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2018年の12枚。

日本だけでなく世界的にも災害の多かった激動の2018年。
政治的にも対話が進んでるようで何も進んでない停滞感が漂う。トランプ大統領の排外スタンスに追随する国も多く現れ、「終わりの始まり」という言葉がよく似合う年だった気がします。今までは欧米以外のアフリカや中東の音楽を「第三国の音楽」として聴いてきましたが、今やアジアの音楽も異常に面白いですね。ネットでほぼ聴ける環境も素晴らしいです。
CDは今年も買ったのは10枚くらい。アナログ盤ばかり買ってました。あとはストリーミング。この前京都の某レコード店の店主に「でもCDの時代は絶対に戻っていくる」と言われましたが、さてさて? それでは2018年の私の代表するアルバム、今年は12枚!

<2018年の12枚>

■第1位
Mary Gauthier [Rifles & Rosary Beads]
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35歳で初めて曲を書いたというくらい遅咲きのシンガーソングライターMary Gauthier(メアリー・ゴウシェ)の11作目。このアルバムは戦争から帰ってきた帰還兵のアメリカ人に話を聞いてそれぞれの人たちの物語を曲にしたという4年がかりのプロジェクト。
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全部で11曲ありそれぞれ11人の名もなき兵士の知られざる戦争のストーリーを歌にしています。これぞフォークミュージックの真髄。幽玄な演奏と郷愁的なメロディと深い歌詞。56歳にしてその表現力が素晴らしい。


第2位
Cypress Hill [Elephants on Acid]
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「いまさらCypress Hillかよ!」と思うかも知れませんが、この新作はそんなナメてる奴を余裕でブッ飛ばす強力なトリップ・アルバム。DJ Muggsの見た夢をもとに作られたエスニックでサイケデリックなラップ曼荼羅で、60年代後半のドラッグでラリったサイケロックバンドのような超危険なアルバムです。


■第3位
Thou [Inconsolable]
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ニューオーリンズの怪物スラッジThou(ザウ)。2018年はEP3枚とRaganaとの共作アルバムとフルアルバム[Magus]をリリースし、どれも全部強力な内容でしたが、その中でもこのEPはなんと全編アコースティックという仰天の内容。
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轟音と叫び声しか聴いたことがなかったが、こんなダークで美しい音楽を提示してくるとは全く底知れない怪物です。



■第4位
Sons Of Kemet [Your Queen Is A Reptile]
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ロンドン出身のサックス奏者Shabaka Hutchings率いるサックス+ドラム2台+チューバという4人組ジャズバンド。2台のドラムの変則的なビートの上をShabakaのサックスが暴れまくり、さらに土着的なチューバが低音を支えているという既成概念を超えたサウンド。
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「お前たちの女王は卑劣だ」というタイトル、そして曲タイトルが全部黒人の女性活動家という、サウンドも姿勢も全部が超攻撃的なアルバムです。



第5位
David Byrne [American Utopia]
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14年振りのソロ新作。何層にも重なった緻密なサウンドに、異常にポップなメロディ、皮肉たっぷりの歌詞などやっぱ圧倒的な天才ぶり。盟友Brian Enoも絶妙なサポート。ソロ・キャリア史上最大のヒットというのも凄い。現在の編成でのライヴ・パフォーマンスも圧巻。



第6位
Makaya McCraven [Universal Beings]
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ヒップホップ・センス抜群のシカゴのジャズ・ドラマーMakaya McCravenの大作。Carlos NinoやMiguel Atwood-Ferguson、Jeff Parker、Shabaka Hutchingsまでゲスト参加したスピリチュアルでハイブリッドなビート・アルバム。


第7位
神門 [エール]
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2017年に三年をかけて作った[親族]というアルバムが全編”葬式”をテーマにしたとてつもないミニマルな作品でしたが、今回は自分の身の回りの出来事から他者になりきって歌う曲などテーマは様々ですが、その切り口がちょっと震えるくらいオリジナルな視点で脱帽します。ご近所さんから戴く”お裾分け”をテーマにした「土産」という歌にはもう完璧に唸らせらました。ラッパーでありながら、もう韻も踏まなくなりポエトリー・リーディングのようなスタイルですが、この男の言葉の力をまざまざと見せつけられました。



