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2012年7月7日(土) チプルソ -傷だらけのB-BOY- ワンマン・ライヴ決定



今、関西のヒップホップ・シーンでは最も注目されているラッパーの「チプルソ -傷だらけのB-BOY-」のワンマン・ライヴが決定しました!ライヴがホントに素晴らしいので是非観て欲しいです。

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2012年7月7日(土)
■開場18:00 開演19:00
ばんまい (大阪府池田市鉢塚3丁目15-5A)
TEL:072-761-0064 ホームページhttp://teshigotoya.org/
■料金2,000円(1ドリンク付き)


大阪は服部緑地公園を拠点とするラッパー「チプルソ-傷だらけのB-BOY-」。
http://tipleso.blog3.fc2.com/blog-category-2.html
ヒップホップ・シーンでは既に天才的なフリースタイラーとしての絶対的評価を得ており、2011年には、日本最大のMCバトル「ULTIMATE MC BATTLE(UMB)」のグランド・チャンピオンシップ全国大会に大阪代表として出場し、準々決勝まで勝ち上がっています。

しかし、この男の凄さはフリースタイルだけではありません。昨年末にリリースされたアルバム「一人宇宙 -起源FREESTYLE-」では演奏・録音・ミキシング・マスタリングまで全て独りで行い、しかもその内容の凄さに関西のヒップホップ・シーンでは相当な話題となりました。さらにライヴでは、「NO DJ & 1 MC」という全く独りだけでギターとMPCとヒューマンビートボックスのみを使って行われる斬新なスタイルで観た者にかなり衝撃を与えます。3月に刊行された月刊「新潮」において、まだほとんどアルバムが流通していないにもかかわらず、20ページもの特集を組まれました。http://www.shinchosha.co.jp/shincho/4649/201203.html

そしてアルバム以上に衝撃を受けるのが、ライヴの凄さ。痛々しい剥き出しのリリックは涙が出るくらい揺さぶられます。そしてこの男はヒップホップの世界だけでなく、もっと幅広い老若男女に聴かれるべきだと思います。

そんなわけで、今回チプルソの世界を存分に堪能して頂くためにあえて彼の「ワンマン・ライヴ」を企画しました。彼にとってもワンマン・ライヴというのは、ほとんど経験が無いと思いますので、今回のライヴは絶対に貴重な体験になるはずです。その凄さを是非体感して下さい。

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個人的にも何度かチプルソのライヴを観た事がありますが、神門やTHA BLUE HERB、そしてNORIKIYOらに通じるアツく感動的なステージで、マジで涙してしまいました。それくらい素晴らしいです。

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もちろんヒップホップ好きはマストですが、非ヒップホップの人にこそこのライヴは是非観て頂きたいです。
# by Blacksmoker | 2012-05-30 11:08 | 告知

2012年9月8日(土)「ピーター・バラカン音楽紀行 特別編:グレイトフル・デッドの世界へ」

 

私が企画でこんなイベントを開催します!

遂に我が師匠であるこの方がやってきます。しかもかなり攻めた企画です。こんなイベントが観れるのはおそらく日本でもココだけでしょう。


「ピーター・バラカン音楽紀行 特別編:グレイトフル・デッドの世界へ」

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■日程:2012年9月8日(土) 開場14:00 開演15:00
■会場:逸翁美術館 マグノリアホール(定員140名)
    〒563-0058 大阪府池田市栄本町12-27
    TEL 072-751-3865
逸翁美術館HP : http://www.itsuo-museum.com/top.html
■ゲスト:松本純一(Bear's Choice代表)
■料金:前売3,000円 / 当日3,500円
■予約 : Bear's Choiceにて電話及びメールで受付けます。
    TEL 06-6654-5510(10:00~18:00 / 月曜~金曜)
    E-mail :info@bearschoice.com (E-mailの場合、件名は「9/8 ピーター・バラカン・イベント」として頂き、お名前と枚数を電話番号を記入下さい)
    Bear's Choice HP : http://www.bearschoice.com/

