[後編] Beyonce @ Summer Sonic 2009 8/7(金) 2009


さあ後編です!

If I Were A Boyに続いては、ハイヴィジョン・スクリーンにフルCGによるビヨンセが登場。猛吹雪の中でロボットみたいな格好をしたビヨンセが、豹に遭遇して自分も豹に変化する映像が流れて、BGMにはSweet Dreamsクリスタル・ガイザーのCMの曲)。その後、ステージがブラックアウトし、ビヨンセがもう何度目かの衣装チェンジで登場。大阪という事でわざとやってくれたのか(笑)、ビヨンセも豹柄の衣装!黄色いタイツ姿のダンサー4人をバックに引き連れて、曲はDiva。近未来的ビートに、前衛舞踊のようなダンスを披露するビヨンセですが、こちらも激しいダンスにもかかわらず全くヴォーカルがブレてないです。

では、その時の映像(↓)です。



そしてDivaが終わるや、そのままスクリーンには古いラジオが登場。もちろん曲はRadio。スクリーンのラジオの中に映像が映し出されるわけですが、そこには3歳くらいのビヨンセが無邪気に歌う古い映像が。その横には今のビヨンセの映像。この対比が凄すぎますね。ただこんな神憑りなパフォーマンスを見せつけるポップ・アイコンも、やっぱり元は普通の人間なんだという事をしみじみと感じます。
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そして再度ビヨンセ退場(しかし、一体どんだけ衣装替えするんだ!)。その主役不在のステージを任されたのは、コーラス隊3人の女性。
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もろにソウル・シンガーなデカい体格の3人がステージ中央に出てきて、堂々たる歌声を披露。これがまたとんでもない声量のシンガー達で、ビヨンセがいないにもかかわらず観客から大喝采を浴びていましたね。

そして、その3人が歌い終わると、再びスクリーンにビヨンセの映像。その映像の中で品行方正そうなビヨンセが金色のコインを指で上に弾くのですが、そのコインが天高く舞い上がります。
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そして、そのコインが落下してくるわけなんですが、急にもう一つの手が出てきてそのコインをインターセプト。その手の主は、ワイルドなメイクでバッチリ決めてド派手な衣装に身を固めた「サーシャ・フィアース」!そうです、ビヨンセの「オルターエゴ」であるもう1人の別人格サーシャ・フィアースの登場です。

アーティストの中には、こういう「別人格」というコンセプトを立てて自己表現の幅を広げたりする人もいるf0045842_19595774.jpgわけですが(メアリー・J・ブライジなら「Brook」、T.I.なら「T.I.P.」とか・・・)、ビヨンセも新作で「ビヨンセside」と「サーシャ・フィアースside」の2枚組というコンセプトを立てていたわけですが、どちらかというとサーシャはワイルド・サイドのようです。そんなサーシャビヨンセからコインを取り上げ、不敵な笑いを浮かべてこっちに歩いてくると(もちろん映像の話ですが)、突如観客席からどよめきが起こる。

一瞬何事かと思い横を見ると、私の横5メートルのところにビヨンセが!!!
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何と客席中央に作られたセンターステージに登場したのです!そういや昨年のColdplayのステージでもこのセンターステージを使っていたのに、まさかビヨンセのステージで使われるとは完全に油断してました。予想外の展開に驚いている間もなく、人がドッと押し寄せてきて周辺はパニック状態に。もう「ギャー!!」とか「ウォー!!」とか悲鳴しか聞こえません。そりゃそうだ、こんな間近に出てきたらもうそんな反応しか出来ませんよ。
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そんなパニック状態の中、投下されたのはBaby Boy盛り上がるの何の!客席はもう曲なんか聴いてられないくらいのモッシュ状態。いやコレはどんな曲でも盛り上るしかないでしょう。

さらに驚いたのは次の曲。スクリーンにジャマイカの国旗が映し出されて披露されたのはDawn PennYou Don’t Love Me(No, No, No)!オオッ懐かしい!
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さっきのアラニスといい何だ?この90年代中盤を中心にしたカヴァー選曲は。レゲエのビートに乗ってセンターステージを動きまくるビヨンセ(そういやこの曲はリアーナもカヴァーしてましたね)。目の前にいるビヨンセは足が超長く、顔も超小さくスタイル抜群。そして、その体から漲るオーラの凄まじいグルーヴに圧倒されっぱなしですよ。もう私も冷静さは完全に失っていましたね。
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さらに続くのはIrreplaceable。実はこのライヴが始まる前、「Ne-Yoがこの曲がステージに登場して競演するんじゃ?」なんて想像していたんですが、もうこのライヴを体験してしまうと分かりますね。「Ne-Yoが入り込むスキなんて全くない」です。

もうこのセンターステージでヒット曲メドレー連発。Check On Itをやったかと思えば、次は女性ダンサー4人を従え、トドメのデスティニーズ・チャイルド・メドレー投下。
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BootyliciousからBug A Boo、さらにはJumpin’ Jumpin’Say My Nameまで!もうお祭り状態ですね。しかし、ビヨンセを含めて5人の女性が横並び立っている状態は、もうセンターステージからはみ出そうなくらいです!女性ダンサーの次は、男性のダンサーが登場して新作からのVideo Phone。目の前5メートルという近さで観てると、もうビヨンセの表情までもの凄い良く分かるのですが、ダンスを披露しているビヨンセの顔はかなり辛そうな表情でしたね。やっぱりとんでもなくハードなんでしょうね。華やかさの裏の貴重な一面を垣間見れたような気がしました。
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センターステージで30分近くもパフォーマンスを見せた後、ビヨンセはメインステージに戻り、バックのハイヴィジョン・スクリーンに映し出されるのは、おそらくYoutubeで公開されている素人が投稿したSingle Ladiesのダンス・ビデオ。もう何十人もの素人(中にはオバマ大統領が踊っている映像までも!)の映像が終わるや、本家本元によるSingle Ladies
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余計な演出を抜いた真っ白なスクリーンに「ダンスと歌のみで勝負!」なPVと同じコンセプトのパフォーマンス。もう観客も最高潮の盛り上がりをみせる中、突如ビヨンセがステージを降りてきて客席に入っていき、客と触れ合ってるではないですか。いや~もうこのサービス精神は凄すぎです。もはやステージ前方は修羅場と化していましたね。
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もう最高潮の盛り上がりをみせたあと、ビヨンセが真っ暗なステージに立ち、スクリーンに何とマイケル・ジャクソンの写真が。
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ビヨンセマイケルに対して謝辞を述べた後、ピアノのイントロと共に曲はHaloへ。新作の中でも最もドラマティックで仰々しいナンバーなので、このマイケルへのトリビュートとしては最も相応しい曲でしょう。コーラスの歌詞を「Michael we can see you halo」と変えて、座り込みながら歌うビヨンセの姿に結構ジ~ンとしてしまいましたね。ビヨンセの中でも屈指の名バラードになるのは間違いないでしょう(いや、もうなってますね)。新作「I Am…/ Sasha Fierce」は、あんまりしっかり聴いていなかったんですけど、改めて聴いてみたらイイ曲多いんですね~。
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そしてメンバーやダンサーが全員登場して大観衆に挨拶し、ビヨンセ1人が階段の上に登っていきトドメのシャウト!もうこれ以上ないドラマティックな大団円を迎えてビヨンセは去っていきました。
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当初アナウンスされていた時間を大幅に延長する1時間40分のライヴ。これは単独公演とあまり変わらないくらいのセットですね。もうお腹一杯(でも単独公演ならこれ以上に長いのか!?考えられない・・・)。世界最上級のエンターテインメント・ショー。このライヴを体験した人なら必ず分かってくれるでしょう。最強のパフォーマンスで観るものを圧倒するこのビヨンセの凄さにホント心まで持って行かれましたね。

まあ、ああいう場所であったからこそかもしれないし、こちらも予備知識なしで臨んだ事もあったかもしれせんが、その事を抜きにしても今まで観たライヴの中で最も衝撃的だったし、ビヨンセのパフォーマンス力の凄さは壮絶でした。ビルボードライヴで1万円くらいで80分くらいのライヴを見せるアーティストと比べると、今回のビヨンセのコスト・パフォーマンスは異常に高いです。

冗談抜きで凄いので、まだ未体験の人は10月の単独公演に行く事を絶対にオススメしますよ!