第8位
August Greene [August Greene]
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ラッパーCommonが、Robert Glasper(key/piano)、Karriem Riggins(drums/beat)と組んだ玄人受け抜群の新ユニット。このユニットの肝はKarriem Rigginsで、変則的で微妙にズレたビートを平気な顔で繰り出してます。あとの2人は余裕の安定感。ウルサ型のジャズ・リスナーも唸ります。



第9位
Royce Da 5’9"
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デトロイトの41歳のベテラン・ラッパー、Royce Da 5’9”(ロイス・ダ・ファイヴ・ナイン)の自伝的内容の新作。巧みなライミング、ラップの表現力、フローの豊富さなど若手ラッパーには到底出せないスキルの高さに平伏します。若手最高峰のJ.Coleを迎えた”Boblo Boat”、そしてEminemを迎えた”Caterpillar"の凄さはちょっとハンパない。



第10位
Kamasi Washington [Heaven and Earth]
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驚異の4枚組LPという超大作(隠しEPも含めると5枚組!)。前作での世界観はもっと壮大に広がり、ファンキーさまで加わってもう前人未到のカマシの世界。今年は来日公演も強烈でした。



第11位
S.Carey [Hundred Acres]
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マルチ・インストゥルメンタリストのソロ3作目。歌はさらに表現力豊かに、楽器の音色は繊細に仕上がった幽玄なフォーキー・チェンバー・ミュージック。



第12位
EVISBEATS [ムスヒ]
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和歌山の山奥での生活を反映してサウンドはよりオーガニックで、詩はより仏教的になり、成熟度を増したソロ4作目。ゲストの人選の的確さ・意外性もハマって一枚通してじっくり聴き込めます。また初期の頃の無国籍で奇妙なビートも聴いてみたくなる。





# by Blacksmoker | 2018-12-31 22:28 | 2018年総括

2017年の12曲。

人種差別や#MeToo運動などが目を引いた2017年。分断/格差/利己主義に陥った世界にはマイノリティの声が届かない。そんな中で音楽で自分のアティチュードを示すのがミュージシャンだと思いますので、どんどん社会的・政治的になっていけば良いし、それとは別にラヴソングだった共存したって良いと思う。Kamasi Washingtonの曲でもありましたが、異なる価値観が融合することが「真実」なのです。レコードで聴くようになってからシングル単位で聴かないので、今年も1曲ずつ選ぶのが難しかったですが、自分の中で2017年という年を象徴してる曲なんじゃないかと思います。今年は12曲!


<2017年の12曲>

第1位
中川五郎 “トーキング烏山神社の椎ノ木ブルース"
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1923年の関東大震災の発生直後に起こった朝鮮人虐殺の中で、世田谷のある橋の上で発生した事件とその後を描くフォークソングのルポルタージュとしての側面を存分に発揮させた曲。そして烏山神社に立てられた13本の椎木の恐ろしい真実。
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1曲17分にも及ぶ現在の日本のフォークソングが到達した一つのマイルストーン。



第2位
J.Cole “4 Your Eyez Only"
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凄い凄いと聞いていたが、ここまで凄い内容のアルバムだとは思わなかったアトランタのラッパーJ.Coleの新作。
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そのアルバムの最終曲は自分の亡き友人の娘に宛てた手紙という内容で、パーソナルで強く優しいメッセージに心打たれました。ほんと凄いリリック書く人です。



■第3位
Father John Misty “Leaving LA"
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これも長い曲で13分あります。歌詞を理解できないと魅力が半減する曲(アルバム自体もそう)だが、直接的じゃなくシニカルにLAを批判する面白さが分かればこれほど面白い男はいない。
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優雅なストリングスの上を堂々と歌い上げる一流のエンターテイナー。



第4位
Rhiannon Giddens “Birmingham Sunday"
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1963年にアラバマ州バーミンガムで起きたKKKのメンバーによる教会爆破事件で犠牲になった4人の女児を歌ったJoan Baezの曲を、50年以上経った現在に蘇らせたRhiannon Giddens。
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今の世界の状況への警鐘でもある重要曲です。ピアノが素晴らしい。



第5位
幾何学模様 “Nobakitani"
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日本のバンドなのにもう完全に海外の方が大人気のスペース・サイケデリック・バンドKikagaku Moyoの最新EPから。
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全5曲でもう一つのような作品ではあるので1曲を選ぶのは難しいんですが、和のテイストがここまでうまく融合したサイケデリックな音はないんじゃないか。とにかく素晴らしいバンド!