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〜ピーター・バラカンと行くグレイトフル・デッド探求の旅〜

ヒット曲などほとんどなくヒットチャートとは無縁ながら、ライヴには毎回数万人が集まり、アメリカでは毎年コンサートの年間収益で常に一、二を争うバンド、グレイトフル・デッド。今やアメリカでは最も影響力を持つ伝説的な存在となっている。1995年にリーダーのジェリー・ガルシアの死によって解散してもなお、現在においてその影響力は衰えるどころか増していると言っても良い。

しかし日本の地を一度も踏むことがなく解散してしまった為、同じ時期に活動したビートルズやローリング・ストーンズやピンク・フロイドなどに比べて日本での知名度は圧倒的に低い。しかも初めて聴こうと思っても、膨大な数のライヴ盤がリリースされていたりして、どこから聴けば良いか分からないのも事実です。

そこで今回「グレイトフル・デッドとはこんなにも素晴らしいバンドなんだ」という事を、デッドファンを公言するブロードキャスターのピーター・バラカン氏をお迎えし、彼らの歴史から音楽、そしてその魅力について存分に語りまくって頂きます。デッド初心者はもちろん、デッドマニアまで十分に楽しめる内容でお贈りします。これで僕らもデッドヘッズです!

さらに今回は創業25年の関西屈指のグレイトフル・デッド専門店「Bear's Choice」にも協賛頂き、終演後にはデッドのCDやグッズなどの販売も行う事が決定!乞うご期待。

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というカンジです。是非ともご予約お待ちしています。ピーター・バラカンさんのイベントはいつも人気がありますので、毎回ソールドアウトします。是非お早めにご予約を!
# by Blacksmoker | 2012-05-01 22:33 | 告知

2011年の12枚。

久しぶりの更新です!

今年は今までの価値観が変わるような事がたくさん起きました。しかし聴く音楽に関しては、より自分の好きな音楽を深く追求する方向に進んで行った気がします。エレクトリック/ダンス・ミュージックは今年は聴く機会が少なく、歌謡曲に関しては全く興味がなくなってきましたね。10枚に絞るのは難しかったので今年は12枚選びました。

そんな訳で行ってみましょう、2011年総括です。


<2011年の12枚>

■第1位
AMOS LEE [Mission Bell]
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「良いシンガーソングライター」から「アメリカを代表する素晴らしいミュージシャン」に変化した瞬間を捉えた傑作。
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新たな出発と別離を描いたこのアルバムは、今年を象徴していましたし、その音楽の素晴らしさも飛び抜けていました。ビルボードチャートで奇跡的に1位を記録したのも個人的には嬉しかったです。


■第2位
SAKAKI MANGOO & LIMBA TRAIN SOUND SYSTEM [Oi! Limba]
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アフリカの楽器リンバと鹿児島弁の見事な化学反応(でも住んでいるのは大阪の高槻)。この2ndではさらにポップさを増して聴きやすくなっている。こんな凄い事をやっているのは世界でも稀だ。世界に誇れる日本のバンドの一つ。
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この後に出たマリンバ集団Gajumaru Ensembleとの共演ライヴも凄いのでチェックして欲しい。

■第3位
小林勝行 [神戸薔薇尻]
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今年の日本のヒップホップ界で最も待たれていた神戸の伝説の"蓮の花"男の神戸薔薇尻が、本名の小林勝行の名義で発表した1stアルバム。精神的に病んでいたりして復帰は無理かと思われていましたが、地元の後輩達のバックアップにより奇跡の復活。これがとんでもなく壮絶なアルバムでした。オープニングを飾る9分の独白「108 Bars」を聴いた時は軽い衝撃で動けませんでした。