       
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# by Blacksmoker | 2009-08-26 19:07

[前編] Beyonce @ Summer Sonic 2009 8/7(金) 2009


さて、この日の事は何から書けばいいだろうか・・・。

私もいろいろと歴史的なライヴを体験してきました。1997年、台風23号直撃下の暴風雨の中の富士天神山でのRage Against The Machineの生死を賭けたあの壮絶なライヴ。そしてその10年後の2007年、まさしく日本を震撼させたSunn O)))の初来日公演の、命の危険すら感じた恐怖のライヴ。

この2つのライヴは生涯忘れることの無い強烈な記憶として残っているのですが、この2者に共通するのは、

①とてつもないエネルギーの爆発。
②他者を寄せ付けない圧倒的なパフォーマンス。
③時代という追い風。


この3点が融合する事によって、奇跡のような神々しさすら感じさせるライヴに昇華するのです。

何が言いたいかというと、今回のビヨンセのライヴ。上記の要素が完璧に重なり合い、個人的には前2者のライヴに匹敵する衝撃度でした。
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当初は物見遊山的な気分もあったし、予備知識なしで臨んだこともその衝撃度に拍車を掛けたかもしれませんが、この凄さは逆にそういった人や、何気に見た人を一気に引きずり込む巨大なブラックホールのようなパワーを持っていましたね。「現代エンターテインメント界の頂点に立つ者のパフォーマンス」というものは、ロックの掲げる矮小な批評性や反骨精神を嘲うかのように巨大で絶対的でしたね(何か巨大戦艦にゴムボートで戦いを挑むような無力感)。もはやこのパフォーマンスに匹敵できるのはU2くらいしか思いつきませんね・・・。

さて、こういったロック・フェスティヴァルにビヨンセが登場するのは世界でも初めてだそうです。そういう前情報もあったのでステージセットは簡易的なものかと思いきや、開演前からもの凄いセットがステージに組まれていてそのデカさに驚かされましたね。そしてセットが完了し、始まるのかと思いきや一旦ステージに真っ黒いカーテンが掛けられる。そこから待つこと数十分。仰々しいSEと共に遂にスタート。

カーテンの真ん中が少し開き、そこから強烈なバックライトを背にビヨンセ登場!シルエットのみで仁王立ち!もの凄い歓声が響き渡ります。そして唐突にDeja Vuのフレーズを歌い出す。数フレーズ歌うと「ジャン!」という音と共にキメのポージング!そしてまた次のフレーズを歌い、キメのポージング!そしてあの「ビヨンセ・ウォーク」でステージ前方に進んでくるや、ステージのカーテンが開き、あらかじめスタンバイしていたバンドが演奏開始。曲はCrazy In Love!もうこの時点で勝負アリですが(ビョンセの前にステージを行ったNe-YoもオープニングであっさりとBecause Of Youを披露していましたが、この出し惜しみの無さ加減はある意味凄いですね~)、本物のエンターテイナーというのは手加減という言葉を一切知らない。

女性ダンサーを引き連れ右に左に動くビヨンセ。ステージのバックには円状の白い電飾がズラ~と並んで光っていたのですが、途中からその電飾がいきなりステージの様子を映し出すモニタースクリーンに変化!
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ステージの両サイドにスクリーンがあるのは大きなフェスではよく見る光景ですが、ステージの後ろにスクリーンが設置されているなんて観た事がないです。さらにそのスクリーンの液晶の解像度たるや、もう言葉を失うほどの感動的な超高画質。あまりにもクリアなハイヴィジョン映像に、観客からもどよめきが起こるほど。今までのフェスで観たスクリーンの画質と、今回のビヨンセのスクリーンを比べると、ブラウン管とTVとハイヴィジョンのTVくらいの差がありますよ。あのスクリーンだけでも単位の金額が掛かっているんじゃないでしょうか・・・。怖ろしい!

口をあんぐり開けて驚愕している観客を突き放すように、曲は次のNaughty Girlへ。いきなりステージが真っ赤に染まり、ビヨンセとバンド・メンバーの黒のシルエットのみが浮き上がるというTalking Heads「Stop Making Sense」を彷彿させる演出(でもこっちの方が100倍金が掛かってます)。
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アラビックなサウンドにアフリカン・パーカッション、さらに強烈に真っ赤な照明という先ほどのオープニングとは180度違うサイケデリック演出。ここで初めてビヨンセが客席へ向けコール&レスポンスをキメて、完全に観客を掌握。全く笑顔を見せない鬼神のごときパフォーマンスに一分のスキもありません。


では、youtubeでその時の映像(↓)がありましたので是非観て下さい!

どうですか、この凄さ!観なかった人は後悔しろ!


続いては2ndからFreakum Dress。バックのハイヴィジョン・スクリーンにはCGによるターンテーブルが飛びまくるサイバーな映像。さらに画面に大映しになる女性ギタリスト。ビヨンセはギタリストに近寄り、煽る様に体をのけぞらせていきます。
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もう「どんだけ腹筋鍛えてるんだ?」って思うくらいのブリッジ寸前ののけぞり度!凄いです。
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さらにはまた2ndからGet Me Bodied。ここからダンサーが10人くらい出てきてのド派手なダンス・ショーを展開。これほどハードにダンスを披露しながら全く息がアガっていないのには驚愕です。ただ圧倒的なパフォーマンスに釘付けであんま曲が頭に入ってこないです(汗)。
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さて、まだ4曲しか終わっていないんですが、このあまりにも情報量の多いステージに脳が追い付いていなく、ただただ呆然とするばかりでしたが、ここで新作からのバラードSmash Into Youでようやくクールダウン。バックスクリーンには海中の映像が流れる幻想的なバックに真っ白なドレスに衣装替えしたビヨンセが中央階段の頂上に登場。その場所でじっくりとまるまる1曲歌いきります。
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私もようやくこの辺で冷静にステージを観れるようになってきましたが、冷静になって聴いてみると、ビヨンセの声がとんでもない声量です。上手すぎ!!高音域から中音域の伸び、ファルセットの響き、さらにはドスの利いた中低音域のコブシまで、こんな凄いレンジを持った声量はお目に掛かった事がない(今まで観た中でレディシ以上の凄さ!)。
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まったく立ち位置を動かず歌のみで魅せる圧巻のパフォーマンス(もちろん海の映像とのシンクロ率も完璧です)。観客ももうウットリと聴き入るしか術はありません。ただただ唖然とするばかりです。

ここでようやく気付いたんですがバンド・メンバーは全員女性!ギター、ベース、ドラム×2台、キーボード×2台、ホーンセクション×3、コーラス×3、パーカッションという13人全員が女性という壮観な編成です。

さてSmash Into Youが終わり、階段を降りてきたビヨンセに、ダンサー達が寄ってきて白鳥の羽ような衣装を取り付ける。さらにブーケまで取り付けられ、瞬く間にウェディング・ドレスに早変わり!
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そして曲はAve Maria。照明を落とした真っ黒なステージにスポットライトを浴びたウェディング・ドレス姿のビヨンセが熱唱するわけです。完璧すぎる演出じゃないですか!しかも完璧過ぎる歌唱。女の子なら絶対に「こんなイイ女になりたい!」と思うでしょうね。そんな期待を一身に受けて神々しいまでのパフォーマンスを見せつけるビヨンセ。過剰な需要に対する、それを上回る過剰な供給で観客を捻じ伏せます。

そして今度はスクリーンに映画のワンシーンが映し出されます。その映画は「Dream Girls」
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映画に登場するビヨンセのシーンだけを集めた映像が流され(ジェニファー・ハドソンも一瞬登場)、イントロが流れ出す。もちろん曲はListen!こちらも圧倒的な歌唱力。バラードが続くがダレる気配など微塵も無く、むしろどんどん盛り上がっていきます。
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Listenを壮大に締めくくった後は、今度は鎧のよなボンデージ姿にサングラスで登場(2分前まで白いドレスだったのに、いつの間に着替えたんだ?)。曲はIf I Were A Boy
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とにかく「Boooooooyyyyyy!」の伸びがハンパない。そして1番のコーラスが終わったあと、突如ビヨンセが「I want you to know. That I’m happy to you~」と歌い始める。おいおいこれはアラニス・モリセットYou Oughta knowじゃないか!まさかの投下に発狂寸前。イントロだけかと思いきやバンド・ヴァージョンでガッチリと披露してくれるじゃないですか。アラニスはリアルタイム派(初来日時は全公演追っかけしました!)なので悶絶ですよ。ちゃんと「Down on you in a theater」ってトコまでしっかり歌ってましたよ。1コーラスが終わって、再びIf I Were A Boyに戻り終了。いや~最高でした。

ここまででまだ7曲しか終わってないというのに、この濃密さ!恐ろしすぎ。そして、この後もトンでもない展開に!

あまりにも長くなりすぎたので後編は次回!!
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# by Blacksmoker | 2009-08-22 00:11 | ライブレポート

ANIMAL COLLECTIVE [Summertime Clothes EP]


注目の若手インディーズ・バンド」から、僅か数年で「アメリカ・ロック・シーンを代表するバンド」へと成長したアニマル・コレクティヴ
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最新作「Merriweather Post Pavillion」は、クリエイティヴ性、そしてポップ性ともに頭一つ飛びぬけた存在となった彼らにしか出せないオリジナリティ全開の素晴らしい作品でした。今最も宇宙に近いロック・バンドでしょう。

f0045842_226919.jpgさてその新作からの2ndシングル・カットとなるSummertime Clothes。そのEP盤(右写真)が12インチで登場。

このSummertime Clothesは新作の中でも、ヘヴィなシンセサイザーの強力な反復音に水中で歌っているかのように歪められたヴォーカル、そしてビーチ・ボーイズばりのメロディアスで分厚いコーラス、さらにサイケデリックなSEをまぶして、煌びやかでドリーミーで印象的な曲ですね。

そして、このEPはオリジナル・ヴァージョンの他にリミックス・ヴァージョンが3曲。このリミックスが超ヤバイ。

起用されたのはStones Throwレーベルの最終兵器Dam-Funk(下写真)!
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シンセサイザーを使った現代版ディスコ・ファンクを標榜するこの男。またの名を「Ambassador Of Boogie Funk」(ブギー・ファンク親善大使)。今、全てのビート・マニアが熱い視線を送るプロデューサーの1人です。

そんなDam-Funkによるリミックスは、2009年のサマーアンセムとも言える改心の出来!原曲の重層的なシンセ部分を取り除き、透明感のある清涼感抜群バレアリックなディスコ・サウンドに解体。さらにアンセミックなシンセのフレーズを加えて(いつものようにDam-Funkが自分で弾いているのでしょう)、究極のサマーアンセムに仕上げています。
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もうさすがとしか言いようのない必殺の1曲。何度聴いても飽きないですね。この1曲だけでも絶対にチェックして欲しいです。秋に出るというDam-Funkの1stアルバムは要チェックです(そして9月の来日も!)。

そして次はKode 9の主宰するレーベル「Hyperdub」のLDがリミックス(Dam-Funkのに金を掛けすぎてしまった為か、Kode 9ではないところが悲しいですが・・・)。