■第6位
Kamasi Washington “Truth"
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異なる価値観を表現した5つの楽曲が最後に一つの”Truth”という名前の楽曲に集約されるEPからその13分に及ぶ大曲。全くダレないし飽きないしずっと感動させられ続けました。
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これこそローカルでありグローバルであり、真のフリーダム。


第7位
Ben Ottewel “Watcher"
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日本では誰もが忘れたUKバンドGomez。さらにそのメンバーのソロアルバムとなるともうその注目され無さ加減がハンパではないんですが、そんな逆境でもこの男の声の求心力はいまだに私の心を捉えて離さなかった。この1stシングルのいなたさと清涼感に涙しました。


■第8位
Joan Baez “Nasty Man"
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ドナルド・トランプはフォークの女王の心まで動かし遂に25年振りの新曲を発表させてしまった。”不快な男”と題して優しく美しい声で徹底的にコキ下ろしているんですが、曲の完成度がもの凄く高いので聴きいってしまいます。やはりプロテストソングというのは歌詞もそうだが曲も素晴らしくないといけないという当たり前の事実を改めて教えてくれました。


第9位
Preservation Hall Jazz Band “Mad"
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ニューオーリンズの伝統音楽を守って伝えてきたミュージシャン達が年齢や病気で亡くなり続けている中で、この老舗バンドのメンバーも新旧の入れ替わりがある状況で新たに見つけた方向性は伝統を残しつつもその音楽を未来に繋がるようにアップデイトさせることでした。新作の中からニューオーリンズの過去と未来が同居したようなこの曲には希望を感じました。来日公演も良かったです。



第10位
David Rawlings “Lindsey Button"
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寡作なGillian Welchとその寡作な夫David Rawlingsですがようやく新作が出ました。もちろんGillian Welchも全面参加。昔からあるフォーク・ソング/アパラチアン・ソングを新たにアレンジし直して違った曲に蘇らせるんですが、この曲も古い曲だそうですがもうシンプルなアレンジで素晴らしい曲に生まれ変わりました。



第11位
Neil Young + Promise of The Real “Already Great”
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再びPromise of The Realと組んだアルバムからの先行シングル曲。トランプ大統領のスローガン"Make America Great Again”へのカナダからの回答"もうすでにGreatだぜ”。サウンドもアメリカのゴスペルやニューオーリンズなどのルーツ音楽を取り入れてて上手い。




第12位
Bell Witch “Mirror Reaper"
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1曲83分! シアトルのドゥームデュオによるとんでもない地獄度のフューネラル・ドゥーム。とにかく陰鬱で長い。最高。
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ドラマーの死を乗り越えて完成させた本物の葬送曲。(まあ曲というよりアルバムなんですけど。)


■次点
Lee Ann Womack “The Lonely, The Lonesome & The Gone"
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テキサスのカントリーシンガーの新作からのタイトル曲。郷愁的なカントリーソングですが、”この心の痛さは、古いHank Williamsの曲のよう / 孤独で、寂しくて、過ぎ去ったもの”という歌詞が凄い好きでした。

スカパー!

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第2回プラチナブロガーコンテスト



# by Blacksmoker | 2017-12-31 22:58 | 2017年総括

2017年の12枚。

トランプが1月に大統領に就任してからというもの常に彼の言動に世界が左右されていた2017年。音楽にもトランプが与えた影響は大きく、良くも悪くも「トランプ以降」というフェーズに入った今の音楽界は混沌としていた気がします。ただサウンドは80’s色全開な音が世界を席巻してますがどうも苦手。26年前に同じ状況を1枚のアルバムで破壊したNirvanaのようなバンドが再び現れるのでしょうか?

