2007年にはイラスト/アートワーク作品集「Hi,How Are You?」も発売、2009年にはジェイソン・ファークナーがプロデュースを手掛けたアルバム「Is And Always Was」もリリースされていたりと、毎年何らかの形でダニエルの作品に触れる機会があります。
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2003年の来日公演時(大阪公演の会場は今はもう無くなってしまったフェスティヴァル・ゲートの「BRIDGE」でした)は、まだまだカルト的な存在だったダニエルも今では「ちょっと変わった人気者」となっている。

そんなダニエル・ジョンストンの7年振りの来日公演。何と日本到着前の公演先のオーストラリアの悪天候のため飛行機が飛ばず大阪公演が2日間延期になるハプニングもありましたが、なんとか無事にやって来ました(地方からわざわざ大阪にやって来て会場に来て延期を知ったという気の毒な人もいたそうです。かわいそうに・・・)。

さてグランド・ピアノが1台置かれたステージに普段着のままのようなスウェット姿にサングラスを掛けて登場したダニエル
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いきなりピアノの弾き語りでスタート。1曲目なのにもうかなりヘロヘロです。およそプロフェッショナルなミュージシャンの演奏レベルではないですが、そのダニエルのピアノを一生懸命弾く姿を我々は固唾を飲んで見守るという非常に「ドM」的な空気が充満しています。

ピアノはこの曲で、あっさりと終了し(この後も使用されず)、ヘッドレスのエレキ・ギターを持ち弾き語り。
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こちらもかなり危うい感じ。すると、途中で曲がストップ。一瞬、会場中に緊張感が走りましたが、ダニエルが一言曲忘れちゃったよ(笑)」と言うと、観客に一気に安堵感が走り、笑いが起きました。どうやら今夜のダニエルはとても機嫌が良いようです。いやぁ、しかし何なんでしょう、この空気感は。前回の来日時以上の緊張感ですね。その緊張感とは逆の、ダニエルの気持ち良さげな表情が何とも面白い。素人以下とも言えるヘロヘロな演奏なんですけどね・・・。

そして数曲ギターの弾き語りを見せた後、サポート・ギタリストが登場。
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アコースティック・ギターによる流麗なアルペジオで始まったのはLove In Vain。1994年当時ダニエルの知名度に目を付けたメジャー・レーベル「Atlantic」が大枚をはたいて契約してリリースしたが5000枚しか売れなかったアルバム「Fun」の中で、個人的には最も好きな曲です(ダニエルの曲を初めて聴いたのがこのアルバムだったので当時は何も思いませんでしたが、今聴くとやはりオーヴァー・プロデュース気味な気がします)。ギター1本だけでもその天才的なメロディは際立ちますね。

その後もしっかりとした演奏をバックにLiving LifeWalking The Cowといった初期の名曲を披露。でも最初にやってたダニエル一人の弾き語りの方が気楽にやってたように見えましたね。ギタリストのゆるぎない演奏に、最後はギターも持たずに歌に専念していたにもかかわらず、ダニエルが少し窮屈してそうな印象も受けたのは気のせいか。でも大好きなビートルズ・ナンバー(今回はYou’ve Got To Hide Your Love Awayと、ジョン・レノンIsolationでした)の時は無邪気な子供のような笑顔でしたけど。
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終始、笑顔で機嫌良さそうなダニエル。歌はヘロヘロですが、彼の頭の中で鳴っているメロディは素晴らしいのでしょう。名曲True Love Will Find You In The Endを聴きながら、改めてそう感じましたね。

個人的にダニエル・ジョンストンシド・バレット(下写真)にかなりかぶる気がする。
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映画「悪魔とダニエル・ジョンストン」を観ると分かるのですが、ダニエルという人は元々精神的に病んでいたわけではない。学生時代の映像や写真などを見ると、この頃はかなり知的な青年であり、アーティスト肌であった事が分かる。ドラッグとアルコールにより精神のバランスを崩し、今のような状態になっているが、昔は相当頭の良い青年だったのです。その点に関しても、現在の状況に関しても、ピンク・フロイドから脱退して完全に世俗から身を引いてしまったシド・バレットとかなり境遇が似ている(シドの晩年と体型もそっくりだし・・・)。

ただシドダニエルが大きく違うのは、シドが全く音楽制作を止め、公の場から姿を消してしまって死んでしまったのに対し、ダニエルは今でも頑張って生きて音楽を続けていることだ。ある意味、この状況は奇跡的とも言っていいだろう。この状況に我々はホントに感謝しなければならないでしょう。映画のラストでもダニエルの父親が言っていた「私達にはかれの面倒を見れる時間はもう少ない。そこが心配でならない」という言葉がかなり重たく響きます。
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家族に支えられている限りダニエルは大丈夫だろうが、もしその支えがなくなった時、果たして彼は生きていけるのだろうか?そこは個人的にも心配でなりません。

 
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by Blacksmoker | 2010-03-24 19:09 | ライブレポート