つんのめるビートにコズミックなシンセサイザーを絡めたHyperdubらしい硬質なダブステップ。疾走感はあるがベースラインは意外に控えめ。ヴォーカル・パートの一部しか使用せず、ほぼオリジナル曲のような換骨奪胎リミックス。ヘヴィになりすぎずコズミックなダブステップを展開するあたりは自身のオリジナル曲とほぼ似ていますね。Kode 9 vs LD名義のシングル「Bad / 2 Bad」がヤバイので気になる人は是非チェックしてみて下さい。

そして最後に登場するのは、こちらもHyperdubから鬼才Zomby(下写真)。
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こちらは完全にヘヴィなベースラインがウネるダブステップ(BPMはかなりダウン)。Zombyらしい奇抜なビートが炸裂しています。ヘヴィなダブステップにズルズル引き込まれそうな所で、挿入されるピアノのループに一瞬現実に引き戻されそうになりますが、またズルズルと引き込まれてしまいます。深夜3時くらいのクラブで聴くと完全にキマりそうなカンジです。

オリジナル・ヴォージョンとリミックス3曲合わせて全4曲ながら超強力なEP。とにかく今Dam-Funkを起用するというこの感性の鋭さ!
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アニマル・コレクティヴがロック界で今最も先鋭的な感性を持ったバンドだということが証明されていますね。スルー厳禁のマスト盤!Dam-Funkのリミックスだけでも絶対にチェックです!
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# by Blacksmoker | 2009-08-17 02:49 | ROCK

DON CORLEON RECORDS JAPAN TOUR 2009 [出演: ALAINE, PRESSURE, MUNGA, DON CORLEON] 8/5(水) 2009


この日は夜に、赤井英和SHINGO★西成とのイベントに参加して赤井英和とリンクしてきましたが、深夜からはこんなヤバいライヴに参戦してきました!

Don Corleon Recordsのジャパンツアー!現在スティーヴン・マクレガーと共にダンスホール・レゲエ・シーンを牽引するジャマイカのトップ・プロデューサーのドン・コルレオーン
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Wacky Dipで有名なJonkanooリディムや、Sean Paul feat. RihannaBreak It OffHigh Altitudeリディムなどの特大ヒット・ダンスホール・リディムを連発しながら、Drop LeafSeasons、さらにはHeavenlyなどワンドロップ系のリディムも大ヒットさせる彼が、自らのレーベルのアーティスト、AlainePressureMungaを引き連れて来日。
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しかもAlaineは、この日2ndアルバム「Luv A Dub」のリリース日という絶好のタイミング!!

日本のサウンド達がフロアをガンガンに盛り上げる中、午前3時半過ぎドン・コルレオーン(まだ31歳)の紹介でAlaineの登場。
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1stアルバムでHeavenlySacrificeなど特大ヒット・チューンを連発し、一躍レゲエ界の人気シンガーになったAlaine。元銀行員という変わった経歴の持ち主であり、今やドン・コルレオーンのフィアンセでもあります。しかも早くもWithout YouSincerelyLove Of A Lifetimeなど新曲が大ボスしまくっているという状況での来日なんで、フロアの期待度も相当高いです。登場した時から凄い歓声です。

レコードでもそうだったんですが、彼女の声は非常にとても線が細い。歌い上げるようなタイプのシンガーではない。ライヴでも観客を歌で捻じ伏せるような事はせず、浮遊感のある歌声でフロアを癒すというカンジ。非常に珍しいタイプのシンガーですね。当初はその歌が聴こえづらかったくらい(ライヴが進むにつれて、どんどん声が出てきましたが)。新作の内容もそうでしたが、レゲエの枠に囚われず幅広いジャンルをカヴァーするその美しい歌声は様々な人に受け入れられそうですね。
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しかしヒット曲連発のセットはさすがに見応え有り。ここまでヒット曲があるのは凄いです。もちろんHeavenlyRise In Love、さらに新作からのLove Of A LifetimeWithout Youなど連発にフロアも大熱狂。最後はフロアから男子をステージに上げてトドメのSacrificeで大ボスでしたね。

続いてはPressureの登場。
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頭にターバンを巻いてドレッドを入れた、Sizzlaを代表とするあの独特な出で立ち(ボボ・アシャンティではないみたいですが・・・)。やっぱこの姿はインパクトありますね。もしかしたらこのターバンを巻いたレゲエ・アーティストを生で観るのは初めてかも。PressureAlaineと違い、太い声で歌うシンガー。Love & Affectionが大ボスしてこちらも一躍人気シンガーの仲間入りを果たした人です。その歌声は実に安定していて、聴いていて安心感があります。この日が28歳の誕生日という若さですが、ラスタの人はみんな歳とって見えますわ・・・。
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Jah Rastafari」を連発し、ラスタ・スピリット全開。実にオーソドックスなスタイルですが、個人的にはこういうシンガーは大好きです。ただオーソドックスなだけに出番はAlaineの前の方がショーとして良かったかもしれません。Be Freeなどワンドロップ系のヒット・チューンなどドロップし、最後はもちろんLove & Affecion!この曲の人気は凄い。みんな大合唱でしたね。名曲です。

そして最後に登場はMunga
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Bad From Mi Bornで大ボスした人気ダンスホールDJ。こちらは完璧なバッドマン・スタイル。本人曰く「Gangsta Ras」。細身の体に長いドレッドを振り乱し動きまくり。Mavadoが今のジャマイカの若手のNo.1ダンスホールDJなら、その次にくるのがこの男でしょう!
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Capletonの元で腕を磨いたというだけあってステージングも実に堂々たるモノ(そのCapletonを生涯の師と仰いでいる)。フロアから綺麗な女子をステージに上げて絡みまくるパフォーマンスにフロアのギャルからは大歓声。
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Bad Like IIn My Armsなど特大ヒット・チューンを投下しまくってフロアは大ボス。いやぁ凄いエネルギーです。勢いに乗ってる現役ダンスホールDJはやっぱ迫力が違いますね。

最後はAlainePressureDon Corleonがステージに登場し、もちろん超特大ヒットBad From Mi Born
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朝5時にもかかわらずフロア大爆発してましたよ。疲れ果てました。

生のリアル・ジャマイカのダンスホールレゲエを肌で感じれる事の出来たアツイ夜でしたね。こういうスタイルの違うアーティストが揃っているというのはとても強いです。

まだまだ当分ドン・コルレオーン・ファミリーの勢いは続きそうですね。
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# by Blacksmoker | 2009-08-14 23:12 | ライブレポート

ANTHONY HAMILTON @Billboard Live Osaka 7/27(月) 2009


2003年のデビュー・アルバムで唯一無二のソウルフルな歌声に衝撃を受けてから実に6年。私にとってまさに念願の、そして待望のアンソニー・ハミルトンの初来日公演。ここまで観る前から楽しみだったライヴも、久しぶりかもしれません。
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さて、ここ最近のR&B界ではマックスウェルの8年振りの新作が話題で、もちろん内容も超素晴らしいんですが、同じソウルマンでもアンソニーの方にはマックスウェルのような過度のセクシーさ(エロさ)は少ない。その代わりにアンソニーの声にはゴスペルに培われた老若男女にも受け入れられる親しみやすさが備わっている。同じソウルマンでもマックスウェルディアンジェロのようなソウルシンガーとの違いがハッキリしていると思っていたのですが、今回のライヴを観てアンソニーの声にも充分にセクシーさ(でもエロさとはちょっと違う)が備わっている事が感じられましたね。
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メンバー全員が黒で身を固めたバック・バンドを従え、黒のスーツや黒の帽子、そしてステッキを持って登場したアンソニー。見た目ほど歳は取ってない人ですが(まだ38歳!)、こんなステッキが似合うシンガーはアンソニー以外には、ロン・アイズレーソロモン・バークくらいのものでしょう。ただ彼らみたいに動かない(動けない)わけではなく、アンソニーの場合は見せ掛けだけのスティック。そんなものはオープニングと同時にとっとと捨て去り動きまくり!正直言って、ここまで動きまくる姿を想像していなかったので驚かされましたね。「こんな激しく動くの!?」ってくらいアクティヴなステージングに1曲目のCornbread,Fish & Collard Greenからすでに観客もスタンディング・モード。コーラスの男性シンガー(ミュージック・ソウルチャイルドを3倍くらい横に広げたくらいのカンジです)がとても良い味を出していて、観客を盛り上げるのに一役買っていましたね。
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1曲目に続いてアップテンポなファンキー・ナンバーFalling In Love。バック・バンドの骨太な演奏がライヴならではの高揚感を演出しています。とにかくドラムもベースも音がデカい。アンソニーの声を遮ってしまうほど強力だ。さらに続くのは、またもや1stから渋いComin’ From Where I’m From。重厚なゴスペル・コーラスがヘヴィなナンバーで、それをバックに歌う中低音のアンソニーの声も同じくヘヴィ。この辺のレンジの広さはさすがだ。

そして本日の1発目の鳥肌。新作よりThe Point Of It All。今までアンソニーの声を遮りがちだったバックの演奏がスローで隙間が出来た分、アンソニーの声の独壇場!いやぁ~感動的です。ただ上手いだけでなく、この声には深みがある。太くて伸びやかで、それでいて充分にセクシーさを兼ね備えています。
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さらには超名曲Can’t Let Go。あの静かなイントロを聴くだけで鳥肌立ちましたよ(本日2発目)。この曲はブルージーで、ゴスペルで、さらには南部色満載という、僕の好きなところが全部入っている希有の名曲ですよ。アンソニーの声も特に際立ちます。やはりアンソニーはサザン・フレイヴァーの曲が非常に良く似合います。