さて、CDはどうなっていくのか?今年買ったCDはおそらく10枚以下。その他はアナログばかり。新しい音楽よりも、古い音楽を買ってる割合の方が多かった2017年。おそらく2018年もその傾向は続くでしょう。

ということで今年は12枚。トランプ以降を象徴するアルバム、ベテランの復活作、欧米以外の極地からの革新的なサウンドなど。今回もほぼアナログ盤での評価です。


<2017年の12枚>

■第1位
Orchestra Baobab [Tribute to Ndiouga Dieng]
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西アフリカのセネガルの首都ダカールで1970年に結成された大所帯バンドの10年振りの新作。2016年に亡くなったオリジナル・メンバーNdiouga Dieng(ンジュガ・ジェン)に捧げられたアルバム。
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アフリカの音楽ではあるんですが、根底にあるのは大西洋の向こう側にあるキューバ音楽。そこにアフリカ的な味付けをしたダンスミュージックなのですが、今回から西アフリカの伝統楽器コラを演奏するメンバーが正式に加入し、土着的なサウンドと違った美しい側面も見せてくれる素晴らしい傑作。


■第2位
Afghan Whigs [In Spades]
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90年代に一際異彩を放っていたグレッグ・デュリ率いるこのバンド。2001年に解散したんですが、2014年に再結成。今作は再結成2作目。
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ますます異形な才能が気持ち悪くもそれを格好良さが上回る特異なバンドですが、今作はグレッグのヴォーカルもますます凄みを増して、サウンドもヘヴィでドラマティックに。90年代の傑作を超える最高傑作ではないでしょうか。しかしこの後ギタリストが急逝。どうなってしまうんでしょうか。


■第3位
Open Mike Eagle [Brick Body Kids Still Daydream]
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昨年はPaul Whiteとの共同名義でのアルバムが傑作でしたが、今回はソロ名義。自身の生まれ育ったシカゴに1960年代に実際に建てられた低所得者層向けの大規模高層アパート[ロバート・テイラー・ホームズ](70年代には犯罪の巣窟と化して取り壊されたプロジェクト)を擬人化してラップするという普通では考えられないコンセプトのアルバム。
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前作のPaul Whiteの多彩なトラックよりミニマルなトラック中心だが、ラップの内容が面白すぎる。天才。ちなみにOpen Mike Eagleのことを関西のどのヒップホップのレコード屋で聞いても知られてないのが悲しい。


■第4位
Monolord [Rust]
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スウェーデンの極悪スラッジトリオの新作。Sleep直径の重低音リフにエコーの効いたヴォーカルが酩酊感を倍増。
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Electric WizardやUfomammutのようなアチラ側へ行ってしまわず、一歩手前のギリギリのところにいる感じが良い。

■第5位
Les Filles De Illighadad [Eghass Malan]
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西アフリカのニジェールの砂漠イルリダダット出身の女性デュオLes Filles(レ・フィールズ)の新作。今作から女性ギタリストが参加して3人編成に。
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TinariwenやTamikrestがロックへ向かって行く中で、彼女たちはより母性的でプリミティヴなサウンドへ。


■第6位
Iron & Wine [Beast Epic]
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昨年Jesca Hoop & Sam Beam名義での作品も素晴らしかったですが、本体Iron & Wineの新作はほぼライヴ録音で声とギターの音色の美しさ極限まで引き出したサウンドに震えました。
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実に映像が喚起されるサウンド。しかし相変わらず歌詞が難解です。


■第7位
Jlin [Black Origami]
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米インディアナ州の女性トラックメイカーの2nd。これは衝撃でした。Flying Lotusを初めて聴いた時のようなインパクト。もの凄い重低音とトライバルでポリリズミックなリズムの嵐。ぜひアナログ盤で聴いて欲しい。


■第8位
Julie Byrne [Not Even Happiness]
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ニューヨークの女性シンガーソングライターの2nd。中音域の透き通る歌声はもろにJoni Mitchellの系譜を受け継ぐシンガーですが、その中でも曲の完成度が群を抜いてます。ギターの弦の動きまで聴こえる録音も素晴らしい。



■第9位
Quantic + Nidia Góngora [Curao]
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イギリス人プロデューサーWill HollandのプロジェクトQuanticの新作はコロンビアの女性歌手Nidia Góngoraを前編ヴォーカルに迎えた作品で、彼女の生まれた街ティンビキに伝わるクルラオという音楽をクラブミュージックの文脈で解釈し直しています。女性クワイアが印象的。