■第4位
ANDRE MEHMARI [Canteiro]
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ブラジルのサンパウロ出身の天才ピアニストが豪華ヴォーカリスト陣を迎えて発表した2枚組の大作。ピアノ以外にもアコーディオンやギター、バイオリン、ヴィオラ、フィドル、チャランゴ、フルート、ピッコロ、オルガンやローズなど様々な楽器を自身で演奏し、歌まで歌い、レコーディング、ミックス、マスタリングまでも自分でやってしまう奇才。歌に焦点を当てた優しく美しい曲に平伏すばかりです。果てはエグベルト・ジスモンチか?日本盤のみの500セット限定のボックス仕様も素晴らしいです。


■第5位
VINICIUS CANTUARIA & BILL FRISELL [Lágrimas Mexicanas]
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ビル・フリーゼルのアルバムは全てチェックしてしまう私ですが、このブラジル人ヴィニシウス・カントゥアリアと2人だけで作られたこのアルバムは面白かった。ビルが昔組んでいた多国籍弦楽器バンドThe Intercontinentalsのメンバーでもあるヴィニシウスのブラジル色が強く、ビルのギターがよりサウダージ感を演出している。

■第6位
BETTY WRIGHT [The Movie]
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The Roots全面バックアップの復活作。今このヴィンテージ・ソウルなサウンドを作らせたらクエストラヴの右に出るものはいないんじゃないか。そしてそのサウンドをバックに、堂々と圧倒的な歌声を聴かせるベティ御大。もう完璧な組み合わせ。ゲストのLil WayneやSnoop DoggやJoss Stoneが子供扱いです。


■第7位
神門 [神門]
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小林勝行(神戸薔薇尻)を復活させた張本人とも言える神戸のMC神門の4枚目。もはやその言葉は、谷川俊太郎にも通じる偉大なる詩人の域に到達しています。ピアノを使った印象的なトラックもイイ。

■第8位
Seun Anikulapo Kuti & Egypt 80 [From Afica With Fury : Rise]
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偉大なる父親Fela Kutiのアフロビートを、果敢に次なる次元へ発展させようとする意志がはっきりと感じ取れる作品。ブライアン・イーノのプロデュースがまるで80年代のTalking Headsを彷彿させます。

■第9位
toto [○ to ○]
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東京の女性詩人totoによる1stアルバム。幻想的なトラックに全編ポエトリー・リ−ディングのメルヘン・トリップな作品。

■第10位
FARMERS BY NATURE[Out Of This World's Distortions]
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NYのピアニストのクレイグ・テイボーンによるジャズ・トリオによる即興スタジオ録音盤。ベーシストにウィリアム・パーカー、ドラマーにジェラルド・クリーバーという一癖も二癖もあるメンバーで、ちょっと想像を絶する凄い演奏を聴かせてくれます。

■第11位
WOLVES IN THE THRONE ROOM [Celestial Lineage]
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アメリカのワシントン州オリンピアで山奥に籠り自給自足の生活を続ける新世代ポスト・ブラックメタル。禍々しさを超越した神々しいまでの神秘的なサウンドが凄まじい。

■第12位
FLEET FOXES [Helplessness Blues]
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60年代のCSN&Yのようなフォークロックのようでありながら、確実に現代にしか出せない音楽。前作から更に進化した美しき大衆音楽の結晶。
# by Blacksmoker | 2011-12-31 22:18 | 2011年総括

NAS & DAMIAN MARLEY [Distant Relatives]


Distant Relatives」=「離れた親戚

これがどういう意味なのかはアルバム最後に収録されたAfrica Must Wake UpでのNasのヴァースを聴けば分かる。「俺達はみんな同じ場所から来た アフリカだ。世界中の人たちがみんな家族。あちこちに散らばっているだけなんだ。だから遠い親戚たち 故郷へ帰ろう

NAS & DAMIAN MARLEY [Distant Relatives]_f0045842_17353938.jpgヒップホップ界の最も崇高なリリシストNasと、レゲエ界のロイヤル・ファミリーの末弟ダミアン・マーリィによるコラボレーション・アルバム。しかし単なるコラボレーションという枠を超えてブラック・ディアスポラとしての2人、さらにはソウル・ブラザーとしての2人の渾身のアルバムと言って良いだろう。