最近のアンソニーはどんどんDown Southしてきて、R&Bの枠に囚われずにカントリーやブルーズのアーティストとの共演も多くなってきている(Josh TurnerJohn Rich、さらにはBuddy Guyまでも)。そしてそのアンソニーの声はカントリーやブルーズにとてもマッチする。もちろんこれらの音楽のルーツがアメリカ南部の黒人音楽にある事に起因しているのでしょう。おそらくそれは突き詰めると「アフリカ」へ辿り着くのだと思います。アンソニーの声には、ジャンルを超越した土着的で力強い深みが備わっている。個人的にはアンソニーのこういった曲をもっともっと聴いてみたいですね。
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そしてアーバン・ゴスペルともいうべきファンキーなSista Big Bones。曲調に合わせてアンソニーもダンスしまくり!ドラムの音が異常にファンキー(このドラマーはジャネット・ジャクソンのツアーでも叩いていた有名な人みたいです)。せっかく黒スーツでキメまくっていたアンソニーもヒートアップして、スーツを脱ぎ、ネクタイを外し、中に着ているシャツの腕をまくり上げ、最終的にはFarmerみたいになっていたのが笑えましたね。そういう姿もまた似合ってしまうのがアンソニーです。

そして今回最もアンソニーの歌が堪能出来るナンバーHer Heartの登場。本日の鳥肌3発目。ちょっとAOR的な曲調の曲ですが、この曲のアンソニーの歌声は凄い。ストゥールに座ってじっくり歌うその声は、ホント身震いがするほど美しいです。ピアノをバックにした演奏もアンソニーの声を引き立てまくり。ほんと聴き入ってしまいましたね。
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さらにこの曲の途中に、ステージ脇に人影が。よくよく見ると黒いエナメル系のドレスを着た女性が!「出た!ターシャ・マクミリアン・ハミルトン!」と心の中で絶叫しましたよ。鳥肌4発目!バッキング・ヴォーカルとして来日公演メンバーとして発表されていながら、直前に名前が消えたりしたりして、「結局どうなのよ?」と思っていたんですが、どうやらゲスト・シンガー扱いになったようですね。ステージ脇で座りながら旦那の歌うのを見守る姿に既に風格が漂っていたのは気のせいか・・・。

そしてHer Heartが終わると、アンソニー自身の紹介でターシャ登場。セクシーなドレスに身を包み、髪の毛を赤く染めた姿は異様にf0045842_2352010.jpg風格が出ていますね。愛想はあまりよくないっぽいです。そして2人で披露したのはもちろんターシャのソロ・アルバム「The McMillian Story」(右写真)に入っていた共演曲Silence Kills。出だしを歌うターシャですが、これがハンパなく上手い!アンソニーとはまた違う情念系の圧倒的ヴォーカル。これは凄いです。途中からアンソニーも参加して歌いますが全く負けてません。最後のシャウトの迫力はとんでもない威力でしたよ。もう終盤は鳥肌立ちっぱなしでした(本日5発目!)。ターシャは今回のライヴで日本のファンに強烈な印象を残したんじゃないでしょうか。そのターシャは1曲終わるとそそくさと退場。帰り際にアンソニーにお尻をタッチされて笑いを取られてましたね。

続いてのPrayin’ For Youでは、アンソニーが客席に降りて来て会場中を一周する盛り上がり。客席にいるアンソニーにしっかりボディガードが付いているのはさすが「セレブリティ」の証ですね。これがスピーチなら確実に1人でしょう。それにしてもよく動きますね、この人は。ステージ上にはターシャも登場しタンバリンを叩いて盛り上げていましたね。見た目はコワイんですが、どうやら意外と楽しい人みたいです。
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1stアルバムからのヒット曲Charleneもじっくりと披露され、最後は新作からのCoolで大団円。バンドの演奏をバックに満面の笑みでステージを去って行きました。毎回ビルボードでのライヴは短くてゲンナリなんですが、今回ほどもっと観せてくれと思ったライヴもなかったですね。やっぱビルボードは「アーティストと距離が近い」という点以外はあまりメリットの無いですよ。

しかしアンソニーのあのソウルフルな歌声が充分に堪能出来て、さらにはターシャの歌声まで堪能出来たという点に於いては最高のショーだったと思います。そのキャラクターからは、おおらかな人間性も感じ取れました。まあ要するに気さくで楽しいオッチャン!このキャラクターもアンソニーが皆から愛される要因でしょう。次回のアルバム・リリースでも絶対来日して欲しいですね。

そして今度は是非ターシャとのダブルヘッドライナー・ショーでお願いします。
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# by Blacksmoker | 2009-08-11 02:17 | ライブレポート

CHURCH OF MISERY [Houses Of The Unholy]


Let There Be Doomed!!

結成13年。日本の最高峰ドゥーム・バンドChurch Of Miseryは、いつの間にか世界最強のキング・オブ・ドゥームになっていました。
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彼らのライヴを初めて観たのは確か2007年のElectric Wizardの前座の時でした。メインのElectric Wizardも凄かったですが、Church Of Miseryにもマジでブッ飛ばされましたね。70年代から時代が止まっているような出で立ちのメンバーが繰り出すBlack Sabbathを10倍くらい増強させたような超強力なドゥーム。そこに邪悪なシャーマンのように観客をドゥーム曼荼羅へと誘導するVo.のHideki Fukasawaのパフォーマンスに瞬時にフロアは暴動状態に陥ったのは今での鮮明に覚えています。

それ以降何度か彼らのライヴを観ましたが、どんどんヤバくなる彼らのパフォーマンスに完璧にブチのめされましたね。特にVo.の存在感は、15年くらい前に観たCathedralのフロントマン、リー・ドリアン並みのカリスマ性がありますね。

f0045842_15404680.jpgそんなChurch Of Miseryの5年振りとなる新作「Houses Of The Unholy」。前作「The Second Coming」以降もEPやスプリットなどアナログ盤でのリリースが続出で久しぶりな感覚はありませんが、意外にも5年振りのフル・アルバム。これが全てのドゥーム・ファンを完膚なきまでに叩きのめす超強力盤。現存のロック・バンドの中では現時点で最高峰のドゥーム・アルバムです。遂にChurch Of Miseryは、TroubleCandlemassSaint VitusThe Obsessedなどの偉大なる伝説の先達と並ぶドゥーム・バンドになったと言えるでしょう。失禁しそうなくらいカッコイイです!

今回は何とRise Aboveレーベルからのリリース。Rise Aboveと言えばCathedralリー・ドリアンが主宰するドゥーム・レーベル(実は20年も前から運営されている!)。最近でf0045842_15485648.jpgOrange GoblinWitchcraftFirebirdなどの若手ドゥーム・バンドから、Electric Wizardといったレジェンドや、さらにはあのMossまでもリリースしており、ドゥーム・ファンにとっては現在最も信頼の置けるレーベル。そんなRise Aboveからのリリースというだけでも期待が高まるが、今回のこの「Houses Of The Unholy」Rise Aboveのカタログの中でも最高峰の一枚になるでしょう。

まずはもうお馴染みの殺人鬼ジャケットですが、今回のジャケットも強烈。何と1920年代~30年代にかけてアメリカを震撼させた連続殺人鬼アルバート・フィッシュの写真なのです。しかもその写真がジャズのBlue Noteレーベルの名盤ジャケットを模倣したアートワークになっています(ご丁寧にもRise AboveのロゴまでBlue Note風!)。アルバムの中にはアルバート・フィッシュの別名を冠したThe Gray Manという曲まであります。筋金入りです。
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さて、アルバムの方はもう1曲目El Padrinoのヘヴィなギターと歪みきった重低音ベースから繰り出されるリフからもう既に神の領域に達しています。そこに憎悪を放出しまくる凶悪なヴォーカルが乗り禍々しいグルーヴを生み出します。最近観たライヴでもこの曲を必ずオープニングに持ってきているだけあって、自信漲る強烈な一撃です。9分近い長さがあっという間ですね。

全曲を通してこの禍々しいグルーヴの連続。特にギターのリフのカッコ良さに関しては最近では随一。さらには全ての曲と歌詞を作っているのがベーシストなのでベースの目立ちっぷりもハンパないです。そして叫ぶだけでなくブルージーさも兼ね備えたヴォーカルの圧倒的存在感も凄いです(Corrosion Of Conformityペッパー・キーナンの声をもう少し凶悪にしたカンジですね)。
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そして今回も曲ごとに人類史上最も残忍な凶悪殺人鬼達の歌が歌われていきます。

ショットガン乱射殺人鬼ジェイムズ・オリヴァー・ヒュバーティを歌ったShotgun Boogie、更には猟奇殺人鬼リチャード・トレントン・チェイスを歌ったBlood Sucking Freak、そして連続強姦殺人鬼リチャード・スペックの腕のタトゥーの文字を冠したBorn To Raise Hell、そしてネブラスカの連続強盗殺人カップル、チャールズ・スタークウェザーキャリル・フューゲイトを歌ったBadlandsブルース・スプリングスティーンも自身の曲Neblaskaで彼らの事を歌っている)など、凶悪なオーラを放つ禍々しくも危険なサウンドです。聴いていると精神のタガが外れてくるんじゃないかと思ってしまいますよ。
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現時点では間違いなく最凶のドゥーム・アルバム。覚悟して聴いてみて下さい!

しかし、こんな凄いアルバムを創っていながら何とアルバム完成直後にヴォーカルが脱退!現在ヴォーカルを探しているみたいです。果たしてあんなカリスマ性のある人物が見つかるんでしょうかね?