■第10位
Joey Bada$$ [All-Amerikkkan Badass]
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Kendrick Lamarの何重にもひねったリリックやアルバムのトータルコンセプトも素晴らしかったですが、こっちはもっとシンプルに分かりやすくポリティカルなラップを聴かせてくれます。トラックはKendrickよりも上だったと思います。



■第11位
Chronixx [Chronology]
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ニューラスタ・リヴァイヴァルの中でも人気実力ともに頭一つ抜けているChronixxの待望の1stアルバム。地に着いた歌詞と、自身のバンドによる素晴らしい演奏。カリスマ性とも合わせて時代を超えたレゲエの名作の誕生。


■第12位
Fleet Foxes [Crack-Up]
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実に6年振りの復活作。重厚なコーラスと文学的な歌詞による幽玄でバロック的なフォークロック。一度聴いただけではなかなか理解できない複雑な曲構成は忍耐力のなくなったリスナーに対する挑戦状のようです。


■次点
鬼 [火宅の人]
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福島県いわき市小名浜のラッパーの3度目の逮捕・実刑の後の5年振りの新作。昭和の闇を背負ったその人生とストリートの文学性が染み付いたリリックはもう誰も到達できない領域まできた感がある。抜け出せないカルマまで含めた底辺の人間の崇高な美学が輝いている。


# by Blacksmoker | 2017-12-30 16:49 | 2017年総括

2016年の11曲。

相次ぐテロに、大物ミュージシャンの訃報の連続、イギリスのEU離脱やアメリカ大統領選挙など激動の2016年。他にもアメリカで起こったBlack Lives Matter運動など、アーティストの曲に直接影響を与える社会情勢が印象的でした。やはり歌詞は重要です。今年もほとんどがアナログで聴いてて、シングル単位で聴くことは少なかったですが、やはりPVが印象的な曲は何度も観てしまいますね。それでは2016年のベストソング。今年は11曲!


<2016年の11曲>

■第1位
Michael Kiwanuka [Black Man In A White World]
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アメリカで起こったBlack Lives Matter運動を象徴するような1曲。しかもイギリスのノース・ロンドンから。フォーキーで穏やかな歌が特徴だった男の怒りのメッセージ「俺は白人社会の中の黒人だった」。
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LA在住の日本人監督Hiro MuraiのPVも秀逸。



■第2位
Nevermen [Mr. Mistake]
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Faith No Moreのマイク・パットンと、TV On The Radioのトゥンデ・アデビンペ、AnticonのラッパーDoseoneという変態3人の合体したバンドで、3者の変態的個性が絶妙に混ざり合ってポップに昇華した奇跡的な曲。歌詞も面白い。アルバム全編こんな曲ばかりだったら絶対にベストアルバムでしたが、この曲が一番際立ったました泣。
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日本人学生の二瓶紗理奈の制作したPVがかなり変で面白い。Boards of CanadaがRemixしたヴァージョンも素敵です。



■第3位
KA [Just]
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NYブルックリンのベテランMCの超ドープでダークな渾身の一曲。
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ストリート・ハスリングのカルマを、封建社会の侍の精神を通して描いた文学のような重厚な歌詞に唸らされるばかりです。




■第4位
Black Mountain [Mother of The Sun]
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カナダのサイケデリック・ロックバンドの6年振りの新作からの1stシングル。8分34秒。時代性など無視した60年代後半のようなスペーシーなヘヴィ・サイケ。HawkwindとBlack SabbathとPink FloydとLed Zeppelinの精神を受け継ぐサイケデリック曼荼羅。
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PVも怪しさ満点。男女2人のヴォーカルもシャーマニック。これくらいの長さは早送りせずに聴ける忍耐を身に付けましょう。しかし、このバンドが世界的に人気というのはロックの希望だ!