アフリカン・アメリカンであるNas、そしてボブ・マーリィの末子であるジャマイカ人のダミアン・マーリィ。人種も宗教も違うこの2人だが、表題のようにアフリカをルーツにすれば皆が同じ兄弟。特にヒップホップとレゲエという「レベル・ミュージック」として音楽を選んだ2人の親和性はなおさら高い。
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Nasボブ・マーリィを聴いて育ったし、そのボブの息子であるダミアンNasを聴いて育った。この音楽的輪廻で繋がった2人が初めて邂逅したのが2005年のダミアンのアルバム「Welcome To Jamrock」の中のRoad To Zionだった。当時はその意外な組み合わせに驚いたが、その後この2人がどんどん親睦を深めていった事でこのコラボレーション・アルバムの登場にはそこまで驚きはしなかったが、実際にこんなとんでもなく凄いアルバムを完成さす事になるとは予想もしなかったですね。

NAS & DAMIAN MARLEY [Distant Relatives]_f0045842_17421767.jpgとにかく今、この2人のラッパー/ディージェイとしての凄さは群を抜いている。個人的には、特にNasは90年代中期~後期にかけては精細を欠くアルバムが多かったが、2001年の強力なボムOne Mic以降、見事にハズレなしだ。最近のアルバムなんて震えるくらいスリリングなリリシストぶりを発揮していてますます孤高の存在感を放っている。(ちょっとケリスとの結婚&離婚で足を引っ張っられたけど・・・。)

そしてもう1人のダミアン・マーリィ。傑作「Welcome To Jamrock」でこちらも強力な存在感を身に付けて一皮剥けた彼ですが、その後マライア・キャリーグウェン・ステファニーアリシア・キーズといったポップ・フィ-ルドで活躍するアーティストとの競演から、スティーヴン・マーリージュリアン・マーリィといったレゲエ・ロイヤル・ファミリーの兄弟達への客演、さらにはB-RealGuruといったハードコアなヒップホップ・アーティストへの客演と、その行動範囲をジャンルレスに展開している。
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ここ数年で鍛えられたその声は「Welcome To Jamrock」の頃と比べても、まるで別人。弱冠の不安定さも見せたその声も、今では抜群の安定感と存在感を誇る。ディージェイだけでなく、シンガーとしての素晴らしさも特筆すべきだろう。今回のアルバムではプロデュースまで手掛けており、その音楽性の高さには舌を巻くばかりだ。ヒップホップ寄りでもなく、レゲエ寄りでもない、ちょうどそのど真ん中を行くサウンドはダミアンの折衷感覚の鋭さのなせる技だ。