 
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# by Blacksmoker | 2009-07-16 00:13 | ROCK

BRUTAL TRUTH [Evolution Through Revolution]


グラインドコアの神、再び降臨。

f0045842_021434.jpg2006年に再集結を果たし、翌2007年には「Extreme The Dojo Vol.17」で来日し壮絶なパフォーマンスでグラインドコア・ファンを捻じ伏せてくれたBrutal Truth。長く待たれていた新作が遂に登場です。

1997年の「Sounds Of The Animal Kingdom」以来、12年振りとなるこの新作。正直聴く前はこの12年ものブランクを克服出来るのか心配していましたが、こちらの心配など一撃で粉砕してしまう凄まじい出来です。完全に甘く見ていました・・・。
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タイトルは「Evolution Through Revolution」―「変革の後の進化」。これは紆余曲折を経てBrutal Truthが辿り着いた新たなる到達点。恐ろしいまでのパワーと、恐ろしいまでの怒りや憎悪のエネルギー、そしてちょっとだけのユーモアを凝縮したこのサウンドはヘヴィさを標榜する凡百のバンドを軽く蹴散らしてくれるでしょう。とにかく究極に壮絶な作品です。
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今回の新作は、グラインドコアの金字塔とも言える「Sounds Of The Animal Kingdom」(そういえば2004年に芥川賞を受賞したモブノリオ「介護入門」の中に、大音量で”Brutal Truth”の”Sounds of the Animal Kigdom”を22曲目まで聴かせてやろうという一節が出てきますね。ちなみに24曲目の方がヤバイです!!)のRAWで荒々しいパワーと、コリン・リチャードソンのプロデュースした「Need To Control」でのキレのあるメタルの整合感の両方を融合させたような新たなる次元に突入しています。

1曲目Sugar Daddyから、もう即死。アドレナリンが出まくって、全身の血が沸騰する程ヤバイ事になっています。

何よりも凄いのはリッチ・ホークのドラム!
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前回紹介したAgoraphobic Nosebleedは「人間の限界を超えた速さのドラム」を表現するためにドラムマシンを導入していますが、はっきり言ってAgoraphobic Nosebleedのドラムより速いです!Agoraphobic Nosebleedは一聴すると機械とは思えないドラムに驚愕しますが、それとは逆にこのリッチ・ホークのドラムは一聴すると人間技なんて全く信じられないです。速すぎます。どうやったらあんな細い体からこんな人間技を超えたドラムが叩けるんでしょうか?リッチ・ホークBrutal Truth以外にやっているTotal Fucking Destructionでもそれはそれは凄絶極まりないドラミングが聴けますが、やはり本業Brutal Truthでは気合いの入り方が違います。そして、やはりBrutal Truthにはこの男のドラムしかありませんね。ちなみに今作のマスタリングを担当しているのが、前述のAgoraphobic Nosebleedの頭脳スコット・ハル。彼はリッチ・ホークのこのドラムを聴いてさぞ悔しかったに違いない。

ヴォーカルのケヴィン・シャープ(下写真)は以前よりも低い声になっていますが、咆哮のキレ具合は相変わらず尋常ではないです。
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全20曲。ほとんどの曲が1~2分の超濃縮型激烈グラインドコアの嵐(ただその中には、わずか5秒で終了するGet A Therapist…Sare The WorldというNapalm Deathへのオマージュみたいな曲があったり、Melvinsのようなミドル・テンポのスラッジのような曲があったりもしますが)。全て聴き終える頃にはグッタリです。
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これはまさしく「グラインドコアの神による、グラインドコア・ファンの為の、グレイト過ぎるグラインドコア・アルバム」です。一家に一枚のマスト盤。

ちなみにファン以外は絶対に手を出さない方が良いでしょう。
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# by Blacksmoker | 2009-07-13 00:07 | 極北

AGORAPHOBIC NOSEBLEED [Agorapocalypse]


スコット・ハルという男をご存知だろうか?

Anal Cuntのギタリストであり、現Pig Destroyerの中心人物である奇才ギタリストだ。ちなみに自身のソロ・アルバムでは、それらの常軌を逸した音楽とは全く違うアンビエントなラウンジ・ミュージックを見せるグラインド・コア界の鬼才とも言える。

f0045842_045928.jpgそんなスコット・ハルのバンドの一つでもあるこのAgoraphobic Nosebleed。その新作「Agorapocalypse」がマジで凄い(いや、毎回凄いんですが、今回は特に凄い!)

スコット・ハルの数あるプロジェクトの中で、このバンドの特徴はその「速さ」だ。このバンドの目指すのは「限界を超えた速さのグラインド・コア」。その速さはもう人間の力では実現出来るものではない為(噂ではBPMは1,000以上あるとか!)、マシンドラムを使用しており、ドラマーはいないのです。そしてその速すぎて判別出来ないくらいの超高速ブラストビートに合わせて渾然一体となって襲い掛かる叫びっぱなしのヴォーカル。そして速すぎる展開を見せる殺傷力抜群のギターとベース。もう聴くだけで相当の体力を要します。
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そんなAgoraphobic Nosebleedの7年振りとなる新作。7年振りと言ってもEPやらスプリット盤やらを多発しているので、全く不在感はないですね。そういや2005年にリリースされたシングルや未発表曲を集めたEP「Bestrial Machinery」は2枚組で136曲収録という凄いインパクトでした。(あと、スコット・ハルが編集した反ファシストの為のグラインド・コアのコンピレーション「This Comp Kills Fascists」も壮絶で必聴!)

さて今回このAgoraphobic Nosebleedは、バンド編成、そしてサウンドともに多少の変化があります。まずは新メンバーに女性ヴォーカルが加入した事!何とツイン・ヴォーカル体制になったのです。Salomeというバンドで活動するKatherine Katという女性なんですが、写真で見たらたまげました。
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ブロンド・ヘアーのあどけなさが残る少女じゃないですか!!見様によっては未成年じゃないかと思えるほどです。こんな女性がAgoraphobic Nosebleedみたいなバンドに入っても大丈夫なのかと思いましたが、一聴して納得。杞憂でした。もう1人のヴォーカルを喰うくらいの怖ろしいスクリーム&グロウルにケツを蹴り上げられますよ。他のヴォーカルとどう違うのかと聞かれても、全く同じ系統なんでそんなものは良く分かりませんが、この代わる代わるに吼えまくられる様はもう拷問のようです。
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さらに今回はサウンド面でも変化があります。BPMを限界まで速める事を命題にしていたこのバンド。今回はBPM1500くらいまで行くんじゃないかと想像していましたが、予想に反して今回はBPMを落としてきました(それでも一般のグラインド・コアと比べても十分に速いんですが・・・)。今までは正直言うと、BPMを上げ過ぎることによって少し単調感が出ていたことは否めなかったので、この部分を改善して楽曲としての完成度を高める方向にシフトしたのかも知れません。今まで1曲20秒くらいの曲ばかりだった彼らが今作では2~3分の曲が中心になっています。曲数も13曲という最も少ない曲数です。

しかし、この変化が大正解

まず1曲の中で展開を持たせることで単調感を払拭し、さらに鬼のように鋭く殺傷力のあるギターリフの多様さが今までで最も光ります。アルバムとして最後までしっかりと飽きずに聴ける点に於いて、更に楽曲のカッコ良さという点に於いても、今作はAgoraphobic Nosebleedのアルバム中で最も素晴らしい出来でしょう。
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そして毎回驚くのですが、このマシンドラム。プログラミングに相当な時間を掛けているのが、聴いていてよく分かる程、技の多いドラミング。バスドラが速いだけでなく、シンバルやハイハットのヒット音、さらにはタム回しやら技があまりにも巧妙すぎて人間が叩いているとしか思えません!曲の途中でドラム・ソロが登場する曲があったりもして、全く機械だとは考えられません・・・。凄いです。

もうこうなるとPig Destroyerとのサウンドの違いが分からなくなってきそうですが、まあそんな事はどうでも良いくらいのブチ切れまくったサウンドです。素直に楽しんで、この激烈なサウンドに圧殺されるのみでしょう。
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# by Blacksmoker | 2009-07-09 00:38 | 極北

Atom™ @大阪ワールド・トレード・センタービルディング展望室 6/13(土) 2009


傑作「Liedgut」をリリースしたばかりのドイツ人エレクトロニック・ミュージシャンAtom™、またの名をアトム・ハート、そしてまたの名をセニョール・ココナッツ

f0045842_14581.jpgいくつもの名義を使い分け多作な彼が、あの「Raster-Norton」からのリリースという事でAlva Notoのような一切の人間的感情を排除した硬質なエレクトロニクス・サウンドが展開されるのかと思いきや、その新作「Liedgut」(左写真)のサウンドは予想外にも、今までの現代エレクトロニクスの歴史を俯瞰したような様々な要素(Alva Notoはもちろん、OvalFennesz、さらにはJeff MillsAphex Twin、さら遡ってKraftwerkまでも!)を持ち、それらが「ポップ」という文脈でも見事に結実した傑作でした。

そんなAtom™の来日公演。場所は大阪南港にそびえ立つワールド・トレード・センタービル(WTCコスモタワー)。その最上階55階にある展望室が今回の会場だ。エレベーターで52階まで昇っていき、そこから40mの長さのエスカレーターで上がって行くとその先に現れる展望室。地上252mのその空間は360度全面ガラス張り
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眼下に大阪の夜景が広がるという風景は、まるでバブル期の名残りを若干感じさせますが、その様子はまるで「天空の城」です。そんなありえない非日常的空間でAtom™のライヴが観れるなんて嬉しすぎます。

さて現れたAtom™はバッチリと黒いスーツに身を包んだ出で立ち。機材の置かれた卓の前に佇む姿はまるで「1人Kraftwerk」。
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機材もシンプルにTenori-OnMPC、そして足元にはペダル2個のみ。

そして、そこから出される音は最新作「Liedgut」とは全く違ったスピード感溢れるダンサブルな音。Atom™というより、アトム・ハート的な音ですね。

面白いのはステージの両側に配置されたスクリーンの映像。
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左側のスクリーンには音とリンクして不思議な動きをする映像(ビートのキックに合わせて映像が変化したりする)が映し出されていきます。そして逆の右側のスクリーン。こちらには真っ黒いバックに緑色の電光の文字列が映し出されている。一見するとパソコンのプログラミング画面のように見えるが、よく見ると徐々に文字列が変化していっています。

これは何と操作パネルの画面をそのままスクリーンに映し出しただけなんですね!
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要するにAtom™が今、手元で操作している機材の画面がリアルタイムで映っていたのです。イコライザーやエフェクターやピッチ、そしてドラム・パターンなどを変化させていく画面だけを見せるという「視覚的に全く面白くないもの」を逆に視覚的に利用し、逆に現代のエレクトロニクス機材の最先端インターフェイスである視覚効果抜群のTenori-Onを、全く視覚的に演出せずに音のみで使用するなんて、何て使い方!!この逆転の発想に度肝を抜かれましたよ。
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無表情でほとんど動きを見せないAtom™のライヴが視覚的にここまで楽しませてくれるものだとは予想外でした。しかも大阪の夜景が眼下に広がるこんな場所で行われているというパラドックス!