■第5位
Diva [Divinity in Thee]
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LAのオリエンタルなシンセポップ・アーティスト(Leaving RecordsのMatthewdavidの奥さんでもある)Divaの新作から。
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今は猫も杓子も80’sサウンドですが、この人は元からそういう音だったというのも評価できます。



■第6位
UA [JAPONESIA]
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2016年のUAが辿り着いたのがヤポネシアというのが面白い。もはやインドネシアやタイとかの東南アジアの音楽と並列で聴かれるべき。



■第7位
Jamila Woods feat. NoName [VRY BLK]
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これもBlack Lives Matter運動を象徴する1曲。シカゴの女性詩人/シンガー/ラッパーのフリーダウンロード・アルバム[HEAVN]からの1曲で、女性ラッパーNoNameを迎えて黒人として生きるハードな現状を訴えるメッセージソング。
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アルバム全体もおそろしく素晴らしいので、今すぐダウンロードして聴いてください。




■第8位
DJ Shadow feat. Run The Jewels [Nobody Speak]
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DJ Shadowの新作から。バリバリのサンプリングに、過激すぎる2人のラップが畳み掛けるフロアバンガーな必殺の1曲。でもサビでは大合唱にならないで、いきなりブレイクに入るところがニクい!分かってらっしゃる。
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乱闘PVが最高に笑えます。



■第9位
Psychic Temple [When I Know]
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どこぞの教祖のような風貌のChris SchlarbのプロジェクトPsychic Templeの3枚目の新作から。容姿や名前からしてどんなサイケなんだと思ったら、優しく穏やかなフォークロック。
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Sufjan StevensのレーベルAsthmatic Kittyからのリリース。



■第10位
Brain Eno [The Ship]
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2016年の”Ambient 1: Music for Airports”とも言えるアンビエント21分。アナログ盤の音が凄くてお薦め。途中で入ってくるイーノのエフェクトされたヴォーカルも気持ちよい。



■第11位
Mary Chapin Carpenter [The Things That We Are Made Of]
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13作目の新作からラストを飾る曲。この人は簡素な言葉を羅列してもの凄い綺麗な文を作る人で、この曲は夫や子供や自分が作り上げてきた物への感謝の歌。
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夜に一人で聴いてたら涙が出てきます。
# by Blacksmoker | 2016-12-31 17:55 | 2016年総括

2016年の12枚。

今年の個人的ハイライトはピーター・バラカンさんに私のラジオ番組にゲストで出ていただき対談したことですかね。ラジオをやることも、しかもピーターさんと対談することも5年前の自分には想像できなかったです。来年もいろいろやっていきますので、よろしくお願いします。

さて音楽の方ですが、アナログ派なのでもうサプライズ・リリースとか全然ついていけません。なのでUSのメインストリームは全く疎くなってしまいましたが、気が付くとなんとサウンドやファッションが80'sに席巻されていることか! でも今年はアメリカーナ/フォーク周辺のアルバムも傑作連発でこっちは嬉しい悲鳴。あとミュージシャン同士のコラボアルバムも異常に多かったな。ということで今年は12枚。なぜか西アフリカの音楽が3枚も。今年も全てアナログ盤での評価です!



<2016年の12枚>

■第1位
Lambchop [FLOTUS]

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ナッシュビルのオルタナ・カントリーバンドの4年振りの新作。驚きの変貌。事前に「70年代の電子音楽に影響を受けた」と聞いていて恐る恐る聴いたら、控えめなアナログシンセの音に、これまた控えめなボーカル・エフェクターと"あくまで控えめに"変わってて、コレが妙にクセになるサウンドで堂々の一位獲得。
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抽象的なメロディも秀逸な美しいアルバムです。でもおそらく次作はまた元に戻ってると思います。
ちなみにアナログ盤は低音が凄くて、iPhoneのmp3を車で聴いたら全然違ってて驚きました。



■第2位
The Body [No One Deserves Happiness]
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ポートランドの激重ノイズ・スラッジデュオ。今年はFull of Hellとのスプリットアルバムも超強力でしたが、この単独名義の新作は今までの作品以上に怨念が籠ってる。デュオというフレキシブルさを最大限に活かしてアヴァンギャルドなノイズ、電子音楽、女性コーラスも融合したとてつもない作品。
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2015年の来日で初めて観て衝撃だった血管ブチ切れたヴォーカルが可愛く思えてきます。


■第3位
Open Mike Eagle + Paul White [Hella Personal Film Festival]
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個人的に大注目のシカゴのラッパーOpen Mike Eagleが、イギリス人トラックメイカーPaul Whiteと組んだデュオ作。
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今年はDanny Brownのアルバムをプロデュースして先鋭的なトラックを提供していたPaul Whiteが、このアルバムでは非常に多彩でオルタナティヴ感満載のトラックで楽しませてくれます。
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そしてOpen Mike Eagleのメロディアスなラップ/フローが見事に融合。傑作!