更にはマーリィ家の次兄スティーヴン・マーリィ(右写真)が、このアルバムの制作に関わっている事も大きい。NAS & DAMIAN MARLEY [Distant Relatives]_f0045842_17552183.jpgスティーヴンというと、全ての楽器を操る裏方的なイメージが強い人だが2007年に初のソロ・アルバム「Mind Control」をリリースしてマーリィ・ブラザーズとしての誇りとレゲエの「レベル」を受け継いだ精神性を見事に知らしめた男であるが(ちなみにこのアルバムは、決して派手ではないが、何年かあとに絶対聴きたくなるアルバムだ)、このスティーヴンがこのアルバムに関わる事で、深みが断然増しているのは間違いない。LeadersIn His Own Wordsで披露される父親にそっくりなその激渋な歌声もこのアルバムのレゲエ・サイドを担っていてヤバイです。このアルバムはNasダミアン名義ではあるが、ヒップホップのNas、レゲエのスティーヴン、そしてその真ん中を行くダミアンという3つ巴のアルバムと言っても良いだろう。
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パーティ・アルバム的な要素は排除して、実に重厚なメッセージ性の高いアルバムになっているのも良い。「レベル・ミュージック」として、エッジが立ちまくった攻撃的なアルバムだ。そしてもちろんRedemptionもある。大物でありながらストリートなザラついた感覚を漂わせてるのもカッコイイです(まあ、ケリスと離婚して月に1000万円の養育費を払えるNasと、家にはロールスロイスが何台もある豪邸を持つロイヤル・ファミリーの一員であるダミアンのどこが「ストリート」なのかという話もありますが・・・)。
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更にはゲスト陣もなかなか興味深い人選。特にルーツ・レゲエ界のレジェンド、デニス・ブラウンThe Promised Landの声をサンプルで使ったLand Of Pomiseは、まさしく過去と未来を繋ぐ意義を持つ1曲。更にロイヤル・ファミリー専属のスタジオ「Tuff Gong」の鍵を預けられたソマリア生まれの若きラッパーのK’naan(ワールドカップで大ブレイク!)、NAS & DAMIAN MARLEY [Distant Relatives]_f0045842_18172646.jpgそして現在のアメリカのヒップホップ・シーンの寵児とも言えるリル・ウェイン(左写真)の参加も大きい。特にこのMy Generationというテーマ的にも非常に重厚な曲に召喚されたリル・ウェインなんて、こんな強烈なカリスマ2人の前ではフザけたオートチューン・ヴォイスのラップなんて披露したら、絶対に怒られるのは確実なので、最近のリル・ウェインには珍しく真摯なラップでめちゃくちゃ好印象。ヤレばできるじゃねーか!

本国ジャマイカでもヒットした1stシングルAs We Enter(2小節ごとにマイク回しをキメる2人が異常にスリリング!)から、アフリカン・ドラムに重厚なストリングスの絡むTribes At War、先日のSummer SonicNasも披露してたStrong Will Continueダミアンの堂に入ったシンガーぶりが素晴らしい)と、アルバム頭3曲でもうこのアルバムは凄い事になるのが分かりますね。いつものように異常にリリカルなNasの鋭いラップも冴えまくっている。一方のダミアンは旧約聖書に基づくラスタファリズムが全面に出た宗教色の濃いリリックスで、Nasの現実のストリートに根差した直接的なリリックの対比も面白い。
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ブラック・ディアスポラとしてのアイデンティティを持ったこの2人(スティーヴン・マーリィも合わせれば3人)による、レゲエとヒップホップの枠を超えた傑作。Nasのファン、ダミアンのファン、それぞれのファンも唸る素晴らしい作品です。

今のところBlacksmokerの2010年のベスト・アルバム間違いなく断トツの1位です!是非チェックしてみて下さい。

   
# by Blacksmoker | 2010-08-24 17:18 | REGGAE

TOTAL FUCKING DESTRUCTION @ 心斎橋Hokage 5/23(土) 2010


全国320人のグラインドコア・ファン待望のTotal Fucking Destructionの初来日公演に行って来ました!

Brutal Truthのドラマーとしてグラインドコア・マニアから絶大なる支持を得るリッチ・ホーク。1人ノイズ・ユニットPeacemakerとしても活動するその彼がリーダーとして率いるグラインドコア・バンドがTotal Fucking Destructionだ。2000年より活動を開始し、今までに数々のスプリット盤やデモ音源の編集盤を出してグラインドコア・フリークにその存TOTAL FUCKING DESTRUCTION @ 心斎橋Hokage 5/23(土) 2010 _f0045842_14302261.jpg在を知らしめてきたこのバンド。2007年にその全貌を現す1stアルバム「Zen And The Art Of Total Fucking Destruction」(右写真)で強烈極まりないグラインドぶりでマニアを狂喜させた。もちろん私もマメにスプリット盤までチェックしていた方なので完全にブチのめされましたね。激烈極まりないハードコアも最近ではメタルコアやデスコア、カオティックコアなどよく分からん細分化がされてますが、こちらは正真正銘の純粋無垢な真性グラインドコア!「よく分からん細分化はいらん!」と言わんばかり、とにかくもうジャンルの壁をブチ壊してブラストビートで統一させたような究極のグラインドコアでした。