ライヴの方はBPMを定期的に変化させながら、終始Tenori-OnMPCのみで作られたサウンドだけで通し切っていく姿には神々しさすら感じましたね。そしてそれが場所の非日常感とも融合して、とても奇妙な磁場が作られていましたよ。
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今年観た中では奇抜なアイディアと音楽、そして非日常的な空間も相まって最もファンタスティックなパーティだったと言っても間違いないです。そしてこの会場は是非もう一度行って見たい場所ですね。

あとAtom™が気になった人は、新作「Liedgut」が素晴らしいので是非聴いてみて下さい!

  
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# by Blacksmoker | 2009-07-03 00:39 | ライブレポート

AKRON/FAMILY @京都メトロ 6/11(木) 2009


こんな凄いヤツらだったとは!!

常々「ライヴがとんでもない」と噂されるAkron/Familyの来日公演を観てきましたが、これは噂に違わない凄いバンドだ。
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今、インディロック・シーンでは新たなる地殻変動が起こっている。

Animal CollectiveがNYロック・シーンの重鎮へと成長し、それに続くGang Gang Danceなども独自の成長を遂げている。そしてネオ・シューゲイザーと呼ばれるNo AgeDeerhunter、60年代フォーク/バロック音楽を彷彿させるFleet Foxes、更にカナダからはNeko Caseなど、続々とオーヴァーグラウンドに登場し、なおかつ商業的にもある一定の成功を収めているのです。

その中でNo Ageと共に今最も注目されているのがNYを拠点に活動する異能音楽集団Akron/Family
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デヴェンドラ・バンハートを発掘したSwansマイケル・ジラの目に留まり、彼の主催するレーベル「Young God」から2005年に1stアルバムをリリースしているこのAkron/Familyf0045842_9131578.jpgヴェンドラ・バンハートととも共通するその雑多すぎるサウンドはいわゆる「フリー・フォーク」の文体で語られることの多かったAkron/Familyですが、3月にリリースされた新作「Set ’em Wild, Set ‘em Free」(右写真)では、更に大きく進化したと言っていいでしょう。前作発表後に4人組から3人組になり、「Young God」からも離れたこの新作で、今まで正体を掴みづらかったAkron/Familyが、よりバンドとしての一体感を高めたサウンドに変化した素晴らしい作品でしたね。

そんな素晴らしい新作を引っ提げての待望の来日公演。

ステージ後方には新作のジャケットにも使われているお馴染みのアメリカ国旗を掲げています。そして登場した3人はアパラチアン山脈から出てきたような風貌。ギターのセス・オリンスキーはTシャツ&ジーンズ&長髪&髭&眼鏡という由緒正しきヒッピー・スタイル。そしてベーシストのマイルス・シートンは白いタンクトップを着たマッチョな労働者風スタイル、そしてドラマーのダナ・ジャセンは民族衣装を着たこちらも完全なヒッピー・スタイル。
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そんな時代性とはかけ離れた3人ですが、見た目とは裏腹にミュージシャン気質(何でも全員が20個以上もの楽器を扱えるそうです)。見た目は緩いのですが、音の方は3人とは思えないほどダイナミックでラウド。さらにバンドとしての一体感が加味されて圧倒的なサウンドを聴かせてくれます。さらにギターのセスがキーボード&サンプラーを使って繰り出すSEやエレクトロニックなビートがその有機的なサウンドと融合しAkron/Familyしか出せないサウンドを演出します。さらにSEで曲間を繋ぎ、ほとんどノンストップで曲が続いていく構成も面白いです。
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そして凄いのはこの一見バラバラな個性の3人がThe Bandばりに素晴らしいコーラス・ハーモニーを見せ付けるのです。観ていてビックリするほど美しいコーラスに驚いてしまいましたね。
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さらに圧巻は中盤に用意されたジャム・セッション。前座で登場したあふりらんぽSistertailというバンドのメンバーが総勢10人以上もステージに上がっての一大サイケデリック・セッション!
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サックスやメロディカを加え、あとの他のメンバーはパーカッションを叩きまくりで、まるで90年代初期のBoredomsのような得体の知れないマグマのようなパワーを感じるセッションでしたね。これがこのAkron/Familyのライヴの凄さか!

そういえばライヴが始まる前にAkron/Familyを召喚したレーベル「コントラリード」の人が出てきて「彼らはライヴが盛り上がれば盛り上がるほど、どんどん力を発揮しますから」と言っていましたが、それが良く分かります。Akron/Familyのライヴというものは観客とバンドが一体になって創り上げていくものなんですね。今回の京都公演は(他の公演は観ていないので分かりませんが)、まさしく客とバンドが一つになって凄まじいエネルギーを生み出していたと思います。特にそのエネルギーの質量はハンパなかったですね。その後ベースのマイルスは盛り上がりすぎて客席にベースを弾いたままダイヴ!クラウドサーフィンをしながらベースを弾くというハジけっぷりでした。
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そして、その大セッションのまま、新作のオープニング・ナンバーEveryone Is Guiltyに突入。ここでテンションが上がりきったフロアのエネルギーが爆発。この日のピークを記録したのは言うまでもありません。
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しかし、こんなテンションで毎回ライヴをやってるなんて、こりゃ凄いバンドだ。No AgeにしてもこのAkron/Familyにしても、ライヴという場所でレコード以上の力を発揮しますね。やはり人気が出るだけのことはある。

そして最後は、ハジけきったフロアの客を癒すかのような静かなゴスペル・ナンバー。3人のコーラスが美しいです。さっきまで暴れまくっていたメンバーが繊細で美しいコーラスを見せてくれる姿はとても感動的な光景でした。
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バンドならではのダイナミックさと、見た目とは裏腹の繊細さが同居し、客のエネルギーまでも自分達のエネルギーに昇華させていくAkron/Family。彼らにはまだまだ無尽蔵の力がありそうな気がしますね。もっと大きな会場でやることが出来れば更なる力を発揮しそうですね。

とにかくこのバンドは観れて良かったです。まだ未体験の人は次回の来日こそは観る事をオススメします!
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# by Blacksmoker | 2009-06-30 08:54 | ライブレポート

ANTHONY HAMILTON [The Point Of It All]


で、前回のターシャに続いて今度は旦那アンソニー・ハミルトンの3作目「The Point Of It All」

f0045842_13123692.jpg2005年の前作「Ain’t Nobody Worryin’」から4年も空いていますが、その間にもかなりの数の客演をこなしたり、未発表曲を集めたアルバム「Southern Comfort」が出たり、さらには映画「American Gangster」への出演に、そのサウンドトラックへの曲提供、最後は嫁ターシャのデビューなど話題には事欠かかないカンジですが、やはり正式なアルバムとなると俄然期待してしまうのがこの男です(そもそもこの男の声が聴けるだけでいいというファンも多いでしょう)。

そんな稀代のソウルマン、アンソニー・ハミルトンの新作は、名盤だった前作の路線とは若干意匠を変えてきました。
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今回のアルバムを一聴して気付くのは、そのサウンドの違い。前作「Ain’t Nobody Worryin’」はモロに南部路線でしたが、今回は若干サウンドがヒップホップ・ソウル路線。前2作と違って非常に「都会的な」ジャケットも象徴的ですね。前作を期待した人は少々面喰うかもしれません。
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何たって、このアルバムからの1stシングルCoolからして、今までと様相が違います。まるで80年代後半のヒップホップのようなドラムマシンによるビートに、ボトルネック奏法のギターの音の1フレーズをサンプリングしただけという超シンプルな「1ループ」トラック。そして後半にデイヴィッド・バナーの野太いナスティなラップが出てくるという今までのアンソニー・ハミルトンには無い新機軸な1曲です。前作の1stシングルだったCan’t Let Goとはかなり違いますね。しかしアンソニーの声が入るとそれだけで十分魅力的な曲になるのが不思議です。

これ以外にもトラックがヒップホップ・ソウル的なものが多いです。The Day We MetFallin’ In Loveなんて、メアリー・J・ブライジが歌ったらバッチリなトラックですよ。

そもそもアンソニー・ハミルトンという男はレーベルの倒産f0045842_1326837.jpgなどでデビュー作のリリースが見送られてお蔵入りになり、So So Defに移籍して新しく作った1stアルバム「Comin’ From Where I’m From」が大ヒットした経歴がある。そんなアンソニーの見送られたアルバムの内容は「ヒップホップ・ソウル的なもの」だったと言われている。ですので、アンソニーは前2作のディープ・ソウルな泥臭いサウンドを踏襲せずこの新作では、デビュー前のヒップホップ・ソウルな洗練されたサウンドへ向かったことになりますね。