■第4位
Goat [Requiem]
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スウェーデンの多国籍トライバル・サイケデリック・バンドの3作目。サイケデリックと言ってもこちらはアフリカン・サイケデリック。
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砂漠のブルーズ直系のギターやマリンバなどの民族楽器を使ったトランス効果抜群のサウンド。


■第5位
Sam Beam & Jessica Hoop [Love Letter for Fire]

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Iron & Wineのサム・ビームが、カリフォルニアのSSWのジェスカ・フープを迎えたデュオ・アルバム。
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サム・ビームの低いディープな声を中和するようなジェスカの澄んだ声が相乗効果を生んで出来たとても美しい作品。



■第6位
Aly Keïta / Jan Galega Brönnimann / Lucas Niggli [Kalo Yele]
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西アフリカの民族楽器バラフォン奏者アリー・ケイタ +サックスとドラマーのトリオ作。どこか郷愁的すらあるバラフォンの響きと安定感のあるサックスのアンサンブルが新鮮。ジャズも細分化されいろんなジャズがありますが、民族楽器をメインにしたジャズにはリズムの面や楽器のアンサンブルなどまだまだ可能性がある。


■第7位
Ryley Walker [Golden Sings That Have Been Sung]
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シカゴのギタリスト/シンガーの3作目。前作から初めて披露したヴォーカルも、今作はさらにその歌声にも深みが出てきて、楽曲の完成度もむちゃくちゃ高い。アコースティック・ギターの響きも素晴らしい。



■第8位
Mark Ernestus’ Ndaga Rhythm Force [Yermande]
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ベルリン・ミニマル・ダブテクノの総本山Basic Channelのマーク・エルネストゥスが、セネガルの伝統音楽のミュージシャンと作ったディープなアフリカン・ミニマルダブ。伝統と未来の融合した衝撃的なポリリズミックなリズムの嵐。


■第9位
Bob Weir [Blue Mountain]
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ボブ・ウィア超久々のソロ。若手SSWジョシュ・リッターが作詞作曲し、The Nationalのメンバーが参加したアメリカーナ路線の素晴らしいアルバム。ボビーの声に痺れました。


■第10位
Steve Mason [Meet The Humans]
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元Beta Bandのフロントマンのソロ3作目。今やポップ・マエストロのようなメロディセンスの高品質ロックアルバムを作る人になっていますが、今作も超素晴らしい完成度。もはやPeter GabrielやPhil Collinsにも匹敵する男。


■第11位
William Tyler [Modern Country]
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ナッシュビルのフィンガー・ピッキング・ギタリスト(元Lambchopのメンバー)の3作目。John Faheyの遺伝子を受け継ぎながらも、それに捉われない実に芳醇で映像的なインストゥルメンタル・ギターアルバム。


■第12位
Lucinda Williams [The Ghosts of Highway 20]
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ルシンダ・ウィリアムズの13作目。良い感じの枯れ具合と力強さの両方を兼ね備えた彼女の声のバックで、ビル・フリゼールとグレッグ・リースという私が好きな2人の鬼才ギタリストの奥行きのあるサウンドが素晴らしい。


■次点
[Day Of The Dead] (10LP BOX)
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エイズ撲滅を目指す非営利団体Red Hot Organizatinの企画する超豪華メンツによるGrateful Deadのカヴァーアルバム全59曲。プロデュースはThe Nationalのデスナー兄弟。彼らは大半の曲に演奏でも関わっているので、バラバラのようでいて実は統一感のある出来になっています。
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アナログ盤は入魂のカラーヴァイナル10枚組。絶対にアナログ盤をお薦めです。
# by Blacksmoker | 2016-12-30 19:37 | 2016年総括