さてそんなTotal Fucking Destructionの初来日。前座には日本のアンダーグラウンドの猛者達が迎え撃つラインナップですが、やはりTotal Fucking Destructionのパフォーマンスは演奏の壮絶さ、そして見せ方においても頭一つ抜きん出てましたね

ちなみに始まる前に普通にドラム・ペダルを持ってリッチ・ホークが客席の方にいたので、「以前にKKKに入ったって噂があったけど本当?」って聞いたら、「そんなわけねーだろ!」って言ってました。やっぱりデマだったようです(笑)。

さてリーダーのリッチ・ホーク以外は謎のTotal Fucking Destructionですが、ギターとベース、そしてドラムというトリオ編成。絶対に1stの頃とギターとベースはメンバーチェンジしてますが、そんな事は誰一人として気にしていないです。ギターのオッサンはバンダナ巻いて顎鬚を生やした木こりみたいなデカい風貌で超イカつく、ベースのオッサンは小柄だがなぜか5弦ベースでした。そして上半身裸になったリッチ・ホークはドラムに座る前に一人気合を込めて絶叫してましたね。(下写真)
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一曲目は2ndアルバムからの発狂寸前の残虐グラインドBio-Satanic Terroristic Attack!(なぜか1stアルバムにアコースティックVer.が入ってましたが。)ドドドドドド!ガガガガガガガ!ムグォォォォォォッと思考回路すらストップさせる超絶グラインド・ノイズ地獄の始まりです。
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もうその後は阿鼻叫喚のグラインド地獄へ直行。もう最悪で最高の素晴らしきグラインド・タイムです。とにかくリッチ・ホークさん、アンタはスゲェよ。何であんな壮絶なドラム叩きながら、さらに歌まで歌えるんだ?こんな壮絶な光景は見た事ないぞ。もうムチャクチャ。あッ、でもやっぱり酸欠になってるわ。鯉みたいに口をパクパクさせてます。ちゃんと息出来ているのか?大丈夫?でも何とか大丈夫そうだ。しかし壮絶極まりないぞ!と、あらゆる感情が一気に噴出する状態に突入。もう凄すぎて笑いが止まりません。
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全く初心者を寄せ付けない残虐極まりない過激な音楽であるにもかかわらず、あまりにも過激すぎて、もう一周して「笑い」に昇華してしまっているのです。
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タイトルだけでもバカバカしくて笑ってしまうFuck The InternetKill The Jocks And Eat Their Brainsなどの極悪な名グラインド・ナンバーの連発に、会場中ももう笑うしかない人と、完全に置いてけぼりの人に二極化されていましたね。
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しかし、その会場を1つに出来るのがリッチ・ホーク先生の凄いところ。ドラム・セットから客を指名して「お前1曲歌え!」とステージに上げて歌わしたり、更にはスタッフにまで歌わせてRamonesI Wanna Be Sedatedのカヴァーで盛り上げたり(でもこいつがこの曲知らなくて適当に吼えていてグダグダでしたが)と、リッチ・ホーク先生のサービス精神たるや敬服せざるを得ないです。最後には完全に会場が1つになってましたね。
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あっと言う間に駆け抜けた1時間。ってか観る側も演奏する側もこの時間が限界!血生臭いアンダーグラウンドのグラインドコア臭ぷんぷんの素晴らしい時間を堪能させて頂きましたよ。終わった後もあまりの体力消耗に気が抜けて地面に体操座りしてボーっしてるリッチ・ホーク先生の姿(下写真)がこれまた最高に可愛かったです。
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体力的にあと何年このバンドを続けられるか少々心配ですが、まだまだ現役のリッチ・ホーク先生の涙ぐましい活躍を俺は心底応援するぜ!

     
     
# by Blacksmoker | 2010-08-16 14:48 | ライブレポート