おそらくこれはアンソニーの意向なのでしょう。最近の彼の参加した曲やアーティストを見ると、かなり多彩になってきているのが分かります。カントリー系シンガーとの共演(Josh TurnerJohn Rich)や、ファンク路線の曲などもあります(前作ではレゲエにも挑戦していたし)。
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これは1人のシンガーとしてのステップアップとして捉えるべきでしょう。アンソニーはド渋なディープ・ソウルな曲以外でも、どんな多彩な楽曲も乗りこなす力量も持ち合わせているのです。ただ、どんな曲でもあの声が被されば自然にアンソニー印になってしまうわけですけどね。

しかし、今までと全く違ってしまったかというとそんな事も無く、以前からのファンも納得させられる曲もしっかり収録されているのもニクイ。ホーン・セクションが絡むPlease Stayや、都会的な洗練さとサザン風味が見事に合わさったThe Point Of It Allなどは名曲ですね。ボビー・コールドウェルが歌いそうな若干AOR調なバラードHer Heartも新機軸だがハマっています。
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そしてラストに歌われるのは、このアルバムを聴く人へ捧げるようなゴスペルFine Again。以前のファンも、新しいファンも、さらにはこのアルバムの方向性に違和感を感じている人でさえも、この「きっとまた良くなるさ」と歌われるこの曲に全ての感情を持っていかれる事でしょう。

サウンドは変わってもこの男のスピリットは全く不滅。前2作にも劣らない作品だと思います。

    
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# by Blacksmoker | 2009-06-24 13:09 | R&B / SOUL

TARSHA McMILLIAN HAMILTON [The McMillian Story]


この品行方正なジャケット写真。R&Bファンならこのジャケットだけでも買いでしょうが、中身も素晴らしいです!

f0045842_1551923.jpgターシャ・マクミリアン・ハミルトンの記念すべき1stアルバム。R&Bファンなら彼女の名前はアンソニー・ハミルトンの2006年の2ndアルバム「Ain’t Nobody Worryin’」に収録されているPreacher’s Daughterに参加していたシンガーとして記憶している人も多いでしょう。しかし、そのときの名前は「Tarsha McMillian」でした。そして今彼女は「Tarsha McMillian Hamilton」。

そうです、アンソニー・ハミルトンと結婚していたんですね。そして旦那の前面バックアップを受けてリリースされたのがこのアルバム。これがホントに素晴らしいアルバムなのです。

「The McMillian Story」というタイトルから分かるように、このアルバムはターシャだけでなくマクミリアン一家の今までの人生、そしてこれからの未来を歌った非常にパーソナルな内容。インナースリーヴの写真も彼女の子供時代の家族の写真がたくさん使われています(2ページに渡ってギッシリと書き綴られたサンクス・リストの内容も要チェック)。
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Preacher’s Daughterの時は、アンソニーのバッキング・ヴォーカル的な扱いだったので、彼女の歌声の真価はまだ未知数でしたが、今回のアルバムで披露された彼女の歌声はまさしく本物。1曲目を聴いた時はエリカ・バドゥの歌声を思い出しましたが、エリカ・バドゥのように突き放すようなクールさは無く、もっと母性を感じさせる包容力のある歌声で、しかもゴスペル的な要素を持っているのが特徴ですね。

旦那様のアンソニー・ハミルトン(左写真)がバックにf0045842_1620697.jpgついてるだけあって、制作陣も彼のアルバムに関わっている人脈を総動員。プロデュース陣にはアンソニーの前作にも参加しているケルヴィン・ウーテン。さらにアンソニーとは1stアルバムからの付き合いであるジェイムズ・ポイザーアル・グリーンのアルバム「Lay It Down」でも良い仕事をしていましたね)など、一介のインディーズ・レーベル(Mister’s Music)から出た新人シンガーのデビュー盤にも関わらず、その参加メンバーの豪華さはメジャー流通のアーティストのアルバムに匹敵します。

さらにアンソニーに関しては12曲中5曲でバッキング・ヴォーカルで参加。さらにもう1曲の、このアルバムのハイライトとも言えるSilence Killsでは堂々とデュエット相手として登場します。

そしてその豪華参加陣に全く引けを取らないターシャのヴォーカル。
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これがホントに心が洗われそうなほど素晴らしい。凛とした中にも包容力のある優しい歌声。セクシーさはあまり無いですが、その代わりに万人に愛される要素を持っています。徐々に頂点に向かって盛り上がっていく歌い方は、おそらくゴスペル畑の出身と思われます。

実はこのアルバム、個人的に当初前半の5曲くらい聴いた時にあまりピンと来なかったのが正直なところなんですが、ハイライトとなる6曲目のアンソニー・ハミルトンが登場するSilence Kills以降、後半はビックリするくらい曲が素晴らしくなるんです(アナログ盤なら、A面最後~B面に掛けてですね)。

前半は1曲目のニュー・クラシック・ソウルなSecond To Nothingや、初期のエリカ・バドゥを彷彿させるUnconfidential Love、さらにアップなダンスナンバーPraise Him、さらにはディストーション・ギターが炸裂するロック・テイストなReaching Outなどバラエティに富んだ内容なんですが、何か違和感がありました。
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しかし次のSilence Killsで一気にアルバムの空気が変わります。アンソニーとのデュエットでドラマティックに盛り上げるピアノ・バラード。やはりこの男の声は素晴らしすぎます!しかし凄い夫婦ですよね。そして、この次の曲Pressing My Way。これが個人的にはベスト。ハモンド・オルガンの穏やかな音色で始まるサザン・ソウル色全開のゴスペル。この曲を聴いて前半で感じていた違和感の正体が分かりましたね。彼女の声が最も映えるのはこういった南部色の強いゴスペル・ナンバーなんですね。

意図的にそうなのかどうか分かりませんが、後半はゴスペル・ナンバーばかり。9分近いThomas’ Hymnや、Ronald Hubbard(この人は初耳ですね)を迎えたBetter、アコースティック・ギターが優しく穏やかなFrom Me To Youなど、感動的で素晴らしい曲ばかり。どの曲も穏やかに始まりゴスペル・コーラス隊がドラマティックに盛り上げていくサザン・ソウル。ターシャの声が見事と言うしかないほど映えています。

これは是非R&Bファンに聴いて頂きたい作品です。

ちなみに7月に決まったアンソニー・ハミルトンの初来日公演の来日メンバーにターシャの名前がクレジットされてたので、かなりテンション上がったんですが、最近その名前が消えていますね・・・どうなんでしょうか?是非とも一緒に来日して欲しいです!
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# by Blacksmoker | 2009-06-17 15:47 | R&B / SOUL

MIKE DOUGHTY @ 梅田Rain Dogs 6/10(水) 2009


Back in 1994. 今から15年前。

BeckG.Love & Special Souce、そしてThe Jon Spencer Blues Explosionなど(当時では)最先端ともいえるジャンルに囚われない雑多な音楽性を持ったバンド達(ヒップホップの感覚を取り入れている所が共通していますね)が続々とシーン登場し、カート・コバーン亡き後にも新しい地殻変動が起こっている事が肌で感じられた1994年。

その同じ1994年にNYから登場したSoul Coughing
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彼らの1stアルバム「Ruby Vroom」(右写真)はその新しい潮流の中でも見逃す事の出来ない素晴らしい名盤でした(今聴いてもその素晴らしさは再確認できf0045842_1572036.jpgますよ)。NYのアンダーグラウンド・シーンならではのアヴァンギャルド感を纏い、サンプリングを多様したサウンド、さらには言葉を詰め込んだラップ調のボーカルのクールさに、ウッド・ベースを使ってジャズっぽさも加味した完全にオリジナルなスタイルを持ったこのSoul Coughing。同世代のバンドの中でもその鋭い感覚は群を抜いていましたね。その後、彼らはアルバムを3作目まで発表しましたが、商業的な成功を収める事はなく、2000年に惜しくも解散してしまいました。

それから9年。何とそのSoul Coughingのフロントマンだったマイク・ドーティが来日してツアーを行うというではありませんか!

Soul Coughing解散以降、メンバーの動向は全くチェックしていなかったんですが、調べてみたら何とマイク・ドーティはアルバム4枚も出していたんですね!
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しかもここ最近2作は何とあのデイヴ・マシューズのレーベル「ATO」からのリリースじゃないですか!完全にノー・チェックでした・・・。でも元気に活動してくれているみたいですね。(日本でも人気のアメリカのTVドラマ「Grey’s Anatomy」にも曲が使われているようで、最近「Grey’s Anatomy」を観まくっている奥さんにその曲を聴いてもらったら、「聴いた事ない」って言われましたけど・・・。)

さてそんなマイク・ドーティSoul Coughing以来の久々の来日。大阪会場はRain Dogsでしたが客は何と20人くらい・・・。前座で5バンドも出ていて、そのバンドのメンバー達も含めて20人なので純粋にマイク・ドーティを観に来た客はおそらく3人くらいでしょう。どうやらSoul Coughingの遺伝子は大阪では死滅してしまっていたようです(泣)。

そこへアコースティック・ギター1本を抱えて登場したマイク・ドーティ。横にはチェロ奏者を1人引き連れています。
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マイクは2008年のアルバム「Golden Delicious」のジャケットの写真よりも太っていて、おまけに髪は無くなっており何か別人のようでしたね。この日はマイクの誕生日だったらしく開演前にいきなりサプライズでバースディ・ケーキが登場。みんなでハッピー・バースディを歌いお祝い。とてもアット・ホームな感じでスタートしました。
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風貌は変わってしまいましたが、歌い始めるとあのレコードで聴いた歌声が健在でまずそれだけで感動してしましましたね。マイク・ドーティの声はホントに素晴らしい。明るく、抜けの良いその独特な声は天性のものですね。声の質感はデイヴ・マシューズに似ていますね。オープンコードで弾くアコースティック・ギターのジャラジャラした音色に、アタックの強いピッキングがビート感を出し、さらにはチェロ奏者とのアンサンブルが完璧で2人なのでとても色彩豊かな音をしていましたね。

ソロになってからの曲は全く未聴だったんですが、サウンドはSoul Coughingの時のようなアヴァンギャルドな音ではなく、もっとアメリカン・ルーツ音楽へ向かっている曲が多いですね。シンプルなんですが、マイク・ドーティの書くメロディが要所で冴える素敵な曲ばかりです。あと独特の言語感覚の言葉を繰返す歌い方はSoul Coughing時代から今でも健在。このヒップホップ以降の言語感覚も彼の特徴の一つでしょう。
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ファンには感涙の懐かしのSoul Coughing時代の曲も披露しつつ(Circlesなんて最高です!)、ソロ曲をしっかり演奏して約1時間のステージは文字通りあっと言う間に終了しました。1曲1曲のメロディが立っているので、どの曲も耳を捉え聴き入ってしまいます。この人のライヴならおそらく2時間でも十分に飽きないで楽しめるでしょうね。やはりこの男のソングライティング力は素晴らしいものがあります。
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Soul Coughingの遺伝子はここ大阪では死滅してしまったかもしれませんが、一人のアーティストとしてのマイク・ドーティの素晴らしさはしっかりと観た人の記憶に残せたんじゃないでしょうか?(20人しかいなかったけど。)

この男、これからも応援していきますよ!私も早速、彼のソロ・アルバムをチェックします。まだ聴いたことない人はSoul Coughing「Ruby Vroom」から聴いてみて下さい!
  
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# by Blacksmoker | 2009-06-13 01:48 | ライブレポート

NO AGE @ 鰻谷sunsui 5/25(金) 2009


いや~イメージと全く違うバンドでビックリしましたよ。

2008年にアルバム「Nouns」をリリース以降、絶好調のNo Age
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現在、第2期の黄金期を迎えるSUB POPレーベルの中でもその主力とも言える存在である彼らの来日公演に行ってきましたが、これがこちらの予想を大きく上回るライヴでした。

当初、私が彼らに持っていたイメージは「ノイジィなガレージ・ロックの2人組」というカンジでした。もちろんその「ガレージ・ロック」に関しては予想の範囲だったかもしれませんが、「ノイジィな」というイメージに関しては、こちらの予想を大きく上回る音のデカさ!もう「轟音」です。これが今世間で言われるネオ・シューゲイザーというヤツなんでしょうか?それにしてもこんなに音がデカいとは!前月に同じ場所であったSunn O)))の轟音にも負けないくらいの音のデカさでしたよ。
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さて、ギター&ドラムの2人組のバンドと言われてすぐに思いつくのがThe White Stripes、そして私も大好きなThe Black Keys。彼らのルーツはブルーズだ。彼らの曲にはギターのフレーズにもそのブルーズの要素が多分に見え隠れしますが、No Ageのサウンドにはブルーズ的な要素はあまりない。彼らのルーツにあるのはパンクだ。しかもジャンク的要素も加味しているパンク。グルーヴが完全に縦ノリ。The Jon Spencer Blues Explosionからブルーズの要素を引いて轟音にしたらNo Ageになるかもしれませんね。ギターのランディ・ランドール(写真と違ってかなり太ってました・・・)は思いっきりThe MisfitsのTシャツ着てたし。
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そしてドラマーでありボーカルも兼任するディーン・アレン・スパント。そのか細い体からは想像もつかないシンプルで力強いドラミングは圧巻の一言。一音一音がズシンと重く響きます。ボーカルをとっている時のドラミングは少し単調になるが、それ以外では荒々しく暴れまくりです。そこにランディの耳を劈くほどの轟音ギターが重なりモノ凄いグルーヴを生み出します。とにかくうるさいし、カオス。ポップさを増長した「Nouns」(下写真)の曲でさえもほとんど判別出来ないくらいのカオス度。こいつらの本当の凄さはレコードではなくライヴだという事が実感出来ましたね。彼らのアルバムはあまりずっと聴きまくるタイプのものではないんですが、ライヴを観てからアルバムを聴くとまたその魅力が変わって新しい発見がありますよ。
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2人組バンドとしてはライヴ・パフォーマンスも重要な要素ですが、これももう堂々たるもの。やはり世界各国でライヴしまくって、ライヴ慣れしただけの事はある。観ていて全く飽きさせない激しいパフォーマンス。終盤に披露されたNo Ageの新しいアンセムともいえるEraserではランディが客席に飛び込んでフロアでギターを弾いたり、ディーンがドラムセットを離れてマイクスタンドを掴みボーカルをとったりと、やりたい放題。若さ溢れるフレッシュなライヴが清々しかったですね。
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やはりOmにしてもHellaにしてもLightning Boltにしても、今まで私の観た2人組バンド達はやっぱりレコード以上にライヴが最強です。このNo Ageもそれらのバンドに匹敵するくらいライヴがハンパなく凄かったです。Sunn O)))に続いてまたもや耳鳴りが止まないライヴでした。

No Ageは絶対にライヴで観てみるべきバンドですよ。

  
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# by Blacksmoker | 2009-06-10 02:02 | ライブレポート

JIM JONES [Pray Ⅳ Reign]


Balling~!!!

f0045842_8411215.jpgサウス勢が席巻するヒップホップ・シーンに対して、現在のNYのボスからの回答がこのアルバムだ。

ディップセットディプロマッツ)のリーダー、ジム・ジョーンズがメジャー・レーベルに移籍して放つ新作「Pray Ⅳ Reign」はNY復権を唱える入魂のアルバムだ。これを聴けば今NYを統治(Reign)しているのが誰かハッキリするだろう。

そもそも私がこの男を好きな理由はその「ハスリング」ぶり。
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プエルトリカンだけあって血の気も多く、とにかく貪欲。もともとはディップセットの中でも裏方の仕事をやりたかったそうだが、表舞台に出てきた理由というのが「自分の思うスピードで金を稼ぐにはアーティストが一番早い」からだそうだ。恐ろしいまでの正直さが潔くてイイ。ただその貪欲さが災いしてか同じディップセットの盟友キャムロンと対立し、今やディップセットは完全に休止状態(ヘル・レルも昨年離脱)。そして自身が率いるクルー、バードギャングからもマックス・Bピート・ロックのアルバム「NY Finest」にもジム・ジョーンズと共に参加していたのに・・・)が喧嘩別れで離脱と非常に大変な人みたいですね。
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クラブとかでは絶対に遭いたくないジム・ジョーンズですが(ディップセットの連中全員そうですが・・・)、曲は別の話。この男のラップは無骨で味がある。もろにビギー譲りなフローもイイが、その声から感じられるブルージーさがカッコイイ。しかも何か余裕を残してるカンジがまた最高。特に2006年の特大ヒットWe Fly High以降は一段とその余裕ぶりに貫禄が出てきてます。Ballin~!
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そんなNYのボスの新作。コロンビア・レコードの重役に就任したリック・ルービンが億単位のディールで獲得したと言われるだけあって、リル・ウェインT-Painカニエ・ウェストNe-YoAkonが参加した豪華な作り(aka 予定調和な作り)になるかと思いきや、そこはいつものジム・ジョーンズ。ゲスト陣は、ディップセットの盟友ジュエルズ・サンタナを筆頭に自身のバードギャングからNOEメル・マトリックス、そしてシンガーのOshyなど、ほとんど身内で固めています。最近の大物ラッパーのアルバムの中では非常に異質なアルバムです。

ただラッパーとして以上にトレンドセッターとしての役割も彼は忘れてはいません。中でも注目なのは現在も旬なプロデューサーであるロン・ブロウズの起用でしょう。バスタ・ライムスArab Moneyや、カポーン&ノリエガ(CNN)のRotateのヒットで一躍ヒット・メイカーへと躍り出たロン・ブロウズが4曲手掛けています。

まずは昨年から特大ヒットを記録しているPop Champagneでしょう!T-Painの18番「オートチューン使い」を臆面も無く堂々と自分のモノにしてしまったロン・ブロウズ(左写真)。このPop Champagneもオートチュf0045842_8461361.jpgーン炸裂の超強力フロアバンガー!何のヒネリもないどうしようもない歌詞ですが、クラブで聴くと否が応にもアガってしまいます。そして個人的にこのアルバムのベスト・トラックHow To Be A Boss。不穏なストリングスの旋律に猛々しい勇猛なトラックに、ジム・ジョーンズリュダクリスNOEがハスリング・ラップを披露する重厚なシット。マジで何回聴いても鳥肌が立ちます(バードギャングNOEはこのアルバムに5曲も起用されていますが、その声やラップのフローがジェイ・Zにそっくりすぎて笑ってしまいます)。その他にもシリアスなMedicineやアルバム終盤のハイライトとなる重厚だがメロウなRainと、アルバムの中でも最も重要な曲をこのロン・ブロウズが手掛けているのはやはりビジネスマンとしてのジム・ジョーンズの手腕でしょう。

あとはライアン・レズリーを迎えたPreciousと、シンガーのOshyが何と3曲も連続で登場するBlow The BankThis Is For My BitchesGirlfriendが個人的には最高です。そして何よりジュエルズ・サンタナの参加がディップセットのファンなら嬉しいですね。
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最近のヒップホップ・アルバムに顕著なシングル単位での楽しみ方とは違ったアルバム単位で聴ける男汁満載の気合い十分の作品。是非チェックしてみて欲しい!!

   
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# by Blacksmoker | 2009-06-06 08:29 | HIP HOP